「春霞の東六甲」樫ヶ峰〜甲山森林公園

ゆずり葉台バス停〜樫ヶ峰〜小笠峰〜甲山森林公園〜阪急仁川駅 07年2月13日(火)

 東六甲縦走路の大平山辺りから南には痩せ尾根(っぽく見える)を伴う樫ヶ峰がよく見える。以前から気になっていたが今日ようやく順番が廻ってきて訪れることにした。
六甲山系の一部ではあるが、道標が無かったり表示が分かりにくかったりする、ややマイナーな感が漂う山塊であった。
但しその分殆ど誰にも出会うことなく、六甲らしくない山歩きが楽しめることになる。
 
 樫ヶ峰だけではあまりに物足りない距離なので、行程を組むのが難しいのも樫ヶ峰ならではといえるのではないだろうか。
今日は初めて本格的に野鳥撮影をしてみようと思って、甲山森林公園を経由して阪急仁川駅まで歩くことにする。(舗装路歩きが長いのは仕方がないがこの時期なら問題ない)


 なお、今回も写真撮影にかなりの時間を充てており、所要時間はあまり参考にならないことを付記しておきたい。


6:45 阪急逆瀬川停留所出発。
 104系統、エデンの園行き阪急バスに乗る。乗客は殆ど学生だった。
料金は宝塚市内線は一乗車につき210円均一で安い。道幅が狭い箇所があり、また交通量は多いのでバス利用がお薦め。

6:57 ゆずり葉台バス停着。
 住宅街の中にあるバス停だった。樫ヶ峰へはバス停から少し逆瀬川駅方面へ橋を渡るまで戻る。徒歩1分というところだ。

7:05 樫ヶ峰、ゆずり葉台登山口より登山開始。公設の道標は一切無い。橋が右手に見えているヘアピンカーブのガードレールが切れているのが目印。

 「ちかんに注意」の看板がある。これは気をつけなければならない。もちろん襲われるほうではなく、こんなところでうろうろしていたら自分が痴漢にしか見えないだろうから。

 よく見ると奥へ続く踏み跡とテープの目印がある。道標は一切無いが、この光景を覚えていただくと簡単に辿り着けると思う。


 登山口からはすぐにプラ階段による、そこそこの急登がはじまる。時に途切れるところがあるが殆ど階段道で非常に登りやすい。
斜度は送電線をくぐる辺りで幾分緩くなる。そこからは純朴な山道が続く。雑木林に覆われているために雰囲気はとても良いトラックだ。
特に冬枯れの今は朝日の木漏れ日のおかげでとても落ち着く。スキーが出来ない超暖冬だが、充分に心癒されるものがある。

 殆ど道なりに進めば問題ないが、途中でキャンプ場方面へ降りると思われる分岐があった。樫ヶ峰方面へ登る西向きのほうを進む。


7:45 樫ヶ峰東の好展望地に出てくる。

 地面が砂地になっていて、砂丘のような雰囲気のところだ。樫ヶ峰山頂は展望なしとの情報を得ているので、ここでひとまず展望を楽しむことにする。


甲山、ごろごろ岳を望む

 澄んだ冬空の下、といいたいところだが見事に春霞。甲山ですら霞んで見える。手前にはゴルフ場がとても広く見える。
今日はこの後甲山方面へ向かう予定だが、ごろごろ岳を経由して芦屋川まで歩くのも一つの手だと思う。


東六甲縦走路のある六甲主稜線を望む

 北には何度か歩いた主稜線が一望出来る。樫ヶ峰自体はそれほど高い山ではないが、周辺の山々を一望出来る好展望地として楽しめると思う。


8:01 樫ヶ峰山頂へ向けて歩き出す

 展望地からは緩やかな岩がちのトラックを登っていく。霞んだ景観を楽しみながら歩いていった。
山頂は近づいているようだが、樫ヶ峰はなだらかな山容で山頂が目立たない。

 ほどなく雑木林の中に入り、再び分岐に出くわす。キャンプ場方面へ降りるようだ。
この分岐から樫ヶ峰山頂は本当にすぐだった。


 
樫ヶ峰山頂
標高461.1m
(甲山より152m高いよ!)
8:12 樫ヶ峰山頂を通過 (457m)

 公設の案内板が無ければ普通に通り過ぎてしまいそうな山頂だった。周囲には雑木林が広がり、山頂とは思えない山頂である。
ここよりも先に今日のハイライトの区間があるので、立ち止まらずに歩き続けることにする。

 山頂のすぐ側には、「社家郷山」と銘記された石碑がある。かつては山塊全体を社家郷山と呼んでいたのであろうか。

 なお樫ヶ峰の標高は昭文社「山と高原地図、六甲・摩耶」では457mとなっている。基本的に自分は低いほうを採用するので457mとする。


馬の背へ突入

 樫ヶ峰山頂を過ぎて少しだけ下ると、再び視界が開ける。今日のハイライトの馬の背へ突入する。東六甲縦走路からはとても痩せた尾根に見えるが、
実際は期待したほどではなかった。それでもなかなか気持ちのよい展望コースであることには間違いない。距離は短いが・・。


8:34 馬の背から樫ヶ峰を振り返る

 西から見ると端正な山頂に見える。


 もう少し西へ進むと、「馬の背岩展望台」の公設標識がある。この辺りが最も眺めの良いところだ。
ここで景観を眺めつつ、オカリナを楽しむことにする。


馬の背より東六甲縦走路を眺める

 市街地のすぐ側とは思えない山深い景観を楽しめる。足下は急峻な山肌になっており、この辺りの景観が大平山辺りからの景観でよく目立っている。
本来の気候なら寒いだろうが、ぽかぽかしてとても暖かい。岩に座っているともう動きたくなくなってしまいそうなので、15分ほどの滞在で先へ進むことにする。

 この岩場を最後に楽しい馬の背はあっという間に終わってしまう。普通に歩けば1、2分で通過してしまう距離だ。
このあたりの事情が樫ヶ峰が静かな要因なのだろうと思う。


9:15 東三ツ辻出合 (460m+ピーク) (左)

 馬の背を過ぎると雑木林の尾根道になって、すぐに「東三ツ辻出合」と名付けられた分岐に辿り着く。ちょっとしたピークになっており、樫ヶ峰よりも山頂っぽいところだ。
南へはキレットへ向う急な下りのトラックが分岐する。とりあえず西の小笠峰まで縦走してから、下山時にキレットへ向かうことにする。

 社家郷山へは小刻みにアップダウンを繰り返しつつ、殆ど高低差のない雑木林歩きとなる。(右)
殆ど展望は開けないが、自然に包まれて気持ち良く歩ける。自分撮りをしたが枝越しで目立っていない。


9:45 社家郷山山頂(489m) (西三ツ辻出合)

 山頂が分岐にもなっている社家郷山山頂に到着。公設のものはないが、登頂記念プレートが山頂であることを知らせていた。
樫ヶ峰同様、あまり山頂らしくなく、展望も無い。木々に囲まれて一休みする。ここからもキャンプ場へ下山出来るようだ。

 しばらく滞在した後で、小笠峰へ向けて歩き出す。


9:53 外れ峰出合

 社家郷山山頂からほどなく外れ峰出合に到着。ここからそれほど離れていないようなので、先に外れ峰へ向かうことにする。
南には展望の開けた明るいトラックが誘導してくれる。自分にとっては条件反射のような選択だった。


9:57 外れ峰を間近に眺める

 樫ヶ峰〜社家郷山の主稜線から外れているから名付けられたのであろうか。何でも型にハマるのが嫌な自分には好感の持てる山名だ。
今の厚労相が推薦するように「子供は2人が健全」、と型にハマった人生を送っていたら体験できないことがこの世にはたくさんある。
前の首相も「人生いろいろ」と言っていたではないか。

 ということで、主稜線を外れて外れ峰へ向かう。どんなピークなのか楽しみだ。
少しだけ鞍部へ下り、すぐに辿り着いた。踏み跡はしっかりしているが、季節によってはヤブっぽくなるかもしれない。


10:04 外れ峰(休憩台) (488.6m)到着

 雑木林に囲まれたミニピークだった。とても雰囲気の良い空間だ。
ここからどこかへ下山出来るのだろうかと一応周囲を探ってみたが、どうやら行止まりのようだ。

 しばらく滞在した後で、外れ峰出合まで戻る。主稜線の縦走も残すは小笠峰のみとなった。


10:18 小笠峰(490.3m)到着

 森の中のこんもりと盛り上がったところ、といった感じの小笠峰に到着。ここから更に進むと急坂を経て舗装路へ出るだけなので、小笠峰で縦走を終える。
しばらく小休止した後で、キレットを目指すために「東三ツ辻出合」まで戻ることにする。


10:45 東三ツ辻出合からキレットコースへ

 小笠峰から普通に歩くと20分程度で戻ってきた。キレットコースを下るがなかなかの急坂が続く。
途中には猪のヌタ場もあり、ちょっと不気味だった。


10:54 キレット出合よりキレットへ向かう

 急坂の途中にある出合で、三脚の設置に苦労した。キレットへは深く降り積もった落葉の小道が東へ続いている。


11:05 キレット(展望台) (410m+) (左)

 はじめは見通しの利かなかった尾根だが、すぐに景観が開けてくる。キレット展望台まで本当にすぐだ。
兵庫県による2級基準点が設置されている。展望台は4,5人が座ればいっぱいになるくらいの狭い空間だ。
ここで鎖によってセパレートされて「先へ進むな危険」と警告が出ている。何が危険なのか確かめないと気がすまない自分は鎖を乗り越えて少し先まで進んでみる。
すると本当に危険だった。(右)
地獄鎌尾根(薬師峯)は多少名前負けしているが、こちらは正真正銘本当にナイフリッジになっている。納得して引き返した。


11:23 キレット展望台出発

 キレットのナイフリッジと霞んだ景観を楽しんだ後、キャンプ場へ向けて下山を開始する。キレット出合から下もかなりの急坂が続く。滑りやすい箇所もあり、
下山に使うとなかなかハードだ。


キレットコースを下山中 (左)

 山から下りきったと思われる辺りで開けた平坦地に辿り着く。道なりにテープと道標があるのをすぐに見つけるが、念のために周囲を観察する。
下っていた方向からすると沢沿い(堰堤もある)に下るのが順当に思えるが、何も踏み跡やテープがないので違うと考えた。

 無難にテープを辿ることにする。すぐに小さな沢を渡る(長谷)と、山側へ向かって登っていく。道標には長谷峠と書かれていただけで、
これで本当に下山出来るのかと少々不安になるが、長谷峠にすぐに辿り着いたことですぐに安心できた。


11:50 長谷峠通過

 長谷峠はキャンプ場近くにある小さな峠のことだった。公設の道標に社家郷山キャンプ場が書かれていて安堵する。
行き先に「長谷峠」と書かれても分からないのではないかと思う。


11:56 社家郷山キャンプ場到着

 長谷峠からすぐに社家郷山キャンプ場へ到着。オフシーズンのためか人っ子一人いない。
自分はアウトドアは好きなのだが、料理をするのが面倒なのでキャンプは好きではない。ということで小学校以来キャンプをしていない。

 人の気配のしない受付の前を通って車道を下る。するとキャンプ場のゲートが閉められていた。錠前が掛かっていたので上を乗り越えた。
ここから鷲林寺バス停付近までは交通量の非常に多い車道沿いを歩かなければならない。別の意味で今日のハイライトの区間だ。
鷲林寺バス停の時刻表を見ると15分後に夙川駅へ向かうバスが来るようだ。しかし15分も交通量の多い車道沿いでぼーっとするのはイヤなので、
バスの誘惑に勝って行程どおりに歩き続けることが出来た。

 バス停を過ぎてすぐに小さな川沿いに東へ向かう小道に入る。ここで排気ガスと騒音から開放される。ちなみに案内板は無い。
あとは道なりに進めば北山貯水池の南岸に出てくる。距離だけで比べたら鷲林寺交差点から車道沿いに甲山へ向かうほうが短いが、
あえて遠回りすることを強くお薦めする。交通量は非常に多いし、歩道の無い区間もあるからだ。


12:25 樫ヶ峰、社家郷山、甲山を眺める

 今日歩いた山々を眺める気持ちはまた格別だ。雨の少ない季節のためか、貯水池の水が少なめなのが残念だ。
ここから甲山山頂を経由して、仁川駅へ向かいたいという気持ちもあるが、今日は野鳥撮影という目的があるので、甲山の南山麓を横切って、甲山森林公園へ向かう。

 ここからは今日なんとか撮影出来た写真を掲載する。野鳥を目撃出来るチャンスは朝が恵まれているようだが、自分の使用している望遠ズームレンズは、
それほど絞り値が明るくないので、昼間のほうが失敗の確立が低いと思う。


北山貯水池にて
 カモの一種だとは思うが、今のところ種別不明。


12:53 みくるま池到着

 甲山森林公園は非常に広大で、ここだけで充分1日過ごせると思う。今日はこのみくるま池の周辺を重点的に野鳥を探してみようと思う。
このみくるま池を経由すると最短距離で仁川駅へ向かうことが出来そうという判断もある。





みくるま池周辺で見かけた野鳥達
アオジ (ホオジロ科) ヒヨドリ (ヒヨドリ科)



ウグイス (ウグイス科)

 3枚のうち後の2枚は間違いないと思うが、上の写真は不明瞭ではっきり特定できない。
でもちょうど食事中で羽をバタバタさせている躍動感ある写真だと思い掲載した。


今回最も至近距離で撮れた写真。やはり極力近づけるに越したことはないようだ。


通り掛ったネコをついでに撮影


 【07年2月25日追記】 種別を特定するのは難しいが楽しい。



14:05 仁川駅へ向けて出発する。

 いずれ1日掛けて甲山森林公園を巡ってみようと思う。今日はこのくらいにしておこう。


 仁川駅までは殆どの区間が初めての街路で、地図無しには心もとないものがあった。
甲山森林公園からしばらく道なりに下って、地すべり資料館の案内板を見たら左折。そこからはすぐに仁川沿いの道へ出ることが出来る。
仁川も阪急沿線の街ということで、自分とは全く別世界の高級住宅街が広がっていた。


14:38 阪急仁川駅到着
 距離の割には足に疲労感が漂う。舗装路歩きが長いと登山靴では辛いものがある。特定の目的が無い限り、今日の行程はあまりお薦めできない。


今日の行程の断面図です。


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