「後山から長義山、国境尾根縦走」 11年 7月16日(土)


国土地理院地形図
 : 25000分の1 「西河内」
参考文献
 : 神戸新聞総合出版センター 【 ふるさと兵庫100山 】
 : 宍粟50名山 〜天空回廊 1000mの風にのって
 : 昭文社 山と高原地図 【氷ノ山 鉢伏・神鍋】 (後山周辺の地図有り)



 〜 はじめに 〜

 前回、三室山に登って山深い千種の山々の景観を眺めたことで、
それらの周囲の山々を歩いてみたくなるのは自然の成り行きだったかもしれません。
 その中で兵庫県下第3位の高峰となる後山を含めた山行を計画しました。
そして好天&3連休の初日という好条件から、今回はやや長い行程です。

 今回の行程は登山口と下山口が大きく離れています。パーティー登山なら
複数の車を、自分のような単独行であれば自転車があると便利です。
今回の登山口は松の木公園ですが、それに先立ってちくさ高原スキー場に
自転車を置いておきます。※1








 行程概要 (山中のルートは不正確です)



 後山からちくさ高原スキー場へ至る国境尾根を、中国自然歩道を利用して縦走します。
起点と終点が大きく離れた行程を実現するために、最近購入しておいた自転車を初めて投入しました。

 ※1 当初の予定ではスキー場最上部からゲレンデを歩いて下山する予定だったため、
スキー場下部に自転車を置くこととなりました。長義山登山口は路肩が広くなっており、
ここにデポすることももちろん可能です。

 6:12 松の木公園出発

 自転車をスキー場に置き、再び松の木公園へ戻ってきてから、ようやく登山開始。
自分のような暑がりには、まだ気温が幾分低い早朝に出発することが非常に大事であって、
この日の起床時間は午前3時30分。ちなみにもし日本にサマータイムがあれば、1時間進んで午前4時30分。少し楽になるのだが・・。
自宅を出発する時からもう明るいので、夏季は時刻と日照時間のズレが大き過ぎると思う。

 松の木公園はトイレ、名水(有料)。余裕のある駐車スペース有りと登山の起点として好適だ。
後山周辺の登山地図、「平成之大馬鹿門」の作者、空充秋氏のモニュメントなどがある。

 後山への登りの半分は林道歩きで費やされると考えて差し支えない。
もし後山だけのピストンのような行程だと、以前ならば林道終点まで車の乗り入れが可能だったようだが、今は終点近くで路面が崩壊。
途中からは路面の荒れが目立つので、無用のトラブルを避けるためには、ここで駐車することがベターかと思う。

 基本的には退屈な林道歩きだが、ウォーミングアップには最適。また谷あいのために日陰が多く、沢の水音に触れながら登れるのは悪くなかった。




 6:16 不動明王の祠

 歩き始めてすぐに祠があった。後山は修験の山でもあるのだった。
ちなみに後山は道仙寺のある岡山県側から見た山名で、兵庫県側からは板馬見山とも呼ばれるという。
便宜上、または語感から、このレポでは後山で統一したく思う。
岡山側の道仙寺奥の院周辺は女人禁制となっているが、兵庫側は制約は無いので、山ガールの皆様はこちらからがお薦めとなる。




 6:19 笛石山登山口通過

 笛石山へ通じる橋があって、沢の向こう側の右岸から登っていくトラックが見える。
いずれはこちらへも登ってみたい。




 途中、3回沢を渡る。冷水で顔を洗ってリフレッシュ出来る。
林道終点手前、最後のヘアピンカーブ周辺が問題の崩壊地。
徒歩ならば問題なくクリア出来るが、車はやはり通れそうにない。
いつからこの状況なのかは分からないが、今の財政状況ではここまで手が回らないのかな。








 6:58 板馬見渓谷林道終点

 崩壊地を過ぎるとすぐに林道終点。小広い広場となっている。
ここにも後山周辺の登山地図があるが随分とアバウトな描画で、トラックの接続概要や所要時間しか得る情報はない。




 7:04 小休止を終えて出発

 ここからようやく山道に入る。しばらくは行場の中を登っていくようだ。




 7:07 垢離(こうり)取場

 しっかり行場巡りをしたら、それだけで一つのテーマとして成立しそうな感じがする。
今日のところは自分の興味が逸れており、またの機会にもう少し詳しく採り上げてみたい。








 7:15 不動の滝

 登山口から右岸を登ってきたが、不動の滝を前にして左岸へ渡る。
線路の枕木のような造りの橋、そして急な階段となかなかスリリングだった。
それでも足元の不安な橋の上から、不動の滝を鑑賞。
先週の三室の滝の印象が強すぎておとなしく見えてしまうが、なかなか端正な雰囲気の滝だ。




 7:24 鐘懸の行者

 後山は「西の大峯山」とも呼ばれるようだが、この行場の規模からすると名前負けしないようだ。








 7:28 石小屋

 岩壁が穿たれた石小屋。何だか身が引き締まる思いがする。
この辺りはガレ場の様相だが、基本的には植林の中の登りとなる。
相変わらず水流がすぐ側にあるので、外界よりも少し涼しいと感じる。

 行場巡りは良いとして、だいぶ登ってきたのに、おごしきコースとの分岐がなかなか現れないのが気になった。
自分の整理した情報では、分岐は林道終点からそう遠くないところにあったのだが・・。








 7:35 おごしきコースへ

 林道終点から約30分かかってようやく目標の分岐に差し掛かった。
兵庫側から後山へのルートは複数あるのだが、今回は「平成之大馬鹿門」を経由するおごしきコースを歩きたかった。
煙と同じく高いところが好きな自分も、この門の名前には何だか愛着が湧いてくる気がしてならない。

 5分程度の小休止をとってから、おごしきコースに挑む。








 8:05 美しい山腹を抜けるおごしきコース

 おごしきコースは新しいコースには多い、どんどん高度を稼ぐパターンではなかった。
等高線を縫うように、徐々に高度を上げつつ、後山から東に伸びる主尾根を目指すものだった。
最初は植林の中を歩くのだが、いつしか木漏れ日が射す自然林へと入っていく。
明るい森で歩いていてとても居心地良く感じる。沢を横切るところもあって、顔を洗ってリフレッシュ出来ることも嬉しい。




 結局、目標の尾根に乗り上げたのは、「平成之大馬鹿門」からさほど距離が離れていないところだった。
南側には笛石山が同じくらいの高さに垣間見え、既にかなり登ってきたことが分かる。








 8:21 平成之大馬鹿門、及び おごしき山山頂(1,095m)

 明るい尾根道を登るとすぐに目前に平成之大馬鹿門が!
誘い込まれるようにさっそく門柱に取り付いていく。かつて京都の大学で騒動になってしまった門柱だが、
今ではそんなことがあったことが嘘のように静かな山中でそびえていた。
 騒動当時まだ学生だったが、別にクレームを付けることでないのでは、と感じたことを覚えている。

 






おごしき山(1,095m)からの景観

 平成之大馬鹿門は1,095m標高点に位置しており、おごしき山は尾根の肩にあるピークとなっている。
後山がそびえる西方以外三方向を眺めることが出来る。
登れば登るほどに、次々と登ってみたくなる山が見えてくる。人の営みよりも、自然のほうが目だって見える景観だ。








北東には前回登った三室山

 麓からはピークがはっきり見えなかったが、ここから見るとなかなか秀麗な山容だった。

 ところでこの門柱は本当に立派な造りで、本来の目的だった大学の門柱になるのと、
人里離れたここにあるのとどちらが門柱として良かったのかと考えてしまう。
いっそのこと国会の門柱にしたら良かったのではとも感じる。
今の中身の無い様子は「会議は踊る」としか表現のしようがない。








後山から北西に伸びる国境尾根

 後山でかなり隠されているが、行程後半を歩くことになるところが同じくらいの高さでよく見えている。
自転車を置いている、ちくさ高原スキー場が肉眼ではかなり近く見えたのが印象的だった。




 8:44 平成之大馬鹿門出発

 約20分、おごしき山と平成之大馬鹿門を堪能してから出発。
後山までの標高差は250mくらいだ。平成之大馬鹿門の西方から明瞭な尾根道が続いている。








おごしき山の平成之大馬鹿門から後山へ

 平成之大馬鹿門からはただひらすら尾根を直登していくのだが、大馬鹿門でゆっくりし過ぎて
かえって足が重くなってしまった。これまでより日当たりが良くなり、明らかに気温が上昇してきたのも影響したかもしれない。
それにしても登る途中では足を休ませ過ぎないほうが良かったのを忘れていた。

 ところでこの尾根道はしっかり踏まれているトラックだが、
日当たりの良いところでは笹が繁茂し過ぎてやや進みづらいところもある。
笹の葉で手を怪我しないよう手袋が必要だった。

 最初はペースが上がらなかったが、それでも振り返るたびに笛石山が低く遠くなっていく。








山頂付近は雰囲気抜群

 あのまま日当たり良好の笹原道が続けばしんどかったが、
穏やかな木漏れ日の尾根道になると、体感温度が一気に低くなる。
多少疲れはあるものの、等高線の幅が広い尾根のおかげもあってペースも上がってきた。








 9:16 後山山頂(1344.6m)到着

 松の木公園から約3時間の登りを経てようやく後山山頂に到着。
後山山頂では自分よりも少し早く岡山側から登ってこられた単独男性と居合わせた。
山頂は広過ぎず狭過ぎず。道仙寺奥の院の祠が鎮座する雰囲気良好の空間だ。
中央には三等三角点があるが、大きく角が削られ、また赤く汚されている。
こういうことをする輩が本当のオオバカモンだと思う。

 山頂の東側は全開とはいかないものの、三室山や笛石山がよく見えている。
ちなみに後山は岡山県では最高峰の山で、兵庫県では第3位となる。
順位といえば、カープがたまには3位くらいに来てくれると嬉しいのだが・・。








山頂西側、及び南側の景観

 そして西側はこれまで見たことがなかった岡山側の山々が広がっている。
以前、那岐山に登ったことがあるが、その時には霞みがひどくて何も見えなかったのだ。
海までとはいかないものの、かなりの広範囲が見えて本当に気持ちが良い。
 
 同じ立ち位置からは後山の南隣、そして同じ国境の山である日名倉山が見える。
山頂西側の山腹に何やら見えるのがベルピール公園のようだ。
後山から見ると少し低いが、周囲に高い山の無い孤高の峰のようだ。
ぜひ歩いてみたくなった。ということでこの時に次回の行き先が決まった。

 後山山頂には、南側からの尾根道、自分が東側から登ってきたおごしきコースの尾根道、
そしてこれから歩く西側へ向かう尾根道が合流する三叉路となっている。
後山はコースバリエーションが幾通りかあるので、またここに来ることもあるかと思う。

 まもなく最初に到着された単独男性が再び岡山側へと出発され、
その後間もなく南側から別の単独男性が登ってこられた。
自分もそうだが皆さんもなかなか朝早い出発だなと思う。








 9:49 後山山頂出発

 後山山頂滞在約30分ですっかり元気になって出発する。
いよいよ国境尾根の縦走という、今日のハイライトとなる区間へ突入する。
ここからは「中国自然歩道」でダルガ峰まで辿ることとなる。

 ちなみに当レポでは、播磨と美作の国境ということを意識して記述している。
県境と表現するよりも少し情緒が増すと思う。








後山から西方の山並みが連なる!

 後山山頂を出発して間もなく期待に違わぬ展望尾根となる。
遥か遠くには那岐山まで見えている。この尾根が初めての自分はもちろんいきなり感動である。
山頂付近がなだらかな山容は那岐山とよく似ているなと感じた。

 見えている範囲では駒の尾山までほぼ一直線に進み、その後北向きに転進する。
間にはいくつかピークが連なるし、後山山頂からはまず約80mの下りとなることもあって、
楽しい尾根歩きへの期待に足取りは自然に軽くなる。








1,260m+コル付近

 後山山頂から約80m下って、ご覧の明るい1,260m+コルに降り立つ。
最寄に見えている船木山は後山とほぼ同じ高さであり、これから80mほど登り返さなくてはいけない。
実際の標高差よりも強調して見えることが多いが、ここは逆に少ない標高差に見える気がした。

 日当たりの良いところはもちろん暑いが、標高の高さも手伝ってか風が気持ち良いし、日陰に入るととても涼しい。
 この後山〜船木山間の尾根が最も展望抜群の区間だった。




10:11 鍋ヶ谷林道ルートとの出合通過

 かなり登ってきたなと思った頃、鍋ヶ谷林道から登ってくるトラックと合流。
ここを含めて、出合は道標完備でとても分かりやすい。








10:14 船木山山頂(1,334m)到着

 鍋ヶ谷林道ルートと合流するとすぐに船木山に到着。
船木山は山頂というよりも、ただ普通の尾根の途中のように見える。残念ながら三角点は無い。
展望は笹にやや隠れ気味だが適度に整備されていて、正面に日名倉山がよく見える。
それと国境尾根ということで、双方が整備した山名標識が共存していることが珍しかった。

 居心地はなかなか良いが、今日は日当たりが良過ぎて暑いので約3分で出発する。




10:22 大原・後山キャンプ場ルートとの出合通過

 岡山県側のメインルートと合流する。道標はもちろん周辺の案内地図もあって賑やかな出合だ。








船木山以西の国境尾根の景観

 船木山まではほぼ真西に伸びていた尾根が北西に向きを変える。
そして鍋ヶ谷山を軸にして“く”の字にカーブしている。
駒の尾山の後に向かうことになる、ダルガ峰の平らなピークもよく見えてきた。
船木山からは尾根道の景観を塞ぐように笹が目立ってくるが、登り下りの間には前後に景観が開けるので、退屈はしないと思う。




 船木山のピークから少し西へ進んだところで、急に北西に向きを変えるところがある。
整備されているこの山では問題が無かったが、尾根が複数方向へ派生する要注意と感じるスポットだった。

 船木山と鍋ヶ谷山の間には1,220m+コルがある。
大部分は程好い斜度で、船木山から約110m下っていく。
鍋ヶ谷山への登り返しは20m以下だから、これは滅多にない理想的で楽な展開だ。








10:41 1,235.31mピーク

 前述のコルから少しだけ登ったところで1,235m+ピークに差し掛かる。
鍋ヶ谷山はもう少し先にあるのだが、何故か少し標高の低いこのピークに三角点が設置されている。
三角点はトラックのすぐ脇にあるから見逃す可能性は低いと思われる。
ここでトラックは三角点を避けるかのように、やや北向きにカーブを描いている。

 三角点の木陰で5分程度小休止をとった。








10:55 鍋ヶ谷山山頂(1,253m)

 1,235m+三角点ピークからちょっとだけ登って鍋ヶ谷山山頂と思われるところを通過。
トラック脇の木に山名を書いたテープがあって分かった。
歩きながら考え事をしていたりしたら、普通に通過してしまっていたと思われるピークだ。
背丈を越える笹薮で全く視界は利かないし、風も通らなくて暑いし、でっかいアブ(スズメバチかも)がまとわりついてくるしで居心地悪かった。
写真撮影だけ手早く済ませて早々に出発する。








鍋ヶ谷山以西の景観

 山頂は完全に平らだったが、ここも下りに差し掛かると前方に視界が開けてくる。
正面にはいくつかピークが見えていて重なった状態で分かりにくいが、駒の尾山にもだいぶ近づいているはず。
ここのアップダウンは登り下りとも約50mのようだ。








まもなく駒の尾山。山頂直下の避難小屋も見えてきた

 駒の尾山の少し東には1,250m+ピークが2つある。
アップダウンは約10mで、ここでは全く問題にならない。
東から見ていて黄緑色に見えていた笹薮の間のトラックを歩く区間だが、
このくらいからやや曇りがちになってきて、暑さをかなりしのげたのは幸運だった。








11:27 駒の尾山山頂東の出合

 少しだけ登り返してきて、駒の尾山山頂最寄の重要な分岐に差し掛かる。
もちろんまずは駒の尾山を目指すために直進する。
ダルガ峰方面へはその後で向かうことになる。

 この出合のすぐ横には避難小屋もある。
万一の際には便利な存在だが、小屋の前に置いてあったクマに対する注意を促す看板にはちょっとドキッとさせられる。
わざわざここで指摘されなくても、クマ鈴2個を装備、時には三脚を打ち鳴らすなど、
静かな単独行を補うよう音を出す準備は怠っていない。








駒の尾山山頂付近から東方の国境尾根を振り返る

 上記の出合からは約20mの登り返しで駒の尾山山頂に到着となる。
後山からの景観も素晴らしかったが、駒の尾山からのほうが笹原が目立って見えて開放的な印象を受ける。
それにしても、これほど素敵な国境尾根が播磨、美作の間にあったとは。
楽しい尾根歩きだったのだが、後山山頂以来、全く他の方と出会わなかった。
もう少し多くの方が歩いておられるのではと思っていたが、これはかなり意外だった。








11:33 駒の尾山山頂(1,280.7m)到着

 ご年配夫婦、単独男性の3人の方々が居られる駒の尾山山頂に到着。
今日、他の方と出会ったのはここが最後となった。
いきなり目に飛び込んでくるのは、下調べで知っていたストーンサークル。
適度に整備することは良いし必要とも思うが、ここまで手を加えると何だか公園の中にでも入ったかのような錯覚を覚える。
自分の好みでは先だって登った後山山頂のほうが居心地が良かった。

 ここの三角点はストーンサークルのすぐ外で、案内板の真ん前。

 山頂の周囲は基本的に開けているが、あまりに平ら過ぎて座ったまま眺められるのは意外に限られるようだ。
せっかく座るところがあるのだから、ここで昼食のパンを食べた。








駒の尾山山頂から眺めた北方の山々

 自分が座っていた北側のストーンサークルからはこの景観がよく見える。
駒の尾山山頂はほとんどずっと曇っていたが、北側のほうは何故かほとんどずっと晴れていた。
あの間伐したところは暑そうだな・・。
意外に近く見えるが、ちくさ高原スキー場までは後山まで戻るのと同じ程度の距離がある。








12:02 駒の尾山山頂出発

 晴れていれば木陰が少なくて暑いピークだっただろうけど、殆ど曇っていたため本当に涼しくて助かった。
前述の三叉路まで戻って、今度は北向きのトラックを辿っていく。
これまで同様、しばらくは緩くて歩きやすい尾根が続く。楽な下りで行程後半が始まった。








12:15 1,211mピーク

 これまで緩やかな尾根だったが、ここから一気に急な下りとなる。
でも階段道が整備されていて、調子良く下っていけた。
地形図で描かれている境界線通りに北へ向かっていることが分かる。








行く手には1206.8mピーク

 階段を下っていると、行く手には富士山のようなきれいな三角錐の山が見えてきた。
ピークには三角点もあるようだ。登り返しが暑そうで思いやられるが、何だか登行意欲をかきたてられる。








12:24 大海里峠(1,120m+)

 下りついたところは美作側が伐採されている大海里峠。
地形図では美作側に破線道が下りているが、見る限りでは見当たらないし道標も無いようだ。
ちなみに播磨側へは明瞭なトラックが下りており、今日の行程のショートカット版では使えそうだ。
ちょっと一息ついてから北側の登り返しに挑む。








なんと登らずに西側を巻く

 トラックは登るのかと思いきや西側を巻き始めた。
ヤブっぽい日当たりの良い暑い斜面を登るまでの元気は無く、
順当に巻き道を辿っていく。この付近は間伐されながらもまばらに木々が残り、
何だか北海道のトドワラを連想させる。それにしても暑いなぁ・・。








12:42 1,120m+コル

 1206.8mピークの北側の1,120m+コルで再び境界線上に回帰。
ここで大茅スキー場へ下るルートが分岐する。大茅スキー場にも行ったことがないが、ちくさ高原スキー場と反対側の西側山麓にある。

 北側はダルガ峰があるが、今度は巻かずに登っていくようだ。
この登り返しが短いながらもけっこうハードだった。








12:47 ダルガ峰山頂(1,163m)到着

 登り返すとそこには平らな空間が広がる。
宍粟50名山の山名板があることで、ここがダルガ峰であることが確認できる。
ダルガみねではなく、ダルガなるという読み方だったのか。名前からして平らな山っぽい。
ピークらしくないピークだが、これほど平らなところも珍しい。なかなか居心地の良いピークだ。
播磨側は美しい雑木林、美作側は間伐されていて広く視界が開けている。
暑いしブッシュが深いが吸い込まれるように少し入ってみた。








ダルガ峰からは広く美作の山々を見渡せる

 また那岐山へも行ってみたい。




12:57 ダルガ峰山頂出発

 約10分の滞在で出発。ここからちくさ高原スキー場までは本当に平らな行程が続くようだ。
等高線が広がっており非常に数えやすい。数えてみたら約40mほど下るようだ。








13:02 中国自然歩道と別れて、ちくさ高原スキー場へ

 ダルガ峰から少し北で分岐。再び大茅スキー場へ向かうルートと分かれる。
後山から中国自然歩道を歩いてきたがここでお別れとなり、ちくさ高原スキー場へ。
些細なことだが、道標にはちぐさ高原と書かれているが、スキー場名はちくさ高原。
ということで、当レポではちくさ高原と統一したい。








ダルガ峰からちくさ高原スキー場までは遊歩道状態

 この平坦な区間の距離を地形図で測ってみたら約900mだった。
これはなかなかお目にかかれない極楽区間だなと思う。
静かな森の中を黙々と歩く時間というのは、無心になれるというかとても落ち着く。








13:17 ちくさ高原スキー場到着  スキーしたいな・・。

 唐突に森から抜けた。ちくさ高原スキー場の最上部のようだ。
来たことのないスキー場なだけに興味津々。暑さを厭わずとりあえず斜面の上に立ってみたい。
ちくさ高原スキー場は最上部から3つのコースが横に並んでいるが、その中で最寄の真ん中にあるダイナミックコースを選んでみた。
比較的滑り応えのある斜度で、特にコブが発生したらすごく面白そうだ。
ちなみに、来季は距離の長いコブ斜面を求めて、ハチ北のシーズン券を購入しようかと検討中だが、
ホームの万場と奥神鍋の中斜面も変わらず魅力的で、自分にとってなかなか難しい選択になっている。
いずれにしても、既に新しいウェアを発注済みで、今から冬が待ち遠しくてしょうがない状態だ。




 ダイナミックコースの上でしばらく今後の行程を思案した。
当初の予定はこれからゲレンデを下って終わるというものだった。肉眼では眼下に自分が置いている自転車が見える。
 でも少し時間も早いし、少し北にあるきれいな三角錐の長義山がすごく気になった。
全く下調べはしていないが、残りの距離もさほど長くないし、何とか続行出来るだろうと決定した。
結果的にはなかなか大変な終盤の区間となったが、より達成感は大きくなるのだった。








13:37 メルヘンコース脇にトラック入口発見

 スキー場に辿り着くまでにルートが枝分かれしなかったこともあって、
ゲレンデの北辺部にトラックの入口があるだろうと読んで探索を開始。
すると最北のメルヘンコースのコーナー部分にそれらしい赤テープを発見。
国境尾根にも至近でまず間違いないということで、再び森へと分け入っていく。

 森に入ると行く手が明るくなっていた。ゲレンデのすぐ西側には舗装された林道があった。
「ちくさスキー場」を示す案内板があるが、目指す長義山の名前が無い。
この林道を歩くのは暑いなと思ったところ、よく見たら林道横の本来の尾根にはルートを示すテープが北へと伸びていた。
念のため方向確認をしてからこれを辿ってみる。

 すると少し北で長義山を示す案内板を発見。間違っていなかったことを確認して安堵した。
でもこれだとスキー場から長義山へ向かう際にはちょっと入りにくくなっていると感じた。








13:51 1,081mピーク

 少し北で途中の目標にしていた1,081mピークに到達したと思われる。
目標にしていた理由は、長義山へ向かう尾根がここから北東へと向きを変えるからだ。
地図読みをするつもりでいたのだが、ピークには方向転換を促す標識類が豊富で自動的に辿れてしまう。
それにしてもこの辺りの等高線は複雑で、なかなか地形を把握するのが難しく感じた。

 1,081mピークのすぐ東では、尾根が左右で深く切れ落ちている。
文字通りのナイフリッジっぽくなっているが、やまあそさん情報からすると鉄を採掘した跡のようだ。




 この後、尾根が広がったり、小まめに方向転換を繰り返すが、
地形図で先読みした上で、現地の赤テープで確認する作業を繰り返して順当に進むことが出来た。
トラックはあまり踏まれておらず、国境尾根の中でもマイナーな区間であることが分かる。








14:11 1,030m+ピーク

 一つ50m、20mのアップダウンを経て、次の目標にしていた1,030m+ピークに到着。
長義山の一つ西隣にあって、南北に細長いピーク。北端に1,035m標高点があるが、
トラックはピークの南端を通過するため標高点は通らないようだ。
ピークからは木々越しに三角錐の長義山が大きく見えている。




 1,030m+ピークと長義山の間には、30m、100mのアップダウンが立ちはだかる。
長義山を目指すことを少し迷ったのは、このアップダウンの存在による。
30mの下りはよしとして、1,000m+コルから長義山への100mの登り返しが思いやられた。
等高線の混み具合から想像したとおりの急坂であり、縦走で疲れてきた足にはかなりの難所となった。
本来ならば急坂に喘ぐ姿を撮影するべきだったのだが、本当にしんどい時には撮影するどころではなかった。
それ以外の理由としては、気をつけなければずり落ちそうな斜面だったこともあったのだが・・。
ここは下りで通過する時にはけっこう怖いかもしれない。
はっきりしたトラックは無く、多少でも歩きやすいところを選ぶといった要領だ。




 ようやく登り終えたと思ったら、まだ奥に登りが見える。
地形図をよく見ると長義山のピークは2段に平らであることが分かった。
北東端で一段高くなっているところが三角点もある正真正銘のピークだ。
ということはあと10mくらいということで最後の力を振り絞ってもうひと登り。








14:29 長義山山頂(1,105.56m)到着

 ハードな100mの登り返しを経てようやく長義山に到着。
本日最後の三角点がお出迎えで充実感に包まれる。
これほど地味な山でも宍粟50名山に登録され、ピークには立派な山名板が立っている。
長義山は“なぎさん”と読むようだ。岡山の那岐山と紛らわしいのが問題だ。

 急坂の疲れを癒すために長義山で約10分小休止をとる。
山姿は端正だが、展望なしなのがちょっと残念だ。




14:38 長義山山頂出発

 長義山からは長義山登山口を目指して下山することにする。
長義山山頂に居る時から、時折麓を走る車の音が聞こえており、登山口が近いことが感覚的に分かる。








長義山からの最後の下り

 長義山の東斜面も急斜面だが、トラックはそれを避けるように北東から回り込んでいく。
急斜面は広く伐採されており、山頂では得られなかった峰越峠(みそぎとうげ)付近を見渡すことが出来る。
下山口に決めた長義山登山口も眼下によく見えている。








14:45 1,040m+コル

 長義山からの急坂を下りついたところが1,040m+コル。
草深いコルになっており、峰越峠へ続いているはずのトラックが見当たらない。
距離的には峰越峠でも、長義山登山口でも殆ど変わらないようなのだが、
峰越峠を目指すルートが不明瞭であり、もう登り返すのもイヤなので、やはり長義山登山口へ向かう。

 長義山登山口を目指すトラックも草深いが、どうにか踏み跡があることが分かる。
でも草で完全にルートが覆い隠されており、三脚で草を払いながらの行軍となった。
そうしないと足の置き場も見えないために危険だったのだ。
三脚があると色んな用途で使えることを改めて実感した。








14:53 長義山登山口

 1,040m+コルからの約100〜200m足らずのブッシュの突破に8分かかってようやく脱出。
無事に車道に降り立つことが出来て正直ほっとした。
程近いところにある長義山がすごく心理的に遠く感じた一場面だった。

 スタート地点の松の木公園は遥か遠くに。今日は本当に達成感を得られる国境尾根縦走となった。
満足感に包まれつつ、5分程度小休止をとる。

 ここからはちくさ高原スキー場まで約1km、下りの車道を歩くだけだ。








15:13 ちくさ高原スキー場で自転車を回収 (道路脇の時計は10分程度進んでいるようだ)

 約2時間前に見下ろしていたスキー場最下部で自転車を回収。
ここからはお待ちかねのダウンヒルで、一路松の木公園まで戻っていく。
この時間が本当に至福のひと時だった。延々と下り坂で風を切る楽しさ。
これはスキーにも通じるものがある。いつの間にやら汗もひいていた。

 自転車はルートバリエーションを豊富にするために導入したのだが、
これからはあえて自転車を使えるようにするための行程を組むようになる気がする。
そのためには下りよりも登りの歩きを長くする必要があるのだが・・。




15:45 松の木公園到着

 殆ど惰性に任せたまま、爽快な30分のダウンヒルだった。
スキー場から約11kmという距離からすると、これを徒歩でとなると2〜3時間はかかる。
改めて自転車の便利さを実感した。
 松の木公園はこの時間となると既に笛石山の山陰に入っておりとても涼しい。
自転車の折り畳み作業などの帰り支度も快適だった。




 今日は自転車導入の効果もあって、期待以上に本当に楽しい行程となりました。
またルートバリエーションを変えて、ぜひ再訪してみたいと思います。








 
佐用町のひまわり畑

 帰路、千種町から南下して佐用町へと立ち寄りました。
これまで何度か通っていますが、なかなか天候と花期と休みを一致させるのが難しいです。
今夏は見頃がやや遅れたため、3連休に見頃を迎えました。
夕景は初めてだったので、自分にとって見逃せないスポットです。






姫新線三日月・播磨徳久駅間、宝蔵寺地区にて


 はばタン列車も健在です。





夕日に照らされるひまわりは一層魅力的でした。

 暑かったけど、ひまわりを堪能しました。








行程断面図です



ちくさ高原スキー場から松の木公園までは11.1kmの車道を下ります。標高差530mのダウンヒルとなります。

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