「ハチノス谷東尾根」 2012年12月 1日(土)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「神戸首部」




 〜 はじめに 〜

 少し前のハチノス谷西尾根に続いて、今回は東尾根を踏破することにしました。
ハチノス谷を挟んですぐ近くにある尾根ですが、かなり雰囲気が異なっていました。
長峰山の新たな魅力を発見した行程となりました。
ハチノス谷東尾根は「山と高原地図」(私のは2005年版)では破線道扱いとなっています。

 またハチノス谷東尾根以外は単にトレーニング目的ですので今回も簡略しています。




 6:07 JR灘駅出発

 まだ暗いが登山口に到着するまでたっぷり時間がかかるので問題ない。
いつものように護国神社と長峰坂経由で永峰橋へ。
ただ今回は永峰橋は渡らずにそのまま長峰霊園へ入る。
これまで数えきれないくらい霊園を外から見ているが、中へ入るのは初めてとなる。








 行程概要 (山中のルートは不正確です)



 7:04 長峰霊園最上部

 JR灘駅から約1時間。ハチノス谷東尾根へは長峰霊園の最上部が登山口となる。
ここは六甲の中でも遠いアクセスを強いられる登山口だが、阪急六甲駅から歩き始めるともう少し近くなる。
初めて入った長峰霊園は非常に広大で驚いたが、Tokiwaさんの【Tokiwaの山歩紀】を参照していたおかげでスムーズに辿り着いた。
ここから見ると東尾根と西尾根は非常に近いことが分かるが、取付きへのアクセスは西尾根は杣谷から入るところが大きく異なる点だ。

 この日は寒気が入ってくるので雲が優勢の空、という予報だったが朝イチは快晴!
これならもっと北の山へ行くことも出来たかなとも思ったが、後ほど結局予報通りの空模様となる。








 7:17 ハチノス谷東尾根登山口出発

 小休止も兼ねた身支度を終えてから、ようやく山道へと入っていく。
登山口からいきなりとなる急坂が垣間見え、これまでの舗装路歩きの労力に見合う楽しさを得られる予感がする。








ジグザグに登る

 これまで自分が持っていたイメージよりもずっとよく歩かれたトラックであると感じる。
最初の目標となる300m+の送電線鉄塔までは同じような斜度の登りが続く。
朝日を背に受けて登るこのひと時がいつも気持ち良い。








 7:27 1本目の送電線鉄塔 (300m+)

 1本目の送電線鉄塔の立つ300m+に到着。
登山口から続いたまとまった登りはひとまず一段落する。
ここは比較的痩せた尾根になっていて、西の杣谷方面がよく見える。

 次の目標となる350m+送電線鉄塔へはやや右(北)寄りに向きを変える。
初めてのルートにおける読図は、初めて開くコミックを読むような感覚だ。
それは六甲においても未踏ルートであれば同じ。じっくりと読図をして尾根を味わって登りたい。








並木道っぽいところも

 急登のイメージが強いハチノス谷東尾根だが、正確にいえば緩急のメリハリがはっきりしていると感じる。
300m+から350m+へは比較的等高線の間隔が広い区間であり、行程がけっこう捗りそう。
この並木道っぽいところの雰囲気はたいへん好ましく、何度も歩いていた長峰山へのメインルートでは味わえないものだ。
行く手には既に次の目標の350m+の送電線鉄塔が見えている。








 7:41 2本目の送電線鉄塔 (350m+)

 ほどなく2本目の送電線鉄塔。1本目とは違って展望は全く無い。日陰で寒いのですぐに通過する。
送電線については山歩きを始めた頃はただ景観を阻害するだけの存在だったが、
読図をするようになってからは現在位置を特定する重要な手掛かりとして一目置くようになった。
あとは出来れば発電方法が自然エネルギーであれば理想なのだが・・。

 なおこの辺りで東側から同規模の尾根が合流してくるようだが、登りで歩いていれば意識する場面はなかった。








光溢れる明るい尾根が続く

 次の目標となる400m+の送電線鉄塔へは、やや等高線が詰まった登りが続く。
登山口に続いて一汗かくところだった。
それでもそこかしこで街並みが垣間見え、なかなか良い雰囲気で高度を上げることが出来る。

 自分はまだ裸眼で見えているけど、等高線は詰まっているとその本数を数えるのは一仕事。
最近、ルーペ付きのコンパスが欲しいなあと感じている。








 7:51 3本目の送電線鉄塔 (400m+)

 広い尾根の肩といった雰囲気の400m+に到着。
3本目の送電線鉄塔と共に、次の目標となる470m+の送電線鉄塔も見えている。
なかなか開放的に空が広がっているところで、ハチノス谷東尾根で最も広い平らな地形のようだ。
ここで5分程度小休止をとった。

 3本目の鉄塔を過ぎたところに重機が置かれている。
もしかしたら平日であれば作業していて通れないこともあるのだろうか。








激登りの70m

 400m+で一息入れた後、一直線に続く等高線が混んだ激登りとなる。
この区間がハチノス谷東尾根で最もワイルドなところと思う。
一部で段差の大きなところ、柔らかい土と積もった落ち葉でずり落ちそうになりながら登っていく。
トラックに沿って生えている木々の存在が手すり替わりとして有難く思う。
ここを登っていたら、以前は急坂の代名詞?だったアゴニー坂など程好い登りに感じてしまう。
一応、ここはまだ巡視路のはずだが、それを忘れるほど自然のままの状態の急登だった。








 8:18 4本目の送電線鉄塔 (470m+)

 激登りをこなして最後となる4本目の鉄塔の立つ470m+に到着。
すぐ西にはハチノス谷西尾根、そしてその向こうにはアンテナが林立する摩耶山がよく見えている。
このアングルの景観はなかなか新鮮だった。

 鉄塔は尾根からやや西側に外れたところに立っており、
トラックの続きは東へ逸れるように続いている。
日当たりが悪くて寒いので早々に出発する。
一応、小休止のたびに必要に応じてレイヤリング調節しているが、
12月初日にしてこの寒さは例年にないと感じる。








 8:23 480m+の分岐

 470m+を過ぎるとすぐによく目立つ分岐に差し掛かった。
この辺りで同規模の尾根が南東へ派生しており、こちらにも点在している送電線鉄塔管理のための巡視路と思われる。
地形図を辿ると長峰台の少し東へ下っており、こちらもいずれ確かめてみたい。

 今回は北西へと曲がるハチノス谷東尾根を辿っていく。
この先弓なりに細くて傾斜の緩い尾根がしばらく続いており、
ハチノス谷東尾根の中でかなり歩いて楽しい区間になりそうな予感。








傾斜の緩い痩せ尾根。行く手には長峰山本体が迫ってくる








 8:33 520m+(隠れたピーク)

 緩い連絡尾根の中ほどには、等高線こそ閉じていないがミニピークがあった。
展望こそ開けないがなかなか居心地が良い空間だった。
 ここで5分程度小休止をとった。








いよいよ長峰山本体への登りとなる

 歩き良かった緩い尾根はすぐに長峰山本体へと到達し、ここからはほぼ一直線のややきつい登りとなる。
柔らかい土の上に落ち葉が積もっており、ここも足場がやや悪い。
右手からちょっと目立つ尾根が合流してくるが、尾根へは向かわずにあくまで直登していくようだ。








 9:00 尾根に乗った

 しばらく足場の悪い斜面を登っていたが、ここで明確な尾根に乗った。
この辺りが550mを越えたところくらいで、この先はやや傾斜が緩くなってそのままメインルートに合流出来そうだ。
ハチノス谷東尾根の残る標高差は約100mくらいのようだ。








いよいよ笹が現れ始める

 山頂が近くなってきた印となっている笹が現れ始めた。
とはいっても五助尾根で見られたような笹の海を泳ぐようなところはなく、尾根の見通しはかなり良い。
逆にどこにでも歩いて行けそうな感じで、この尾根も下りで歩くと難易度が上がるに違いない。








 9:00 ユニークな岩で10分程度小休止

 そういえばハチノス谷東尾根は西尾根に比べると岩場は少ないようだ。








西尾根と同じく主稜線近くでは傾斜は緩くなる

 季節にもよるかもしれないが、藪もなく歩きやすい状態が続く。








 9:18 観測設備

 外国で見られるような栓付のポリタンク入り牛乳のような姿の観測設備。
何のデータを得るためのものだろう。

 この辺りも展望は開けないが、尾根は明確で辿るのは簡単だった。








ごくごく僅かだが笹の海を通過

 夏ならば躊躇してしまうが、今の時期であれば問題ない。
笹を掻き分ければ踏み跡も明瞭。距離も僅かですぐに歩きやすくなる。









 背丈の低い笹の間を通過する状態はしばらく続く。
右手からは主稜線が接近してきており、楽しかったハチノス谷東尾根も終わりに近づいてきたようだ。








 9:25 主稜線上でメインルートに合流

 約2時間かけてじっくりと楽しめたハチノス谷東尾根だった。
分岐上で5分程度小休止をとってから長峰山山頂へ向かう。

 10〜20mの緩いアップダウンを経て、先日歩いたハチノス谷西尾根と合流。
すると長峰山山頂はもう目の前。








 9:36 長峰山山頂・天狗塚(687m)到着

 寒風吹きすさぶ長峰山山頂に到着。
北西からはどんどん怪しげな雲が接近してくるのが見える。
北部ではもちろん時雨れているか、標高の高い山では雪になっているだろう。

 可能な限り風を避けたところで小休止。
自分の場合、スキーシーズン前という大事な時期なので、
風邪をひかないように特に気を付けなければいけない。
もちろん仕事に支障がないためでもあるけど、あくまで自分にとってのライフワークはスキーだ。
山行中では意識して水分と行動食を計画的にとることに気を遣っている。




 ※ この後は取材モードからトレーニングモードに切り替えて、
あくまでスピード重視で歩きます。というか動き続けないと寒いという事情もありますが。




 9:53 長峰山山頂・天狗塚出発




10:16 杣谷峠

 トイレ休憩も含めて5分程度小休止。

 今日は最短の徳川道で西に向かう。
朝は晴れ間が多かったが、もうすっかりどんよりとした曇天。
やはり早立ちの山行はこの意味でも大事。




10:58 森林植物園東口

 10分程度小休止。滞留している間にも、トゥエンティークロスからどんどん大勢の方が歩かれてくる。
まだまだ紅葉が楽しめる今の時期、可能であればもっと自分も歩きたいが・・。

 先日は北ドーントリッジを歩いたので、今回はトゥエンティークロスを南下。
多くの方とすれ違ったが、薄暗い北ドーントリッジのアップダウンはもう当分いいかなと思う。

 トゥエンティークロスでは大々的に堰堤工事中。
notungさんが閉口されていた大幅な高巻きを強いられる迂回路を確認。
軽く等高線1本分くらいは無駄に登らされた感がある。パイプ造りの仮歩道はもちろん自分も好きになれない。

 少し急登となるが、途中から分水嶺越林道へ向かう。
ここからは人けはぱたっと途絶え、静かに歩ける区間へ逆戻り。








分水嶺越林道で見られた見事な黄葉

 面白味のない林道歩きがしばらく続くが、この光景を見られただけでちょっと得をした気分。
と同時にここからも高雄山へ向かうルートがあることを確認。
自分は今まで南ドーントリッジを経由する形でしか高雄山を歩いたことがない。
Tokiwaさんがくまなく踏査されているように、枝道が多い山域で面白味があると思う。








12:01 修法ヶ原

 やや最盛期は過ぎた感があるが、まだまだ見応えのある黄葉、紅葉が楽しめる。
ここで5分程度小休止。

 ここからは夏以来となる再度谷を下っていくことにする。






12:23 猩々池

 猩々池周辺も紅葉狩りを楽しまれる方々で大賑わい。








再度谷の紅葉

 標高を下げるに従って、見頃の紅葉に出くわす。
やや曇りがちの空模様が続いたが、再度谷を下っている間は晴天に戻りそうだった。

 このまま再度谷を下ってしまうのはちょっと勿体なく思い、
諏訪神社への水平道から分岐するバイパスを経由してヴィーナス・ブリッジへ立ち寄ることにした。
距離は短いが段差の大きな階段道の急登が特徴だ。








12:58 ヴィーナス・ブリッジ

 辿り着く少し前から再び空模様が怪しくなってきて、
ヴィーナス・ブリッジへ着いたら雨が降ってきた。
元々自分にとってはある意味縁の無い場所だが、天気との相性まで良くないようで困ったもんだ。
 屋根のある場所を選んで10分程度小休止をとる。

 幸いにも小雨のまま上がりそうだったので、レインウェアの出番とはならずに
そのまま金星台経由で下山する。




13:31 JR元町駅到着




 〜 終わりに 〜

 雲が優勢という空模様の日でしたが、主題のハチノス谷東尾根は好天の下で踏破出来ました。
長峰山は西尾根といい東尾根といい、たくさんの良い尾根を従えた山であるという認識を新たにしました。
またの機会にぜひ歩いてみたいと思う尾根だったと思います。
但し西尾根同様、下りで歩くには向いていないでしょう。








行程断面図です




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