05年5月21日(土) 晴れのち曇り 三谷コース〜千ヶ峰・またに山〜七不思議コース

 半年前の記憶を掘り起こしつつレポートしたい。(もっと早くUPできればいいのだが) 5月の新緑の中、播州でも随一の人気を誇る千ヶ峰を歩いてきた。
神戸新聞総合出版社刊「新版ふるさと兵庫50+8山」を参考にして三谷登山口の駐車場に車を停め、三谷コースで千ヶ峰へ直登。これだけだと物足りないので、
北のまたに山まで足を伸ばし、下山は千ヶ峰南側の七不思議コースを降りて岩座神の集落から三谷登山口まで車道を歩いて戻るというプランを立てた。

 9:20
 三谷登山口の駐車場に車を停める。10数台が駐車できそうな広さで、既に3台ほどが停まっている。もう少し早く着きたかったのだが、国道175号は非常に
交通量と信号が多くて想像以上に時間がかかってしまった。加西経由で福崎方面へ抜け、七種山や明神山へ向かうほうが断然早い。次からはもう少し早く出発しよう。
(なお自分は、自動車関連では既に不当に高い税金を取られていると考え、それ以上に“高速料金”なるものを支払う理屈は存在しないという方針で、
神鍋の万場にスキーに行く時でさえずっ〜と一般道を使用するという方針を貫いている。だからETCなるメカは全く自分には無用の長物なのである。
そんなものに設備投資するなら無料にしたほうが早いと思うが。)

 9:30 トランピングブーツに履き替え準備を整えて出発。

 登山口には立派な看板が立っている。さすが名峰千ヶ峰への
トラックだと実感する。略図が付いているが抽象的なものであり、
ただ概要を掴むのには役立ちそうである。




 雌滝

 しばらく登ると右手に雌滝が現れる。ただご覧のような滑らかな
流れで豪快さはない。滝の上に立ってみるとまるで滑り台のよう。
子供の頃、どこかの沢で滑り降りて遊んでいた記憶があるが、
どこなのか思い出せない。


 雄滝

 雌滝の上には雄滝が続く。トラックはこの滝の下で右岸に
渡るが、ガレ場を登り滝に近づいてみる。よく見ると2段構成に
なっている。夏ならもうここで止まりたくなるような涼しげなところだ。


 再びトラックに戻り雄滝を左手に見下ろしながら杉林の坂を登っていく。


 まもなく小さな沢を越える。清らかな流れと周囲の新緑で
とてもリラックスできる。紅葉の頃に訪れても素晴らしい
ところだろう。


 小さな沢を越えると、トラックは一気にきつくなり高度を上げていく。
倒木までも階段の一段に利用しており、整備された方の創意工夫が
伺える。NZでも時折倒木を越えたが、一部切込みを入れてくれるだけ
でもかなり楽になる。これくらいの細い木ならほおっておいてもいいが。


 急坂を登っていると岩座神(いざりがみ)コースと合流。
木陰で水分補給して一息入れる。


 合流地点からは展望の無い雑木林の中を登るが、
しばらくすると徐々に周囲の景観が開けてくる。
いつのまにかこれだけ登っていたのか、と。
周囲の新緑が眩しい。


 途中までは階段道もあったが、周囲に笹が広がってくると、
トラックは滑りやすい土質になる。しばしば他の人のスリップ痕が
目に付く。かなり急だし木陰もないので、かなりきついところ。


 
 10;35

 千ヶ峰山頂

 三谷登山口から1時間5分。急坂の連続で登り応えがあったが、あっけ
なく山頂に到着。山頂は広々としていて周囲は360度の展望が広がり
気分の良いことこのうえない。既に10人前後の方が先着していた。


 天気は申し分ない五月晴れであったが、遠方は霞んでいてあまり
遠望は利かなかった。しかし周囲には遮る高山も無く、本当に兵庫の
展望台と呼ぶに相応しい景観である。千ヶ峰がどうして人気があるのか
充分納得できた。



 千ヶ峰山頂から南方の景観。西脇、小野、加西辺りまでしか見えない。

 千ヶ峰から南の笠形山までは縦走路が整備されている。ご覧のようにアップダウンの激しい尾根道でかなりハードなようだ。しかも植林が多いように見えるので、
歩いていて楽しいトラックかどうかは未知数だ。山は本来全て自然林だったのに、スギをぼこぼこ植えて、終いには花粉症を発症させる。何とも皮肉な話である。
花粉症を根本から治すには薬がどうこういうよりもまずは放置された植林の伐採が先決だろう。ちなみに自分は今のところは花粉症を発症していない。

 千ヶ峰から北方の景観。本当に山また山・・。一番左奥にうっすらと見えているのは氷ノ山だろうか。近くにいた男性が同行者に山の名を次から次へと指し示していた。
なるほど。遠くの山が何の山か分かれば更に山頂に立つ楽しみも増えるというもの。次回からは地形図だけではなく、兵庫県の地図も持ってこよう。


 山頂は充分な広さがあり混雑することはないが、本当に入れ
替わり立ち代りハイカーが行き来している。
人気の高さは改めて実感するが、ゆっくりしたいなら平日に来る
べきかもしれない。


 千ヶ峰山頂の二等三角点

 なかなかきれいな三角点である。もしかして近年に新調したの
だろうか。と思わせるほどきれいだった。

 山頂からは3方向へトラックが伸びている。まずは計画通り市原峠まで下り、またに山まで足を伸ばすことにする。
市原峠へは展望抜群の尾根道で最も人気が高いようだ。どんどん千ヶ峰を目指すハイカーとすれ違って挨拶が忙しい。


 10:50

 千ヶ峰山頂出発。既に正面左奥には目的地のまたに山が
見える。

 
 少し下って千ヶ峰山頂を振り返ってみる。周囲の景観を
楽しみつつ心地よく歩ける良いトラックである。トラックの
両脇はきれいに刈り取られて整備されている。


 市原峠

 気持ちよく下っていくと行く手から工事の騒音が響いてきて
気分が台無しになる。そして工事現場と化した市原峠跡?に
到着。この日が初めての千ヶ峰だから本来の市原峠の姿は
文献やネットでしか知らないが、あまりの変貌ぶりに落胆する。
この国は自然を破壊しまくって次世代に何を残すのだろうか。

 気分を取り直して、今はまたに山である。U字ブロックを積んだ
だけの仮設階段を登って北へと進んでいく。


 林道工事で分断されてしまったが、またに山へ続くトラックに
入った。道標も完備されている。踏み跡もしっかりとあって、
比較的多くの人が歩いているのだろう。


 またに山へは緩いアップダウンが続く。雑木林に入ったかと
思えば展望が開けるところも歩く。なかなか変化に富んだ意外と
楽しいトラックだ。市原峠以南では多くのハイカーが歩いていたが、
この日はまたに山への往復で出会った人はゼロ。
本当に静かな山歩きとなった。


 12:00

 またに山山頂

 山頂に到達すると、思わず賛嘆の声を上げた。
南側は木立に遮られるが、北への展望が開けている。
土が丸出しの千ヶ峰山頂と比べて、こちらは青々と低い草が茂って
さながら自然の庭園のようだ。林道工事の騒音もここまでは届かず、
本当にここは別天地だった。足を伸ばしてよかったと思った瞬間だった。

 

 またに山山頂の三等三角点

 地形図上では928m三角点と表記されている。


 流れる雲をぼんやりと眺めて休息する。
 天気予報では夜からは雨だという。西のほうから少しずつ雲が
出てきたようだ。


 加美アルプス

 またに山からはそれほど遠くないところに面白そうな
尾根が見える。通称加美アルプスといわれる尾根らしい。
トラックの整備状況が気になるが、いずれ歩いてみたいものだ。

 このまま半日くらいここでぼーっとしていたかったが、
時間の都合もあるので、重い腰を上げて再び来たトラックを引き返す
ことにする。


 千ヶ峰遠望

 またに山はもう一つのプレゼントをくれた。
 ここから眺める千ヶ峰は本当に崇高な山並みを見せてくれる。
 千ヶ峰は見下ろしても良し、見上げても良しの名山といえるだろう。


 ここからは千ヶ峰山頂まで再び同じトラックを往復する。市原峠からの登りでもちょっと足が重くなってきた。
中途半端に休んでしまうと一気に疲れが出てしまうのだろうか。ペース配分が大事だと改めて思った。

 13:20〜40 千ヶ峰山頂

 再び戻ってきた千ヶ峰山頂では午前よりも多くのハイカーで賑わっている。しかし西から薄い雲が広がってきており、青空は東半分だけになってしまっている。
雨はすぐには降らないだろうが天気予報は正しいようだ。しばらく休憩して息を整える。

 千ヶ峰山頂を出発して笠形山へ続く縦走路を南下する。
この後の計画は七不思議コースで下山して、岩座神地区へ
降り立ち、車道を通って三谷登山口の駐車場へ戻るというもの
だが、七不思議コースに入るまではそこそこのアップダウンを
乗り越えなければならない。疲れた足にはちょっとした難関だ。



 14:00

 七不思議コースへの分岐に到着する。左にはかなりの急坂が
延々と見えなくなるまで伸びている。ここを登りに使ったらかなり
たいへんそうだ。

 この分岐の少し南には「雨乞岩」という岩座神七不思議の一つに
数えられる名所がある。ちょっと寄ってみようと思い行ってみたが、
一帯は巨岩が散在していた。どれが雨乞岩か分からなかったが、
これ以上降りるのを嫌ったこの時は結局見つけられなかった。
(半年後、すぐ下で難なく見つけるのだが・・)

 
 分岐からはひたすら急坂を下っていく。七不思議コースというコース名に惹かれて歩いてみたが、何の変哲も無い普通の山道が続く。

 しばらくすると唐滝への分岐に到達する。後で分かったことだが七不思議コースは2本あるようで、この日歩いた北側が「七不思議コース」、
唐滝を経由する南側が「新七不思議コース」と呼び習わしているようだ。この分岐は両七不思議コースを接続するバイパスだったようだ。
唐滝には興味が湧いたが、この日は計画通りに七不思議コースを完歩することにした。

 調子よく下っているうちに、七不思議の一つ「塔の石」を見逃してしまったようだ。いくつもの巨石の横を通ったが・・。
次回の課題に残しておこう。

 相変わらず植林の中の単調な下りが続く。傍らには笠形山千ヶ峰グリーンクリエイト協会の立てた看板があった。

愛してネ笠形山 守ってネ千ヶ峰
千ヶ峰登山道
見晴台、唐滝分岐まで約10分 七不思議コース


 言われなくても自然は愛し守りたいし、分かりきっていることは言うだけ野暮というもの。
 それと、途中の分岐までの所要時間だけ書かれても、それだけではあまり意味が無いと思う。
 NZのトラックでは必ず途中までの所要時間と、終点までの所要時間を併記していた。
 せっかく多くの人が訪れるのだから、もっと洗練された道標を設置してもらいたいものである。



 もうすぐ岩座神の集落に出るかなといった辺りから沢沿いを下る。
ちょっとした渡渉箇所もあり、意外にも今日歩いた七不思議コースの
中でここが一番楽しめたところだった。


 岩座神地区

 獣避けの柵の扉を開き、ようやく岩座神に降り立った。
山に囲まれた静かな山村といったところだ。
 周囲の散策もしたかったが、今日はもう疲れたので
車のところまで直帰することに。
 田んぼで作業していたおっちゃんに確認したら、あの
山肌を登っていく車道を通って三谷の登山口へ戻るという。
けっこう登るなぁ・・と正直嫌になった。
 しかし仕方が無いので、しばらく息を整えてから舗装路を
三谷へ向けて歩き出す。


 
 15:35

 三谷登山口に到着。

 岩座神から舗装路を延々と歩きようやく車を置いている三谷に
辿りつく。朝より車の数は減っていた。
この日の所要時間は約6時間。終わってみたら意外と短かった。
次回はもう少し文部科学省の言うように「ゆとり」を持ってみよう。

 
 三谷コースは全般に急坂でハードだが、所要時間もそれほど長くなく山頂に到達出来るし、達成感も充分味わえる。
途中にはいくつかの滝も見れるし、麓の集落からの運転距離もそれほどでもない。最もお薦めのコースといっていいだろう。
次回は少々複雑な気持ちだが、無残に破壊された市原峠からアプローチしてみよう。

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