「山羊戸渡」 2013年 5月12日(日)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「神戸首部」




 〜 はじめに 〜

 「山羊戸渡」は地形図にも名称記載がされ、杣谷峠付近から発する尾根上にあります。
長峰山周辺ではよく知られたバリエーションルートですが、
自分は未踏で以前から気になっていたところです。
 前日の土曜があいにくの天候で、日帰り山行となったのを機に行ってきました。
自分にとって今年初めての六甲での山行でもあります。

 山羊戸渡、アイスロード(未踏)、油コブシ、あるいは一ヶ谷西尾根等へは
六甲ケーブル下駅まで神戸市バス16系統でアクセスするのが一般的です。
でも自分の場合は六甲へ行くのは殆どトレーニング目的となっていますので、
JR六甲道駅から徒歩で向かいました。下りでは何度か歩いていますが、
登りだとどのくらいかかるのか試してみたい気もありました。








 6:15 JR六甲道駅出発








 行程概要 (山中のルートは不正確です)



 「山羊戸渡」は基本的には明瞭な踏み跡がありますが、
指導標等は全く無いマイナールートです。
基本的に尾根を外さなければ問題ありませんが、途中の630m+ピークにおいて
進行方向には注意が必要です。
 6:52 六甲ケーブル下駅

 六甲道駅から37分で辿り着いた。なお、始発のバスに乗った場合と到着時刻は殆ど変わらない。
もちろん徒歩のほうが家を早く出発しないといけないけど。

 山羊戸渡、アイスロード等へは旧道のドライブウェイを辿る。(高架で見えているのは新道)
新道が並走しているけど旧道もけっこう交通量がある。
自分も車の運転は好きなので、ドライバーの思惑を察すると旧道を走るほうが面白いのかなと思ったりする。
まだ六甲へ車で行ったことがないので、一度試してみたい気もする。




 歩き始めてまもなく街が広く見渡せるようになる。
今日の行程では標高400mまで舗装路で登ってしまうので、ある意味登山口に辿り着くまでが難関かもしれない。



 六甲でも最大?の滝、弁天滝が車道沿いに見えてくる。
滝の落ち口には工事用の施設が設けられて風情も何もない状態なのが残念だ。








 7:06 新道との交差点を直進

 大きな赤い橋の下をくぐると新道との交差点。ここは直進する。既に海抜324m・・。








 7:19 ヘアピンカーブ(0.8) 「山羊戸渡」登山口

 六甲道駅を出発して1時間ほど。六甲ケーブル下駅からでも30分。
ここは既に標高400m。長かった・・。

 ヘアピンカーブから道路外へ出たところで、小休止をしつつ登山準備に取り掛かる。

 道路のすぐ横には既に沢が流れており、その左岸に沿ってしばらく川原を辿る。
踏み跡は何となく程度だが付いている。








 7:41 「山羊戸渡」尾根の末端に取付く

 ヘアピンカーブから歩き始めてすぐ、二つの沢の合流地点とその間に降りてくる尾根の末端という、地形的に非常に分かりやすいところに出てくる。
ヘアピンカーブは分かりにくいけど、ここは分かりやすい取付きだと思った。
二つの沢の間の尾根を登り詰めれば山羊戸渡を経て、長峰山と杣谷峠の中間に達する。

 取付前の木陰で涼しいところで小休止をしつつ、スパッツを装着してからいよいよ登り始める。








急登ながらもよく踏まれた尾根

 登り始めからいきなりの急登だが、踏み跡ははっきりしているしかなり登りやすい。
これまでの単調な舗装路歩きに比べると、もちろん楽しさは比べものにならない。

 この急登は取付きから標高差約80mほど続く。








尾根上には段々と岩場も現れてくる

 ステップははっきりしているので難しいところは無く、むしろ急登の中で楽しいアクセントになっている。








 8:04 510m+ピーク

 しばらく続いた急登を経て、ミニピークに到着。
等高線が閉じていない隠れたピークだが、510m+の等高線の間隔が広がったところに居るのだろう。
ピークからは一旦10mくらいの下りを経て、再び80mほどの急登が始まる見込み。
行く手には山羊戸渡へ通じる尾根の続きが見えている。
ここから尾根はほぼ一直線に西へ伸びていて間違いようがないだろうけど、一応コンパスで方向確認してから歩き始める。








展望まで加わって更に楽しくなる尾根歩き

 510m+から580m+にかけてが、この尾根のハイライトではないだろうかと思う。
調子良く登れる楽しい岩場があって、振り返ると六甲ケーブル周辺の景観を眼下に望める。
送電線鉄塔のある天望山が、現在位置の標高を測る良い目印になってくれる。








 8:35 600m+

 急登が一段落して600m+の等高線が広がったところに乗り上げる。
先ほどの510m+のようにはっきりしたピークという雰囲気ではないが、一応ここも隠れたピークといえるだろう。
写真では分かりにくいけど踏み跡はとても明瞭だが、切り開きがちょっと狭くて枝葉が体に当たるくらい。

 行く手には南北にゆったりと広がる630m+ピークが至近距離に見えている。
また南側には長峰山がきれいな三角錐で格好良く見える。
長峰山も見る角度でだいぶ雰囲気の変わる山のようだ。




 600m+を過ぎるとごく僅かな下りを経て、残る30mほどの登りとなる。
これまでの急登に比べるともう大したことはないが、粘土質の地面はけっこう滑り易かった。




 緩い登りを経て最初に辿り着くのは630m+ピークの北の肩にあたる。
南に急角度で向きを変えると、本当のピーク到着となる。








 8:44 630m+ピーク

 木々に囲まれて展望は無いが、心地良い木陰に包まれた好印象のピークだ。
木々の枝越しに長峰山や杣谷峠へ続く尾根が透けて見える。これだけでも大まかに方向感覚を掴める。

 このピークが山羊戸渡において要注意スポットとなっているのが現地に立ってみてよく分かった。
これまでの道なりに進んでしまうと、長峰山との間にある西谷へと下ってしまう。
このルートミスを防ぐためにはピークの広場に入る手前に、西方向に向かう踏み跡があることを認識すると良いと思う。
それに加えて山羊戸渡へ向けて、地形図とコンパスで方向確認を行うと万全だ。
 ピークからはすぐ近くにあるはずの山羊戸渡は全く見えないが、
長峰山を左手に見ながら並走する尾根であるという感覚は掴むことが出来る。




 このピークを発つと、いよいよ今日のメインテーマの山羊戸渡へ突入となるが、
その前に六甲道駅からの長い長い登りを経て立ったピークだけに暫し過ごしていきたい。




 8:54 630m+ピーク出発








下り着いた先はごく普通の尾根かと思いきや・・








小刻みなアップダウンが連続する山羊戸渡

 適度な距離を空けて岩場等の盛上りが稜線上を塞ぐように散在する。
さながらまるでガチャピンの背中のヒレのよう。
大部分は巻道で岩場を回避するようにしてルートが付けられていて難しいところはあまり無い。
一か所だけ岩場の段差にロープが掛けられているが、高低差は大したことはない。

 山羊戸渡の名称はおそらくこの尾根の形状を見て名づけられたものと想像出来るが・・。








山羊戸渡の稜線上に立つ

 前後の岩場に挟まれた状態。このような尾根がしばらく続く。








 9:15 山羊戸渡西端か

 幾度目かの岩場を過ぎると、ルート沿いにミニピーク状の岩場がある。
ルートより一段高くなっており、周囲の景観を期待したくなったがやはり無理だった。
それでも、尾根の終盤付近の様子を垣間見られる。
 
 進行方向左前方には長峰山から続く主尾根。
右手には森の中に建物が見えるが、たぶん少年自然の家だろう。
いずれにしても未踏の尾根を辿るのもあと僅かということと、
山羊戸渡のハイライトが終わることを実感出来る。








いつしか現れる笹の間を進む

 変化のある山羊戸渡は終わってしまったが、雰囲気の良い尾根道が続く。
この後ルートは南寄りに大きく進行方向を変えながら、長峰山のメインルートに合流するまで緩やかに30mほど登っていく








 もどれ!!
 
 自然の家オリエンテーリングコース

 一般ハイカーの方は関係ありません
 9:29 もどれ!!

 登り方向で歩くと振り返って確認することになる指導標を通過。
自分も中学の時の行事で六甲山上(現ガーデンテラス〜六甲ケーブル山上駅一帯)でオリエンテーリングをしたことがある。
このトラックをオリエンテーリングで使うとしたら、山羊戸渡方面へ下り過ぎてしまっては危ないような気もするが・・。








 9:30 少年自然の家の指導標のある分岐

 この山羊戸渡の尾根の終盤は少年自然の家の敷地に沿うように進むようだ。
自然の家の敷地に向けても明瞭なトラックが伸びているが、
当然今回は長峰山・杣谷峠方面へ向かう。

 いずれ六甲でもテン泊山行の練習をしたいけど、
出来れば団体の少ない静かなテントサイトがあればいいのだが。








 9:36 長峰山・杣谷峠間のメインルートに合流

 少年自然の家の指導標の分岐を見送ってから、まもなく何度も歩いた長峰山のメインルートに合流。
山羊戸渡、なかなか楽しめる尾根だった!
取付きから2時間近くかかっているが、撮影しながらのマイペースな山行なので、
普通に歩けばもっと短時間で通過できるはずだ。

 尾根を登りきる前に山羊戸渡方面を見渡せるところがないかと期待していたが、
残念ながらササに阻まれて展望を得ることは出来なかった。




 以降の行程では暑いだけで不要になるスパッツを外したりしながら小休止をとる。
まだ時間が早いからか、長峰山のメインルートでありながら誰も通りかからず静かな分岐だった。




 9:42 小休止を終えて出発

 これより以降はいつものパターンでトレーニング目的でややスピードを上げてウォーキング。




 9:52 杣谷峠

 5分程度小休止をとる。




 いつもアゴニー坂をややペースを上げて登るのがトレーニングメニューになっている。
ちょうど息が上がる頃に摩耶別山まで登る形になる。
6月から再開する予定のボッカで登ればちょっときついかもしれない。




10:20 摩耶山掬星台到着

 木陰を選んでツィッターをしながら小休止をとる。人出はまだ少ない。
今日の行程の復習をしたいけど、山羊戸渡は長峰山で隠れている。




10:40 摩耶山掬星台出発

 観音道、旧天上寺跡を経由して下山にかかる。
休日の摩耶山は多くの方がどんどん登ってこられる。




11:06 行者茶屋跡

 青谷道で下ってしまうのはちょっと物足りないので、やはりお気に入りの旧摩耶道へ。








あちこちでツツジが見事な旧摩耶道

 登り下りどちらにとっても余分な?アップダウンが敬遠されるのだろうか、
旧摩耶道は人通りが比較的少ないトラックで静かにツツジを見ながらウォーキングを楽しめる。




11:32 学校林道出合

 数人の方が小休止中の出合に差し掛かる。
ここから登る学校林道は展望もあるなかなか良いトラックだ。








尾根上を歩く旧摩耶道下部

 トラックに沿って多くのツツジが咲き乱れていて、最後の最後までとても気持ち良く歩ける。
でも今の時期は多くの青虫がぶら下がっているので、払いのけながら歩く必要があるが・・。




11:52 雷声寺到着

 ここで汗でびっしょりになったウェアを着替えたり、体やザックに虫が付いてきていないかチェックする。




12:07 雷声寺出発

 自分のペースでは30分くらいで三ノ宮駅に着く。
新快速の発着時間に合わせて雷声寺を出発する。




12:35 JR三ノ宮駅到着

 休みの日にまで電車に乗りたくないが、山行後には心地良い乗車時間だった。




 〜 終わりに 〜

 山羊戸渡は長峰山メインルートでは味わえない、マイナールートならではの静かな山行を楽しめる良いルートでした。
取付きまでのアクセスが非常に悪いことも、静かなルートになっている要因にはなっているでしょう。

 ルートファインディング要注意の630m+ピークですが、意外にも下りのほうが間違えにくいのではないかという気がします。
登り下りいずれにしても、読図をしながら歩くと無難に通過出来ると思います。








行程断面図です




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