06年 6月19日(月) 神鉄有馬温泉駅〜紅葉谷〜みよし観音〜天狗岩南尾根〜渦森台バス停
Momiji Valley to Tengu-iwa , South Ridge 19th. June / 06

 長い梅雨の中休み。天気は良いが今日も最高気温30度近くまで上がりそうということで、納涼も兼ねて以前から興味を持っていた未踏の紅葉谷を選んだ。
紅葉谷道の周辺にある通称有馬四十八滝の中で代表的な3つの滝を観瀑。下山は表六甲に出てきて、まだ未踏の天狗岩南尾根を通ることにする。
先週の「大池地獄谷から地獄谷西尾根」と同じく、山と渓谷社「六甲山」の中の「紅葉谷から天狗岩南尾根」の行程に滝見学を加えた計画である。

7:05 神鉄有馬温泉駅出発

 3週続けて神鉄を利用して、かなり神鉄のペース?に慣れてきた。
約2時間かけた長旅の末にようやく有馬温泉に到着。有馬口での
乗り換え時間が長い。有馬線は立っている人は少ないが、席は全て
埋まっていた。有馬への通勤の人が多いのだろうか。


 平日の早朝ということで、温泉街も人が少なく静かである。
山歩きと温泉をセットで楽しむハイカーが多いと思うが、自分はそれほど
風呂好きではなく(夏はシャワーのみ)、入泉料が高いと感じる自分は
有馬発の計画でも支障はない。

 温泉街を抜けて、ロープウェイ駅まで舗装路の登り。ロープウェイ駅を過ぎると
舗装からは開放されるが、味気ない林道歩き。紅葉谷道に入るまでは速いペース
で駆け抜ける。

 右手に時折現れる堰堤を見ながらしばらく緩やかに登ると、林道は
沢を横断する。キャンプでもしていたのであろうか車が2台停まっていた。
ここで分岐があるが、入り口に岩が並べられた沢に沿う道ではなく、
森の中へ緩やかに登っていく正面の道を進む。


7:40 湯槽谷出合

 しばらく緩やかに登ると湯槽谷出合に到着。右手に湯槽谷峠に至るトラックが
分岐する。紅葉谷へは直進を続ける。これまでずっと車1台通れるくらいの林道が
続いていたが、ここからようやく細くなって本格的な山道に突入する。
ここでスパッツを付けて小休止した。


7:58 白石谷出合

 湯槽谷出合からは堰堤を越えるため、予想外の急坂があった。
それでもほどなく白石谷出合に到着。左手に細いトラックが伸びていた。
白石谷も近いうちに歩いてみようと思うが、今日は振り切って直進する。
ここからもそこそこ急な登りが続くが、しっかり階段道が整備されていて
かなり歩きやすい。

8:06 七曲滝への分岐

 階段道を登っていくと、ほどなく七曲滝への分岐が現れた。
右手に細いトラックが森の奥へと続いている。
 待ちに待った七曲滝はもうすぐだ。
 トラックは途中で2方向に分かれている。結論から言えばどちらを辿っても
七曲滝へ到達出来る。遠回りになるが右の下方へ続くトラックを進む。
七曲滝のついでにもう一つ滝を見ることができるようだ。


8:11 蟇滝(がまだき) Gama-daki Falls

 トラックは蟇滝を右手に見下ろしながらの狭い山腹道となる。
この辺り非常に狭く、ロープも設置されている。氷結するとアイゼンが必要
だろうなと思った。
 蟇滝という名は岩肌を見てなるほどと納得した。確かにがまがえるの表皮
を連想させる。滝壺へは急斜面だが、頑張ればなんとか降りられそうに見えた。
しかし濡れて滑りやすそうで危険、戻るのもたいへんということで、上から見る
だけで我慢しておいた。


 蟇滝を右手に見ながら進むと、沢が左へ大きく曲がる。
右へも細い谷が伸びていて、もしかしたら別の滝があるのではと思ったが、
次の機会に置いといて廊下状になった沢床を登っていく。


8:23 七曲滝 Nanamagari-daki Falls

 名前の通りに曲がりながら落ちてくる滝だった。最近雨が少なめだが、
しっかりした水量だ。久しぶりにシャワーを浴びる!滝の周辺はおそらく
10度は涼しいのではないだろうか(体感)。汗が一気に引いていく!
暑がりの自分には滝巡りがぴったりだった。
 滝壺が無く、まさに滝の直下に立てるが、周囲は濡れたガレ場なので
足元には気をつけたい。


 谷に日が差し込み、新緑がより鮮やかに見える。シャワーを充分浴びて
思いっきりリフレッシュ♪出来た。また六甲山系の中でお気に入りスポットが
増えた。ここはまた秋にも、そして冬にも来なければならないだろう。
スキーを1回減らしてでも。

 20分近く七曲滝に浸った後、重い腰を上げる。
蟇滝を経由するトラックではなく、より上方を通過する短距離のほうを
選んで七曲滝への分岐へ戻る。この滝へアプローチするトラックは整備
されてはいるが、なかなか険しい。冬季はアイゼンが絶対必要であろうと
感じた、とともに先に無雪期のトラックを見ることで下見になったとも思う。


9:00 百間滝・似位滝への分岐

 七曲滝への分岐からここまではずっとそこそこ急な登りが続く。
七曲滝で完全に引いた汗が再び一気に噴出してくる。やはり沢を
離れるとかなり暑い・・。

 百間滝・似位滝へは左へ伸びる細いトラックへ進む。七曲滝の
時以上に細くて、しかも高低差もありなかなか険しいトラックだ。
しかし早くまた涼みたくて足早に駆け下る。下りは雪が無くても
滑りやすいので注意が必要だ。

9:10

 百間滝のものと思われる音を聞きながら急坂を下ると沢へ降り立つ。
正面が似位滝へ続く沢、右手には既に百間滝が見えていた。
 なお白石谷の途中から支流を遡行してもここへ辿り着くことが出来る
ようだ。渓流シューズを購入したら試してみよう。早く買いたいのだが、
なかなか買い物に行く時間と気力が無いのである。(面倒くさがり)


百間滝 Hyakken-daki Falls

 その名の通り周囲を岩壁にぐるりと囲まれた谷の終点となっていた。
直に落ちてくる豪快な七曲滝と違って、優美で女性的な滝だと感じる。
階段状になっていて、頑張ればなんとか登れそうな感触だ。もちろん
今回は遠慮しておく。

 ガイドブックに載っている正面から撮影した写真では平面的な印象を
受けたが、実際にはそうではなかった。直下から見上げると変化のある
面白みのある滝だ。ここでも思う存分シャワーを浴びて、再びリフレッシュ!


 20分くらい百間滝直下で涼んだ後、上記の沢の出合まで戻って似位滝へ
向けて歩き出す。こちらは出合からは見えず、少しだけ奥へ向かって登って
いく。コケに覆われた倒木が幽玄の世界を醸し出している。
 すぐに右手に似位滝の案内板が目に入る。小滝を登った奥に似位滝が
控えていた。


9:40 似位滝 Nii-daki Falls

 七曲滝、百間滝に負けず劣らず見応えのある滝だった。
ここも周囲を岩壁に囲まれた深い谷底で、秘境ムードは満点だ。
 手前の倒木を撤去したかったが、一人の力ではびくともしなかった。


 名付けて妙だと思った。よく似た流れが3筋並んでいる。
名前の由来が分かってすっきりした。今日の滝巡りでは最後の滝壺に
なるので、ここでも思う存分シャワーを浴びる。空気も冷涼で汗が再び
一気にひいていく。出来ればここから動きたくない思いがする。

 20分くらい涼んだ後で、再び急坂のトラックを百間滝・似位滝への分岐へ
戻っていく。せっかくひいた汗がまた一気に噴き出す。途中、有馬方面が
見渡せるが、霞んでいて全然ダメだった。


 紅葉谷道は殆ど山腹道でしばらくは変化に乏しいが、谷の源流部っぽい
ところで沢を越えて、西側の山腹を登っていく。紅葉谷道終点付近には
六甲では珍しいブナ林が見られるという。今日のハイライトの一つで楽しみだ。


10:50 ブナの木 beech tree
 
 ニュージーランドでは比較的あちこちのトラックで普通に見られる
ありふれた木だが、久しぶりの対面で感慨もひとしお。

 しかし!、その貴重なブナの木をよく見るとナイフ等によるとみられる
落書きがいっぱいだった・・。友人を傷つけられたようで悲しい気持ちになる。
 自分の感覚では到底その行為を行う者の心理を理解することは出来ない。
おそらく精神的に相当に病んでいるのであろうか。
お気の毒としかいいようがない。

 非常に遺憾だが、気を取り直して公設案内板の文面をご紹介したい。

 六甲山のブナ林

 ブナは落葉広葉樹林帯を代表する樹木で、平地では東北、北海道で見られる樹木ですが、西日本では標高の高い山地にしか見られません。
ここ六甲山では山すそからかなり高いところまでが常緑広葉樹林帯に含まれており、ブナは北斜面を中心とした山頂付近にしか見られません。
 またブナ林は、植林や伐採などの人間の影響をあまり受けていない自然に近い森林のひとつです。ここのブナ林ではイヌブナ・ブナをはじめ
シラキ・カエデ類・シデ類・クリ・コナラなど紅葉や新緑の美しい樹木が豊富で、四季を通して楽しめる森林です。

 神戸市・環境庁・兵庫県


 「三姉妹」とでも名付けたいブナ(ブナの木ではないがNZに「四姉妹」がある)

 ブナの木々を見ながらトラックを登っていく。ここで中高年夫婦、そして
5人パーティーとすれ違う。このうち中高年夫婦からスジが入っているのが
イヌブナだと教えてもらった。森の中を見てみると確かにそれと分かる木が
点在している。おかげで少しだけ賢くなった。

 この「三姉妹」と名付けたいブナの木にも落書きが・・。Fから始まる苗字が
書かれている。(殆どの無関係の同姓の方に配慮して記述は控える)
樹皮に付けられた傷は長い年月のうちに癒えるのだろうか。
それまでの間この名前を多くの人が見ることになると思うが・・。


 ブナ林に浸って、歩きやすい階段道を登っていく。
時折車の音がかすかに聞こえてくる。紅葉谷道の終点が近いようだ。
紅葉谷道は滝とブナ林を巡る素晴らしいトラックだった。
また歩きたいトラックの一つになった。


11:13 番匠屋畑分岐  (左)番匠屋畑尾根道、(右)紅葉谷道

 かつて茶畑があったという番匠屋畑に到着。ここから番匠屋畑尾根、
有馬三山を経て有馬温泉へ辿ることができるが、昨年に歩いている
のと、暑さの中急坂を登り返すのがきついだろうということで、天狗岩
南尾根を歩く行程を思いついたのである。

 極楽茶屋跡(建物はあるし、住人が居られるようだ)を通って、六甲
全山縦走路をガーデンテラスへ向けて歩く。途中、1ヶ月ほど前に
歩いた五助山のトラックを左手に見る。面白いトラックだったが、
涼しくなるまでは歩きたくないところだ。


11:30 六甲ガーデンテラス

 いつ見ても普段着の観光客と、重装備のハイカーが入り混じる不可思議な
空間と感じる観光スポット。テラスからは京阪神の絶景が広がっている筈だが、
先が見えないこの国を具現化したように、今日は思いっきり霞んでいる。

 あまのじゃくとして、最近思うことはサッカーで騒ぎ過ぎではないかということ。
この国は難問山積の筈だが、メディアまでがお祭り騒ぎではどうしようもない。
 もし友人が出場していたらその時は応援するだろうが、日本代表の勝敗など
自分にとっては全く無関心な事なのである。
 自分は国籍の上では一応日本人となっているが、ニュージーランドでの
ワーホリを経てこの国を外から見る感覚が染み付いてしまったようだ。
それもよしよしとは思うが。

 
 六甲ガーデンテラスで一息入れた後、西へ向かって歩き出す。
駐車場脇から山道が西へ向かって延びている。階段道をどんどん下る。
途中、石切道への分岐をやり過ごすと車道に出てきた。


11:44 みよし観音

 昭和39年に発生した航空機事故で殉職したスチュワーデスを悼んで、
有志の方々の手によって建立された菩薩像。ここに来るまでこのような
事故があったことは知らなかった。安全は何にも代え難い大切なもの。
日航もJR西日本も今一度このことを再認識してもらいたい。と同時に
自分も車の運転をより気をつけよう。という気持ちになった。


(石碑より抜粋)

「自らの命のかけがえに 人につくすことほど 崇高な行為はない
この行いの内にこそ 人間の眞の勇気と 美しさと尊さがある
紅蓮の炎に消えた 一人の若い娘が身を もって明したものは それだった」
 詞 石原慎太郎 作
 (引き続き抜粋)

 
みよし観音の由来

 昭和39年2月18日雪の朝、スチュワーデス麻畠美代子(京都市出身)の搭乗機が徳島に向かって大阪国際空港を飛び立って間もなく遭難した。
美代子は沈着冷静よく七人の乗客を救出し、最後の一人を助けようとして爆発にあい、猛炎の中に「お母さん!」の一語を残して殉職した。21歳であった。
 美代子は生前ミス京都、準・ミスワールドに選ばれた。 また宝田寮(徳島県)の孤児たちから「ホタルの天使」と慕われていた。
姿美しく、心やさしく、しかもその悲壮な捨身行を観音さまの化身、とうけとめた純情少年、交通遺児の坂井誠、進兄弟(三重県)は美代子観音像を建立して
交通安全、大空の守りをお祈りしようと発願し、これに共鳴した五千余人の善意と台湾、中国、韓国、朝鮮、印度、フランスなど外国出身留日者の合力が
ここに結集し、六甲山上聖浄の地に、みよし(美代子)観音の建立が成った。
 善男善女諸子、仰いで共に交通安全の祈りをこめられんことを
 
 1970年8月1日  みよし観音奉讃会





 みよし観音からはゴルフ場横を通っていくトラックがあるようだが、より最短距離でオリエンタル・ホテル(天狗岩南尾根入り口にあたる)へ到達出来る
車道脇を歩くことにする。この方向だと下り一方なのでかなり助かる。

11:56 オリエンタル・ホテル到着
 もちろんホテルには入らずに、ホテル敷地に沿って南へ伸びる小道(舗装路)に入っていく。途中細い道が分岐しているが、ロープウェイの鉄塔(後述)が
見えてくるまでは道なりに進む。

 
12:03 天狗岩南尾根入り口

 本に書いてある通り、道標は無いが地図がある。正面にそびえる鉄塔の下を
くぐって尾根道に入る。なお、このロープウェイは既に六甲山上の区間は廃止
されている。必要なくなったものは極力撤去して、自然の中に出来るだけ
人工物を残さないようにしてほしいのだが・・。


天狗岩

 鉄塔を過ぎ、短い登りですぐに天狗岩に到着。大きな岩がごろごろしている。
規模から言えば五助山ルートの途中にある東の天狗岩のほうが遥かに大きい。
しかし、この岩は天狗の横顔をほうふつとさせる。ここも名付けて妙といえる
だろう。
天狗岩より西の摩耶山方向

 山と渓谷社「六甲山」でトビラの写真に使われている景観。
眼下に西山谷、正面に油コブシ、長峰山、摩耶山が重なる。
前述の通り霞がひどく、見通しはさっぱりだ。ここはまた空気の
澄んだ日に再び訪れたいと思う。


天狗岩より東の景観

 近くの打越山、五助山でさえ、ぼんやりと見える。
景観図が設置されているが、なんともむなしい限り。
くまんばちがぶんぶん飛び回っていた。

 しばらく小休止した後で、いよいよ天狗岩南尾根を下る。


天狗岩南尾根

 長い階段(やや急なところもあり)、そしてこのような平坦なところが
交互に現れる。メジャーなトラックかと思っていたが、けっこう細い道幅。
(まあ明瞭なので迷うことは絶対無いと思う)
 殆ど景観は無いが、暑さをしのげるのでかなりありがたい。
まあ、下りに使ったほうがいいかなとは思う。


12:45 西山谷への分岐

 天狗岩南尾根は一本道だが、下部で分岐が2箇所(確認出来た範囲で)
ある。まっすぐ下ってもよいのだが、西山谷への入り口部分を見ておきたい
と思ったので右へ曲がる。
 道標には手書きで「←キャンプ場を経て渦森台バス停」とある。
 ここからはいよいよ道が細く、しかもけっこう急坂で下るにもちょっと注意が
必要だ。途中、西山谷へ続く小道と分岐しているようなところを通過した。
(その時に気付かず、後で思い当たったのだが)


12:58 西山谷をふさぐ堰堤の一つを見る

 急坂を下って西山谷下流に出てきた。西山谷は六甲の中では有名な
沢歩きルート(熟練者向き)となっているようだ。もちろん興味はあるが、
初めてでいきなり単独で遡行するのは少々不安がある。いずれは踏破
したいので、何らかの手を考えなければならないだろう。


 木陰に守られて西山谷を後にする。昼下がりでかなり暑いが、地元の
お年寄りが散歩していた。



13:05 西山谷入り口

 堰堤の西側から住宅街に飛び出す。途端に容赦ない直射日光を浴びる。
山の中のほうが幾分涼しいのを身を持って実感した。
 ここからは住宅街を道なりに下る。(登らないこと)
しばらく下ると片側一車線の広い道に出る。少し登ると渦森台バス停に到着。

13:13 渦森台バス停から神戸市バスに乗ってJR住吉駅へ

 バス停が見えると、ちょうどバスが停まろうとしていたところだった。
前もってバスの時刻表をチェックした甲斐があった。しかしジャストタイミング
過ぎてバス停付近の写真を撮る時間は無かった。

 渦森台は駅まで非常に離れている。しかもかなり見晴らしが良い。
(まだ標高がけっこう高い) 登りはもちろん、下りでも夏ならバスを使うべき。



 有馬四十八滝、ブナ林、みよし観音、そして天狗岩南尾根と変化に富み、見どころに恵まれた充実した山歩きとなった。
特に難しいところは無いが、六甲山上は分岐が多いので、自分のように六甲山上の地理に詳しくない場合は地図は必需品である。
ところで自分の耐暑リミットは30度と感じる。今日はぎりぎりセーフ。神戸は28度だったようだ。
やはり暑い時期は特に朝早くに出発することは非常に重要だと思う。


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