「谷川連峰主脈縦走・平標山の家から三角山を経て浅貝へ下山」 2017年10月28日(土) |
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地理院地図(電子国土Web) 新しいウィンドゥが開きます。 行程概要 GPSデータをカシミールに取り込んでいます。 昨日、縦走してきた主脈も含め、群馬・新潟県境の長大な稜線を「三国山脈」と称すると知りました。 この3日目の行程での主稜線は三国山脈と記載することにします。 4:30 起床 出発準備を整えて避難小屋棟から外へ出てみると小屋の周囲はガスガス! 風もそこそこ強い。この時、三国峠までの縦走を取り止めて三角山から下山することに決めた。 ちなみに最短ルートは平標山の家から直接に平標登山口へ下山出来る「平元新道」だが、すぐにエスケープしなくてはならないほどの天候ではなかった。 |
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6:05 平標山の家(1,650m)出発 ガスのせいでまだ薄暗い中、平標山の家を出発する。 昨日までの登山日和とは打って変わった空模様で、大源太山での展望は期待薄だがとりあえず行くだけ行ってみよう。 |
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ガスが途切れてきたが大源太山は雲に覆われたまま | 仙ノ倉山頂付近は雲が掛かっている |
平標山の家からしばらくは引き続いて展望溢れる稜線で、天候が良ければ気持ちよく歩けるだろう。 幸いなことにガスが切れて、仙ノ倉から西側の主脈を振り返ることが出来た! 少し離れてみると、仙ノ倉の重厚さが増すようだ。 雲が流れていくのが目で見て分かるほど、上空は強風が吹いているようだった。 空気も何となく湿気を帯びてきて、早く山を下りるように促されているよう。 今日は森林限界上の主脈を歩くのは危険な状況だろう。 大源太山が近づいてくるにつれて、森林限界を下回りながらも緩やかに登りに掛かる。 風は常に稜線の東側から吹いてくるので、新潟県側に回ると穏やかになる。 |
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7:00 大源太山への分岐(1,680m) | |
分岐から大源太山はそれほど遠くはないが、けっこう急坂が続いていて主脈で疲れた脚にはきつかった。 登るにつれてどんどんガスは濃くなり、展望が無いのはもう分かっていたがとりあえずピークハントで行くだけ行っておこう。 |
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7:21 大源太山山頂(1,764m)到着 | 今回の縦走で最後の三角点。乗ってた小石は何となく除けづらくてそのままタッチ。 |
山頂は広い山頂部の東端にあった。 ここからは歩いてきた主脈を横から観られるはずだったのだが、それはまたの機会に置いておこう。 クマ避けのラジオを聴きながら人けのない山頂で小休止をとっておく。 ラジオではプロ野球のCSについての総括をやっていたが、そろそろルールを改正していく時期だろうという意見に一応カープファンの自分も賛成したい。 7:32 大源太山山頂出発 先ほどの分岐へ引き返してから三角山へと南下する。 |
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7:58 三角山山頂(1,685m)到着 | 浅貝まで1時間45分。 |
しつこいガスとやや強い風に吹きつけられながら三角山山頂に到着。 狭い山頂ながら展望があれば、ここもなかなか良さそうなところだった。 ここで遂に主稜線から外れて、三角山登山道を下りに掛かることにする。 平標から三国峠にかけては、いずれ好天の日に改めて歩いてみたい。 三角山で小休止をとっていると、昨日おにぎりをいただいたご夫婦が来られた。 平標へ登り返して松手山コースを下山される予定だったが、強風で平標はもう危険だと山小屋の方に止められたという。 それで三角山経由で下山することに変更されたそうだ。 この後、お二人とは三角山登山道で抜きつ抜かれつ下っていくことになる。 お二人は大源太山へ寄らずに直接来られたそうで、自分よりも先に三角山登山道を下り始められた。 8:11 三角山山頂出発 |
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急坂が続く三角山登山道 | 歩いていた主稜線を振り返る |
出発前に山小屋の方が言われていたとおり、三角山登山道は激下りで始まった。 三角山山頂直下が特に急坂だが、下っていくにつれて次第に緩やかになっていく。 踏み固められているほど歩かれていないようなので、ゆっくりと慎重に下っていった。 途中で日帰り装備の単独男性お一人とすれ違う。 急坂が落ち着いた頃、振り返ってみると先ほどまで歩いていた稜線が見えた。 出来れば三国峠まで歩きたかったのでちょっと残念だった。 |
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毛無山付近の送電線鉄塔が見えてくる | 毛無山は尾根の僅かな起伏上にある |
一旦緩やかになった尾根が再び急坂になると、前方には毛無山の目印にしていた送電線鉄塔が見えてくる。 送電線鉄塔が見えてきたことで、亜高山の世界から里山に近くなってきたことを実感する。 毛無山のだいぶ手前で急坂が終わると、ほぼ平らになった尾根を回り込んでいく。 |
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歩いていた三国山脈を振り返る | |
毛無山が近づくと30〜40mくらいの登り返しとなる。 登りとなると途端に足が重くなってしまうが、黄葉に彩られた歩いてきた尾根を振り返ると元気付けられる。 三国山脈は雲が掛かったままだが、平標山の家と大源太山の間のコル辺りが辛うじて見えている。 登り返しの途中に送電線鉄塔を通り掛かるが、先発のご夫婦が休憩されていて一旦自分が先行する形となった。 |
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この山道は青年会新道という。 昭和34年、浅貝と三国山脈を結ぶ最短のルートとして浅貝青年会が開発したが、 歩く人無く笹薮に戻った。 平成10年KWV有志により再開発され、浅貝新生会が維持している。 末永く多くの人がこの道を歩き続けることを願う。 平成22年 8月 浅貝新生会 慶応義塾大学ワンダーフォーゲル部 |
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9:24 毛無山山頂(1,362m) | |
送電線鉄塔からまもなく毛無山山頂に到着する。ここから浅貝まであと1時間だ。 山頂にはこの登山道を拓かれた経緯を記す解説板が置かれていた。 なかなか良い尾根道だし、少し遠いけどまた来たい。 今度はぜひ晴れの日に歩きたいと思う。 |
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毛無山を過ぎるとまたまた激下りへ | 山から出る直前まで激下りが続く |
木々の間からようやく下界が近づいてくるのが見えてくる。 しかし再び尾根は急坂となるので最後まで気を抜けない。 しかも落ち葉で更に滑りやすくなっているのでこの時期は要注意だ。 この写真を撮っていると休憩を終えたご夫婦が降りてこられたので、再び先へ行っていただいた。 部分的にはロープに頼るほどの激下りもあって、 山小屋の方が三角山登山道は急坂だよと言われていたことが本当に頷ける。 |
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10:04 旧浅貝ゲレンデに出てくる(1,050m) | 向かいの山肌に見えてきたゲレンデは何だか見覚えあるような… |
最後の最後まで激下りだった尾根をようやく抜け、広々としたスキー場に下りてきた。 長い長い緩斜面の続く良いゲレンデと思ったが、あとで調べてみたら近年に閉鎖されてしまったようだ。 一時期苗場スキー場と合併したが、少し離れた飛び地のようなゲレンデなのも不利に働いたかもしれない。 登山道は抜けたが、旧ゲレンデ内を蛇行する簡易舗装の道路をしばらく下っていく。 自分が数回撮影している間に、ご夫婦はだいぶ下まで降りられている。 昨日の縦走中はほぼ同じペースだったが、下りでは撮影しながらの自分のほうが圧倒的に遅かった。 |
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旧浅貝ゲレンデ下部より、初めて直に苗場スキー場を見た。 | |
行く手には大きなスキー場が見えてきて、一目で苗場スキー場だと分かった。 20年ほど前スキーを始めた頃に観ていた “ SKI NOW97 ” の影響で憧れのスキー場だった苗場。 スキーは登山と違って楽しいことばかりではなく、正直面倒くさいことも多々あって近年はやる気が減退気味。 ただこれまであらゆるエネルギーを費やしてきたことを考えると、引退するまで思い切ったことが出来ずに続けている。 でも初めて苗場を見ていると俄かにスキーをしたくなってきた。 今冬からはどこへ行こうか迷うくらいにスキー場だらけの長野県で滑るので、スキーも気分が変わってやる気が出てくるかもしれない。 話をスキーから浅貝に戻すと、旧浅貝ゲレンデを下りきればけっこう交通量の多い国道17号(三国街道)に突き当たる。 たぶん近くにバス停があるはずと道路沿いに下っていく。 |
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10:26 浅貝バス停(940m)到着。これにて無事に山行終了! | |
国道沿いに歩き始めてすぐに浅貝バス停に到着した! 土合駅から始まった谷川連峰主脈縦走の行程も遂にここで終了となる。 ちょっとアンバランスな3日間だったが、今回も充分に歩き応えのある行程だった…。 周囲には温泉があるようだが、このあと車回収のために土合駅まで戻らないといけない。 |
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浅貝バス停(940m) | |
バスが来るまで待合室でのんびり出来た。 バスはおおよそ1時間に1本の間隔で運行されているが、越後湯沢で乗り継ぐ上越線の列車のほうが本数が少ないので要注意だ。 11:07 越後湯沢駅前行きバスに乗車(この便のみ土日祝運行) 浅貝は始発から一つめの停留所ということで、この便では自分が最初の乗客だった。 途中の苗場スキー場などでいくらか乗客が増えたが、席は半分ほど埋まった状態で越後湯沢駅へ。 車窓からは苗場に始まって、かぐら・みつまた等々…次々にいろんなスキー場が見えてくる。 |
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11:51 JR越後湯沢駅前到着 | |
バスはほぼ定刻どおりに到着。 浅貝からの運賃は660円だが、登山用ザックなどの手回り品料金として100円加算して760円になる。 越後湯沢は新幹線も止まるので比較的大きな駅だった。 その中から案内板を頼りに上越線のホームへ向かう。 越後湯沢から土合までの運賃は410円。 |
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12:13 越後湯沢発 | |
乗車したのは越後湯沢始発となる2両編成の今風の列車。ヤマノススメどおりに湘南色の列車ならなお良かった。 車内は比較的空いていて、ゆっくりと車窓を楽しむことが出来た。 途中からは谷川岳直下を貫く長い長い清水トンネルに入っていく。 |
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12:39 土合着 | |
越後湯沢から30分も掛からずに懐かしい土合駅に到着した。 土合駅では乗客よりも駅見学の観光客のほうが多かった。 現在では土合駅はローカル線の駅という雰囲気だが、かつてはこのホームに溢れるばかりの登山客で賑わっていたという。 改札を出てしまう前に、土合駅でもヤマノススメの聖地巡礼を行っておきたい。 「日本一のモグラ駅」といわれる所以となっている下りホームへと立ち寄っていく。 |
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土合駅・下りホーム(580m)に到着! | |
ヤマノススメのとおりに谷川岳へは本来この下りホームからレポを始めたいところだが仕方がない。 これから谷川岳へ登るつもりで歩いていく。 夏ならば列車からホームに下りると本当にひんやりと気持ちよく感じるに違いない。 ところで土合駅下りの構内はホームを後から増設していて、2本の軌道のうち1本は使わなくなっているようだ。 |
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13:01 長い階段を登り始める | 上が見えない… |
この長い階段は詳細を知らずに来たら、ヤマノススメのシーンのとおりにびっくりするに違いない。 谷川岳への登山はここから始まるつもりでゆっくりと登っていきたい。 階段の標高差は70mほどあるので普通の駅の階段と同じように登ると、あおいやひなたでなくてもバテてしまうだろう。 |
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この長い階段はちょっとした登山です。 | |
13:12 長い階段を登りきる | |
10分ほど掛かって、えっちらおっちら登りきった。 上からも最下段が見えない。 なお土合駅下りホームにも駅見学の観光客が絶えない。 確かにこんなユニークな駅は他にないだろう。 |
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461…462…、ゴール | 連絡通路は湯檜曽川(ゆびそがわ)上を渡る。 |
登り返し、いや頑張って登った。でも改札はまだ少し先にある。 |
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気圧差による強風を防ぐための仕切りという | 改札まであと24段ある。 |
長い長い連絡通路を進む | 462+24=486段。これでようやく全ての階段が終わり。 |
この連絡通路は国道291号の上も跨いでおり、初めて谷川岳へ来た時に道路から見上げた時は外観の様子から一瞬廃墟かと思ってしまった。 かつてはこれから谷川岳へ登る登山者による通勤ラッシュのような光景がここでも観られたのだろう。 |
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着いた〜 | 本数が非常に少ないので綿密に計画を立てたい |
下りホームと長い階段での聖地巡礼を終えてからようやく改札を出る。 この構内はリーダー格のかえでさんが谷川岳の登山届を書いていたシーンで描かれている。 |
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JR上越線・土合駅(660m) | |
聖地巡礼など全ての日程を終えて、土合駅前に停めている懐かしい車に戻ってきた。 2日前の出発時は真っ暗だったので分からなかったが、駅の周辺もすっかり錦秋の模様に。 ヤマノススメ聖地巡礼、そして主脈縦走といろんな余韻に浸りつつ、山行装備を解いて帰途に就く。 朝からずっと曇りで持ちこたえていたが、帰路の途中から遂に雨が降ってきた。 夕刻の帰宅時には土砂降りになっていて、ザックなどが最後に濡れてしまうというおまけも付いてきてしまった。 |
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〜 終わりに 〜 少し前に行先に偶然谷川岳を選んだことから、垣間見えた美しい主脈に惹かれ、そして肩ノ小屋での展示によってヤマノススメを知ることにもなりました。 いろんな経緯で決行した主脈縦走でしたが、谷川連峰の美しさと厳しさを存分に味わえた山行となりました。 今年はもう雪に閉ざされてしまいますが、来年以降も折を見てぜひ谷川連峰を登っていきたく思います。 長期縦走といえるような山行は今年はこれで打ち止めになりますが、素晴らしい締めとなりました。 ヤマノススメ推しでない方にはちょっと退屈な部分もあった山行記録かと思いますが、今回もお付き合いいただきましてありがとうございました! |
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今回の縦走の全行程図です |
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行程断面図です 全行程断面図です |