「三国平から若杉峠」 11年11月 3日(木)


国土地理院地形図
 : 25000分の1 「岩屋堂」、「西河内」



 〜 はじめに 〜

 以前、掲示板にてやまあそさんからご推薦されていたところです。
紅葉の見頃に合わせて訪れることにしました。
当初の計画ではお薦め通りに江浪峠から東山手前まで縦走予定でしたが、
自転車デポ地へと至る林道が土砂崩れのために通行止めになっていました。
ということで今回はプランを縮小せざるを得ませんでしたが、
全く初めてだったこの山域を充分楽しむことが出来た一日となりました。
お薦めいただいたやまあそさんには改めてお礼申し上げます。

 林道は部分的に通行止めとなっていますが、その手前の芦津越登山口に
自転車をデポすることにより、当初の計画に近い形でアレンジ出来ました。









 行程概要 (山中のルートは不正確です)



 若杉峠周辺はポピュラーなハイキングコースとなっており、
トラックはしっかりと整備されています。(鳥取県側はやや荒れた感じ)
行程前半、鳥取県側から江浪峠へ登るルートはやや難易度が高いです。
江浪峠に達する手前でルートが急に不明確になることが原因です。
ここに関してのみ次回に課題を残すことに。


 7:32 江浪峠登山口出発

 芦津越登山口に自転車をデポしてから、江浪峠登山口より登り始める。
やや道幅の狭い舗装林道だが、ここはヘアピンカーブの外側に数台駐車出来るスペースがある。
登山口には江浪峠と記された標柱が立っているが、この標柱がこれから登るルートでは唯一の道標だった。
 距離的にはたいしたことないが、江浪峠へ至る長い道のりの始まりだ。
このルート上で他の人と会う可能性は限りなく低い。先月の龍野の大倉山でのような失敗が無いよう慎重を期さなければ。








 トラックは地形図どおりにすぐに沢沿いに出て緩やかに登っていく。
登山口から程近いところでも、このように紅葉の木々をすぐに見ることが出来た。
出だしからトラックは基本的には明瞭なのだが、ふとルートが途切れるように見える場面がある。
そういう時はジグザグが始まるために、トラックは急角度で右へ折れている、というパターンが続く。
常に観察を怠らないように気をつけたおかげで、スムーズに登っていくことができた。

 なお最近の天気の巡り合わせの悪さのせいで、今回の山行は前回の氷ノ山から3週間も開いてしまった。
しかも最近の仕事疲れも加わってか、この日の体調は今ひとつのように感じた。
林道が通行止めという想定外の事態もあったが、プランを縮小してちょうど良かったかもしれない。








 8:00 紅葉エリアに突入

 登り始めからしばらくは植林の割合が多いが、少しずつ雑木林の度合いが増してくるようだ。
今回の目的の一つである紅葉狩りを楽しむことの出来るエリアに入ったらしい。
ここに至る途中のトラックの写真を割愛したが、ジグザグの連続で変化に乏しかったのである。








紅葉を満喫!!

 東の稜線から昇ってくる朝日に照らされて、目にも眩しい紅葉だった。
やまあそさんもご指摘されているように、この辺りが最もきれいではないかと思う。

 ここよりしばらくは写真撮影に忙しかったので、所要時間は全く参考にならない。









 天然の庭園というか、京都で味わえるような侘び寂びと同じ心境に浸ることが出来る。
長期予報どおりに今秋は高温傾向なので、紅葉も長く楽しめるのではないだろうか。
それはともかく、とにかく週末に雨が多いのが問題となっている。
早くも来月はスキーシーズンが始まる可能性のある12月。
まだまだ山歩きにも力を入れたいので、希望通りにプランを消化出来ればいいのだが。









しばらく続く紅葉ゾーン。写真では落ち葉で分かりにくいが、明瞭な山腹道が通っている。

















 つい写真を撮りたくなる光景が連続する。ちなみにこの日の天気は「曇り時々晴れ」。
弱い気圧の谷に入っているために、やや天候が不安定の見込みだったが、このエリアではしっかり晴れてくれた。
最近は平日ばかり好天で、本当に天気運が悪いのだが、この時ばかりは珍しく天も味方してくれたようだ。

















 紅葉に彩られた素晴らしいトラックがしばらく続く。この調子で江浪峠まで歩ければ良かったのだが・・。









 紅葉は一段落するも、このような巨木にも出会える。
トラックは相変わらずジグザグが続いているが、平行している尾根上も歩くことが出来るようだ。








 8:53 1,124mピークを見上げる

 ジグザグが尾根に乗り上げるところでは、このように周囲の景観も開けてくる。
向かい側の山肌はきれいに紅葉しているところ、単調な植林、また山頂直下を無残に削られた1,124mピークなど、
色んなものが一度に見える何だかまとまりのない景観だ。1,124mピークは岡山、鳥取両県の境界尾根上にあり、後ほど通過することになる。




 この景観を眺めてまもなく、辿っていたトラックは初めて尾根より西側に回りこむ。
いよいよ問題のゾーンがやってきたようだ。








 9:01 いきなり不明瞭になる

 やまあそさん情報により知っていたが、このトラックは江浪峠に近いところではっきりしたルートが確立されていない。
このトラックというか山腹道を辿っているとどうやら峠へは至らないようなのである。
ということで、どこかでこのトラックを捨てて峠を目指さなくてはいけないと認識している。

 おまけに尾根の西側に出た途端、トラックにはブッシュが生い茂り、
またドロドロのマディーな状態にもなっていることも難易度を高めている要因と思う。
おそらく日当たりが良いところへもってきて、ここを歩いている人が殆どいないのだろう。








 9:13 江浪峠へ向けてトラックを外れる

 地形図、及び周囲を観察して、ここからトラックを外れるべきと判断。
でも確信を持ってとまでは言えず、この地点の記録を残す必要があると思い撮影。
結果から先に触れると、自分の判断は早過ぎた。

 トラックを外れてからは完全に藪漕ぎ。歩きやすいところ、または細い谷まで使ってひたすら稜線を目指す。
途中で2回ほど休憩ついでにコンパスで方向確認。しっかり南を目指していたので程なく峠に着くはず。
稜線間近というところで、密集した笹薮に難渋する。ちょうど手近なところに笹薮をなぎ倒す形で大きな倒木があって、
これも手がかりに使って笹薮を突破。行く手には平らな尾根が見えた。
目指す江浪峠からは逸れたようだが、どうやら無事に稜線には乗ったようだ。
周囲の地形を改めて確認しようと思ったが、どうやらその必要もなかった。








 9:36 江浪峠ではなく、1,128mピーク「三国平」到着!?
 宍粟50名山 No.12 三国平(1,128m)   この写真奥の藪から飛び出てきた 

 ここはどこ???状態でこのピークの広場に飛び出した。
なんとそこは「三国平」と呼ばれる1,128mピークだった!

 「宍粟50名山」の本により名前だけは知っているという状態で、今回は訪問する予定ではなかっただけに周囲の地理関係の把握は全く出来ていなかった。
想定外のピークに達した驚きと、難所の藪を抜けた安堵感と、プランのルートを逸れた焦燥感に包まれて、改めて地形図をじっくりと観察。
江浪峠のすぐ東の1,128m標高点ピークに居ることを理解出来るまでしばらく時間が掛かった。
プランのルートからは外れたが、江浪峠まではすぐのようだし、この平らなピークを出発する際の方向確認さえ出来ればもう一安心のようだ。

 そこまで情報を整理してから、ザックを下ろして丸太のベンチで一息入れることにする。
今回の藪突破に関しては結果オーライとなったが、目指していた江浪峠からは少し東へずれたということで、
自分の勘もあまりアテにならないと再び反省材料を抱えた山行となった。
正解はもう一つ尾根を回り込むまであの草ぼうぼうの水平道を辿るべきだったか。

 いずれにしても、丸太ベンチでしっかりと整備された三国平はたいへん居心地が良く、藪漕ぎで疲れた体を休ませるには好適だった。
でも平らなピークは自分以外誰も居らず本当の静寂に包まれており、クマ避けのために時折音を出すことは怠れない。

 三国平と名付けられてはいるが、三県の境からは少し東へ逸れており、またこのピークの東にはもっと高い尾根が続いている。
ここを宍粟50名山の一つとしていることは、自分としてもやはり違和感があるのは否めない。やまあそさんも推測されているようにネタ切れだったのかな。

 東へ誘うように赤テープがピークの東に目立つように付いている。しかしピークから東はルートは無く、進むには完全に藪漕ぎを強いられる。
なおこの稜線のずっと東は大通峠を経て三室山へ続いているようだ。トラックがあれば歩いてみたいのだが・・。








10:14  1,128mピーク「三国平」出発

 しっかり大休止。オカリナ演奏と今後のルート確認を行ってから出発。
今後は境界尾根を縦走して若杉峠へ向かうが、とりあえず峰越峠を目指すルートを辿る。
うっかり峰越峠へ下りてしまえば車と反対側の兵庫県側へ下山してしまうので気を抜けないと思ったが、
これから辿る区間はしっかり道標が完備されていて、そんな心配は杞憂に終わった。








10:19 江浪峠
江浪峠のお地蔵さん  昭和8年8月建立 千種村西河内 施主 田中佐太郎 と書かれている

 藪漕ぎをしなくても歩けるとはなんと楽なことかと感じるトラックを進むと、あっけなく当初到着目標にしていた江浪峠に到着。
広い尾根上に位置する峠で、周囲を雑木林に囲まれている。お地蔵さんも佇むとても雰囲気の良い峠だ。
お地蔵さんは昭和8年8月に千種村の田中佐太郎さんが建立されたもので、その当時にはこの峠が生活に必要なところだったことが伺える。

 今ではこのような峠でもほんの10年ほど前までは深い笹薮に覆われていたというから驚きだ。
今日の登山ブームが在りし日の峠の面影を取り戻すのに役立ったともいえるかもしれない。

 次の目的地の若杉峠へ向かうには、まだ峰越峠へ向かうのと同じルートを辿る。
トラックは三叉路になっている峠のすぐ北で90度西へ曲がる。
江浪峠を挟んで天児屋と吉川に行き来があった時には健在であったであろう峠道は直進していたはず。
当初の目論見どおりだったならばここから飛び出ていたであろう曲がり角から北側を見ると、明瞭なルートは無く藪漕ぎが必須なことは変わりないようだ。








江浪峠付近の紅葉の森

 江浪峠から若杉峠へ向けて西へ歩くが、一帯はとても雰囲気の良い森で思わず足が止まる。
日当たりの良い雑木林に点在する紅葉が見事だ。かつては猛烈な藪だった森のようだが、今では明瞭なルートが続いている。









振り返ると1,128mピーク「三国平」が本当に平らな姿を見せてくれる








10:30 三県境の出合

 自分の場合は江浪峠から10分くらいかかったが、普通に歩くともっともっと近いはず。
歩いてきたトラックが突き当たったところが、三県の県境に位置する出合となる。
実際には数メートル程度の誤差はあるかもしれないが、ここが三国鼎立?の要となっていると考えて差し支えないようだ。
峰越峠へ向かう場合はここから南へ。若杉峠は北へ向かう。過剰と思われるほどの道標があるので、戸惑うこともないと思う。
ここからは気軽に道なりに若杉峠へと岡山、鳥取の県境尾根を西進することとなる。








10:40 1,140m+ピーク

 三県境の出合からは植林が多くなり紅葉は一段落。
でもその代わりに今度は展望が開けてくるようだ。

 三県境の出合から少しだけ登って1,140m+ピークに到着。
全開とまではいかないがある程度切り開かれていて、展望を得ることが出来る。
切り株の上に立てばもう少し見えるかな。








1,140m+ピークの少し北での展望スポット

 少し北へ進んだところで、より広く見渡すことが出来た。
3週間前に歩いた氷ノ山が頂上の山小屋まで見えるし、近くには未踏のくらますが誘ってくれる。

 江浪峠から若杉峠間の縦走尾根は極端な高低差は無く、比較的穏やかな尾根歩きが出来るようだ。
逆にいえば少し変化には乏しいと感じるかもしれない。








1,124mピークから東山までが勢揃い

 氷ノ山とくらますの景観の次はこれから辿る行程後半の尾根の様子が見えてきた。
1,124mピークの切り開かれた山肌が痛々しいが、これが地形図でピーク直下に描かれている実線道のようだ。
一応この辺りは国定公園内のはずだが、あの工事は許容範囲なのだろうか。

 写真では見えにくいが、若杉峠付近にあるという東屋もはっきり見えた。
ここから見る限りでは展望が楽しめそうな東屋だ。
そしてその右奥にはこの山域で最高峰の東山が孤高の姿でよく見えている。
今夏に歩いた後山〜ダルガ峰同様、この辺りは緩やかな高原状の尾根が多いなと感じる。








11:14 1,090m+コル

 緩やかに下りついたところが1,090m+コル。無残に山肌を削ったのに工事は途中で中断されているのか草が生え放題。
開発されるまではここも風情のあるコルだったろうと思いを巡らす。
向かい側には寸断された続きがすぐに見つかった。








11:18 1,124mピーク

 1,090m+コルから少し登り返して、三国平の手前からよく見えていた1,124mピークに到着。
正確にはピークの端っこではあるが、猛烈な笹薮のためにルートを外れることは困難だ。
ピークで僅かに残った木がモニュメントのようだった。








静かな尾根歩きが続く1,124mピーク以西

 1,124mピークを過ぎると、一転して森に覆われた尾根となる。
基本的に展望は無く、標高差も少ないので黙々と歩く感じになるが、時折進行方向に見える東山が印象的だ。
いずれあのピークにも立ってみたい。








11:36 廃屋

 1,124mピークからはハイペースに歩いてきたが、ここで再び中途半端に開発された現場に差し掛かる。
地形図を見るとここにも実線道が上がってきている。これは必要な工事だったのか大いに疑問に思う。
道なりに向かいの山肌を見るも、ここでは続きが見当たらない。
廃屋の横から南へ下る道を少し入ったところから続きが始まっていた。
要所には赤テープが貼ってあったので、さしたる苦労もなく見つかった。








若杉峠が見えてきた

 廃屋を過ぎてからもなかなか雰囲気の良いトラックがしばらく続いたが、ほどなく若杉峠が見えてきて縦走も終盤だ。
向かいの1,080m+ピークには、先程から見えていた東屋があるが、とりあえずその前に若杉峠の風情を味わっておきたい。
最後の急階段を降りると、そこが目指していた若杉峠だ。








11:50 若杉峠到着

 江浪峠よりは若干手狭な感じだが、お地蔵さんの鎮座する昔ながらの峠だ。
この峠の歴史も古く、吉川と西粟倉間を行き来した旅人が通っていた光景が
思い浮かぶ。

 若杉峠は紅葉スポットの若杉原生林にも近いことから、子供連れの方まで
含めて多くのハイカーが行き交っていた。山行開始からここに至るまで
人の気配皆無の状態が続いていたのでまさに対照的だった。

 この若杉峠とこれから向かう東屋では、出会う方々と話しながらという
感じになるので、所要時間は全く参考にならない。
お話してみると若杉原生林のみを歩かれている方が多いようだ。
こちらのほうもまたの機会に歩いてみたい。




12:00 若杉峠出発

 何だか曇りがちになってきたが、とりあえず東屋へ立ち寄っていこう。









中国自然歩道  若杉峠と地蔵尊

 岡山県と鳥取県との県境にあるこの峠を、若杉峠といいます。
この山道は、昔美作(岡山)と因幡(鳥取)を結ぶ最も近い要路であったそうです。
人々の往来の盛んだったこの峠に、旅人の安全を願って、宝暦甲成年7月
(1754)若杉地蔵尊が建立されました。

 今日では交通機関の発達によって、この峠を越える旅人の姿は見えなくなり
ましたが、この地区の豊かな自然を求めて訪れるハイカーが多くなり、昔旅人の
安全を守っていたお地蔵さんも、今ではハイカー達の安全を静かに見守っています。
蔦漆 ウルシ科 Anacardiaceae

ツタウルシ RHUS AMBIGUA

 さわるとかぶれることがある。3枚1組の葉が目印。
初夏に小さな黄緑色の花が咲く。秋には赤く紅葉する。


 若杉峠から先はこれまで荒れ気味だったトラックが一転して遊歩道状態になっていた。
今日は藪漕ぎから遊歩道まで色んな場面に出会う山行となった。



 短いが比較的急な丸太階段を登りきると、そこには周辺の案内板があった。居合わせた他のハイカーさんとお話しながら案内板に目を通す。

中国自然歩道 芦津・吉川コース案内図

 八頭郡智頭町と若桜町の間には標高1,338mの東山を最高峰として1,100mを越える山々が造った高原状の沖ノ山・東山山地が広がり、
林道沖ノ山線が通じています。
 また、沖ノ山の北斜面から若杉峠にかけては氷ノ山後山那岐山国定公園に指定されており、芦津渓谷、ブナ、スギ混交原生林、
若杉原生林など貴重な自然に恵まれ、一帯には野鳥も多く、ハイキングや自然観察コースとして素晴らしいところです。









案内板のすぐ横にある東屋 東屋から見た氷ノ山(山小屋2軒も見えている)

 周囲の伸びた草木で全開とまではいかないが、周辺の景観を広く見渡すことが出来る。
ここで写真を撮ったり、お話したり、そして昼食のパンを食べたりして大休止する。
皆さんしっかり作りこんだお弁当を広げていて、自分にもたくさんおすそ分けを薦められましたが、りんごだけ戴きました。ありがとうございます。
時に複数で賑やかに歩くのも遠足のような感じで楽しくて良いと改めて思った。
皆さんには自分が少食であることを驚かれたが、考えてみれば山行中にしっかり食べたことが今までなかった。
その分いつも夜にたくさん食べるのだけれど。




12:39 若杉峠の東屋出発

 案内板から昼食までご一緒させて頂いた皆さんとお別れして出発。
あとは若杉峠まで戻って、鳥取県側へ下るだけとなる。








美作越コース

 若杉峠では、「鳥取県側民家遠し」として、安易に立ち入らないよう案内している。
麓の吉川まで下るのは遠いが、自分の場合は中腹の林道までだからそうでもない。

 美作越コースはほぼ地形図どおりの実情のようで、まずはどんどん谷へ下っていくようだ。
一応は整備された模様だが、あちこちが冠水していて快適に歩けるとは言い難い。




12:51 谷と出合う

 若杉峠からさほど遠くないところで谷に出合う。
最近の雨の多さからか、もう水がしっかりと流れている。









 意外にも谷と出合ってからのほうがしっかりと整備されたトラックとなっていた。
このように高巻いたり、時には渡渉しながら順調に下っていく。
空模様はどんよりした曇りが続くが、まだ雨が降る気配はないようだ。









 トラックは流れに沿ってどんどん下っていく。ここは清涼感たっぷりで夏に歩くと気持ちよいかもしれない。



 まもなく下方に舗装林道のガードレールが見えてくるが、そこで東から別の道が合流する。
地形図にも描かれていないし、どこへ向かう道なのだろうか。








13:15 美作越登山口

 若杉峠から約30分で舗装林道へ降り立った。
この付近には登山口が2箇所あり、自転車を置いていたのはここではなく実は芦津越登山口のほう。
といってもこの2つの登山口はすぐ近くにあるから問題ない。
なおこの2つの登山口の間には、林道から吉川へ下るルートも始まっている。




13:17 芦津越登山口

 芦津越登山口から芦津越を辿ると、林道の土砂崩れのために断念した南北に伸びる尾根に乗り上げる。
またの機会にはぜひこちらも歩いてみたいものだ。

 芦津越登山口前でデポしておいた自転車を回収。
あとは車を置いている江浪峠登山口へ戻るだけだ。








13:28 自転車を回収し、芦津越登山口を出発

 前述したように美作越とこの芦津越の続きがこの林道の下からも続いている。
吉川を基点にするとけっこうタフな山行となるが、日の長い時期には試してみたい気もする。

 この舗装林道は交通量は極少だが、まれに車が通るのでスピードは控えめにしたほうが良さそうだ。
体感的に9割以上は下りだが、少しだけ登りもある。




13:39 江浪峠登山口到着

 芦津越登山口から僅か10分足らずで出発地点に戻ってきた。
プラン縮小のため仕方がないが、もうちょっと自転車に乗っていたかった思いがする。
















 帰路、思わぬ名所が目に飛び込んできたので、車を停めて立ち寄りました。








重要文化財 不動院岩屋堂

 大同年間(806〜810)飛騨匠の創建と伝えられる。
 現在の建物は、鎌倉時代に源頼朝が再建したものといわれ、
天正9年(1581)羽柴秀吉の鳥取城攻略のとき、他の建物は
兵火にかかり焼失したがこの堂だけが残ったと伝えられる。
 鳥取県では有数の古建築で、三朝町の三仏寺投入堂と同じように
修験道の道場であったものと推定され、岩窟の中に建立された正面
三間、側面四間の舞台造である。
 本尊の黒皮不動明王は高さ1.2mの坐像で、弘法大師の作と伝えられる。

 鳥取県


 不動院岩屋堂は、間口約7m・奥行き約10m、高さ約13mの天然の
岩窟内にある投げ入れ堂方式の建造物である。
 正面3間(5.4m)、側面4間(7.1m)で屋根は前方が入母屋造りで、
後方は切妻造り、床下は舞台造りとなっている。
 この建物は昭和28年11月14日、国の重要文化財の指定を受け、
昭和32年3月31日に18ヶ月を費やした復元工事を完了した。

「不動院岩屋堂修理報告書」によると、
・ 建立年代が明らかでないが形式手法からみて、室町初期(1340〜)と
思われる。
・ 安永年間(1772〜1781)に大修理がなされている。
・ 今回の復旧整備で、ほぼ建立当時の姿態に復した。 としている。
不動院岩屋堂

 まだ行ったことがないが、三徳山投入堂を想起させる。
不動院岩屋堂は吉川から出てきた県道が国道29号に達するすぐ手前にあった。
今までこの名所の存在は全く知らなかった。
高いところが好きなので可能であればあの舞台造りの上に立ってみたかったが、
残念ながらあの建物に近づくことすら出来ず下から見上げるのみである。

 ということで、今日の山行に使用した地形図「岩屋堂」の名の由来が帰路に分かった。









 三国平から若杉峠などから下ってきた水を集める吉川川。
夏にはぜひ泳いでみたいと思わせる清流だ。

 不動院岩屋堂では晴れていたが、戸倉峠を越えた頃から空模様が怪しくなり、
波賀、山崎付近では雨となった。夕方には雨という予報が当たっていたようだ。
次回はより安定した天候の下で歩ければよいのだが・・。








 〜 終わりに 〜

 今回の山行は江浪峠以北に部分的に不明瞭というか、明確なルートが無いエリアがあります。
ここでは地図読みが不可欠であり、こんなことを書いている自分も課題となった山行でした。
それ以外はほぼ快適に歩けます。また、出来ることなら林道の復旧状況も確認してから決行したほうが良さそうです。








行程断面図です




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