「裏明神・神元神社コース〜河鹿コース」 2012年11月25日(日)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「前之庄」、「寺前」




 〜 はじめに 〜

 先日、大明神コースを歩いたことで、明神山東山麓の主要コースは歩き尽しました。
ということでこれまで自分にとって禁断の地?扱いとしていた西山麓の「裏明神」に初挑戦です。

 登りは馬谷神社を起点とする尾根を踏破。「T字尾根」、「尾切れ」などの見どころを訪れ、
下りは通称「河鹿コース」の尾根を通り、馬谷・莇野コース起点の駐車地へ戻るという行程です。
結論からいえば、順調に終わったところとそうでないところがあります。
整備されていない山域だからこそ遭遇する難しさを肌で感じた1日となりました。








 行程概要 (山中のルートは不正確です)



 明神山西山麓は基本的に手付かずの自然が残されています。
東山麓のような整備され尽くしたコースではなく、安全に踏破するには読図が必須です。
もしくは経験者に同行されることをお薦めします。




 6:35 かじかの里・田中付近の駐車地を出発

 メジャーコースが並走する東山麓と違い、馬谷周辺にはまとまった規模の駐車場はなく、
事前調査で今回の行程にはここが最適という駐車地を見つけておいた。
ここはかじかの里・田中を挟んで馬谷・莇野コース、そして明神峠へ向かうルートが分岐するところ。
ざっと見て車が10台程度駐車可能だと思う。ここに来るまでの馬谷地区を通る道は狭いので通行注意。
なお、馬谷と書いて“もうだに”と読むのを最近知った。

 まだ薄暗いうちに到着し、ウォーミングアップなどの登山準備を整えておく。
そして日の出とほぼ同時刻に出発。単独行の自分にとっていつも以上に早立ちが大前提だ。
 緩やかに下る細い道を通って馬谷神社まで引き返していく。
この日の朝の冷え込みは相当なもので、大雪を期待している自分にとって冬が近いと感じて自然とワクワクする。








 6:49 馬谷神社

 行程の前半で辿る尾根の末端にある馬谷神社に到着。
お社の横には軽自動車くらいなら登れそうな道があり、まずはこれに取付く。
夢やかた周辺の東側の各コースとは違い、こちら側は指導標は皆無なので登山口の案内ももちろん無い。
林道のようなこの道は尾根の末端を横切ってすぐ行止まりになるので、少し引き返して適当なところから尾根に乗る。








180m+から辿っていく尾根を視認する

 地形図では神社の鳥居が乗っかっているような記載になっている尾根の末端の180m+地点。
周辺は植林が広がり、下草が無くて歩きやすい状態で尾根歩きが始まる。
北東の方角には今後歩いていく220m+ピークが透けて見えている。

 最初こそ歩きやすかったが、針葉樹の地図記号がある辺りから
ごく最近間伐作業が入ったようで尾根の雰囲気はやや荒れたものとなる。
但し台風で荒れた状態よりはマシで、乗り越えていくことは難しくない。








 7:03 220m+ピーク

 間伐で荒れていなければ大した登りではないが、倒された木々を乗り越えたおかげで少し一汗かいて220m+ピークに到着。
木立の向こうには今後辿っていく尾根の稜線が見える。
ここまでですぐに暑くなったので、上着を1枚減らしたりして小休止をとる。



 220m+ピークを過ぎると幸いにも間伐、及び植林帯は抜けて自然林となった。
これまでと違って俄然雰囲気は良くなる。
次の支尾根に乗り上げるまでは50mほどのややきつい登りとなるが、
切り倒された木々を乗り越えるよりは遥かに楽に感じる。








270m+

 ややきつい登りが落ち着くと、再び広がりのある尾根になってきた。
この辺りで同じ規模の尾根が南側からも合流してくる。
辿っていく尾根のルートは北寄りに約60度の角度で曲がる。

 この尾根は下りで歩くと難易度が跳ね上がるに違いない。
ただし登りでも基本的に読図とルートファインディングによって動くので、
マーキングを見かけるのはあくまで偶然といった具合になる。









 幅広のゆったりした尾根を緩やかに登っていくと、またもや南東から支尾根が合流してくる。
これまで北東に弓なりに進んできたが、ここで再び北に向きを変える。
行く手には新たに乗り上げることになる尾根の320m+辺りが朝日に照らされてよく見える。









 辿ってきた尾根はこの辺りで新たな尾根に合流し、ルートは90度北東へ向きを変える。
行く手には350m+のミニピーク、そしてここにきて初めて主峰明神山が見えてきた。
どこから見ても格好の良い山だけど、西側からのほうが更に鋭鋒になる。
距離はあまり遠くに感じないけど、明神山に辿り着くまでかなりタフな行程が待ち受けていることとなる。








350m+ピーク

 320m+から緩やかに登ってきて350m+ピークを通過。
地形図では小さく閉じた等高線だが、予想よりもゆったりしたピークだった。
ここで尾根は北へ約30度向きを変える。行く手には360m+ピークと思われる盛り上り。
地形図を見るとこのピークでは東寄りに約90度大きく向きを変えるようだ。




 7:54 360m+ピーク

 引き続き350m+ピークから緩やかに登ってきて、360m+ピークに到着。
そこそこ広く閉じた等高線だが、今度は予想よりもかなり狭い。
ここで東寄りに90度向きを変えるはず・・・だったが、続きのルートが無かった。
というのもピークの周辺は殆どガケになっていて、ここを下るのは無理。
一瞬、ボタンの掛け違いという読図によくある事態を考えたが、道なりに進むと大きく下り始めたのでこれは違うと分かる。
少し南へ戻ってみると、見落としたルートの続きを発見。
結論から言うとルートはピークを通過するという自分の読みが外れ、
ピークの手前から次の尾根を目指してトラバースを始めていたのだった。
ガケを避ける意図があったことはピークの上まで行ってみたことですぐに感づいた。

 これまで順調に尾根を辿ってきたが本当に油断大敵だと改めて実感した。








一旦は見落とした360m+ピーク手前のルート(写真では白トビしているが実際には続きの尾根が見えている)

 よくよく見れば明瞭な踏み跡がある。折り重なる倒木のせいでルートが目立たなくなっていた。
どんな時にも観察を怠らないのが探偵の基本だったことを忘れていた。

 幸いにも倒木はほんの限られたところだけ。しかもすぐにコルに降り立ち再び快適な尾根歩きとなった。
どんなことでも読図のように明快に選択出来ればと、選挙前の今の時期は特にそう思う。
とりあえず現政権では時間を無駄にするばかりなので、今度も交代させるしかないだろうけど。








快適な尾根歩きが続く

 次の目標は447m三角点ピーク。
ほぼ南北に細長い等高線が描かれていて、三角点はその北端にある。
しばらくは標高差50mほどのさほどきつくない登りが続くが、
ピーク直前には50mの詰まった等高線が描かれていて気合が必要なことが分かる。
またその手前でも支尾根が合流してくる辺りはミニピークになっているので、
小刻みにアップダウンがあるので楽な区間というわけでもない。








標高差50mほどの激登りを経て

 等高線通りの激登りだったが、三角点ピークを楽しみに登っていく。
すると上方に巨大な岩が現れ進行方向を塞がれる。
しばらく探してみてルートは南側に付けられているのが分かった。








巨岩の隙間をせり上がる

 一見すると分かりにくかったが、岩の間から上へと登ることが出来た。
激登りの最後に予想外な難所との遭遇だったが、巨岩の上は今日最初の展望地となった。








 8:31 440m+

 岩の上に立ってみて思わず一人で歓声を上げてしまった!
快晴の下、しかも澄んだ空気でどこまでもクリアに見えるようだった。
菅生川流域の集落、神元神社から辿ってきた尾根の末端をよく観察出来る。

 南に見える山々は登ったことはないが、見えていないけど同じ方角には書写山や伊勢山があるはず。

 なおこの岩場は440m+の等高線の南端にあるので、広い意味では既にピーク上に居ると考えても差し支えないと思う。
しかしこのピークは地形図を見るだけでは分からない、変化に富んだ岩場の集合体となっていて、
三角点に辿り着くまでにちょっと時間が必要となった。








西の小明神と明神山を眺める

 前述の展望の岩場から少し北へ進むと、すぐにこの岩場が控えている。
周囲はガケになっているので、緊張感はあるが北面の広い範囲を眺められる。
少し北には三角点があると思われる木々の盛り上りがあるが、
それよりも初めて見る西の小明神と主峰の明神山の組み合わせに思わず見入ってしまう。
西の小明神は主峰に負けず劣らずかなりの鋭鋒で、これはタフなアップダウンを想像するのは容易い。

 なお岩場を辿って北へ進むのは不可能なので、基本的に東側をトラバースすることになる。
こちらを辿っている限りは危険はないが、ただ通り過ぎるだけではもったいない。
少し北へ進んだところでまた次の面白い岩の造形が見られる。








幾筋もの割れ目が刻まれた大岩

 左から行けるかどうか見極めているところ。
ここも難しそうで結局右側の巻き道を利用する。








 8:47 447mピーク

 岩場を越えてようやく細長いピークの北端にやってきた。
倒木が被ってはいるが、四等三角点と北から西にかけて90度近くの景観が広がっている。

 ここまで来れば西の小明神までの尾根歩きの6割くらいが終了。
残りの4割は殆どが緩やかな尾根歩きが待っている。
とりあえずここでザックを下して小休止をとっていこう。








447mピークから裏明神北西部の景観を楽しむ

 北西に見える形の整った508mピークや初めて見る明神湖も印象的だが、
それよりもユニークなのが尾切れ。やまあそさんがご紹介されていたのがきっかけで以前から興味があった。
この後の行程で行けるところまで行ってみるつもりだ。








尾切れ

 地形図では398m標高点が描かれている辺りで、標高差20mくらいのミニピークの連なりとしか読めない。
遠目に見てもかなり高度感を感じそうな絶壁というか、岩尾根がすごい力で断ち切られたかのよう。




 9:07 447mピーク出発

 東側に木立があって日当たりが悪く、じっとしていたら冷え切ってしまいそうなのでそろそろ出発する。
ピークからは90度東へ方向転換している。先ほどの経験もあるので、目立つ尾根があるが方向確認を行ってから下り始める。








西の小明神、主峰明神山へ向けて

 次の目標は西の小明神。ピーク直前までは地形図の中でも目立つ色の薄い等高線が広い尾根が続く。
急登のイメージが強い明神山周辺の中でも比較的楽に歩ける区間のようだ。
この辺りは紅葉を愛でながら、散策気分で歩ける極楽尾根となる。








447mピークと西の小明神の間は緩やかなアップダウンが続く極楽尾根

 等高線の閉じた2つの440m+ピークを通過する。一つめの440m+ピークを過ぎたところで西側へ目立つ支尾根が分岐する。
仮に下りで歩く際は要注意となりそうだ。途中からは近くなってきた明神山を見ながら歩ける。
整った三角錐でかなり人目を引く山容だ。








明神山らしい巨大なスラブをジグザグに登る

 段々と傾斜が増してくることで、西の小明神が近づいてきていることを感じることが出来る。
岩盤に上に落ち葉がたくさん乗っているのでスリップしやすいところだ。
ジグザグに歩きやすい窪みが付いているのでこれを辿っていく。








 9:40 西の小明神取付き

 地形図通りに目の前に急斜面が現れた。正面は難所が予想される岩場が塞いでいる。
神元神社から辿ってきた尾根はここで終点となる。
 西の小明神の周囲、標高差50mくらいは等高線が混んだ急斜面。
かなりタフなところだが、東側、西側それぞれに巻き道のようなルートが見受けられる。
これからとりあえず尾切れ方面に向かいたいので、西の小明神の南西斜面をトラバースしていくことにした。
頂上直下以外は程々の斜度なので危険は少なそう。これを平行移動していけば尾切れへ繋がる尾根に乗っかることが出来るはず。

 西側の山腹に入ってすぐ、西の小明神を目指すためのルートが前述の岩場にあった。
長いロープが急斜面の岩場に垂れ下っている。またの機会に使ってみよう。

 西の小明神の西側の尾根へ向けて、あまり下らないように歩きやすいところを選んでトラバースしていく。
整備されたルートでは全くないので、読図通りであることを信じて突き進むしかない。








 9:50 西の小明神西山麓へトラバース

 まもなく進行方向に稜線が見えてきて、あっけなく新たな尾根に乗っかった。
マーキングも見受けられるが、尾根の方向確認を行って念には念を入れる。
背後は西の小明神が控えているので、後ほどの登り返しでは一汗かきそうな雰囲気だ。
逆に進行方向の尾切れ方面へはしばらくは緩やかに下っていけそうだ。
トラバースで乱れた息を整えてから出発する。








 9:57 大蛇ー

 新たな尾根を下り始めてまもなく左手に見晴らしのよさそうな岩場があったので立ち寄ってみる。
ここは南側に広がる巨大なスラブで、先ほどまで辿っていた神元神社から続く尾根を横から眺められる。
三角点のある447mピークは手前の支尾根で隠れ気味だが、頂上付近だけ見えている。

 今日の行程の中でもこの大蛇ーはかなり居心地が良いところで、再訪した時にはここで昼食をとるのも悪くないなと思った。
なお大蛇ーの“ー”の読み方が分からなかったので調べてみたら、複数の読み方があるが“くら”が最も一般的のよう。








10:01 T字尾根へ

 大蛇ーからまもなく尾根の分岐するところへ来る。
これまでほぼ真っ直ぐだった尾根がやや南寄りに向きを変えるのがポイントとなるが、
現地にはネット上にも情報のある「切り株のオブジェ」がよく目立つ指導標になっている。

 尾切れは後回しとして、とりあえず北西に派生する支尾根を下っていく。
ここにはもう一つの見どころとしてT字尾根というユニークな尾根があるはずだ。








10:09 T字尾根付近

 まもなく見晴らしの良い岩尾根に出てくる。しかし下調べで記憶していた岩尾根より何だか広い気がした。
この時にこの違和感についてもう少し疑念に思っていれば良かったのだが。
これ以外に岩尾根はないかと道なりに尾根を突き進んでいくが、雑木林を尾根が下り始めたところで引き返した。
後ほど西の小明神付近からこの現場を見下ろして初めてT字尾根に到達していなかったことに気付くが、
この時はやや違和感を感じながらもこの岩尾根だけで満足してしまった。

 マイナーな未踏のルートの事前調査は念入りに行うが、隅々まで調べ尽くしてはいけないという思いもあるのがこの時は裏目に出た。
またいずれこの裏明神を再訪する理由が出来たと前向きにとらえることにしたい。

 なお現在地の支尾根からは西の小明神から尾切れ方面へ続く主尾根を横から眺められる。
この時は間違いなくT字尾根に着いたと思っていたので、そそくさと次の目的地の尾切れに向けて支尾根を登り返していった。




10:27 尾根の分岐へ戻ってくる

 「切り株のオブジェ」で90度右折。今度は主尾根を下っていく。
尾根は途中から斜度が増すようなので、尾切れに接近していることを感じられるはずだ。

 まもなくちょっと急になってきたと思ったら岩が乗っかるミニピークを越える。
そしてその先で絶壁に行き当たることとなる。








10:35 尾切れを見下ろすガケに行き当たる

 何だか予想よりもだいぶ早く着いた気がした。
尾切れの絶壁上に居るのかどうか確信を持てないが、尾根をこれ以上先には進めそうになかった。
現場はかなりの高度感があって、高いところが好きな自分でもちょっとビビりながら撮影している。

 やまあそさんのレポでは西から東の尾切れを歩かれていることから、
まだ自分が気づいていないだけでルートを見つけられなかったのだろうと考えている。
この尾切れ付近を完全に把握するには明神湖から登りで歩く必要があるだろう。
今回はまだ後に控えている行程を考えてここで引き返すことにする。

 前述の岩場のミニピークまで引き返して小休止をとる。




10:50 小休止を終えて出発

 尾切れに向けて下ってきたから、今度は西の小明神まで登り返さなければいけない。
標高差は100〜150mくらいだろうけど、激登りが予想される。

 この頃から神元神社からつながる尾根方向から人の話し声が聞こえてきた。
数人パーティーの方が歩かれているようで、声の進行方向から察すると西の小明神辺りで合流するはず。




 登り返していると急に鈴の音が聞こえなくなって、一瞬血の気が引いた。
先月の後山に続いてまた鈴を落としてしまったのかと思ったら、何かの拍子で鳴らないモードに切り替わっていただけでほっとした。
単独行は本当に色んなことに神経を研ぎ澄ます必要がある。








11:03 西の小明神へ取付く

 先ほどトラバースしてきた辺りを通り過ぎてまもなくロープ場となる。
急斜面が続く西山腹だが、ロープを頼って簡単に登ることが出来た。
後で知ったのだが、このロープはつい最近設置されたものでまさしく新品だった。








初めてT字尾根の全貌を見る

 ロープを登り切ったところで北西の景観が広がった。
ここで初めてT字尾根の全貌を目の当たりにする。思わずあ〜っ!と声を上げてしまった。
なるほどそういうことだったのか。自分が立ったのはTの字に入っていく手前だったのだった。

 もう少し捜索はマメに行いましょう!ということで再訪してあの細い尾根に立ちたい。
結局、T字尾根、尾切れとも不完全燃焼の状態になってしまったが、
これも手付かずの自然に入り込む裏明神ならではと前向きにとらえることにする。



 T字尾根の答え合わせをした後、すぐ西の小明神と呼ばれる556mピークに辿り着いた。









11:09 西の小明神山頂(556m)到着

 地形図通りに狭いピークに到着。するとほぼ同時に、先ほどから声だけ聞こえていたパーティーの方々が南側から登ってこられた。

 お話しさせていただくと、なんと事前に下調べもさせていただいてた【かみかわ登山日和】さんのご一行だった。
またその中にはこちらの山行記録を纏められている方も居られるベテラン揃いの皆さんで、
なんと前日にも裏明神を歩かれているとのこと!
そしてやまあそさんの【山であそぼっ】を通じて自分のこともご存じで、
ネットのすごさと世間の狭さを感じるとともに、更に西の小明神登頂もほぼ同時の絶妙なタイミングで
それまでの単独行の静寂とは打って変わって一気に賑やかな山頂滞在時間となった!

 しばらくお話した後でパーティーの皆さんは先に明神山へ向けて出発された。
皆さんとは後ほど明神山山頂にて再合流し、下山ルートの一部のみご一緒させていただくこととなる。

 再び一人っきりになった西の小明神山頂にて一通り撮影を済ませてから、自分も後を追うように出発する。








11:26 西の小明神山頂出発

 既に明神山がよく見えている東側へは、山頂からいきなり木々を掴みながらの激下りが始まる。
ロープが垂れ下っている西側に比べると緩いが、もし整備されている山であれば間違いなくジグザグのトラックが設けられているはず。








比較的快適な吊り尾根へ

 標高差30〜40mの激下りを経て、緩い尾根へと降り立つ。
展望こそ得られないもののしばらくは標高差が少ない尾根歩きが楽しめるようだ。
ここでは苔が生えた岩が点在し、まるで日本庭園のような雰囲気だ。

 少し距離を置いた前方からは先行されている皆さんの話し声が聞こえていたが、
この辺り以降は少し距離が空いたようで聞こえなくなる。
後ほども一緒に下ろうと誘われたのですが、ロケ?しながら歩く自分がご一緒してはご迷惑になると思うので、
丁重にご遠慮させていただきました。おかげで最後まで気の抜けない下山となるのですがそれはまた後で・・。








11:39 お座敷岩

 丸みを帯びた「くじら岩」っぽい岩盤の上に、ちょこんとテーブルのような岩が突き出ている。
事前に調べていた、お茶を点てられそうな「お座敷岩」だとすぐに気付いた。
でも(進行方向に向けてカメラを置いている)西側から見た自分の第一印象は全く違うものをイメージした。
男であればまず全員が同じことを考えるはずだと思うのだがどうだろう。
ちなみに逆向きの東側から見れば、何の特徴もない岩場になってしまう。

 ここでお茶を点てたら色んな意味で最高だろうけど、それはまたの機会にするとして
雑念を振り払ってとりあえず明神山を目指そう。








趣のある両明神間の吊り尾根

 前述のお座敷岩以外にも、ビッグマックのような岩、そして今の時期であれば頭上を覆う紅葉を楽しんだりと、
退屈しない明神山へのアプローチとなった。この区間は誘い込まれるような要注意なところもなく、
また先行の方々が居られることもあって比較的気楽に歩くことが出来た。
でも地形的に変化に乏しいので、読図には難しいとも感じる尾根だった。

 明神山が近づくにつれて、登りが目立つようになってくる。
おまけに薄暗い植林帯も通り掛かるので、比較的行程を進めることに集中することが出来た。








12:14 明神山山頂付近のガレ場へ

 1つ2つミニピークを経て、いよいよ明神山本体へ取付く。
明神山山頂直下の西側斜面には一面に苔の生えたガレ場が広がっていて独特な雰囲気。
上方では空が広がっていることから山頂が近いことを感じさせてくれる。

 ガレ場の中を歩きやすいところを選んで登っていくが、意外に安定していない岩が多いので気を遣った。
時折見かけるマーキングも参考にしながら、確実に足場を選んで登っていく。
真っ直ぐに上を目指すのではなく、結果として南のほうに逸れていったような気がする。








12:21 夢やかたからのメインルートと合流

 右上に何やら長いロープ場があるなと思ったら、それはメインルートの手すり替わりのロープだった。
たまたまここに辿り着いたと思っていたら、この合流地点の立ち木にはマーキングがあった。
マーキングを追っていなくても、自然にルートを辿っていたようだ。
ここでロープをまたいでメインルートに合流する。
なお、後ほど下山ルートに使った「河鹿コース」の尾根へはここより少しだけ下ったところより、
規制ロープを越えて再び外へ抜け出すことになる。




12:25 明神山山頂(667m)到着

 ロープを跨いでからはすぐに大勢のハイカーで大賑わいの明神山山頂に到着。
山頂手前に陣取っておられた先行のみなさんと首尾よく合流する。

 山頂からの景観を楽しみつつ、そして再開した皆さんとお話ししつつ昼食を摂る。
いつになく楽しく賑やかな昼食となって時間があっという間に過ぎていくよう。




 下山ルートについては時間に余裕がないようであれば、
最短ルートの馬谷・莇野コース(未踏)を使うつもりだったが、当初の予定通りに河鹿コースで下ることにした。
馬谷・莇野コースは谷沿いへ下る最も安全と思われるトラックだが面白味には欠けると感じていた。
一方、河鹿コースは展望抜群の尾根歩きが続くが、尾根を捨てて下山に掛かるポイントを見極めることが大事と認識している。
そのポイントとなるのは389mピークとなるようだが、そこに至るまで正確に読図を行うことが前提だ。
時間には余裕があるので、ゆっくりと撮影をしつつ慎重に読図を行って尾根歩きを楽しみたい。




12:50 明神山山頂(667m)出発

 河鹿コースが通る尾根へ向かうために、前述の皆さんと一時的に同行して出発する。
方向確認をしていたのである程度の検討は付いているが、どこを起点にメインルートを外れるのか勉強させていただきました。

 そういえば明神山山頂で撮影していなかったが、好天とはいえもう何度も来ているところだから良しとしよう。








12:54 河鹿コースの尾根へ

 パーティーの皆さんと共にロープを越えて河鹿コースの尾根へと乗る。
同行させていただいたのはここまででしたが楽しいひと時でした。改めてありがとうございました!
またいずれどこかでお会い出来るでしょう。
 後は普段のスタイルに戻ってロケしながら下っていくこととなります。

 ※ メインルートのロープを越える場面はあえて掲載しないこととします。
方向確認をすればすぐに進行方向を割り出せますが、下りの尾根歩きは登り以上にリスクを伴いますので、
ご活用は自己責任でされますことを改めてご承知おきください。








下り始めから見事な展望を得られる河鹿コース

 賑やかなメインルートを外れてしばらくすると尾根は次第にその姿を明確にしていく。
下るにつれて傾斜も段々と緩くなってきて歩きやすくなる。
まもなく西側が広く見渡せるようになると、登りで歩いてきた西の小明神周辺の尾根が手に取るよう。
今の時期ならではのカラフルな山容に目を奪われる。








展望のミニピーク、そして痩せ尾根が点在する河鹿コース

 河鹿コースが通る尾根は午前に歩いた神元神社コースの尾根と違って地形的特徴が少ないと感じる。
読図において最も参考になるのは等高線の閉じたミニピーク。しかし目標にしている389m標高点ピークまでに1箇所しかなく、
しかもそれは標高差10m程度のごく僅かな起伏となっている。等高線にまでは現れない隠れたピークとさほど変わらないので見極めが難しい。
ということで尾根の向きや傾斜の変化を敏感に感じ取りながらの下山となる。
自分の読図が正しければ、例えば左の岩の上に立って明神山を見上げているところは530m+辺りの針葉樹の地図記号がある辺り。
南にごく小さな支尾根が派生している。

 結論から言うと、途中までは正確に読んでいたつもりだったが、この尾根を逆に登って答え合わせをしないと自信は無い。
というのもこの後で主尾根を外して下りに掛かったのは、一つ早めの支尾根だったような気がしているから。








520m+ピーク辺りか  続きの尾根を見極めて下る。(マーキングも見受けられるが読図が基本) 

 後に問題となる行程に先に触れたが、主尾根を下っている間は特に問題なく順調に下山を継続出来た。
紅葉が進んで葉を落とした木も多く、全開とまではいかないところでも周囲の展望はそこかしこで楽しむことが出来る。
下りの尾根というのは登り以上に高度感を得られやすいとも感じる。








この痩せた岩尾根もまた爽快  








13:31 河鹿コース後半の尾根を眺めつつ小休止をとる

 下っていると展望が広がって、比較的ゆったりとした岩場に差し掛かる。
ここでザックを下して一旦小休止をとっていくことにした。
この辺りまで先行されている皆さんの声が時々聞こえていた。

 前方に二つほどミニピークが重なって見えるが、右奥が389m標高点ピークだろうか。




13:40 展望で得た距離感も念頭に置きつつ下山再開








またもや差し掛かるミニピーク。等高線が閉じていないと思われるので現在地特定は難しい。  アトラクションとなるちょっとした岩場越えも点在する 








次々と通りかかる展望の岩場  西の小明神を背にして稜線歩き 

 この河鹿コースに関してはまだ納得できる読図が出来ていないので、神元神社コースのような記述が出来ない。
でもそれはそれとして、明神山のどのコースにも勝る素晴らしい尾根だと思う。








389mピークの一つ手前と読んでいたミニピーク 前方に見えているのが389mピークだろうか 

 レポ作成中にも写真や撮影時刻などから引き続いて検証しているが、
どうやら389mピークに到達する前に下ってしまった可能性が高い気がする。








14:10 鯨岩

 尾根を塞ぐように丸い岩があった。一見、本当にジャンダルムのミニチュアのよう。
乗り越えるのは全く難しくなく、そして期待通りの大展望だった。








14:14 鯨岩にて

 朝に通過した447mピークを少し南寄りの真横から見ているようだ。
こちらのほうが少し低いので、389mピーク付近に居るのは間違いない模様。
西の小明神がますます鋭鋒に見えているのが目を引く。
特に等高線の混んだ西側の斜面の輪郭が見えていることから、西の小明神の少しだけ西寄りだがほぼ南に居ることも分かる。








14:24 尾根を外した

 鯨岩を楽しんだ少し後に自分なりに支尾根を見極め、そしてマーキングも参考にして主稜線を外れる。
鯨岩の時刻から10分後になっているが、それは小休止をとったこともあってそのまま歩行距離を反映しているわけではない。
今から考えれば、時間はあったのだからもう少し先まで進んでみてから、
下り始める尾根を見極めるべきだったかもしれない。







歩きやすい支尾根

 偶然の一致だったかもしれないが、自分の読図通りに下りやすい緩やかな支尾根で、
それを裏打ちするようにマーキングも点在していた。
時々振り返っては先ほどまで歩いていた稜線が離れていくのを見上げた。









 しばらく尾根伝いに下っていると、尾根の北を巻くように驚くほど明瞭なトラックが突然に現れる。
進行方向が一致していることもあって、しばらくこれを辿ってみる。
まもなくコル状のところに差し掛かり、右手の谷に下り始める踏み跡を確認。
一度はこれを辿ろうかと思ったが、前方の尾根上の明るい岩場に吸い寄せられる。








最後の岩場より明神山を見送る

 手前の尾根に被り気味だが、明神山を最後に眺めることが出来た岩場となった。
ここより尾根の傾斜は増すが、明瞭な踏み跡は下方へと続いていく。
進行方向は一致しているので続けて尾根上を下っていくこととする。








荒れ始めるトラック

 事前情報で下りの途中でシダ藪を突破することは知っていた。
ダニを心配する必要のない今の時期だから果敢に突っ込んでいく。
それでも時には足元が見えないくらい手ごわいところもあって、ちょっとしたスリルを味わった。
まもなく下方から水音が聞こえてきて、馬谷・莇野コースとの合流が近いことを悟る。








15:04 馬谷・莇野コースと合流

 シダ藪は何とか突破して遂に谷底が見えてきた。
写真ではかなりの急斜面に見えているが、細い作業道?とマーキングに導かれて、さほど苦労せずに馬谷の沢床へ降り立つ。
降り立った対岸(左岸)には細い簡易舗装が敷かれた馬谷・莇野コースが通っている。
また自分が降り立った右岸には、コース取付きを示すかのように目立つマーキングがある。
指導標の類は一切ないが、自分が辿ってきたルートも需要があるということだろうか。

 とりあえず無事に馬谷・莇野コースと合流出来たので、
後は駐車地へと林道を辿るだけとなった。








15:07 登りやすそうな取付きを確認

 谷沿いのトラックを歩き始めてまもなくちょっとした広場に出る。
そこだけ地面がドロドロの状態でびっくり。と同時に西側の斜面に登り易そうな取付きを発見。
そういえば途中で南側の谷に降りる踏み跡を見送ったが、ここから登ればあそこへ出るのだろうか。
もしくはまだ自分が気づいていない取付きがあるのか、いずれ河鹿コースを登りに使って確かめてみたい。
いずれにしても今回下った尾根を含めて、選択し得るルートが複数存在するのは間違いないようだ。







 
 
15:18 馬谷・莇野コース登山口、及び駐車地に到着。

 疑念の残ったエリアから約10分で懐かしいかじかの里・田中の建物が見えてくる。
この直前には地形図通りに堰堤があるが、上流側では全く見ていないのでこれも谷に降り立った地点を特定する要素として覚えておこう。
今日はもう集中力が途切れてしまったが、ここから登り始める時は谷の形状に注意して完全に読み切って登ってみたい。




  〜 終わりに 〜

 初めての裏明神は本当に色んな意味で濃い行程となりました。
たいへん良い読図の実地訓練になりましたし、それはそれとして素晴らしい好天の下で素晴らしい紅葉と自然を満喫出来ました。
また同好の方々との偶然の出会いもあって、思い出深い山行になりました。

 そして今回積み残した課題を解決するためにも、また裏明神でリトライしたいと思います。








 
行程断面図です




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