「三登山から髻山縦走」 2017年 7月 3日(月)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「若槻」


 梅雨の止み間を狙って、近所にある三登山(みとやま)へ行ってきました。
長野市街のすぐ北側にあって、電波塔が立ち並んでいるのが目印です。
ほぼ平らな稜線なのであまり格好良い山とはいえませんが、今回は間が空いてしまったための調整なので問題なし。
ただし三登山だけでは物足りないだろうということで、稜線伝いに髻山(もとどりやま)まで縦走することにしました。
しかし雨上がりの高温多湿の低山は舐めて掛かってはいけないことを再認識する山行ともなりました。
長野市周辺では低山になりますが、されど三登山でした。







 行程概要  ※ 三登山〜髻山間では作業道など錯綜。指導標を確認しましょう。

 地理院地図(電子国土Web) 新しいウィンドゥが開きます。


 8:32 蚊里田八幡宮(420m+)より登山開始 
 長野市発行の三登山のパンフレット(webで閲覧可)に記載されている縦走コース(14q。7時間)を歩いています。
要所に指導標は完備されていますが、三登山から八方峠間では荒れた作業道が錯綜しており道迷い注意。
また山麓の旧水道道路は春と秋に草刈りがされるようですが、夏場は草が伸び放題で蚊も多くて何より暑いです。
旧水道道路を避けて麓の集落の道(旧北国街道)を歩くほうが良いと判断し、途中でルートを変更しています。
但しどこを歩くにしてもけっこうアップダウンがあるので、蚊里田八幡宮と吉(よし)に車2台確保で挑むのがベストと思いました。




 

 雨が上がってから登山口に駆け付けたので、いつもよりだいぶ遅い出発となった。
鳥居をくぐって蚊里田(かりた)八幡宮の境内へ入っていく。








 8:40 境内を抜けて簡易舗装の道路へ入る   

 境内の西側から舗装された林道がつづら折りに登っていく。
指導標があるので初めてでもスムーズに辿っていける。

 まだ歩き始めて間もないのに、たいへん蒸し暑くて汗びっしょり…。
今回はトレーニングも兼ねてトレッキングポールを持ってこなかったこともあってか、何だか調子が上がらなかった。

 なお今回からクマ避けのために鈴以外にラジオも使って歩いている。








 8:50 三角点を確認するため寄り道   

 林道のすぐ脇に三角点がありそうということで寄ってみる。
このすぐ後に分かるのだが、この黄色い指導標は送電線巡視路を示すものだった。








510.9mピーク  三角点「西條」 

 周囲は背丈を越えるヤブだったが、送電線巡視路のおかげですぐに見つかった。
なおこの三角点は長野市発行のトレッキングマップには載っていないので、見つけるには読図が必要となる。








 9:02 若槻山城跡を通らず、三登山へ直登を決める   

 当初は若槻山城跡を経由する「山城コース」を歩くことにしていたが、あまりに蒸し暑くてしんどいので直登することにした。
直登ルートには坂中口と書かれているので分かりにくいが、愛護会の地図のおかげで最短で登れるルートと確認出来た。








 9:11 太い林道と交差する(570m+)   

 すぐに林道三登山山麓線に出てくるが、続きの登山道はやや左寄りから始まっている。
この林道はトラックが通ることがあるようだ。

 尾根の地形は明瞭ではあるが、登山道は殆ど尾根上を外して緩やかに付けられている。
それでもやはり今日はバテバテで、全然調子が上がらなかった。
三登山まででピストンしようかと考えながら歩いていた。








次第に傾斜が増していく  坂中口は近くなってきたが雲に入りそう 

 調子が上がらないところに傾斜が増してきて更にバテバテ…。
三登山の稜線が遠くに感じてしまう。








10:05 ゆったりした尾根に乗り上げる(830m+)   

 どうにか稜線に乗り上げたと思ったが、「坂中口まで300m」と書かれていて主稜線ではないと気付いた。
それでも日も射し始めて雰囲気も変わってきたせいか、やっと調子が上がってきたように感じた。

 山行中は出来るだけ見ないようにしているGPSで答え合わせをすると、主稜線までの標高差はあと50mほど。








10:20 電波塔群の一角に出てくる(880m+)  10:30 三登山方面へ縦走開始 

 蒸し暑いうえにバテバテで長かったが、どうにか主稜線まで上がってきた。
いつも街中から見ていた巨大な電波塔を間近に見上げる。

 893m標高点ピークを囲むように5つの電波塔記号が書かれており、地形図の中でもよく目立つところだ。

 なお坂中口はここより少し西側のことで、今回の行程では通らないところだった。
どおりでなかなか指導標の距離が縮まらないと思ったわけだ。




 電波塔脇の木陰で小休止を入れてから、三登山方面へ向けて縦走を開始する。
調子も戻ってきたので、やはり髻山まで行けそうだ。








ゆったりなだらかな主稜線を北東へ進む   

 主稜線のやや街寄りに登山道が続いている。
来なら大展望が広がりそうなところだが、タイミング悪く雲が湧いてしまった。








10:43 900m+の電波塔  10:47 910m+の電波塔 

 893m標高点と三登山のほぼ中間辺りでは2つの電波塔脇を通過する。
なだらかな稜線と電波塔が林立するという点では、地元の六甲と山姿の雰囲気が似ている。
しかも標高までほぼ同じだが、登山道の数においては六甲のほうが遥かに多い。

 なおこの2本の電波塔までは登山道と作業道が並走している。








まもなく三登山。深い森の中をゆく   

 ラジオはザックの雨蓋に入れてもやかましく聞こえていた。
鈴だけよりは更にクマ避けになるかもしれないが、やはり山行の風情を楽しみたいのにちょっと気が散るような。








10:55 三登山山頂(927m)到着 ※正式な標高値ではなく実測値を掲載しておきます。   

 道なりに進むと三登山山頂の広場に飛び出す。
ここは地形図上で山名が書かれているところ(三角点)より少しだけ西側。
GPSで標高を確認すると、多少の誤差を考慮に入れても三角点よりちょっとだけ高いようだ。

 木陰たっぷりで比較的涼しいので小休止を入れておく。








11:03 三登山山頂出発







山頂近くの分岐   

 山頂を出発するとすぐに分岐がある。
ここを下ると程好い歩行距離で周回ルートになるが、髻山まで行きたかったので先へ進む。
なお後で判ることだがここを過ぎるともう髻山まで行くか引き返すしかないので、ある意味で重要な分岐だったといえる。








11:09 三角点「三登山」  

 分岐を過ぎてすぐに三角点「三登山」に到着。
山行前は地形図を見てここが山頂と思っていたが、先述のとおりに少し西にずれている。

 三角点を過ぎると、これまでと一変して尾根が下り始める。








三登山〜八方峠間はやや長く感じる   

 この区間は数か所で作業道と交錯して紛らわしく感じた。
大体のところに指導標はあるので、逐一確認しながら進むと問題はないようだ。
でも展望が殆ど無いのでやや退屈してしまう感は否めない。








11:21 850m+にて髻山を見通す  三登山よりずっとカッコいい髻山だった 

 退屈に感じた中で、ほぼ唯一の貴重な展望箇所。
髻山までまだけっこう距離があるなと、この蒸し暑い時に来てしまったことを正直なところ後悔した。
それはともかくとして今回は空気は澄んでいたので、初めて見る光景に感動も覚えた。








今の時期は歩く人が殆どいないのか、やや荒れた感じの登山道が続く   

 早く下山してコーラを飲みたい一心で先を急ぐ。








12:05 八方峠付近(670m+)   

 やっと八方峠までやってきたが、正確には峠より少し南側へ下りてきたようだ。
ここから南側へも林道があるのだが、残念ながら土砂崩れのために通行止めとのこと。
山行前にはエスケープルートと捉えていたのだが、これにより髻山まで行くしかないとこの時に悟らされた。








八方峠の目印にしていた送電線をくぐる  北東側から三登山を振り返る 

 送電線があるので空が広がっているところに出るが、日向では暑くて大変だった。
クモの巣をはじめとして虫も多いので(ヘビも1回目撃)、やはり夏の低山は油断ならない。

 振り返ると三登山が遠くなってきて、縦走の醍醐味はけっこう感じられる。








蒸し暑い縦走の中で一幅の絵のような光景だった   

 髻山へ続く稜線では部分的に伐採地の脇を通る。
当日は万全な天候ではなくて雲が多めだったが、飯縄と黒姫が顔を出していた。








12:33 髻山へ取付く(680m+)   

 小刻みにアップダウンを繰り返しつつも、やっと髻山への登りを残すのみとなった。
この林道は生きているようだが、せっかくここまで来たのだから髻山へ行くしかないだろう。

 なお下山ルートとして指導標には「山千寺」と書かれているが、
ここから下りたところの吉(よし)地区と表記するほうが分かりやすい気がする。








髻山城跡の堀切跡を通過  12:42 この後の下山ルートを確認 

 現地に立ってみるとはっきり堀切跡と分かったが、写真に撮るとただのヤブっぽい植林にしか見えない。
髻山城跡は川中島の戦の折に上杉謙信の拠った歴史ロマン溢れるところだが、城跡散策はもっと涼しい時にということで先を急ぐ。

 堀切跡を過ぎるとすぐに待望の下山ルートを確認。
髻山山頂に達した後はここから下っていくことになる。








山頂すぐ手前には珍しく石垣が残っていてテンションが上がった。   

 最後の標高差60mほどの登りに耐えて、ようやく髻山山頂へ到着!
するとそのすぐ手前では戦国時代の山城跡には珍しく石垣が残っていて驚いた。
上杉謙信の髻山城に賭ける情熱を見る思いだった。
謙信がもう少し長生きであったらと思わずにいられない。








12:50 髻山山頂・髻山城跡本丸(744m)到着  三角点も一等でデカい! 

 石垣を見て盛り上がったところで広い本丸跡の山頂に到着。
山頂の周囲には盛り土が見られ、山城の雰囲気が充満している!
蚊里田八幡宮からの蒸し暑い縦走を経てきた甲斐があった。








髻山城跡から長野市街を見通す   

 この街の南側が川中島。歴史ロマンも溢れる眺望で素晴らしい。








髻山城跡から東側の眺望が特に見事だった   

 東面にあった案内板を基に山座同定を行った。まだまだ知らなかった山のほうが多いかも。
これだけの山々が見えることにまた感動を覚える。




 蒸し暑い中でのボッカトレということで、ここまででの疲れは相当なものだった。
しかし、蚊里田八幡宮まで戻らなくてはいけないので、まだまだ先は長い。
今回はトレーニングの効果を考えて自転車を用意していなかったので、歩いて戻るしかないのだった。

 山頂の東屋で昼食も兼ねた大休止をとっていく。




13:12 髻山山頂出発

 先に確認した分岐まで引き返して、吉へ向けて下っていく。








13:20 観音清水(660m+)   

 山頂から近いところでは観音清水が豊富に湧き出ている♪
冷たい水で最高に美味しかった♪生き返った思いだった。
長野市の友人によると長野県は美味い名水が多いという。
空になったペットボトルに観音清水を満たしてから出発する。

 髻山南山麓も枝道が多いが、指導標のおかげでスムーズだった。








上杉家の重臣の名が残る沢もあって、またの機会に歩いておきたい  








13:48 吉登山口(460m+)に降り立つ   

 髻山山頂から約40分で登山口に降り立った。
ここで小休止を入れてから、パンフレットどおりに旧水道道路へ進んだ。

 しかし意外に小刻みにアップダウンはあるし、草が生い茂って歩きにくく蚊も多くて大変だった。
途中で旧北国街道へ逃げたが、初めからこちらを歩くべきだったかもしれない。
但し春と秋には草刈りがされるらしいので、時期を選べば気持ち良くハイキング出来るだろう。








三登山の麓を南へ戻っていく   








14:58 蚊里田八幡宮に到着

 6時間30分でようやく周回完了。
大変な行程だったが、良いトレーニングになったのは間違いない。








 〜 終わりに 〜

 近所の山ということで、雨上がりにふと思い立って行ってきました。
梅雨から夏にかけてはやはり標高が低い山なので、色んな意味で大変な行程となりました。
しかしそれでも髻山の眺望と山城跡の遺構は素晴らしいものがありました。
また季節を変えて再訪したいと思います。
良い汗を掻きました。








行程断面図です




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