「五助谷初遡行」 住吉台発着 09年5月14日(木)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「宝塚」

参考文献
 : 山と渓谷社 【六甲山】 P.66 「石切道から番匠屋畑尾根」   P.98 六甲の谷歩き「五助谷」   P.108 25「渦森橋から五助谷」
 
 : 昭文社 山と高原地図 【六甲・摩耶】



 六甲山系では今まで数箇所の谷を遡行してきたが、住吉川水系(住吉川本流は除く)は手付かずのまま残してきた。
そのうち、五助谷に関する情報をhase_kyou_1978さんからいただいたことにより、遂に突入する手筈を整えることが出来ました。
この場をお借りして改めて御礼申し上げます。m(__)m
 
 五助谷は五助堰堤上流側で住吉川本流より分岐し、五助尾根の西側を通って六甲ガーデンテラス付近に突き上げる谷である。
本来であれば五助堰堤から谷に入ってこそ完全遡行となるが、下流部での一部の堰堤越えはかなり危険を伴うとのこと。
中流部にあたる「指差岩」から遡行を開始するのが得策ということで、その通りの行程を組んだ。
途中からとはいえ、距離的にいうと踏破済みの西山谷とさほど変わらない。また石切道を離れてから指差岩までの道のりはかなり長くて険しい。
決して安易なルートではないとの気構えで初遡行する。


 五助谷の遡行にはあらゆる局面で、道迷い、転倒、滑落等の危険が伴います。
このレポは安全に遡行出来ることを保障するものではありません。
谷に入るとルートが不明瞭な箇所もあります。ルートファインディングも必要です。



7:01 JR住吉駅前バス停出発

 今回は五助谷に集中したいと思い、みなと観光くるくるバスを利用した。1回乗車大人200円。
この7:01のバスが始発であるので、いつもよりはゆっくり家を出発することが出来る。
朝に住吉台へ向かう便は空いている。終点のエクセル東まで乗車したのは自分だけだった。

 参考資料 : 住吉台くるくるバス 公式ホームページ








7:15 エクセル東バス停到着 (260m+)

 このエクセル東バス停の標高は260m余り。これだけの標高差を稼げるのだから、くるくるバスはハイカーのトランスポートとして非常に有用だと思う。
地域の足を守るためにも、この山域を訪れる際には積極的に利用したいと思う。
バス停からまっすぐ東へ向かい、すぐにある突き当りを北へ。そのままそこから五助堰堤へ向かう林道っぽい幅広のトラックへ入ることが出来る。
この時間はご近所の方々が多く散策されている。空気もうまいし散歩道として最適だと思う。








7:35 五助堰堤下の四差路に到着 (280m+)

 エクセル東バス停からだと殆ど標高差のないままここまで到達出来る。
今日の遡行開始ポイントとなる指差岩へは、途中まで石切道を登っていくことになる。
石切道は今までに何度か下りで歩いたことがあるが、登りは今回が初めてだ。
もうかなり体が温まっているが、ここでウォーミングアップをして本格的な登りに備えておく。




7:42 五助堰堤下の四差路を出発

 充分体をほぐしてから石切道を歩き始める。石切道の下部は石がごろごろしていて歩きにくいことは分かっている。
捻挫防止のために足元には注意したい。








 下りではかなり歩きにくく感じたトラックだが、登りだとそうでもない。ただ快適とまではいえないが。
さほど急なところもなく、ゆっくりと高度を上げていく。そういえば石切道に入った途端周囲に人気は全くなくなった。

 まもなく四差路を通過。ここからも五助谷に入れるが、前述の通り通過に危険な堰堤を回避するために、
もっと上流側から谷に突入する。しばらく足慣らしも兼ねて石切道を登り続ける。








8:06 舗装路に出た (450m+)

 こんなに長かったかなと思った頃、ようやく舗装路に出た。
石切道下部はあまり好きではないので、気分的に長く感じたかもしれない。ここで水分補給をして小休止した。
今日は日陰ではそれほどではないが、日向に出るとけっこう暑くなりそうだ。








8:17 石切道と別れて、五助谷へと続く舗装路を歩き続ける

 九十九折を経て三叉路に差し掛かった。もし続けて石切道を歩くとすれば、ようやく舗装路から開放される嬉しいスポットだが、
今日は更に舗装路を歩き続ける。ここからがいよいよ未踏区間となる。ある程度予備知識を仕入れてはいるが、五助谷が近づくにつれて少し緊張感が増してきた。








8:23 舗装路終点の広場に到着 (520m+)

 石切道と別れてから、思ったよりも早く広場に到着。舗装路はここが終点となる。
ここから五助谷へ降りるルートが始まる筈なので、広場の周辺を注意深く観察する。
すると不法投棄されているゴミのある北西隅から谷に下りていくと思われるトラックを確認した。
周囲には道標等は一切無い。

 谷へ下り始める前に、小休止を兼ねて現在位置を確認。五助谷の向こう側にピークが2つ見えているが、
位置関係を考えると、おそらく北側に見えているのが五助山だろうかと推測した。
方角からいって、北西隅から始まるトラックは五助谷を目指しているものと見て間違いなさそう。
それだけ確認してから、いよいよ五助谷へ向けて突入を開始した。








広場から始まるトラックはかなりの難路

 始めこそよく踏まれた快適なトラックに見えたが、連続する崩壊地を通過するなど、決して気を抜けないルートだということはすぐに分かった。
険しい山腹を横切るように巧みにルートが付けられている。道中では藤の花がトラックのすぐ横で咲いており、珍しく至近距離で見ることが出来た。








五助谷を俯瞰する

 ルートからはこれから遡行する五助谷を遥か上空から見下ろすことが出来た。
五助尾根と石切道の尾根に挟まれ、谷底の深さがより強調されて見える。
谷までの標高差はまだかなりあって、ルートが谷と合流するまでしばらく時間がかかりそうだ。

 途中、遥か眼下には堰堤が見えた。あれがより下流から遡行していたら、難所として立ちはだかる堰堤だろうか。








連続するロープ場を通って五助谷へ

 広場から約20分で沢の水音が足下から近づいてきた。最後のロープを伝って降りたところがいよいよ五助谷だ。
最後の足場の悪い斜面を慎重に降りていく。




8:48 五助谷に降り立つ (470m+?)

 遂に谷底に降り立った。まずは周囲の様子を観察する。一見するとそこは沢が分かれているようだったが、
90度西に沢が屈曲しているだけで、支沢の流入は無かった。難しいけど地形図から現在位置の確認を試みる。
とりあえず、現在位置は五助谷の「谷」の字の辺りではないかと目星を付けておくことにした。

 そこまでしたところで適当な岩に腰掛けて、久々に渓流シューズに履き替える。
登山靴から履き替えると、余計に軽く感じてしまう。この軽快さを感じると谷歩きには必携アイテムかと思う。

 渓流シューズに履き替えて、スパッツを装着してさあ出発しようと思ったところで、ふと思い出した。

 そういえば、指差岩は?
と改めて周囲を見渡すと・・・








指差岩

 なんと自分が座っていたすぐ横の岩が指差岩だった!
周囲のブッシュに紛れていて気づいていなかった。指を差された状態で座っていたことになる。
最も指を差しているように見えると思われる角度で撮ったのだが、なんとも分かりにくい写真になってしまった。
しかしよく見ると実際に指を差している形に岩が出っ張っている。これは良い目印になるなあと改めて感心した。








9:11 指差岩出発。五助谷遡行開始。

 指差岩を見届けてから、いよいよ本題の五助谷遡行を開始する。
濡れてもいいように渓流シューズを履いてはいるが、途中までは可能な限り濡らさないように歩く。
以前の遡行経験から、沢の水の冷たさは決して無視できない要素であると学んだからである。

 指差岩までの険しさとは打って変わって、特筆することのない穏やかな渓相が続く。
右に左に緩やかにカーブを描きながら沢を遡行していく。
他の沢の例に漏れず、程よい距離ごとに赤テープが設置されている。
更にこの日は真新しい靴跡が谷のほぼ全線にわたって見受けられて、とても勇気付けられる。




 そして遡行を開始してからまだそれほど経っていない頃、左手に比較的大きな滝が見えてきた。これが五助滝だ!








9:27 五助滝到着

 指差岩からの五助谷遡行序盤でいきなりハイライトを迎えた。書籍等で紹介されている通り、三連落差8mのなかなか美しい滝だった。
西山谷の西山大滝が男性的なら、こちらは女性的な滝だろうか。見ていて見飽きない魅力がある。
五助谷で比較的大きな滝はこの五助滝だけだが、この滝を見るだけでも充分に遡行する意味はあると思った。
エクセル東バス停から歩き始めて2時間余で到達。当然、この美しい滝の前で長めの小休止をとることにする。




9:51 五助滝出発

 美しい五助滝を充分に堪能したので、いよいよ出発する。
休憩がてら周囲を観察していたが、この滝を直登するのは自分にはまず不可能。
谷は滝の直下でまた90度に屈曲して、滝の向こうに続いている。
滝の右手には涸れた支沢があり、一旦そちらへ向かうように見える巻き道があるのでそれを登っていく。

 巻き道は比較的簡単に登れるが、滝の真上に出るところはけっこう高度感がある。
先程まで居たところを見下ろしてから上流へ向かう。








9:59 五助谷第二堰堤を越えにかかる

 五助滝を見て癒された直後に、本日初の堰堤に阻まれて現実に引き戻される。
赤テープによって左岸より堰堤を越えるルートを容易く見出すことが出来る。
なおいつも写真には出来るだけ余計なものが写り込まないようにしているが、
美しいと思われた谷の実態を直視する必要があると思いゴミも写しておく。
残念ながらゴミは六甲山系の重大な問題であり、谷の源頭部である六甲ガーデンテラスに近づくにつれて
ゴミの量が増えていったことを予め付記しておきたい。

 五助谷第二堰堤は比較的容易く越えることができた。他の堰堤もこの調子でクリアできればいいけど・・。








 五助滝、続けて堰堤を越えた後は、拍子抜けするほど穏やかな渓相に戻る。
本当に小滝が少ない谷なのだなということが分かってきた。
それからすると芦屋地獄谷の小滝の密度は特別だったのかもしれない。
短いけどあれほど楽しい谷はそうあるものではない。








10:15 鋼鉄製堰堤を通過

 まもなく初めて見る鋼鉄製の堰堤を通過。これなら登る必要がないので大歓迎だが、
上流側にはこの鋼のパイプに引っかかるほどの岩は無かった。
それにしても深い谷底に忽然と現れる鋼鉄製堰堤は何だかシュールなものがあった。








10:23 今日初めてといえる小滝(便宜上小滝1とする)

 鋼鉄製堰堤からもしばらく緩やかな渓相が続いたが、不意に小滝が現れて嬉しかった。
やはり沢には小滝が無いとつまらない。芦屋地獄谷でよく見られる大きさだ。
直登も不可能ではないとは思うが、万一ここで身動きが取れなくなれば即遭難になる。
五助谷を遡行する人はそう多くないだろうから、発見されるまで早くても数日かかると想定して止めておく。
滝の左岸側に安全に登れる巻き道を見つけてそれを辿る。








10:26 再び小滝(便宜上小滝2とする)

 予想外に立て続けに小滝が現れた。幅広のなかなかきれいな小滝だ。
ここも直登は出来そうだが遠慮して、滝の左岸にある巻き道を辿る。
まだまだ小滝が現れれば嬉しいのだが、結論からいうと小滝と表現できそうなものはここが最後となった。








10:33 堰堤を通過(堰堤名は不明)

 まもなく今日2つめの堰堤越え。堰堤脇を摺りあがるのはよいが、堰堤の付け根のところが段差が大きいのが難儀だった。
比較的昔に設置された堰堤はハイカーの通過を想定していないので、自然に難所となっているところが多い。
例えば、西山谷の千丈谷第5堰堤などは実際に事故を誘発していて悪名高いところだ。
六甲の谷歩きを難しくさせている代表的な要素は、まず堰堤越え。そして今回も後で現れるが、沢の分岐(言い換えれば支沢の流入)でのルート選定の2つだと思う。

 堰堤の上流側は埋まっているところが多いが、ここも例に漏れず容易く谷に下ることが出来た。








10:40 再び鋼鉄製堰堤を通過

 やはり壁よりはこのタイプの堰堤のほうがありがたい。造りや規模は先程と同じようだ。








10:46 次に登る堰堤を見ながら小休止をとる

 沢沿いに少し草がまばらなところがあったので、そこで小休止をとった。
やはり日が当たるとかなり暑い。今日は風が比較的強い日だったが谷底では殆ど風が無いのも一因だろう。

 ふと左手を見ると山腹を登っていくルートを見つける。
どこに登っていくのかと思って入口を観察したが、何も表記されていない。
地形図を見るとおそらく石切道に脱出出来るのではないかと思われる。

 先程から堰堤の写真ばかりになってきたが、谷に見どころが少ないうえに、
堰堤の間隔が短いからに他ならない。楽しいはずの遡行が少しばかり飽きてきた。








10:52 パイプ梯子付きの堰堤を越える

 小休止の時から見ていた堰堤はパイプ梯子付だった。山行中には味気ないものではあるが、
堰堤を越える設備としては本当にありがたい。万一落ちてもよいように、少しずつ段を横にずらしているため恐怖感は無い。
但し高所恐怖症の方はあえて下は見ずに登ることをお勧めしたい。










左はルートを見出せなかった。 右が涸れ沢だが結果的に正解のルート。


左のルートを少し進んだところ。水流はあるがルートは不明瞭。少し奥でヤブに阻まれる。
10:57 沢の分岐 (660m+?)

 この付近ではブッシュの下を腰をかがめるようにして通過する。
パイプ梯子付の堰堤の上流側では、比較的分かりやすいというかよく目立つ分岐があった。
右手には古いビニールテープがあるが、先には水気が無くなり支沢の雰囲気。
左手にはテープが見えないが、はっきりと水流があるのが分かる。
今日の遡行概念は源流部まで本流を辿るということだった。
おそらく左手が五助谷の本流だろうと、水に誘われてそちらへ進んでいった。

 少し奥では小滝とまではいかないが、段差を水が流れている。
水のすぐ横を簡単に登って更に奥へ進もうとする。この辺りで1箇所だけテープがあった。
しかし急にルートを見出しにくくなった。具体的に言えばどちらへ進んでも木々の枝が当たるのである。
どうもおかしいと感じつつも奥に見えてきた堰堤を左岸から越えにかかる。
しかし地面には蔓状の植物がびっしりと生えていて、足場が非常に悪い。
そしてようやく堰堤と同じ高さまで登ったところ、行く手が完全にヤブに遮られたことを確認。
これ以上は人が分け入った気配は全く無く、何も武器が無い状態では前進は不可能だった。
どうやら先程の分岐での選択が誤ったのではということを確信して戻っていく。




11:11 再び上記の分岐に戻ってくる

 再び元の分岐まで戻ってくるのに、分け入ってから15分を要した。分け入った水流のある沢は、コンパスで確認すると
西から東へと流れていた。改めて地形図を見ると、奥で三叉に分かれる沢に入ったのだと思う。
但し、水流があることから、五助谷の本流であったことはおそらく間違いないと思う。
とすると、五助谷の正規のルートは途中で支沢に入る、ということなる。
但し本流側で自分が見つけられなかったルートがあった可能性も排除出来ないと思うので結論は出せない。

 いずれにしても、テープはあるが水気の無い沢を辿ることにする。
少し奥へ進むと、再び程よい距離でテープが現れるようになった。やはりこちらのほうが正解だったのか。








11:17 再びパイプ梯子付の堰堤を越える

 分岐からさほど遠くないところに再びパイプ梯子付の堰堤。
楽に越えていけるが、日がまともに当たってかなり暑い。








11:23 最後の堰堤 (690m+?)

 すぐ上流側にもう一つパイプ梯子の堰堤があった。この堰堤の梯子は堰堤を右手に見ながら登っていく。
そしてここが今日の行程で最後の堰堤となる。登ったところでは何故かスコップが。いつからここにあるのだろうか。
五助谷の支沢と思われるこの谷にはもう水流は無い。この堰堤上のテラスを利用して登山靴に履き替えることにした。

 東に見える五助尾根との標高差は小さくなってきており、かなり上流まで来たことを感じさせられる。
但し、地形図を見ると、六甲ガーデンテラスまであと170m余りの標高差。しかも等高線はかなり狭いので、
最後まで息をつくところはなさそうだと気合を入れなおす。所要時間を考えると、ちょうど昼頃に六甲ガーデンテラスに辿り着けそうだ。
無事に五助谷を遡行し終えて、六甲ガーデンテラスの展望台で昼食をとることを思い描いて出発する。

11:39 最後の堰堤を出発








上流部はガレが続く

 最後の堰堤を越えると、既に下流側から干上がっている沢はガレが続くようになる。
部分的にコケも生えていることから、おそらく降雨直後だけは水が流れていると思われる。
普段の涸れて乾いている時なら登山靴のほうが快適だ。

 五助谷はこれまで指差岩から比較的緩い傾斜が続いていたが、打って変わって緩みのない登りとなる。
もう早く谷から脱出したい心境ではあるが、170mほど標高差があるので焦らずにじっくりとガレを楽しんで登る。
背後ではすぐに先程まで居た堰堤を見下ろすようになり、やがて木立の向こうに消えていった。
木立の間からは少しだけ下界が見える時もあって、行程が終盤まできたことを感じさせられる。








ガレは苔むした源流部となる

 緩みなくガレは続くが、徐々にコケが岩を覆うようになってきて、
見た目には潤いを感じさせられ好ましい光景だ。しかしそれを台無しにするほどゴミがあちこちに散乱しているのが残念だ。
おそらくハイカーだけではなく、山上の世界から流れ落ちてきたと推測させる量だ。
国立公園であるはずの六甲山系が泣いていると感じる。




 まもなく渓相は無くなり、ルートは谷から離れて山腹を登ろうとする。








源頭部付近は笹薮を通過

 源頭部周辺ではいつの間にか現れた笹薮で覆われていた。
トラックは曲がりくねりながら、緩やかに上へ上へと続いていく。








 もうほど近いところから、六甲ガーデンテラスの展望台からと思われる人の楽しげな話し声が聞こえるようになってきた。
六甲ガーデンテラスに辿りつく事は知っているが、どこから出るのかまでは知らなかったのでワクワクしながら登っていく。
しかし、あと少しというところでルートを見失ってしまった。上のほうは左右に壁が続いているのが見えた。
どうやら真っ直ぐ登ると展望台の下に出るようだ。展望台に居る人を驚かせる場面も想定していたが、どうにも上がれなさそう。
少し戻って観察すると、笹薮に隠れているように見えたルートを見出した。








12:22 縦走路に合流 (870m+)

 唐突に六甲全山縦走路に飛び出して、五助谷初遡行はあっけなく終わった。六甲ガーデンテラスのすぐ東が出口だったのか。
縦走路に出た途端、それまでの緊張感から一気に開放されると共に充実感に満たされる。
谷の遡行の醍醐味はこの時の達成感にあるといつも思う。

 昼は少し過ぎたが、概ね予想通りの到着時間だった。
観光地の六甲ガーデンテラスに入る前に、スパッツを外したりヤブで付いた埃を払っておく。
上着にはけっこう引っかき傷が付いていて、難路を歩いてきたことを感じさせられる。








六甲ガーデンテラスから住吉台方面を眺める

 ガーデンテラスのきれいな洗面所で顔を洗ってリフレッシュしてから、展望台で待望の昼食をとる。
途中で昼食をとらなかったのは、万一の場面を想定して昼食を非常食として保持していたからでもある。
なおガーデンテラスからは遡行してきた五助谷の様子を伺うことは難しい。

 いつも普段の街着で憩う観光客やカップルなどとのギャップを感じる六甲ガーデンテラスだが、
五助谷を遡行してきた直後ということで、全くの別世界にやってきた感が今日は特に強い。
そしておそらく殆どの人は、このきれいな六甲ガーデンテラスのすぐ下にゴミが散乱する沢の源頭部があることを知らない。
物事は見方によって変わることがある。ここはまさにその縮図のようなところだった。

 そういえば、景気対策の一環という名目でばら撒かれた「定額給付金」だが、
一時は収入が増えるように思えても、自分から見れば「預り金」という負債勘定であり、即消費に充てるべきものではない。
ということで、さもしいけどとりあえず一旦手元に預かっている。








12:55 六甲ガーデンテラス出発

 きれいなガーデンテラスでランチのひと時を過ごして出発する。
このロケーションは自分がモデルになるべきところではないなといつも思いながら撮影している。
ポートレート写真のロケーションとしてはなかなかのところだろう。

 今日の五助谷遡行を思い立った時、下山ルートはいくつか思い浮かんだがなかなか決まらなかった。
今日は帰宅後に用事があるので、五助尾根を下るのはボリュームがありすぎる。
天狗岩南尾根や西おたふく山はやや離れている。
ということで目新しいところはないが、最短ルートでもある慣れた石切道を下ることにした。
石切道は慣れてはいても、遡行直後の五助谷を俯瞰してみたいという思いもあった。




 しばらく全山縦走路を下って石切道へ。石切道はもうコース構成を覚えているほど回数を重ねて下っている。








石切道より五助谷(但し歩いていない支沢と思われる)を俯瞰

 石切道からは途中で五助谷の深い谷底を見下ろすことが出来る。
但し、ここから見えている谷は五助谷の支沢に当たっていて、遡行ルートではない。
それにしても支沢の割には大きな堰堤が見えているが・・。








13:34 五助谷への分岐を通過

 六甲ガーデンテラスから約40分で、朝に五助谷へ向かった分岐へ戻ってきた。やはり石切道を下ると早い。
ちなみに今朝の登りでは、ここから五助谷経由で六甲ガーデンテラスまで約4時間かかっている。








13:54 石切道入口

 更に約20分で石切道を下りきった。六甲ガーデンテラスからの所要時間は約1時間。
途中から現れる舗装路を下り続けて住吉霊園経由で渦森橋まで降りるというルートもあるが、
延々と日当たりの良い舗装路を下り続けるのはこの時期得策とはいえない。
但し両ルートとも距離はほぼ同じなので、その時の都合によって使い分けるといいと思う。

 石切道を歩き終えると、あとはエクセル東バス停まで林道を辿るだけ。
予め調べておいた、くるくるバスの時刻表によると次の発車時刻は14:16。
ちょうど良いタイミングで到着出来そうだ。




14:12 エクセル東バス停到着

 既に待っているバスに乗り込む。運転手さんによると、土日の午後はけっこうハイカーの利用客が多いそう。




14:16 エクセル東バス停出発

 平日の今日はまばらで自分を含めて4人。途中で3、4人乗車したが全員が座れた。
もっと涼しい季節ならば住吉駅まで歩いてもよいが、今の時期は自分にとってもう暑すぎる。

 バスは途中から住吉川に沿って下る。きれいに整備された下流部を見ると、上流の五助谷、そして西山谷とはまさに別世界だ。





 そろそろ沢歩きが快適な季節になってきました。また別の谷を遡行してみたいですが、新型インフルエンザのせいで列車に乗るのに抵抗を感じます。
でも六甲、比良などへ向かうには、自分にとって列車は必要不可欠な交通手段であり本当に困ったものです。








今日の行程の断面図です




BACK

inserted by FC2 system