「三久安山から藤無峠」 2014年 5月31日(土)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「音水湖」、「戸倉峠」




 〜 はじめに 〜

 三久安山はピストンや周回などで登るには少し物足りないのではと考えていましたが、
北方の藤無峠まで縦走出来ることを知ったのがきっかけで訪れることにしました。
どこまでも続く美しいブナの森に覆われた縦走尾根ということで楽しみです。

 縦走に先だって、まず藤無峠まで車で登って自転車をデポしておき、
引原野外活動センターまで引き返します。センター入口にあたる登山口横には
3台程度駐車出来るスペースが設けられています。








 行程概要 


 6:13 引原野外活動センター出発

 ピストンで登るのであれば林道終点まで車で入ることも可能だが、下山後の車回収のためにここから登る。
林道終点までは標高差180mの緩い登り。ウォーミングアップにはちょうど良いくらいだ。

 通り掛かった野外活動センターは宿泊している団体は居ないのか、人けはなくひっそりとしていた。








 6:38 林道終点到着

 唐突に舗装が途切れる林道終点に到着。
本格的な登りに入る前にここでちょっと小休止を入れる。
右側へ分岐する林道は地形図を見ると、南側の阿舎利山方面へ伸びている模様。




 6:49 林道終点出発








木陰乏しくいきなり暑い破線道

 林道終点の登山口からは古い作業道を辿っていく。概ね地形図どおりに登っていくようだ。
作業道に沿って見覚えのあるピンク色の花がたくさん咲いていた。
帰宅後に昨年の今頃にハチ高原辺りを歩いた時の自分のレポを参照して思い出した。タニウツギだった。

 まだ早朝なのに作業道一帯は全く木陰が無いことでたいへん暑い!
しかもなかなかの急坂で一気に高度を稼いでいくので息が上がってしまう。
いや暑さだけでなく前日までの仕事疲れもあっただろうけど。








台地状に広がる伐採地に出てくる

 上方には当面の目標となる981mピークのある稜線が見えてくる。
作業道沿いには草原に踏み込んでいく踏み跡も見受けられるが、今回は無難に道なりに進む。
作業道は一旦は森に入ると思ったら、そのままもう一段高い伐採地へ登っていく。








 7:15 840m+付近

 この辺りで林道終点からの登り始めの頃より着かず離れず見えていた尾根に乗り上げる。
東側は引き続き伐採地が広がっていて、雪が積もればそのままスキー場のゲレンデに使えそうな雰囲気。
何で西側は伐採せずに植林を残してあるのだろう。

 地形図の破線道は北東へ進むけど実際上は直登している。
そのおかげだろうけど地形図よりはかなりの急坂のように感じる。
やはり朝から暑いせいだろうか、この日はエンジンが掛かるのがちょっと遅かった気がする。








 7:33 目指していた主尾根に乗った

 林道終点より暑い登りが続いていたが、ようやく木陰たっぷりの尾根に入ってほっと一息つける。
下りで歩いていれば普通に引き続き下っていけそうな尾根だが、
マーキングや踏み跡は明瞭なので尾根を外し損ねる可能性は低いように思う。








 7:39 一山、阿舎利山を眺める

 不意に南側が大きく開いて、一山と阿舎利山を初めて遠望することが出来た。
近いうちにあの2つの山をつないで歩いてみたい。








 7:42 アンテナ

 一山・阿舎利山の展望スポットに続いて今度はアンテナが目に入った。
今でも使われているのだろうか。

 この尾根に乗った時は自然林だったのだが、この辺りは薄暗い植林が続く。








 7:46 981mピーク

 アンテナからまもなく981mピークに差し掛かるが、あるはずの三角点が見当たらなかった。
一瞬自分の読図違いではないかと思ったが、前後の地形からしてこの辺りだったはずなのだが・・。








 981mピークを過ぎると再び気持ちの良い自然林へ

 短いがややきつい登りを経て次の1,010m+ピークを目指していく。








 7:56 1,010m+ピーク

 北西に比較的大きな支尾根が派生する1,010m+ピークに到着。
ここで5分程度小休止をとっておく。

 三久安山までの行程を再確認すると、やはりちょっと歩行距離が短いように思う。
このペースだと9時前には着いてしまいそうだ。








1,020m+ピークを目指して

 次のピークまでのアップダウンは大したことはない。
尾根上に大きな岩が立っていてアクセントになっている。








 8:11 1,020m+ピーク

 南北方向に小さな支尾根が派生する1,020m+ピークに差し掛かる。
まだ三久安山までの道中を楽しみたい気もするが、木立の向こうには1,110m+ピークが見えている。








1,110m+ピークを目指して

 1,110m+ピークへの急登をこなしていく。
作業道を登っていた時よりだいぶ涼しいし、やはり自然林を歩くほうが気分が全然違う。
三久安山のハイライトはブナの森であるということだったが、この辺りから森の美しさが際立つようになってきた。
そして南北から別尾根が合流してくるのが見えたら目指す1,110m+ピークは近い。








 8:32 1,110m+ピーク

 三久安山の前衛峰的存在の1,110m+ピークに到着。
木立に囲まれて展望は無いが、北方には三久安山山頂が透けて見えている。
一方、ピークの南側には文字の取れかけた道標がある。地形図を参照すると道標には「溝谷」と表示されていたのではないかと思われる。
この南側の尾根を使うと三久安山を周回で歩けるようで、いずれかの課題としたい。

 5分程度小休止してからいよいよ三久安山へ向かうが、その間に自分が歩いてきた西側から単独男性が登ってこられた。
林道終点で駐車されてから登ってこられたとのことで、引き続いてすぐに三久安山へ向かわれた。
自分もすぐに後を追うように出発。1,110m+ピークから山頂への吊り尾根では素晴らしい自然林が迎えてくれた。








三久安山山頂付近のブナの尾根

 評判どおりに美しい森が続く尾根で山頂に到着するのが惜しく感じるくらいだった。
とはいっても1,110m+ピークから三久安山山頂までのアップダウンも距離もごく僅か。








奥はもう山頂が控えている








 8:48 三久安山山頂(1,123m)到着

 木陰たっぷりの尾根から飛び出して、日差しのきつい三久安山山頂に到着。
宍粟50名山の山名標、三角点は一段高い盛り上りに設置されている。
山頂からは開けた展望は残念ながら無いけど、木々の間からこれから向かう藤無峠方面が垣間見える。
この時に感じたことは思ったほど藤無峠が離れているように見えないということだった。
ぐるりと周回するような尾根だからだろうか。

 腰を下ろせて尚且つ木陰になっているところを見つけて滞在していく。
その間に前述の単独の方が山頂の北側から戻ってこられて、そのまま南へ引き返されていった。
この日に出会った方はこの方お一人のみだった。




 9:10 三久安山山頂出発

 いよいよ今日の本当のメインテーマといってもよい藤無峠への縦走を開始する。
ここからは宍粟50名山ルートではないから、いつもやっているけどしっかりと読図して周囲を把握しながら歩きたい。








藤無山展望

 三久安山山頂を出発してまもなく東側に展望が広がってくる。
藤無山は北山麓のおおやスキー場から見たことはあるが、西側からだときれいに整った山容で登りたくなる姿だった。








そして深いブナの森へ・・
























970m+コル

 いつものペースで通過してしまっては勿体ないと感じる尾根だった。
素晴らしい新緑とも相まって、思いがけず撮影枚数もどんどん増える。
尾根はなだらかで標高差も小さく、トレーニングとしてはちょっと物足りないかもしれない。
自分の場合はボッカトレの装備でも良かったと感じた。
それはともかくとして本当に癒される光景が続くと表現しても間違いなかった。








 9:45 1,012mピーク

 測量用のポール?が立っている1,012mピークに到着。
縦走尾根はここでやや西寄りに方向転換する。
一方、東側にはよく目立つ支尾根も派生しているが、ここは間違えにくいのではないかと感じる。
このピークまでで三久安山・藤無峠間の三分の一程度は早くも歩いていることになる。








引き続きブナの尾根歩きを堪能する








940m+コル

 ここからは1,067mピークへ向けての登りとなる。













990m+

 東側へ比較的大きな尾根が派生している。
等高線こそ閉じていないが、ここも隠れたピークといえるかもしれない。
















10:25 1,067mピーク

 緩やかな登りを経て1,067mピークに到着。
もうここまで来ると三久安山よりも藤無峠のほうが近い。
このまま縦走を完遂させると昼頃には終わってしまうなと思いつつ地形図を確認する。
するとこのピークにほど近いところの西側の尾根上に三角点のある1,034mピークの存在に気付く。
時間は充分にあるしちょっと寄ってみることにした。








1,034mピークへの支尾根は殺風景な植林が続く・・








10:35 1,034mピーク到着

 三角点の周囲が切り払われた1,034mピークに到着。
ピークを囲むように木々が生い茂っているので、残念ながら抜けるような展望には恵まれなかった。
西側の植林が無ければ赤谷山がよく見えそうだったが。








新旧二つの戸倉スキー場、及び氷ノ山の稜線を垣間見る

 以前赤谷山へ登る時に歩き、自分が初めて訪れたスキー場でもあるばんしゅう戸倉、そして一度だけ滑りに行ったことのある新戸倉を眺めて懐かしい思いになる。
新戸倉で見えているのは上部のメインゲレンデ跡で扇を広げたような形。全長は300mくらいで、ゲレンデ下部は狭くなるのが特徴だった。
ゲレンデのポテンシャルはばんしゅう戸倉のほうが格上だと思う。




11:15 1,067mピーク通過

 ちょっとではあるが展望を楽しんでから、1,067mピークへ戻って縦走を再開する。








1,067mピークを過ぎてもなお緩やかで美しい極楽尾根が続く








11:23 1,050m+ピーク

 このピーク周辺はやや地形が複雑。三方向に尾根が枝分かれするのでコース取り要注意だった。
この先は藤無峠へ向けて下りの局面となるので、気を抜かずにルートファインディングしていきたいところ。








慎重に地形を見極めていく

 右手には936mピークへ続く、同等の大きさの尾根が下っていく。
 この辺りは珍しく下草が生えており、明瞭な踏み跡が伸びている。








11:38 990m+

 美しい森の尾根は突如終わり、眼前には大きくなった藤無山が雄姿を見せてくれる。
この先の縦走尾根はしばらく伐採地となっており、思いがけず大展望の尾根歩きが楽しめそうだ。








11:55 980m+

 殆ど標高差の無い展望尾根を歩いていると、心地良く小休止をとれそうなところに差し掛かる。
眼前にはやはりあまり離れているようには見えない三久安山がなだらかな山容を見せてくれる。

 木陰で腰を下ろしてパンを食べてゆっくりしていくことにした。




12:12 980m+出発

 ここで尾根が大きく2方向に枝分かれするのだが、藤無峠へ続く尾根を読図により見極めると大丈夫。








12:13 三角点「阿舎利」(982.51m)

 980m+から歩き始めてすぐに三角点が目に留まる。
自分の持っている地形図には書かれていない新しい三角点のようだ。
点名は何故か少し離れたところの地名である「阿舎利」になっている。








三角点「阿舎利」を過ぎると、一旦は三久安山へ向かうような方向どりとなる








12:32 何とかブッシュの中にルートを見出す

 開放的な草原状の尾根だったが、唐突に森に行き当たって終わりとなる。
そろそろ尾根は藤無峠に向かって90度左へ方向転換するはずだが、左側の灌木帯にはルートを見いだせなかった。
ということで正面のブッシュをより注意深く観察してみると、明瞭な切り開きが隠れていることに気付く。








一旦深い森に入るがすぐに展望の尾根へ

 再び明確な尾根となり、前方には藤無峠を越える林道も見えてくる。




12:39 作業道へ降り立つ

 右手に現れた作業道へ向けて適当なところから飛び出す。
最後までよく見える三久安山に別れを告げつつ、そのまま作業道を下って藤無峠へ。








12:47 藤無峠(890m+)到着

 早朝に自転車をデポしに来た藤無峠へ降り立つ。
三久安山から始まった極楽尾根の縦走が終わってしまい、楽しかったもののちょっと歩き足りないなとも感じてしまう。
三久安山以北は本当に標高差が少なく、達成感を味わうほど疲れていないのだった。

 とはいうものの、車の回収、そしてテント設営などの所要時間を考えると、まずまず良い行動時間だったのではとも思う。







12:57 藤無峠出発

 いよいよ引原野外活動センターへ向けて長めのダウンヒルをスタート。
しかし藤無峠北側のダートロードのダウンヒルは、自分の想像を遥かに超えるほど難しかった。
結局、自転車から降りなければいけなかったこともしばしば。
路面が落ち着くところで自転車をデポしても良かったような気がした。








それでも途中からはノリノリの舗装路になる

 大河ドラマ「軍師官兵衛」でも注目した藤の花が見ごろだった。








13:22 林道を抜ける

 自転車にとって難所だったダートの林道を抜け、国道29号へ向けて下っていく。
翌日はこの近くの若杉峠から藤無山へ縦走予定だ。








13:50 引原野外活動センター到着

 音水湖周辺は意外とペダルを漕ぐ距離が長くて暑かったけど、なかなか良いツーリングだった!
車を回収後、いつものパターンでキャンプ場でのテン泊に入る。




 〜 終わりに 〜

 今回の縦走はブナの尾根を満喫出来る最高に楽しいものでした。
但し三久安山から藤無峠の標高差はあまりにも小さく、自分としてはもう少し距離が長くてタフな尾根だったらなあと感じたのが本音です。
仮に一日を長く使える日帰りプランであれば、藤無山まで充分足を伸ばせるなと思いました。
それはともかく、どんどん作業道が通されてしまう宍粟の山において、いつまでもこの美しい尾根が守られることを祈るばかりです。








行程断面図です




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