「ピラミダル! 桶居山」 桶居山縦走
鹿嶋神社〜JR曽根駅/JR御着駅〜桶居山〜鹿嶋神社 06年12月11日(月)

国土地理院地形図:「姫路南部」、「加古川」25000分の1を参照して下さい。

 自宅から最寄の山らしい山といえば、播磨アルプスの異名を持つ高御位山の山塊。今はスキーシーズン前ということでタイヤ交換、ウェア購入とかで多忙。
出来るだけ移動時間が短いところをということで選んだ。ここは今年は初めて。昨年には2度歩いているが、今回初めて桶居山のある尾根を縦走してみることにした。
ここでまず問題になるのは曽根、御着の街歩きの区間。この2つの街を歩くのは全く初めてで、ある程度下調べをしておく必要があった。
ここで最も役立ったのは前回の新龍アルプス縦走に続いて、

神戸新聞総合出版センター 
「はりま 歴史の山ハイキング 電車・バスで日帰りできる30コース」 P.18 桶居山

それと、播州の山といえばやはり「播州野歩記」さんのレポ。【 西の端から桶居山・高御位山 】が非常に参考になりました。


鹿嶋神社の大鳥居のある駐車場は広いし、清潔な公衆トイレも完備されているので登山基地として申し分ないと思う。
まずここに車を停めてJR曽根駅まで歩く。2駅西の御着駅で下車して深志野登山口まで歩く。退屈な街歩きを先に済ませて、山から下りてきたらすぐ車に辿り着くという
完璧な計画を立てた。これなら夜明け前の暗い時間を街歩きに充てることが出来るので時間の節約になるし、山へ入るまでに充分にウォーミングアップも出来る。


5:45 自宅出発。車で明姫幹線を西へ。「阿弥陀」の道路標識を見て右折。ひたすら直進して、公園前で左折。

6:14 鹿嶋神社大鳥居駐車場到着。まだ真っ暗だが、早くも近所の方々が散歩されている。

6:19 スニーカーから登山靴に履き替えるなど、身支度を整えて出発する。一路JR曽根駅に向かって南下。国道2号に突き当たったら西へ進み、2つめの信号で左折。分かりやすかった。

6:41 JR曽根駅到着。ここまでで約2kmの歩行距離。歩いているうちに薄明るくなってきた。180円の切符を買う。

6:46 下り普通列車で御着駅へ。混んではいないが座れなかった。2駅だけだからいいけど。

6:51 JR御着駅到着。僅か5分の乗車時間。間にひめじ別所駅が最近新設されていたようだ。JRは駅間距離が離れているが、最近方針転換したのだろうか。

6:55 JR御着駅出発

 通勤、通学客が次々に駅へ向かう中、北へ向けて歩き出す。
朝のうちは曇りがちで少々心配だったが、日が高くなるにつれて雲は消えてきた。

 「はりま 歴史の山ハイキング」では、神社を見てから北へ向かうとなっているが、
すぐに北上して国道2号に出た。道すがら御着城跡へ立ち寄るために。


7:03 御着城跡

 城跡といっても、現在は住宅地に埋没してしまっており、この周辺は本丸跡のようだが、
本当にただの公園にしか見えない。城のような建物は姫路市東出張所である。
 僅かに城の面影を残しているのは、東側に隣接しているグラウンドの周囲の土手と小川が
どうやら本丸を囲んでいた堀と土塁だったようである。
 中世の守護所として、もし完全な形で郭が現存していたら、間違いなく国指定史跡に
なれただろうに残念である。

 なお建物越しにこれから向かう桶居山の山頂だけが既にもう見えている。


御着城跡

 御着城は茶臼山城・天川城とも呼ばれ、播磨守護赤松氏の家臣小寺氏の居城。
永正16年(1519)小寺正隆が築城、則職・政職と継承され天正6年(1578)か7年に
羽柴秀吉の播磨侵攻で滅亡したとされるが、嘉吉年間(1441〜44)には既に構居が
設けられていたとされ、明応年間(1492〜1501)には赤松氏の播磨支配の拠点として
守護所の機能を持つ城郭として機能していた。
 昭和52〜54年の発掘調査で、御着城が14世紀後半から16世紀後半まで存続し、
16世紀半ばに大・中型の堀や土塁が築かれ本格的な縄張りが行われた事が判明。
中世の人々の生活に深く関わる土器・陶磁器・木製品・石製品等の遺物も検出された。
 宝暦5年(1755)の「播州飾東郡府東御野庄御着茶臼山城地絵図」には城の中核に
本丸と二の丸、西と南は天川を利用した二重の堀、北と東は四重の堀、外郭部に家中
屋敷や町家の記載があり、惣構えの城が描かれている。現在、御着城跡の中央を東西
に国道2号が走り、本丸跡に市役所東出張所・御着城公園・御国野公民館がある。

 平成13年3月
 姫路市教育委員会

The GOCHAKU-JO castle is called the AMAKAWA-JO castle in all of the CHAUSU
YAMA-JO castle. Mr. KODERA who is the retainer of Mr. AKAMATSU (the HARIMA
NOKUNI sovereign in a MUROMACHI era) built it. This castle continued until the 16th
century second half from half of the 14th century and was ruined by the armed forces
of HASHIBA (TOYOTOMI) HIDEYOSHI.





7:15 桶居山と縦走尾根が見えてくる

 御着城跡を過ぎて、一つ目の信号で左折。一路北へ向かうと宅地が途切れて周囲の
視界が開ける。播但道の高架の向こうに桶居山の鋭鋒がたいへん目立って見える。


7:25 深志野登山口よりようやく山道へ

 車を鹿嶋神社大鳥居の駐車場に停めてから、1時間近く経ってようやく山へ入ることが出来た。
あとは縦走して車へ戻るだけである。

 この深志野登山口は播磨アルプスの西端という要衝にありながら、登山口を示す道標等は
皆無である。トランピングが国民的スポーツのNZでは考えられないことだ。
「はりま 歴史の山ハイキング」、そして野歩記さんのレポを見ていなかったら、
絶対分からなかっただろう。

 播但道の高架下をくぐるとまもなく、神姫バス深志野バス停に辿り着く。そこからは本当に
すぐなので、車道の東側に入る脇道を観察しながら歩く。車道から上記の写真の景色が既に
見えているので、初めての方はこの写真の景観を覚えていただくと絶対見つけられると思う。


 深志野登山口からほんの少し登っただけで雑木は途切れて岩がちのトラックになる。
足がかりがしっかりしているので、気持ちよく登っていくことが出来る。
しかも振り返るといつでも・・


7:45 御着の街並みを見下ろす

 登り始めてすぐに周囲の景観を見下ろせるようになるのだが、しばらく登ったところで
より視界が大きく広がる。この辺りから踏み跡が左右に大きく広がり、トラックは不明瞭と
いうか、どこからでも登れるような感じになる。後で分かることだが、尾根に乗るまでに
また1本に集約されるので、歩きやすいところ、景観の良いところを選んで歩いて支障は
無いと思う。

 播但道を挟んで南側には姫路近郊の低山郡が見えている。あの辺りの山域については
野歩記さんが詳述されているので、ご興味のお有りの方はぜひ参考にしていただきたい。


7:50 姫路の街並み

 登山口からの急坂が一段落するころにはトラックが集約されてくる。この辺りで西側を
振り返ると姫路市街の全貌を遮るものなく見渡すことが出来る。神戸の街とはまた違った
雰囲気だ。中心部には姫路城の大天守がはっきりと見える。


7:53 尾根末端の台地状のところへ出てくる

 この辺りで標高約150m。いつの間にか登ってきたという感じで全然退屈しなかった。
低いブッシュがまばらに生えており、北以外はぐるりと見渡すことが出来る。
休憩するにはなかなかのところだ。しかし、よく見るとかなりの量のゴミが散在している。
一人で回収し切れそうになかった。自分が腰を下ろした周辺のみの回収に留める。


 小休止しただけで東へ向けて歩き始める。ここからは待望の尾根歩き。
高低差の少ない快適な散歩道になっている。まだこの辺りは低いながらも潅木が生い
茂っている。しかし、木陰を作るほどではないので、暑がりの自分には夏には10分と
いられないところだろう。


8:08 桶居山が見えてくる

 小刻みに高低差の少ないアップダウンを繰り返していると、正面に桶居山の山頂だけが
見えてきた。遠くからでも本当によく目立つ山だ。


8:12 再び好展望地に通り掛る

 快適な尾根道を歩いていると、なかなか良さげな展望地が目に入る。


桶居山遠望

 荒々しい岩の斜面を見ていると、とてもこれが200m足らずの低山とは思えなくなってくる。
播磨アルプスの面目躍如といったところだろう。高御位山の主稜線よりもむしろこちらのほうが
迫力あると思う。


 桶居山を眺めた後も、快適な縦走路をひたすら東へ歩く。
とにかく一本道なので非常に分かりやすい。


 眼前に200mほどの高さのピークが大きくそびえている。
これまで比較的緩やかなアップダウンだったが、ここはなかなか登り応えがありそうだ。
この後一旦鞍部へ下って登り返す。


8:39 200m+ピーク

 桶居山山頂にひけをとらないほどの素晴らしい展望地の200m+ピークに到着。
東には岩尾根を隔てて、桶居山の雄姿が大きく見えている。北以外270度の大展望。
もちろんここで小休止することにする。


 西方ではこれまで歩いてきた尾根を見晴らせるようになってきた。
朝は雲が多かったが、すっきりと晴れ渡ってきた。初冬の肌寒い風が非常に心地良い。
いつまでもここに座っていたいという気にさせられる。

 なお地形図ではここから夕陽ヶ丘へ下る破線道が表示されているが、
景観を楽しむあまりにそれを確認するのを忘れてしまった。

 10分ほどの滞在の後、いよいよ桶居山へ向けて出発する。


8:51 いよいよ桶居山へ

 200m+ピークから東はこれまでと違い、遮るもののない岩尾根歩きとなる。
まさにこのトラックのハイライトといえる区間だと思うが、わざわざその素晴らしい尾根上に
送電線の鉄塔が居座ってしまっているのが残念でならない。※

 ※ 送電線鉄塔愛好家の野歩記さんには申し訳ないです。
他のあらゆる感覚は共通していると思うのですが・・。


 ということで、鉄塔を潜り抜けてからが自分にとって本当のハイライトとなる。
自分の写真は極力鉄塔を目立たせないように工夫しているので、実際の景観とは
少々違うことがあるかもしれないことを予めお断りしておきます。


 鉄塔を潜り抜けると、桶居山を遮るものは何もない。
低い潅木が点在するだけの展望抜群の岩尾根を堪能しながら、緩やかに登りながら
桶居山へ近づいていく。夏さえ外せばまさに気分爽快なトラックだ。

 岩尾根というと須磨アルプスが有名だが、距離の長さをはじめとして全ての点において
こちらのほうが勝っていると思う。自分にとっても兵庫の尾根ベスト10の中に入りそうだ。
やはり山歩きで最も楽しい区間は尾根歩きではないかということを再確認した。

 自分が尾根歩きに初めて魅せられたのは、NZのケプラー・トラック(※右写真)だったが、
久しぶりにツボにはまる尾根に出会うことが出来た。繰り返すが標高僅か200mほどしか
ないのだが、高さだけで楽しさが決まるものではないということも再確認した。


※ ケプラー・トラックのハイライトの尾根歩き

 一歩一歩感動に包まれて歩いたことを思い出す写真である。
 全長56kmのケプラー・トラックの中で、尾根歩きの区間は約10km余り。
荒天の際は通過に危険が伴うので、手前の山小屋で逗留することになる。

 もしこの尾根上に送電線を通す計画が持ち上がったとしたら、NZ社会は
どう反応するだろうか。もちろん実際にはこの周囲にある人工物は山小屋と道標のみ。


 ※ 詳細はNZ → 南島 → ティ・アナウ → ケプラー・トラックでご覧下さい。

 両側が鋭く切れ落ちて、とにかく歩いていて気持ちの良い区間。
冷たい風が時折、強く吹き抜けて三脚が倒れはしないかと冷や冷やする。


 桶居山が近づいてくると、緩やかながらも登り一辺倒になってくる。
しかし、常に展望を楽しみながらなので全然苦にならない。
桶居山縦走路は展望の無い区間のほうが圧倒的に短い稀有なトラックだ。


9:10 だるま落とし岩(仮称)

 野歩記さんのレポにあった、だるま落としのような岩が眼前に現れた。
一目でそれと分かる特徴的な岩だ。周辺は他にも奇岩が点在し、桶居山西斜面は
さながらミニロックガーデンのような雰囲気だった。


不思議というほかない自然の造形。だるま落とし岩

 桶居山山頂へ通じるトラック沿いにあり、見落とすことは絶対にないと思う。


9:16 だるま落とし岩周辺より、西側縦走尾根を見下ろす

 全然苦にならなかったが、だるま落とし岩周辺ではかなり急坂で見る間に高度を上げる。
振り返るとこれまでに辿ってきた西尾根が一望の元。歩くのも楽しかったが、眺めても
また素晴らしい尾根だ。鉄塔が一基尾根上にあることが画竜点睛を欠いているが、
それでも充分に感動できる景観だった。

 後で分かることだが、桶居山山頂からももちろん西尾根を見下ろせる。しかし、低い潅木が
周囲にあるので、むしろこちらのほうが好展望だと思う。


桶居山山頂へ向けて最後の登りにかかる

 西尾根の景観に感動してから桶居山山頂へ向かう。
まだ点在する黄葉に見とれながら、岩の間を登っていく。
桶居山は東斜面と西斜面で全く雰囲気が違うということも興味深い。


9:22 桶居山山頂

 あれ、もう着いたのかという感じで山頂に到着。三等三角点が出迎えてくれる。
麓からだとかなりの鋭鋒に見えるが、頂上はそこそこの広さがある。
未踏だった西尾根で写真を撮りまくったので、いつにもまして遅いペースだったが、
先客はまだ誰もいなかった。

 この桶居山山頂で宮本武蔵が天狗から剣術を学んだという伝説がある。
限りなく寓話に近い伝説のような気がするが、それだけ昔からこの桶居山の姿は
人の気を引いていたのだろう。
それでは四方の景観を楽しみつつ休憩することにしよう。


山頂より西方の景観

 前述したように、ブッシュがあるために遮られる部分がある。
それでも非常に開放感のある景観で大満足だ。

 それにしても、何だか西からまとまった雲がやってきたような気がする・・。


新龍アルプス遠望

 前回歩いた新龍アルプスがとてもよく見える。写真では分かりにくいが、的場山のアンテナ
が白い点となって見えていた。ちなみに手前には姫路城の大天守がはっきり見える。

標高247.6mといえども、この見通しの良さは特筆に価すると思う。


笠形山遠望

 先月歩いた笠形山のなだらかな山容が遥か北に望める。
今日の視界は軽く50kmは見渡せただろうと思われる。

 この写真を撮った時に想定外のとんでもないトラブルが発生!
三脚を置いたすぐ横にはなんと、●●こがあったのだ!
三脚は無事だったが、ブーツはちょっとだけかすってしまった・・。
とりあえず周囲の草で擦り落として、これから先の道程で見つける水溜りで流すことになる。
かすっただけということもあって、なんとか完璧に落ちて事なきを得たが・・。
こんな山頂のど真ん中の三角点のすぐ側でするとはいい度胸をしている、いやいや
とんでもない奴がいるものだ。桶居山山頂でこんなに激するとは思わなかった。
この山頂でも目に付いたゴミを回収して廻ったが、当然、これだけは回収不能だ。
当分の間、桶居山山頂三角点のすぐ南では足元に細心の注意を払っていただきたい。


とりあえずブーツの応急処置をして、引き続き南側の景観・・(やれやれ)

 写真では分かりづらいが、家島が本当に近くに見える。この前の新龍アルプスほどでは
ないが、なかなかのどかな光景だ。その中でも足下の谷には堰堤が設置されているのに
気付いたが、このように全山が岩山でも土砂崩れを起こす可能性があるのだろうか。
国が無くなって後、幾多の公共建造物だけが残った。古代ローマのように未来の人々から
見られるのかもしれない。(反面教師の意味で)


9:45 桶居山山頂東側の急斜面を下山開始

 山頂での滞在時間約20分で山歩きを再開する。本来ならばもっとゆっくりしたかったが、
午後からのスケジュールの都合と、先ほどのトラブルの応急処置のうえに、ブーツの先端を
水に浸したかったので先を急ぐことにする。ちなみにここから東は一度鹿嶋神社から往復した
ことがある。


 東斜面は奇岩の続いている西斜面とは趣が異なり、小さなコブが一面にある岩壁と
なっている。斜度はちょうどスキー場の上級者向きくらいで、しかもコブが全面にあるから、
さながらモーグルコースのような感覚を覚える。これで雪が積もったら本当に上級コースだ。
滑るわけにはいかないが、コブを足場にして調子よくぴょんぴょん降りていく。
来週はスキーが出来るかなぁ・・。


桶居山東斜面を降りきったところから山頂を見上げる

 楽しい楽しいモーグルコース風の東斜面はあっという間に終わってしまう。
意外なことに桶居山は東西両方の斜面で違った楽しさを提供してくれる山でもあった。


9:54 ピラミダル!な桶居山の雄姿

 東側の鞍部付近から眺める桶居山が最も鋭角に見える、という野歩記さんのレポを
情報源に時折後ろを振り返りながら歩いた。もっとも鋭角に、そして最も大きく間近に
全貌を見られるのはおそらくこの辺りだろう。立ちすくしてしまうほどの端正な山容だ。
後方には月まで出ているし、神々しさまで感じる。


時折、振り返っては次第に遠くなる桶居山を眺める

 まさに「天を突く」との言葉が相応しい。見ていたら特に南側が急斜面になっている。
全面が急斜面なら登頂がもっと難しくなっていただろうが、東西の斜面は比較的緩やかに
なっているから何の問題も無い。


10:02 桶居山を振り切って歩き始める

 桶居山の一つ東にあるミニピーク付近から撮影。いつまでも眺めていたいが、
そういうわけにもいかず先を急ぐことにする。ここから先の道のりの長さを昨年に
経験しているからだ。


 桶居山は過ぎたが、むしろこれからが山歩きとしては本番と考えたほうがよいというのは
承知している。桶居山から東は以前に一度鹿嶋神社から往復したことがあるので経験済み。
東向きに歩くと全体的に見れば登っていくと考えたほうがよいのである。
 これからアップダウンを繰り返していくが、とりあえずは正面に見える221mピークに
登らなければならない。


「山間の隠された湖」
 というような風情で、とても神秘的に見える。221mピークへの道程の途中で見ることが
出来る。地形図を見ると堤防のある人工的な池のようだが、とりあえずそれは置いといて、
この山岳景観を楽しもう。自分にとってツボである景観だ。池の周囲の紅葉も見事だ。


221mピーク付近から桶居山を眺める

 高御位山を囲む周回尾根もなかなか良いが、この東西に伸びる桶居山の尾根も魅力的。
桶居山の全貌を眺められるのはこの辺りが最後になる。もう少し眺めていこう。

 221mピークはなだらかで、ブッシュの中をトラックが横切っている。殆どの方が普通に
通り過ぎるだけといった感じのところだ。桶居山を見ることも出来ない。

221mピークを過ぎると、トラックは2方向に分岐する。
そのまま道なりに登っていくと、240m+ピークを経由して高御位山方面へ。
山腹道は240m+ピークをショートカットして、同じく高御位山方面へ。すぐに合流する。
240m+ピークは送電線の鉄塔が占領しているので、自分にとってはわざわざ
立ち寄るところではない。楽な山腹道を経由して、射撃場北にある尾根へ抜ける。


10:19 240m+ピーク東方の合流点にて

 ここから東の高御位山が大きく見えてくる。といっても、大きく北へ迂回しなければ
ならないが。相変わらず見通しの良い尾根道を北東へ進み、130m+最低コルを目指す。
そこからが隠れた難所となっていることを念頭においておく。

 なお南の谷底には射撃場があり、時に射撃音が絶え間なく響き渡る中を歩くことも
あるようだが、幸いにも今日は静かだった。平日は休みなのだろうか。
NZで射撃体験ツアーがあったが、高いから参加を断念したことがある。


10:28 「ラクダの背」付近

 130m+コルが近づくと、「ラクダの背」のようなこんもりと盛り上がった丘を越えていく。
これが見え出すと130m+最低コルへの分岐が近い。この辺りは砂交じりで滑りやすい
ので足元にちょっと注意が必要だ。
 130m+最低コルは、今日の道程の中では貴重な、見通しの利かない森歩きの区間だ。
といってもほんの1分ほどだが。最近雨が多かったからか、水の流れが出来ていた。
ちょうどよかった。ここでブーツを入念に洗い落としておこう。


一路、高御位山縦走尾根へ

 最低コルを過ぎると、今度は南東方向へ向けてアップダウンを繰り返しつつ登っていく。
累積標高は300mくらいはあるのではないだろうか。一部、日当たりの悪いところでは、
地面が濡れたままで滑りやすくなっているところもあった。

この辺りになって、朝からの岩尾根歩きの疲れが徐々に出てくる。
やはり岩の上を歩く区間が長いので疲れやすいのだろうか。

 この辺りで女性2人組ハイカーとすれ違う。この後、高御位山の主稜線に乗ると、頻繁に
すれ違うようになる。平日でも人の絶えることのない人気のある山だと実感する。


 小刻みにアップダウンを繰り返すが、この182mピークへの登り下りは短いがやや険しい。
とにかく播磨アルプスはアップダウンが多いので、低山だからと気が抜けない。
六甲縦走序盤の須磨アルプス〜鍋蓋山の縮図のような感じかも。

 でもこの日は射撃場が休みだったおかげで、静かな山歩きを楽しむことが出来た。
この辺りを心置きなく楽しむには、射撃場が休みの日を歩くべきだ。


10:53 182mピーク

 巨大な1枚岩で構成されている182mピークに到着。周囲の岩山を見渡すことができ、
なかなか居心地が良いピークだ。夏ならばフライパンに乗るようなものだろうが、今の
時期ならば休憩スポットに充分使える。


主稜線に向けて最後の鞍部へ

 182mピークを過ぎると前方には高御位山の主稜線が大きく見えてくる。しかし、
その前にもう1回アップダウンを乗り越えなければならない。
この辺りは実際に歩くと、地形図よりもややハードに感じられると思う。
少しペースを抑え目にすると快適に歩けると考える。


岩山が連なる播磨アルプスの景観

 最後の鞍部から登ってくると、西側の視界が大きく開けてくる。
桶居山の山頂だけが尾根の向こうに少しだけ見えている。
一帯は岩山が累々と連なっている。実際の標高よりもすごく高く、
そして山深いところのように感じる。これで送電線が無ければ文句なしに絶景だと思う。
それはさておき、このような自然の只中にいるということだけで満たされる思いがする。


 もう高御位山を巡る主稜線に合流するのは目前だ。
きつくはないが、最後の最後まで緩やかながら登りが続く。


11:12 高御位山主稜線に合流

 桶居山から続いてきたトラックは、ここで高御位山主稜線に合流して終わる。
合流点は急坂の途中にあり、東側の展望がなかなか良い。
ここで撮影していたら、さっそく男性単独ハイカーが降りてくる。
今日は好天に誘われて、高御位山は盛況のようだ。


高御位山遠望

 合流点からは高御位山が尾根の向こうに、まだかなり遠くに見えている。
一度JR曽根駅から高御位山の主稜線を全線踏破しようと思っているが、こちらも桶居山に
劣らず、なかなか歩き応えがあるようだ。

 写真では分かりにくいが、尾根の向こうには淡路、明石大橋、六甲山系までも見渡すことが
出来た。晩秋から初冬にかけての空気の澄んだ日に歩くのは最高に気持ちが良い。


 分岐から急坂を登るとすぐにミニピークに辿り着くが、馬の背分岐、264.2mピーク
まではあとしばらく登らなければならない。桶居山分岐から馬の背分岐まではすぐだと
思っていたのだが、1年で記憶があやふやになってしまうのか。

 主稜線に乗ると一気に周囲が賑やかになってくる。この写真もすれ違うハイカーを
やり過ごしてから撮影したものである。鹿嶋神社、高御位山、両方向から多くのハイカー
が歩いていた。


11:31 馬の背分岐

 もう一度登り返して、好展望の馬の背分岐に到着。今日はこの後馬の背を下る予定
なので、あとは大鳥居まで下り一辺倒だ。
 264.2mピーク、百間岩経由で下山するのも楽しいが、主稜線のトラックを縦走する
時までおいておくことにする。

 なお、気になっていた西からの大きな雲が、この分岐に辿り着いた途端に空を覆って
しまった。日光が遮られると、急に体感温度が低くなる。ここで軽く昼食を摂ったのだが、
正直少し肌寒かった。ということで、ここから急に暗めの写真になってしまった。


11:45 馬の背経由で下山開始

 馬の背分岐からはかなり急な岩場を下っていく。全線で展望抜群でとにかく楽しい
下山コースだ。勢いがつきがちになるが、膝への負担を考えてペースを押さえて
下の岩へ足を運ぶ。とにかく全線が岩歩きなのである。
11:57 馬の背

 各地に馬の背という名称があるが、ここ以上にしっくりくるところはそうそうないだろう。
東には高御位山、西には百間岩と鹿嶋神社。展望も素晴らしい。正面の鉄塔が無ければ
もう何も言うことはないだろう。


高御位山主稜線、264.2mピーク方面を振り返る

 巨大な馬の背を下りつつ、いずれ試みるつもりの主稜線縦走に思いを馳せる。
やはり空気の澄んだ、展望抜群の日に歩きたいものだ。となると今か春先か。
来週はどうなるのだろう。初滑りに行きたいが、山歩きもしたい。
 馬の背を過ぎると、後は下り道が登山口まで続く。
正面に大鳥居が見えてきて、今日の桶居山縦走も終わりが近づいてきた。
駐車場に停めている自分の車も既に見えている。曽根駅から御着駅まで列車を利用
したが、それでも周回コースを歩くのは本当に楽しい。ピストンは出来るだけ避けたほうが
よいと改めて思った。


 このまま森へ入るのかと思ったら、最後にもう1回だけ巨大な岩盤を通過する。
最後の最後まで岩歩きを堪能できる。
 この岩場を過ぎると、後は短い森歩きの後にすぐ駐車場へ降り立つ。
12:18 大鳥居駐車場に到着

 達成感に包まれて、車を停めている大鳥居駐車場に到着。下山した途端晴れてきた。
まあいつもこんなものだろう。それはともかく、下山したらすぐに車に辿り着くというのは
理想的な環境だ。ただし正月だけは鹿嶋神社への初詣で満車になるだろうから避けよう。

 ちなみに自分は学生時代に大晦日の夜からここへ出掛けて大変な思いをしたことが原因で、
それ以来初詣に行かなくなってしまったのである。(大渋滞で2号線よりも南から歩く羽目に。
神社周辺もすごい人出だった。そうだ、わざわざ混んでいる時に来ることはないではないか。
とその時ふと思った。とにかく混んでいるところが苦手なのである。当然、通勤で帰宅途中に
立ち寄れるルミナリエにも行ったことはない)

 
 桶居山縦走はほぼ全線で展望を楽しみながら歩ける素晴らしいトラックだ。またぜひ逆向きでも歩いてみたい。
しかし、縦走の宿命であるスタート地点とゴール地点が遠いことは考慮しなければならない。
今日のようにJRを利用するのも一つの手だと思うが、街歩きの距離がかなり長いことは覚悟しなければならない。
野歩記さんが推奨されているように神姫バスを利用するのが一番かもしれない。(鹿嶋神社、深志野登山口ともバス路線がある。)
 もう一つ注意すべき点は西の御着方面から歩く場合、登山口が分かりづらいこと。鹿嶋神社方面から歩くなら問題ないと思うが、
西から歩くなら上記の深志野登山口の下調べは不可欠である。といっても、自分もすんなり間違わずに辿り着けたわけではないのだが・・。


今日の行程の断面図です。


 ※ このグラフに加えて、大鳥居駐車場からJR曽根駅までの2.2kmを歩いています。総距離は9.555km。


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