「鹿ヶ壺から雪彦山」 11年 8月13日(土) |
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国土地理院地形図 : 25000分の1 「寺前」 〜 はじめに 〜 夏嫌いの自分にとっては長い季節ですが、工夫次第で涼しく山歩きが出来る!? かもしれないようなプランを考えました。水辺多く、谷沿いルート主体、午前中に 日当たりの悪そうな西斜面を登ります。このお盆の時期に山行していること自体、 自分にとって未経験のことでどうなることやら。 駐車地に選んだグリーンステーション鹿ヶ壺は、コテージ、オートキャンプ、 テントサイト等を揃えた大規模なキャンプ場。広い駐車場が完備されているのだが、 9時〜17時の間しか開いておらず、早朝出発の自分にとっては困ったことになった。 でもしばらく周辺をうろうろして、どうにか周囲への支障のない駐車スペースを発見した。 |
行程概要 (山中のルートは不正確です)![]() 雪彦山は「日本三彦山」の一つとして著名な山のため、険しい場面は多くとも整備は行き届いています。 安富町側から登ると距離は長くなりますが、ルートは緩やかになります。 鹿ヶ壺から少し上のところで倒木帯がありますが、通行は可能です。 また、一つ北の谷にある三ヶ谷滝〜千畳平間のトラックは倒木のため通行不可との案内あり。 雪彦山はヒル目撃、及び被害報告多数あります。ヒル対策は万全に!! |
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6:36 グリーンステーション鹿ヶ壺出発 (270m+) 早朝の清々しい空気の中を出発。周辺では朝の散策をされておられる方がちらほらと見受けられる。 この橋を渡って最初の目的地である鹿ヶ壺へと向かう。 なおこのベンチで寝転がっているのはカカシである。本当に上手く作られている。 他にも周辺にはユニークなポーズのカカシがたくさん居て、キャンプ場へ訪れる人を出迎えてくれている。 |
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6:43 尻壺 | 五郎在壺 | |
キャンプ場から道なりに奥に入ったところからいきなり鹿ヶ壺の滝群が始まる。 最下部にあるのが尻壺。ごく普通の小滝だ。 というか、“壺”と付いているのだから、滝自体の名前ではないのかも。 尻壺のすぐ上には五郎在壺。滑滝の下にはきれいな水を湛えた滝壺がある。けっこう深そうだ。 |
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雑桶壺 写真では少し分かりにくいけど、右の奥まったところに水が溜まっている。 |
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駒ノ立洞 | 底無 | |
鹿ヶ壺は次から次へと甌穴が連なる稀有の景勝地で、柵付きの階段道で完璧に整備されている。 この遊歩道を歩きながら甌穴群を眺めていて、一度ここに来たことがあるという感覚になった。 小学校低学年の頃、山崎町(現宍粟市)の親戚に連れてきてもらったことがあるところだった。 来たこと自体の記憶はあったが、実際の鹿ヶ壺の光景を見ていて忘れていたことを思い出したような状態だ。 当時、底無についても説明してもらい、どこか遠くへ続いているとか伝説のお話も聞いたような。 実際は底があるが深さは6mもあって底は見えないとのこと。 その後、麓にあったプールで一往復だったか泳ぎきって、ご褒美に釣りの本を買ってもらった。(今は釣りはしていない) このプールが直接沢からひいた水だったようで、めちゃくちゃ冷たかったことはよく覚えている。 下山時にこの冷水プールがないかと見回しながら歩いたが見当たらなかった。こちらのほうは既に撤去されているのかもしれない。 |
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鹿ヶ壺 | 鹿ヶ壺にて | |
一連の甌穴群の最上部にあるのがこの鹿ヶ壺で、景勝地全体の名称にもなっている。 この甌穴は鹿が寝そべった姿に似ているという。左奥が頭で角らしい岩の窪みまである。それと手前がお尻。 昔の人の想像力とセンスはなかなかのものだと思う。 この鹿ヶ壺をもって、怒涛の甌穴群巡りは終わる。 撮影時は早朝だったので誰も居らず静寂そのものだったが、 下山時には水遊びに興じる子供達の歓声が止むことがない、自然のウォーター・テーマパークになっていた。 自分が昔見た光景そのままで、最下部の尻壺以外は全てウォータースライダーとして滑り落ちることが出来る。 ちなみに子供の時の自分は、親に心配されたのか滝滑りまではさせてもらえなかった。 今日は水泳の用意をしてこなかったが、いつの日にか絶対ここで滑り落ちてみよう。 いずれにしても、夏に鹿ヶ壺をじっくりと堪能するには子供達が来る前の早朝に限られる。 |
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7:16 鹿ヶ壺を抜け、千畳平へ向けて出発 何だか鹿ヶ壺の甌穴巡りで充分満足した感じになったが、今日は雪彦山まで登るのだった。 鹿ヶ壺の上流側も美しい渓谷が続くが、トラックはここで沢を離れるようだ。 鹿ヶ壺周辺の散策道との分岐をいくつかやり過ごし、ひたすら上方へと向かう。 トラックは林道よりは少し狭いが人が並んで歩けるようなゆったりした状態で続く。 途中には倒木帯があって、一瞬ここで山行中断かとびっくりしたが、 よく見れば突破は易々可能となっている。 7:33 幅広の未舗装林道と合流 |
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千畳平へと続く林道 林道といってもかなり荒れており、車の通行は事実上不可能と思われる。 行く手には日が昇ってきたが、狙い通りに日当たりの悪い状態が多くて助かる。 |
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7:53 千畳平到着 (580m+) 鹿ヶ壺から千畳平の間は殆ど林道ばかりで面白みを欠いた区間だったが、千畳平で一気に気分が変わる。 山中に忽然と現れた牧場のような草原は心地良い空間で、しっかり手入れがされているように見える。 芝生状の地面はおそらく鹿のものと思われるフンがよく落ちていた。 でもNZでそうだったように実際の牧場は動物のフンだらけであり、寝転がるのも躊躇してしまう。 TVでハイジがごろごろと転がっていたのはフィクションだったのだなと当時感じたことを思い出した。 千畳平には一定の間隔を置いて、長方形の舗装がされている。 「何じゃ、こりは?」と思ったが、BBQサイトとかの跡だろうか。 千畳平を過ぎたところまで舗装林道が上がってきており、そこには東屋、水道、トイレもある。 一息つくにはなかなか好適のところだ。数分程度休んでいくことにする。 |
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8:10 千畳平を抜け、雪彦山へ 前述の舗装路をしばらく進んだところに、雪彦山へ向けての登山口がある。 といってもここから始まるのは山道ではなく、また未舗装林道が奥へと伸びている。今日はやたら林道が多いな。 なお林道入口は鎖で封鎖されていて、車は入ることが出来ない。 登山口には雪彦山の各ピークまでの詳細な距離が書かれていて参考になる。 |
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8:30 林道終点 前述の登山口からひたすら黙々と登ってくると、唐突に林道が終わっていた。 この林道は線路にあるバラストのような砂利を撒いていて、歩くのは少し疲れる。 林道終点からは左手に向かうよう、赤テープに導かれる。 山行開始から約2時間も経って、ようやく本格的な山道が始まったようだ。 |
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林道終点からも引き続いて、谷沿いに着かず離れずに登っていく。 この辺りは特にヒルがいそうな雰囲気で、自然に目線が足元に向いてしまう。 山道に入っても植林が多いし、谷沿いということで雰囲気が暗いが、林道を歩くよりはずっと楽しく思う。 |
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尾根直前の最後の急登 鹿ヶ壺からこれまで一環として、緩やかなトラックが続いていたが、 尾根に乗る最後の最後まで来て、急激に高度を上げていくようになった。 坂根から雪彦山へ登るメインルートを彷彿とさせるようなハードな斜度だったが、幸いにも距離は短かった。 |
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8:46 尾根に乗った(分岐のすぐ南) (810m+) どうにか急登を経て、一転して明るい尾根に乗った。 ここは三角点「雪彦山」と、大天井岳のほぼ中間にある分岐のすぐ手前だった。 北を向くと既に分岐の道標が見えている。また逆向きに歩いても、ここから尾根を外れるよう、 90度ターンを促す道標があって親切この上ない。 |
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ラウンドアバウト状の分岐 尾根に乗ったところからすぐ北には、三角点「雪彦山」、大天井岳、そして鹿ヶ壺をつなぐ重要な分岐がある。 そしてこの分岐は十数メートルの距離を開けて3箇所に散在し、ラウンドアバウト状になっているユニークな構成だ。 いずれにも道標がふんだんに設置されているから、よく見ていれば初めてでも全く問題ないと思う。
尾根直前の急登では無風だったが、分岐周辺では心地良い風が吹き抜けていた。 もちろん体を冷却するためにここで小休止していくことにする。もしここに住んだら冷房は要らないに違いない。 8:53 分岐を出発 分岐からは一路、大天井岳へ向けて南下する。 このルートは大天井岳と三角点「雪彦山」を結ぶ、雪彦山におけるメインルートだ。 このルートは未踏ではなく、約6年前に山行を始めて間もない頃に一度だけ北向きに歩いている。 でも記憶は殆ど薄れており、ほぼ初めての状態に等しい。 |
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9:00 838mピーク 大天井岳までは何度か小刻みにアップダウンを繰り返す。 このピークはその中で最も標高の高いもので、目的地の大天井岳よりも高いが、展望は全く無い。 |
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9:09 810m+ピーク 大天井岳の一つ北にあって、小さく等高線の閉じた810m+ピークに到着。 ここからは鉾立山方面がよく見える。6年前にはあそこまで歩いているが、今日は割愛しようと思う。 |
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そして雪彦山大天井岳へ 810m+ピークを過ぎると、いよいよ大天井岳が見えてくる。 といっても北から見ると、前述の810m+ピークと見分けが付かない。 このアップダウンは雪彦山特有の険しさがあり、また暑くもなってきたので次第に息も上がってきた。 この付近から賑やかな話し声が聞こえてくる。どうやら大天井岳には大勢居られるようだ。 |
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9:18 雪彦山・大天井岳山頂到着 (811.1m) 学生らしいグループ他、数名のハイカーが集結する大天井岳山頂に到着。 旧夢前町の設置した場違いな標識はまだ健在だが、塗装があちこち剥がれ落ち年季が入ってきている。 ちなみにこの写真は山頂が空いてから撮影したものである。 このピークは6年ぶりの再訪だったので懐かしかった。 鹿ヶ壺からの長い登りを経ての登頂だったので達成感はなかなかのものだ。 以前はここの標高が誤って70mほど高く表記されていたが、普通に地図読みしていればすぐに気付いたであろうに不思議だ。 そういう自分も全く誤りに気付かなかったのだが・・。 |
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大展望が広がる雪彦山・大天井岳山頂 (811.1m) 七種山、明神山、そして先週訪れた亀ヶ壺の谷はあの辺りかな、とお馴染みの場所が一望の元である。 あちこち登ってきたから余計にそう感じるが、この大天井岳ほど高度感を得られるピークはそうそう無い。 標高こそ800m余しかないが、とにかく絶壁の上にあるのでド迫力だ。 高いところが好きな自分にはすこぶる居心地が良い山頂だ。 でも今の時期はちょっと日当たりが良過ぎて暑いな・・。 自分が山頂到着時に既に居られた方々が続々と出発され、周囲にご迷惑をかける心配なしに撮影出来る状態になった。 暑さを嫌ってだろうか、お盆の週末にも関わらず、後から登ってこられる方はちらほら程度。 6年前には平日に登ったと思うが、その時とあまり変わらなかったと思う。 6年前は秋だったので、ここではスズメバチがいっぱい飛び回っていて怖かったが、今日はトンボが目立つ。 前回より活用しているハッカ油+消毒用エタノールも効いて、アブにまとわりつかれることもない。 暑いけど、やはりここの居心地はなかなか良かった。 10:09 雪彦山・大天井岳山頂出発 1時間近くの滞在時間を経て、ようやく重い腰を上げることにする。 とりあえずあのラウンドアバウト状の分岐まで北上する。 |
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10:15 天狗岩 大天井岳のすぐ北にある巨岩。 行きは早くピークに立ちたい気持ちが強くてスルーしていた。 |
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10:30 ラウンドアバウト状の分岐に戻ってくる 当初の予定ではここから鹿ヶ壺へと下ることにしていたが、 まだ時間が早いので三角点「雪彦山」まで足を伸ばすことにした。 分岐から三角点「雪彦山」までの距離は、大天井岳へ戻るのとほぼ同じくらいだ。 |
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分岐から三角点「雪彦山」へは殆ど緩やかだが、三角点ピーク手前だけはやや斜度を増す。 標識によると鉾立山までもあと1kmということで、6年前の記憶を辿るがそんなに近かったかな。 最後の登りも幸いにもそれほど続かないうちに行く手が明るくなってきてピークに到着する。 |
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10:48 三角点「雪彦山」 (915m) 6年ぶりの三角点「雪彦山」ピークに到着。 自分が初めて来た時から明るく切り開かれていたので、6年経っても大きな変化はないようだ。 今日の行程で最高所となるが、視界が全く無いのが残念だ。 でも三角点好きの自分にとっては、充分に立ち寄る意義はある。 山頂広場は明るく切り開かれているおかげで、日なたではとても暑い。僅かな木陰を頼りに休憩する。 ピークにある標識には、AUとソフトバンクがOKとある。 ということで自分のAUの携帯のアンテナが立っているのを見てちょっとびっくりした。 自宅に「今山頂。これから下山」メールを送信する。 11:08 三角点「雪彦山」出発 鉾立山まで行きたい気持ちもあったが、それはもっと良い季節にとっておこうと思い直し下山にかかる。 今日は無難に鹿ヶ壺までの長い下りを楽しもう。 11:17 ラウンドアバウト状の分岐 尾根から外れてしばらく続く急坂は下りはスリップ注意。 11:27 林道終点 11:40 千畳平 トイレ横の水道で顔を洗ってリフレッシュ。 日当たり良好の芝生はさすがに暑かった。 千畳平を出発してまもなく男性2人パーティーとすれ違う。 大天井岳以外で他の方とすれ違ったのはこの場面だけだった。 12:07 鹿ヶ壺 到着前から子供達の歓声が聞こえてきた。 前述したが静寂の早朝と、賑やかで対照的な鹿ヶ壺の光景に驚いたのはこの時。 水遊びに興じるファミリーの間を通り抜けて下山する。 今の時期の鹿ヶ壺は、山歩きではなく水遊びで来るのが王道かもしれない。 12:20 グリーンステーション鹿ヶ壺到着 お盆の週末で大賑わいのところに到着。 三角点「雪彦山」から所要約1時間10分で下山だった。 距離はたいしたことはないので、やはり下りは早かった。 真昼間の駐車場は非常に暑かった・・。とっとと帰ってシャワーを浴びたい。 暑いのは暑いですが、山行後は爽快な気持ちになれます。良い汗をかきました。 懸念していたヒルですが、今回も自分は目撃、及び被害無しで済みました。 但し大天井岳で出会った、坂根から登ってこられていた方は吸血被害に遭っておられました。 本当にヒルは油断大敵です。 |
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行程断面図です![]() |