「青谷東第三尾根から摩耶山へ」 11年 6月26日(日)


国土地理院地形図
 : 25000分の1 「神戸首部」


 〜 はじめに 〜

 いつもネットを通じてやり取りさせて頂いておりました、
【摩耶山さん歩】のてるみさん、【Tokiwaの山歩紀】のTokiwaさんと
初めてパーティーを組んでの山行が実現出来ました!
これまで友人と2人で山歩きをしたことが何度かありますが、
3人は最多記録?となります。
Tokiwaさんとは昨秋の六甲縦走大会の折、短時間ですがお会いしており、
今回が2回目。てるみさんとは全くの初対面です。
どのような楽しい山行となるでしょうかと、ワクワクしていました。

 元々は6:30集合予定でしたが、早朝の雷雨のため遅めのスタートとなりました。
幸いにも雨雲の規模は小さくて短い時間で止みましたが、梅雨時の天気を読む
難しさを改めて実感させられることとなりました。








 9:00前頃 神戸高校前バス停集合

 3人の中では最も遠い自分が最後に到着して無事に合流。
Tokiwaさんは2回目、てるみさんは初対面。でも何度も会っている感覚で
何だか奇妙な感じだ。ネットの力は大きいと改めて感じる。
山行もいつも以上に楽しい時間となりそう。




 行程概要 (山中のルートは不正確です)



 記念すべき初めての3人パーティーの山行で登る山を決める際、
てるみさんが慣れていて、且つアクセスの便利な摩耶山で、
ということですぐに意見が一致しました。
 具体的な山行計画は全てTokiwaさんの立案に拠っています。

 今回の山行のためにご検討いただいたTokiwaさんに
この場をお借りして改めて御礼申し上げます。

 9:21 神戸高校裏の登山口を出発

 お話やウォーミングアップをしながらのゆったりペースで登山口をスタート。
自分にとって六甲は今年は初めてであり、また前回の蘇武岳のような長い林道歩きの無い、
正統?ともいうべき山行で気分が高まる。

 パーティーは基本的にてるみさん、もしくはTokiwaさんが先頭、
そして撮影スタイルからも自分が自然にしんがりとなる。
何だかドラクエみたいで楽しい感じだ。








 9:28 分岐より未踏のルートへ

 堰堤、及び小さな沢を横切ったところで、いきなり重要な分岐。
自分にとって青谷東第三尾根、及び青谷東尾根全体が未知の世界。
今までここに分岐があるという認識すらなかった。
楽生公園を示す古ぼけた案内板があるのが目印となる。
一方、六甲山系の公設標識は「上野道ハイキングコース(至マヤ山)」と記されているのみ。

 どんな尾根道が待っているのか俄然ワクワクしてきた。
なお、青谷東第三尾根は立案されたTokiwaさんは当然踏破済み、てるみさんは部分的に踏破済み、
ということで考えたら自分が最も楽しめる状況だった。恐縮です。








五鬼城之由来

 昔この地に五鬼代と云う豪族が住んでいた
其頃この辺りは昼尚鬱蒼たる大森林に覆われていた。
この自然の要塞を砦として、外敵のしばしばの襲来にも
一度として敗れた事なく 従って一族は益々隆盛を極めて
繁栄したものである。当時この付近に住む土着民達の暮らしは
大変貧しく「病気貧乏ふしあわせ」等で苦しむ人々が多く
実に憐れな生活であった 此の姿を見た五鬼代は五情の戒めを
説いて幸せの道として多くの人々の救済に尽くされた
 この素晴らしい遺徳を賛えて永くこの地の守護神とされたが
今日では僅かに五鬼城の名 のみ残されているにすぎない

 五鬼城講
楽生公園

 分岐からすぐに「楽生公園」に到着。
公園とはいっても薄暗くてちょっぴり不気味な谷あいの地に、申し訳程度の遊具が2つ、3つあるだけで、楽しい雰囲気ではない。
何だか忘れられた感のある異空間のようなところだ。
そんな公園の一角に五鬼城の由来の案内板があった。
何やら謂れがありそうな名前の五鬼城展望公園だったが、今日思わぬ形で謎が解けた。

 案内板を見る限りでは、いつの時代か不詳のようだが、
五鬼城が摩耶山城の出城だったと考えれば、南北朝時代の頃に機能していたのではないだろうか。
 
 それにしても、このような人目につかないところよりも、この案内板は公園の入口にでも設置したほうがよかったのではないだろうか。








 9:40 尾根へと向かう

 楽生公園からしばらく谷沿いを進んだところで、青谷東第三尾根への取り付きとなる。
谷沿いにはまだ奥へ進めそうな雰囲気で、現地に標識等は一切無い。
本来ならばルート選定をする場面だが、今日はTokiwaさん、てるみさんのおかげで自動的に尾根へと向かう。
 上野道と違って整備されたルートではなく、雨上がりにはスリップ注意だ。登りで歩いて正解だったと思う。








 9:44 尾根に乗る

 多少滑りやすくなっていたところもあったが、あっけなく尾根に乗った。
整備はされていないが、とても明瞭な尾根道で雰囲気も上々。
手入れがあまりされていないところがやはり歩いていて楽しいと感じる。

 ところで3人で歩いているところを撮影しようとすると、最後尾の自分が前のお二人を隠してしまうことに気付いた。
単独行での撮影時にはありえない状況で、より先読みして撮影しなければならない。








 木々の間からは、すぐ東に上野道が通っている尾根が間近に見える。
今歩いている尾根も緩くてとても歩きやすく快適だ。








 9:56 水平道で西側の尾根へ向かう

 歩いている尾根はまだ上へと続く模様だが、ここでまた重要な分岐ポイントに差し掛かった。
例によって公設の案内板は無いが、「火の用心」の小さい標識が目印となる。
東へも、尾根の上部へも普通に歩いていけそうな雰囲気だが、ここで水平道を西へと進む。
まもなく楽生公園付近で分岐していた谷の源頭部を横切る。
色んな場面が続々と現れて、本当に飽きさせないルートだ。








10:00 期待以上!第一の展望スポット

 谷を横切ったら今度は展望スポットに到着。予想外の大展望に思わず感動してしまう。
日なたに出ても曇りがちで涼しく、なかなか良い感じだ。
てるみさんにとってはまさにご自宅のある地元の街を眺めておられるわけで、
それだけで摩耶山に対する愛着も改めて納得出来た気がする。
更に今日は空気が澄んでいて、下界を行き交う列車までもがはっきり見える。
直前まで気を揉んだ山行だったが、本当に良い日に当たったと思う。








10:14 神戸港線一五鉄塔

 前述の展望スポットから間もなく、本日一本目の送電線鉄塔に到着。
従来は地図読みの目印代わりとなる以外、鉄塔に関心を示してこなかった自分が鉄塔名を記しているのは、Tokiwaさんによる情報提供のおかげです。

 鉄塔からは東側の景観が見事だった。3人で暫し眺めを楽しむ。
やはり空気が澄んでいると、山行の楽しさは断然違うものだ。








青谷東第三尾根の登り

 第一の展望スポットを過ぎてから、一本目の鉄塔を挟んで本格的な登りとなる。
この辺りが今日の主題の青谷東第三尾根の中核といえるのではないだろうか。
摩耶山らしくないような静かな尾根で、本当に歩いていて楽しいと思えるところだ。








10:39 上筒井線五鉄塔

 そこそこ登ってきたと思ったら、今日二本目の送電線鉄塔に到着。
残念ながらここは展望無しだった。

 送電線で思い出したが、暑がりの自分にとって今の時期に節電するのは辛い。
でも原発が実際に危険なことが立証された以上は、事故の収束と平行して将来全廃することを目指すべきだろう。
それを主導するのが仕事のはずの国が頼りないことが一番の問題だ。








10:43 480m+ピーク (青谷東尾根と合流)

 2本目の鉄塔を過ぎてから間もなく480m+ピークに到着。
25000の1地形図では隠れたピークとなっているが、10000の1地形図では標高点表記がある。
ここで青谷道から登ってくる「青谷東尾根」ルートと合流する。※こちらも自分は未踏
合流付近は少しややこしくなっており、“大岩”を通過するルートと、西山腹のプラ階段道から登ってピークを踏む2ルートがある。
青谷東尾根を登りで使う時には要注意ポイントと思われる。
このピークに到着後、Tokiwaさん主導でピーク付近を踏査したことにより把握することが出来た。








480m+ピークから北はごく緩い尾根道

 これまでの登りから一変して、快適な緩い尾根歩きとなる。
東には虹の駅のある尾根がほぼ同じ高さに見えていて、未踏の尾根歩きも終わりが近づいてきたと感じさせられる。
2つの尾根が合流してやや幅が広がったが、それでも変わらず明瞭な尾根道は続いていく。








460m+コル

 緩い尾根歩きだが、一つだけアップダウンがあって、ここがその時通過した唯一のコル。
開発された虹の駅周辺の界隈がすぐ近くにあるとは思えない純朴な山奥の雰囲気だ。

 ところでこの辺りは既に摩耶山城の城域内であったと思われるが、
城跡を示すような遺構は全く見られない。
これまで各地で山城跡を見てきたが、そのいずれも削平地や堀切等、一目で分かる遺構があっただけに不可解だ。
幻の城のように思えてきたが、そうなると余計にどういう城だったのかが気になる。








11:09 謎の構造物 (500m+ピーク付近)

 間もなく虹の駅からのメインルートと合流するという頃、目に飛び込んできたのがこの謎の構造物。
“空から日本を見てみよう”のくもじいではないが、まさに「なんじゃこりは?」という言葉が自然に出てくる。
Tokiwaさんとてるみさんから、ここでのあるきさんも以前に調査されていたことを告げられるが、
好奇心の強い自分もその場で中を見たくなった。でも結果は同じく何も無しだったのだが。
少し西の東山最高峰で見かけた高射砲陣地が想起されたが、こちらはいまひとつはっきりしない。
戦時中のものか、もしくはかつての山上開発の忘れ形見だろうか。








見どころ満載だった尾根はまもなく・・








11:12 青谷東尾根終点

 ここで賑やかなメインルートと合流し、今日の主題の青谷東第三尾根歩きは終わった。
合流地点のベンチで暫し小休止をとった。てるみさんに頂きましたみかん、美味しかったです。ご馳走様でした!

 休憩中にいきなり雨が降り出した。昼からは一時雨かもという予報だったが、早まったのだろうか。
それでもこの時は通り雨のようで、またすぐに晴れ間がのぞいた。








11:34 小休止を終えて出発

 団欒の弾むゆったりした小休止を終えて出発。
以前から気になっていたこの合流点から先を踏破出来て満足だった。








11:44 旧天上寺山門下

 青谷東第三尾根だけで既に達成感はあったが、今日の行程は掬星台までだ。
気持ち新たに参道を登っていった。

 山門の下では、しばらく見ないうちに標識が見やすく更新されていた。
それは良いとして、山門の左右がバリケードで封鎖されていた。
山門の補強工事をする情報は無く、取り壊されるのではないかと心配になる。








摩耶山の核心部、旧天上寺の長い階段








11:56 旧天上寺跡

 夏草茂る旧天上寺跡の境内に到着。
正午近くになり、さすがに日なたに出ると暑くなってきた。
水分補給だけして早々に出発する。








12:20 奥の院跡

 奥の院跡でも暫し談笑。この日のようなゆったりした山行もたまにはいいなあと感じました。








12:27 摩耶山三角点ピーク(698.6m)

 3人揃って三角点ピークを踏む。何回も登ってきているが、とりあえずここは区切りとして踏んでおかなければ。
立派な山名板も少し年季が入ってきていた。
そして三角点の周囲は以前よりも笹の勢いが増してきて、少し整備前の昔の雰囲気に近づいてきたような。

 ちなみに702m標高点は、ここより少し西。
Tokiwaさんも踏査されたことがおありのようだったが、やはり標高点ピークは判然としない。








12:35 摩耶山掬星台到着

 掬星台はいつになく賑わっていた。子供の歓声も多く聞こえる。
一つのベンチとテーブルが運良く空き、3人で思う存分昼食&談笑タイムをとることが出来た。
やはりお話は尽きません♪








冬に迫るような澄んだ空気だった掬星台の大展望

 気付けば1時間くらい掬星台で過ごしていた。天候が心配なこともあって、
立ち去り難い思いがするもののそろそろ出発することに。
出発前に各自大展望を楽しみ、そして3人で記念写真を撮影。いつになく思い出深い掬星台となった。




13:35 摩耶山掬星台出発




 下山ルートもTokiwaさんにより万全にプランニングされていたのですが、
あいにく雨脚が強くなり、安全確保のためやむを得ず上野道での下山となりました。

 久しぶりにレインウェアを上だけ着たのだが暑かった・・。








14:55 上野道登山口

 虹の駅付近ではけっこう降っていた雨も殆ど上がっていた。
街に出ると雨は止んだが、山とは違って蒸し暑い空気。
やはり街中と山中では温度差が歴然としていた。日照りがない限りは山に避暑に行くのも悪くないかも。

 街路を下りつつ、Tokiwaさん、てるみさんと別れ、灘駅へ向かう。
賑やかだったパーティー歩きの後だっただけに、お祭の後のような一抹の寂しさすら感じる。




15:20 JR灘駅到着




 梅雨時期だけに多少蒸したものの、程好い降雨もあって体感的には涼しい山行となりました。
難しい時節ですが、どうにか無事に初めての3人パーティー登山を終えることが出来て大満足です。
近い将来、ぜひまたご一緒させて頂きたいものです。ありがとうございました♪








行程断面図です




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