「若杉峠から藤無山」 2014年 6月 1日(日)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「戸倉峠」




 〜 はじめに 〜

 今日は昨日の「三久安山から藤無峠縦走」の続きのような行程です。
若杉峠から藤無山はあまり長い距離ではありませんが、途中の890m+コル(おおやスキー場からのルートとの合流点)
までは色んな意味で比較的タフな尾根です。
それと完全なピストンでは面白くないなどの理由もあって下山はおおやスキー場へ立ち寄ることにしました。

 当初の予定ではおおやスキー場へ車を置いて、登り返して若杉峠へ向かうというものでした。
しかしテントを撤収するタイミングがやや遅れたことから、若杉峠に車を置くことにしました。
今日は自転車の出番はありません。








 行程概要 


 6:30 若杉峠(720m+)出発

 若杉峠の旧道を宍粟市側に少しだけ進んだところで、尾根を目指せそうな踏み跡を見つける。








藤無山へ向かう市境尾根を目指す

 若杉峠付近一帯は薄暗い植林に覆われている。
最初に取付いたところはどうやら支尾根のようですぐにより大きな尾根に吸収される感じ。
やや急な登りで始まったけど、全般的には程好い斜度の登りが続く。








 6:59 815m標高点付近か

 しばらく登り続けていると、比較的明瞭な尾根になった。
しかもこの辺りから自然林が混じるようになってきて、断然に雰囲気が良くなる。

 ここまでただひたすら登ってきたのだが、もし下りで若杉峠を目指すとしたら慎重な読図が必要になると思う。








西の道谷側から同程度の規模の尾根が合流してくる

 この辺りはやや急な登りになるが・・








910m+付近

 別尾根合流後は再び緩やかな登りとなる。
やや東寄りに向きを変えていくので992mピークまで近いことを感じる。








 不意に眼前に現れる予想外の急登。ただし標高差は小さい

 おおやスキー場側は気持ちの良い自然林。道谷側は変わらず薄暗い植林と、好対照の光景が続いていく。








992mピークの少し北側から初めて木々越しに藤無山を見通す

 昨日と違って今日はまずまずの距離感。それでも遠いとまではいえない。








 7:31 992mピーク到着

 緩やかに登って992mピークに到着。若杉峠から歩き始めて約1時間。
残念ながら展望はないが、東側の遥か眼下にはおおやスキー場が垣間見える。
色んな物音がここまで聞こえてくるが、スキー場はまだ営業時間外だろう。
ここで行動食を摂って、オカリナを吹いて小休止。オカリナはスキー場までは聞こえてないだろうと思う。
このミニピークで若杉峠〜890m+コル間のほぼ中間まで歩いたことになる。




 7:49 992mピーク出発








890m+コルへ向けて

 992mピークからは概ね下りの局面で体力的には楽になるが、読図はより慎重に行う必要があるかもしれない。
それでも等高線950mを下回るまでは一貫して雰囲気の良い極楽尾根で、気分良くスムーズに歩ける。








おおやスキー場を時折見下ろしながらの快適な尾根歩き

 約3か月ぶりに目にするおおやのゲレンデはきれいな緑色。
おおやは規模的にはこじんまりとしているが、とにかく素晴らしい人工コブが楽しいスキー場だ。








 8:08 950m+ピーク

 本日の行程でほぼ唯一要注意と思われた箇所、950m+ピークに差し掛かる。
ここでほぼ直角に東へ方向転換するのを前提にルートファインディング。
いつも思うけど、もしコンパスが無ければ自分の方向感覚というのは山中では全くアテにならない。

 950m+ピークを越えて正しい尾根に乗り続ければ、そのまま道なりに890m+コルへ。
植林の向こうに想像以上に明るい谷間が見えるが・・








 8:16 890m+コル到着

 地形図からは風情のある峠を想像させるところだが、おおやスキー場から通された林道によってコルは残念にも破壊されていた。
千ヶ峰の北の市原峠を思い出すほどの規模で造成されている。
色々な事情で林道を通しているのだろうけど、自分が思うことは自然に対する畏敬の念が感じられないように見えることだ。

 造成により姿を変えられる前のコルの風景を想像しつつ、行動食を摂って小休止をとる。








 8:24 890m+コル出発

 読図必須の尾根歩きから一転して自然破壊の場に出てきたが、気を取り直して登山再開。
ここからは定番の一般ルートとなるため、よく踏まれた快適なトラックとなる。
とはいうものの、コルからは見上げるばかりの急登が植林の中に伸びていっており、ちょっと気合が必要なところだ。

また西側には昨日利用した藤無峠を越える林道へ向かうルートも分岐している。
いずれ藤無山を再訪した時にはコースバリエーションで使えそうだ。








標高差約60mの激登り

 非常に急坂ではあるが、一部には階段まであって至れり尽くせり。
標高差も大きくはないので、さほど時間を掛けずに乗り越えることが出来る。

 急登を過ぎると一転して緩やかな尾根になり、木々の向こうに藤無山まで垣間見えるようになる。
もう少しだけ進むと、絶好の藤無山展望地となる982mピークに到着だ。








 8:40 982mピーク到着(ピークから少し西側にコースを外す)

 手前に前鋭鋒を従えた形で藤無山がほぼ全貌を見せてくれる。
冬におおやスキー場上部から眺めた時の角度に近い。
ここは日差しが強くて暑かったけど、なかなかの展望なのでしばしの間眺めを楽しんでいきたい。








三久安山、一山展望

 西側には昨日歩いたばかりの三久安山が再登場。
今度は紅葉の時期に歩きたいものだ。




 眺めを楽しんでいるうちに暑さで汗が噴き出してくる。
早く木陰に入って出発しよう。








 8:55 950m+コル

 982mピークから僅かに下って950m+コルを通過。
東側は植林だが、西側は自然林で雰囲気は悪くない。

 ここからは藤無山まで一貫して登りとなるが、標高差は200mにも満たないうえに急坂もあまりない。
昨日と同様に自分としては今日もボッカトレで歩くべき行程だったかもしれない。








藤無山へ向けて気持ちの良い登りが続く

 等高線もそれほど詰まっていないし植林も多くない。
そして時折ではあるけど、背後には氷ノ山などの但馬の山々も見えたりする。
兵庫100山、宍粟50名山の中でも藤無山って案外侮れない山なのかもしれない。








 9:09 1,050m付近の分岐

 1,076m標高点ピークまでもうすぐというところで、藤無峠方面へ向かうルートが分岐する。
当初の行程では下りでこのルートを辿るつもりだったのだが、予想よりもこれまでの登りで時間が掛かったこともあって今回は見送ることにした。
 山行とは直接関係ないけど、温泉に入る時間、帰路に要する時間、そして帰宅後にテント等を干す時間まで、テン泊後の日曜はけっこうタイトな日程なのです。








 9:16 1,076mピーク

 分岐から一登りで1,076mピークと思われる地点に到着。
前方にはぐっと近くなった藤無山山頂付近が木々の向こうに垣間見える。








 1,076mから僅かに下って1,060m+コルを通過。まだ少し距離はあるけどもう藤無山山頂まで遠くない。








初めての藤無山山頂まであと少し・・

 この辺りで下山中の単独男性の方とすれ違って挨拶を交わす。
昨日と同じく今日も山行中に出会った方はお一人のみ。








 9:36 1,130m+からの展望

 南北に長い形状の藤無山山頂の北の肩に飛び出した!
やや木々に遮られるところもあるが、氷ノ山をはじめとして未踏の妙見山まで但馬の山々を広く見渡すことが出来る。

 ここまで来ると三角点のある最高点辺りが南側に見えている。








 9:39 藤無山山頂(1,139m)到着  段ヶ峰方面を遠望する

 南東側に窓が開いている誰も居ない藤無山山頂に到着。
木陰もたっぷりあって涼しく過ごせそうな良い山頂だ。但し今の時期はやたら虫が多いけど・・。

 若杉峠から約3時間。スキー場からのルートが合流する890m+コルからは約1時間。
距離はほとんど同じでも、やはり一般ルートに入ってからは行程時間が稼げるようだ。

 しばらく行っていない段ヶ峰方面を眺めつつ、山頂での時間を過ごしていくことにしよう。
なお急斜面の切り開きを下っていくルートを見て、藤無山の南東側も歩きたくなってくる。








新旧二つの山名標が立っている藤無山山頂

 宍粟50名山がお馴染みになってきたけど、木造りの古いほうが味わいがあるかもしれない。
















10:08 藤無山山頂出発

 約30分の滞在を経てから重い腰を上げて出発する。
下山の行程の半分はピストンなので、この時刻であれば昼頃には山行を終えられるはずだ。








登りの時には気付かなかったが、新戸倉スキー場跡も見えた

 今年はまだ行っていない氷ノ山も近いうちに登っておきたいなと思った。




10:40 890m+コル到着

 下りはやはり早い。登りの半分のたった30分近くでコルまで降りてきた。








10:43 890m+コル出発

 行程的には面白くないけど林道歩きを経ておおやスキー場へ向かう。
途中では削られた山腹が土砂崩れを起こしている箇所まである。
削られて地肌がむき出しになっているから崩れるのは自然の摂理であるとさえ思う。
いずれにしてもせっかく通した林道だが、スキー場から890m+コルまでは徒歩でしか行くことが出来ない状況だ。








10:55 おおやスキー場第1リフト降り場

 890m+コルから僅か10分弱で到着。ここからはスキーシーズン中に見ているのだが、雪景色の下には無残に削られた尾根が隠されていたのだった。
但しこの林道はスキーシーズン中には“おやこみち”という名の初級コースとして活用されている。
プルークで行う低速練習では使えるかもしれないけど、おおやへ来る時は人工コブが主な目的になっているので、
自分はまだおやこみちコースを滑ったことがない。

 話を山行に戻すと、おやこみちの林道の向こうには、朝に縦走した992mピーク(三角点「若杉」ピーク)のある稜線がよく見える。








急斜面を登ってくる第1リフト

 下部にはサマーゲレンデの一部と滑走中のスキーヤーが見える。
そして営業中の第3リフトの稼働音がここまで聞こえてくる。
自分はまだプラスノースキーをやったことがない。
ちょうど良い機会だから見学してみようと思ったのもこの行程を組んだ狙いだ。








おやこみちの林道から外れ、一旦おおやのメインバーンに出る

 メインの中・急斜面を歩いて降りるのは大変そうだし、途中から再びおやこみちへ向かう。








11:05 おおやスキー場 サマーゲレンデ

 おやこみちを歩いて降りるとサマーゲレンデ(第3ゲレンデ)の上に出てくる。
ここで10分近く見学。身体の使い方が本当に冬のスキーと同じように見える。
無雪期は山行をメインにはしたいが、時には感覚を掴むためにもサマーゲレンデを活用したいと思った。
使っていない古いスキーとブーツを用意しておこう。








ロッジふじなしを過ぎると舗装路に変わりメインゲレンデの下部へ。

 スキー場から県道48号に出るまでは下りだが、その後は若杉峠まで約80mの標高差を登り返さなければいけない。
車ではあっという間なのだが、徒歩だと若杉峠まで暑いし長かった。








11:41 若杉峠到着

 暑い舗装路歩きを終えてようやく車を置いている若杉峠に到着。
読図の楽しさを味わえる縦走から好展望の藤無山。
そしてサマーゲレンデの見学まで盛りだくさんの山行だった。




 〜 終わりに 〜

 夏を先取りしたような非常に暑い2日間でしたが、絶好の好天で最高の週末でした!

 若杉峠から藤無山への縦走は、昨日の三久安山から藤無峠同様に程好い距離で楽しめます。
但しこれも昨日と同じく、行程の半分は道標が一切無く未整備。地形図とコンパスによる読図が必須です。
昨日分のレポでも触れましたが、日の長い時期を選んで三久安山から藤無山まで縦走出来そうなので一度試してみたいと思います。








行程断面図です




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