「鑓温泉から猿倉」 (第1回北アルプス遠征・3日目) 12年 8月 4日(土)〜6日(月)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「白馬岳」、「白馬町」

 ご同行及び撮影協力 : alfonsさん




 〜 はじめに 〜

 昨日はまずまずの天候で白馬三山から鑓温泉まで降りてきました。
今日は昨日と同程度の標高差の下りの続きです。
これだけ長大な標高差の下降は初めてで、改めて北アルプスの雄大さを実感することになります。
今日の鑓温泉から猿倉までの行程では、前半はいくつかの沢を横切ってトラバース。
後半は猿倉目掛けて急降下していきます。
残りの行程が少なくなってくるにつれ、一抹の寂しさを覚える終盤でした。









 4:30 起床。睡眠時間は8時間30分。

 寝床の周辺は既に殆どの方が身支度中。元々朝型のalfonsさんは既に朝風呂にも入られたよう。
聞くところによると夜中には土砂降りの雨もあったようで、その雨音で何度か起きてしまったらしい。
そういえばご来光は!と部屋の窓から見てみると・・








 行程概要 (山中のルートは不正確です)


 
3日目の夜明け。鑓温泉小屋の大部屋の窓より

 撮影時は多少朝焼けは見られたが、この後雲が厚くなりご来光は見られなかった。
ということでまず身支度を済ませて、5時からさっそく朝食を食べに行く。








鑓温泉小屋の食堂、兼談話室

 起き掛けだったのだが朝から食欲旺盛。
二人とも朝からご飯をおかわりまでしてしまった。
お土産は昨夕に買っているので、今日はこの後歯磨きだけ済ませると出発出来る。

 今日の行程は基本的に半日で完結出来るから、朝風呂に入る時間的余裕はあった。
しかし、天気予報は曇りで昼からは雨の見通し。朝風呂はまた次に来た時の楽しみにおいておこう。

 昨日、すぐ上の難所で知り合ったご近所のハイカーさんは、
下山を急がれるために自分達に先立って猿倉へ向けて出発された。
alfonsさんと二人共々HPアドレスをお伝えし、また山での再会を期してお別れした。








 6:05 白馬鑓温泉小屋出発

 いよいよゆったりと過ごせた鑓温泉小屋を出発。名残惜しい思いでのれんを見ながら降りていく。
ところで、曇りのはずが出発準備をしている頃から朝日が射してきた。
もしかしたら天気予報よりも良い天気で歩けるかもしれない。








テント場を通り抜けて一路猿倉へ

 撤収作業の進むテン場の横から猿倉へのトラックが始まる。
テントはいろいろと大変なことも多そうだけど、より充実した山行になりそう。
元々大きめのザックを選んでいるので、テント泊山行にも充分に対応可能だ。
なおこのテン場の横には足湯もある。

 事前に観察していた地形図によると、今日の行程前半の小日向のコルまでは標高差はさほど大きくはない。
但しいくつかの沢を横切るために小刻みなアップダウンは予想できる。決して楽といえる道程ではなさそうだ。








鑓温泉の堆積物が特徴的

 テン場の下の斜面は、鑓温泉の源泉による堆積物に覆われていて、とてもユニークな景観となっている。
以前、同様の光景をトンガリロの火山地帯で見たことがあり、予想外の景観を前にしてスタート直後からいきなり撮影モードとなってしまう。
昨夕にここまで散策しに下りてくればよかったのだが、朝日に照らされた堆積物はユニークさを引き立たせている。








遠ざかる鑓温泉小屋を見送る

 段々と遠ざかっていく鑓温泉小屋を名残惜しく見送る。
というか、こんな急斜面の上に立っていたのか!と驚いた。
猿倉から登ってくれば最後の急登であり、待望の光景でもあるのだ。
それと小屋の左奥には烏帽子岩の尖塔が印象的だ。

 この後、斜面を北へトラバースしつつ下っていくと、息をつく間もなく次の新たな局面に入る。








 6:23 最初の雪渓(湯沢)をトラバース

 板を渡された小さな沢を横切るとすぐにこの広大な雪渓に行き当たる。
これが湯沢という沢で、今日一つめの雪渓横断となる。

 雪は硫安でも撒いたかのようによく締まっているが、トラバースする足場は明確で難なく通過することが出来た。
alfonsさんも慎重に自分の後に続いてトラバースする。静かにベタ足で小股という雪道を歩く要領はそのまま活かせる。








湯沢

 すごく快適そうな幅広の中斜面。GW頃の天候が安定した頃に滑ると爽快だと思う。
いずれは猿倉からスキーを担いで登ってきて、大出原辺りから大滑降したいというのが自分の夢の一つなのだが・・。

 トラバースして沢の対岸近くへ着くと、今度は左岸寄りの雪上を下り始める。
この雪上の下りは昨日に大出原で下ったのと同じような斜度と距離だが、雪が締まっているために慎重に足を運んで通過した。
alfonsさんはこの下りは無理と判断され、予め用意の6本爪アイゼンを装着。
アイゼンはしっかりと雪を捉え、alfonsさんも難なく下っていけそうだ。








湯沢の左岸を下る。一部は雪上を歩く。

 少し上ではalfonsさんがアイゼン装着で下り中。
自分はやはり雪の上を歩く機会が多いせいか、雪渓歩きに対する恐怖心はあまり無い。
自分も6本爪アイゼンは用意していたが、今回の山行では結局使わずじまいで、
アイゼンはザックの中でただの重りになってしまった。
要らないかもしれないけど念のためにという場合は、4本爪アイゼンがあればより軽量化出来るかもしれない。








湯沢越しに鑓温泉小屋を仰ぎ見る

 alfonsさんがアイゼンを外して片付けてから出発。
一旦、雪の上からは離れるが、不安定で柔らかい山腹に付けられたトラバース道は通過に注意を要する。
栂池から入山して3日目となり、alfonsさんはかなり足に疲れを覚えられている。
alfonsさんの状況を確認しつつ下っていく。

 この辺りではばっくりと割れた雪面が恐ろしげで、ありのままの自然の驚異を感じる。








 6:53 2つめの雪渓(鑓沢)が見えてくる。

 引き続いて北へと向かう山腹道を進むと、まもなく更に広大な雪渓が目の前に広がってくる。
これが鑓沢で、今日越える雪渓の中では最大規模だ。

 雪面上では安全に通過できるよう、赤布によるマーキングが付けられているのでこれに従う。








鑓沢をトラバース

 前述の湯沢よりもかなり広大な鑓沢だが、斜度が先程よりは緩いせいか、
今度はalfonsさんもアイゼン無しで渡れそうだ。
やはり雪渓の上ではかなり涼しく、ここも離れ難い思いがする。








鑓沢を通過中。いずれここを気ままに滑降してみたい・・








鑓沢

 広大な雪渓の次は、川原状のガレ場を引き続いてトラバースしていく。
踏み跡は明瞭なので迷いそうな箇所は見受けられない。
春先はこのガレ場も全てが雪面だから、本当に広大な斜面を滑り降りられるということで、
まだ見ぬ雪山の光景に思いを馳せる。

 少し進むと一旦は森に入っていくが、またすぐに次の危なそうな沢へと突入する。








 7:17 落石沢をトラバース

 眼前には杓子岳から派生する尾根が大きく迫ってくると共に、巨大な岩塔が目に飛び込んでくる。
しかし光景を楽しむ前に、このガレガレの落石沢を通過しなければならない。
斜面に巧みに付けられた山腹道をトラバースしていくが、名前のとおりに落石がありそうな斜面なので、
足早に通過したほうが良さそうだ。








 7:20 杓子沢をトラバース

 落石沢を過ぎると次は多くの雪が残る杓子沢をトラバース。
右岸には融雪が進んだ段階になると使うと思われる橋桁が置かれて出番を待っている。
ここも赤布でルートがトレースされているのでこれに従う。
杓子沢の幅はさほどではないが、斜面の下方は急激に落ち込んでおり、
万一滑落したらタダでは済まないことは想像も容易。
自分は一度、NZのマウント・クック近くの雪山でシリセードをして死ぬ思いをしたことがある。
油断はせずに丁寧に足を運んで雪渓を通過する。

 杓子沢を通過して左岸を少し登ったところには休憩に良さそうな岩場のテラスがあった。
引き続いて杓子沢を通過中のalfonsさんを待つためにここで小休止を入れよう。




 7:25 杓子沢左岸のテラス到着








杓子沢と杓子岳を眺める

 通過し終えたばかりの杓子沢と、遥か上空の杓子岳を眺める。
杓子沢の急斜面ぶりがここからだとよく分かるし、杓子岳を見ると昨日はあそこに立ったのかと改めて達成感が湧いてくる。

 ここまででもけっこう歩いた感があるが、地形図を見るとまだ鑓温泉と小日向のコルの中間辺りだ。
猿倉までの全行程の4分の1でしかない。こう感じるのは自分もやや脚が疲れてきているのだろう。




 7:40 小休止を終えて出発








杓子沢と杓子岳を振り返る

 岩場のテラスを過ぎて杓子沢から離れていくが、この辺りはけっこう高度感がある。
先程通過した落石沢や杓子沢が、ここから見るとすごく急峻でかなりの難所に見えてくる。

 この後も等高線に沿うように山腹道が続いていく。
比較的展望が開けるところが多いが、今日はけっこう雲が多いので視界は限られている。








 7:54 小日向のコルが近づいてくる

 少し東へと進んでいくと、前方には小日向のコルがほぼ同じ高さに見えてきた。
コルのすぐ右側には双子岩という大きな岩があって目印になっている。
寄り道出来るところであれば寄っていきたい。

 小日向のコルから上方へ伸びているのが双子尾根で、
これからしばらくはこの尾根に沿うようにトラバースしていくこととなる。
 小日向のコルはほぼ同じ高さに見えてはいるが、その手前では登り返しもありそうだ。
そしてそこに至るまでは意外にけっこう急な下りもあった。
 途中に水量豊富な小さな沢(三白沢)を横切るところで小休止を入れて調整したが、
alfonsさんにとって急な下りはちょっと手こずりそうな足の状態で少し心配だ。








 小日向のコルへと向かっていくトラックは意外と感じるほど高度を下げていく。
地形図に描かれている破線道よりは少し下を通っているような気がする。

 この周辺ではやや湿地帯っぽくなってきて、植生もこれまでとは大きく異なってくる。
alfonsさんによると、このジャングルを形成している植物は各地で見られるものだが、
これほど背丈の高い状態のものは初めて見たという。白馬の豊かな自然の成せる技ではないだろうか。

 この辺りから続々と鑓温泉へ向かう登り中の方々とすれ違うようになってくる。
自分が思っている以上に、長い急登を乗り越えてでも鑓温泉や更にその上の主稜線を目指して登られる方は多いようだ。








 8:40 最後となる主稜線を遠望する

 小日向のコルへ向けて登り返していると、これまでよりも雲が切れてきて
広く周囲を見渡すことが出来るようになってきた。
鑓ヶ岳の山頂ははっきりとは見えなかったが、稜線もそこそこ見えたし、
鑓温泉小屋はかなり遠くにはなってきたが、まだ小屋の建物が肉眼でははっきりと見えた。
 小屋からだとコルは近くに見えたのに、逆だと何故かかなり遠くに見えるのは不思議だった。
 今回の山行中に主稜線を見たのはこの時が最後となる。

 この辺りからは双子岩が森の向こうに見えたのだが、残念ながら岩を目指すサブルートは無いようだ。

 そしてもう少しだけ急な登りを我慢すると平らなところに出る。
小日向のコルの周辺は広く等高線が広がっており台地状になっている。
小日向のコルに立っても、はっきりとここがコルであると認識するのは難しいかもしれない。
コル周辺の台地に出るとすぐに湿地帯に渡された丸太のいかだを伝って、小日向のコルへと到着する。








 8:50 小日向のコル到着

 台地状の一角にある小日向のコルに辿り着く。
山と高原地図では鑓温泉からここまでの所要時間は1時間50分と書かれている。
自分達の場合は雪渓の通過に大事をとったりしたので1.5倍の時間を要したが、まあ今日は残りの行程が短いから問題ない。

 コルのすぐ横には小さな池(あまりきれいな池ではないが)があって、
曇天の今日はちょっと不気味な雰囲気。

 夜中までにたくさん雨が降っていたこと、そして標高が下がってきたことも手伝ってか
この辺りからかなり蒸し暑く感じるようになってきた。
昨日までの乾いた稜線上の空気とはまったく別物だ。

 コルからは程近いところに小日向山があるが、こちらを目指すサブルートも見受けられなかった。
六甲であれば手近なピークを目指す踏み跡が大抵はあるのだが。




 9:03 小日向のコル出発

 alfonsさんより少し早めにコルを出発する。
小日向のコル周辺の台地を抜けると、等高線の混んだ急な下りが始まるはずだ。








小日向のコル周辺に広がる湿地帯

 コルを過ぎるとまもなく緩やかに下り始めるが、不意に周囲が開けてくる。
この辺りは花こそ少ないが、霧がかった森と草原による静かな雰囲気がとても良い。

 この辺りでルートは大きく北寄りに進路を変えていく。
まもなく急な下りが始まるはずだ。








 9:15 急斜面のジグザグが始まる

 小日向のコルを過ぎれば深い森を歩くのかなと思っていたが、
急な下りの初っ端からこの展望が広がってくる。
小日向のコルまでの行程前半では数字にするとまだ200mほどしか下っていない。
残りの600mほどは行程後半で消化することになる。
ということで、今日の行程の最終目的地である猿倉はまだ遥か眼下にある。

 激下りを想像したエリアだが、急斜面はジグザグで通過するようだ。

 少し下ったところでは水量豊富な沢もあって、顔を洗ったり涼感タオルを濡らしたりしてリフレッシュ出来た。
この辺り以降、登りも下りも人の行き来が多く、またalfonsさんと自分のペースの差も大きくなってくる。
また自分自身の疲れも加わって、落ち着いて撮影出来る状況ではない状態がしばらく続いた。
ということでこの大きな下りの途中ではあまり撮影出来ていない。




 9:45 中山沢

 水の流れの無い細い沢である中山沢を通過。ここで行程の3分の2を消化したことになる。
この辺りより急坂は一段落し、比較的等高線が広がってくるエリアに入る。
地形図を見ると、北側に長走沢が並走する幅広のゆったりした尾根だろう。








全く景観は開けないが、緩い傾斜で歩き良い状態が延々と続く。

 後ほど待ちの状態の自分に追いついたalfonsさんも、この辺りは延々と同じところを歩いているようだと言っていた。
時折は日が差し込んでくることもあるのだが、そうなるとここ3日ほど忘れていた蒸し暑い夏が戻ってくるようだった。
この辺りで標高は1,500m超。兵庫でも氷ノ山に登れば達せる標高になってきた。




10:09 水芭蕉平

 とても良い名前が付いているところにやってきたが、ここで水芭蕉が咲くのだろうか。
周囲はややジメジメした平らな地形が広がるだけで、案内板が無ければそのまま通過してしまうだろう。








10:17 ブナが目立ち始めたところで小休止

 かなり下ったと思われる頃、それまでの密生した状態は同じでも、
ブナも混じる美しい森へと変わってきた。

 歩き良いトラックが延々と続いたので、自分も自然に調子良く下ってしまった。
ブナに囲まれた好立地の中で一度小休止をとってalfonsさんを待つこととする。

 待機中にも多くの方が下られていくが、その中で単独山ガールさんから残りの道程を質問される。
小日向山側に緩やかな稜線がほぼ同じ高さで目立って見えていることから、かなり標高は低くなっていると判断。
もうそんなに猿倉は遠くないのではとお伝えした。
読図が当たっていればいいけど、一昨日の三国境の時のように外してたら申し訳ないなあと心配する。

 alfonsさんを待っている間に続けて読図を行っておく。
この先で再び等高線が混んでいき、下りきると林道に合流。すると猿倉まではもうすぐ。
この等高線が混んでいるところは、激下りというほどではないようだ。
小日向のコルを過ぎたところのように、歩きやすく整備されているのではないかと予想する。

 何組かのパーティーを含むかなり大勢の方々を見送った後で、alfonsさんが待機場所のブナ林に到着。
下りが不安だったalfonsさんも、長い緩やかな下りのおかげでだいぶ調子を取り戻してきたようだ。




10:35 alfonsさんと共に出発

 しばらく進んだところでこれまでよりは傾斜が増してくる。
ということはこれが最後のまとまった下りということとなる。
この見通しをalfonsさんにお伝えすると、もう終わり!?と驚かれ、名残惜しそうにされていた。
と同時に、まだまだ歩きたい!という思いも募られたよう。それは自分も同感だった。
一時はalfonsさんの脚は大丈夫かなと思ったが、どうやら調子を持ち直して下山出来るようだ。








10:49 鑓温泉・大雪渓分岐

 しばらくそこそこの下りを歩いていると、広い林道へと飛び出た!
長かったけど面白かった鑓温泉ルートが遂に終わり、alfonsさんも自分も一抹の寂しさを覚えてしまう。
この林道を1時間ほど登っていけば大雪渓があることをお伝えすると、さあ行こうか!とノリの良いalfonsさん。
すっかり脚の調子を持ち直されたようで安堵する。
自分も本当に大雪渓を登って白馬岳へ戻りたい気持ちだったが、それはまたの機会にするとして、
今はとりあえず猿倉へ下りて今回の遠征山行を完結させよう。

 林道を下っていると軽装の観光客っぽい方々とすれ違う。
白馬大雪渓を見るだけなら、ハイキング気分で到達出来てしまうところにあるので、
正直なところ寄ってみたい気持ちはあったのだが・・。




10:55 林道から再び山道へ

 少し下ると猿倉を示す道標に誘われて再び森の中へ入っていく。








猿倉へ向けて最後の下り

 もうまもなく今回の山旅が終わってしまうのがウソのように、最後まできれいな森が広がっている。
最後にぜひこの光景を撮影しておきたくて、後続の方をやり過ごしてからカメラをセットした。
長い鑓温泉ルートを歩く間に、周囲のパーティーの方々と何度となく抜きつ抜かれつを繰り返したおかげで、
自然に連帯感まで生まれてくる感じだった。

 まもなく木々の向こうに赤い屋根の建物が見えてきた。
遂に猿倉に到着したようだ!








11:03 猿倉到着

 遂に最終目的地の猿倉へ到着!!
鑓温泉小屋から5時間近くかかったが、自分としても充分に変化に富んだ下りを堪能出来た。

 まずはお互いの無事を祝ってalfonsさんとがっちり握手を交わす。
自分としても今回の初遠征はもとより、5月から六甲にてalfonsさんの事前トレのトレーナー役を務めてきたことも含めて
すごい達成感と充実感を味わった。と同時に一つの山旅が終わったことに対しての寂しさももちろん湧いてくる。
でも一つの旅の終わりは、次の旅の始まりであるといつも考えるようにしている。
また、次の遠征の機会を心待ちにするとしよう。

 ところで、到着から10分くらい経った頃、なんといきなり土砂降りの雨が降ってきた!!
30分くらいは降っていただろうか。続々と下りてこられる方々は皆、びしょ濡れになったレインウェア姿だった。
自分達は昨日に引き続いて運に恵まれ、今回は3日間を通じて全く雨具の出番が無かった。








白馬村営猿倉荘

 到着時は次の白馬駅行きバスまで1時間以上あったので、一旦はタクシーの同乗者を探したが上手くいかず。
結局は12:20発のバスまで猿倉荘に滞在することとした。
 とりあえず目に付いた猿倉荘のカキ氷で打ち上げをしたかったが、それは白馬へ下りてからにしようということで、
それぞれ猿倉荘にて思い思いに時を過ごすこととする。

 猿倉は白馬大雪渓への登山口であるので、いずれここから登る時が来るだろう。
その時に向けての下見や、お土産のバッジを買ったり、また記念写真を撮影したりしてバスを待った。




12:20 猿倉発 

 思ったほど混みあわず、横の座席にザックを置ける状態で白馬に向けて出発。
登山口の猿倉の標高は1,240m+、麓の白馬村は700m前後ということで、バスは延々と下っていく。
猿倉から白馬駅までの所要時間は約30分。








12:50頃 JR白馬駅到着

 ここで13:35発、栂池高原行きバスに乗り換え。
結果的には、白馬八方で下車したほうが、スムーズに栂池行きに乗り換えられることが分かった。
白馬駅に着いた途端に1本前のバスが発車してしまったのだった。
でも、そのおかげでalfonsさんは駅前にある足湯を堪能され、
自分は白馬館の白馬駅前案内所に立ち寄ることができて、待ち時間もお互いに退屈することはなかった。




13:35 JR白馬駅出発。栂池高原行バスに乗る。








14:05 栂池高原到着

 バスはほぼ定刻どおりに、2日ぶりで懐かしい栂池高原に戻ってきた!

 猿倉に下山してからが長かった。時間がかかったが、基本的にバス利用が最も交通費が安上がりである。
実は車の回送サービスがあるのだが、今回の山行において予定通りに猿倉へ下山できるか
確証が持てなかったことから利用は見送った経緯がある。

 バス停そばにあった自販機で買ったコーラを飲みながら、3日間車を置いている第2駐車場まで緩やかな登りを歩いて戻る。
結局、猿倉下山から車に戻るのに3時間以上かかったが、今回は時間的に余裕があったから良しとしよう。

 この後は八方温泉・第一の湯でリフレッシュ。5月の滑り納めの時には第二の湯に入ったので、今回は行き先を変えてみた。
第二の湯には無かったが、第一の湯には露天風呂もあった。
この二つの日帰り温泉は八方第3駐車場を挟んですぐ近くにあり、スキーや山帰りには非常に便利な存在だ。

 八方温泉でリフレッシュしてから、昨日予約しておいた白馬のお宿へ。
alfonsさん共々、初の2泊3日山行の疲れをゆっくり癒すとしよう。








           




 〜 終わりに 〜

 初めての信州での山行は、とりあえず肝心なところでは好天に恵まれて、
しかも下山まで一度も行軍中には雨が降らなかったという、自分でも怖いくらい運も味方に付けた遠征山行となりました。

 今回の山行が成功裏に終わった理由の一つとして、alfonsさんが約3ヶ月前の那岐山に始まる事前トレを頑張っていただいたことも忘れてはなりません。
自分としても、alfonsさんに北アルプスを楽しんでいただくために、六甲で数々のトレーニングの行程を設定したり、
また持ち物表を作成したりして準備してきたことが実を結んでくれたとすごく充足感を味わっています。

 3ヶ月前は「自分は本当に北アルプスを歩けるの?」と言っていたalfonsさんも、
次の遠征のみならず、普段の近郊の山も歩きたいという気持ちになっていただけました。
alfonsさんは今のところザックは遠征用の大きめのものしかないので、普段用のものの購入もこれから検討されるようです。
いっぱしの山屋さんの仲間入りでしょうか!




 栂池で車を回収した後は、白馬で1泊してゆったりと過ごし、翌日は数箇所観光地を巡ってから帰宅しましたが、
その道中では当然のように今回の山行を振り返り、そして次の遠征(来年の夏ですが)に向けての事実上の事前ミーティングも行いました。

 初めて遠征山行を経験したことで、持ち物などについても数々改善していかなければいけないことが分かりましたし、
次に歩いてみたいところなどもいくつか候補として上がってきています。
テント泊についても将来的には実現させてみたいと考えています。

 いずれにしても、北アルプスは普段の山行では得難い経験が出来るすごいところだと思いました。
もう今から次の夏が楽しみという、夏嫌いのはずの自分にはありえなかった思いを抱いています。




 最後になりましたが、2泊3日という長いレポにお付き合いいただきまして、ありがとうございました!
経験済みの方には復習として、また今後に遠征をご検討されている方にはいざないとしてお役に立てれば幸いです。








行程断面図です











          

 山行レポは以上となりますが、信州は観光でも訪れてみたかったところでもあります。
下山後は「いい旅夢○分」のように旅人モードに切り換えて、ゆったりと旅を楽しんでから帰宅しました。
下記に簡潔にまとめていますので、宜しければご覧下さい。








 そして、吸い込まれるようにあのペンションへ・・ ※ ゲーム「かまいたちの夜」の舞台、ペンション・シュプールのロケに使われたペンションです。








ペンション・クヌルプ

 車はスタックせずに無事にペンションへ・・。本当は雪に覆われる冬に来るべきだが。
















「一時はどうなるかと思いましたよ〜」と言いながら美樹本さんが入ってくる玄関。








香山さん夫妻、OL3人組が座ればいっぱいになってしまう談話室兼ロビー。
空いていたのだが、一応は透と同じく階段にも座ってみた。








OL3人組が降りてくるはずだった階段








2階から1階の談話室兼ロビーを見下ろす








数々のシーンの舞台になった階段。ゲームに比べて緩いような気がする。








2階の廊下。お約束のネコのジェニーの目線で。奥の壁は確か物置になっていたはず・・。








食堂。ゲームと同じくお料理は最高に美味しかったです。ミシシッピ・マッドケーキも食べました!
隅のテーブルにコートを着た田中さんは居なかった。「あなたは田中さんですか?」の選択肢が好きだった。








寝室。ゲームでは窓に対して平行にベッドが並んでいたが・・。窓は観音開きではなく、例のトリックは使えない。

 3日間の山歩きのおかげで、ぐっすり熟睡できました。
alfonsさんは早朝にペンション周辺の撮影に出掛けられたようです。








 ゲームと違って、何も起こらずにゆったりと1泊出来ました。
また、機会を見つけて利用したいものです。そして、改めてゲームをやり直してみたくなりました。








白馬ジャンプ台

 前から一度高度感を確認しておきたかったところです。
この日は終始雲が多めで、後に見えているはずの五竜岳も隠れっぱなしでした。








大出の吊橋

 白馬駅からさほど離れていないところにあるつり橋。
背後には八方尾根スキー場が見えていました。








善光寺

 一度は来てみたかったところです。今後の登山の無事を祈っておきました。








 
川中島古戦場

 上信越道長野ICすぐ近くにあります。“三太刀七太刀”であまりに有名なシーンの銅像です。
この両雄が激突を繰り返したことが結果としては信長の台頭に寄与することになるのですが・・。




 軽く史跡巡りまで楽しんだ後で帰途に着きました。
上記の行程か或いは上高地の散策も候補にあったのですが、空模様を見て今回は見送りました。








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