「初めての書写山」 置塩坂〜刀出坂 09年9月26日(土)


国土地理院地形図
 : 25000分の1 「姫路北部」
参考文献
 : 神戸新聞総合出版センター 【 ふるさと兵庫50+8山 】 P.106 「書写山」





 青谷の静香亭でお茶してから約2ヶ月ぶりに山行を
再開しました。相変わらずUPまでスローペースですが、
改めて宜しくお願いいたします。
自分にとって少々マンネリ感があったので、
少しだけページの雰囲気を変えてみました。
新鮮味を感じていただけると嬉しいです。




 今回はのあるきさんを参考にして、初めて書写山へ行ってきました。
姫路駅から往復共神姫バスを利用。自分にとって神姫バスは全く使い慣れていないので、
公式サイトで路線図を確認することから始めなければいけませんでした。

 姫路駅から書写山へは、直行便となっている8系統が最も本数が多くて使いやすいです。
料金、時刻などの利用案内は公式サイト内の「のぞみNavi」で確認出来ます。



 神姫バス のぞみNavi

 今日の行程では、書写山東山麓の書写吹を経由する便を利用したかったのですが、
不覚にも乗り遅れてしまい、結果的に上記の8系統を利用することになったのです。
久々となる早起きに体が対応出来ませんでした。


8:00 姫路駅(北口)出発 8系統書写駅行きに乗車 片道260円

 バスのルート沿いに高校があるので、通学にもよく使われているようです。
殆ど席が埋まった状態で出発。この系統だと行きも帰りも始発なので、
必ず座れるのもメリットといえます。




8:28 書写駅バス停到着

 バスの到着に合わせて出発するロープウェイを見送りながら準備運動を行います。
まずは登山口となる書写吹を目指します。徒歩30分くらいなので足慣らしにも良いでしょう。
川沿いの気持ち良いトラックでお薦めです。








 行程概要 (山中のルートは不正確です)


 書写駅バス停(ロープウェイ乗り場すぐ前)から夢前川右岸のトラックを北上。
要所には道標もあって、初めてでもすんなりと辿ることができました。
書写吹から置塩坂で円教寺へ至り、刀出坂で西山麓へ下山。
刀出からは書写山南山麓をぐるっと半周する形で出発地の書写駅バス停に戻り、
サークルトラックを完成させました。

9:07 書写吹・置塩坂登山口

 狙い通り約30分で書写吹の登山口に到着。自分はこの道は運転したことはありませんが、交通量が非常に多いです。
前述の通りに書写吹を通るバスもあるので、ここから歩き始めることも可能です。
登山口から少し入ったところで軽くストレッチを行い、いよいよ書写山へ登り始めます。








置塩坂

 書写山へ登る道は参道として整備されてきた古道であり、この置塩坂もたいへん歩きやすいです。
置塩坂は登り初めこそやや急になっていますが、段々と緩やかになってくるようです。








9:41 置塩坂唯一の展望地

 しばらく登った頃、南側が広く見渡せるところまで登ってきました。
今日はやや蒸し暑いせいか空気が霞んでおり、遠望は利きませんでした。
但し写真では分かりにくいものの、出発地である書写駅バス停付近はよく見えています。
山陽道の高架が横切っているのが目印です。
 写真では木立に隠れていますが、南側の緩い尾根も見えていることから、この辺りの標高は200mくらいと推測してみます。

 この展望を眺めるように石仏が鎮座しています。
信仰心はあまりなくとも、石仏があるだけでなぜか心が落ち着くようです。
これより、円教寺へ至るまで、古の参詣道の趣を感じながらの山歩きとなります。

5分程度の小休止を経て出発します。








趣のある置塩坂の道中

 岩一面に描かれているのは五輪塔でしょうか。








 今度は五輪塔です。木漏れ日に照らされて、静かに佇んでいます。
 先ほどからごく緩いトラックがずっと続いています。
外界は今日も暑そうですが、狙い通りに日陰たっぷりで涼しい登りでした。








10:10 置塩坂最高点付近を通過

 今度は道標も現れました。何だか時代劇のロケにも使えそうです。
この付近ではかつて建物が建っていた名残が窺えます。
おそらく昔のほうがより多くの建物が山上にあったのだろうと推測出来ます。

 まもなく置塩坂は下りにかかります。もうすぐ円教寺に着きそうです。








「右 たんごみち」

 今度は「丹後」と書かれた道標。遠い丹後まで歩いて行っていた頃を彷彿とさせます。
参詣者が成相寺(天橋立付近)を目指しているのを想定して設置されたとのこと。
古人の信心深さを感じることが出来ます。








10:20 円教寺境内・置塩坂下山口到着

 「たんごみち」の道標を見てまもなく置塩坂は終わりました。
周辺を見ると倉庫やら、携帯の基地局などが点在していて何だか雑然とした雰囲気。
円教寺はこっちだろうととりあえず左手に見える坂を登っていきます。
後で気付きましたが、その道はバス専用道で立ち入り禁止になっていました。
別のところから境内に入るのでしょうか。








少し色づいている十妙院

 十妙院 兵庫県指定文化財(昭和40年3月16日指定)本尊 等身先手観世音菩薩

 天正7年(1579)正親町天皇により「岡松院」の勅号を賜った。これは、赤松満祐がわずか16歳で亡くなった女の冥福を祈るために建てたものとされる。
円教寺第106世長吏實祐の住坊となり、實祐を中興第一世とする。その後同じく正親町帝より「十妙院」の勅号を賜った。塔頭壽量院とは左右逆であるが、
ほとんど同じ平面構成をもつ円教寺独特の塔頭形式である。

 境内に入ると途端に人通りが多くなりました。そういえば今日は土曜日。
円教寺境内はけっこう賑わっているようです。
大部分の方はロープウェイを利用されているようで軽装です。
自分は書写山、そして円教寺は初めてなので、じっくりと寺社巡りをしたいところですが、
山装備では少々億劫に感じます。今日は極力山行に集中したいと思います。








10:36 摩尼殿

 まもなく摩尼殿が目に飛び込んできました。壮観でした!
ただし惜しくも大正8年に火災に遭ったため、再建されたもののようです。
それでも立派な建物には違いありません。

 階段を登って摩尼殿横を通り、奥の広場(きれいな公衆トイレあり)で小休止をします。
日陰では涼しいのですが、やはり日が当たるとまだかなり暑いです。




10:59 摩尼殿出発

 次は書写山最高峰371mのある白山権現を目指します。
摩尼殿裏手に案内板があり、辿るのは容易でした。








 木の根を巧みに使っています。書写山の山道は本当に歩きやすく感じます。








11:08 白山権現、及び書写山最高峰到着

 10分程度で周囲が開けて白山権現に到着。参詣客で賑わう摩尼殿周辺とは違い、静寂に包まれています。

 書写山の最高地点371mピークはこの白山権現の裏にありました。
ただしここには三角点は無く(少し北方の別ピークに三角点がある)、
更にピークすぐ横を切り開いて道を通しているおかげで、残念ながら風情はありませんでした。



 この後、当初の計画では鯰尾坂を通って下山するというものでした。
鯰尾坂の取り付きを探しつつ、登ってきた道とは逆に西側に進みます。

 しばらく道なりに進むとまた携帯の基地局。そして下りが始まり、まもなく再び円教寺境内に戻ってきました。
そこには有名な三つの院が立ち並んでいて、再び壮観さに驚かされました。








11:30 三つの院

 写真では見たことがありましたが、直に見ると本当にその規模に圧倒されました。
「コ」の字型に3つの建物が並んでいます。平安末期から室町時代にかけて建造され、ほぼ現在の姿になったようで、
いずれも国の重要文化財になっています。なお、境内自体も国指定史跡になっています。

 世界文化遺産である姫路城に隠れがちですが、この円教寺も本当に貴重な財産であり、
末永く守り伝えるべきものでしょう。初めて見る木造建造物群の粋を前にしては、山歩きも中断せざるを得ません。
じっくりと見て行きたいと思います。

 ところでここは映画「ラスト・サムライ」のロケ地としても有名です。
まだ映画は見たことがありませんが、トム・クルーズがここへ来たことを伝えるニュースは覚えています。
NZに居た時、とある宿の食堂で隣り合ったご婦人が、この映画を見て泣いてしまったと言っていたのを思い出しました。
まだ見ていない自分に「帰国後にすぐに見るべきよ」と言われていたのですが。
実際にロケ地を訪れてみて、観ようというモチヴェーションが沸いてきました。








食堂(じきどうと読む)

 約800年前の平安時代末期、後白河法皇の勅願で建立されました。
修行僧が普段寝食を行っていた建物だそうです。
なお、法皇と同時代人である弁慶が、幼少の頃に書写山に居たという伝説もあるようです。




 鯰尾坂への取り付きを探しながら、しばらく境内を散策することにしました。








青葉と三つの院が目にしみる光景

 ここにはぜひ紅葉の時に来てみたいと思いました。
今秋はエルニーニョで高温という予報となっていますがどうでしょうか。
なお、暖冬覚悟で既にスキーブーツを発注しています。








一息つきたくなるお茶屋さん

 着物姿のモデルさんがいれば良かったのですが。




 一しきり歩いたところで決めました。境内を廻っていて見つけた、刀出坂で下山することにしました。
後日に気付いたのですが、探していた鯰尾坂は工事中の奥の院脇から始まっているようです。
おそらく探している時に目に入っていたと思いますが、工事中の風景を前に注意力が逸らされたようです。

 鯰尾坂はまたの機会に歩いてみようと思います。








12:20 刀出坂下山口

 奥の院のすぐ横から始まる刀出坂を下り始めます。
刀出までの2kmの行程を楽しみましょう。








緩い刀出坂

 下り始めからまもなく現れる谷に沿って、緩やかに下っていきます。
最近全く雨が降っていないので、水は殆ど流れていません。

 先ほどまで賑やかな円教寺の境内に居たので、打って変わった静けさによって耳が痛いほどでした。
風情のほうはというと、植林に覆われていて今ひとつでしょうか。








 下るに従って段々と谷の形状は明確になりますが、相変わらず水量は少ないです。
出来れば降雨後のほうがより楽しい山行となるでしょう。
ちょうど雲で日が翳ったようで、森の中は夕暮れ時のように暗くなりました。








12:44 分岐を左に

 やや傾斜が増したところで、刀出坂が二手に分かれていました。
どちらを進んでも下れそうな雰囲気ですが、道標に従って左へ進みます。








シダを見ながら山腹道を下る

 分岐からすぐに左岸へ渡渉した後は延々と山腹道となり、沢から離れていきました。
そろそろ下りつきそうだなと思いつつ、歩きやすいトラックを軽快に歩いていくと・・








12:57 刀出坂登山口到着

 約30分弱で刀出坂を下り切りました。
登山口の前には草ぼうぼうとなった造成地の成れの果ての光景が広がっています。
地形図では刀出栄立町の地名とともに、数多くの建物が表記されていますが、
既に町は消え急速に自然に還りつつあります。
将来、これと同様の光景が日本全国で見ることになるような気がします。

 幸いにも長年の宿願だった政権交代が実現し、国の方向性を変えうる機会を掴みました。
考えようによっては戦争が終わった時と同じように、あらゆる価値観が大きく変わる時勢になっています。
但し新たに国を興すよりも、傾いた状態から立て直すほうが遥かに困難が付きまとうことでしょう。
それでもあらゆるリスクを推してでも政権交代させたのです。民主党には諸事に恐れず政権を行使してもらいたい。




 話を書写山に戻します。

 この刀出坂登山口には「近畿自然歩道」の案内板が設置されており、書写山周辺の概要を掴むことが出来ます。
登る前に見ておきたかったですが仕方がありません。情報は次回以降に生かします。




 当初の計画では鯰尾坂で下り、この刀出坂で登り、そして東坂で下るというものでした。
順番を入れ替えてでも時間的には可能でしたが、この日は山行後に姫新線で復活運転中の「はばタン列車」の撮影予定がありました。

 書写山の南側を半周して、書写駅バス停を目指すことになりました。
最寄のバス停で時刻表を確認しましたが、ちょうど良いタイミングの便が無く、
結局歩いて戻ることにしました。この車道歩きが最も暑かったです・・。




 道中、六角坂登山口を確認しました。








13:50 東洋大姫路高校前通過

 高校野球で有名な学校ですが、ここにあったのでした。この日に初めて知りました。
バックには書写山、手前には池と好立地だと思います。
自然の中に白亜の校舎が映えていました。




14:06 書写駅バス停到着

 約1時間弱の道程で書写駅バス停に戻ってきました。
思ったことは書写山の麓はかなり広いということです・・。








14:14 書写駅バス停出発

 復路のバス車内ではたちまち眠くなりました。
うとうとしつつ姫路へ戻りました。姫路城大手門前を久々に通りましたが、
随分国際的になっていたのが印象的でした。




14:44 姫路駅(北口)到着

 定刻より少しだけ遅れて姫路駅(北口)に到着。
これより姫新線に乗車して「はばタン列車」撮影に向かいました。
今春より、はばタン列車だけではなく、国鉄時代より走っていた古い気動車が新型車に置き換えられました。
姫新線の魅力はあの古い気動車と思っていた自分にとっては残念であり、
それまで季節の折々に訪れていた龍野方面から自然に足が遠のいていました。
期間限定でも復活運転は自分にとって本当に嬉しいものでした。
はばタン列車のほうは機会を改めてご紹介したいと思います。
新しい気動車は確かに乗り心地は良いのですが・・。キハ40、47で感じられる懐かしさはありません。




 暑くて少々バテましたが、何ら不調なく歩けました。
次回はもっと長距離を歩いて、六甲縦走の足慣らしをしようと思います。








行程断面図です


※ 円教寺境内をくまなく歩き回ったため、実際にはもう少し歩行距離が伸びると思います。

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