「涼風! 地蔵谷」 10年 7月31日(土) |
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国土地理院地形図 : 25000分の1 「神戸首部」 参考文献 : 神戸新聞総合出版センター 【 ふるさと兵庫50+8山 】 : 山と渓谷社 【六甲山】 : 昭文社 山と高原地図 【六甲・摩耶】 何度も登っている摩耶山なのに、なんとまだ歩いていないところがありました。 夏でも涼しいという評判の地蔵谷を歩くには、山に出掛けるのが億劫になる今が最適です。 涼しい谷道ではありますが、早朝に歩くと更に快適になるだろう、ということで 今回も早起きに成功して行ってきました。 6:00 JR三ノ宮駅出発 快適な谷道を歩けるとはいっても、地蔵谷に入るまでは話は別だった。 朝から蒸し暑くて、市街地を歩いているうちから汗だくになってしまう。 でもこの日午前中は曇りがちで、暑がりの自分には幸運だった。 出来るだけ早くに地蔵谷へ突入したいので、布引の滝は通らない。 地元の方がラジオ体操をされておられる公園へ直登する階段道を登っていく。 でも2週間ぶりの山行と蒸し暑さからか、いつもより足が重く感じる。 階段自体が傾斜しているから、余計に疲れを感じてしまうのだろうか。 6:30 見晴らし公園横を通過 ちょうど「新〜しい朝が来た♪」の歌がラジオから聞こえて来た時に通過。 見晴らし公園付近からは遥か眼下に布引の滝を見下ろすことが出来る。 かなり下方にあるにもかかわらず、轟々とした水音がよく聞こえてくる。 前日までに京阪神地方に雨が降ったことも、地蔵谷を選んだ理由なのだが、 この轟々とした水音にちょっと不安を覚えてきた。 地蔵谷には渡渉箇所があるのだが、状況によっては引き返すことも考慮に 入れることにした。今回は沢床を歩く訳ではないので渓流シューズは持ってきていなかった。 |
行程概要 (山中のルートは不正確です)![]() 地蔵谷は基本的に整備されたトラックを歩くことが出来ますが、 数箇所の渡渉箇所は増水時には要注意です。 |
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7:17 地蔵谷出合 調子の上がらない歩き始めで長く感じた道程だったが、ようやく今日の主題の地蔵谷に到着。 出合には増水時の注意を促す案内板が設置されている。トゥエンティー・クロスへ向かうトラックを見ると、 地蔵谷の流れは期待通りに豊富だった。さて首尾よく渡渉できるだろうか。 不安と期待の半々を抱えて、未踏の地蔵谷へと入っていく。 |
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いきなり一つ目の堰堤越えにかかる 谷へと入ってさあ沢沿いを歩けると思うと出鼻を挫かれる。 一つ目の堰堤を越すために谷からは大きく高巻くことになるからだ。 遥か下方にはそこそこ大きな滝が木々の向こうに見え隠れする。 この後も途中数箇所で滝の周辺を通過していくが、普通にトラックを辿っているだけでは滝とはすれ違うことになる。 次回はもう少し滝に接近出来るよう、装備を整えて入渓したいと思う。 ということで滝巡りという点においては少し残念な地蔵谷だが、自分にとっては未踏の谷。 地形図読図の練習には最適な機会だ。出来るだけ現在位置と周辺状況を特定しながら歩いていく。 谷自体の傾斜は緩やかで、標高差は300mもない。 ただ黒岩尾根に沿って大きく北へ迂回するので、距離は比較的長い。 最初の堰堤を越えた辺りで左岸に支谷の合流があるようだ。 7:25 地蔵谷堰堤通過 しばらく登りが続いた後、ようやく一つ目の堰堤を通過。トラックは堰堤左岸を越えて川原へと降りる。 周辺は等高線が広がっているとおりに明るい谷間となっている。 夏草が生えているが、明瞭なトラックが引き続き沢の左岸へと誘ってくれる。 |
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ようやく地蔵谷に沿って歩ける やはり水辺を歩くのは気持ち良い。しかもこの涼しさ! 汗が引くほどではないものの、明らかに外界とは数度の温度差があるだろう。 このとき初めて地蔵谷の流れと対面した。 水はきれいではあるが、沢床はやや赤茶けているのが気にかかる。 |
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7:37 1回目の渡渉 最も下流側にあたる1回目の渡渉箇所だったが、予想よりも順調に右岸へと渡ることが出来た。 但し、靴自体は濡れるし、気をつけないと滑る可能性はある。 基本的に沢から付かず離れずの地蔵谷だが、渡渉は沢と出会える貴重な機会といえる。 堰堤に寸断されていなければ、文句なしに名渓だったと思う。 |
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見事な滑滝 右岸に渡ると、今度は滑滝が現れる。ほぼ均一な斜度の滑り台状の滝だ。 地蔵谷は沢沿いを歩いていて飽きることが無い、と言いたかったのだが、 この直後堰堤越えのために再び高巻くことになる。 |
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7:48 2つ目の堰堤 今度は右岸を高巻いて堰堤を越える。 この高巻き道がけっこう急で、しかも人為的に設けられた堰堤を越えるための登りだから、 精神衛生上好ましいものではない。 上流側は水が溜まって池状になっていた。 こういうところはボウフラを想起するからあまり好きではない。 |
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かなり大きそうな滝を見送る 2つ目の堰堤を越えた後、しばらく沢より高いところを歩いていく。 また下方に大きな滝が見える。この周辺は急斜面になっており、沢床へ降りるには下流へと戻る必要がありそうだ。 地蔵谷の沢床を辿ろうと思うと、何度か靴を履き替える必要があるかもしれない。 渓流シューズで登山道を歩くのは極力避けなければならないからだが、 本当に沢を味わうにはけっこう手間がかかりそうだ。 |
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2回目の渡渉地点周辺の渓相 この辺りでも美しい谷を味わうことが出来る。 でも見た目どおりに滑りやすかったので油断大敵。 自分は濡れても機材は守らなくてはいけないので非常に気を遣った。 |
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8:01 2回目の渡渉 滑状の渡渉箇所。再び左岸へと渡るのだが、先述のとおりけっこう滑りやすい岩だった。 飛び越えられそうな幅ではあるが、万全を期して慎重に渡る。 靴は濡れるものの、どうにか中にまでは水が入ってこない。そういう状況だった。 |
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8:17 深山幽谷の様相 この写真を撮影したところも、普通にトラックを歩いていては見逃してしまうところだった。 今回は半ば偵察目的の構えだったので、容易に沢床へ降りられるところにしか入っていない。 このときに短い距離ではあるが沢床を歩いた。いずれじっくりと時間をとって沢を味わってみたい。 8:24 3つ目の堰堤越え ほぼ等距離に比較的大きな堰堤が設けられているようだ。 谷自体は緩やかでも堰堤越えでのアップダウンはけっこう消耗する。 8:27 左岸に目立つ支谷を確認 左岸側に比較的大きな支谷を確認。 行者尾根の終点にある620m+ピークへと突き上げるようだ。 |
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8:33 2段の小滝、及び3回目の渡渉 落差の割にはけっこう広い滝つぼを持つ小滝に到着。そこは同時に渡渉地点でもあった。 この滝つぼの傍で小休止をとる。 そのときちょうど薄暗かった谷に朝日が差してくる。きれいだったので思わず撮影した。 地蔵谷は摩耶山の西側斜面に刻まれた谷なので、やはり涼しい午前中に歩くのがベターかと思われる。 ただ逆に下山ルートに使う場合でも、他のコースよりはかなり涼しいと思う。 この谷に居て思ったことは、谷全体が天然のミストのようなもので、避暑地として抜群の居心地であるということ。 8:45 小休止を終えて出発 小滝右岸の岩棚を登って上流へ向かう。 |
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谷が合流している 左岸から流れ込んでくる谷を見ると、すぐ上に堰堤がある。 「中ノ島」状のところへ渡るのかなと思ったが、立っているところからではなかった。 よく見るとこのまま右岸沿いにもう少し進んでから渡渉するようだ。 |
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8:53 ヨーロッパの城砦を思わせる多段の堰堤 (地蔵谷第四砂防ダム) 間もなくこ広い広場に出る。すると上流側にはレンガ造りの堰堤が現れる。 地形図では比較的大きく描かれている堰堤だ。堰堤上流側で谷が3つに分かれているようだ。 堰堤はほぼ東西に伸びており、向かい側に見えているのは黒岩尾根の稜線のようだ。 周囲の視界が開けない谷中では、現在位置を特定出来る事象は限られてくる。 まるで宝探しのように、地形図と照合していくことが楽しい。 |
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9:04 5回目の渡渉 今後のアドヴェンチャー・ルートとの合流を考えると、地蔵谷上流は東へ向かうルートを自然にとっていく。 でも谷から離れるのはまだ少し先で、渡渉箇所はまだまだあるようだ。 多少水の勢いは衰えてきたものの、清流さは増してきたようだ。 |
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地蔵谷上流、右岸沿いを歩いていく 徐々に流れが細くなる静かな上流を歩いていく。 この辺りは堰堤によるアップダウンも無く、快適に歩ける区間だ。 沢沿いにはモミジもあって、秋に来るともっと楽しめるかもしれない。 |
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9:15 細い支谷を横切る 細い支谷が次々に合流してきており、源頭部が徐々に近づいてきていると感じる。 整備されていない谷では迷う局面にもなりえるが、ここでは明瞭なトラックが走っており、 向こう正面の左岸までスムーズに誘ってくれる。左岸に渡るとすぐに小ぶりの堰堤を越える。 |
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堰堤を越えた直後、左岸からの支谷を渡る 次々に支谷が合流する場面が続き、段々と地形図を追うのは難しくなってきた。 でもこの谷では明瞭なトラックがずっと続いているので、不自由なく歩けてしまう。 支谷を渡ってすぐに、その右岸側を登っていく。 ややザレていて、下りだと滑りやすいかもしれない。 |
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9:27 堰堤上で小休止 上流の細い支谷でも堰堤はなくならない。ただ大規模なものではなく、アップダウンも小ぶりになるが。 堰堤上面のテラスを利用して小休止をとった。 |
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9:34 黒岩尾根へ向かうトラックが分岐する 先述の堰堤を出発直後、予期していなかった分岐が現れる。 分岐して谷から離れるトラックは黒岩尾根を目指すようだ。 このトラックがアドヴェンチャー・ルートだと気付いたのはもう少し後になってから。 谷から離れてからアドヴェンチャー・ルートに辿り着く、というイメージを持っていたので、 黒岩尾根に向かう別のルートがあったのかと思ってしまったのだった。 それと分岐にある道標が少々分かりづらいものになっていたことも戸惑った原因だ。 道標にはアドヴェンチャー・ルートの名前は書かれていない。 疲れていたのか、道標のアップのショットを撮るのを忘れていた。 |
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分岐を過ぎても、まだ沢沿いを登っていく。 水はかろうじて流れているが、もうちょろちょろ程度だ。 でも滑状の沢は最後まで見飽きない魅力がある。 |
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9:40 地蔵谷源頭付近。沢から離れる 奥に小さな堰堤があるが、トラックはその前を横切って左岸側へと続いている。 どうやらここで沢を離れるようだ。長かった地蔵谷もここでお別れとなった。 |
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9:43 六甲縦走路に合流 最後の堰堤を見送ってすぐ、見覚えのある出合に辿り着いた。 何度も歩いている六甲縦走路だ。地蔵谷上流からこんなに近かったんだと驚いた。 そして、沢中で分岐していたルートがアドヴェンチャー・ルートだったというのに気付いたのもこの時。 途中までは沢を歩くルートだったのだった。また一つパズルの破片が埋まったという感じだ。 そのうち、アドヴェンチャー・ルートも「冒険」してみよう。 縦走路に出た途端、前にも後ろにも多くの方と出会うこととなる。 そういえば、この暑い時期だから地蔵谷も賑わうのではと思ったが、結局谷の中では誰とも出会わなかった。 今日は地蔵谷のみを主題に充てた半日プラン。 下山は短距離で比較的涼しい青谷を下るが、その前に掬星台で過ごしていこう。 |
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摩耶山上ではまだまだアジサイが咲いているが、少し最盛期は過ぎたかも。 10:00 摩耶山掬星台到着 時折日が当たるが、曇りがちの天気のため、比較的過ごしやすかった。 |
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掬星台のベンチにて カメラを向けるとちょっとびびっていた。 |
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夏空に霞む摩耶山 10:30 摩耶山掬星台出発 「晴れのち曇り」という天気予報とは逆に段々と晴れてきた。 暑くなってきたのに合わせて下山を開始。 表側から続々と登ってこられる方とすれ違うが、皆さん一様に暑そう。 11:03 行者茶屋跡 お堂の前の日陰で小休止。 11:22 青谷道から市街地へ 暑くても薄曇で助かった。 休日の王子公園は子供達で賑わっていた。 11:47 JR灘駅到着 地蔵谷は暑がりの自分でも、夏山に誘ってくれる魅力いっぱいの谷でした! 概要は掴めたので、今度はもっと工夫してディープに味わってみたいと思います。 良い汗を流せました。 |
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行程断面図です![]() |