「雪彦山・地蔵岳ルートから馬頭ピーク」 2013年 5月 6日(月)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「寺前」




 〜 はじめに 〜

 馬頭(ウリュド)は雪彦山近くにありながら、例外的に静かな尾根歩きで辿り着けるピークです。
以前にやまあそさんにご推薦いただいたこともあって、機会を見つけて行こうと思ってました。

 今回は初めて賀野神社を起点として、ワイルドな地蔵岳ルートを登りで通過。
馬頭ピークまで手付かずの尾根を往復した後、初めて新登山道で下るという行程を組みました。
好天に恵まれて比較的短い距離ながらも、緩急両極端で変化に富み大満足の一日となりました。








 行程概要 (山中のルートは不正確です)


 雪彦山のメインルートは険しいながらも整備は万全ですが、
対照的に馬頭へ向かう尾根は比較的穏やかな地形でもほぼ手つかずです。
読図を楽しみながら歩く尾根であると思います。

 6:34 賀野神社出発

 今回はテントの中で二度寝せずに4時に起床することが出来た。
夢やかたのキャンプ場を出発したのは5時30分過ぎだから、遅くとも出発時刻の1時間30分前に起きる必要があることが分かってきた。
それにしてもテントはフライシートがびっしょり結露していて撤収作業が大変だった。
いつも山行に使ってる手袋で作業したために手が冷たかった。この作業のために別の手袋を用意しておくと快適だなと気付いた。

 ということで早発に成功し、何とか朝日に照らされた雪彦山を見ることが出来た。
今まで何度か雪彦山には来ているけど、賀野神社から朝の順光で眺めるのは初めて。山が神々しく感じる。



 賀野神社前には路肩が広がったスペースがあるので駐車には困らない。
ここからしばらくは舗装林道をウォーミングアップついでに登っていく。








 6:41 遊歩道入口

 以前の山行ではいつも下山口になっていたところから登山開始。
遊歩道入口とざっくりした指導標しかないけど、ここが雪彦山の東側の登山口となる。




 ※ 馬頭ピークのある尾根に乗るまでは既出のルートが続きますので、
簡略化して要点のみ記述します。








 6:56 虹ヶ滝付近

 緩い傾斜の山腹道は登り始めのウォーミングアップに好適だった。
直上の地蔵岳を眺めるが、見た目がこれほど険しく感じる山はなかなか無いだろう。








地蔵岳ルート

 虹ヶ滝の沢を渡ったところから延々と激登りが続くルート。
岩場・鎖場・ロープ場のオンパレードで、とても全部で自分撮りをする気にはなれない。
以前に一度下りで通過したことがあるが、やはり醍醐味を感じるのは登りだと感じた。




 7:56 地蔵岳ルートを登ってメインルートに合流

 雪彦山のメインルートの尾根道は一転して整備された普通の山道となる。








 8:04 新登山道分岐

 以前はこんなに賑やかな分岐ではなかったように思う。
今回の雪彦山の目的の一つに友人との山行の下見ということもある。
下山の際にはピストンの行程に変化を付けるためにも、初めてここを下っていくことにしよう。








 8:15 鹿ヶ壺ルート分岐より、馬頭ピークへ向かう

 植林に覆われたラウンドアバウト状の分岐に到着。
鹿ヶ壺ルートへ向かうように左折する。
指導標は親切過ぎるほど完備されているが、馬頭を示すものは無い。
ここからが本格的に地形図の出番となる。

 西側に鹿ヶ壺ルートが下りるのを見送って、やや荒れた感じの尾根へ踏み入る。








雪彦山の雰囲気とは一線を画す尾根

 最初は踏み跡は拡散傾向だが、尾根が狭まるにつれて徐々に落ち着いてくる。
とはいえ、もちろん雪彦山のメインルートのように踏み固められたルートではない。
基本的に単独行の自分には読図によって不安感を打ち消すことが必須となる。

 しばらくは穏やかな地形で尾根も真っ直ぐ。でもかえってこういう時って読図が難しい。









 8:27 810m+ピーク

 最初の等高線が閉じたミニピークに到着。
けっこう歩いた感があったので、最初は次の820m+ピークに着いたかと思った。
それでもまだ尾根は曲がらずに真っ直ぐだし、
次の820m+ピークへの登り返しが40mほどあったことでボタンの掛け違いを修正出来た。








 8:35 820m+ピーク到着

 約40mの登り返しで820m+ピークに到着。ここで尾根は右へ30度くらいの角度で曲がる。
相変わらず植林で覆われて展望は皆無だが、ミニピークは岩場で一段高くなっている。
虹ヶ滝からザックを下していないので、ここで小休止を取っていくことにした。

 岩場の上から地形図片手に確認。
次の808m標高点ピークは約20m下って真っ直ぐ進んですぐ。
現在地からでも、808mピークの次に辿り着くはずの840m+ピークを木々の枝越しに確認出来る。




 8:48 820m+ピーク出発

 行く手を遮られるほどの倒木は無いが、けっこう荒れた感のある尾根が続く。
以前に転倒して痛い思いをしているのだけど、落ちている枝で足を引っかけないように気を配る必要がある。








 8:54 808mピーク

 ごく僅かな登り返しで808mピークに差し掛かる。
ここで90度の角度で左へ曲がると、次に目指す840m+ピークが正面に見えてくる。
角度的に馬頭ピークはその右奥。思っていたよりも意外と近いなあと感じた。








840m+ピークへの登り返し

 840m+ピークへはややブッシュの多い区間となるが、基本的には明確な切り開きがある。
840m+ピークまでの登り返しは等高線が広くて斜度はほどほど。
この辺りから獣避けネットが地面に這っており、足を引っかけないように注意したい。
というかもうネットは用を成さない残念な状態といえそうだ。








 9:06 840m+ピーク(北端)

 南北にだだっ広い840m+ピークの北端に乗り上げた。
ごくごく僅かなアップダウンを挟んで南側へとピークは続いていく。








840m+ピーク(南端)

 ここで45度の角度で右に曲がる。
前方にはほど近いところに次の目標となる860m+ピークが見えている。
これは馬頭ピークの偽ピークともいえるもので、もうこの未踏の尾根歩きも終盤が近づいてきたようだ。








860m+ピークへ向けて約30mの登り返し

 尾根はけっこう広いけど、方角を確認したうえで進んでいけば大丈夫。
マーキングも一応あるけど、自分の場合はあえてそれを探す意識を持たないようにしている。
歩きながら気付いたのだが、東側には雰囲気の良い谷が広がっており、後で立ち寄ることにしよう。








 9:18 860m+ピーク

 木々が濃く密生した860m+ピークに到着。
見方によっては馬頭ピークの双耳峰とも捉えられる。最終目的地の馬頭ピークはもうすぐだ。
ここで約30度の角度で右へ曲がり、10m程度の最後のアップダウンを経ると馬頭ピークに到着する。








 9:24 三角点馬ノ頭ピーク(866.5m)

 イメージよりもずっと広い馬頭ピークに到着。
木々に囲まれて展望はあまり無いが、すごく居心地よく感じるところだった。
三角点の点名は「馬ノ頭」だから、正式には馬ノ頭ピークと言ったほうがいいのだろうか。
自分は全く興味が無いが、競馬好きの方には喜ばれそうな三角点かもしれない。

 今日の自分の山行はここで折り返しとなるが、尾根はこの南側で大きく二方向に枝分かれする。
いずれも辿っていけそうな雰囲気だ。またの機会に更に足を伸ばしてみたいと思う。








明神山方面だけ窓が開いていた

 何故か明神山だけ見えるという粋な演出となっている。
遠望は今日も霞んでいて全くダメだ。最近霞んだ日が多いと思う。




 一しきり撮影した後は、いつものように行動食を摂ったり、そしてオカリナの練習。
「埴生の宿」は楽譜無しでも吹けるようになってきた。
レパートリーをまた一つずつ増やしたいけど、これは時々吹かないとたぶん忘れるだろうな。

 いつもなるべく周囲に影響がないロケーションとタイミングでオカリナの練習をしているけど、
運悪く他の方がやってこられたら下手な演奏で煩くして申し訳ないなと思う。




10:02 三角点馬ノ頭ピーク出発

 約30分の滞在時間で馬頭ピークを出発。
再び歩いてきた尾根を逆戻りする。
自分撮りで意識せずとも時折振り返っていることが、安全登山のためにもけっこう役立っているような気がする。








馬頭ピークから雪彦山へ向けて

 三角点「雪彦山」ピークがけっこう距離があるように見える。




 この後、往路に気付いた860m+ピークと840m+ピークの間の谷へと立ち寄ってみる。








周囲から隔絶されたような空間

 尾根筋では吹いていた風もここでは止んでおり、本当に静かな谷の源頭部だった。
今は新緑がきれいだけど、秋の紅葉もさぞ素晴らしいのではないだろうか。
時としてこのような予期しない場面に出会えるのも、山歩きの大きな楽しみだと思う。








徐々に近づいてくるメインルートの尾根

 メインルートを歩かれている方々の歓声が聞こえてくる。
山って本当に声がよく遠くまで聞こえるなあと実感すると同時に、
馬頭ピークを訪ねる楽しかった尾根歩きの終わりがちょっと寂しい。








10:46 鹿ヶ壺ルート分岐

 馬頭ピークから約45分で戻ってきた。終わってみればあっけなかった。




10:56 新登山道分岐

 先述の賑やかな分岐まで戻って、新登山道に入っていく。








激下りが続く新登山道

 最初こそ意外なほど穏やかな山腹道で始まるが、すぐに雪彦山らしい急坂に戻る。
整備は万全でマーキングも多く見受けられ、これは地蔵岳ルートの迂回路として十分に使えそうだ。








岩場もあるが地蔵岳ルートに比べると易しい








難しさはないが急坂であることには変わりない新登山道

 下っている最中にも地蔵岳ルートからと思われる子供も含む楽しそうな歓声が聞こえてくる。
でも新登山道から近いはずだけど、地蔵岳ルートの岩場を眺められるところは無かった。








地蔵岳の尖塔はちらっと見えた








長い長いロープ場が始まる

 だいぶ下ったと思われる頃からロープ場の連続となる。








遥か下方には既に沢が見えているが、さすがに真っ直ぐには下らずにルートはジグザグに続く。








11:33 虹ヶ滝ルートと合流

 地蔵岳ルートの少し上流側で沢に降りる。
新登山道は人けが無かったが、沢に降りた途端に3人パーティーの方々が通り掛かられる。
自分もだいぶ前にこの沢沿いのルートは下ったことがあるが、上流部の倒木帯の状況を尋ねればよかった。

 新登山道は地蔵岳ルートより危険度はやや低いと感じるが、急坂の度合いはほぼ同じ。
面白さからいえば地蔵岳ルートのほうがかなりお薦めかなと思う。

 でも沢沿いに続く虹ヶ滝ルートもけっこう険しいので、どちらをとるかは好み次第かもしれない。








美しい清流を堪能出来る虹ヶ滝ルート

 渓流は美しいけど夏場はヒル対策を万全に。実はこの日初めてヒルを見ました。
沢床に置いていたザックを持ち上げたらそこに居たのですが、ナメクジに比べてけっこう動きが素早いことに驚いた。
足元で見つけると同時にびっくりして無意識に踏み潰してしまったけど、もう少し動作を観察出来たら良かった。




12:08 虹ヶ滝出発




12:19 遊歩道入口

 昼間の舗装路歩きはけっこう暑く、もう夏が近づいているのを感じる。




12:24 賀野神社到着








賀野神社付近から見上げる雪彦山大天井岳と馬頭ピーク

 全く山容の異なるピークが連なる景観が印象的でした。




 この後は前回同様に雪彦温泉で2日間の汗を流して帰りました。




 〜 終わりに 〜

 馬頭ピークは整備され尽した雪彦山のメインルートで飽き足らない方に向いています。
自分にとっても読図の良い練習になりました。尾根の地形、ピークの一つ一つに愛着?が沸きます。
諸事情により近年の中では早いスキーシーズン終了だったのですが、おかげで好天のGWにおいて良い山行のスタートダッシュとなりました。








行程断面図です




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