「七曲滝氷結初め」 紅葉谷道〜西お多福山  08年1月1日(火)

国土地理院地形図:25000分の1「宝塚」、「西宮」を参照してください。

 年末からやっと寒くなったと思ったら兵庫北部には殆ど雪が積もらず、元旦の初滑りは延期する羽目に。
急遽山歩きの行程を考えることになった。スキーももちろんしたいけど山歩きも好きなので、こういう時は趣味が多くて助かる。
雪こそ積もっていないけどけっこう冷え込んでいるので、もしかしたら七曲滝も凍っているのではと思って運試しともいえる行程を組んだ。
凍っていたら見ものだろうけど、そうでなければ日当たりが悪くて展望も無く、ただ寒いだけの登路となる。




5:57 新開地発、三田行き普通に乗る。

6:32 有馬口着。有馬線に乗り換え。かなりの冷え込み。これは期待できるかも。

6:36 有馬口発

6:39 有馬温泉駅着。

 元旦ということで神鉄は終夜運転をしていたようだ。普段は新開地ではガラガラの状態だが、今日は殆ど空席が無い。でもかろうじて座れた。
いつもと人の流れが違うことを感じた。普段と同じ間隔で休んでいる自分とは違って世間は正月だった。



6:48 有馬温泉駅出発

 年末年始で当然繁忙期の今、どれだけの宿泊客が滞在しているのだろうとか考えつつ温泉街を一路南へ。
早朝ということでまだひっそりと静まり返っている。有馬へ下山してくると賑わう温泉街を見られるだろうけど、いつも通りもう戻ってこない行程を組んでいる。

 そういえばNZから帰国後、もうまる3年もの間旅行に行っていない。今年はどこかへ行きたいなぁ。




 凍っているかどうか分からない七曲滝の様子が気になって、有馬温泉駅からノンストップで歩いていく。遠く六甲山上を見上げるとなんと白くなっている!
今日も六甲を越える行程なので後が楽しみだ。

 一昨日にけっこう雨が降ったせいか、部分的に濡れているところが凍り付いているのが目に入る。
もしかしたら期待出来るかもしれないと、意気込んで歩いていく。








7:31 七曲滝出合

 有馬温泉駅から約40分で七曲滝出合に差し掛かる。木々が完全に葉を落としたことでいつになく明るい雰囲気となっている。
そういえばこの時期にここへ来るのは今回が初めてだ。

 いきなり今日のメインイベントとなる七曲滝へ細いトラックを慎重に進んでいく。
もちろんアイゼン(6本爪)は持ってきているが、滝まで普通の登山靴でも大丈夫だった。








7:43 七曲滝到着

 完全氷結にはまだまだだけど、想像以上に立派なつららが垂れていて、いつになく壮麗な雰囲気で感動してしまった。
雪が殆ど積もらずにスキーが出来なかったおかげで見ることの出来た光景で、まさに「人間万事塞翁馬」とはこのことだなと納得する。
七曲滝は今まで新緑、真夏、そして紅葉と冬以外の滝姿を見てきたが、厳冬期の姿が最も見応えがあるかもしれない。


 ここでレンズを交換しながら色んな角度での滝の撮影のため、約1時間滞在することになった。
当然のことながら滝の直下は凍り付いてツルツルなので、撮影の時だけアイゼンを装着した。実はアイゼンを使うのは今日が初めてだった。
1、2年ほど前に購入していたが今日まで出番が無かった。













自然の芸術は素晴らしい!




 もっと寒波が長引いてくれればより壮麗な姿になるだろうけど、この後は冬型が緩む予報になっていて、一旦は解けてしまうことが予想される。

 約1時間の滞在で体の芯まで冷え切ってしまった。そろそろ出発しようと準備をしていると、単独男性のハイカーが到着される。
ケーブルを利用して初日の出を六甲山上で眺めた後、七曲滝へ偵察に来られたとのこと。ちょうど雲が湧いたそうで、ジャストタイミングでは初日の出は見られなかったそうだ。
自分は今日の行程を考える上で初日の出のことは全く考えていなかった。いつも早朝から歩くおかげでけっこう頻繁に日の出を見ているから。

 男性ハイカーさんは氷結の滝を以前にご覧になられたことがおありのようだったが、今日はこれほど凍っているとは想像されていなかったという。
自分は本当に運が良かったかもしれない。ちなみに温度計を持っておられて、確認させて頂くと−3℃だった。道理で凍るわけだ。








8:57 七曲滝出発

 上記のハイカーさんに別れを告げて、長く滞在した七曲滝を後にする。
体は完全に冷え切っているが、これからのルートで再び暖められるだろう。
蟇滝経由で紅葉谷道へ戻ることも出来るが、あそこは凍っていることが予想されたので、無難に高巻くほうのトラックで戻る。
撮影を終えた時点でアイゼンは外していた。








9:06 七曲滝出合

 ここから極楽茶屋跡までが今日最大の登りの区間。すぐに暖まるだろう。
時折他のハイカーとすれ違うが、皆初日の出を六甲山上で見てこられたのだろうか。








久々の青い空の下での山歩き

 そういえば今日は予報よりも好天だった。自分の山歩きで晴れたのは約1ヶ月と10日ぶりだ。
冬の明るい森に木漏れ日が差し込んで清清しい雰囲気だ。








冬の紅葉谷道

 思った以上に紅葉谷道を下るハイカーとすれ違う。もしかしたら皆有馬温泉入湯が山行の最終目的なのかもしれない。

 この辺りでは西に番匠屋畑尾根が木々の向こうに間近に見えた。
いつもは葉で隠されている景観で、まさにこの時期ならではだった。








すっかり落葉したブナ林を仰ぎ見つつ、一路極楽茶屋跡へ

 トラックにはところどころ雪が見られるようになってきた。昨夜から申し訳程度に降ったようだ。
今日この後北部には積雪が予想されていたので、今度こそこの山歩きでしばらく休みになりそうだ。








   
9:53 番匠屋畑

 七曲滝から約1時間で番匠屋畑に到着。付近の木々には霧氷が見られる。
スキーの時に何度となく見ているものだが、やはりじっくりと観察したくなるのは山歩きならではかも。








表六甲を見下ろす

 極楽茶屋跡から一旦道路を渡って全山縦走路を東へ向かう。程なく表六甲を広く見渡せるところに差し掛かった。
思ったほど遠望は利かないが、澄み切った空気はやはり冬のものだ。
手前の白くなった木々はブレているが、絶え間なく吹き付けていた強風によるものでとにかく寒かった。








途中から本当の六甲全山縦走路へ

 凍結していることが予想される山道を避けて、途中まで車道沿いを東へ向かっていたが、通り掛る車がスリップしたら元も子もない。
ちょうど現れる山道へ車道から離れて登っていく。山肌は北斜面だけが白くなっていた。この時期ならではの面白いものが見られた。
下山は西お多福山経由にしようと思っていたが、今日のこれまで区間と違って暖かい下りになりそうな予感。

 しかし北斜面を通る六甲縦走路は非常に寒かった・・。
そういえば今年の全山縦走大会はどうしようかなと暫し考えるも、秋の過ごし方は一つではないと考えて今年は止めておくことにした。
但し、気が向いたら単独で縦走を試みることはあるかもしれない。








   
 暑いのは苦手だが寒いのには強いと思っている自分でも、本当に寒いと感じた北斜面に比べて、南斜面は一転して穏やかだ。
全山縦走路でも思った以上に他の初登り中のハイカーの皆さんとすれ違う。初詣を済ませて登ってこられているのだろうか。
ちなみに自分は十数年初詣に行っていない。行程によってはついでに初詣も出来るが、あえてそういうルートは外してプランニングしている。




10:23 西お多福山出合

 この道幅の狭い舗装路を辿って西お多福山方面へ南下する。今日の行程は七曲滝、紅葉谷道まではすぐに決まったが、下山路をどこにするかでけっこう迷った。
石切道は2ヶ月ほど前下ったところだし、天狗岩南尾根は昨年ほぼ同時期に歩いている。魚屋道は有馬へ向けての人通りが多いだろうからパス。
結局残った、初夏に一度だけしか歩いていない西お多福山を消去法で選んだ。
 番匠屋畑尾根や魚屋道を経由して有馬へ戻ることも考えられたが、往復とも神鉄を利用すると交通費が高いし、元旦に観光地を歩くことは本能的に避けた。


 出合からすぐ南に878m標高点(西お多福山山頂の一つと捉えている)のすぐ下を通り掛るが、何やら作業が行われているようで(この日は休みで誰もいなかったが)、
ピークを目指す小道の入り口にはロープが張られて立ち入り禁止になっていた。以前に立ち寄ったので今日はピークを踏む気はなかったが、
ここを目当てに来られた方にとっては葛藤するところだろう。


立 入 禁 止

危険ですので立入らないでください。

六甲山系グリーンベルトにおける深層地下水流出調査
(調査ボーリング)
地質調査作業中

(連絡先)
●▲■

(連絡先)
国土交通省 近畿地方整備局
六甲砂防事務所 調査課



 砂防のための作業なら理解出来るが、兵庫県などが計画している明石姫路間の臨海道路建設計画は全く理解出来ず反対だ。
少子高齢化でこれから車も減るのだから、今から更に赤字を増やしてまで新しい道路を造る必要は全く無いはず。
兵庫県も田中前長野県知事や嘉田現滋賀県知事のような方に知事職に就いてもらって、改革のメスを入れてもらいたいと切に願う。








 西お多福山の舗装路は途中からなかなかの景観が広がってくる。東の遥か眼下にはごろごろ岳方面を眺めることが出来る。
そういえばしばらくあの方面には行っていないなぁ。








西お多福山から眺める東お多福山とごろごろ岳

 標高の高さでは西お多福山のほうが高いが、山の風情では断然東お多福山のほうが勝っている。
しかし、今日のような強風の元では三脚が倒れてしまうかもしれない。ただ歩くだけならよいのだが。




 なおも舗装路を下っていると、苦しそうに登ってくる単独男性ハイカーとすれ違う。
この西お多福山は緩いトラックが続く代わりにけっこう距離が長い。自分はまだ下りでしか歩いたことがないので想像しにくいが、
展望スポットが殆ど無く、変化に乏しいので長い道のりに感じるかもしれない。








西お多福山からの下り

 程なく舗装路から開放されて山道へ入る。いかに展望スポットに恵まれておらず、変化に乏しくとも舗装路に比べると断然楽しい。
この付近で再び単独男性ハイカーとすれ違う。いつもは人気の無い西お多福山だが、元旦の今日はそこそこの方が歩いておられるようだ。








六甲ガーデンテラス方面を眺める

 全開とまではいかないが、そこそこ視界が開ける笹の中のトラックを通ると、ここからは住吉谷へ向けて長い尾根道の下りとなる。
寒くて薄暗い裏六甲から登ってきた身には一際明るく感じる表六甲の下りとなった。








11:05 西お多福山のトラックでは数少ない展望スポット

 しばらくなだらかな尾根を下っていくと、ぱっと視界が開けてくる。打越山方面を広く見渡すことの出来る、西お多福山では殆ど唯一といえるが素晴らしい展望スポットだ。
広角レンズに交換して撮影していこう。風があるので交換時にゴミが混入しないように気を遣う。








打越山、七兵衛山遠望

 光り輝く海をバックにいつにも増して美しい山容に見える打越山と七兵衛山。
好きな山だが少し前に歩いているので今日はパスする。




 このすぐ後550m+ピークの北、そして東山腹をトラバースするが、ピークの北の地点では赤テープの付いた細い踏み跡が分岐する。
おそらくまだ未踏の西滝ヶ谷方面へ続いているものと想像される。いずれは踏破してみたい。




 暗い植林の中へ入ると、住吉谷右岸道へ合流。まもなく住吉谷へ降り立つ。








11:20 住吉谷渡渉地点

 程なく水音が大きくなると住吉谷へ到着。前回西お多福山から下ってきた時には、尚も右岸道を辿り続けてもっと下流から左岸道へ渡ったが、
今日はここですぐに左岸道へ向けて渡渉する。以前の記憶から左岸道のほうが歩きやすいという意識が働いた結果だ。

 トゥエンティークロスのような高架ともいえるしっかりした飛び石はないので、慎重に足場を選んで渡渉。今日は大丈夫だが水量によっては足元を濡らすことになりそうだ。
何度か歩いてようやく把握できてきたが、ここを含めて右岸道と左岸道は3つ渡渉箇所があるようだ。
 歩きやすさからいえば前述の通り左岸道がお薦め。右岸道は途中で住吉谷から分岐する西滝ヶ谷も渡渉する。特筆するほどの悪場ではないが。
但し、左岸道は歩きやすい代わりに何度かアップダウンがあったことを忘れていた。たいした標高差ではないが、堰堤を越えるような巻き道で部分的には急といえるかも。
 時期と好みと行程の都合によって右岸道と左岸道を使い分けることにしよう。








西お多福山遠望

 左岸道をアップダウンを繰り返しながら南下していると、これまで辿ってきた西お多福山を見上げられるスポットに差し掛かった。
山頂付近のアンテナのおかげでよく目立っている。いつもなら木々の葉に隠され気味だろうけど、これも冬枯れした今ならではだ。








住吉谷道

 かつて、東海道線の終点が住吉駅だった時代には、有馬へ向かう主要交通路だったという。
阪神大水害で大打撃を受けた住吉谷だが、今でも部分的にはその頃の石畳が残っていて、古道の雰囲気を感じることが出来る。
こういうところは自分にとって好みのスポットだ。いずれローマのアッピア街道を歩いてみたいというのが夢なのだが、いつ実現するかは全く分からない。




 少し下ると黒五谷への分岐に差し掛かる。【摩耶山さん歩】のてるみさんに教えていただいたルートであり、ぜひ歩いてみたいけど、
この後打越峠を越えるとなるとほぼ一日掛りの行程になってしまう。中2日でスキーに出かける可能性があることを考慮に入れると、
今日はこのまま下山するのも止むを得ない。せっかくの好天だから歩いてみたいという気もあったのだけれど・・。








11:52 五助尾根出合

 五助ダムの潅木帯を歩いていると、修復されたっぽい五助尾根への取り付きに誘われる。
確かかつてはこのボードウォークがひっくり返っていたような気がする。流れを挟んで目前には五助尾根の先端がよく見える。
しかし流れにはしっかりした飛び石は皆無で、この寒い時期に渡渉するのは思い切りが必要だ。
五助尾根はしばらく遠ざかっているし、前回はここより少し北から取り付いたので、いずれここから歩いてみたい。








               
お気に入りスポットの五助ダムのボードウォーク

 自分にとって草原の雰囲気を味わえるお気に入りスポットとなっている五助ダム。
以前に比べてボードウォークの補強に使われている鉄パイプが増えたような気がする。

 五助ダムによって堰き止められたことによって出現した湿地帯だが、ここの自然は本当に好ましく居心地は抜群だ。




11:57 五助堰堤通過

 堰堤を通過すると広い林道に出るが、そこで今日は行程を脱線させる出来事が。間近に鳥の気配。
今日は望遠レンズを持ってきているのでなんとか撮影しようと試みる。








ジョウビタキ スズメ目/ツグミ科 成鳥♂

 手前の枝が邪魔で、しかもピントが枝に合っている・・。(>_<)
でもこれが数枚撮影した中で最もマシな写真だった。帰宅後に野鳥図鑑で調べたら、ジョウビタキという冬鳥だった。縄張りを主張して短い声で鳴くという。




 しばらく居続けると警戒されるようで鳥の気配が無くなった。
望遠レンズを構えたまま、住吉台へ向けて林道を歩くことにした。しかしついでに撮影出来るほど甘くなく成果無し。








12:40 くるくるバス エクセル東バス停到着

 出発時刻まであと6分という絶妙のタイミングでバス停到着。鳥狙いで望遠レンズを付けたままなので遠くから撮影。
このバスは最近導入された新しいタイプだが、従来のものに比べると席数が少ないうえにシートが固めで評判はもう一つと聞いたことがある。
ここで出発までに乗り込んだ乗客は自分を含めて3人。先払いで乗り込む時に支払う。1乗車につき大人200円。両替は千円札までは可能。




12:46 住吉駅前行き(下り)出発

 住吉台の各バス停を停まっていく間に立ち客が出るほどの満員になった。そういえば休日にくるくるバスに乗るのもこれが初めてだった。




12:59 住吉駅前到着

 ほぼ定刻通りに住吉駅に到着。隣接する住吉神社が賑わっているのを見て、今日が元旦だということを実感した。
13:10発の快速に乗って家路に着く。

 好天、しかも目論見通り七曲滝が凍っていて、2008年は幸先良くスタート出来た。
後は雪がしっかり積もってくれればいうことはないのだが。





本日使用したレンズ

EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM
EF24mm F2.8
EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM
EF70-300mm F4-5.6 IS USM の4本です。







今日の行程の断面図です。




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