「亀ヶ壺」 11年 8月 7日(日)


国土地理院地形図
 : 25000分の1 「寺前」




 〜 はじめに 〜

 以前からやまあそさんの「山であそぼっ」などで見て興味を持っていたところです。
酷暑の今の時期こそ、もってこいのプランです。
お手頃な距離の沢歩き、伝説の甌穴亀ヶ壺のある滝。
そして帰路には天然のプール!
避暑も兼ねて訪れるには素晴らしい谷でした。

 今回の行程は特に難しいところもないショートコースです。
いつもよりはやや記述を簡略しています。

 今回、やまあそさんより伝授いただいたアブ避けを初めて使用しました。
効果覿面で快適な時間を過ごすことができました。ありがとうございました。








 6:41 川原状の駐車地を出発

 しばらくは林道を更に奥へと進む。駐車地からはまだ車が入れそうだったが、
自分の場合は出来るだけリスクは避けたかった。
未舗装路を運転したことはこれまでも多くあるが、この林道はかなり運転し辛いほうに入る。









 行程概要 (山中のルートは不正確です)



 雪彦山へ向かう県道67号を河原口バス停から未舗装林道へ入ります。
別荘地を過ぎた辺りの谷が広がるところで駐車しました。林道終点よりは
大分手前です。林道はやや荒れており、運転には細心の注意が必要です。

 亀ヶ壺へは古いトラックも散見され、部分的にはそれも辿りました。
でも今回はあくまで避暑が目的なので、基本的には川床を歩いています。
滑りやすい川床が続くので、渓流シューズが快適で楽しめると思います。


 6:58 無名だが見事な滝

 林道終点付近で見られる見事な滝。無名なのが意外なほど大きな滝。
地形的制約で落差が掴みにくい写真になっているが、芦屋にある高座の滝を2つ重ねたくらいか。








 7:01 廃屋の横より入渓
さあ、履き替えるぞ!

 不気味な廃屋脇から入渓。廃屋を過ぎるとすぐに沢床へ出られる。
また廃屋の手前の橋を渡ると、芦谷の滝へと行ける様子。いずれかの課題としたい。





 7:15 渓流シューズに履き替えて出発

 ここから待望の沢歩きだ。考えてみれば、六甲以外で渓流シューズを履くのは初めてだ。








程好く冷たくて気持ちいい








 7:21 滑の廊下状

 じゃぶじゃぶ歩くのがとても楽しい♪








 7:29 広い滝壺

 深い滝壺の左岸側を通って回避。ちなみにここの滝自体はごく小さい。








 7:40 清流の広い滝壺(ウォータースライダー付き)

 一目見て、やまあそさんやのあるきさんが泳がれていた滝壺だと気付く。
広いし水もきれいだし、ウォータースライダー状の滝もある。自分も帰路はここで楽しむことにしよう!

 清流を見ながら小休止。








 7:48 小休止を終えて出発

 ウォータースライダー状の滝のすぐ右を直登。

 滝のすぐ上は再び滑状。でも段々とガレてくる。








一旦は水流が無くなって、涸れたかのよう。








 8:19 第二の廃屋を通過

 部分的に散見されるトラックを辿る。沢床を歩くのに疲れてきたら、こちらを歩くのが快適。
この廃屋はかなり不気味。でも怖いもの見たさに見てしまう。ガラスは既に割れ、中は丸見え。
これからの時期はハチが巣を作るのに最適なところだと思う。








 8:26 沢の流入を確認

 基本的に一本道の沢で、地図読みをする機会が無かった。
少しだが水流のある支沢を認めて、念のために地形図に目を落とす。








 8:30 亀岩?

 正式に名前が付いているわけではないようだが、雰囲気的に亀っぽい。
でも龍野の亀山(城山)にある亀岩のほうがカメっぽいかな。








ちょっとゴルジュ状のところもある。








深い滝壺を左岸にて高巻く

 ここで泳いでもいいけど、ウォータースライダーが無い。








 8:43 ちょっとだけ難所

 右岸寄りが登りやすいようだ。








 8:50 亀ヶ壺到着

 入渓から約1時間30分で亀ヶ壺のある滝へ到着。50分という標準タイムより倍近くかかっている。








滝の最下部より見上げる

 落差20mというが、見た目にはもっとありそうな気がする。
雰囲気的に似ている気がする六甲の西山谷にある西山大滝(約20m)よりも1.5倍くらいのように見える。

 亀ヶ壺と呼ばれる甌穴はこの2段滝の中間にあり、下からだと見ることができない。
周囲を観察すると滝身左岸寄りからよじ登ることが出来るようだ。

 やや滑りやすい箇所もあるが、3点支持を心掛けて登っていく。
必要なところには必ず取っ掛かりがあり、登りはもちろん下りでも大丈夫そう、と感じる。








亀ヶ壺

 辿り着いたところが今日の終点となる亀ヶ壺。見事な甌穴で、幅3m、深さは2mという。
非常に水が澄んでいて、底までよく見えている。色んな伝説のある甌穴だけに、さすがにここで泳ぐのは躊躇われる。
また、亀ヶ壺の周囲の岩は渓流シューズを履いていてもとても滑りやすい。甌穴見物には自己責任で細心の注意が必要だ。

 日当たりが良くてかなり暑いけど、亀ヶ壺のすぐ横で軽食を採る。
ただ滝を流れる水の音だけがする、とても心地良い時間だった。オカリナを忘れたことだけ悔やまれる。




 岩の形状をしっかり観察しながら、逆再生するかのように下っていく。
けっこう高度感のある岩場の下りはかなり気を遣った。正直、滝の下に降りついた時にはほっとした。








直射日光で火照った体を冷やしつつ、滝を観察する

 水量が少ないのも影響していると思われるが、きれいに全体像を捉えるのが難しい滝と感じた。
この角度で見えているのはほんの一部だ。




 9:48 亀ヶ壺出発

 1時間程度、滝を堪能してから折り返す。
標高差の少ない沢なので、下りでも危険度は低いと思う。








10:18 境石を発見

 往路では気付かなかった境石をあっさり発見。この付近の土地の権利について彫られているという。
昔は現在よりも余程、山と人とのつながりが深かったことを伺わせる。








この滑状の沢床まで下りてくると、お楽しみの滝壺に到着だ。




10:30 ウォータースライダー付き滝壺に到着

 さあ泳ぐぞ!

 海のすぐ側に住んでいながら、泳ぐのは10年以上ぶりだ。
また海以外で泳ぐとなるともっと久しぶりだ。元々水泳は得意で嫌いではないのだが、砂浜が暑くてイヤなのだ。

 沢の水は最初は冷たく感じるので、少しずつ体にかけて慣らしていく。








最高〜!!!

 浅いところや岩が散在するので、平泳ぎが快適。
また足の裏を怪我しないようにと、渓流シューズは履いたまま泳いだ。


ウォータースライダーも面白い!!!

 滑るシーンの自分撮りは不可能なので上から撮影。
下部で微妙に角度が変わってお尻が当たるので、
クセを掴むまでは落下スピードを適度に加減しよう。
 ウォータースライダーは滑り落ちたところに障害物が無くて安全。但し、足が底に付かないことに留意したい。
やはり滝壺は深くなるということを身をもって確認した。
ウォータースライダーには文字通りハマって、何度も何度も滑った。スピードを上げると豪快に落ちることが出来る。

 一通り楽しんだ後、縁の浅いところで座ってクールダウン。暑がりの自分にはまさに「極楽、極楽」だった。
水に浸かって木漏れ日を見上げていると、秘湯(秘水だが)に居るかのよう。
でも、アブ避けの成分が流されたのか、アブが寄ってくるようになる。アブ避けに使ったエタノールって確か水溶性だったような・・。
アブ除けを振り掛けた帽子を被っておくと良かったかもしれない。








11:04 ウォータースライダー付き滝壺を出発

 汗を流して完全にリフレッシュして出発。
ちょっと来るまでは遠いけど、自分にとってこんなに良い避暑地はまたと無いと感じた。
ぜひ再訪してまた泳ぎ、そして滑りたく思う。








11:19 入渓口に戻ってくる




11:27 運動靴に履き替えて出発

  やっぱり堰堤の無い沢歩きは楽だし最高だった。本来の沢の姿を満喫出来る。
 一方、今日は沢以外での歩行距離が短めなので運動靴で来ている。
 なお亀ヶ壺までは水量が少ない時ならば、普通の靴でも歩けるようだ。
でもやはりお薦めの楽しみ方は、暑い時期に渓流シューズを履いての遡行だろうと思う。

 ちなみにヤマビルファイターを渓流シューズに吹き付けて用心してはいたが、
事前の情報通りにこの谷ではヒルは目撃せず吸血被害も無しで済んだ。




 沢の中では最初から最後まで誰一人として会わなかったが、
一歩沢から出るとそこかしこから子供も含めたファミリー、グループの歓声が聞こえてくる。
各所で水遊びが出来るようだ。水遊びだけが目的ならば、入渓する必要はないかもしれない。








11:43 川原状の駐車地に到着

 一度は完全にクールダウン出来ていたが、しっかり汗をかいて駐車地に戻ってくる。

 谷から一歩出ると、本当に暑かった。でも泳いでいる間は本当に気持ち良くて楽しい。
夏嫌いの自分でも、この時期の楽しみとなることが見つかって良かったと思う。









神姫バス 河原口バス停 (林道入口はこの写真奥のカーブにある。最初だけ舗装されている)

 林道入口付近にある河原口バス停に亀ヶ壺の解説があります。
字が違いますが、現地表記で記します。いろんな字があてられているようですが、昔のおおらかさが垣間見られます。

 
名勝 亀が坪滝

 河原口(こうらぐち)より、東の谷八キロ(徒歩約二時間)の奥地にあり、宝暦十二年(一七六二)に
まとめられた「播磨鑑」にも明記され、古くから知られていた。(滝高さ約二十メートル、坪深さ約二メートル、巾約三メートル)

 水が清らかなために、この滝に汚物を投げ入れて汚せば、たちまち水神の怒りを招き、暴風雨の
災難があるといわれた。この伝承があるために、古くから山之内の各地区から番人が出て、
滝に汚物が入らないよう見守った時期もあった。










行程断面図です



今回は完全にピストンで、テーマを避暑に絞って歩きました。仮に林道入口から歩くと、更に往復で約6km、所要時間は2時間は必要かと思われます。

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