「大月地獄谷」(ショートカットですが・・・) 10年 7月17日(土)


国土地理院地形図
 : 25000分の1 「宝塚」

参考文献
 : 山と渓谷社 【六甲山】

 : 昭文社 山と高原地図 【六甲・摩耶】



 六甲のあちこちの谷を遡行してきましたが、この大月地獄谷だけは難路に気後れして
今まで踏み込めずにいました。でもこの谷をショートカット出来る上、しかも最大の見どころを
都合良く見られることが分かりました。あとは踏み込むタイミングの問題でしたが、
梅雨明け直後で水量豊富の今なら、ということで遂に決行することにしました。

 大月地獄谷に踏み込むにあたって、
AMYさんの旧ブログ現行ブログは暫定的に「フォト蔵」を利用されています)を
大いに参考にさせて頂いています。m(__)m
 AMYさんは既に大月地獄谷を体得されておられますが、初めての自分には
このくそ暑い時期に完全遡行は無理と判断。今回は無難と思われるショートカットプランで
ご勘弁下さい。でもこの判断は正しかったと後で実感することになります。




 今回のルートはショートカットですが、それでもけっこう
危ないと思いました。谷とその周囲は気軽に歩けるところではなく、
迷い、滑落等のリスクが付きまといます。
このレポは安全に踏破することを保障出来るものではありません。





 6:55 JR住吉駅出発

 神戸市バス38系統渦森台行きに乗車。西山谷へ向かう際にも利用した路線だ。




 行程概要 (山中のルートは不正確です)



 大月地獄谷の正規ルートは、渦森橋バス停から住吉霊園へ向かう道を登り、
一つ目のヘアピンカーブ(すぐ上流側に堰堤が見えている)が進入口で、
脱出口はみよし観音となっている。
しかし、崩落著しい谷には無数の堰堤が立ちはだかる。
また季節によっては半端ではないヤブにルートを隠され、そして進路を塞がれる。
しかも苦難に満ちた行程の割りには、肝心の見どころが少ない。というのが現状。

 但し、少ないながらも中流部に点在する滝は一見の価値はある、と思います。

 7:09 渦森橋バス停 (210m+)

 初めて渦森橋で下車。石切道(住吉霊園経由の場合)、大月地獄谷へは最寄となるバス停だ。
あと市バスの他に、付近には住吉台へ向かう、みなと観光のくるくるバスも運行されている。
今回の行程の場合はくるくるバスのほうが若干歩行距離は短くなるが、朝の日当たりの良さと、歩きにくいゴーロ道の道中がマイナス要因となった。
ということで距離は長くなるが市バスを利用した。渦森橋からは住吉霊園へ向かう車道を延々と登っていく。
狙い通りに歩き始めは朝日が当たらず、また後程降り立つ大月地獄谷に沿って歩くので非常に涼しかった。
 但し、墓地の途中からは日陰が無くなることは覚悟しよう。




 7:32 「かえで地区北入口」のマーキングテープが気になる (360m+)

 住吉霊園の敷地をかなり登ってくる頃に差し掛かるヘアピンカーブにはマーキングテープが貼られている。
地形図では「大月地獄谷」の“大”の字の谷を挟んで東側に描かれているカーブだ。
以前よりもテープの数が多くなり、また踏み跡も明瞭になっていた。
 おそらく大月地獄谷へ通じるルートなのだろうと思っていたが、荒神山第四堰堤手前に降りるということをAMYさんにお教えいただきました。
中流部までの堰堤群の途中に入渓することになるが、完全遡行に比べると堰堤越えの労力がやや軽減されるというメリットはあるようだ。
でも今回はまだ谷には下りずに、暑くても楽な舗装路を登っていく。
途中からは木陰が多くなって、ほっと一息つける。

 今回目指している谷への進入口は、五助谷へ向かう舗装路と石切道との出合付近にある。








 7:59 石切道、五助谷分岐より数十メートル上方。トラック西側のブッシュに踏み込む (500m+)

 五助谷へ向かう舗装路と別れ、やや斜度を増す石切道を暫し登る。
するとすぐにトラック左手の深いブッシュを倒す踏み跡を発見。目印になるかもと思っていた、横の木にプレートを外した痕跡を探すも分からない。
念のためにもう少し石切道を登って周囲の状況を確認する。ちょっと展望地っぽいところはあったが、
他には進入できそうなところは見受けられなかった。やはりこのブッシュの中に突入しなければならないようだ。
のっけから、簡単なルートでない雰囲気が充満している。
今回のルートは気楽に歩けるところではないということで、あえて周囲の状況を写さなかった。




 このルートは谷に下りるまで殆どが山腹道となっている。
各所でブッシュが目立ち、足元がよく見えないところがある。
しかも随所で山腹が崩壊しかかっており、残置ロープを補助に使うこともあった。
更にブッシュの中には頻繁にイバラが混じっており、何度も痛い思いをした。
ドラクエで「いばらのむち」に打たれたモンスターは痛かったんだな。
おかげで、この日着ていた上着が数箇所で解れてしまった。

 谷の水音が近づく頃には、朽ちかかった丸太階段が誘導してくれる。
堰堤工事の際に使われたものなのかもしれない。

 なお、谷に降りつくまで難路が続いたので、写真は撮っていない。
本当に難所になっているところは、撮影しようという気持ちの余裕さえ失わせてしまう。
でもこのルートとて、ブッシュが深くなければ、もう少し歩きやすくなるかもと思った。
この山腹は日当たりが良く、草の生育には良い環境になっているようだ。








 8:15 大月地獄谷(この区間は紅葉谷が正式名称のよう)に初めて降り立つ (460mくらいか)

 長く感じた15分の山腹道歩きを経て、初めて大月地獄谷に降り立った。
すぐ谷床に降りられそうだったが、明瞭な踏み跡というかルートが谷の左岸沿いの岩棚を通して続くのでしばらく辿ってみる。
やがて、目指していたF0・紅葉滝が上流側に見えてきた!




 8:21 行く手にF0・紅葉滝を確認!

 紅葉滝を前にして狭い川原へ降りて、久々の渓流シューズに履き替える。
予想通り谷には轟々と水が流れており、前日までの雨で、辿っていた巻き道の岩も濡れていて登山靴ではとても滑りやすかった。

 10分くらいで渓流シューズに履き替え完了。やはり沢での機動力は羽が生えたかのよう!
それでは行動範囲が広がったところで、存分に紅葉滝を鑑賞しよう。












F0(7m?) 紅葉滝

 紅葉滝は轟々と水が流れていた。それ程大きい滝ではないものの、間近で見る姿は迫力抜群だった!
でも公称で7mという落差は縮まっているようだ。

 ネットの情報で紅葉滝には流木が引っかかっているということは承知していた。
今回の梅雨末期の大雨で滝から流されていることを期待していたのだが、残念ながらまだ健在だった。
西山谷の「ふるさとの滝」と並んで、紅葉滝も残念な状況だ。
仕方がないこととはいえ流木があると、被写体としての滝の魅力が大きく阻害されてしまう。








 8:42 紅葉滝出発

 10分程度の滞在で紅葉滝を出発。今回の主題はこの後訪れるF1・大月地獄大滝だ。
紅葉滝を越えるには、左岸少し下流から入れる巻き道と、滝のすぐ右を直登するかのどちらかとなる。
迂回する巻き道は滑りやすそう。それよりも直登用のロープが耐えられそうだったのでこちらを選んだ。
手足の置き場も確保できるし、思ったよりも順調に登れた。9割までロープは補助のみとすることが出来た状況。
写真は登っている途中に、片手で撮影したもの。写真左下の岩棚に立つ自分の足が写っている。








 8:55 ステップ付き堰堤を越える

 紅葉滝のすぐ上には堰堤が無粋に立ちはだかっている。
大月地獄谷を完全遡行するには、数多くの堰堤越えとの格闘になるが、
今日の行程では越えなければならない堰堤はこの1箇所のみ。しかも右岸にステップが付いている。
一応左岸を見たら崖状になっていた。
 増水のためにステップに取り付く前にびしゃびしゃになってしまう。でも真夏の今なら気持ち良い。

 ステップ付き堰堤を登ると、そこから後ほど辿る天狗岩駅跡へのトラックが始まっている。
そして目を上流側へ向けると、堰堤の上流側は既に土砂で埋まり、堰堤と上流の地面が同じ高さになっている。
川底をさらいでもしない限り、いずれは土砂が堰堤を越えてしまうことになるだろう。
下流側の紅葉滝の行く末が心配だ。
 それはともかく上流側の現状はというと、鋼製堰堤に至るまで深い藪に覆われている。
しかしよく見ると藪には隙間があり、左岸に渡り返すようにして上流へと向かうことが出来た。
時に張り出した草を三脚で掃いながら前進する。








 9:01 鋼製堰堤を通り抜ける

 藪を突破すると鋼製堰堤に到着。五助谷で見たのと同じ造りだ。大月地獄谷では鋼製堰堤はここだけらしい。
パイプの間を楽々上流側へ抜けることが出来る。このパイプが存在価値を発揮するほどの大岩はまだ流れてきていないようだ。

上流側もまた藪に覆われているが、左岸沿いの藪が疎らになっていて、労せずして上流へ向かうことが出来た。








 9:05 日赤プレートA−6 を確認








 9:08 段々の美しい小滝

 日赤プレートA−6を過ぎると再び沢床へ。
そこでは思いがけず美しい小滝が出迎えてくれる。
今では味わいの薄い谷と評判は芳しくないが、大月地獄谷はかつて「日本百名谷」に六甲で唯一選ばれている。
その名谷でかろうじて残った片鱗を少しだけ垣間見た気がした。








 先述の小滝から束の間の静かな沢歩きの場面が続く。
こういう場面が続くならば、大月地獄谷はもっと人気のある谷になるだろうに。












 9:14 大月地獄大滝(F−1) に到着!! (510mくらいか)

 そして蛇行する谷の奥に、目指す大月地獄大滝が見えてきた!
岩壁に囲まれ、前に川原が広がる周囲の光景は西山谷の「ふるさとの滝」に似ていた。

 今日はこの滝までで引き返すので、時間をとってゆっくりと観ていきたい。












F1(約10m?) 大月地獄大滝

 期待以上に轟々と豊富な水量を落とす大月地獄大滝。初めて見る自分にはもう感動的な光景だった。
その分当然水しぶきがすごくて、この位置にカメラを置いていても、後で水滴の付いたボディとレンズを拭き取らなければいけなかった。
気兼ねなく接近出来るようにザックは手前の川原に置き、身一つになって滝へと近づいていく。

 滝つぼは膝くらいの深さだった。構わず滝の直下まで近づくともう全身ずぶ濡れになった。
でもこの後くそ暑い中を歩くことで、すぐに乾くだろうから気にしない。

 滝の落差は公式では20mという数値を見たことがあるが、せいぜい10mくらいかと思われる。
先述の紅葉滝と同様、震災後に生き残った滝も土砂の流入で落差が縮まったようだ。
それでもチョックストーンを2つ抱え、間近に見る大月地獄大滝の威容は素晴らしい。




 大月地獄大滝から遡行を継続する際には、右岸から越えるようだ。
後学のために周囲を観察すると、滝に近いところにステップ状の岩棚がある。登っていけそうだがかなり高度感がありそうだ。
少し下流側からはもうちょっと安全そうな巻き道がある。但しヤブのトンネルの中を登るという感じで前途多難さを想像させる。
そしてそのトンネルの中を見てみたら、少し上に事件現場に張られるような「立ち入り禁止」と書かれたテープが見える。
何故そのようなテープがあるのか気にはなったが、それを確かめに行く気力はなかった。

 こうして大月地獄大滝での滞在時間は1時間近くに及んだ。それだけ見応えのある滝だった。
この日は3連休初日だから、そのうちどなたかが遡行してこられるのではと思ったが、結局大月地獄谷に居る間は誰とも出会わなかった。
この日最初に他の方と出会うのは天狗岩周辺まで登ってからとなる。








10:14 大月地獄大滝を出発。下流側へ戻る

 少し名残惜しいが、再訪を期して大月地獄大滝を後にする。
紅葉滝上のステップ付き堰堤まで、辿ってきたルートを忠実に戻っていく。








10:26 ステップ付き堰堤に戻ってくる。ここで登山靴に履き替える。 (470mくらいか)

 大月地獄大滝からここまでの標高差はさほどではなく、下りで通過してもそれ程難所のところはない。
ここからは谷を離れるので、堰堤の上面テラスを利用して普段の登山靴に履き替える。

 堰堤のステップ下流側のヤブをよく見ると、明瞭な踏み跡が右岸上方へと続いている。
トラック入口に手製の案内板もある。
次の目的地の天狗岩駅跡の標高は約730m。標高差約270mをひたすら尾根沿いに登っていくようだ。
この標高差からすると30〜40分くらいで着くかなと考えたが、そんな生易しいルートではなかったことをこの後知ることになる。








10:43 ステップ付き堰堤出発。天狗岩駅跡へ向かう。








天狗岩駅跡へ向かうエスケープルート

 石切道からの進入ルートでも見かけた古い丸太階段をこちらでも各所に見ることが出来る。
やはり堰堤工事の作業用に敷設されたものだろうか。
 丸太階段がずっと続けば楽なのだが、所々不明瞭になっているところ、
斜面が崩壊しているところがあって、緊張感漂う谷脱出となった。
 草深くてトラックの続きが分かりにくくなっている所では、丸太階段の痕跡を追えば続きが分かるというような具合だ。
兵庫登山会の人生訓にかけると、「人生まさに手探り」といったところか。
国レベルで見ると、政権交代させてみたけど、今後も想像以上に紆余曲折しそうという・・。
涼しい谷から離れたばかりということもあるかもしれないが、この区間は本当にペースが上がらなかった。




 1、2箇所程度景観が開けるところがあるが、周囲には石切道方面の山肌が見えるばかり。
おまけに遮るものなく照りつける日光には体が堪える。とっとと天狗岩駅跡に着いてしまいたい。








尾根には岩場もある

 なかなかタフな急坂を登ってくると、広く周囲を見渡せる岩場に出てきた。
直射日光は暑いけど初めて見る景観への興味のほうが勝つ。

 岩場の直下には蛇行を繰り返しつつ、上流へ延びる大月地獄谷を見下ろすことが出来る。
上流へ向かうほど難易度が増すという評判の大月地獄谷。
谷の上にはネットが張られた急な山腹。緑に覆われて見えない沢床。そして山腹から崩壊したガレ。
見えること全てが難しい遡行を想像させるものばかりだ。
ちなみに谷の上流は更に蛇行するために、ここから全容を見ることは出来ない。




 岩場を過ぎると再び深い樹林へと入る。
概ね尾根上を辿っているのだが、相変わらず不明瞭な箇所が随所にある。
ルートを外れないようにしばしば周囲を観察する必要があった。








11:10 660mピーク

 再び木々が途切れて周囲の景観が広がった。東側には石切道のある尾根。
かなり眼下には大月地獄谷。ステップ付き堰堤を出発してからもう30分ほど経ったが、
目指す天狗岩駅跡にはまだかかる見込み。ここで急坂の疲れを癒すべく5分程度小休止。








天狗岩駅跡を目指して

 このように明瞭なところもあれば、不明瞭な箇所も時折通過する。
基本的にあまり踏まれているトラックではないのでコース取りは慎重に。

 そのうち行く手上方にロープウェイの架線が見えてくる。
急坂の尾根も終わりが見えてきた。








最後の難関、笹薮を通過する

 いつしか尾根には笹が目立つようになってきた。
日当たりの良いところでは、トラックを隠すほどにまで成長していて、最後まで気が抜けない。
でも急だった尾根が段々と緩くなってきた。あと少しだ。








11:50 天狗岩駅跡到着(730m+)

 3、40分の予想が、結局1時間10分ほどもかかって、ようやく天狗岩駅跡に到着。
単に標高差だけでは所要時間は分からないものだ。

 脱出ルートは駅舎の裏手に飛び出す。建物に阻まれてさてどうするのかと周囲を見渡すと、駅舎を反時計回りに回避して西側へと出るようだ。
ふと見ると駅にはロープウェイの車体が留まったまま。一応休止中ということだが、もう事実上は廃止と考えて差し支えないのだろう。
でも架線は健在で一直線に伸びた先にはアンテナが林立する六甲ガーデンテラス周辺が見えている。
自分は現在も運行されている有馬温泉駅〜六甲山頂駅間も含めて、六甲でロープウェイに乗ったことがない。
でもこの天狗岩駅を経由する表六甲線はさぞかし良い眺めだったのだろうと思う。

 なお自分の持っている地形図(平成17年2月1日発行)では、まだ六甲有馬ロープウェイの表六甲線が書かれている。
一方、国土地理院の地図閲覧サービスで見ると、既に削除されていた。
施設自体はまだ全て残っているから、地形図上の表記は残しておいたほうが現状には即しているかもしれないが・・。








静かな時が流れる天狗岩駅跡

 駅舎の北側を迂回して、建物正面入口前に出てきた。
入口には平成16年12月18日をもって運行を休止した旨が書かれている。
その翌日の19日には抽選に当選した神戸市民を乗せ、記念運行が行われたようだ。

 ロープウェイの索道はここで屈曲していて、乗換えが必要だったようだ。
駅舎西側には六甲ケーブルへ接続していたロープウェイがホームに止まっている。前面には「回送」の表示が見える。
車体側面にはアジサイが描かれている。それと合わせてすぐ横では実物のアジサイが満開だ。
駅舎が使われなくなっても、アジサイは今も変わらず毎年咲き続けているようだ。








12:00 天狗岩駅跡出発

 もう動かないロープウェイを見送って天狗岩へ向かう。
天狗岩駅というからには天狗岩が近いというイメージを持っていたが違った。
少し登りも含む舗装路を西へしばらく歩く必要がある。
正味10分もかからないが、ロープウェイを利用する観光客にとっては微妙な距離かもしれない。
実際には単に乗換えるだけで、途中下車せずに通過してしまう人が多かったように思える。








12:07 天狗岩到着(769m)

 天狗岩駅から7分で天狗岩に到着。ロープウェイの索道は天狗岩のすぐ北を素通りし、
更に西の六甲ケーブル山上駅まで続いている。このおかげで天狗岩の西にある西山谷を遡行する際にも、索道は良い目印になっているのだが。

 天狗岩からの眺めは相変わらず素晴らしい。
東には先ほどまで居た天狗岩駅。実際に歩くと距離感が掴めた。
その向こうには先日友人と歩いたごろごろ岳が低く見え、それと似た山容の西おたふく山が駅舎の向こうにそびえている。

 自分が天狗岩に到着した時、唯一居られた一組のご夫婦が代わって出発されるところだった。
昼時なのに思ったよりもひと気が無かった。
岩場は暑いが、後方の松の木が木陰を提供してくれている。ここでお昼にしよう。




 この後の行程はスペクタクルな前半とは違い、内容的にはおまけ程度なもの。
暑い中惰性で歩いたような感じだった。要点のみ簡潔に記していきたい。








12:37 天狗岩出発

 天狗岩南尾根や油コブシを降りると下山が早過ぎると思い、家に置いてきた計画表通りに西おたふく山経由で下山することにした。
でも結果的にはこの選択は誤りだった。初めての大月地獄谷とその進入・脱出で想像以上に疲れたこと。また暑さでの消耗。そして西おたふく山での予想外のヤブ漕ぎ。
これらの要因が重なったようだった。








12:52 六甲縦走路に合流

 オリエンタルホテル跡経由で六甲縦走路に合流。








13:02 みよし観音で大月地獄谷の脱出口を確認する

 大月地獄谷を完全遡行した際にはここがゴールとなる。
脱出口から覗き込むと、その容易でない行程が想像できる。
でもいずれはここに這い上がってきたいとも思う。








13:12 六甲ガーデンテラス到着

 お馴染みのガーデンテラスに新たに加わった新展望台「六甲枝垂れ」が奥に見える。
この日は週末でしかも開業間もないこともあって、けっこう賑わっているようだ。
 
 ガーデンテラスでは涼しい格好の軽装の方が殆ど。しかも楽しげなカップルを見ると、
名実共にイバラの道を歩いてきた自分はいったい何をやってるのやら、とふと思ってしまう。
でもこのおしゃれなガーデンテラスはお気に入りスポットだから、ついここを通るようにプランを組んでしまうのだが。

 新設された「六甲枝垂れ」に入ると、気化熱で涼しくなる仕掛けがあるということは知っていた。
でも重くて大きいザックを背負っていると、それだけで見学することもおっくうに思えてしまう。
普通は行程後半になるとザックが軽くなってくるのだが、この日の行程では役割を終えた沢装備が重りになっていた。








13:40 六甲ガーデンテラス出発

 計画通りに西おたふく山へ出発。
後から考えると、ガーデンテラスで観光地の雰囲気を味わった後、
石切道へ向かうべきだった。

 車道沿いは暑いと思い、階段道が連続する縦走路を辿る。
でも余計に疲れたかもしれない。やはり真夏は堪えるなあ。








14:03 西おたふく山へ向けて、縦走路から外れる

 舗装路をしばらく辿って山道へ入るが、その山道入口は深いヤブになっていた。
一瞬場所を間違えたかと思ったが、確かに以前辿ったことのあるトラックだった。
西おたふく山は各所で深いヤブがトラックを覆っていた。
斜度は緩いが、夏場は楽な下山コースではなくなっている。今後はコース選択に気をつけよう。








14:50 住吉道右岸道と合流

 西おたふく山からの下山は藪の突破で余計に疲れてしまった。








14:57 一難去ってまた一難。住吉谷へ降り立つものの、渡渉に手間取る

 左岸に渡ろうと思ったら、増水した谷は渡渉を難しくさせていた。
しばらく検討するもここからは無理だった。
少し南に下ったところに散在する岩を上手く辿ってようやく左岸へ渡ることが出来た。
 飛び石を見出せなければ、再び渓流シューズに履き替えるしかなかったところだ。








15:43 五助ダム

 池の下流側には最近のものと思われる新しい橋が架かっていた。
この周辺も水量豊富になっていて、ここから五助尾根に取り付くのも、ちょっと難儀するだろうと思われる。




16:00 住吉台の住宅街に出る

 くるくるバスに乗ろうかどうかと迷っていたが、またバスが出発直後だった。
最近、このパターンが多い。というか時刻表を携帯しておくべきだろうけど。

 結局、また勢いに乗って住吉駅まで歩いた。
でも実際には30分ほどで辿り着けるので、下りではそれほど苦にはならない。








16:30 JR住吉駅到着

 下山ルートのボリュームを読み誤り、想定よりも所要時間が長くかかってしまった。
その分またコーラの美味いことといったら!




 行程後半はともかく、大月地獄谷のハイライトの素晴らしさと、谷の持つ厳しさの一端を身をもって知った行程となりました。
中でもやはり大月地獄大滝は圧巻でした。これだけでも入渓する価値はあると強く感じました。
 また良い季節を選んでぜひ遡行してみたいです。その際にはもう少し装備を整えておこうと考えています。
今の暑い時期、遡行を難しくさせる主因はやはりヤブでしょう。とにかく甘く見てはいけないと思いました。








行程断面図です




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