「少しだけ初秋/山寺尾根〜旧摩耶道」 07年9月9日(日)
国土地理院地形図:25000分の1「神戸首部」を参照してください。 約1ヶ月ぶりの山歩きは【摩耶山さん歩】のてるみさんのホームグラウンドの摩耶山に決定。本来ならまだまだ暑いこの時期には谷歩きを絡めて計画を組みたいのだが、 とにかく降水量が少なくてどこの谷も渇水気味。風通しの良さを期待して尾根を歩くことにした。それはともかくやはり白石谷以来、1ヶ月も空くと足が少し重く感じる。 やはり暑くてももう少し山へ出かけなければならない。来夏からはもう少し努力しよう。 6:30 JR六甲道駅出発 本来なら阪急六甲駅が最寄だが、少しでも節約するために通勤定期が通用するJRを利用。六甲道駅から阪急六甲駅までは約10分だった。 護国神社から長峰坂の急坂を経て杣谷登山口へ辿り着くが、この長峰坂は本当に急坂であり、登山口に辿り着くまでに一山越えるようなものだ。 距離的には長くなるが少し西のローソンのある交差点から登るほうがやや楽かと思う。(←車なら進入禁止) 今回は長峰坂を登った。護国神社でウォーミングアップをしてから登り始める。 |
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6:30 杣谷登山口 (標高170m) 六甲道駅から30分で到着。六甲は登る前に市街地を歩くことになるが、この杣谷と東の長峰山のアクセスはしんどさにおいて随一かと思う。 この杣谷川も水が少なく、堰堤の下の穴からちょろちょろと流れているのみ・・。橋の脇の4本のパイプからは充分に水が出ているが、どこから通じているのだろう。 |
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7:00 山寺尾根へ ようやく山道に入って最初の川原ですぐに出合となる。ここで一息入れていると単独の外国人男性が歩いてくる。 ドイツ人の方で時折登りに来るという。ドイツ語は全く分からないので日本語でしばらく談笑したのち(英語はあまり得意ではないようだ)、 先にその方は山寺尾根へ登っていかれた。自分も身支度してから出発したが、掬星台に至るまで結局追いつけなかった。おそらく自分のペースが遅すぎるのだろう。 曇天ということで早朝の森は一層薄暗く少々不気味でもある。 すぐに摩耶東谷への分岐を見送る。摩耶東谷はまだ未踏で、水が豊富な時にとっておきたいと思う。 ところで山寺尾根は今までに3度ほど歩いたことがあって、今回はおよそ1年ぶりとなる。 表から摩耶山へ登るルートの中では、かなり純朴な山道の風情があって好きな尾根道である。 |
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鉄塔を2つ通過した辺りから基本的に尾根道となる。急坂で殆ど景観は開けないが、やはり舗装路の長峰坂よりはずっと楽しい。 |
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7:32 一休み、一休み・・ 標高410m辺りかと思われるところで一旦平坦になる。もちろん一時的にだが。 ところで1ヶ月ぶりの山歩きだからだろうか、朝から蒸し暑いからだろうか、ペースが上がらず早くもバテてしまった。 この時点での蒸し暑さは後から振り返るとピークであり、雨が降り出す前兆であったのかもしれない。 ということで、いつもより少しペースを落として、休み休み登っていくことにする。 |
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山寺尾根も中盤に差し掛かる頃は断続的にややきつい登りが続く。日は射さないが蒸し暑さは相変わらずで、 依然としてペースが上がらない。それでも本能で自分撮りだけは欠かさなかったが。 この登りが一段落する頃に長峰山を眺められるスポットがあるのを励みにして登り続ける。 |
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8:00 雨に煙る長峰山 (687.8m) この展望地に辿り着く前に遂に雨が降り出した。でも木立によって殆どのところでは雨に当たらずに済んだ。 この展望地はほぼ同じ高さで長峰山を望め、また深い杣谷を見下ろせるお気に入りスポットだ。 とりあえず長峰山だけは撮っておこうと、カメラを雨からかばいながら撮影。 |
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580m+ピークを通過 長峰山展望スポットからしばらくは殆ど高低差の無い区間になる。急坂の連続の山寺尾根の中ではほっとする区間だ。 相変わらず雨音はしているが、木々によって守られつつ歩いていく。幸いにも雨足はそれほどではないようだ。 小さなコルを通過して巨石の点在する600m+ピークの北斜面をトラバースすると、いよいよ最後の急坂のお出ましとなる。 |
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8:12 天上寺跡への分岐 天上寺跡への分岐に差し掛かる。分岐に設置されている道標が前回と違って、新しいものに更新されているような気がする。 あとから色々と補足情報が書き込まれているが、その中で目に留まったのは阪急六甲まで5kmというのが赤で打ち消し線がされていたことで、確かに5kmも無いような。 そういえば最近は政治団体の領収証絡みのニュースが多くてうんざりするが、そもそもコピーや書き換えなどは悪意がないと行われないものであって、 ミスだったというのは言い訳にすらなっていないと思うのは自分だけだろうか。泥棒が盗みについて「間違えて盗んでしまった」と言っているようなもの。 本来政治活動費などは政治家自身が補うべきところを税金から出してやっているのだから、こんな事件が発覚した自民党にはもう給付しないということになるのが道理だ。 もちろん泥棒が泥棒を捕まえることなどしないから、自民党が政権を独占し続ける限りは改善されることはないだろうけど。 |
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天上寺跡への分岐を過ぎると、掬星台に辿り着くまで約80mの断続的な急坂となる。山寺尾根最後の難関だ。 前半は木の根の階段、後半は丸太階段。今日はリハビリ登山ということもあって、この時の疲れは最高潮だった。 |
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8:25 ようやく掬星台到着! 雨はいつの間にか上がっていたが、重く低い雲が垂れ込めて時間帯の割りにはとても暗い。 この曇天の上に早朝ということもあって掬星台は人気が無く静まり返っていた。 最も長峰山寄りの展望台は以前工事中だったのを見たことがあるが、既に真新しい東屋が出来ていた。 天候は不安定だし、山寺尾根を登ってきた疲れもあるし、とにかく新設東屋で大休止を取ることにする。 ところが・・ |
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新設東屋には吸殻が散乱・・ 写真に写っているのは2本だけだが、東屋全体で十数本はあっただろうか。 せっかく大展望を楽しもうにも、目に余る汚さであきれてしまう。片付けられないとは大人として失格であり、それに見慣れてしまうことも問題だ。 最近、芦屋市が歩きタバコ禁止条例を始めたらしいが、これにポイ捨て禁止も含めた上で日本全国で施行してくれれば、一面だけでも「美しい国」になるだろうに。 気持ちよく休息と撮影をするためにも、とりあえず拾い集めておくことにする。吸殻だけではなくてペットボトルや空き缶まであった。分別して掬星台中央のゴミ箱に入れておくことにする。 |
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新設東屋で雨宿りも兼ねて一休み すっかりきれいになったところで、清清しい思いで雨に煙る大展望を楽しむ。一旦止んでいた雨は掬星台に居る間は降ったり止んだりを繰り返した。 それでも山寺尾根の登りの最中に感じていた蒸し暑さはすっかりなくなり、非常に涼しい空気に入れ替わった。これからは一雨ごとに涼しくなるのかと思うと嬉しくなる。 |
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山寺尾根 掬星台からは途中までしか見えないが、バテながら登ってきた尾根を振り返る。 休んでいる間に止み間が多くなってきて、何とかレインウェアの出番なしに出発できそうだ。 |
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9:05 掬星台出発 当初の計画では下山路に黒岩尾根を選んで、登り下りとも尾根尾根つながりにしようと思っていたが、 空模様は相変わらず不安定であり、状況によって途中で下山出来る旧摩耶道で新神戸を目指すことにした。 |
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天上寺跡へ向けて石階段の道を下っていく。 雨で濡れた石階段は予想以上に滑りやすく、足の付き方には慎重を要する。 |
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9:20 天上寺跡 天上寺跡まで降りてきたところで、急に明るくなり天候が回復してきた。摩耶山のほうには青空まで見える。 こんなことなら黒岩尾根を歩いておけばよかったと思ったが、天候が回復してきたことによって暑くもなってきたので このまま旧摩耶道を目指すことにした。 これまで誰とも会わなかったが、機材を撤収していると女性3人組が登ってきた。 これ以後、雷声寺に至るまで十数人の方とすれ違っただろうか。そういえば今日は日曜日だった。 |
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旧天上寺山門 いつ見ても見事な山門だが、屋根を中心にして傷みが目立つ。こういうところには税金を使ってもいいのだが・・。 手前のモミジはまだ青々としており、色づくのはまだまだ先のようだ。 |
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9:40 上野道出合 山門のすぐ下で上野道と分岐するが、好天になった以上は下山を急ぐ理由は無くなったので旧摩耶道を目指して直進する。 |
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行者茶屋跡までずっと崩れかかった石階段の下りが続く。 日が射す時間が多くなって、そして標高が下がってきたこともあって段々と暑くなってきた。 そんな時にトレイルランナーの方2人とすれ違う。走って山へ登るとはすごい体力だと思う。 |
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10:04 行者茶屋跡 身の引き締まる行場の雰囲気漂う行者茶屋跡を通過。青谷川は水音はしているがやはり水は少ない。 ここから青谷道を下るとあっという間に下山してしまうので、ここから予定通りに旧摩耶道に入る。 旧摩耶道は畑の間から入るようになっているので、やはりいつも少々分かりづらく感じる。 |
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静かで趣き抜群の旧摩耶道 行者茶屋跡から学校林道出合の間は、殆どの区間がこのように等高線に沿うような山腹道となる。 この区間は摩耶山の中でも古き良き古道の雰囲気をよく残していて、個人的にも好きな区間だ。例えば「水戸黄門」のロケにでも使えそうである。 但し、所々風化が進んで幅が狭く、そして傾斜が付いているところもある。 |
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途中で沢を2箇所ほど横切るが、そのうちの一箇所ではどうやら道が付け替えられているような気がする。山腹の崩壊が進んだのだろうか。 崩壊といえば学校林道のある尾根の山肌の崩壊が以前より目立つようになってきたように見受けられるのが気がかりだが・・。 ところで上記のショットを撮影中、行く手から単独男性の方がやってきた。三脚で道を塞いでいたので慌てて道を開ける。 やはり日曜日は山へ入っている方が平日より多いことを実感する。 |
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小刻みにアップダウンはあるが、全体的に標高が変わらないまま山腹道が続いていく。 これほど長く標高が変わらないトラックは六甲の中では珍しいのではないだろうか。 それにしても道幅が狭いところが多くて、三脚の設置には慎重を要する。 ところで旧摩耶道から青谷道へ下る分岐が2箇所あった。あまり歩かれていないようで、草が生い茂りがちのようだが。 |
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摩耶山を見上げる 旧摩耶道は殆ど展望は皆無だが、一箇所だけ広く摩耶山を見上げられるスポットがあった。 深い森に包まれてとても気持ちが良いし、摩耶山が豊かな自然に恵まれていることを実感させられる。 ところでこの写真を撮っている時に、周囲から聞き覚えのある重低音の羽音が・・。 今秋初めてオオスズメバチを目撃。単独だった。哨戒か狩りをしているのだろうと言い聞かせて静かに撤収する。 この後もう一度目撃することになる。秋の山は好きだが、スズメバチと折り合いを付けなければならない。 元々彼らのテリトリーだという気持ちで接することにしている。ちなみに懐には非常用のハチ用殺虫スプレーを携行しているが、 幸いにも今まで一度も使ったことはないし、これからも単なるアクセサリーとして終始することを願うばかりだ。 |
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学校林道出合が近づいてくる頃になると多少草深い区間もあるが、細いながらも明瞭なトラックであるために安心して歩ける。 それにしても直射日光を浴びるとやはり暑い・・。 この後短い登りで学校林道出合に到着する。 |
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10:38 学校林道出合 旧摩耶道のほぼ中間に位置すると思われる学校林道出合に到着。学校林道と旧摩耶道の交差点になっている。ここで小休止をとった。 ここから労災病院へ下ることも出来るが、このまま予定通りに直進して旧摩耶道終点の雷声寺を目指すことにする。 山歩きのルート一つとってもそうだが、世の中の全てのことは選択の連続だと思っている。しかしこの国は将来の展望も無く、目先のことのみを見て動いているような気がする。 いくら給付額を減らそうと保険料を上げようと年金も医療も介護もいずれ破綻するだろうし、ゆとり教育かと思えば時間割をまた増やすことになったし、 アメリカがどう動こうともただ盲目的に付いていくことだけが、国際貢献だと勘違いしているようだし、一体百年後はどうなっているのだろうか。 そういえば「テロとの戦い」で軍隊の出番は無いはず。それなのにブッシュの暴走で、ここ数年で逆に混迷を深めてしまった。日本の追随も一因だと思う。国際貢献どころではないような。 大きく分けて2つの将来の展望があると思う。一つは大増税をしても、より福祉全般の充実を図っていく。(もちろん社保庁の二の舞にならないように保険料の管理は厳重にする) もう一つはいっその事、福祉を縮小、もしくは廃止して、結果的には減税。これまでに払った保険料は返してもらう。その代わり民間の保険会社と契約するなど個々人の自己責任に任せる。 玉虫色の結論など無いのに、今はとにかくどっちつかずで、どちらにしろ早く結論を出してもらいたいと願っている。そうでもしないと安心して結婚や子供をもうけることも躊躇してしまう。 とりあえず目下のところ体を鍛えて病気知らずで足腰を強化し続けることが、月並みだが個人で出来る最善の策ではないだろうか。 男性世界最高齢111歳の宮崎の方によると「健康の秘訣は酒を呑まず、タバコを吸わないこと」だそうで、自分はこの条件を完璧に満たしていて嬉しくなった。 |
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学校林道出合を過ぎると一転して、これまでの南斜面から北斜面を下っていく。 その薄暗い北斜面を歩く区間でいつも目に留まるのがこの枝振りの良い木。自分にとって旧摩耶道西半分のシンボルとなっている。 そして木々の枝の間からは前述の学校林道の尾根山腹の崩壊が間近に見える。かなり痛々しい。 |
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薄暗い北斜面の山腹道が過ぎると雷声寺方面へ派生する尾根に乗る。旧摩耶道では貴重な尾根歩きの区間だ。 ここで自分撮りを行っていると、行く手から単独で中高年の女性ハイカーが歩いてこられて、よく見ると上記の写真にも写っている。 挨拶を交わして機材を撤収。天狗道ほどではないが、旧摩耶道も自分と同じく好きな方が多いようで何だかうれしくなる。 この付近で地面にオオスズメバチが!びっくりしたがよく見ると死んでおり、アリの大群が終結していた。 最強の昆虫と言われるオオスズメバチでもやはり寿命には個体差があって、そして死んだら自然のサイクルで他の命の糧になるのかと実感した。 |
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尾根道はすぐに急な下りとなって雷声寺へ急降下していく。ここの丸太階段は既に朽ちて、ただの急斜面になっている感じだ。 砂交じりで滑りやすいので下りでは気をつけたい。丸太が無くなった後、クギだけが地面から突き出ていることも要注意だ。 |
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11:12 旧摩耶道雷声寺登山口 雷声寺の境内の一角にある不動明王の後ろから出てくる。信仰心の全く無い自分でも不動明王の凛とした顔は好きだ。 今回も旧摩耶道をリハビリがてら楽しんで歩くことが出来た。結局雨は朝のうちで上がった。すっきり晴れというわけではないが、 それほど厳しい残暑に合わずに済んだ。 境内で汗をたっぷり含んだ上着を着替えて出発。ところで今日は境内に猫が全くいないな。 |
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雷声寺前より神戸市街を眺める ここからは市街地歩き。やはり木立の下と違い、やや気温が上がった気がする。着替えてもどんどん汗が噴出してくる。 考えるのは早く列車の冷房に包まれたいことだけ・・。 |
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11:39 新神戸駅を通過 これに乗って帰れればいいのだが三ノ宮駅まで歩かなければ。それにしても金網が撮影のじゃまになる・・。 新神戸駅と三ノ宮駅間の市街地歩きが一番暑かった。それでも8月の暑さよりはマシだと思った。 僅かでも秋の気配は感じることが出来る。 12:00 JR三ノ宮駅到着 久しぶりに良い汗を流して大満足。心地良い疲れに包まれて家路に着く。 山歩きの後の新快速の揺れは一段と心地良く感じる。今日は定刻通りに動いていた。 |
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今日の行程の断面図です。 |