「蛇谷ヶ峰」 村井バス停発着 09年6月1日(月)
国土地理院地形図 : 25000分の1 「北小松」 参考文献 : 山と渓谷社 【比良山】 P.41「釣瓶岳・地蔵山」 、 P.44 「蛇谷ヶ峰」 : 昭文社 山と高原地図 【比良山系・武奈ヶ岳】 比良山系に興味を持ってからずっと歩いてみたかった奥比良縦走路と蛇谷ヶ峰。 梅雨目前の時期ではあったが、当日は最高の天候も期待出来そうということで遂に実行した。 ということで目的地はすぐに決まったが、ルートの向きをどうするかでけっこう迷った。 結局、ハイライトとなる蛇谷ヶ峰を後にもってこようという判断で、村井バス停をスタート地点にすることに決定。 まずは奥比良縦走路の途上にある地蔵峠と地蔵岳を目指す。 9:08 村井バス停出発 (200m+) 出町柳駅前から約1時間15分で到着。今日もやはり過半数の乗客は坊村で下車。村井バス停で降りたのは自分だけだった。 まだ他にも数名のハイカーが乗車されていたが、朽木寄りから蛇谷ヶ峰に登られるのだろうか。 準備運動をしてからバス停を出発。少し道沿いに南下して、村井フィッシングセンターの看板が指し示す脇道へ左折。 フィッシングセンターは看板からすぐのところにあった。釣りは小学生の頃、週末毎に行ってたが今はしていない。 ちょうど1ヶ月前の白滝山の時と同様に、序盤は舗装林道歩きとなる。 但しこの「林道鵜川村井線」は奥比良縦走路が走る尾根をトンネルで貫き、琵琶湖側へ抜けることが可能となっている。 そのためにたまに車が通ることがあって要注意。この通り抜け可能な林道のことを何気に地形図で見ていた事が、後になって役立つことになるとはこの時は知る由も無い。 |
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9:35 地蔵山登山口 (290m+) 2つめのヘアピンカーブのところに登山口があった。ここでようやく舗装路から開放される。 登山口からは気持ちの良さそうな幅広のトラックが始まっている。地形図を見ると、最初の目的地である地蔵峠まで 緩やかな尾根が延々と続いている。なかなか快適な登りになりそうだと期待を膨らませたが、 この後それは完膚なきまで打ち砕かれることになるとはこの時には知る由も無い。 |
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登山口から始まる幅広のトラック 緩やかな尾根上にはずっと幅広のトラックが続いていた。山道というよりも未舗装林道と言い換えたほうがいいかもしれない。 軽トラなら登れるかもしれないくらいだ。でもこの時はまだ序盤はこのようなものだろうという気持ちで歩いていた。 いつものパターン通りに、そのうちに純然とした山道に変わるはずと。 |
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10:05 地蔵山登山口その2 予想外にも未舗装林道は長かったが、ようやくここから本格的な山道になっていた。 周辺の状況は未舗装林道がこの入口のすぐ下で二手に分岐していた。 二手に分かれた未舗装林道は、尾根の南側と北側を通って更に上方へ続いている模様。 この尾根の林道は素人目に見る限りでは比較的最近に拓かれたもののようだ。 林道を敷設したことによって尾根の様子は以前から大分変わっているに違いない。 この頃から、これは大規模な自然破壊ではないのかという思いになっていたが、ともあれ山道に入ったことで気持ちを切り替えられそうだった。 ようやく山道には入ったが、落ち葉がふっくらと溜まって、あまり人が入っていないようだった。 村井からアプローチするこのルートはあまり需要がないのだろうか。うすうすとそんな感じがしてきた。 後で目の当たりにする現状によって、不幸にもその予感は当たっているであろうことが判明する。 山道に入れば美しい森歩きにはなった。しかし、更に上方へと続く林道がすぐ側を通っているのが時折見えてきて、 林道がいつまで続くのかとても気になってきた。 |
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10:20 589mピーク 深い樹林に覆われた589mピークの横を通過。この頃まではまだある程度地形図から現在位置を追っていくことは出来ていた。 しかし、このピークを過ぎると、森は再び無残に林道によって寸断されていることが目に入って愕然とする。 この後、林道歩きと森歩きのチェンジを幾度となく強いられる。もう完全に山歩きの雰囲気はぶち壊された。 いつ746mピークを通過したのかも判然としない。というかピークが残っているのかも分からない。 林道によって尾根は無残に形を変えられていた。何度も従来の森と、一段低くなっている林道を行き来したが、 切り開かれた路肩の土はまだ固まっておらず、本当につい最近破壊されたように見える。 他にいくらでも金の使い道はあっただろうにと、憤慨しながらの山歩きとなってしまった。 なお、惨状は殆ど写真を撮っていない。撮る意義を見出せなかったので撮れなかった。 |
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かろうじて残された森を登る 無残に破壊された場面ばかり見てきたから、残された森が更に美しく見える。 もう途中から現在位置は分からなくなってしまい、また林道も終わる気配が無い。 見どころといえるところがなかったので、比較的早くに尾根の上方へ達しそうだ。 |
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11:13 地蔵峠 村井バス停を出発してから約2時間で地蔵峠に到着。峠からは少しだけ窓が開いていて、東側のリトル比良を眺めることが出来る。 でも残念ながら林道も一緒についてきてしまい、この峠のすぐ側を通っている。 今日の山行で、美しい比良山系の尾根の一つが無残な姿になっていることが分かって本当にがっかりしてしまった。もうこのルートを歩くことはまずないだろう。 でもここからが今日のハイライトと位置づけている奥比良縦走路。そしてその先には蛇谷ヶ峰が待っている。 気持ちを切り替えて楽しむことにしよう。その前に情緒ある地蔵峠(林道は見ないように)と、すぐ南の地蔵山に立ち寄っていく。 |
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地蔵峠 最初に到達した分岐は峠の北側に当たっているようで、少し南にはもう一つ分岐があった。 まさにこの地蔵峠は奥比良の交通の要衝になっていることがよく分かる。 そして、分岐を見守るかのように、大きな松の木の袂にはお地蔵さんが祀られていた。 峠の名の由来になっているのは想像に難くない。今後の山行の無事を祈って手を合わせていこう。 地蔵山は地蔵峠のすぐ南にある。峠からは登りになるが標高差も僅かだ。 短い区間だけピストンになるがもちろん立ち寄っていく。 |
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11:22 地蔵山山頂(789.21m)到着 地蔵峠からすぐに地蔵山に到着。東側に窓が開いていて、リトル比良、そして安曇川方面を見通すことが出来る。 お昼に近い時間だが山頂には誰もいなかった。 山頂は小広い広場になっていて、木陰も心地良い。少し早いけど縦走を前に昼食を摂っていくことにしよう。 山と高原地図によると、この地蔵山はちょうど武奈ヶ岳と蛇谷ヶ峰の中間付近にあるようだ。 ここより南側はイクワタ峠北峰までは未踏だ。いずれは奥比良縦走路を踏破してみたいものだ。 一方、これから向かう蛇谷ヶ峰は、ここより約2時間半。どんな縦走になるかわくわくしながら昼食を食べた。 11:40 地蔵山山頂出発 手早く昼食を済ませていよいよ地蔵山を出発。元来た道を下って地蔵峠に戻る。 |
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11:55 地蔵峠出発 先程、撮っていなかったショットを数枚撮影してから地蔵峠を出発。 お地蔵さんに見送られて意気揚々と出発した。 この後の行程は奥比良縦走路を蛇谷ヶ峰まで北上。当面の目標はヨコタニ峠。 ヨコタニ峠までは最初に80mほど下って、後は殆ど平坦で快適そうな尾根が続くことを地形図を見て確認。そして道なりに歩き始めた。 この時、初めての自分には当然の判断と思えたのだが、地蔵峠から続く明瞭なトラックを道なりに下っていったつもりだった。 この後に不測の事態が発生することは、この時全く想定していなかった。 |
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地蔵峠から続く明瞭なトラック 地形図で見た通りにそこそこの斜度の下りが続いた。このトラックは昔は交易路として使われていたような雰囲気があった。 縦走路にしては古道の趣があって珍しいな、とか最初はそんな風にのんびりと考えていた。 しかし、約80mと踏んでいた下りが、なかなか終わらなかった。少し違和感を覚えつつも、ヨコタニ峠までは全体としては下りだからまだ歩き続けた。 そしてかなり下った頃に、違うルートを歩いていることが一目瞭然で分かるものが見えてきた! 森の木々越し下方に白いガードレールが見えてきたのである。それは地理的にみて、林道鵜川村井線のものであると推測できた。 林道は縦走路のある尾根から約200m下を通っており、普通に縦走路を歩いていたらまず見えないはずだ。 この時、ようやく下り間違えていたことに気づいた!! ふとコンパスを見てみたら、東へ向かって下っている最中だった。 一瞬、このまま下り続けて林道に降り立ち、林道を通って村井へ戻るという最悪の展開が頭を過ぎった。 でも未消化区間と残り時間を考慮すると、まだ行程は修復可能だと判断した。ということで今取りうる選択肢はただ一つ。まずは登り返すしかない! 間違ったルートを登り返すというのは疲れが倍になる思いだった。でも戻らなければ。 しかし、地蔵峠から他に気になったルートが無かった(ように記憶している)。 いずれかの再訪時に確かめてみたいが、とりあえずは縦走路へ戻ることが先決だ。 地蔵峠まで戻ることが万全だと思ったが、登り返している途中で縦走路の主尾根らしき尾根が見えてきた。 そして下っている時には気づかなかったが、主尾根へ向かうと思われる薄い踏み跡を発見した。 地形図を見るとどうにか主尾根に向けて、山腹を横切ってアプローチすることが出来そうと判断して、途中で登り返していたルートを外れて北東へ向かった。 踏み跡は途中までは山腹道。そして途中からは尾根へ登る別の踏み跡を見つけてそれを辿っていく。 |
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12:43 奥比良縦走路?に回帰 どうにかこうにか尾根を登りきった頃、眼前に赤テープが巻いてある木が見えてきた。 ここが主尾根と目星を付けていたので、おそらくこれが奥比良縦走路ではないかと思ったがまだ安堵は出来なかった。 一応、コンパスでトラックが南北に伸びていることを確認してから北へ向けて歩き始めた。 途中から縦走路に合流したと思われるので、さほど遠くないところにヨコタニ峠が近づいている筈だと言い聞かせて北上。 すぐに確信を持てなかったのは、縦走路の割にはあまり歩かれていないように見えたから。 しかし赤テープなどのマーキングは途切れることはなく、極めて順調に歩いていった。 |
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12:54 ヨコタニ峠(640m+)到着 (寄り道により15分程度の遅れ) メインルートに回帰してから約10分でヨコタニ峠に到着。これでようやく本来のルートに戻ってきたことが確実となって安心した。 山と高原地図によると、地蔵峠からヨコタニ峠までの所要時間は45分。よってルートを下り間違えたことによる遅れは15分程度と考えた。 一時はどうなるかと思ったが、これで予定通りに行程を消化できそうと確信を持った。但し遅れたことは間違いないので、奥比良縦走路は少し急ぎめに歩くことにする。 そういえば、ブレまくっているのにブレてないと言い張るおっさんが東京に居るが、地蔵峠出発時の自分は完全にブレていたと言わなければならない。 山行は(特に初めてのところでは)常に油断大敵であるということを改めて自戒した。 山行後に改めて地形図を見ると、地蔵峠から発する尾根は、峠から約50m下方で北と東に分岐していた。 このうち、おそらく真東へ緩やかに下る尾根を辿っていたと思う。 とすると、やはり下り始めは間違いではなくて、途中から縦走路が分岐していた可能性もある。 古道の雰囲気があったのは、琵琶湖側と安曇川沿いを結ぶ山越えの道として使われていたからかもしれない。 いずれ、今日と逆向きで奥比良縦走路を歩くことがあると思う。その時、今日誤ったところを再確認したい。 話をヨコタニ峠に戻すと、この峠周辺は尾根は広がっており、あまり峠らしくない峠だった。 山と高原地図には記載されていないが、ここからも難路ではあるようだが村井へ下ることが出来そうだ。 畑へ下るルートは記載されているが、迷いやすいという印も載っている。 さっき間違えたばかりの自分には不安なルートかもしれない。 ともあれ道間違いで登り返したことで大汗を掻いていた。 このヨコタニ峠でとりあえず小休止をとった。 12:59 ヨコタニ峠出発 喉を潤して一息ついてからヨコタニ峠を出発。次の目的地は荒谷峠だ。 |
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深い樹林帯が続く奥比良縦走路 荒谷峠までは701mピークを挟んで、標高差約60mの緩やかな登りとなる。 縦走路は程よい間隔でマーキングが続いている。やはり歩く人はそう多くないようで、踏み跡ははっきりとしていない。 同じ縦走路でも六甲縦走路とは踏まれている度合いが違うと思う。基本的に尾根を外さなければ問題ないが、 尾根が広がっていたり支尾根が派生しているところは少し気をつけて歩きたい。 |
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13:14 アラ谷峠(680m+) ヨコタニ峠から約15分でアラ谷峠に到着。山と高原地図では漢字表記だが、ここでは現地の表記に従いカタカナ交じりで記す。 山と高原地図には全く記載されていないが、峠の東西にはうっすらと踏み跡がある。 蛇谷ヶ峰までは、地蔵峠では4.5kmだったのがここでは2.7km。道を間違えた後だけに着実に近づいてきているのを見てより嬉しく思う。 |
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13:26 ボボフダ峠(須川峠) (650m+) アラ谷峠からは殆ど標高差のないままボボフダ峠に到着。山と高原地図では須川峠と表記されているが、より浸透していると思われるボボフダ峠の名で記す。 地蔵峠も含めると今日4箇所目の峠である。奥比良縦走路は展望には恵まれないものの、名のある峠を巡る趣ある山行となった。 外界では初夏の強い日差しが照りつけているが、樹海の中は本当に涼しい。また北西風が吹き付けてじっとしていると肌寒いくらいだ。 登りでは尾根が破壊されていたり、また続けてルートを誤ったりと、前半は波乱万丈な山行になってしまったが、それを取り返すような快適で素晴らしい尾根歩きとなった。 これまでは標高差の少ない区間を歩いてきたが、ボボフダ峠以北は蛇谷ヶ峰まで一貫として登りが続く。 もちろん南から歩くことを決めた時から織り込み済みのことなので、改めてここで息を整えて歩き始める。 ボボフダ峠を出発して次は滝谷ノ頭を目指す。特に急坂ではないがほどほどの登りが続く。 そんな頃に行く手から何やら声らしき物音が!一瞬、熊かと思ったが、十人を越えるほどの団体さんだった。 今日の行程中、最初で最後の挨拶をする機会となった。 団体ならば奥比良縦走路も気楽に歩けると思うけど、やはり自分の場合は孤独感に浸る単独行か、2、3人の少人数のほうが向いているかも。 |
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13:39 滝谷ノ頭(702m)到着 団体さんとすれ違ってからもしばらく登りが続いた後に滝谷ノ頭に到着。地形図では等高線が狭く閉じていて、702m標高点も記されている。 如何にもピークらしいピークを思い描いて期待していたがそうでもなかった。展望も皆無である。 でも案内板(朽ち果ててもうすぐ土に還りそう)の場所よりも少し北のほうが高いような気がした。 13:44 滝谷ノ頭出発 小休止をしてから滝谷ノ頭を出発。次の目的地は蛇谷ヶ峰本体手前にある752mピーク。 ずっと登りが続くが、殆どが緩やかな区間となっている。 時折、東側の森がまばらになって、外界が透けて見える。 リトル比良がこれまでより右手やや後方にあって、行程が進んでいることが感じられる。 |
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14:04 752mピーク 緩やかな尾根の僅かな起伏と表現できる752mピークを通過。 このピークを過ぎると、ヨコタニ峠手前から歩いてきた縦走路の主尾根は蛇谷ヶ峰本体に吸収される。 |
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蛇谷ヶ峰への本格的な登りが始まる 752mピークを過ぎてまもなく地形図通りに蛇谷ヶ峰への山腹に取り付く。 ここから蛇谷ヶ峰山頂までは標高差150m余。水分補給をして一息ついてから登り始める。 ここからはしばらく急坂が続くが、その区間は標高差約70mでごく短いものだ。 地面には先程の団体さんのものと思われる真新しい靴跡が付いていた。 土質はきめが細かくて、雨で濡れると滑りやすくなりそうだ。 |
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14:20 850m+ピーク 急坂を登り詰めると、何故か巨石が転がる850m+ピークを通過。 ピークでは再び90度進行方向を北に変える。踏み跡ははっきりしているので間違えることはないと思う。 しかし、今日ルートを誤ったことで、より注意して観察する癖が付いた。とにかく単独行では全ての責任が自分にかかっている。 |
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木が疎らになっていく 850m+ピークを過ぎると、それまでの急坂は一段落。再び緩やかな登りとなる。 そして、ずっと深い樹林帯が続いてきたのだが、木が疎らになってきれいな青空が広がってきた。 もう山頂が近いことを感じさせられる開放的な光景だ。 |
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14:34 890m+付近(蛇谷ヶ峰の肩かと思われる) 目の前が開けたので、もう山頂に着いたのかと思ったが、自分にとって偽ピークとなった。 地形図をよく見ると、山頂の南側は890mの等高線が広がっており、まさに蛇谷ヶ峰の肩と表現出来そうなところだった。 まばらな潅木の合間、遥か彼方に今日初めて武奈ヶ岳を見通すことも出来た。 ここはまさに武奈ヶ岳を借景とした、自然の庭園といえるところだと思う。 偽ピークにだまされたが、もう山頂が目前であることには違いない。標高差も10m程度だ。 15分程度の遅れはあるが、ほぼ読み通りのタイミングで到着出来そうだ。 |
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14:46 蛇谷ヶ峰山頂(901.7m)到着 一旦樹林帯に戻るが、すぐに再び青空が広がってきた。今度こそ間違いなく蛇谷ヶ峰の山頂に到着出来たようだ。 自分にとって蛇谷ヶ峰は比良山系の中でも重要視してきた山であり、抜群の気象条件の下で歩くことを願っていた。 少しアクシデントはあったが、それを乗り越えて希望が叶って本当に嬉しい。 それでは今日のハイライトと位置づけていた、初めての蛇谷ヶ峰の山頂でのひと時を楽しんでいこう。 |
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蛇谷ヶ峰山頂 山頂に辿り着いて、周囲の視界が開けた瞬間、思わず感動してしまった。 今、比良山系の最北端に居ることを実感する奥琵琶湖の壮大な景観が広がっている。 今まで最南端の権現山や、最高峰の武奈ヶ岳など、比良山系の各地で景観を楽しんできたが、 自分にとってここが最もお気に入りのスポットとなった。 山また山の景観ももちろん素晴らしいけど、琵琶湖とリトル比良、そして安曇川の平野との 調和のとれたこの景観が最も自分好み。平野にも緑が多いことがとても好感が持てる。 |
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雄大なパッチワークのように感じた安曇川の平野 NZ到着直前に飛行機から眺めた光景を思い出した。カンタベリー平野に広がる牧場群は空からだとパッチワークに見えるのである。 |
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リトル比良の山々 須川の谷を挟んでリトル比良の未踏の山々がよく見える。今日奥比良を歩いたことで、比良山系で全く手付かずの山域はリトル比良だけになった。 「摩耶山さん歩」のてるみさんの誘いによって、初めて武奈ヶ岳に登って以来、数えたら今日で比良山系は8回目だった。 でもまだまだプランはたくさんあるので、これからも回数を重ねていきたいと思う。 |
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蛇谷ヶ峰山頂より北方を見渡す 6月にしてはかなり空気が澄んでいて、変化に富んだ地形である奥琵琶湖の様子がよく見えた。 権現山から蛇谷ヶ峰まであちこちから琵琶湖を見てきて、その雄大さがかなり実感出来た気がする。 今日はこの後、西側の尾根を通って、朽木大野へ下山する予定だが、朽木スキー場のほうにも楽しそうなトラックが伸びている。 もう次の蛇谷ヶ峰のプランを考えたくなってきた。 |
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蛇谷ヶ峰山頂より朽木の町を眺める 下山地である朽木大野は見えていないが、朽木の中心街がよく見えている。 あそこがいつも利用する出町柳駅発のバスの終着点だ。 ついでに下山地までの距離感も掴むことが出来た。 始発間近の朽木周辺で乗車するので、馴染みの坊村の時よりもバス発車時刻は幾分早い。 この後の下山ルートも当然初めて。バスに絶対に乗り遅れないようにするためにも、残り時間を気にしながらの山頂滞在となった。 なおルートは初めてでも、山と高原地図のおかげで概ねの所要時間は分かる。蛇谷ヶ峰山頂から最寄の桑野橋バス停までは1時間30分だ。 どんなに遅くとも15時30分までには出発しなければならない。もちろん余裕を持たせるべきなのでもう少し早めに出発することを心がける。 |
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武奈ヶ岳遠景 南側は幾分森に遮られがちだが、武奈ヶ岳とその周辺の山々を広く見渡すことが出来た。 やはり最高峰は貫禄があるなあと改めて思う。そして目立たないが、主峰の手前には釣瓶岳も重なって見えている。 とすると、その左奥に見えているのはコヤマノ岳だろうか。眺めているとやはりまた歩きたくなってくる。 |
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蛇谷ヶ峰山頂 1枚の写真で表現するのは難しいほど山頂はかなり広かった。中央にある二等三角点はさすがに貫禄がある。 蛇谷ヶ峰山頂は期待以上に素晴らしく居心地の良い山頂だった。30分程度の滞在時間ではとても足りなかった。 この時間に登ってくる方が居ないのか、自分と同じ向きで歩く方が居ないのか、30分余の滞在時間中ずっと一人っきりだった。 |
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15:21 蛇谷ヶ峰山頂出発 本当に立ち去り難い蛇谷ヶ峰山頂だが、バス出発時刻まで1時間40分ほどということで、重い腰を上げて出発する。 今度は間違えないように慎重にルートを見極めてからスタートする。 下山地まで5.3km。所要時間は1時間30分。いつもよりは写真を撮るペースも抑えることを心掛けて歩く。 |
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まずは880m+ピーク(西峰)を目指す 地形図、そして山と高原地図をよく見ると、蛇谷ヶ峰は東西に二つのピークが並ぶ双耳峰だった。 ということで短いがもう1回登り返しがある。西側の880m+ピークには電波塔が建っていて、目立ち過ぎるくらいの目印になっている。 トラックはその入口も含めて実に明瞭であり、ルートから外れそうなところはあまりなさそうだ。 |
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蛇谷ヶ峰山頂を西から振り返る 880m+ピークへは50m下って30m登り返す。その途上ではなだらかな蛇谷ヶ峰山頂を間近から見渡すことが出来た。 名残を惜しみつつ、再訪を誓いつつ下山を急ぐことにする。なお蛇谷ヶ峰はオグラスという古い別名も持っていて、なんだかかっこいい。 |
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15:32 880m+ピーク(西峰)通過 30mほど登り返して880m+ピークを通過。展望はあまり無いし、趣は違うがこちらもなかなか良い。 ここからは下山地まで一貫して下りが続く。なお、山頂から見えていた電波塔は、880m+ピークの西端にあった。 トラックは電波塔の北辺を横切って下っていく。電波塔を過ぎると、トラックは深い森の中へ下っていく。 そういえば、今日は日差しを浴びてもそんなに暑くはなかった。 もうすぐ梅雨入りだろうから、この次に今日のような爽やかな好天を期待出来るのは秋になるだろうか。 |
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15:36 天狗の森 電波塔から下り始めてまもなく天狗の森に到着。山と高原地図に記載があって注意しながら歩いていたが、「天狗の森」と書かれた案内板が設置されていた。 名前からして行場のようなところを想像していたのだが、見る限りでは祠などはなく普通の森だった。あまり探索する時間がなかったのでいずれまたじっくりと見てみたい。 |
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美しい森が続く蛇谷ヶ峰の西尾根 今日の登りでは林道によって無残に尾根が破壊されていたことに憤慨したが、下りでは本当に美しい森が続いて心癒される。 やはり山本来の姿を留めていることは素晴らしいことだ。対照的な尾根を登った後なので、より強くそう感じさせられる。 急ぎ足で下りつつも、時折地形図を見ることは欠かさなかった。 ルートを誤った時、80mほど連続した下りが続くと頭に置いていたのに、かなり下ってしまってガードレールを見るまで 間違っていたことに気づかなかったことは今後の大きな反省材料にしなければならない。 標高差は感覚で身に付けるしかないので、普段から地道な努力が必要だと思う。 |
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16:10 猪ノ馬場 駆け下るように下ってきて、猪ノ馬場を通過。後で分かることだが、“ししのばんば”と読むらしい。 ここは山と高原地図にも記載がある。名前からヌタ場が集まっているようなところを思い描いていたのだが、 ごく小さなくぼ地のようなところだった。案内板が無ければ普通に通過していただろう。 猪ノ馬場を過ぎるとまもなくトラックは90度方向転換し南向きになる。そろそろ林道へ降り立つようだ。 |
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16:15 蛇谷ヶ峰登山口 緩やかな山腹道を経て蛇谷ヶ峰登山口に降り立った。 降り立った林道は幅広ではあるが、予想に反して舗装はされていなかった。 あとはこれを桑野橋へ下っていくだけだ。バス発車時刻までの残り時間を考えると、 どうやらある程度余裕をもって間に合いそうだ。 |
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16:25 望岳所 林道を下っていくと、いつの間にか舗装路に変わっていた。 その頃、南側に窓が開いている望岳所と呼ばれているところに到着。 かなり下ってきたが、ここからも武奈ヶ岳を見ることが出来たのは驚きだった。 |
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16:35 桑野橋バス停通過 林道をそのまま道なりに下っていくと、集落を経てバス道の国道367号に降り立った。 蛇谷ヶ峰山頂からここまでの所要時間は1時間30分と想定していたが、急ぎ足で下ったため実際には1時間15分で辿り着いた。 今日の行程の終着点に考えていた桑野橋バス停が目の前にある。 ふと時計を見るとバスが到着するまで約30分ある。これなら朝に出発点となった村井バス停まで充分歩けると判断した。村井バス停までの距離は2kmもない。 実はルートを誤るまでは村井バス停まで歩くことを前提としていた。2つ乗車区間を短くすると乗車料金が100円安くなることを確認していたからである。 不測の事態で諦めきっていたが、予想外にも間に合いそうだったので当初の計画通りに歩くことにしたのである。 なお、万一京都バス出町柳駅行きバスに乗り遅れた場合、それより約30分遅くには江若バス安曇川駅行きもあるようだ。 但しJR湖西線安曇川駅に出るということで、兵庫から来ている自分にとっては交通費がより高く付いてしまう。 極力、京都バスに間に合わせるように行程を組むべきである。 |
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16:52 村井バス停到着 国道沿いに南へ17分で村井バス停に到着。残り時間15分というところで、どうにか計画通りにサークルトラックが完成した。 この次のバス停の朽木栃生までは2kmほど離れていて、さすがにもう時間がない。村井バス停の屋根付ベンチに腰掛けて小休止しながらバスを待った。 17:07 出町柳行き京都バスに乗車。帰途に着く。 待ち時間約15分でほぼ定刻通りにやってきたバスに乗車。村井から乗り込んだのはまた自分だけで殆ど空席だった。 朝は立ち乗りも発生するくらいの乗車率だが、やはり夕方の便は余裕がある。 結果として予定通りに行程を消化できたものの、万一の事態に備えて時間的に余裕をもたせることは大事だと改めて思いました。 毎回、比良では何かと学ぶことが多いです。次回の比良遠征は秋に予定しています。 |
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今日の行程の断面図です![]() ※ 地蔵峠を過ぎてからのルートを誤った部分も表現しています。よって順調に歩ければもう少し距離は短くなります。 |