「白馬三山から鑓温泉」 (第1回北アルプス遠征・2日目) 12年 8月 4日(土)〜6日(月) |
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国土地理院地形図 : 25000分の1 「白馬岳」、「白馬町」 ご同行及び撮影協力 : alfonsさん 〜 はじめに 〜 1日目は好天にも助けられて、どうにか夕刻に白馬山荘まで辿り着くことができました。 2日目も基本的には好天のようですが、昼からは崩れる傾向にあるとのことです。 出発前からこの天候の見通しを知っていたため、1日目の行程を長丁場にする判断をしたのですが。 2日目は白馬岳山頂にてご来光を拝んで、朝食後に白馬山荘を出発。 白馬三山の残る二峰を縦走してから、主稜線を外れて鑓温泉へ向けて急降下。 距離的には1日目の半分程度ですが、白馬三山の大きなアップダウンがあって気は抜けません。 鑓温泉に着くまでに天候が大きく崩れなければよいのですが。 ![]() 3:00 日の出より約2時間前に起床。 昨日の反省で早め早めに準備する。昨日の疲れとやや睡眠不足のはずなのだが体調は良好。 朝食後にスムーズに出発出来るよう身支度を整えてから、白馬岳山頂へとヘッドライトを頼りに登っていく。 ヘッドライトで歩くのは六甲縦走以来。ブラックダイヤモンドのヘッドライトを5年以上使っていて長持ちしている。 早朝の白馬岳は今が夏ということを忘れるような気温。この時しか着る機会はなかったが、 防寒用に用意していたフリースが快適だった。 4:30頃 白馬岳山頂(2,932m)到着 既に数人が待機中の山頂に順調に到着。もう山頂は薄明るくてヘッドライトは不要となる。 まだ日の出にはしばらく時間があるが、周囲の景観は見えていることもあって退屈はしない。 待機の間にも多くの方が白馬岳山頂に到着され、日の出を心待ちに各自スタンバイされている。 この時の空模様は完璧で全く心配不要。自分自身、山上でのご来光は8年ぶりで2度目だが、 その8年前にNZで見た光景よりも遥かに勝ると思うご来光にこの後感動することとなる。 |
行程概要 (山中のルートは不正確です)![]() |
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夜明け前の白馬三山。昨日夕刻は雲に遮られがちだった杓子岳、白馬鑓ヶ岳が揃ってきれいに見えている。 遥か下方には、大糸線沿線の街の明かりが見える。 |
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雲海に浮かぶ小蓮華山。日の出は小蓮華山越しのよう。 |
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4:56 日の出 |
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期待どおりの荘厳なご来光でした!! |
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多くの方々の歓声が上がる白馬岳山頂 |
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モルゲンロートの白馬三山 |
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白馬三山の杓子岳、白馬鑓ヶ岳を望遠ズームで。今日の行程の険しさも伝わってくる。 |
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八ヶ岳、そして富士山まで遠望。富士山は近くからでもなかなか見れない印象があるが、この時は完璧にクリアに見えた。 |
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昨夕は雲に遮られて見えなかった剱岳を遠望 剱岳を直に見たのはこの時が初めて!!あそこにもいずれは登ってみたい! 手前の丸山は白馬山荘出発後に通過することとなる。 |
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白馬岳山頂と小蓮華山 |
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白馬岳山頂より下方を見下ろす 5:40頃 ご来光を心ゆくまで堪能してから白馬山荘に戻る |
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白馬山荘大食堂。朝食は5時から食べられるので、ご来光をパスしたらもっと早発することも可能。 今日のタフな行程に備えてしっかりと朝食を摂っておく。 横の談話室には山小屋には無いものと思っていたTVまで置いてある。しかも映り具合も下界と変わらない。 自分には興味のない夏のオリンピックのニュースをやってたから尚更だが、今はTVよりももちろん腹ごしらえを優先だ。 但し、たまたま目をやった時に映った野球の結果から、昨夜はカープが勝ったことを知ったのは幸先の良い一日の始まりだった。 |
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出発前に立ち寄ったスカイプラザ。昨夕に買いそびれたお土産を購入。 スカイプラザでは別料金予約制で、まるでレストランのような優雅なディナーを楽しめる。 もちろん自分は腹に溜まればよい性質なので、前述の大食堂で夕食を摂った。 |
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白馬山荘前から杓子岳、白馬鑓ヶ岳を眺める 6:58 白馬山荘出発 昨夕の遅い到着の余波により、出発までに1時間以上かかってしまった。 こういうところで山小屋泊に対する不慣れさが出てしまうようだ。今後はもっと段取りよく動けるように工夫したい。 何はともあれ、いよいよ白馬三山の残る二峰、杓子岳と白馬鑓ヶ岳へ向けて縦走を再開する。 alfonsさんは昨日の疲れの影響もあってか、体が温まる前の歩き始めは少し辛そう。 今日は初めから自分が少し先行して歩く体制となる。 |
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7:07 白馬大雪渓分岐 白馬山荘からは約100mほどの緩やかな下りで始まる。 alfonsさんとの間合いを縮めるために、自分はこの分岐上で少し待機。 振り返ると白馬岳が鋭く尖って見えていて、改めて白馬岳に惚れ直した思いがする。 そして1泊した白馬山荘の立地条件の素晴らしさを改めて感じる。 |
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白馬大雪渓分岐から丸山へ しばらくは頂上山荘とテント場を横目に見ながらの平坦な尾根になる。 完全に順光で撮影したことで、普段は写真には写らない筈の自分のカメラと三脚が影で特別出演となった。 短い登り返しで丸山へ到着するが、昨日の疲れもあって脚がやや重い。 そういえば2日続けて歩くのも8年ぶりとなる。 7:19 丸山(2,768m)到着 小さなミニピークだが、周辺の山々を眺められる絶景スポットだ。 頂上山荘に宿泊したら、ここでご来光を眺めるのもよいと思う。 |
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丸山山頂(2,768m) 短い登り返しでも脚がやや重いことで、ウォーミングアップしていなかったことを思い出した! ここで軽く体をほぐしておいて、この後の行程に備えてから出発する。 |
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丸山山頂より白馬岳を見上げる。 この後は白馬岳は次第に雲に巻かれていったので、 自分達にとってはこの辺りで眺めたのが見納めとなった。 夕焼けに朝焼けと楽しい時間を提供してくれた白馬岳へ感謝したい思いがする。 今後、何度となく再訪したい山となった。 |
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諸々の花々を見られる白馬岳周辺。 もし高山植物に詳しければより楽しく歩けるに違いないが、 花には疎い自分にとっても花の有無は気分的にまるで違うと思う。 お花好きの方はぜひマクロレンズ携行で。 今回のレポの写真で写っていた花々の名前を後程ガイドブックで調べようと思っていたのだが、 どの花も同じように見えるので挫折した。 |
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2,600m+コルまでは下りかほぼ平坦な穏やかな区間が続くが、その後には・・ alfonsさんは少し遅れて後方を歩いている。 そして自分達の前後のパーティーとの間合いも計りつつ、杓子岳、白馬鑓ヶ岳を目指していく。 この時、離れて歩く自分達の後方に20人規模の団体さんが続かれていて、 基本的にはこちらが先行しつつも、鑓温泉までほぼ同じタイミングで同じ行程を辿ることになる。 |
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白馬大雪渓を見下ろす 思わぬところから初めて有名な大雪渓を目にすることとなった。 圧縮した写真でもどうにか写っているが、大雪渓の中央には登山中の方々の行列が見えている。 大雪渓の雄大さを窺い知ると共に、その行程の険しさも視覚的に体感出来た。 今回の行程からは外れたが、いずれこの大雪渓を登る日も来るだろう。 なお明日6日(月)に下山予定の猿倉は、この大雪渓の下方にあるということで、 北アルプスの山の大きさも改めて実感する。 |
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7:46 2,600m+コル 丸山からの快適な稜線歩きを経て、2,600m+コルへ下り付く。 ここは杓子岳へ至るまでの最低コルになっていて、小休止するにはちょうどよいスポットだ。 ここで休憩していた先行パーティーと入れ替わるように到着する。 後続のalfonsさんとの距離を調整するついでにここで小休止をとっておく。 ここから杓子岳に至るまでには、途中で大きな2つの登りを含む標高差200mを乗り越えなければならない。 |
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杓子岳、そして白馬鑓ヶ岳の全貌が姿を現す 2,600m+コルから80mほど登ると、尾根は一旦平坦になる。 そこからは非対称山稜の特徴が顕著に現れている杓子岳の山容がド迫力だ!! と同時に山頂に至るまでの険しい道程も丸見えとなるが・・。 この頃から杓子岳や鑓ヶ岳の周囲に早くも雲が沸いてくる。昨日よりもかなり早いではないか!? 1日を通してほぼ完璧だった昨日とは違って、今日のほうが事前の見込みどおりに天候は下り坂傾向。 昨日からの疲労はあっても、何も見えなくなる前に頑張って早く山頂に到達しなくてはいけない。 alfonsさんもそれは同感のようで、これまでよりもややペースを上げられるようになった。 この後は予想外のことだが、白馬鑓ヶ岳付近まで殆ど同じペースで共に歩くこととなる。 |
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8:14 杓子岳山頂へ向かう 杓子岳は西側山腹をトラバースする巻き道があって、激登りを要する山頂を経なくても通過することが可能。 でも北アルプス初めての自分達は、どちらを辿るか相談する必要もなかった。 巻き道を見送って杓子岳へ取り付いて以降は、息つく間もない激登りの連続だった! 巻き道分岐からalfonsさんは自分より先行したまま山頂に至る。 すぐ続けて自分も後を追う。途中で数人の方が座り込んでおられたが、 ここは一気に登ってしまうほうがかえって楽ではないかと感じるほどの急坂だった。 登りに集中していたことと、前後に登山者が居られたことで、激登り中の自分撮りは断念した。 |
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8:30 杓子岳山頂(2,812m)到着 激登りを経てようやく杓子岳山頂に到着。 ガレガレで足場の悪い急坂だったが、終わってみれば巻き道の分岐から15分で登り終えることが出来た。 山頂では先行していたalfonsさんが早くもザックを下ろして小休止に入っている。 杓子岳は白馬三山の真ん中にあって、八方尾根から眺めると平らなピークに見えている。 でも実際は痩せ尾根状のピークであって、天候に恵まれれば360度の展望を得ることが出来る。 やや強行軍で到達したおかげか、全方位とはいわないまでもかなりの展望を楽しめた。 ちなみに杓子岳山頂には三角点は無い。 |
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杓子岳から杓子沢を見下ろす 非対称山稜の杓子岳は、白馬岳と同様に長野県側は絶壁となっている。 可能な限り縁まで行って見下ろしてみると、杓子沢を遥か眼下に眺めるという、 すごい高度感のある光景を見ることが出来た。 高いところが好きな自分でもちょっと身のすくむ思いがする。 なお、明日の鑓温泉から猿倉へ至る行程中には、ここから遥か下で杓子沢を横切ることとなる。 杓子岳山頂での滞在時間は20分を過ぎようとしていた。 もう少し居たかったが白馬鑓ヶ岳山頂にも早く着きたいし、この先の雲行きも心配だった。 前述の団体パーティーさんが到着されたのを機に出発することとする。 |
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8:50 杓子岳山頂出発 山頂からは鑓ヶ岳へ向けて、平らな山頂の稜線をしばらく辿っていく。 八方尾根から眺めていても窺い知れないが、ここは本当の痩せ尾根で高度感抜群で最高だった!! 前方には鑓ヶ岳が見えているはずだが、気の早い雲が覆い隠している。 しばらく山頂の稜線上を進んでから、再び急坂を経て巻き道へと下っていく。 ガレのトラックは足場がよくないので、下りでは特に注意が必要だ。 こんなことを書いているが、自分もスリップして危うくコースアウトしそうになった。 |
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9:02 巻き道へ合流 激下りを経てようやく巻き道に合流。 杓子岳は白馬三山の中ではやや地味な存在に感じるが、 山頂周辺の険しさにおいては、他の二峰にひけをとらないものがあった。 白馬三山のうち、残るは白馬鑓ヶ岳のみとなったが、この時もまだ雲に覆われたまま。 今回の行程でも最後に到達する山頂となるが、首尾良く景観を得ることが出来るだろうか。 |
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9:08 2,680m+コル(杓子沢コル) 杓子岳と白馬鑓ヶ岳の間の最低コルにあたる2,680m+コル(杓子沢コル)に到達。 行く手には気合を入れ直さなければならない、白馬鑓ヶ岳への険しい登りが立ち塞がる。 でも自分の思いが通じたのか、時々雲が切れてきて山頂が見えるようになってきた。 山頂までの標高差220mの道中には、2つミニピークを通過するようだ。 険しい登りを前にして、ここでもザックを降ろして小休止をとっておく。 |
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杓子岳の勇姿 数分の小休止を経てから、白馬鑓ヶ岳への登りに取り付く。 少し登ったところから振り返ると、西側をすぱっと切り落としたような杓子岳の勇姿が大きく眺められる。 先程まで居た山頂や、山腹を横切る巻き道が明瞭によく見える。 杓子岳越しには白馬岳も見えるはずだが、終始厚い雲が遮っていたので揃い踏みで拝むことは出来なかった。 でもそのおかげで、かえって杓子岳が独立峰のように目立って見えたと思う。 |
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9:33 2,750m+付近 最初の大きな登りをこなして2,750m+付近に到達。尾根が小広くなっていて小休止には最適だ。 行く手にはまだ少し距離があるが、白馬鑓ヶ岳の山頂を見上げることが出来た。 alfonsさんと共に白馬三山最後のピークを目に焼き付ける。 ここでも後続の団体パーティーが到着されるのを機に出発することとする。 2,750m+付近からは2つめのまとまった登りが始まる。 自分達の前にも先行者が居られ、道を譲っていただいたりして先を急いだ。 険しい登りの最中に、道を空けていただいた方には本当に感謝したい。 なお、alfonsさんも自分のすぐ後に続いている。 |
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9:50 小鑓(2,810m+) 標高差60mくらいの急坂は小鑓(2,810m+)で落ち着く。 地形図上では等高線は閉じておらず、隠れたピークといえるが、 小鑓という名称の付いているミニピークだ。 雲に巻かれていない部分は、広く周囲を見渡すことが出来る。 主稜線は白馬鑓ヶ岳の手前でクランク状にその向きを変える。 今のところは雲に巻かれている辺りが白馬鑓ヶ岳山頂に当たる。 だいぶ山頂が近づいてきたことに元気付けられて、alfonsさんと共に最後の登りへ挑む。 |
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白馬鑓ヶ岳へ向けての緩やかな登り 2,810m+以降は急坂は無くなり、程好い傾斜の登りが続く。 この辺りでは撮影対象が少ないのか、alfonsさんのほうが先行して山頂へと向かうこととなる。 |
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白馬鑓ヶ岳山頂手前の分岐 もう白馬鑓ヶ岳山頂は目の前!先程から強く日差しが照ってきて暑い。 辿ってきた主稜線のトラックは山頂手前で分岐し、そのまま南の唐松岳方面へ下っていく。 白馬鑓ヶ岳山頂へは少し寄り道する格好になるのだった。 先行のパーティーの方々に倣って、自分も分岐でザックをデポして山頂へ向かう。 |
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10:09 白馬鑓ヶ岳山頂(2,903m)到着 八方尾根からだと、凛々しい鋭鋒に見えていた白馬鑓ヶ岳山頂に到着! 思い描いていたよりも意外に広々とした山頂だった。稜線を横から見る杓子岳とは逆に縦から見ていた角度になるようだ。 alfonsさんは少し先に山頂に到達し、既に大休止に入っている。 山頂の周囲には雲が自分と同じ高さで通り過ぎていくが、時折は視界も広がるようになってきた。 到着してみればやはり長居したくなる山頂だったので、一旦分岐まで下ってデポしていたザックを背負い上げてくることとした。 山頂では夏の日差しに照らされて高高度ではあってもかなり暑いが、これで白馬三山に全て到達したということで達成感は抜群だった。 山頂の標識のそばに三等三角点「鑓ヶ岳」があって、白馬岳に続いてタッチすることが出来る。 山頂で交代で記念写真を撮ったり、腰を下ろしてくつろぐなどして最後の主稜線上の山頂での時間を楽しんでいく。 |
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白馬鑓ヶ岳山頂(2,903m)より、白馬三山を眺める 白馬岳山頂は最後まで雲に覆われたままだったが、朝から辿ってきた主稜線上のタフな行程を全て眺めることが出来た。 昨日と違って距離はそんなに長くないが、変化に富んだ地形で光景が目まぐるしく切り替わるしんどくても楽しい行程だった。 八方尾根スキー場から見ると、白馬三山が並んで見えているのだが、 実際に歩いてみるとこれだけの距離があったのかと改めて感じる光景だ。 また他の方角では、剱岳方面やこの後辿る唐松岳方面も時折雲間から見ることが出来た。 |
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そして杓子岳まで雲に覆われる しばらく二人して白馬三山の光景を中心に眺めていたが、雲の動きは早くて見る間に杓子岳まで覆い隠していった。 昨日に引き続いてヒヤヒヤものの行程となったが、どうにか雲に覆われる前に間に合って何よりだった。 10:50 白馬鑓ヶ岳山頂出発 もう少し山頂に居たい気もしたが、雲が目に見えて増え始め、これ以上待っても好転の確立は低いと判断。 最後の白馬三山の山頂ということで離れ難い気がしたが、そろそろ出発することにした。 |
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白馬鑓ヶ岳山頂から唐松岳方面へ向けて下る 白馬鑓ヶ岳山頂からは前述の分岐まで戻らなくても、山頂から進行方向へ向けて下ることが出来る。 ガレガレの山肌にジグザグのトラックが付けられているが、ここもやはりスリップしやすいので要注意。 南の主稜線は雲が多かったが、天狗山荘辺りまでは見通すことが出来た。 今回はその手前の鑓温泉分岐で主稜線を外れるが、いつかは不帰嶮を経て唐松岳へ向けて縦走してみたいと思う。 |
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荒涼とした山肌が続く白馬鑓ヶ岳 歩きにくいジグザグはいつしか山腹のトラバース道と合流し、幅広の尾根を緩やかに下っていく。 下るにつれて白馬鑓ヶ岳の山容が大きく見えるようになってくる。 白っぽい岩ザレの斜面が、北アルプスでこれまで見てきた山々とは大きく異なる。 また、杓子岳側から見た時とも大きく雰囲気が変わるとも思った。 エジプトへ行ったことのあるalfonsさんも、まるでピラミッドのようだと言っていた。 次から次へと歩くほどに新しい景観が得られ、本当に飽きることのない白馬三山縦走だった。 |
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二人して白馬鑓ヶ岳を見送る 日に照らされて白く輝く鑓ヶ岳は本当にピラミッドのようでもあり、また雪を被っているかのようでもあった。 もう少しで主稜線を外れることもあって、名残惜しい思いで鑓ヶ岳を見上げた。 それにしても、岩ザレの地面は夏の日差しに焼かれて、登山靴のソールを通してもその熱が伝わってくる。 照り返しによる紫外線も相当強いと体感的に思う。快適な北アルプスの山行のためには、 帽子とサングラスの他にも、普段の山行では使っていなかったUVクリームも必須と感じる。 |
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11:19 鑓温泉分岐(2,740m+コル) 白馬鑓ヶ岳からは程好い下りが連続するが、振り返りつつゆっくりとしたペースで通過。 最後の主稜線歩きを楽しんでいると、鑓温泉分岐(2,740m+コル)に到着する。 主稜線をなおも進むと20分の距離のところに天狗山荘がある。 プランニング時にはこちらに立ち寄る行程も考えたのだが、 それはまたの機会にするとして、今回はここから鑓温泉へ向けて下山を開始する。 下山とはいっても短時間で街へ着いてしまう六甲とは違って、 これから2日に分けて始まる長い長い下りのスタートだ。 下りといえば気になってくるのが、膝への負担の増大。 今回の遠征でも事前トレでも貸し出してきたトレッキングポールをalfonsさんに用意してきたのだが、 alfonsさんは今回は不要と判断される。自分もそう言われては車に置いてくるしかなかった。 この後、alfonsさんにとっては、トレッキングポールの有り難味の分かる道中になったようで、 次回の遠征からはやはり使わせてほしいとの申し出があった。 |
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鑓温泉へ向けて長大な下りの始まり 主稜線から鑓温泉へ向けては、標高差700mを越える長い長い下りとなる。 等高線を数えるのもひと仕事と感じるくらい、一貫してなかなかの混み具合。 特に鑓温泉到着間際の辺りの混み具合が凄まじい。 鑓温泉分岐から主稜線を外れても相変わらず岩ザレの滑りやすい下りが続く。 この辺りでは自分が比較的連続して撮影したのでalfonsさんが前に出られたのだが、 この後はやはり自分のほうが基本的に先行して下ることになる。 なお山と高原地図によると、鑓温泉分岐から鑓温泉までの所要時間は下りで2時間30分。 今は昼時なので、今日は焦ることなく宿泊地の鑓温泉まで到達することとなる。 余裕のあるプランニングを組むことって本当に大事だと改めて思う。 |
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高くなってきた主稜線を見送る ふと振り返ると、先程まで雲に巻かれていた主稜線がきれいに見えていた。 いろいろと大変だったが、白馬大池から始まった主稜線歩きは本当に夢のような時間だった。 alfonsさんと共に、名残を惜しみつつも再訪を期してから下山を再開する。 |
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11:43 大出原を見下ろす岩場で小休止 ちょうど休憩に適した岩のテラスがあった。 alfonsさんも少しお疲れのようだったので、ザックを下ろして休んでいくことにした。 休んでいる間に多くの方がすぐ横を下られたが、複数の方に良いところで休まれているとお声掛けいただいた。 雪渓の間に中洲のように見えているのが、高山植物の名所として知られる大出原(おいでっぱら)。 その遥か下方に今日の目的地の鑓温泉があるはずなのだが、今のところは雲に覆われている。 この岩場では、白馬鑓ヶ岳山頂などでは通じなかった携帯の電波が届いているのを確認。 このタイミングに鑓温泉からは通じないことを考えての自宅へのメールや、 下山後の明日夜の白馬村での宿泊手配を行う。 今回は1日早く下山する可能性も考え、予め白馬村周辺での宿泊施設の下調べまで行っていた。 下山後においても自分ももちろんだが、alfonsさんにも旅の続きを楽しんでいただけるよう趣向を凝らしている。 12:00 小休止を終えて出発 |
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大出原付近の雪渓を下る 雪の上に出ると本当に涼しくて、白馬大雪渓を登りたくなってくる。 1日目の行程で乗鞍岳の雪田を登ったが、雪上歩きにおいてもやはり下りのほうが難しくて少々緊張する。 とはいうものの斜度も距離も大したことはないので、アイゼンを着けるまでもなく順調に下ることが出来た。 途中から自分が先行し、alfonsさんが無事に大出原に着地したのを見届けてから先へと進む。 |
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12:13 大出原 比較的急坂の続く鑓温泉へのルートにあって例外的に緩やかな大出原。 トラックの周辺では本当に高山植物が賑やかで、北アルプスの花の名所というのも頷ける。 |
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大出原のお花畑 天候がイマイチだったせいもあるかもしれないが、昨日白馬大池周辺で見たお花畑のほうがより印象に残っている。 でも見渡す限りいっぱい小さな花が咲いていて、先程までの岩ザレの主稜線とは違った魅力で心が和む思いがする。 |
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大出原から再び急坂が始まる トラックの周囲に咲き乱れる高山植物を楽しみながらの下山となるが、 長く続く下りのために自分がかなりalfonsさんの先を行く形となった。 雲の切れ間の遥か下方に少し平坦なところが見えるが、 あの辺りまで標高差200m程度は同じようにジグザグを下る場面が続く。 |
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引き続いてお花畑が広がる鑓温泉ルート alfonsさんと離れすぎないようということもあって、自分としてはやや遅めのペースで下り続ける。 上のほうからは厚い雲が見えていたので心配したが、思ったよりも天候は崩れずに鑓温泉到着まで雨も降らなかった。 この辺りでは一面に咲き乱れる黄色の花が見事だった。 |
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12:54 2,260m+付近 お花畑を見ながらの長い下りはこの辺りで一段落。 地形図を見るとこの後に標高差200mくらいの激下りが予想されるので、 ここで離れてしまったalfonsさんを待ち構えることとする。 この間に昼食を済ませたり、今後の行程を確認したりする。 13:35 alfonsさんと再合流して、2,260m+付近出発。 予想よりも合流が遅くなってしまったが、alfonsさんも少し上で休憩されていたよう。 お互いに個別に休憩をとったことになったので、合流してすぐに出発する。 これまでは比較的開けたお花畑の中を下る場面が多かったが、 いきなり密林の中へと突入していく。なんだか普段の山行に雰囲気が近づいてきた。 というか、森林限界よりも下ってきたのだろう。 この後で難所が始まる旨の案内板が掛けられているところからしばらく下ると・・ |
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鑓温泉付近の激下りが始まる 鑓温泉へ下るまでの最後の標高差約200mは、鎖場、ハシゴ、岩場が連続する難所のエリアだった。 まずは鎖が手すり代わりとなっている「蜀の桟道」っぽいところから始まる。 この写真を撮影して三脚を回収する際に後続の団体さんが通過される。 先行されることとなった団体さんがこの鎖の手すりの区間の通過にしばらく時間を要したので、 やむを得ずalfonsさんを下でお待たせすることになってしまった。 でもそのおかげで、この後に良き出会いに巡りあうこととなる。 |
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難所が続く激下り 団体さんが前述の難所を無事に通過されてから、道をお譲りいただき自分は再びalfonsさんを追えるようになった。 少し進んだところでalfonsさんは待っていただいてたのだが、お一人で来られていたご年配の女性とお話されていた。 自分は途中からお話に入った形となったのだが、このお方はなんとお家が自分のすぐ近くとのことですごい奇遇なご縁だった! 自分達よりも数日早く夜行バスにて信州入りされ、帰りは18きっぷで帰られるという旅程もタフだ! お話をまとめると、白馬に先立ってまず鹿島槍ヶ岳へ登られ(鹿島槍山頂でのお写真を拝見。絶好の好天での素晴らしい山頂でした!)、 そして一旦下山後に今度は白馬岳を目指すために猿倉から再び山へ入られた。 しかし、今日明日の天候悪化の見通しのために、稜線到達を断念し最終的に鑓温泉を目的地に変更されたという。 天候の変化に対して的確にご判断され、より安全と思われる鑓温泉に変更されたことに感心した。 三人で山のお話しで盛り上がりながら、且つお二人をモデルに後から写真を撮りつつ、 しばらく難所の連続といえるところだったのだが、いつの間にか何気に通過してしまったという感じになった。 難所のエリアからはまだ鑓温泉小屋は見えていないが、 明日の行程で通過することになる小日向のコル周辺の稜線がよく見えている。 ここから見る限りではそう遠くないように感じるが・・。 この後は一時的に3人パーティーとなって、翌朝まで鑓温泉小屋でお時間を共にすることとなる。 この方も言われていたことだが、山旅での出会いって本当に良いものだなぁとつくづく実感した! |
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3人で和気藹々と難所を下っていく。自分がしんがりとなってついでに撮影も行う。 この付近はアスレチックのように険しい場面が続く。 先日歩いた雪彦山の難所を凝縮したような感じだった。 雨天時には岩が滑りやすくなると思うので要注意だ。 |
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14:09 大きな雪渓と共に白馬鑓温泉小屋が見えてくる!! しばらく急降下を続けていると、遂に大きな雪渓と共に白馬鑓温泉小屋が見えてきた!! 昨日と比べれば距離は短いとはいえ、ここまで大きなアップダウンを伴う7時間余りの行程。 昨日の長い行程と合わせればもう相当に疲れているはずなので、この後飛び込める温泉への期待はいやが上にも高まる! それでもそろそろ終わりそうな難所の最後にと、この写真を撮影しておく。 いつの間にやらセットしていた三脚を自分が登って回収する様子を見た単独ご婦人さんはとても驚かれると同時に感動されていた。 自分としてはいつものことなのだが、考えてみれば山行中に他にこの作業をしている方を見たことがないので当然の反応かもしれない。 行動を共にしてきたalfonsさんにも、北アルプスに来ても本当にいつもの山行とペースが変わらないと感心されるというか呆れられるというか。 雪渓の際まで下りると、再び快適で涼やかな風が吹いてくる♪ 後で湯冷ましに来ると良さそうだ。 少し下りたところでは小さな沢を横切るので、顔を洗うことも出来た。 |
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鑓温泉小屋付近で難所を振り返る 鎖を手すり代わりに通過した岩場があんな上のほうに見えている! お話しながら楽しく下ったのでなんだか短く感じたが、実はけっこうな標高差だったことが分かる。 聞くところによると、この区間ではケガ人を伴う事故が時折発生しているとのことで、 鑓温泉ルートの中でも注意を要する区間のようだ。山と高原地図でも“クサリ、針金”と書かれている。 なお単独のご婦人は一足先に鑓温泉小屋へ向かわれた。自分達も続けて後を追う。 |
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そして待望の白馬鑓温泉小屋へ 14;27 白馬鑓温泉小屋到着 鑓温泉小屋は昨日宿泊した白馬山荘と違って、こじんまりとしていてアットホームで純朴な山小屋という雰囲気が漂う。 まず宿泊受付をした後、指定の寝床へ。山小屋ではあっても基本的には予約していたほうが受付がスムーズだし、 山小屋の方としても管理上助かるのではと思う。但し、天候悪化等の理由で行程を変更した際は不達を連絡しないといけないが。 鑓温泉小屋は山小屋本来の姿である大部屋のみで、大部屋は二段ベッドで構成され、自分達の寝床は上段だった。 寝床を共にするご近所さんともすぐに打ち解け、荷物の整理を行った後でさっそく温泉へと直行だ!! |
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山小屋の中を登山道が通っている白馬鑓温泉小屋 昨日と違って時間はたっぷりあったので、入浴や散策を充分に行うことが出来た。 傾斜地にある敷地の中は案内板完備で使いやすい。ここは雪崩発生地のために冬季は解体されるという山小屋だが、 それを忘れるくらい手入れはたいへん行き届いており、快適で楽しい時間を過ごすことができる。 但し、コバエによく似たブユ?が多く飛んでいて、自分も数箇所血を吸われた。 叩いて退治してはっきりとその姿を見ると、日本には居ないはずのあの悪名高くて忌々しいサンドフライによく似ていた。 害はしばらく多少むず痒くなる程度だが、これへの防虫対策を行っておくと、より快適な滞在となるに違いない。 |
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鑓温泉小屋を抜けて下っていくと、そのまま猿倉へ。明日はどのような行程が待っているだろう。 |
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2日間の疲れを癒すべく、露天風呂へ直行する 夜の1時間以外は混浴。でも分かっていたこととはいえ、終始男性しか居なかった。 ここでお風呂に関する余談だが、今年のGWにヒットした「テルマエロマエ」という映画。 古代ローマ好きの自分はもちろん観に行った。 この映画に登場するハドリアヌス帝が、初めて公衆浴場においての混浴を法律で禁止している。 そのままの歴史の流れでより厳格なキリスト教の時代に引き継がれて今に至っている。 ハドリアヌス帝以前はなんともおおらかな浴場風景だったといえるが、考えてみれば市街に溢れていた彫像で裸体を見慣れているローマ人と 現代の日本人とでは相当感覚が違っていただろうから、混浴を禁じたことのほうがかえって驚かれたかもしれない。 |
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大自然に抱かれた、白馬鑓温泉小屋 ※ 画像の一部を加工しています。 |
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白馬鑓温泉小屋自慢の露天風呂!! (湯温は42℃という) alfonsさんも2日歩いてきた後で、この温泉に入れるなんて素晴らしい!!と大喜びされていた。 自分としても、今回くらい盛りだくさんの内容をプランニング出来たことは本当に嬉しく感じる。 少し熱いくらいだが、湯の花がぷかぷか浮いていて、お湯もなんだかぬるぬるしている。 本当に源泉掛け流しの温泉で、2日間の疲れもだいぶ癒されたような気がする。 鑓温泉小屋に到着する直前から雲行きが怪しくなってきたが、自分達が露天風呂に入っている時に土砂降りとなった!! もう少し到着が遅ければ、雨中行軍となっていたところだった。 絶好の好天だった昨日はともかくとして、今日もレインウェアの出番なしで運が良かった♪ それはともかく、熱い湯が苦手な自分は半身浴でちょうど良かったのだが、土砂降りの雨に当たるとさすがに寒くて肩まで浸かった。 でもしばらく入っていると雨でお湯がうめられたのか、ちょうど良い湯加減となったようだ。 カラスの行水の自分としては奇跡的に長湯を楽しむことが出来た。 |
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眺望絶佳の露天風呂。自分達は下山中に立ち寄ったが、ここを目当てに猿倉から登ってこられる方も多いよう。 自分も信州で暮らしたら、ひと夏に1回は必ずここに登ってくるようになる気がする。 なお、鑓温泉小屋を通過する場合でも、300円で入浴することが出来る。 ※宿泊者は無料。 自分達が温泉から出た後もしばらく大雨は続いていた。 明日も引き続いてはっきりしない予報で、稜線上では雷の見込みも。 前述のご婦人もこの天気予報を見れば、引き返すご判断をされたのも無理はなかったと思う。 ともあれ、自分達も明日は殆ど下りのみとはいえ、猿倉までの半日の行程を残している。 明日こそはレインウェアとザックカバーの出番があるかもしれない。 〜 終わりに 〜 2日間のタフな行程を経てから温泉にも入り、そして鑓温泉小屋での夕食のこれまた美味かったこと! 今日は白馬岳山頂でのご来光から始まり、昨日に引き続いて本当に中身の濃い1日となりました。 夜は20時30分消灯ということでしたが、自分達はそれより前に眠くなって20時頃には就寝。 翌6日(月)朝4時30分起床まで、疲れ&温泉効果か完全に爆睡でした! 夜の間にも寝床のすぐ上のトタン屋根を激しく叩く大雨があったらしいです。 自分は耳栓&温泉効果?もあってか、全く目が覚めずに熟睡でした。 個室をチャージしていた白馬山荘よりも、大部屋の鑓温泉小屋のほうがよく眠れたのは意外ですが、 とにかく居心地の良い山小屋だったことは間違いありません。 いつの日にか必ず再訪したい!と思う山小屋の一つとなりました。 明日は曇りがちの天候のようですが、猿倉への長い下りが残っています。 殆ど森林限界より下の樹林帯を歩くということで、黙々と下るのみと思っていましたが、 最後まで良い意味でその予想は外れることとなります。 |