「雪彦山・主要全コース周回」 2013年 6月30日(日)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「寺前」




 〜 はじめに 〜

 雪彦山は歩行距離が短い割には、急坂や難所が豊富で満足感ある山歩きが可能です。
ということで自分にとってもお気に入りの山でこれまで何度となく訪れていますが、
ここを20kg超のボッカで登り降りしてみたく行程を組んでみました。

 行程後半、鉾立山経由で虹ヶ滝へ下るルートを歩くのは山歩きを始めた2005年以来ということで、
懐かしさを感じることの出来る山行ともなりました。

 大曲から登山口まで谷沿いを下るルート(未踏)、賀野神社経由の舗装路下りはさすがに
きついだろうということで、今回は自転車を出動させました。
山行に先だって予め大曲の下山地に忘れず自転車をデポしておきます。

 三角点「雪彦山」ピーク、そして虹ヶ滝以南の各ルートは過去レポで詳述していますので、
この区間は簡略して記しています。








 行程概要 (山中のルートは不正確です)




 5:42 雪彦山登山口出発

 この日は自宅3時30分起床し、この時間から山行を開始することが出来た。
この週末は土日とも休みだったのにあえて日曜を選んだのは、月末の繁忙期の仕事疲れをとるため、
好天で暑い見込みだった土曜を避けた判断による。
その代わりに週明けの月曜がしんどくなるが、そんなことよりも元気な状態で雪彦山を歩きたかった。

 駐車場は自車を含めて2台だけ停まっている状態だった。
自分撮りのために無駄に登り降りする自分にとっては、
出来るだけ人けの少ない時間帯を狙う意味でも早立ちは大事だ。

 昨年は大雨の影響か石がゴロゴロ転がっていた登山口だが、今ではすっかり整理されていた。








いきなりの急登が始まる

 雪彦山といえば急坂しかないと考えて差し支えない。
何度も登っていて分かってはいても、体がほぐれていない歩き始めはやはりきつい。
それでも自分撮りするのは習慣になっているのでつい撮影してしまう。
しかも追い打ちを掛けるようにとにかく蒸し暑かった。気温はそれほど高くはなかったが・・。
塩分補給のために携行している味塩も甘く感じられるようになってきた。








 6:10 展望岩

 今日の行程の中では、あくまで序盤の序盤に過ぎない激登りがここで一旦終了。
充分に息が上がって大汗をかいているので10分弱小休止をとった。

 実は今回の山行は7年ぶりに新調した三脚を初めて使っている。
新調したのはこれまでと同じスリックの軽量三脚だが、カメラの取り外しが楽なクイックシュータイプの雲台のものを選択した。(従来はねじ込み式)
従来のものは3年ほど前に三国岳から市原峠へ縦走した際に伸縮させるレバーの一本を折ってしまっても
そのままだましだまし使い続けていたが、最近になってさすがに伸縮させるのにかなり力が必要になってきていた。

 また、三脚を75Lザックを背負ったまま右脇に差せるように取り付けたベルトのテストも兼ねている。
本当の難所ではしっかりとサイドポケットに収納すべきと思うけど、
普段は全く歩行の邪魔にならずに三脚を持ち運べることを身をもって確認した。
今日の雪彦山では全ての箇所で支障になることはなかった。








 6:47 出雲岩

 引き続いて蒸し暑い樹林帯の急坂を経て出雲岩に到着。
ここでも10分弱、岩から少し離れて小休止をとる。

 雪彦山は以前にNHKの“えぇトコ”という番組で採り上げられ、その影響で訪れる登山者が増えたという。
自分としても地元の名山を再認識する機会となった。良い番組だったので、ブルーレイレコーダーに録画したものをまだ残している。
番組ではここでロッククライミング体験を行っていた。そこまでしないまでもこの後は腕力勝負の行程が控えているといっても過言ではない。








岩の隙間にある鎖にすがる難所

 日帰り装備では苦もなく通過していたところだが、75Lザックを背負ったことでちょっとした難所に早変わり。
とにかく岩の隙間が狭く、しかも足場に乏しいのでより一層腕力がものをいう場面となった。
考えてみれば自分の体重が56kgのところ、22kgの重量を背負っているうえに、
岩の隙間の規制で登る動線が限定されてしまうのだった。
自分がすごくメタボになってしまったみたいと感じる難所となった。
横の岩場をよじ登ることも頭をよぎったが、万一滑落したら怖いので止めた。







 7:08 見晴らし岩

 岩の隙間をよじ登って見晴らし岩で一息付く。
春の新緑の頃に歩いた明神山などが見通せ、あっという間に夏になったなあと実感する。

 この後ろのセリ岩は疑似メタボ状態の自分には通れないことは確かめなくても想像出来たので、今回は巻道を利用する。

 巻道を利用してセリ岩を回避したところはコル状の地形になっていて、すごく風が通って気持ち良かった。
山頂まで続く終盤の激登りを控えて10分程度小休止をとった。








大天井岳まで続く激登り

 セリ岩通過後もロープの掛かった岩場、そして急登が連続する。
それでもこの頃には序盤の苦しさからは解放されて比較的調子良く登っていった。








 7:40 雪彦山大天井岳山頂到着(811m)

 まだ早朝で誰もいない大天井岳山頂に到着。
ちょっと霞んではいるが明神山や七種山辺りまでは見えている。

 登山口からここまで2時間。日帰り装備の過去レポより10分弱所要時間が伸びていた。

 通常の周回の行程であれば激登りはここで一段落し、後は普通の山道だけになるのだが、
今日は地蔵岳ルートの激下り、そして新下山道の激登りが後に控えている。
自分で余計にしんどい行程にしているだけなのだが、急激なアップダウンを前にして行動食を摂っておく。




 7:52 大天井岳山頂を出発

 大天井岳からは一旦三角点「雪彦山」ピークに向かう順路を辿る。








 7:59 地蔵岳ルート急降下開始

 いよいよ今日最大の難所と思われる激下りに突入だ。
身軽な日帰り装備の時とはやはり感覚が違う。三点支持という原則に忠実に従って慎重に下っていく。

 写真では死角になっている最初の鎖場はさほど苦労せずに下降出来た。
なおカメラを下に向けた結果、三脚の足が写っているのは帰宅後に気付いた。








大きく2段構成に分かれている地蔵岳ルート最大の難所の下段側

 寸足らずだったためか、鎖にロープを継ぎ足している崖を下降。
出来るだけ腕だけに頼らないように、しっかりと足場を確認しながら降りていく。

 もう何度となく登り降りしたところだけど、やはりボッカで通過すると達成感が違う。
岩場の下に降り立った時には一仕事終えた感覚だった。








虹ヶ滝まで続く激下り

 最初の高度感たっぷりの激下りだけではなく、このルートは鎖やロープが掛かった急坂が連続する。
ここではまだ撮影したことがなかったなということで、頑張って三脚をセットして撮ってみた。
木々越しにではあるが背後に地蔵岳の尖塔が見えている。








 8:48 虹ヶ滝分岐に降り立つ

 激下りを開始してから約50分で虹ヶ滝まで降り立った。
無駄に登り降りしなければもう少し早く通過出来るだろう。

 ちょっと腕に疲れがあるが、脚はあまり消耗していない。
水分補給だけ行ってすぐに鉾立山方面へ登り返しにかかる。








虹ヶ滝

 虹ヶ滝分岐からちょっとだけ登ったところにある虹ヶ滝。
ヒルが居ないか確かめてからちょっとだけ立ち休憩。
自分はまだヒルに付かれたことがないが、少し前の山行でこの沢で目撃しているので油断はしないほうがいいだろう。
もちろん登山靴とスパッツ、そして三脚にもヤマビルファイターを吹き付けて対策はとっている。








 9:11 虹ヶ滝上の新下山道分岐

 虹ヶ滝分岐から新下山道へは一登りだけど、この区間もロープが掛かる急坂が連続する。
これから新下山道を登りにかかり、その後鉾立山経由で沢沿いに下って再びここへ戻る行程だ。








新下山道

 新下山道は地蔵岳ルートのすぐ北側の支尾根を通る。
地蔵岳ルートのように危険そうなところは少ないが、ロープ場や急坂が続くこと自体は変わらない。
変化に乏しい植林の登りは退屈だったが、それでも主稜線が再び頭上に見えてきたことに元気付けられる。








 9:50 主稜線上の新下山道分岐

 虹ヶ滝付近で沢から離れてから約40分。
地蔵岳ルートで下り始めてから約1時間50分のハードなアップダウンはここで終了。
ザックを下して文字通りに肩の荷が下りた心境だった。
アップダウンで乱れた息を整え、主稜線の縦走に備えておく。








三角点「雪彦山」ピークへ向けて

 山行開始から約4時間を経過して、初めて普通に歩ける山道になった。
これまでは難所の連続で使用が途切れがちだったトレッキングポールが大いに活躍出来る。








10:07 鹿ヶ壺ルート分岐

 少し前に馬頭や鹿ヶ壺へ向かったルートを見送って北上を続ける。
雪彦山は大天井岳付近はスペクタクルなのだが、その北側は植林が多過ぎるのが残念だ。
せめて自然林であればもう少し楽しい道のりなのだけど・・。








三角点「雪彦山」ピークへ向けて最後の登り

 三角点「雪彦山」ピークへは少し前に鹿ヶ壺から登ってきている。
やはり読図しながら歩いておくと、記憶に残りやすくなると感じる。

 ここは南側のコルからピークまで約60mの標高差がある。
序盤の激登りやその後の急なアップダウンに比べれば大したことはないが地味にしんどいところだった。








10:24 三角点「雪彦山」ピーク(915m)到着

 植林が伐採された三角点「雪彦山」ピークに到着。
「雪彦山」の名が冠された三角点がもし無ければ、植林の中のありふれたミニピークに過ぎない。
この日は曇りがちで助かったけど、ここだけは木陰が無いので晴れると暑い。




10:35 三角点「雪彦山」ピーク(915m)出発

 このピーク以北は8年ぶりに踏み込むということで、未踏ではないが読図を行うのは初めてとなる。
8年前の記憶は曖昧なので、比較的新鮮に歩けそうだ。








10:40 910m+ピーク(等高線は閉じていない)

 三角点「雪彦山」ピークから少し北へ進んだところにある。
見た目はミニピークだけど、地形図では等高線が閉じていない隠れたピークだ。
三角点の有無によって重要度に差が付いているが、ここも三角点ピークと同じ等高線内にある。
 かつては同じように植林に覆われていたという三角点ピークもこのような雰囲気だったのだろう。

 よく踏まれたトラックはこのピークをトラバースして、北東方向の尾根へと伸びている。







10:48 900m+ピーク

 10m前後の僅かなアップダウンを経て、次の900m+ピークを通過。
ピークを過ぎると再び北東方向へやや向きを変えて下っていく。








10:53 860m+コル

 約40m下って広い860m+コルに降り立つ。
ここからは雪彦山でも最後に残った未踏のドロカベコースが虹ヶ滝方面へ下っている。
ショートカット出来るのは鉾立山周辺のみで役割はあまりなさそうだが・・。

 860m+コルから鉾立山までは約90mの登り。
今日の行程の中でも最後に残されたまとまった登りの区間となる。
おぼろげにけっこうしんどかった記憶があるが、どんなところだったかなあと歩いていく。








こんなところだった。ややヤブっぽい鉾立山への登り

 等高線の混み具合はまあまあで、地形図上はさほどしんどいようには思えない。
でもいろんな意味でちょっとしんどいところだった。
植林を分けるようにブッシュが伸びており、トレッキングポールは使いにくい。
おまけに上空が開いているところをタイミング悪く日差しも注いでくる。暑かった・・。









 それでも背後に見えてくる宍粟の山並みに元気付けられて登っていくと・・








11:12 鉾立山山頂(950m+)到着

 久しぶりの鉾立山山頂に到着。三角点は無いが雪彦山周回ルートの最高地点であり、展望も抜群。
8年ぶりの再訪なのと、ここからは長い下りが始まるのでとりあえず大休止をとっていこう。

 やや雲が多い空模様だったが、氷ノ山をはじめ水剣山や植松山などの山々を見渡せた。
山頂の展望図は長年の風雪に晒されて、だいぶ字が読みにくくなっていた。




11:38 鉾立山山頂出発

 鉾立山山頂から北東にある942mピークまでは引き続き主稜線を辿っていく。








鉾立山山頂東側にある展望地からは大天井岳方面が見える  2005年10月17日撮影 雪彦山大天井岳遠景 まだ手前の木は稜線にまで達していない。

 8年前はもっとよく見えていた大天井岳だが、手前の木が伸びた結果隠れ気味になっている。
8年でこれだけ伸びるのかと興味深い比較写真となったが、このままでは大天井岳がいずれ見えなくなるだろう。

 それはともかく出雲岩コース、地蔵岳・新下山道と登り降りしてきたおかげで、
充分達成感を得られる光景となった。








11:50 942mピーク

 大天井岳展望地から10m前後の緩いアップダウンを経て942mピークに到着。
分岐のあるピークから真北には、鉾立山山頂から目立って見えていた紅白に塗られた送電線鉄塔が見える。
地形図では標高点表記まであって目立つピークだが、現地では分岐点の指導標しかない不遇な現状といえるかもしれない。

 いずれは歩きたい峰山方面へのトラックを見送り、ピークからは南東に向きを変えて尾根を緩やかに下っていく。
この辺りは台風被害がひどかったところだろうか。倒木帯が整理されたようで見通しが良い。
この後で尾根を外す地点を示すと思われる指導標が既に見えている。








11:57 尾根を外れる

 ピークから見えていた指導標のところで尾根を外れて谷へ下りに掛かる。
地形図ではここから賀野神社へと下っていく破線道があるが、現状では廃道状態のようにしか見えない。
尾根の続きは倒木が折り重なって人の進入を阻んでいる。








尾根を外すと植林の中をジグザグに下っていく

 景色は単調だが風が通り抜けてとても涼しいところだった。
等高線はたいへん混んでいるが、想像よりは歩きやすい。
今日の行程序盤の出雲岩コースに比べれば緩い傾斜と表現出来るだろう。








12:10 谷の出合に降り立つ

 下っていたトラックはいつしか小さな尾根上を辿っていた。
そしてちょうど谷の出合の真ん中に降りてくる。

 本谷と思われる流れには水が流れており、新下山道への登り返し以来の冷水でリフレッシュしたのは言うまでもない。

 ここからは基本的に沢に沿って虹ヶ滝まで下っていくことになる。








倒木で埋め尽くされた谷

 記憶の中でも谷の上流は荒れていたことは何となく覚えていた。
大部分の倒木は殆どそのままの状態でも、今ではスムーズに通れるようには整理されている。








12:19 渡渉箇所で小休止

 ここで一旦ザックを下して、鉾立山山頂以来となる小休止をとった。
一応ザックを下す前に、周囲の地面を見渡してヒルが居ないかどうか確かめている。








沢ルートは何度となく渡渉を繰り返す

 渡渉箇所には目立つマーキングがあって、見逃すことはまずないと思われる。
緩やかな下りが続いていて、難所といえるようなところもない。








12:41 ドロカベコース分岐

 ドロカベコース分岐に差し掛かった。
860m+コル付近へ突き上げる支谷側には朽ち果てた丸太橋が掛かっているが、既に自然に還りつつある。
この分岐のおかげで現在位置がピンポイントで分かり、虹ヶ滝まではもうさほど遠くないと判明した。

 地形図通りにここからは沢が広がって、狭かったトラックは車が通れるほどに幅が広くなる。
この辺りは石積みも見受けられ、昔は街道か山仕事等で使っていたと思われる雰囲気がある。








12:48 滑滝

 数段に分かれる滑滝を通過。すっかり存在を忘れていた滝だった。
鹿ヶ壺よりもスケールの大きな天然のウォータースライダーになりそうだけどちょっと怖いかもしれない。








小滝前を渡渉

 ここで右岸へ渡ると、まもなく新下山道分岐へと到着だ。








12:59 虹ヶ滝上の新下山道分岐到着

 新下山道へ登り返しを始めてから約4時間ぶりに戻ってきた!
分岐のすぐ横は趣ある沢床になっていて、涼を求めて小休止をとっていくことにした。

 ここで小休止中に自分も歩いてきた上流側から続々と2、3組のパーティーの方々が降りてこられる。
そういえば今日は今まで誰とも会っていなかったが、やはり雪彦山が人気がある名山であることを再認識する。




13:13 出発

 残す行程は少なくなったが、まだ少しタフなところが残っている。
これまでは比較的緩やかな下りが続いたが、虹ヶ滝周辺は対照的な激下りとなる。
雨で濡れると相当滑りやすくなると思われるところだ。








13:22 虹ヶ滝分岐

 最後の沢沿いの急坂、そして虹ヶ滝下の渡渉を慎重に通過。
前回、ここでヒルを目撃したので、今日は滞留せずに先を急ぐ。
渡渉を終えてからの短い登りは今日最後の激登りとなる。








13:26 地蔵岳を見上げて小休止

 最後の激登りを終え、ベンチのある分岐で一旦ザックを下す。
地蔵岳自体は今日は割愛したがすぐ傍を下った行程を思い出して余韻に浸る。

 激しいアップダウンが印象的な行程だったが、後は大曲まで緩やかに下っていくだけだ。








13:39 大曲(500m+)・自転車デポ地到着

 登山口まで沢沿いに下っていくトラックを見送って、最後の一登りで自転車に辿り着く。
けっこう骨のある行程の割にはまだ余力を残しているとはいえ、最後にこの舗装路を歩いて下るのはきつい。
トレッキングポールをザックに収納するなどして、ダウンヒルの準備を整える。




13:49 大曲出発

 距離は短めだがヘアピンカーブが続く、ペダルを漕ぐ必要が全くない爽快なダウンヒルだ。








ダウンヒルの途中では雪彦山を眺めて余韻に浸る








雪彦山大天井岳、及び馬頭全景

 左下の白い屋根の見える建物付近が登山口。大天井岳まで激登りが続くことを納得させられる景観だ。




14:03 雪彦山登山口駐車場到着

 途中で雪彦山を眺めている時間を除けば、ここまで10分もかかっていないだろう。
爽快この上ないダウンヒルだったけど、時折車やバイクが通り掛かるのでスピードの出し過ぎは危険だろう。

 戻ってみたら駐車場は殆ど満杯状態で、下方にはバスまで停まっている。
今日も大賑わいの雪彦山だっただろう。




 今日は日帰りだったので、雪彦温泉には立ち寄らずに帰宅しました。
激しいアップダウンの行程に大満足の一日となりました。でもちょっとだけ腕が筋肉痛になりましたが・・。








行程断面図です




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