「雪彦山大天井岳・地蔵岳」 12年 6月24日(日) |
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国土地理院地形図 : 25000分の1 「寺前」 〜 はじめに 〜 雪彦山には昨年の夏にバリエーションルートともいうべき 鹿ヶ壺から登ったのですが、今回は夢前町側からのメインルートです。 このルートは7年ぶり。そして下山には初めて地蔵岳経由としました。 距離は短いですが、非常に中身の濃い山行になることでしょう。 早朝5時半過ぎに登山口前の駐車場に到着。 既に2台停まっていて、今日は先行者が居られるよう。 夏至の頃ということで既に充分明るく、すぐに出発準備にかかる。 もうウシアブも心配な時期になってきたが、幸いにも今日は見かけなかった。 |
行程概要 (山中のルートは不正確です)![]() 雪彦山は全線において踏み跡明瞭。道標類は完備されています。 岩場は雨が降ると滑りやすくなると思いますので要注意です。 また夏場はヒル出没の可能性もありますので、忌避剤等による対策が必要です。 |
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5:47 雪彦山登山口出発 7年ぶりとなる、急坂の連続するルートがスタートする。 登山口の標高は270m+。大天井岳(800m+)までの標高差530mが全て急登と身構えて間違いない。 登山口付近は大雨で流れていたのか、土砂や瓦礫で埋め尽くされていてびっくり。 登り初めから足場が悪い状態ということもあって足運びをいつも以上に慎重に行う。 幸いにも少し登ったところからは地面が見えてきて歩きやすくなった。 |
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登り初めの最初の標高差100mくらいが最も体感的に急坂に感じる。 曇りの早朝でまだ薄暗い森の中を黙々と登っていく。 静かな森でクマ鈴だけがよく響くというのはなんだかとても心地良いひと時だ。 ずっと休みなく本当に一歩一歩確実に標高を稼いでいく。 みるみる登ってしまうのが何故だか楽しく感じるルートだと思う。 |
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5:58 不動岩 そういえばあった!ここを登るのは7年ぶりなのだが、やはり一度来たところは覚えている。 この後しばし不動岩の合間を登っていくのだが、今日の行程は岩場の連続なので 相対的に不動岩は目立たない存在になってしまう。 |
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急登の連続の途中で尾根に乗っかるが、写真で見ても分かりにくい。 急でもしっかりよく踏まれたトラックなので、とても登りやすくて本当に楽しい。 やっぱり丸太階段よりもこういう自然との一体感を感じられるところが好きだ。 |
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6:13 展望岩 メインルートの中でも最初の見どころ、そして休憩スポットといってもよい展望岩に到着。 ただし柱状節理の岩場なので腰を下ろすには不向き。でも急坂の連続の最中に座り込んで休むべきではないとも思う。 展望岩から見上げると、この角度では久しぶりの雪彦山が出迎えてくれる。 山頂に誰かが居ると肉眼では見えるくらいの距離だが、まだまだ登りの行程は前半が終わるところだ。 この付近。おそらく標高450mの手前からやや等高線の間隔が開いてくる。 急坂の連続のメインルートの中でも例外的なところだ。 7年前は地形図も持たずに登っていたので、今回このルートでは初めての読図となる。 出来る限り現在位置を把握しながら急坂を楽しみたい。 |
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6:20 行者堂跡 展望岩はそのまま通過し、少しだけ進んだところにある行者堂跡で5分程度小休止をとった。 ここがおそらく標高450mで、ぽこっと等高線が開いているところだと目星を付ける。 周囲より一段高くなっているが、等高線は閉じていないから隠れたピークといえるかもしれない。 行者堂跡を過ぎると、550m付近までそこそこの登り。 最初の急坂のおかげで緩く感じてしまうが、等高線の詰まり具合を見ると急坂のうちに入るのかもしれない。 |
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6:38 570m+付近 以前の記憶には無いのだが、ここからは南西の一角が切り払われて窓が開いている。 この方角に見えているピーク(たぶん738m)を同定したりして小休止をとる。 登り初めからまだ1時間も経っていないのだが、もう距離的には3分の2弱くらいまできているようだ。 但しこの後、山頂まで中身の濃い行程が控えているので、まだ道半ばと捉えるほうがよいと思う。 木々越しにではあるが、幾分近くなってきた大天井岳が程近いところに見えている。 山頂までの標高差はもう200mと少しでも、この後の急坂は面白いがちょっと気合が必要だ。 |
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6:48 西側を巻き始める これまで尾根を直登してきた感じだが、巨岩に行き当たって西側へ向かう。 これからいよいよ雪彦山へ来たと実感出来るというか体感出来る区間へと突入する。 |
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6:54 出雲岩 ここは印象が強いのではっきりと覚えている出雲岩に差し掛かる。 頭上の岩場はオーバーハングしているので、あまり長居したくはない雰囲気のところだ。 地面には大小多くの岩がごろごろしているので、大きな地震など何らかのきっかけがある度に姿を変えていると思われる。 安易に再稼動を決めた原発と同様に、ここに居る時に大地震が来ないよう神々に祈るしかない。 |
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6:59 鎖場を直登 迫力満点の出雲岩を過ぎると、巨船の錨にでも使いそうな太い鎖を直登する。 鎖場に足掛かりは少なく、鎖にかなり頼って登る感じとなる。 体重が軽いか、もしくは腕力を付けておくと楽に登れるかもしれない。 |
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7:06 見晴らし岩 太い鎖場を過ぎると右手に岩棚が続いて、見晴らし岩到着となる。 今日初めてとなる大展望を前に迷わず小休止していこう。 岩場の高度感はかなりのもの。バンジーサイトがあってもよい雰囲気のところだ。 曇天ではあるが、比較的空気は乾燥して澄んでおり、七種山や明神山がはっきりと見える。 七種山は昨年に薬師から槍まで縦走したばかり。明神山はしばらくご無沙汰だが、 あの雑然とした山頂が片付けばとても良い山なのだが・・。 |
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セリ岩 見晴らし岩の背後にはどうやって形成されたのか不思議なセリ岩が控える。 巻き道もあるが、もちろん自分は中を潜っていく。 出口側が比較的狭くなっていて、体をツイストさせてようやく通過出来た。 ザックを外せば楽に通れることを、通り抜けてから思い出した。 |
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セリ岩を通過したところで、山頂までの標高差は約100m。 ところがこの100mはルーペ無しで等高線を数えるのが難しいほど詰まっている。 でもこのような岩場の連続だから、最後まで本当に楽しみながら登れてしまう。 岩場を這うように広がる木の根が芸術的だった。 |
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時にはロープも頼りつつとなるが、無くてもどうにか登れそう。 |
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7:30 馬の背 鋭いナイフリッジになっていて、リッジ上を歩くのは困難な「馬の背」を通過。 須磨アルプスの馬の背と同様にあっという間に終わってしまう。 ルートはナイフリッジの合間を縫うように巧みに設けられているので、歩いていて楽しいアスレチックのようだ。 |
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馬の背を過ぎると再び急登だが、見上げると空が広がっている。 これが楽しかったメインルートでの最後の登りとなる。 |
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7:39 雪彦山大天井岳山頂(800m+)到着 人けの無い大天井岳に到着。登山口から約1時間50分で到着し、前回に比べると楽に登れたような気がする。 この日の天候も影響したかと思うが、とにかく空気がからっとしていて軽かった。 日差しの無い山頂はたいへん居心地良く手元の温度計の気温は20℃。 今年の梅雨は比較的雨が少ないとは思うが、タイミングが悪いのとまとめて降るのが特徴だろうか。 気温も低めで推移して暑がりの自分にはありがたいが、来る冬のことを考えると夏には順当に暑くなっても良いとも思う。 |
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雪彦山・大天井岳山頂。旧夢前町設置のモニュメントが札掛けになっている・・。 書置きを見ると811mと書かれているが、GPSで計測した数値だろうか。 地形図の等高線からは800m+としか読めない。祠の分だけ高くなったのだろうか。 かつては自分も誤植そのままの標高を参照していて、読図している今から見れば情けない限り。 一通り撮影を終えた後、朝食というか間食のパンを食べる。 確か雪彦山の三角点ピークでは携帯(自分のは案内板推薦のドコモではなくAU)が通じたのだが、 ここ大天井岳では「圏外」となっていた。 8:13 雪彦山・大天井岳山頂出発 山頂滞在約30分で出発する。結局最初から最後まで誰も登ってこられなかった。 一人っきりの大天井岳は平日も含めて3回目の登山で初めてとなった。 8:18 主稜線から外れて地蔵岳方面へ 三角点ピークへ向かう主稜線のトラックをしばらく辿るが、すぐに案内板に従い東側へ折れる。 ここからが今日後半のメインイベントとなる地蔵岳ルートの始まりだ。 |
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8:21 崖の上に出る 主稜線を離れてからすぐに眼前が大きく広がり、絶壁の上に出る。 この時点で既に高度感抜群!! さっそく最初の鎖場が始まっていて急降下を始める。 |
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地蔵岳へ向けて急降下が続く スキー場でも滅多に見ないような急斜面だった。 ルートは鎖、そしてロープを駆使して下方へと続いている。 かなり高度感があって足場に注意しながら下っていくのだがこれはかなり楽しい! 眼下にはこれから向かう地蔵岳の頭頂部がモニュメントのように木々の上に顔を出している。 |
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更に別の鎖に持ち替えて下っていき・・ |
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この鎖場を下りきったところでようやく一つの大きな岩場が終了となった。 登り用のルート表示があるが、ここを登っていっても楽しいだろうなと思う。 自分の場合、撮影しながらの下降だったので相当の時間が掛かっているが、 普通に通過すると数分で済んでしまうだろう。 |
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岩場は一段落しても急坂であることには変わりない。 ルートは倒木の間を巧みにすり抜けて下り続ける。 遠方には三角錐のきれいなピークが目立つが、鉾立山周辺のピークと思われる。 あの辺りには7年前に一度歩いたきりなので、また季節を変えて再訪したい。 |
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8:53 地蔵岳直下のコル 急下降を始めてから約30分で地蔵岳の袂のコルに降り立った。 この辺りの等高線は岩場表示が入り組んで非常に読みにくいが、700mくらいだろうか。 いずれにしても地蔵岳は、1/25000地形図の等高線では表示し辛いような気がする。 木々の向こうにはすぐ近くに地蔵岳の岩頭がそびえている。 もう着いたも同然の距離だが、公設の道標には“あぶないで”、“誰でもかれでも気安く登るな”と落書きがしてある。 山では何があっても自己責任なのは言うまでもないが、自分ならば登れるだろうと判断して地蔵岳を目指すことにする。 |
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地蔵岳に取り付く 地蔵岳の岩塔の袂から直登していく。 最初はこのように普通の岩場だが、登るにつれて険しさを増す。 もちろん途中は三脚を立てることなど出来ないので、最も険しいところは撮影出来ていない。 少し右側に回りこみつつ岩塔の頂へと登り詰める。 |
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9:01 地蔵岳山頂到着 初めて地蔵岳のピークに立った! 山頂は狭い岩場で10人程度でいっぱいになりそうだ。 大天井岳よりも更に高度感満点!!周辺は地蔵岳を取り巻く険しい岩峰に囲まれて雪彦山の雰囲気を思う存分味わうことが出来る。 自分が登ってきたところ以外は本当に絶壁となっており、高所恐怖症の方はここは避けたほうが無難と感じる。 ところで地蔵岳に辿り着く前から周辺にはロッククライミングの方々の掛け声が聞こえていた。 ここはハイカーよりもクライマー比率が高いところと思う。 もうそろそろ先駆けの方々が到着しそうとみて、それより先に一通り撮影を済ませておく。 |
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雪彦山のユニークな景観 さすが「日本三彦山」の一つの山だと唸らせる景観だった。 自分にとっては山での新たなフィールドに触れた思いがした。 |
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地蔵岳山頂にて ※ 一部画像を加工しています。 最初のクライマーの方が到着される。お疲れさまでした!と挨拶を交わすが、 事前に声が聞こえてこなかったら、思わぬところから出てこられてさぞびっくりしたことだろう。 この後続々とクライマーの皆さんが到着され、ロッククライミングの楽しさの一端に触れさせて頂いた。 自分も高いところが好きなので、やってみたら絶対に面白いと思う。 そのうち機会があれば登ることもあるかもしれない。 9:24 地蔵岳山頂出発 クライマーの皆さんと別れを告げて地蔵岳山頂を出発する。 想像していたことなのだが、やはり地蔵岳の下りは特に慎重を要する。 ありきたりのことだが、登りの時にルートを覚えておくのが非常に大事。 大天井岳に向かって左側から回り込んで、途中で北寄りに急降下。 途中で横にスライドする場面があったような気がする。 肩越しに次の足場を確認してから、脚を下ろしていく。もう少し脚が長ければ楽に下れたかも。 前述の落書き通りに気安く来れるところではないかもしれない。 それでも無事に下りきった時には、安堵感と達成感を味わった。 とりあえずここではヘルメットは被ったほうがいいかもしれない。 共に白馬を目指す友人alfonsさんを地蔵岳に案内するのはちょっと考えものだと思った。 コルの出合まで戻って、虹ヶ滝までの下降を開始する。 ここからは急降下もあるが、等高線に沿う水平な区間もけっこうありそうだ。 |
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虹ヶ滝へ向かう水平道 等高線に沿うように比較的緩やかに虹ヶ滝を目指す。 途中では数箇所で沢を横切るが、濡れた岩場は滑りやすいので要注意だ。 ロープの助けも借りながら通過する。いかにもヒルが居そうな雰囲気だが無事に通過出来た。 |
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9:48 展望岩 しばらく下ったところには今日二つめの「展望岩」があった。 こちらの岩場は座りやすく、また更に視界も良好。すぐ近くには地蔵岳の勇姿が大迫力だ。 山頂には先程のクライマーの皆さんだろうか、数人の方が動き回っているのがよく見える。 先程まであそこに居たのかと、今頃身震いするというか、新たな達成感が湧いてきた。 |
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展望岩を過ぎると、再び急下降する場面が続く。 一つ一つの鎖場、ロープ場をきちんと撮影するのを怠ってしまうくらいの密度だった。 ヒルに憑かれるのがイヤで、迅速に通過したいという心理が働いたのもあったかもしれない。 徐々に足下から沢の水音が近くなってきて、ようやく虹ヶ滝へ到着となる。 |
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10:04 虹ヶ滝到着 7年ぶりとなる虹ヶ滝に到着。以前と同じく、大きな滝は無いが美しい小滝が集合している。 周辺の足元にヒルが居ないことを確認してからザックを下ろして休憩とする。 この頃には木漏れ日も射してきて、とても居心地の良い滞在時間となった。 地蔵岳を含む急下降で火照った顔を洗ったりしてリフレッシュする。 この2012年の山シーズンが始まる前に購入しておいた減光フィルターを早速試してみた。 木漏れ日で周囲は比較的明るくなったが、減光効果のおかげで水流がしっかり白い筋となって撮影出来る。 ただ自分は動きを止めているつもりだったが、低速シャッターのために被写体ブレを起こしている。 10:26 虹ヶ滝出発 ここから先は7年前に一度下りで歩いたことがある区間だ。 記憶を辿りつつ行程後半を楽しみたい。 |
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10:30 賀野神社へ 虹ヶ滝から左岸へ少し登り返すとこの三叉路に出てくる。 峰山高原へは通行禁止の案内が出ているが、行けるとしてもかなりの距離がありそうだが・・。 |
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この賀野神社を目指すルートは古くから存在するようで、かなり歩きやすくなっている。 自然林の雰囲気もかなり良いと思う。途中で一箇所崩壊地を通過するところがあったが、慎重に歩けば問題なかった。 舗装林道へ出る直前の出合から右折すれば、沢沿いに歩いて駐車場へと戻れるが、 それはまたの機会にするとして今回は7年ぶりに賀野神社へと立ち寄ることにする。 |
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10:44 遊歩道入口 虹ヶ滝から約20分で舗装林道へ飛び出す。 後は賀野神社経由で駐車場まで林道を下るだけとなる。 自転車をデポしておいてもよかったのだが、 今回はその手間を掛けるだけの距離には到達していないと判断した。 |
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10:53 賀野神社到着 林道沿いにある賀野神社へ到着。 神社からは雪彦山の勇姿が大迫力だ。地蔵岳山頂には殆ど点にしか見えないがまだ人影を目視出来る。 麓から見るとあんな尖塔の上によく到達出来たなと思うような光景だ。 |
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賀野神社と雪彦山 静かな賀野神社でスパッツを外したりして小休止。 ここにはトイレも水場もあるのでとても便利だ。 今日賀野神社へ立ち寄ったのは、順光で雪彦山を見たかったからなのだが、 日差しが弱いからか光線状態はイマイチだった。 11:16 賀野神社出発 賀野神社から駐車場までは約2km。もう少し長いと自転車の出番だったのだが・・。 |
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11:43 登山口駐車場到着 最後にウォーキングを楽しんで、出発地の駐車場へと戻ってくる。 朝はガラ空きだったが、15台くらい停まっていて既に満車状態となっていた。 横の清流で顔を洗ったりして、リフレッシュしてから帰途に就く。 道すがら雪彦温泉にも立ち寄れるということで、一応入浴準備は行っていた。 でもさほど疲れていないし、温泉というにはもう暑いということでパスした。 自分の場合、夏は普段からシャワーで充分なのである。 〜 終わりに 〜 今日、雪彦山を選んだのは、半日でも充分運動効果がありそうで、 且つ用事のあった姫路へ立ち寄れるという条件を兼ね備えていたからでした。 雪彦山は本当に、「登った!!」という達成感を得られる山だと感じます。 また時折訪れてみたいと思います。 |
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行程断面図です![]() |