06年11月8日(水) 「笠形山U」 笠形神社コース+龍の背
Mt. Kasagata part2 Kasagata Shrine Track 8th. Nov / 06

国土地理院地形図:「粟賀町」25000分の1を参照して下さい。

 近畿地方に木枯らし1号が吹いた翌日が休みにあたり、澄んだ空気になりそうなのでとにかく展望の良い山に登りたく思った。
それと勤務シフトとの都合上、やや軽めの山歩きにしたくて、思い当たったのが今日のこのルート。
笠形山は2回目であり、前回との変化を付けるべく、山頂付近の未踏の見どころも付け加えた。

5:05 自宅出発
 明石から笠形山へは大きく分けて2つの道程が考えられる。加古川バイパスの加古川西出口から県道を北上。このままスキーに行く時と同じ道を辿り、福崎から岡部川沿いを通るルート。
もう一つは加古川西出口から県道を北上して、善防から中国道加西IC、そして八千代町を通って東から舟坂峠を越えるルートである。前回は東回りにしたのだが、今回は西回りにしてみた。
すると道筋も分かりやすい上に、もっと早く到着できることが分かった。殆どの区間がスキーに行く時のお馴染みのルートであることも大きいだろう。

6:25 大鳥居前駐車場出発
 瀬加の集落の上にある大鳥居前に車を停めて出発する。仙人滝コースを通って下山する場合は、集落の中にある大きな駐車場に停めるほうが便利だが、今日は同じところに降りてくるので。
時刻が少々早すぎたせいかまだ撮影するには暗過ぎた。ゲートを開けてトラックへ入る。しばらくはまだ暗い森の中を緩やかに登る。笠形神社へ通じる林道と交差するとまもなく笠形寺に到着。

6:35 笠形寺 (約350m)

 ようやく明るくなってきた。今年は紅葉が遅れぎみだが、一部の木が最盛期を迎えている。

この日の朝は今秋最低気温を記録した肌寒い朝だった。当然着込んできたが、
辿り着く頃には早くも少々暑くなってきた。今日の行程を通じて何度も着たり脱いだりして
温度調節に忙しかった。

 笠形寺の周囲はうっそうとした森でまだまだ薄暗い。
この後地蔵が点在するトラックを緩やかに登る。撮影してみたら全く何も写っていなかった。
帰路に撮ることにして先を急ぐことにした。


6:48 休み堂

 薄暗い森の中を登ってきて、何度か林道と交差するようになったら休み堂に到着。
暑くなってきたのでジャケットを脱いで、水分補給をして一息入れる。
 ここからはしばらく舗装された林道歩きを強いられる。笠形神社コースの中で
最も退屈な区間だ。途中から舗装からは開放されるが、変化に乏しい幅広の地道が続く。


7:06 笠形神社 (約636m)

 そこそこの斜度の地道を辿り、登り着いたところが笠形神社。
山頂の標高からすると、ここで既に半分まで登ったことになる。
ようやく日が昇ってきて明るくなってきた。

 小休止も兼ねて境内を軽く散策する。朝の空気と相まって、静かな境内は
空気がより清浄さを増すように感じる。個人的になかなかのお気に入りスポットになっている。


 笠形山の中腹まで登ってきたが、残念ながら紅葉はまだまだだった。
一部だけ紅葉してきているところはあるが・・。


町指定天然記念物
笠形神社の大スギ

 高さ50m、根回り9.5mを計り、播磨富士笠形山にふさわしい巨木である。
播磨地方にはこれ程までのスギはないと言われ、笠形神社のご神木になっています。
 この付近から国宝姫路城の心柱が搬出されました。
笠形神社の大スギ

 圧倒させられるしかない。自然への崇敬の念を起こさせる巨木である。
初めて笠形山へ登った時にはなんと見逃してしまっていた。
周囲に生えている木々もけっこう大きな木が多いせいかもしれない。
NZ北島のカウリ・フォレストで見たタネ・マフタやテ・マツア・ナヘレなどの
カウリの巨木と双璧と言っても良いだろう。末永く大事にしてもらいたいものだ。

(2枚の写真を縦につないだために、やや木の形が歪になっています)


 笠形神社コースは境内の西奥から再スタートする。
またしばらくは薄暗い植林の中を歩くことになる。
一部急なところもあるが、殆どが緩やかな登り。
この植林を抜けたところでようやく初めて展望が開ける。

7:27 笠形神社上方にある展望地にて

 周囲はきれいに刈り取られ、ベンチも設置されている展望地に到着。
目論見通りの清清しい大展望が広がる。姫路にある工場の煙突の煙まで
はっきりと認識できる。ただ霜が降りていたほどで冷え込みは相当なもの。
秋の山歩きシーズンも後半を迎えたと実感した。


 思う存分展望を楽しんで再び歩き出す。
これまでやや退屈気味だった笠形神社コースだが、ここからが最も楽しい区間となる。
始めは展望の山腹道から始まる。


7:33 仙人岩、仙人滝への分岐

 山腹道はすぐに植林の中に入り、分岐に差し掛かる。
今日は山頂までの往復のみだが、今度はこのルートを使ってループトラックを
歩くのも面白いかもしれない。


7:38 長い長い丸太階段の始まり

 植林は一旦終わり、笠形山名物500段の丸太階段が始まる。
笠形神社コースでの丸太階段は全部で512段あるという。(野歩記さん調べ)
登り応えがあるが、しっかりと整備されて快適に登っていける。
しかし、山に向かって右手に踏み跡が広がっており、肝心の階段には左から笹が
覆い被さろうとしている。避けるような歩きにくい階段ではないのだが・・。
野歩記さんの記述にもあるように、せっかく整備された階段を生かしきれておらず
残念な光景である。


 階段道から振り返るとまた大展望が広がる。写真では分かりにくいが、六甲も淡路も
ぼんやりとだが見ることが出来た。今日笠形山を選んで良かったと思った。
 階段に腰掛けてしばらく展望を楽しんで休憩する。


 その後階段道は再び森に入ってしまうが、笠の丸まで断続的にほぼ途切れる
ことなく続く。段差が小さく実に歩きよい。
 ほどなく岡部川の水源の道標が現れるが、最近雨が降っていないので寄っていない。

7:56 笠の丸 (838m)

 あずまやが建ち、周囲を生垣のように雑木が囲んで、まるで庭園のような笠の丸に到着。
ここまでくれば笠形山山頂まであと少し。512段の丸太階段を登ってきて暑くなっていたが、
あずまやで少し休憩しただけで風が冷たく感じる。この時間はまだ日当たりが悪く、早々に
山頂へ向けて出発することにする。


8:04 グリーンエコー笠形への分岐通過

 笠の丸からは笠形山山頂が近くに見えているが、一旦下って登り返さなければならない。
登りも下りもそこそこの距離がある。山頂に早く到達したくて気が焦るが、最後の最後まで
マイペースを心がけたい。
 この分岐は笠の丸と笠形山山頂との間の鞍部にあたるところにある。大屋コースと
グリーンエコー笠形コースはまだ歩いていないので、いずれは東西に縦走したいと思う。


8:17 笠形山山頂 (939.4m)

 グリーンエコー笠形への分岐からやや急な登りを経てようやく笠形山山頂。
山頂には早朝のためか誰も居なかった。吹き抜ける風が少々冷たい。
空気は澄み切っており、目論見通り360度展望はばっちりだった。
初めて来た時は5月の新緑の頃で霞んでいたが、これで念願が一つ叶った。


東の景観

 累々と連なる山並みの中に町が見えるが、西脇辺りが見えているのだろうか。


南の景観

 播磨平野の低山群、福崎や姫路まで完璧に見渡せる。
視界が良ければ四国まで見えるというが、そこまでは見えなかった。


南西の景観

 こちらはお気に入りの七種連山、明神山が勢ぞろいで見渡せる。
七種薬師(薬師峯)、七種山、そして七種槍のトンガリがはっきりと認識出来た。


北の景観

 千ヶ峰が思った以上に近くに見える。縦走路が整備されているので、
一度笠形山から縦走してみたいのだが、交通手段を確保するのが難題だ。

 段ヶ峰方面もよく見えるが、ここだけは低い木立によってやや視界が狭められている。

 兵庫県全体の地図も持っているが、こういう四方の展望が開けたところでは大いに役立つ。




9:15 笠形山山頂から北へ向けて降り始める

 山頂で流れる時間は早いもので、いつの間にか1時間経っていた。
今日は笠形神社コースを往復するが、それだけではあまりに面白くないので
山頂から北にある未踏の見どころに寄ってみることにした。

 笠形山山頂直下は南側だけでなく北側も急坂だった。
距離的には近いようだが、どんどん急坂を下っていく。
あまりに下ると登り返すのが少々億劫になってくる。
早く着かないかなと思いながら下っていくと・・

9:22 あまのじゃくの挽岩

 あまのじゃく同士のツーショットが実現した!?(ルーン←あまのじゃくの意味もある)

 トラックのすぐ脇に立っていて、「危険、触るな」の標識が設置されている。
出来ればあまのじゃくの挽岩の上に立ちたかったがそれは難しそうだ。
ともあれ笠形山山頂から寄り道する価値は充分あると思う。


あまのじゃくの挽岩越し遥か彼方には千ヶ峰が見える

 
アマンヂャク

 大昔笠形山にアマンヂャクがいた。笠形山から中町の妙見山に橋を架けるため、
橋脚を立て橋板にすべく岩を板状に切り、いよいよ架橋にとりかかる段取りとなった
とき東の空が明けかけた。
 アマンヂャクは夜だけの生物で、太陽が昇ると駄目になるので、残念ながらこの
大架橋工事は橋脚を立て、橋板を切って準備OKというところで夜が明けてしまった
というのである。
 

 
それで終わりかい!?
 ということはアマンヂャクの寿命は1日だけということになるのか。

 明石海峡大橋のようなバカでかい橋を造るような国もアマンヂャクといえるのでは
ないだろうか。ただ自分もあまのじゃくと思っているから、人のことはいえないかも。


龍の背

 あまのじゃくの挽岩の直下には龍の背がある。「まんが日本昔話」のような龍なら
良かったが、残念ながらこの龍の背の距離は短い。

龍の背

 笠形山から千ヶ峰へと続く縦走路にあり、尾根道に岩が並んでいるようすから
「龍の背」と呼ばれています。

 ここから北はまたの機会に譲ることにして、急坂を笠形山山頂へ戻る。
時間にして10分少々である。


9:55 笠形山山頂から下山開始

 龍の背から登ってきて数分小休止した後で笠形神社コースへ下山開始。
朝方は完璧にクリアーな青空だったのに、どんよりと曇ってきてしまった。


 笠の丸まで戻ってきて、ここでも小休止していたらあずまやの中も含めて、
周囲には多くのゴミが散在していることに気付く。小休止がてらゴミ拾いを開始。
山頂でもいくつかのゴミを拾ったが、笠の丸に放置されていたゴミの量は桁違いであった。
いや、山頂はふきっさらしなのでただ単に飛ばされただけかもしれないが・・。
コンビニ弁当のトレー、フタが分離した昔のジュース缶、他吸殻、飴袋とその切れ端多数。
一気にビニール袋が満杯になってしまった。それまではズボンのポケットに折り畳んで
入れていたのに入らなくなってしまった。ともあれ、この時点で笠の丸のゴミは一掃された
ということで達成感は抜群だ。しかし、もちろんこんな作業は不要になるのが理想なのだが。


10:30 丸太階段を下山中

 ビニール袋片手に下山する。まるで買い物帰りみたいではないか。
拾った空き缶の中に尖ったものがあったので(腐食が進んで半分に折れていた)、
ザックに入れたら傷めてしまう可能性があると考えてのことである。


10:50 笠形神社まで戻ってきた

 ここに辿り着くまでの植林の中で、男性5人パーティーとすれ違う。
さすが笠形山は人気があるのを感じる。ここより下でも何度かすれ違うようになる。
11:16 笠形寺周辺

 この辺りは野仏が散在している。植林の中ではあるが趣深いものがある。
この風景を朝に撮りたかったのだが、暗すぎて何も写らなかったのである。


笠形寺

 土の塀が情緒ある光景を作り出している。紅葉はもう少しか。
朝は閉じていた入り口が開いていたので入ってみる。


笠形寺境内にて


県指定文化財 笠形寺のコウヤマキ

指定年月日 昭和52年3月29日
所有者・管理者 笠形寺

 根廻り8.8m、樹高21.0m、枝張りは東西11.6m、南北11.2m、
樹齢は約500年と推定される。
 コウヤマキは、日本中部山地を原産とする1属1種の常緑樹で、木材は
特に水に強く、桶や船材に多く用いられた。また樹皮は「まきはだ」と呼ばれ、
水漏れを防ぐのに使われていた。
 本樹は市川町上牛尾の高大地(標高360m)に成長し、明治21年に火災を
受けたが、再び繁茂して現在に至っている。
 樹形端正、樹勢強壮、この種の老木として学術的価値大である。

 平成4年11月
兵庫県教育委員会

 このコウヤマキは貴重だが、教育委員会などは全く不要なものだと思っている。


11:39 登山口、大鳥居前に戻ってきた

 山頂から1時間45分。笠の丸で時間を潰さなければもう少し短い時間で降りてこられただろう。





 この前後の勤務シフトを考慮して軽めのルートを選択したがちょっと軽すぎたかも。曇りがちになっていた天気も麓まで降りてきたらまた晴れてきた。おいおい。
初めて笠形山へ登った時と同様に鹿ヶ原、ほうらい岩を経由したほうが良かったかもしれない。
 それはともかく、笠の丸のゴミはひどいものがあった。笠形山でもこの始末だから、富士山がゴミ問題で世界遺産に登録されなかったというのも納得できる。
山にゴミを捨てる人は山が好きではないのだろう。何をしに登ってきてるのか不可思議だ。

 次回はややハードなルートを選んでみよう。



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