05年10月17日(月) 晴れ時々曇り 大天井岳〜三角点雪彦山〜鉾立山〜虹ヶ滝〜賀野神社

 以前から名前だけは知っていた山だが、1ヶ月ほど前に明神山から初めて雪彦山の岩峰を遠望して歩いてみたいと強く思った。
今回は初めてということもあり、大天井岳から鉾立山まで縦走し、虹ヶ滝まで急降下、そして賀野神社に立ち寄るという雪彦山を網羅する周回コースを歩いてみた。

 7:00
 坂根の有料駐車場に到着。車が既に1台停まっている。普通車1日500円と書かれているが、朝早いせいか誰もいない。
険しいトラックということなので入念に準備運動を行う。

 7:15
 準備万端で出発。既に眼前には大天井岳が高くそびえている。神々しさを感じさせる山容で、兵庫にもこんなところがあったのかと感動する。
 登山口にある事務所では登山届を出せるようになっている。NZでも欠かさずインテンション・カード(登山届)を出していたので、
ここでも万一に備えて出しておく。

 事務所の向かいからトラックがスタートする。キャビンの脇に付けられた
階段道を少し登り植林に入ると見上げるばかりの急坂が連なっている。
本当に噂どおりの険しい山だと改めて納得する。

 7:31
 不動岩を通過。トラックの両脇に大岩が散在している。どれが不動岩なのか分からない。もしくはこの辺り一帯を指すのだろうか。
 


 7:45 展望岩
 急坂をゆっくり登っていくと展望岩に到着。眼前に大きく大天井岳を
眺められる絶景ポイントだが、この岩はすこぶる座り心地が悪い。


 大天井岳

 展望岩より見上げた大天井岳。朝日に照らされ眩しく見える。

 10分程休んで展望岩を出発。すぐに行者堂跡を通過。狭い削平地があり、かつて建物が建っていた様子が伺える。
一部勾配が緩くなるところもあるが、基本的には急な登りが延々と続く。


 8:23 出雲岩

 トラックは出雲岩と名付けられた絶壁の下を通過する。
崖の上部にはロッククライミング用のものと思われる金具が見える。
 ごろごろと散在する岩に直接ペンキで進行方向が示されており、
これに従って進む。しかし、有用なものとは思うが、ペンキで岩に直接
書くのは落書きを見るようで少々違和感を覚える。他に良い手段はない
ものだろうか。少なくともNZではこのような場面に出会ったことはない。

 なおNZ南島、ティ・アナウ近郊にあるケプラー・トラックでも似たような
ところを通過したことがあり、まさにデジャヴのような感覚だった。

 NZの“出雲岩”、ケプラー・トラックにある石灰岩の絶壁
特に固有の名前はなかったような気がする。
こちらは崖の下に木組みの高架橋が設置されており、
楽々通過できる。もちろんメンテナンスは重要で、この時も
DOC(意訳すると環境保護省か)職員が作業をしてくれていた。


 話を雪彦山に戻して、出雲岩を過ぎると鎖が垂れ下がった壁が
立ちはだかる。ここでも三脚を使って自分撮りをしたかったが、
鎖を登り降りするまでのパワーは無くて止めておく。

 鎖を登って更に木の根っこの急坂を登り、岩場を右手に進んでいくと、
セリ岩と見晴らし岩に到達する。



 8:40 見晴らし岩

 初めて広範囲に見渡せるところに出てきた。急坂を登ってきた
だけあって、非常に高度感のある展望とロケーション。
まさに疲れを忘れさせるところである。
NZならばバンジーサイトにでも出来そうなところだ。
南側の展望、明神山から七種山辺りまでが一望できた。

 

 セリ岩

 見晴らし岩のすぐ側にあるセリ岩を通過中。
最初は楽に体が入るが、奥に行くほど幅が狭くなり、
最後はザックを外して向こう側へ出ることが出来た。
ここでもこの奇岩に直接矢印を書き込んでいるのが
少々違和感を覚える。

 9:07 馬の背

 相変わらずの急坂を登っていくと、道中最後の見どころの
馬の背に到着。左側から迂回して登っていく。
このような痩せ尾根が続くと楽しいのだが、ほんの数メートルで
終わってしまう。


 9:20〜10:00 大天井岳山頂 (800〜810m)※

 登り始めてから約2時間でようやく大天井岳山頂に到達。
 山頂は岩がごろごろしている上にさほど広くはなかった。
 小さな祠とモニュメントが建っている。明神山山頂にある
モニュメントと同じようなデザインで、夢前町が設置したもの
であろうか。もう少し周囲との調和を考えられなかったのだろうか。

 とにかく急登でくたくたになっており、眺めを楽しみながら大休止。
しかし日差しが照りつけて暑いくらいの山頂ではオオスズメバチが
多く飛び交っており、緊張を強いられる休憩となってしまった。

※ 大天井岳の標高についてですが、書籍などで884mの表示が
多くなっていますが、これは間違いです。正確な数字は分かりませんが、
国土地理院の25000分の1地形図の等高線表示では800m〜
810mの間と推測されますのでこのように表示しました。

ご指摘下さいました やまあそさん にはたいへん感謝致しております。
 

 駐車場のある坂根地区を遥か下に見下ろす。
 急坂ばかりの雪彦山だけに、他では味わえない高度感ある景観である。

 

 雪彦山、大天井岳山頂からの景観。南側を広く見渡すことが出来る。右に明神山、左には七種薬師、七種山、七種槍が並んで見える。空気が澄んでいる日は海まで見える
という話だが、この日はそこまでは見えなかった。しかしこの山また山の景観には本当に心癒される。


 大天井岳山頂まで登った段階で、疲れてこのまま最短ルートで下山しようと思ったが、休んでいるうちに疲労回復し、やはり計画通りに歩くことにする。
一路、鉾立山へ向かって出発。いきなりの急坂を下ると、後は打って変わって普通の山道になる。


 しばらく北へ進むと、地蔵岳、虹ヶ滝を経由して最短で下山出来る
ルートに差し掛かる。こちらにも興味はあるが次回の楽しみにとっておく。

 トラックから洞ヶ岳の岩峰の一つを間近に見ることが出来た。
ハイカーが訪れることが出来るのは、大天井岳と地蔵岳の2つで、
これはどうやらロッククライミングをしないと無理のようである。




 北にはこれから向かう鉾立山(鉄塔が見える)、そして左に一段低く見える三角点雪彦山が見渡せる。
 一部にはこのように視界が開けるところがあるが、大部分は植林の中のやや退屈なトラックである。
大天井岳山頂までは見どころ満載のトラックだったが、それ以外は対照的なほど静かな山歩きになる。


 雪彦山は鹿ヶ壺(安富町)から登ることも出来る。
小学生の頃、夏休みに訪れた記憶があるがおぼろげにしか
覚えていない。いずれ鹿ヶ壺からも歩いてみよう。

 10:30〜10:40 三角点雪彦山
 植林がいきなり途切れて、三角点雪彦山山頂に到達。地形図ではこの地点に大きく雪彦山と書かれており、ここが主峰にしか見えないが、
周囲より少し盛り上がっているだけであまり山頂に立ったという感触がない。ネットでは薄暗い植林の中にあるという情報が多かったのだが、
かなり広く伐採されて広場になっている。伐採された木が何箇所かで「ドラえもん」の空き地の土管のように束ねられて、まるで資材置き場の
ような雰囲気である。七種山のように台風の影響が大きかったのだろうか。ともかくここまで伐採したのなら、どうせなら周囲の植林も伐採して
広葉樹の苗木でも植えてもらいたいものである。


 三角点雪彦山山頂からは北東に尾根筋を辿る。一旦下って少し登り返す。

 10:48 虹ヶ滝へ直接下山出来るルートとの分岐に差し掛かる。
下山したい気もあったが、鉾立山も近いようなので直進する。

 大天井岳の登りで足がかなり疲れており、鉾立山までの登りでも
少し辛い。しかも大天井岳まではピーカンだったのに、どんよりと
曇ってきた。

 
 10:58〜11:30 鉾立山山頂

 大天井岳からおよそ1時間で縦走路の終点の鉾立山へ到達。
地形図上ではかなり離れているが、大きな高低差が無いために
距離を稼げる。ここも伐採された木が束ねられて資材置き場に
なっている。
 鉾立山の展望地は2箇所あり、1箇所目は北側の展望が抜群。
しかし曇り空の上に、北側の山には縦横に送電線が走って美観を
損ねている。
 それはともかく縦走の疲れがかなり濃く、ぼーっと眺めて休憩する。
 1箇所目の展望地から少し東へ進んだところでは、南側を眺められる
展望地に出る。近くには大天井岳、遠くには明神山などおなじみの山々
を一望でき、また北側のように送電線も見えないために、断然こちらの
景観がお薦めである。

 両方の展望地とも遠くの山の名前が分かるように案内板が設置されて
いるので非常に分かりやすい。
 11:40 

 下山に使う虹ヶ滝へのルートと、峰山方面へのルートとの分岐に
差し掛かる。周囲は倒木が散在し雑然としているが、通行には支障が
ないように整備されている。

 
 分岐からは少し南へ尾根を辿り、すぐに植林の中を急降下する。利用度の高いトラックのようで歩きやすい。快調に飛ばして下山していく。
途中からは小さい沢と平行して下る。部分的に倒木が折り重なっているところもあるが、通行に支障のないように整備されている。
七種山から七種薬師も同じように通りやすいように倒木をなんとかしてほしいものである。


 小さな沢は段々流れる音も大きくなり、流れる音も心地よい清流に
なってくる。気持ちよく下山出来るトラックである。
鉾立山辺りではどんよりと曇っていたが、段々天気も回復してきた
ようで、木漏れ日でぽかぽかと暖かい。

 小川と平行して下っていくと、鉾立山西で分岐する下山ルートと
合流する。虹ヶ滝まであと少しのようだ。
 なめ滝

 その名の通り、滑り台状の滝で豪快さは無いが、水量は
なかなか豊富で、轟々とした水音である。今秋の播州地方は
いつにもまして少雨なのだが、この水はどこから流れてくるのだろうか。

 12:30 虹ヶ滝?

 周囲はいくつもの滝が点在し、どれも比較的大きい。
幾筋にも分かれた滝姿からこれが虹ヶ滝かと推察するがどうだろうか。

 とにかく滝壺のひんやりとした空気に包まれて、疲れが癒されるようである。
 
 滝の下部を横切り、短いが厳しい急坂をゆっくりと登ると、
下山道と賀野神社へのルートとの分岐に差し掛かる。
賀野神社からの大天井岳を眺めてみたいと思っていたので、
遠回りにはなるようだが賀野神社へ向かう。
 大曲

 賀野神社へのルートは山腹道で緩やかに下っている。
まもなく大曲という分岐に着く。右へ曲がると本来の下山道へ戻るようである。
賀野神社へは左の坂を登っていく。
 13:00
 
 トラックは唐突に舗装路に出て途切れてしまった。
峰山方面へ続く林道である。展望は良いので、退屈することなく
神社に向けて緩やかな下り坂を歩いていく。

 13:05〜13:38 賀野神社

 境内はなかなかきれいで居心地が良く、大天井岳の展望が素晴らしい
ことから、ここで30分あまり過ごした。

 なおかつてはこの辺りが鉾立山と呼ばれていたようで、現在の鉾立山とは
かなり位置が異なっているようである。

 
 雪彦山、大天井岳

 賀野神社境内から眺めた大天井岳。ここからはまさに正面から見上げる
角度になる。兵庫県離れした景観に感動する。
本当に急峻な山で、あの山頂に立ったのかと、達成感が強く感じられる。

 賀野神社から2km余りの舗装された林道をとぼとぼと歩いて坂根駐車場へ戻る。途中からは景観もなく退屈だが、
一貫して下りなのでまだ許せる。

 13:55 登山口到着。下山届を忘れず出しておく。

 駐車場へ戻るが、集金係の人は誰もいなかった。平日は徴収していないのだろうか。
 来た時に停まっていた車は居なくなっており、他に新たに2台が停まっていた。今日大天井岳に登った人は少なく見積もって4人以上。

 初めての雪彦山、そして鉾立山までの縦走を終えての感想は、ハイライトが部分的に凝縮されて、退屈な区間がけっこう長い。
しかし大天井岳、鉾立山、そして賀野神社からの景観は必見と思われ、このループトラックを歩く価値は充分にあると思われる。
 次回は違う季節に地蔵岳経由で歩いてみよう。

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