06年10月25日(水) 「薬師峯U」
Mt. Yakushinomine Part 2 25th. Oct / 06

国土地理院地形図:「前之庄」25000分の1を参照して下さい。

 七種三山の一つである薬師峯(616.2m)へは以前に1度登っている。(05年10月12日) その時は福崎町側にある野外活動センターを起点にしたが、
今回は夢前町(今は姫路市になったようだがまあどうでもいいことだ)側から登ってみることに。前回登った時に薬師峯山頂付近から見えた地獄鎌尾根を
踏破するのが今日の最初のテーマ。その後は薬師峯を経由して、板坂峠まで尾根伝いに南下。出発地の三枝草に戻ってループトラックを完成させる行程である。

 なお今日の行程は相互リンクを結んでいただいている「播州野歩記」さんの、【地獄鎌尾根から登る薬師峯】の行程をそのまま辿ったものである。
また同じく相互リンク先の「山であそぼっ」さんの、【七種薬師】【薬師の峯(七種薬師)】も併せて参考にさせていただいています。

 上記の2サイトさんで勉強したことだが、薬師峯は福崎町側から登れば「七種薬師」、夢前町側から登れば「薬師峯」と呼び習わすのが妥当ということで、
今日の行程では薬師峯と表記することにしよう。


5:00 外はまだまだ暗い。明石の自宅から車で出発。考えたら今年に入ってから車で山歩きに出掛けるのは初めてだ。ガソリン代が安くなったわけではないが、
いつも六甲山系で少々食傷気味になってきたし、やっと気温が下がってきた今、地獄鎌尾根を歩いてみたくなったので仕方がない。

6:00 三枝草の集落を抜けて北の村田牧場へ通じる道路沿いにある適当な駐車スペースを見つけて駐車。駐車禁止の標識が無いし、路肩が広くなっているところが
付近には数箇所あるので、駐車場所に困ることはないと思う。ループトラックを考えているので、村田牧場へ行き過ぎないように停める。

6:05 身支度を整えて出発。車道を北へ向けて歩き出す。

 すぐに村田牧場の建物群が見えてきた。その向こうにはもう岩尾根が見えている。
それにしても、この位置でも既にすごい臭い・・。そしてこの後牧場の中を通って、
一つ目の分岐で左手の未舗装路(林道っぽい)へ進む。

 他のサイトさんでも触れているが、おおげさではなく本当にすごい臭いである。
地獄鎌尾根へ登る際に最初の難関といってもよいくらい。でもまあ、NZでも体験
しなかったファームスティの雰囲気を今味わっていると考えることにしよう。
乳牛がいっぱいいたが、朝早いせいか殆どの牛はまだ寝ていた。それでも路肩に
近い牛は自分が通りかかると立ち上がって熱い視線を投げかけてくる。
牛にモテてもあまりうれしくない。

 牛舎の脇を通過するシーンを撮りたかったが、臭気に耐えられず先を急ぐことに。


6:20 明王池南岸を通って東の尾根へ

 緩やかに登っていくと程なく明王池に到着。南岸が土手になっている
人工的な池だった。「薬師・地獄鎌」と書かれた小さい道標が東の尾根を
指し示している。
 なお牧場の中よりは幾分マシになったが、まだ臭いが漂っている。


明王池

 NZ南島のフォックス氷河にあるレイク・マセソンを思い出す。無風で完璧に鏡に
なっていた。尾根への急坂に挑む前に、この景観を見て一息入れた。
なお、池の向こうにある山並みは、これから登る地獄鎌尾根の西隣に位置する尾根。
あちらもいずれ歩いてみよう。


 明王池の南東隅からいきなり急坂が始まる。
入り口には道標。そして一定の距離を置いて赤テープが設置されている。
藪漕ぎはないがとにかく尾根に向かってまっしぐらという感じでかなりの急坂。
六甲山系ならまず間違いなく丸太階段が設置されることだろう。
 登りでも時折滑りやすい箇所があり難儀する。下りなら立ち木を手摺代わりに
降りることになるだろう。地獄鎌尾根経由で薬師峯へ登る際には最初の難関と
いってもよい。


6:44 尾根に乗った

 幸いにも20分程度で急坂は尾根に辿り着いた。ロープと道標で北へ進路を
取るように誘導されている。尾根に乗った途端、気持ちよい朝日が差してきた。
急坂を登ってきたので、ここで小休止して息を整える。


一路、地獄鎌尾根へ

 尾根に乗ると、それまでとは一転して緩やかな登りになる。
足元はシダが生い茂っているが、踏み跡は明確で分かりやすい。
それよりも無数にトラック上に張り巡らされたクモの巣の処理のほうがやっかいだった。
薬師峯周辺を除いて、これから本当に無数のクモの巣を払い除けることになる。


6:56 377mピーク到着

 地形図にある377mピークに到着。ピークにはテーブル状の岩があって、
周囲の見通しは利かないが休憩に良さそうだ。しかしそこに行くまでには
何重にもクモの巣を払い除けなければならなかったのでピークの岩は踏んでいない。

 この後一旦鞍部へ下って、あとは岩場までは緩やかながら登り一辺倒。


7:19 地獄鎌尾根へ辿り着く

 雑木林の中を緩やかに登ってきたが、途端に周囲の視界が開けた。
地形図上で岩場の表記になっているところに到達したと思う。
眼前には薬師峯が大きく見えている。

 なお、「地獄鎌尾根」はおそらく近年に名付けられた通称で、地元では以前から
赤岩と呼ばれているとのこと。赤岩と呼ぶのが正式名称であろう。
ただここでは便宜上「地獄鎌尾根」で通すことにする。


地獄鎌尾根へ突入

 いよいよ今日のハイライト、地獄鎌尾根の超痩せ尾根へ突入する。
確かに人一人通れるくらいで高度感は抜群!西側はさほどではないが、
東側は深い谷まで高度差数百メートルといった感じ。
高いところ好きな自分にはたまらないところだった。
周囲の景観も抜群で、しばらくこの痩せ尾根上で行程が止まった。


 このような痩せ尾根が始終続けば最高なのだが、幅が広がる潅木帯と
岩尾根が交互に現れるような感じだった。基本的にリッジ上を辿るが、
難所には巻き道があることも。







地獄鎌尾根から南の景観

 夢前の街にはうっすらと雲が覆い幻想的であった。

 天気予報では「晴れ」となっていたがちょっと雲が多い。
まあ雨になることはないだろうと思った。






究極のナイフリッジだ!

 部分的にはこのようなところもある。岩はザラザラしているので滑ることはないが、
とにかく足元には要注意。


退屈に思える潅木帯

 ナイフリッジ、潅木帯、ナイフリッジ、潅木帯とこの繰り返し。
551のホウライのノリで潅木帯は先を急ぐ。

7:51 巨大な洗濯板を連想させる斜面をよじ登る

 痩せ尾根と潅木帯を辿っていると、突如この岩場に出てくる。
岩場は急傾斜だがザラザラの岩質の上にでこぼこなので非常に登りやすい。
どんどん高度を稼げるので快感ですらある。


足元はこのような感じ

 ここも含めて、地獄鎌尾根全体が柱状節理の岩石博物館のような趣である。
高校の時に地学を履修したが、ここに来ればもっと面白かったかも。


 岩場を這いつくばるように登って、振り返るとこのような景観を得られる。
遥か下の谷間にある白い建物群は村田牧場、明王池、そして地獄鎌尾根を
含めてこれまで辿ってきた尾根全体を一望出来る。
 七種山系といえば、福崎町側の「七種山から七種槍」が特に有名だが、
登りの楽しさからいえば、こちらのほうが遥かに上だと思う。


虹が掛かる明神山

 地獄鎌尾根からは西の明神山の景観も抜群。この時は何と虹が掛かっていた!
絶好のタイミングで通り掛れたことは幸運だった。
 しかし、虹が掛かるということは北から湿った空気が流れ込んできていることを
思い起こさせた。この先もしかしたら雨も降るかもしれないと。


地獄鎌尾根の足下には深い谷が

 非常に高度感があってスリルと興奮を味わいつつ歩くことが出来る。
自分は可能な限り岩尾根を辿ったが、この時は不意に崖の縁に出てきて
ちょっと驚いた。しかし次の瞬間には撮影していたが。


薬師峯が近づいてくる

 なおも潅木帯と岩場が交互に現れる。地獄鎌尾根は意外に長く感じる。
それでも薬師峯山頂がもう木々を認識できるくらいに見えてきていた。
そろそろ地形図にある岩場の区間が終わりそうだ。


8:28 地獄鎌尾根上部より

 村田牧場、明王池を足下に、遥か彼方には家島と小豆島であろうか、
瀬戸内の島々がはっきりと見えていた。夢前の町を覆っていた雲は
いつの間にか消えていた。
やはり景観の良いところは秋冬に訪れるのがベターだと思う。

8:29 雑木林の中へ伸びるトラックの脇に、板に手書きで書かれた案内板を見つけた

地獄鎌尾根終わり
無事通過おめでとう


          30分>

 「播州野歩記」さんによると、30分の左には薬師峯までと書かれていたようだ。


8:34 十字峰分岐

 薬師峯から伸びてきた尾根と、登ってきた地獄鎌尾根とが交差する十字峰分岐に到着。
ここから直進すれば七種山、三枝草へ降りる西尾根へ。右折すれば目的の薬師峯だ。
兵庫登山会による十字峰の案内板があるが、まだ北へは登りが続いており、正確には
十字峰のピークはもう少し北にあると思われる。

 初めて薬師峯へ登った時には七種山へ縦走したが、この分岐のすぐ下付近で
トラックを誤ってしまい、ここは通っていない。

 分岐で一息入れて薬師峯へ向けて歩き出す。
一旦下るが薬師峯山頂までは殆どが登りである。



8:49 地獄鎌尾根を見下ろす

 この角度から見ると本当に歩けるのかという印象を受けるほど険しそうな岩尾根だ。
歩いた後に見ると更に達成感は抜群。
薬師峯に辿り着くまでに2箇所ほど展望の開けるところがあるが、あとは静かな雑木林の
中のトラックである。この区間は逆向きに一度歩いたことがあるので、地形図を見ること
なく気楽に辿っていけた。


9:00 薬師峯山頂(616.2m)

 程よい登りがしばらく続くと薬師峯山頂に辿り着く。スズメバチが大発生していた
昨年とは違いとても静かである。二等三角点が設置されているが、表面が磨耗して
いて何も読めない。

 東には05年11月18日に歩いた七種槍がよく見えるが、その向こう北方には
黒い雲がびっしりあって、空模様が一段と怪しくなってきた。これはまずい。
どんなに晴天でもレインウェアは常時ザックに入れてあるが、これから延々と板坂峠
まで殆ど未踏のトラックが残っている。基本的に尾根道で特に難しいところはないと
いうことだが、雨天の下での長時間の行軍は避けたいところだ。ここから最短で山を
降りようと思えば、昨年登った野外活動センター北からのトラックを辿ればいい。
とりあえずまだ雨は降っていないし、せっかく山頂まで登ってきたのだから、ザックを
下ろして休憩しよう。


薬師峯山頂の薬師如来

 山頂から一段低くなっているところに薬師如来が祀られている。
10年以上も初詣に行っていないという信仰心ゼロの自分ではあるが、
このような人里離れたところでひっそりと佇んでいる薬師如来を見ると
心洗われるものがある。


薬師峯山頂から南面の景観

 雲は多いもののやはり空気は澄んでおり、かなり遠くまで見通すことが出来る。
昨年と山頂の状況は変わっておらず、薬師峯山頂から眺められるのは、
七種槍のある東とそうびろ山のある南の2方向である。


 これから南へ縦走する尾根を地形図と照らし合わせて見る。
これから一旦448mの鞍部まで急降下した後、通称「中岳」490mまで登り返し、
南西に派生する尾根を辿る。全体的にはもちろん下りだが、小刻みにアップダウン
を繰り返す。地形を頭に叩き込んでおく。

 そうこうしていたら、遂に雨が降り出した。しかし小雨で雲の様子を見て
通り雨だろうと判断。幸いにすぐに止んだが、この後しばらくは降ったり止んだりを
繰り返すことになる。でも大きな崩れはないだろうと思い、計画通りに歩くことにする。

9:20 薬師峯山頂出発


9:26 薬師峯山頂直下の分岐

 山頂からしばらく下ると最初の分岐に辿り着く。ここから東へ行くのは野外活動
センターへ至る1年前に登ったトラックだ。「中岳」、板坂峠へは南へ続く急坂を
降りていく。分岐には兵庫登山会の案内板は無いが、テープがいっぱい巻いてあって
分かりやすい。しかし景観上はあまりすっきりしない気がする。


9:40 448m標高点付近を南進中

 「中岳」に至るには一旦448mまで下降し、登り返さなければならない。
しかしこの区間はテープ類が豊富で、迷いようのない尾根上の一本道。
なかなかよく歩かれている印象を受ける。


9:50 「中岳」(490m)

 448m標高点からしばらく登っていくと、これまたテープ類で賑やかな「中岳」に到着。
ここで一息入れて、南へ続く尾根道を下っていく。これまで同様テープが豊富に見受け
られるが、初めてなら地形図を見ながら進んだほうがいいと思う。時折、テープがまばらに
なったり、尾根が広がったり派生したりするからだ。

 「中岳」からしばらく南に下ったところには大規模なヌタ場がある。
雲の多い天気も手伝って薄暗くてあまり良い雰囲気ではない。
幸いにもイノシシは居らず、撮影もせずに足早に通り過ぎる。


10:12 436mピーク

 一旦鞍部へ下ってまだ登り返すと、地形図にある436mのピークに到着。
まだ板坂峠はかなり先だ。幸いにも時折降っていた小雨は止み、空も段々明るく
なってきた。ここで一息入れて南進を再開する。


 436mピークを過ぎると徐々に尾根の両側の傾斜が増し、痩せ尾根っぽくなってくる。
地形図を見ると尾根の両側の等高線の幅が急激に狭くなっている。岩場の表記もある。
これから先はなかなか楽しめそうな感じがしてきた。



10:28 岩尾根へ突入

 徐々に木立が途切れる区間が増えてきて、岩の上を歩くことが多くなってくる。
正面には東西に等高線の広い397mピークが目立ってきた。
この辺りから頻繁に周囲に視界が開けてくるようになる。


東山麓、板坂、田口地区を見下ろす

 福崎の街や、その向こうには播磨平野が広がる。


明神山遠望

 西は断然、明神山の雄姿が一際目を惹く。
今朝歩いた地獄鎌尾根や西尾根も手に取るようである。
七種槍から南の岩尾根もなかなかの景観だったが、こちらのほうが断然上だと思う。
景色の広がりも違うし、何よりも送電線に視界を阻まれないのが良い。
自然の中には人工物が少ないほうが良いとつくづく思う。


10:40 引き続いて岩尾根を進む

 先ほどから展望の岩尾根に突入し、途端に歩行スピードが落ちた。
景観を楽しみつつ歩いていると、岩尾根は更に狭まってきた。地獄鎌尾根ほど
切れ落ちてはいないが、両側は本当に絶壁で高度感はむしろこちらのほうが上。
非常にスリリングで楽しめる区間だった。


薬師峯、地獄鎌尾根遠望

 岩尾根の途中で今日歩いたところ全てを眺められる、絶好の展望の地があった。
地獄鎌尾根と薬師峯の全景が一望の元である。小雨がぱらついていた天気が
ウソのように明るくなってきて、景観がより鮮やかになった。

 七種山から七種槍を歩いた時にも感銘を受けたが、こちらはそれ以上だ。
西の明神山から薬師峯まで遮るものなく見渡すことが出来る。
今日も昼過ぎには山を降りる心積もりなので、行動食と呼べるもの以上の
食品は持ち合わせていないが、ここでお弁当を広げたらさぞかし美味しいだろう。

 しばらく岩尾根上で景観を楽しんで逗留した後、397mピークへ向けて歩き出す。


11:00 397.3mピーク

 楽しい展望の岩尾根から短いが急な登りを経て、三角点のある397.3mピーク到着。
周囲は雑木に囲まれて展望は無い。ここへの登りを最後にして、あとは平坦か下り一方
になる。一息入れて西へ向けて歩き出す。

11:10 なだらかな尾根の途中から急降下を開始する

 397.3mから緩やかに幅広の尾根を下っていくと、たくさんのテープや赤布が
設置されているところに着く。「播州野歩記」さんを熟読していたおかげで、ここが
トラックを誤りやすい箇所であることに瞬時に気付く。普通に道なりに尾根を辿って
いけば直進するところだが、地形図を見ればこの尾根は西の村田牧場へと続く谷へ
下ってしまう。
 ここは豊富なテープと赤布に導かれて南の山腹へ急降下する踏み跡を辿る。
この踏み跡は板坂峠へ至る尾根へとつながっている。地形図によると福崎町と夢前町
の境界線が走っている。


 始めは山腹を下っていくが、徐々に尾根が狭まりだして再び岩場歩きとなる。
397.3mピークから南はもう雑木林の中を下るだけと思っていたが、最後の最後まで
退屈しない。低い背丈の松の木が散在する中を歩いていく。


 板坂の集落と2つの池が眼下に見えてくる。地形図通りに正確に板坂峠へ
向かっていることをはっきりと確認出来てやはりほっとする。
長かった尾根歩きも終盤が近づいてきたようで、ほっとする気持ちと淋しい
気持ちが半分で複雑な気持ちになる。


最後の最後まで岩尾根歩き!

 地形図に表記されている短い岩場に出てきた。幅はあるが南斜面は急激に落ち込み、
高度感はなかなかのもの。西には2つの整った形のピークが見えるが、左の低いほうは
359.0mピークで三角点が設置されている。この岩場が終わった辺りで板坂峠へ
急降下するようだが、尾根伝いに辿れば359.0mピークまで到達出来そうな気がする。


最後の岩尾根から薬師峯、地獄鎌尾根を遠望

 あそこへ登って、あそこから歩いてきたのかと、随分遠くなった景観を見て達成感が
湧いてくる。まもなく尾根歩きが終わるということで、これが今日最後の展望ポイントとなる。
始終雑木林を歩く尾根道が多いが、この中岳〜板坂峠間の尾根は、朝方に歩いた
地獄鎌尾根に続いて、マイベスト3に入ること間違いないと思う。


11:37 板坂峠へ急降下開始

 岩尾根が終わって踏み跡は再び雑木林へ入る。程なくして板坂峠へ至る曲がり角に
到達する。397.3mピーク西の間違いやすい箇所とシチュエーションが似ている。
道なりに尾根伝いに歩いてはいけない。
 立ち木には三角形のプラスチック板が設置されていて非常に分かりやすい。
個人的にこのタイプのマーカーには思い入れがある。というのも、NZでよく使われている
タイプだからだ。といっても現地では赤ではなくオレンジ色のものが多いが。
テープよりも視認性が高いし、耐久性も良いと思う。

 なお、何故かがんでいるかというと、頭上にあるクモの巣に気付いたから。
逐一触れてはいないが、尾根歩きの間無数のクモの巣を払い続けてきたのである。


11:48 板坂峠

 尾根からは雑木林、最後だけ植林の中を急降下して10分ほどで板坂峠へ降り立つ。
峠の祠脇には先ほどの三角形プラスチックで登山口であることが示されていた。

 397.3ピーク以南になると、クモの巣に加えて足元はシダ藪である区間が長い。
目線の高さにあるクモの巣の大半は払いのけたが、足元にあったのはそのまま付いて
きてしまったのもあって、ここで粗方払い落とす。

 初めてで、しかも素晴らしい尾根道ということで歩行ペースは遅く、薬師峯山頂から
3時間半近くもかかってしまった。祠の前には丸太のベンチが設置されていて、
腰を下ろしてお茶を飲んでしばし休憩する。これでダンゴでもあれば良いのだが・・。


11:55 板坂峠から西へ向けて歩き出す

 かつては多くの人が行き交っていた古道の雰囲気を存分に残している。
しかし今ではここを通るのは自分のようなハイカーのみだろうということで、
無数の倒木はそのままで荒れ果ててしまっている。

 この峠道自体歴史的価値があると思うが、放置されていることはもったいない。
NZでも開拓時代に馬車が通っていた古道をそのままトラックにしているところを
何箇所か歩いたが、ここも少し手入れするだけで良いトラックになると思う。

 途中、数箇所のつづら折りを経て緩やかに三枝草に下っていく。
倒木やごろごろと岩が転がっているので、足元には要注意。


12:06 養鶏場前に出てくる

 板坂峠から10分少々で舗装路に出てきた。一帯は養鶏場で少々臭っているが、
朝方歩いた牧場の臭気よりは遥かにマシであった。峠道沿いにはまた祠があって、
最後の最後まで趣がある。ここからは車道を緩やかに下って三枝草に至る。


三枝草

 ループトラックの起点になる三枝草の集落に到着。
山間の静かな佇まいで、こういうところで暮らしたいとしみじみ思う。

田んぼの間の車道を通り、牧場へと続く道へ。
集落のすぐ北で車を停めたのでもうすぐ着くはず。


12:17 車に戻ってきた。汗臭い服と靴下を替え、軽いスニーカーに履き替えてリフレッシュして家路につく。福崎から加古川西へ至る県道はいつもスキーに
行く時に通る道で、ここを運転するのは約半年振りだが、年々道路がきれいになっていっている。高いことで有名な播但道を無料にしてくれたら、地道の交通量が減るだろうに。

 総歩行時間、6時間12分。総歩行距離8km。時間の割りに距離が短いが、未踏のトラックで難所も多く、しかも見どころ満載だったからこんなものだろうか。
行程中誰にも出会うことなく(無数のクモと巣は会ったが)、天気もどうにかもって、素晴らしいトラックを歩くことが出来て大満足の山歩きとなった。
個人的に、七種山〜七種槍よりも、地獄鎌尾根〜薬師峯〜板坂峠のほうに軍配を上げたい。また歩いてみたいと思わせるトラックだ。


※ このトラックを歩かれる際は経験者同行でなければ、地形図とコンパス必携です。
基本的に全線にテープ、道標はありますが、トラックが不明瞭になる箇所もあり、また尾根が派生するなど間違いやすいところもあります。
地形図で現在位置、進行方向を常に把握しながら歩きましょう。トップページでもお伝えしておりますが、当サイトではあらゆるトラブルに対する責は追いかねます。


今日の行程の断面図です。せっかくあるのに殆ど使っていなかった「カシミール」を久々に使ってみました。



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