「鬼ヶ島他 裏六甲周遊」 10年 6月17日(木) |
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国土地理院地形図 : 25000分の1 「有馬」、「宝塚」、「神戸首部」、「西宮」 参考文献 : 山と渓谷社 【六甲山】 : 山と渓谷社 【六甲山ネイチャーウォーキングガイド】 : 昭文社 山と高原地図 【六甲・摩耶】 : 神戸市 「六甲全山縦走マップ」 裏六甲の逢ヶ山周辺は、これまで全く手付かずにしていました。 経験者向きの草深いイメージと、一筆書きの難しい接続状況のトラック。 自分にとってこの辺りが、逢ヶ山周辺を後回しにしてきた理由でしょうか。 でも梅雨の晴れ間にようやく気が向きました。 今回だけで完成ではありませんが、出来るだけ充実した山行となるよう ちょっと欲張りすぎたかもしれないプランを組んでみました。 6:50 神鉄有馬口駅出発 自分にとって裏六甲は交通費が多めにかかる。しかも乗車時間も長い。 というのも、足が遠のく原因になっているかもしれない。 長旅を経て有馬口駅を出発。南口から出るとスムーズに登山口へ辿り着ける。 最近使い始めたのだが、運賃後払い方式の「スタシアカード」が便利だ。 今日の最初の目的地は鬼ヶ島。 登山口までは概ね水無川に沿って進む。駅前から住宅街の中を道なりに 進んでいけば問題ない。但し、高速道路の下をくぐった直後に一つ落とし穴があった。 舗装路と砂利道による三叉路があるのだが、初めての自分は舗装路を辿ってしまった。 数分後、高速道路の有馬口付近の車道が目前に見えたことで間違いに気付いた。 水無川の左岸に沿うということは頭に入れていたのだが、舗装路は知らないうちに 右岸に渡ってしまっていた。改めて先述の三叉路へ戻って、砂利道へ進んでいく。 まもなく深戸谷との出合を通過。出合には兵庫登山会の周辺案内図があって、 初めてで不案内の自分には非常に有用だ。 |
行程概要 (山中のルートは不正確です)![]() |
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7:29 鬼ヶ島登山口 深戸谷をやり過ごしてすぐ。目指す鬼ヶ島への登山口に到着。 深戸谷出合と同じような周辺案内図が設置されている。 踏み跡は薄いが登山口であることは、見落としようがなくすぐに分かる。 有馬口駅から約40分かかっているが、間違わなければ30分弱で着くと思われる。 今日の目的地の一つに水無滝があるのだが、このまま水無谷に沿って向かうことも可能。 但し、鬼ヶ島を経由したい自分にとって都合良く、水無峠から水無滝へと下ることも出来るようだ。 案内図ではその峠の名前は「仏谷峠」と記載されているが、「山と高原地図」では逢ヶ山と高尾山の間の峠が「仏谷峠」とされている。 ということでここでは、水無峠ということで整理しておきたい。実際に現地周辺の表記では水無峠となっていた。 鬼ヶ島へは「急坂」という表記があって、心の準備をしておかないとと思ったのだが、 登山口からしばらくは緩い。但し、拍子抜けしたのは最初だけだったが。 登山口から見た踏み跡は薄いように見えたが、大部分は明瞭そのものだった。 |
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鬼ヶ島の急坂に挑む 途中からは評判通りの急坂が現れた。尾根をただひたすら上方を目指している。 砂交じりの斜面は、下りではけっこう滑りやすいかもしれない。 ただ、等高線が詰まっているのは7,80mくらい。あまり長く続くものではない。 ふと振り返ると、有馬方向に落葉山が見えた。 写真では分かりにくいが、山上の妙見寺の建物がはっきりと見えた。 落葉山と肩を並べているということは、目指す鬼ヶ島山頂ももう近いはずだ。 ところでこの「鬼ヶ島」という特徴ある山名。 自分はもしかしたらこの山に城があったのではないかと想像した。 (実際に鳥取県に「若桜鬼ヶ城」という城がある。近隣では落葉山も山城跡である) 但し、見た限りでは山城の痕跡である削平地も土塁も一切無かった。 謎は解けないまま、鬼ヶ島最大の見どころ?へ到着した。 |
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8:07 「鬼ヶ島のアカガシ」 六甲のマザーツリー20の一つ やや傾斜が緩くなった尾根を登っていたら、周囲の木々とは一線を画した大木が目の前に現れる。 一つの太い幹から無数の枝が全方向に伸びていて、さながら噴煙を上げる火山を連想させる。 実際に見るのはこの時が初めてだが、この木を知っていたのは、2006年に「六甲のマザーツリー」の20本のうちの一つに選考されたことによる。 そこで紹介されていた20本の大木の中でも、この木の姿は特徴があるので記憶に残っていた。 マザーツリーの選考は幹周りの太さ順になっており、この木は2番目ということである。 (ちなみに生きてさえいれば、幹周り8mの摩耶の大杉さんが当然1位に来ていたのだが) 末永く鬼ヶ島でそびえていてほしいと思う。威厳あるマザーツリーを鑑賞したあと、もう程近いはずの鬼ヶ島山頂へ向かう。 |
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8:13 鬼ヶ島山頂(583.1m) 到着 マザーツリーのアカガシから少し歩くとまもなく鬼ヶ島山頂に到着。 六甲の数ある山頂の中でも本当に狭い! 基本的に撮影にはある程度の空間が必要になるが、自分が山頂に居ると三脚の置き場が無くなるといった感じだ。 一見捉えようがないと思わせる山頂だったが、試行錯誤を重ねてなんとかなった。 4、5人パーティーで腰を下ろすともう場所が無くなるといった面積だろうか。 当然、山城の郭になる削平地を設けるのに必要な広さは無かった。 狭い山頂は松の木に囲まれて殆ど視界は開けないが、南面だけは僅かに木が疎らになっていて、 これから向かう水無山を間近に見ることが出来る。 視界はほぼ無いものの日当たりは良くて朝からけっこう暑い。しかも動き回っていると蚊がわんさか寄ってきて大変だった。 8:21 鬼ヶ島山頂出発 撮影を済ませただけで早めに出発する。 ゆっくりと山頂に滞在するにはやはり涼しい季節に来るべきだろう。 しかし、変わった名前の静かな山頂はなかなか良かった。 次の目的地の水無山へは、30m下って80m登る。 今日の行程の宿命だが、六甲縦走もどきの繰り返すアップダウンを乗り越えなければならない。 |
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540m+コル 鬼ヶ島と水無山の間の540m+コルに降り立ったところ。 コル周辺にはコアジサイが見頃だった。今の時期ならではの涼しげな光景に一息つきたくなる。 |
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水無山への登り 540m+コルからは鬼ヶ島までの急坂に迫るくらいの登り応えのある区間が続く。 「鬼ヶ島尾根」は水無谷と深戸谷に挟まれた格好となっており、枝道などはなく辿りやすいほうではないだろうか。 水無山への登りの途中では、先ほどまでいた鬼ヶ島山頂付近を至近距離で見ることも出来る。 |
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8:51 水無山山頂(658m) 到着 まもなく岩場が続く痩せ尾根になってきたと思ったら水無山山頂に到着。 意外にもあまり山頂らしくなく、尾根の途中といった周辺状況だ。 山頂から西側には後で向かう予定の逢ヶ山が端正な姿を見せてくれる。 東側から見た逢ヶ山は本当に美しい。花札の絵柄を思い出したのは自分だけだろうか。 ただし、全方向でこれと似た山容を見せる甲山と違って、逢ヶ山は見る角度によって姿が変わるが。 山頂の木の一つには山名を記した記念プレートが鈴なりになっている。 まるでおみくじを付けた境内の木状態だが、そこまでたくさん付けなくても・・。 9:00 水無山山頂出発 10分程度の滞在で水無山山頂を出発。「鬼ヶ島尾根」にある主要なピークは以上で終わりとなる。 |
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9:09 水無峠(610m+) 到着 水無山から約40m、かなりの急坂を下ると水無峠に到着。 峠は木陰たっぷり。風も通るのでけっこう居心地が良かった。ここでもザックを下ろして一息付いていこう。 やや分かりにくいもののこの峠は四辻となっており、周辺の交通の要衝でもある。 ここから高尾山まで、標高差130mもの急坂が待っているが、 その前にこの水無峠の下方にあるという水無滝を目指すことにする。 なお、この峠も含めて周辺の山域には公設の案内板は殆ど皆無。 鬼ヶ島の登山口にある兵庫登山会の周辺案内図(後で参考に出来るように写真に撮っておくと有用)と 地形図「有馬」が必携となる。踏み跡自体は明瞭なところが多いものの、この辺りの事情が「経験者向き」とされる理由だろうか。 9:20 水無峠出発 水無峠の東側斜面は植林が埋め尽くしている。 あまり踏まれていないようだが、よく見ると踏み跡がしっかりある。 目指す水無滝はちょうど下方の突き当たりにあることを念頭に入れて下っていく。 一部草が覆いかぶさって、地面の様子が分かりにくくなっているところもある。 植林の谷は歩きやすいとはいえず、距離と標高差の割には通過に時間がかかった。 植林の谷を下りきると涸れた沢に行き当たるが、まだ周辺には滝は見えない。 地形図をよく見ると、これまで下ってきた植林の谷よりも、滝のほうが上流側にあるようだ。 もう滝はすぐ近くということで涸れた沢に入って南の上流側へ向かうと、果たして行く手に岩壁が見えてきた。水無滝だ! |
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9:37 水無滝(510m+) 到着 落差20mの堂々とした滝だった! その名の通り水が無いことが多いようだが、今日ばかりはこの名前も返上している状態だ。 周囲はぐるりと高い岩壁に囲まれて、秘境ムード満点だ。 よく見ると右手にも一筋細い滝が掛かっている。 滝壷というほどでもないけど、滝の直下にはきれいな水溜りが形成されている。 この距離まで近づくと、水飛沫ですぐにびしょぬれになった。リフレッシュのためにわざと濡れているので問題ない。 滝の周囲はとても涼しく、汗がひくことはもちろん、20分ほどの滞在で体が冷えてしまったほどだった。 水さえあれば夏に避暑に来るのも良いと思う。冷気の影響かここでは虫の気配も少ない。 落ち着いて過ごせると思う。 水無滝の岩壁でどれだけの音響効果があるのだろうかと試してみようと思って、 久しぶりに持ってきていたオカリナを吹いてみた。正直よく分からなかった。 水音が無ければもっと響いたかもしれない。 10:00 水無滝出発 涼しくて涼しくて、このまま1日中居たいところだったけど、ようやく重い腰を上げることにする。 滝の直下では見られた水の流れも、数十メートル下流まで来ると、早くも涸れ沢に戻っている。 今日の水無滝は水はあったけど、涸れ沢を潤すほどの水量ではないのだろうか。 すぐに左岸へ上がり、元来た植林の谷を登っていく。 滝から離れるにつれて、秒単位で暑くなっていくのを感じる。 快適に山歩きが出来る季節は終わりに近づいてきているのを意識せざるを得ない。 10:17 水無峠に戻ってくる 道筋も分かった復路は順調だった。 戻ってきた水無峠から再び「鬼ヶ島尾根」の縦走を再開。 改めて高尾山への急坂に挑むことにする。 |
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高尾山への130m余の急坂 鬼ヶ島の手前から急坂の連続する尾根道だったが、水無峠から高尾山が最大の難関だった。 写真の場面もそこそこ急だが、最も急なところでは木の根を頼りにするほどのところもあった。 そこで撮影しようと思ったのだが、うまく三脚を設置できなかったのである。 ところで今日の行程では、初登頂となる高尾山を経由しているが、 水無峠から仏谷峠へ直接向かうことも考えていた。 しかし、標高は殆ど同じで近距離にある2つの峠を結ぶ山腹道は無かった。 でも後で分かることだが、深戸谷を経由すれば両峠を行き来することは出来るようだ。 ともかく今回は「鬼ヶ島尾根」を踏破し、高尾山山頂を踏む。というのが優先目標。 後のルートアレンジのためにも、トラックの接続状況を観察しながらの登りだった。 |
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10:38 高尾山山頂(739m) 到着 急坂を喘ぎつつ登ってようやく高尾山山頂に到着。 涼しい別天地だった水無滝のすぐ後だったが、もうすっかり大汗をかいて息も上がっている。 高尾山は湯槽谷山から西へ派生する尾根の途上にあり、あまり山頂は明確ではなかった。もちろん展望は得られない。 山頂は三叉路になっていて、東へ進むとさほど遠くないところに湯槽谷山がある。 今日の行程の最終目標は、「いつも通り表六甲へ降りる」ということだった。 そのためにも湯槽谷山へ向かうのがお薦めなのだが、それでは未踏の裏六甲の一端しか見ずに終わってしまう。 急坂で乱れた息を整えた後、予定通りに西へ向かう。 ここでも動きを止めた途端に蚊が寄ってくる。手持ちの虫除けスプレーを振り掛けるも一時しのぎにしかならなかった。 10:51 高尾山山頂出発 山頂からは仏谷峠を目指す。 高尾山のある尾根は山頂で「く」の字に屈曲している。それに従って尾根上をまず南西に向かう。 |
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仏谷峠へ急降下 尾根を外れてからは、やや急な斜面を仏谷峠へ向けて急降下していく。 滑りやすいところもあって、木々が手すり代わりになる場合もある。 ちょっと手が暑いけど裏六甲の山行には手袋を使うと快適だと思う。 前述したように、水無峠と仏谷峠は程近い。 高尾山山頂と仏谷峠の標高差は130m余り。 せっかく登ったばかりだが、同じ標高差を吐き出すようにまた下っていく。 傍から見れば効率悪いことこのうえない行程だが、自分にとっては未踏のピークを経由することが大事だから仕方がない。 しかし国政改革は効率が悪いどころか、昨年から何も進んでいない気がする。困ったものだ。 |
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11:03 仏谷峠(610m) 到着 高尾山からの急坂を下り着いた。仏谷峠は植林と笹に埋もれた静かな峠だった。 もちろんここにも案内板は何も無い。少し観察しないと全貌が見えてこないが、 高尾山と逢ヶ山を結ぶトラックが峠を東西に結び、 その南北を仏谷、深戸谷へ下るトラックが少し離れたところから分岐している。 先に通過した水無峠にも深戸谷へ下るトラックがあったことから、 高尾山の急坂を経ずに、この2つの峠を行き来できるのではと思ったのはこの時だった。 11:07 仏谷峠 出発 仏谷峠から西の逢ヶ山へ向けて笹の間をトラックが伸びている。 峠からしばらくはさほど急斜面ではないようだ。 |
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逢ヶ山へ向けて登り返す 仏谷峠から逢ヶ山へは標高差110m余。逢ヶ山と高尾山は殆ど同じ高さだ。 ということで登り返す標高差もほぼ同じ。 何だか先ほどから600〜700mの間を登ったり下ったり。 こういう山行もありそうで無いような気がする。 でも殆ど日当たりの悪いところばかりで、まだそれ程暑さで疲れてはいない。 逢ヶ山へもまずまず急な登りだが、山頂が近づくにつれて幾分楽になる。 逢ヶ山は山頂付近が東西に広くて、緩やかな地形を成している。 山頂の肩に乗るとすぐにほぼ平坦になり、それは山頂に到着するまで暫く続く。 |
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11:28 逢ヶ山山頂(722m) 到着 長い平坦なところから一段登ったところが逢ヶ山山頂だった。 情報で得ていた逢ヶ山山頂は暗い植林の中ということだったが、現状は全く異なっていた。 山頂の周囲はきれいに切り払われ、日当たりの良い小広い広場になっている。伐採した木がベンチ代わりだ。 冬ならおそらく快適そのものだろうと思うけど、今日はここで初めて思いがけず容赦の無い陽光に晒されることになった。 分かっていたことだが、山頂周囲は深い植林に覆われて展望は全く無い。 これでとりあえず、今日一日で逢ヶ山周辺のピークは全て踏んだことになる。 なかなかの達成感の中で、これからの下りのために地形図を観察する。 11:39 逢ヶ山山頂出発 山頂周辺は広いが、伐採で整備されていることもあって、 これから西へ進むトラックは簡単に見出せる。 問題は山頂のある台地状の尾根が、山頂の西で3方向に枝分かれしていることだ。 目標の下山地として東山橋へ降りたいので、それに続くであろうトラックを選択する必要がある。 気付いたところで2箇所ほど、同じくらい明瞭なトラックが分岐していた。 初めての自分は地形図とコンパスで、その都度確認しなければならなかった。 でも後で聞いたところでは、逢ヶ山へのルートは幾通りかあるようで、 必ずしも東山橋へ降りなければいけないということはないようだ。 |
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逢ヶ山からの下り 東山橋へは最も西へ長く伸びる主尾根を辿る形になる。 歩いてみて分かったけど、逢ヶ山山頂の尾根はとにかく長い。「長峰」の名を上げてもいいくらいではないだろうか。 山頂周辺は平坦だが、山頂の尾根の肩から外れる頃になって傾斜が増していく。 笹薮の辺りは滑りやすくもなっていて難儀だった。 藪は踏み跡を隠してしまうほどではない。辿るのは容易だった。 まもなく笹が途切れ、木々の間からは北区の街並みが見えてくる。 まだ下りきるまでには時間が掛かるようだ。 |
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逢ヶ山西斜面は急斜面の植林の中をジグザグに下っていく。 もっと難路を想像していたが、これならば歩きやすい。この急斜面は標高差150mほど続く。 ただ、山裾近くなってくると途端に緩やかになってくる。最後には丸太階段も現れて、たいへんきれいに整備されていた。 |
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12:20 逢ヶ山登山口到着 不意に前方が明るくなって、見覚えのある逢山峡の舗装路に飛び出した。 ここは東山橋から僅かに南にずれたところだった。念のために東山橋との間を観察するが、 ここ以外に登山口はなさそうだった。但し、現地には登山口を示す案内板は一切無い。 木陰になっている舗装路の道端で軽めの昼食をとる。 昼食を摂りながら、今後の行程を再検討する。 ここから有馬口駅へは30分もかからずに辿り着ける。しかし、やはりそれでは時間も早過ぎるしもったいない。 当初の予定では、この後は仏谷 → 高尾山 → 番匠屋畑尾根 → 極楽茶屋跡としていた。 しかし、それは少しハード過ぎると考え直した。やはり暑さのために、予想以上に手持ちのお茶を消費していたのだ。 極楽茶屋跡まで到達すれば補給出来るが、それまででも足りないと判断。 少し行程を短縮して、未踏の小川谷を通って極楽茶屋跡を目指すことにした。 小川谷は大部分が林道歩きということで、今まで避けていたのだがちょうど良い機会だ。 家に残した登山届とは部分的に異なるが、特に難しいところはないだろうと考えた。 12:30 逢ヶ山登山口出発 ということで、逢山峡の舗装路を登っていく。 昼過ぎでもこのルートを歩いている方は多いようだ。 猪ノ鼻滝への降り口等を観察しながら、ゆっくりめのペースで登り返していく。 まだ体力的に余裕はあるが、やはり暑さで少し疲れを覚えてきた。 猪ノ鼻滝を過ぎたところで今日2回目となるルート誤りがあった。 同じような舗装路の三叉路が2箇所あったのだ。 以前、シュライン・ロードを歩いた時の記憶で、小川谷への分岐の様子はおぼろげに覚えていた。 ということで一つ目に現れた雰囲気が似ている分岐を迷いもせずに左へ進んだ。 しかし、一つ目の三叉路は仏谷へ進むルートだったのだ。 少し進んだところで偶然見かけた昼食中の方に話しかけたおかげですぐに気付いた。 仏谷のルートは地形図、山と高原地図、いずれもが破線道で記しているが、 その入口となる三叉路は明瞭至極な舗装路で始まるので、林道が続く小川谷への入口と思ってしまったのである。 でも結果的に仏谷へのルートも確認出来たので良しとしよう。 |
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13:07 三叉路を小川谷へ 一つ目の三叉路から少し登ったところにある、二つ目の三叉路。 ここで左へ向かえば、今度こそ小川谷だ。 ここからは地形図、山と高原地図で描かれているとおり、 実線道が延々と小川谷上流付近まで続いている。 まもなく水量の多い水場があったので顔を洗ってリフレッシュ。 その後、地元の軽装の方に追い越される。この方とは林道終点で再会を果たすことになる。 途中でシラケ谷(仙人窟へ通じる)、横谷(湯槽谷峠へ通じる)への出合を確認する。 長い長い林道歩きだった。小川谷があまり話題に上らない理由を身を持って体験した。 |
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13:58 小川谷舗装林道終点(730m+) 到着 東山橋からの標高差370m余。ようやく林道の終点に辿り着いた。 ここから山道が始まり、堰堤の左岸から谷へと下っていくようだ。 林道終点からはすぐ東に番匠屋畑尾根と、時折行き来するロープウェイが見える。 こんな高いところまで林道で登ってきたのかと、分かってはいたけど改めて感心してしまった。 林道終点では先ほど自分を追い越された方と、別のお一方が談笑中だった。 自分が再び追いついたのが早いことに驚かれていた。ちなみにその方も六甲縦走を体験されたようで、 しばらくこの終点で3人で話し込むことになった。 暫くお話した後、お二人の目の前で自分撮りをして、お別れを告げて小川谷へ入っていく。 撮影時刻も記録されるし、自分が写ることで臨場感ある写真が撮れることを説明するとご納得されていた。 |
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短い短い小川谷遡行 堰堤のすぐ上流で細い沢を右岸へ渡渉。 その後しばらくは沢沿いに緩やかに登っていく。 距離は短いながらも、なかなか良い雰囲気の谷だった。 でも小川谷を歩くには先述の長い林道歩きを経なければならない。 まもなく沢とも別れ、右岸の山腹、そして尾根へと登っていく。 トラックはまずまず明瞭だが、ルート上にはテープもあって、比較的簡単に辿っていくことができる。 |
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小川谷からの登り 先述の林道終点でお話した方から、この先部分的に手も使わないといけないところがあると聞かされていた。 三脚を持ったままの自分を見て教えていただいたことなのだが、ここのことだった。 言われたとおりに両手を開けるために三脚をザックに収納してから登っていく。 段差がやや大きいところもあるが、ちょっと荒地山っぽいという感じで特に難しいところではない。 その登りの途上では北面に視界が開けて、偶然通り掛るロープウェイを比較的近くで見ることが出来た。 ロープウェイの乗客の方の顔もはっきり見えたくらいだった。一度は乗ってみたいと思うけど、なかなか機会が無い。 岩場は程なく終わり、笹原の尾根をしばらく登ると、見覚えのある出合に出てきた。 |
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14:37 番匠屋畑尾根に合流 純粋な遡行自体はあっけないものの、林道歩きも含めると長かった小川谷は、番匠屋畑尾根のトラックに合流して終わった。 鬼ヶ島に始まってアップダウンの連続だった行程のおかげで、六甲山上に出た時にはさすがに疲れていた。 いや、アップダウンだけではなく、暑さのせいもかなりあると思う。 とりあえず六甲ガーデンテラスで一休みしようと、極楽茶屋跡方面へ向かう。 極楽茶屋跡からは六甲縦走路を逆走するのだが、ガーデンテラス手前の地味な登りが疲れた体にはしんどい。 |
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14:55 六甲ガーデンテラス到着 いつもの通り、ガーデンテラスの展望テラスで休憩する。 自分にとって古代ローマの劇場を想起させる、この展望台がお気に入りスポットなのである。 とはいえ日なたでは暑いので、少しでも木陰になっているところを選ぶ必要がある。 六甲ガーデンテラスの北隣には、ドーム状の展望台が建設中だった。 現在のところ、鳥かごのように見えるが、完成したらどのような感じになるのだろう。 15:14 六甲ガーデンテラス出発 約20分、テラスからの景色を眺めていたらちょっと元気になった。 下山路は石切道を使う。自分にとって、ガーデンテラスから下山するには石切道というのが定番だ。 もう何度も歩いているトラックだから詳細は省略する。 一つだけ確認しておきたいところがあった。 住吉霊園の上部のヘアピンカーブには、大月地獄谷の中流付近へアクセス出来るルートの入口があるという。 その現状と使用可能かどうかを確認したかった。 結論は「判然としない」としか言いようがなかった。テープがあって、入口の場所は確実に合っている。 但し、奥へ進んでいくはずの踏み跡は何も無かった。見た限りでは入口周辺がイノシシによって掘り返されたように見える。 しかし、足場が悪い中を数メートルだけ奥へ進んでみると、谷の下方には堰堤が見えた。距離的には谷まで近いようだ。 そのまま霊園の中を通過して、渦森橋へ向かう。 16:20 渦森橋バス停 ちょうどバスが通り掛った後だった。 1本後の便だとあまり駅へ着く時刻は変わらないと思い、このまま歩いて下山することにした。 16:55 JR住吉駅到着 バスだと15分。徒歩では35分だった。結局、住吉駅まで歩いて大満足。 もちろん山行後のコーラが抜群に美味かったのは言うまでもない。 今日は充実感溢れる山行となりました。 逢ヶ山周辺はとにかく静かで、六甲の中でも特に野趣溢れる山行を楽しめます。 小川谷はついでに歩いたという感じです。小川谷を主目的に歩くのはお薦めしません。 但し、シラケ谷、横谷などへのアクセスとしては使えることが分かりました。 |
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行程断面図です![]() |