「黒岩谷西尾根」 2012年10月27日(土) |
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国土地理院地形図 : 25000分の1 「宝塚」、「西宮」 〜 はじめに 〜 最近は六甲の主要なルートは歩き尽し、さすがに逐一レポは書かなくなりましたが、 今回は行程の中では限られた区間ですが未踏ルートを含むためにUPすることにします。 黒岩谷西尾根は七曲(魚屋道)の一つ東にある痩せ尾根で、 【摩耶山さん歩】のてるみさんにもご紹介いただき、以前から気になっていました。 今回、ボッカトレも兼ねてこの未踏の尾根を歩いてきました。 また、今夏に打越山周辺を歩いた際、ルート不明瞭のために引き返すという事態を経験。 この時の失敗経験を踏まえて、リトライするために打越山も経由しています。 以上の2つのテーマを含んで組んだ行程となっています。 結果的に住吉駅発着のピストンのような行程ではありますが、 往復でかなり変化をもたせることが出来ました。 6:22 JR住吉駅出発 五助方面へ向かうには、みなと観光のくるくるバスが便利なのだが、 始発が7時過ぎで自分には少し遅い。今の時期の早朝であれば街歩きも許せるので 徒歩で五助ダム方面へ向かう。 |
行程概要 (山中のルートは不正確です)![]() |
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早朝のすがすがしい住吉谷に入ったところで小休止をとる ちらほらと早朝散歩の方々が行き来されるくらいでいたって静かだ。 7:28 五助ダム南の十字路 小休止を含んでも住吉駅から1時間くらいで到着。予想よりも早く辿り着いた。 ここより住吉谷左岸道へ向かう。早く未踏の尾根を歩きたいのと、 魚屋道の混雑を避けたい心理が働いてややペースを上げて歩く。 |
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8:10 最近、発見された旧有馬道の石標
よく見つかったなあと感心する。周辺は休憩所として整備され、心地よい空間になっているが先を急ぐ。 |
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早朝で静かな住吉谷左岸道 だいぶ前にもここで撮影したような。 8:38 雨が峠の北で魚屋道に合流 もう少し遅い時間になると人で溢れそうなルートだが、この時間であればまだ人けは少ない。 魚屋道を本庄橋方面へ急ぎ足で向かう。本庄橋付近では大々的に工事中で、迂回路が設けられている。 また、土樋割峠へ向かう林道は工事用車両の進入路となっているので要注意。 |
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8:58 土樋割峠西のヘアピンカーブ 住吉駅から2時間40分くらいで今日の目的地、土樋割峠西のヘアピンカーブに到着。 黒岩谷西尾根の取付きは西側の沢を渡ったところだ。 今日のハイライトに入る前に、長い住吉谷を歩いた後なので小休止をとっておく。 変化に富む尾根歩きを楽しむために、ここで一旦トレッキングポールは片づける。 |
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9:13 黒岩谷西尾根に取付く 目印となるイノシシの看板を見つけ山腹に取付く。 黒岩谷西尾根は公設の指導標はないが、尾根に向かって明確な踏み跡が付いている。 序盤からなかなかに急登で、一気に高度を上げていく。 |
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黒岩谷西尾根に乗っかる 歩きやすそうなところを選んで尾根に乗っていく。 紛らわしい踏み跡もいくつかあるので、ルートファインディングは少し必要になる。 一本道の痩せ尾根なのでいったん乗ってしまえば、後は自動的に一軒茶屋まで誘導してくれるはず。 |
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光溢れる痩せ尾根へ 展望抜群という評判通りに少し登ると辺りが明るくなってくる。 いきなり楽しい尾根歩きになる予感でワクワクしてくる。 |
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六甲最高峰付近を見上げる 展望は各所で開けるが、基本的には木々に覆われた尾根だった。 でもこの痩せ尾根は木々が根を張っていないと崩壊してしまいそうな気がする。 ここからは電波塔が目立つ六甲最高峰を見上げることができ、尾根の標高差と方向性を感じ取れる。 |
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9:28 黒岩谷西尾根の“ハサミ岩”を通過 痩せ尾根を正面が割れた岩が塞いでいた。 先日、笛石山を歩いた際にもあったハサミ岩に似ているが、こちらのほうがずっと隙間が狭くて挟まれそう。 少しザックを擦ってしまったがどうにか通過することが出来た。 なかなか変化のある楽しい尾根で、ちょっとしたアドベンチャー感を味わうことが出来る。 ひたすら長く感じる味気ない登りが続く七曲とはまるで趣旨の違うコースだ。 |
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かなりの痩せ尾根だが密林状態で高度感はあまりない |
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再び明るい岩場に差し掛かる 歩きやすいところもあるが随所に岩場が現れる。 特に岩登りで難しいところもなく、調子よく楽しく登れてしまう。 岩尾根を登っていると、どこからともなくほら貝の音が聞こえてくる。 石宝殿で何か神事が行われているのだろうか。 元々、修験の場だったという山の歴史を思い起こさせる。 ほら貝にも励まされて気分を高めることが出来たのだが、同時に本庄橋付近からは工事中の音も聞こえてくる。 |
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9:42 好展望の岩場 再び日差し溢れる明るい岩場に出てきた。振り返ると東おたふく山、蛇谷北山が近い距離でよく見える。 景観自体は何度も見ているものだが、初めての角度で見ることには間違いない。 しかし足元はザレて滑り易いので足運びは慎重に。 |
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9:47 蛇谷北山を眺めながら小休止 比較的痩せているところが多い黒岩谷西尾根だが、好展望の上にちょっと尾根が広がっているところを見つけた。 黒岩谷を挟んで蛇谷北山がよく見えている。ここでいったんザックを下して10分程度小休止をとる。 黒岩谷西尾根は行程の節目となる閉じた等高線が見当たらないが、幾分等高線が広がったところはある。 ここもおそらくその一つでたいへん居心地が良かった。 |
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急登が目立つ尾根歩き 等高線が広がるのは本当に部分的で、基本的には一歩ずつに着実に高度を上げていく急坂が続く。 この溝状の滑り台のようなところは砂交じりの浮石が多くてかなり滑り易い。下りで歩くと相当に神経を使いそうだ。 |
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蛇谷北山の高さに追いついてきた 再び東側が大きく開けて、蛇谷北山が間近に見える。 現在位置の標高と残りの標高差を計算。尾根歩きが楽しいから行程が短く感じる。 |
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10:08 階段道が現れる これまでワイルド感たっぷりの尾根が続いたが、ここにきて短いながらも階段道が現れてちょっと意外。 そろそろ最高峰が近づいてきて、尾根が広がるかなと思いつつ歩いていく。 |
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西側の展望が開ける 階段道が終わると次は西側の展望が大きく開けてくる。 足下は急峻な崖になっており、高度感もなかなかのもの。 こちらからは見えないが、西側の尾根の反対側山腹には多くの人が登っている七曲が通っているはず。 それにしてもススキ越しに見る光景は本当に秋山そのものだった。 |
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10:19 山上の道路が見えてくる いつしかトラックは笹に埋もれ始めた。踏み跡はなんとなく分かるが、三脚で足元を払いながら歩くと快適だった。 そして尾根の傾斜も緩んできて、少し上方には山上を通る道路も見えてくる。 地形図を見るともう急登は無く、緩やかに一軒茶屋へと達するようだ。 |
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残りの行程が少なくなった黒岩谷西尾根を満喫する 人けこそないが、しかしやはりここは六甲。山上を疾走する車などの走行音は絶え間なく聞こえてくる。 |
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10:30 小さな広場に出てきた 一瞬、一軒茶屋に着いたのかと思ったが、丸く切り開かれた地面が広がる広場だった。 続きは90度左へ折れる形で西側へと踏み跡が向かっている。 もうまもなく一軒茶屋に着きそうだが、その前に静かなところで過ごしていこうと、ここで小休止をとった。 |
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目の前には一軒茶屋が木々越しに見えてきた! その奥には六甲最高峰の電波塔。初めて見る構図にちょっと新鮮さを感じた。 そして笹を踏み分けているうちに、七曲を登ってくる方々の賑やかな話し声も聞こえてくる。 静かでワイルドな黒岩谷西尾根歩きもいよいよフィナーレとなった。 |
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10:42 一軒茶屋到着 七曲のすぐ横で同じように黒岩谷西尾根も終点となった。 土樋割峠付近の取付きから約1時間半。普通の装備で普通に歩けば1時間程度に短縮出来るのではと思う。 でも20kg近い重量を背負っていても短く感じるほど、黒岩谷西尾根はなかなか楽しい尾根だった♪ 岩場歩きもあるし、展望にも恵まれている。七曲を歩くよりも遥かに充実した時間となるのは間違いないだろう。 七曲のほうは何度も歩いているが、てるみさんから情報をいただかなければ、 七曲のすぐ横からこのルートが始まることは分からなかっただろう。 賑わっていそうな最高峰は割愛するので今日の行程の最高地点はここ。 これからは下山となるが、多くの人の流れを逆流する形で七曲を下るのは得策ではない。 よってしばらく歩いていない蛇谷北山を経由することにする。 |
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11:02 石宝殿 蛇谷北山を通るのは随分久しぶりだ。 下り始めて間もなく、団体の方々が登ってこられてすれ違った。 七曲ほどではないが、蛇谷北山もなかなかの人気ぶりで少々驚かされる。 |
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11:23 蛇谷北山山頂(840m+)到着 やはりここは六甲最高峰周辺では最もピークらしいピークではないだろうか。 更に芦屋市最高峰でもある。霞んではいるがなかなかの展望を楽しんでから下山を再開する。 11:31 蛇谷北山山頂出発 |
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蛇谷北山付近から見た、黒岩谷西尾根、七曲の尾根、そして西おたふく山 先ほど歩いたばかりの尾根なので、手に取るように地形を把握出来る。 尾根が連なる景観が素晴らしい。 蛇谷北山も黒岩谷西尾根と同様、なかなかの急坂だった。 軽装時のように駆け下るのではなく、トレッキングポールも活用して一歩一歩確実に降りていく。 12:00 土樋割峠 土樋割峠からは住吉谷右岸道へ向かう。 この時だけは一部の区間で魚屋道を逆流しなければいけないが仕方がない。 魚屋道は登りの途中の方々が途切れることがないほどの人気ぶり。 大会中の縦走路を見るようだった。 老若男女問わず多くの方が歩かれていて、観光地のような華やかな雰囲気でかなり驚いた。 12:10 住吉谷右岸道分岐 右岸道へ入ると途端に人けが無くなる。 右岸道は日当たりの良い山腹道ではややブッシュが目立つトラック。 この日は予想外に暑くてちょっとまいった。 とはいうものの、魚屋道を逆流するのも一仕事だし仕方ないだろう。 |
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喧噪は無縁の住吉谷右岸道 この日も途中で誰とも出会わなかった。 途中に一か所ある水場ではブッシュを抜けた後だったこともあり、顔を洗ったりしてリフレッシュした。 12:45 西おたふく山登山道と合流 12:51 住吉谷渡渉地到着 住吉谷のせせらぎを前にして小休止をとる。 13:03 住吉谷渡渉地出発 ここからは往路と重なるが、左岸道を南下する。 13:17 黒五谷分岐 ここで左に折れ、打越山まで再び登りとなる。 13:36 打越峠 比較的ペースを上げたので、打越峠のベンチで小休止をとる。 |
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13:46 打越山山頂(480m)到着 住吉谷を離れてから30分くらいで打越山山頂へ到着。 山頂のテーブルを利用して、お楽しみのコーヒータイムとする。 少し前に打越山から石切道へ向かう行程を歩いた際、歩いていたトラックが途中で不明瞭となり、 やむを得ず山頂まで引き返して黒五谷へ下り、遠回りをして行程を継続したという経験をした。 ということで、リトライするのであれば五助ダムから打越山へ逆向きに歩いて確かめるのが無難だが、 あえて同じ向きで再挑戦してみようと思う。 14:20 打越山山頂出発 山頂からはいくつかの分岐を通過して五助ダム方面へ向かう。 途中には水平道、十文字山等への分岐があるがやり過ごす。 そこ以外にも枝道の有無を気にして、真剣に観察しながら歩いた。 踏み分け道のいくつかは送電線鉄塔の保守のためにあるもので惑わされないようにする。 |
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14:31 打越山西山腹の展望地 ここまではルート選択が合っていたことを、てるみさんのレポを見て確認している。 この日に分かったことだが、以前に自分がルート選択を誤ったのはこのすぐ後。 この展望地を過ぎるとすぐに分岐があって、分岐からは西側の遥か下に五助ダム南の十字路が俯瞰できる。 ゴールが目の前に見えているから、その時の自分はその方向へと下っていく急な階段道を選択したのであるが。 しかし、結果的にはゴール地点が見えていたことが裏目に出た。 結論を言うとこの急な階段道は送電線巡視路だったのだ。下りが一段落して鞍部に着くとそのままルートは一直線に目前の送電線鉄塔へ。 右か左へ続くルートはあるかと見回すが踏み跡は霧散状態。確実なところまで登り返す必要性が生じてしまったのである。 正解は山腹沿いに南へ道なりに進む。これも前回は十文字山方面へ続くと思って選択から外してしまっていた。 前回と今回の経験を通じて実感したことは、思い込みは怖い、そして送電線の位置を意識して巡視路の所在を感じ取ること、 そしてこれは基本行動だが、疑念が生じた場合は確実なところまで必ず引き返すこと、くらいだろうか。 ということで、前回は十文字山へ通じそうと思って選択しなかった山腹道を下っていく。 |
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14:40 立派な休憩所 少し下ったところで多くの丸太が使われている立派な休憩所に通りかかる。 有志の方によって設置されたことを、てるみさんのレポで見ており、 これにより今辿っているルートが正しいことを確信し安堵する。 前回、降りてしまった送電線巡視路より少し南側を大きく回って降りているようだ。 ということは前回鞍部へ降りた時、そのまま南へ抜ければこのルートへ出ることが出来たかもしれない。 しかしこの正解ルートの所在を知る由もなかったから結果論でしかないが。 それにしても、団体でもしっかり休憩出来そうなところで、手作り感もあって落ち着く空間になっている。 登り方向で使う時にはぜひ活用したいと思う。 少し進むと三叉路に行き当たる。 五助ダム方面へは北側へと進むようだ。 |
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手製の手すり付きの階段道を下る 日曜大工をしたことがない自分にはとても真似が出来ないことで、このクオリティーには感動すら覚えてしまった。 無機質な鉄の手すりと違って手作りならではの暖かみも感じられる。 打越山は味わいのある整備自体が六甲の中でもユニークな名所と言っても良いのではないだろうか。 |
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14:51 住吉谷を渡る 右手に堰堤を見ながら、無事に正解ルートを見出した達成感に包まれて橋を渡る。 橋の右岸では水場があってリフレッシュもできる。 |
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14:58 五助ダム南の十字路到着 リトライに成功しておなじみの十字路に到着。 ちょっとおおげさかもしれないが、自分にとってこれまで曖昧だった、五助ダム・打越山間のバイパスがようやく繋がった瞬間だった。 課題を一つクリアして気が抜けそうになるが、まだ住吉駅までそこそこ行程を残しているので10分程度小休止を入れておく。 暑い時期ならば下りでもくるくるバスのお世話になるところだが、今日は往路と同じく徒歩で下る。 山中ではあまり不便さを感じずに歩けたのだが、トレッキングポールの石突カバーの片方が無いまま使うしかなかった。 想像するのも簡単なのだが、カバーをしていないと舗装路では突くたびに腕に響く。 前々回の山行で片方のカバーを紛失してから、買い出しに行く機会がなかったのだ。 15:57 JR住吉駅到着 たっぷり歩きごたえのある行程。しかも未踏の尾根とリトライ成功と、なかなか充実した1日となった。 でも混雑する時間帯に大きなザックを携行して電車に乗るのはそれだけで一仕事。 しかもまた安全確認とかで新快速が遅れていたために、疲れているところを三ノ宮駅で余計に待たされる。 それでも好日山荘には立ち寄って、クマ避け鈴と石突きカバーを予備も含めて購入。 最近の山行で紛失した装備を補充し、次回以降に備えておく。 そういえば、石井スポーツが以前のセンター街の南側から、三ノ宮駅前のダイエー6Fに移転している。 これまでに比べて場所も便利だし、かなり広くなったみたい。 夏のカスタムフェアで発注しているスキーもそろそろ入荷する時期だし、機会を見つけて行ってみよう。 |
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行程断面図です![]() |