「奥穂高岳・涸沢から奥穂登頂」 2013年 8月 4日(日)


 夜中に風が強く吹いて何度か目が覚めたような気がする。
 更に夕刻になって到着していたグループが近くで宴会をしていたがそういった事態も想定済み。
テント場は山小屋以上に遠くまで音がよく通るので、熟睡するためにも耳栓は必携アイテムだ。
とはいえ、前日までの仕事、長距離運転、そして長距離歩行の疲れのおかげで熟睡出来たと思う。

 2:30に起床。身支度や朝食をとっている間に薄明るくなってくるが、
ふと空を見上げるとどんより重い雲が垂れ込めていて愕然とする。
東側の空は幾分雲が薄いが、なんじゃこの空模様は!?
涸沢ヒュッテに掲示されている天気予報も、一転して下り坂予報となっている…。
つい昨日まで晴れを予想していた天気予報だったが見事に外してくれたのだった。
気象庁はゲタを飛ばして予報を出しているのではないか、と憤ったがまあ仕方がない。
今度からは天気図をもっと読んで自分でも予想してみなければならないと思った。

 ただ大きく天候は崩れないようなので、予定通りに奥穂を目指すことにする。




 5:10 涸沢のテン場出発

 曇天模様でテンションはガタ落ちだが、とりあえず初めての穂高の稜線を目指そう。
まだ多くのテントが幕営中のテン場を後にして、涸沢小屋へ続く石畳を登る。
今日最初の目的地である穂高岳山荘へは、涸沢小屋を通らないルートもあるようだが、
今年は残雪が多いので安全上避けることにした。




 5:21 涸沢小屋到着

 テン場から一登りで涸沢小屋到着。
涸沢を少し高いところから見下ろせるテラスからの光景が素晴らしい。
天気が良ければもっと良い雰囲気だろうけど、とりあえず初めての涸沢小屋からの
涸沢の眺めをしばし楽しむ。








 行程概要 (山中のルートは不正確です)




国土地理院地形図  : 

25000分の1 「穂高岳」


参考書籍 : 

ヤマケイアルペンガイド7  「北アルプス 槍・穂高連峰」
山と高原地図         「槍ヶ岳・穂高岳 上高地 北アルプス」
 5:27 涸沢小屋出発

 テラスを通り抜けたところから穂高岳山荘へ向けての登山道が始まる。
何だか朝日が射してきたようだが、肝心の稜線上は相変わらずうっとうしい雲が張り付いている。
途中からは雲の中に入ることは想像も容易だが、途中までは朝日を背に登ることが出来そうだ。

 涸沢小屋から出発してまもなく下山中の方々と早くもすれ違うようになる。
テン場からもザイテングラートを下るヘッドランプの灯りが見えていたが、すごい早い時刻に出発されているようだ。
自分はまだまだ出発準備に時間が掛かり過ぎていると思う。








 5:38 屏風ノ頭越しのご来光を見る

 涸沢小屋を出発してしばらくは見通しの効かない灌木帯の登りだが、一登りで涸沢を見下ろす展望地に出る。
ご来光というには高く登り過ぎのような気もするが、ちょうど良いタイミングで太陽が山から顔を出してくれた。




 まもなく周囲に木は無くなって広い雪渓に出る。
踏み出しの一歩目が滑りかけたが、あとは順調にザラ雪を踏みしめて登っていく。

 途中でテン場から直登してくるルートと合流するはずと思っていたが、
残雪に隠されているのか気が付かなかった。








やや花の数は少ないながらもお花畑を通過

 一旦雪渓から解放されると、ところどころ黄色の花々が見えるお花畑に励まされて登っていく。
時折日は射すものの基本的には天候は下り坂基調で間違いないようだ。
おそらくこの時が朝日を受けた最後の時だったように思う。




 正面にザイテングラートの尾根が近づいてくると、短いながらも最後の雪渓を通過。
この時も下りの方とお互いに声を掛けあってすれ違っていく。




 6:37 ザイテングラート取付到着

 頭上にそびえるザイテングラートの岩尾根を見上げつつ小休止をとる。
ここまででも何度か休みながら登ってきているが、やはり昨日の疲れがしっかりと残っていた。
体力はある程度は鍛えたつもりではあるが、やはり穂高での疲れ方は近郊の山とは違うように感じる。
またザックの各所のベルトの調整や、まだ装備品の見直しも必要かもしれない。

 今回初めてスポーツようかんなるものを行動食に取り入れてみた。
味は普通のようかんと殆ど同じだったが、疲れた体にはやはりとても美味しかった。
出発時は合計3個入れていたがこれが意外に重く感じた。








 6:49 ザイテングラート取付出発

 呼吸を整えてから登山再開。
ザイテングラートに向かって左側が小豆沢で、まずはこちらへ登ってから取付く。
既に上方では険しく見えるルート上に登山者が見える。
これまでと違って高度感抜群の区間に入るようだが、どこまで視界が保たれるやら。








お花畑越しに涸沢を見下ろす

 ザイテングラートへ登り始めてまもなく、曇天だった涸沢に神々しい後光が射した。
昨日から滞在していた涸沢のテン場がだいぶ下方に見えるようになって、稼いだ標高差を実感出来る。

 登っていてトレッキングポールが邪魔になってきたので、一旦ザックを下して収納する。








ザイテングラート

 特に目立って危険だと感じた場所は無かったものの、疲れた体にはなかなかの急登の岩尾根だった。
所要時間の割には自分撮りは少なめとなってしまったが、やはり登り下りとも多くの方々が通過されるので配慮が必要だった。
それでも普段ならばタイミングを計るなど、何とか工夫してでも撮影する場面だろうと思うけど、
やはりこの時は本当にテンションが下がっていたのだった。

 途中からは雲の中に突入したために周囲の景観も見えなくなる。
高度感も何もないので、とにかく早く穂高岳山荘に到着したいという気持ち。
薄手のジャケットを羽織るほど涼しかったのが唯一の救いだろうか。








 7:54 ホタカ小ヤ20分

 自分の体で隠してしまっているところに「ホタカ小ヤ20分」の表示があった。
撮影前の計算では表示より上に到達出来るところだったが、やはりめちゃくちゃ疲れていたのだろうと思う。
この時は小休止も兼ねてタイミングを見計らって撮影しているが、常に上下双方からの登山者通過が絶えない状態だった。








今年大当たりというコバイケイソウ

 ザイテングラートでもよく見かけた。




 ザイテングラートは鎖場や短い梯子まである急登だったが、難しく感じるところはなかった。
但し過去には事故も発生しているようだし、人為的な落石の可能性は無いとは言い切れないだろう。
今後は登る山によっては自分もヘルメットを装備することになるかもしれないと感じる。

 ペンキ表示から一頑張りで段々と傾斜が緩んできて、残雪の上を歩くようになる。
すると右手にはテン場の石垣が現れる。
ガスっているため直前まで分からなかったが、どうやら穂高岳山荘に到着したようだ。








 8:26 穂高岳山荘 (2,983m) 到着

 白出のコルに立つ穂高岳山荘にようやく到着した!!
初めて穂高の主稜線に到達したのだが、周囲は濃いガスで小屋自体もぼんやりとしか見えない。

 まあこの天候で慌てて奥穂山頂を目指すこともないだろうし、まずはテントを設営したいということで山荘へ入る。








穂高岳山荘

 テント設営を含む山小屋の宿泊受付は10時からだった。
まだ1時間30分ほどあるので、とりあえず中で待たせてもらうことにした。
この頃よりポツポツと雨が降り始めてきたので、入口近くでデポするザックにはザックカバーを掛けておく。

 受付前の休憩スペースに腰掛けてのんびりしていたが、外からは土砂降りの雨の音が聞こえてくる。
自分は涸沢からここまで登っている時には全く雨に当たらなかったので運が良かった。やはり早立ちが大事だと改めて感じた。

 のんびりしている間に眠たくなってきて、いつの間にか机にうつ伏せの状態で熟睡していた。
9:30過ぎまで1時間近く寝ていたが、起きてみると休憩スペースは満員状態。
こんな騒々しいところでも寝れるのだから、よほど疲れていたのだろう。

 山小屋の方が混雑状況を考慮していただいたのか、少し早めに宿泊受付を始めて下さった。
昨日同様700円を支払って受付を済ませてから、さっそくテント設営だ。
 まだ誰もテントを張っていなかったので、好きなところを選ぶことが出来た。
段々畑状の最下段の一番奥を選んで設営に取り掛かる。
幸運だったのはこの時は雨は止んでいたこと。この日は雨は降っても、行動中には止んでいるというパターンで不幸中の幸いだった。

 それでもいつ降り出すか分からない天候なので、出来るだけ手際良く作業を進める








設営完了したマイテント(奥の右側)

 自分が設営後まもなく、お隣さんとなる方が到着されて設営開始。
ご挨拶してお話してみると、北穂から縦走されてこられたそう。
北穂からといえばなかなかの難路ということだが、その通過中に雨にうたれたそうで本当に大変だったとのこと。
事前の天気予報を参考にしつつ計画を組むので、今回の予報は登山者にとって本当にひどい外しっぷりだったと改めて思う。

 しばらくお話ししてから、テントの室内の整理に取り掛かる。
本来であれば設営だけ済ませてすぐ奥穂へと向かうところだろうけど、いつ雨が降るか分からない状態で展望無しの山頂に向かう気はしない。

 一しきり荷物の交通整理を終えた頃、何だかテントの外が明るくなってきたことに気付く。
稜線上は相変わらず雲が多いが、初めて奥穂側の岩壁がクリアに見える。すごい傾斜だなと驚いた。
 たまに日差しまで出てきたので、しばらくは天候も大丈夫そうだと判断して奥穂へ向かうことにした。

 いつでも奥穂へ向かえるようにとテント内で予め身支度を整えていた、ピークアタック用の20Lザックを背負って出発する。




11:42 穂高岳山荘出発








穂高岳山荘からの激登り

 ガイドブック通りに今回の行程で最大の難所だったと表現するのは間違いない。
でも足場はしっかりとしているし、三点支持さえ身に付いていればむしろ楽しいところだと思う。
雪彦山を楽しく登り降り出来れば、ここも不安なく通過出来るというのが自分の感触だった。

 鎖場、梯子が連続するので、手に合った手袋があると快適だ。
また出来るだけ安定したところですれ違えるようにする。

 過去にはここでも事故が発生しているようなので、とにかく丁寧な足運びで通過した。








奥穂までの稜線歩き

 最初の激登りが終わると、落ち着いた稜線歩きとなる。
一見どこでも歩けそうだが、ペンキ印の付いた浮石の少ないはっきりしたルートがある。

 穂高岳山荘付近はクリアな視界になったが、やはり奥穂までの間に再び雲の中に入ることになってしまった。

 途中で間違い尾根が右手に見えてくるが、間違って立ち入らないように表示があるので
無雪期には問題ないように感じる。








12:25 奥穂高岳山頂 (3,190m) 到着

 2、3もの偽ピークを経て、ようやく奥穂高岳山頂に到着!!
時折通過待ちがあったものの、ほぼ山と高原地図通りの所要時間だった。
でも意外にも穂高岳山荘から長く感じた登りだった。テンションが低いからかもしれない。

 ともあれ自分にとって初めての奥穂到達だ。
全く展望が無いものの、上高地からの2日がかりの長い行程を経て辿り着いたのだから達成感はひとしおだった。
時折薄日も射していたので天気も大丈夫そう。じっくりと山頂滞在を楽しんでいきたい。








奥穂高岳山頂 (3,190m)

 展望はかなり控えめながらも、普段にないほどの高いところに居ることは伝わってくる。
自分が山頂滞在中にも、前穂や西穂、そして穂高岳山荘から数人の登山者が到達。
皆それぞれ譲り合って記念写真を撮りあったり、雑談を交わしたりして過ごした。
やはりこの天候なので、夏山シーズンの割には人出は少ないようだ。
今度は混んでてもいいから、晴天の大展望の状態でここへ到達したいものだ。

 晴天ならば暑かっただろうけど、この日は寒いほどの風が吹き付けていた。
レインウェアを着込んでちょうど良かった気温だった。








ちらりと見えるジャンダルム

 自分が初めてジャンダルムを目の当たりにした時の光景だった。
奥穂からの距離はほど近いように見える。いつの日か西穂まで縦走してみたいものだ。




13:45 奥穂高岳山頂出発

 気付けば1時間以上、奥穂山頂に立っていたことになる。
穂高岳山荘やテン場でもゆったりとしたいし、そろそろ重い腰を上げて引き返すことにしよう。

 自分が引き返す間にも登り中の方々と多くすれ違うが、やはり下りは早い。








穂高岳山荘への激下り

 この高度感は高いところが好きな自分にはたまらないものだった。
ともあれ早く下って、自分もあのテラスでのんびりとすることにしよう。








14:23 穂高岳山荘到着

 登り降りしてきた岩壁を振り返る。




 この後テラス席でのんびりしたり、穂高岳山荘で奥穂のバッジや手ぬぐいなどを購入したりしてまったりと過ごす。
まだ天候は大丈夫そうだったが、近くの涸沢岳はまたの機会に置いておくことにした。

 テン場を見るといつの間にか全ての場所が埋まっているようだった。
混雑時には石畳のテラスやヘリポートでもテントを張ることがあるよう。
穂高岳山荘はテン泊愛好者にとっても心強い存在と思う。








穂高岳山荘のテン場にて

 午前中には全く見えなかった展望が広がっていた。
奥穂には相変わらず雲が掛かっているようだったが、前穂山頂に立っていたら展望を楽しめたかもしれない。
また、常念岳や蝶ヶ岳方面は終始日が射していて、あちらであれば晴天の稜線歩きとなったのだろう。

 行動食にとっておいた柿の種を食べながら、折り畳み椅子に座ってこの光景を楽しんだ。
背もたれのある椅子(クレイジークリーク)はテン泊練習を通して、重量は我慢してでもザックに入れる必携アイテムとなっている。








テン場から長時間、眺めを楽しんだ前穂、そして遥か眼下の涸沢の大展望




 午前の一時期以外は殆ど曇り時々晴れといった感じだったが、
17時頃の夕食時からは再び雨が降り始める。
賑やかだった穂高岳山荘のテラスも急に静かになった。

 テントの前室で夕食の支度を始めるが、湿気と低温の影響かガスが点火しなかった。
初めての事態ではあったが、ライターを持ってきていたので事なきを得た。
タバコ嫌いの自分でもアルプスにはライターは必携アイテムだと納得した。

 夕刻からは雨が降ったりやんだりとなった。
穂高岳山荘に掲示されている天気予報によると、明日のほうが今日より悪そう。
こういう予報に限って当たるのが腹立たしいところだが、明日は涸沢経由で引き返す可能性が高いことを悟った。
天候の当たりはずれはともかく早く行動を開始することは変わらない。
起床時間は今日同様に2:30として19時過ぎには就寝する。
昨日と同じく完全に熟睡出来た。























 8月5日(月) 3日目 「上高地へピストン下山」

 2:30 起床

 起きてからテント内で朝食をとっている頃にはけっこうな降り方だった。
最も嫌な雨中でのテント撤収作業も覚悟したが、また運良く撤収時には止んでくれた。

 自分がテントから出た時には、お隣さんは既に出発されていた。
天候はというと雨は止んでいたものの、周囲はガスに覆われて全く展望無し。
この瞬間、今回は前穂、重太郎新道、岳沢経由で下る行程は断念し、涸沢経由で上高地へとピストン下山することに決定。
またいつ雨が降り始めるか分からないし、何も展望皆無の状態で無理をすることはない。
前穂はまたの機会の好天の日に歩くのを楽しみにとっておきたい。




 5:11 穂高岳山荘出発

 全ての身支度を終えて出発。ひんやりした空気は今が夏ということを忘れそう。
ザイテングラートを下りきるまではトレッキングポールはザックに収納しておく。








       3日目は天候や安全への配慮から撮影枚数は激減しています。
      まあ往路と同じルートだからということも大きいですが・・。








 7:20 涸沢小屋到着

 約2時間弱で最も大きな下りを終える。
これから穂高岳山荘へ向かわれる方々からルート状況を尋ねられたり、
また数人の方々と雑談を交わしたりしてテラス席で小休止をとった。

 話題はといえばやはりアテにならない天気予報のことになってしまう。
結局、梅雨明けが先に延びたということなのだろう。
気象庁が言っている、既に梅雨明けしたという「関東甲信地方」には北アは含まれていないという認識は正しいと思う。

 テラス席に居る間に久しぶりに雨が降り始めた。
この雨は結局、横尾を過ぎる辺りまで降り続くこととなる。




 7:35 涸沢小屋出発




 涸沢のテン場にある登山相談所に立っておられた方に「お気を付けて」とお声掛けいただきました。
常に登山者の安全を見守っておられて、感謝の思いでいっぱいです。




 7:45 涸沢ヒュッテ




 雪渓を下るスピードは個人差が大きいことに気付く。
歩けそうなところは自分が横に出て先を急ぐ。雨に打たれて朝から雪質は柔らかいザラ雪だった。




 本谷橋周辺が最もよく降っていた気がする。

 余談だが、陽光降り注ぐ地中海沿岸生まれの古代ローマの兵士が
派遣先のブリタニア(現イギリス)で漏らしたという言葉が自然に思い浮かぶ。

 「天にも地にも水気が多い」




 9:00 本谷橋




 本谷橋からは傾斜が緩むが、登山道は各所で大きな水溜りが発生。
レインウェアの下に装着しているスパッツが心強かった。本来はあまり活躍させたくなかった装備品だが。




10:00 横尾

 濁流と化した梓川を渡って、ようやく横尾に到着。
でもここで気を抜くわけにはいかない。上高地まで川下りの船でもあればなあと考えたりする。




11:20 徳沢

 時折日も射してくるが、雨も降ってきたりする忙しい天候。
場合によってはここでテントを張ってもいいのだが、明日の天気も悪そうなのでもう気持ちは萎えている。




 明神手前の地味なアップダウンがしんどく感じてくる。
平坦な長距離歩きが意外にもかなりハードに思う。
行程を変更せざるを得なかったという心理的な影響も大きいかもしれない。




12:15 明神

 一昨日とは違って明神岳は厚い雲に覆われている。
ここまで来ると登山者以外に観光客も多い。軽装の方々を見てうらやましく思ってしまう。

 小梨平まであと少しのところ辺りで散策中と思しき高齢のご夫婦の方に
「お疲れさまでした」と何気にお声掛けいただきとてもうれしかった。
観光の方々にとっても今日の天気は残念だったでしょう。








13:10 河童橋

 ようやく辿り着いた河童橋…。観光客で大賑わいだった。
穂高岳山荘から約8時間。距離は18km余。下りとはいえ、色んな意味で本当に長いハードな道のりだった。
結露したり水滴が付いているレンズが水気の多い行程を物語ってくれているようだ。

 変更前の本来の行程では、今日は前穂から下って岳沢小屋でテン泊予定だった。
河童橋に降りてくるのは明日のはずだったので、今日は予定外に長い道のりになってしまったのだった。
明日の天候が回復傾向であれば涸沢にもう1泊してゆったりと降りてくることもあり得たのだが・・。

 河童橋ではとりあえず雨は上がっていたので、ここで雨装備を解いてとりあえずバスに乗れる状態にする。
河童橋から前穂、奥穂方面を見上げると、稜線上は重い雲が掛かっている。
近い将来に再び穂高の稜線を歩くことを楽しみにして、上高地バスターミナルへ向かう。




 平湯温泉・あかんだな駐車場行バスは30分間隔で運行されていて、
乗客が乗り切れない場合は臨時便が出ているようだ。
帰りはトランクにザックを預けることが出来て、快適な乗車時間となった。




 約30分であかんだな駐車場に到着。
車に戻ってまもなくして土砂降りの雨となった。
帰路の岐阜県内各所で大雨となっていて、やや緊張した帰路の運転となる。




 帰る前に平湯バスターミナル隣にある平湯の森で3日間の汗を流してから帰宅。
来る時には真っ暗で分からなかったけど、平湯温泉は山間の地にある静かで良い温泉街だった。
今後、山行拠点として足繁く訪れることになるだろう。




 〜 終わりに 〜

 涸沢・奥穂・前穂の周回ルートを組んだはずが、天気予報が外れたせいで奥穂ピストンになってしまったという初めての穂高遠征でした。
自然が相手のスポーツだからこういうことがあるのは仕方がないです。無理して事故を起こしては本末転倒だし、次の機会に楽しみをとっておいたと考えるようにします。

 それはともかく、初めての穂高連峰へテント泊装備でも登れたことは、自分にとって大切な成果と経験になったと感じます。
自分はまだ穂高の魅力のごく一部に触れたに過ぎないと感じてますので、今後とも今回に懲りずに山行を重ねていきたいです。
総合的には天気はイマイチだったものの、高山病にもかからず無事故で奥穂ピストンが出来たことに対して穂高の山と出会った方々にただただ感謝です。









 最後に今回の山行の装備品を初めての試みで記録しておきました。
総重量は23、24kgくらいになったと思われます。
削ろうと思えば削減可能なものもちらほらと見受けられますが・・。
テント滞在中も快適で楽しい時間にしたいというこだわりがあるので仕訳作業は悩みどころです。


 ハイドレーションパック(ソース:2L)は万一の水漏れを想定して大きめのビニールに入れた後、スタッフバッグ代わりにもしているアタックザックに収納する。
幕営中に使用するプラティパスのビニールパック(2L)も一緒に入れる。

 ナルゲンボトルにはポカリスエットを入れる。2日目以降はパウダーで作成する。

 ファーストエイドキットは使用頻度で2つに分けている。虫除けや日焼け止め等頻繁に使うもの。そして消毒ガーゼなどケガの治療に使うものに分けて収納。

 ヘッドライトは行動中にも使いうるので、ランタンとは別にして取り出しやすいところに収納する。

 地図は地形図と山と高原地図を併用する。コンパスは落としたことがあるので、カメラポーチに紐を結んで付けている。

 電池は予備も持っていったが、満タンにしておけば山行中に切れることはまずない。でも万一のことを考えると・・、という気持ちの問題。
フォトストレージも同様に画像データのバックアップのために用意。CFカードの予備もカメラポーチに入れている。
ヘッドライト、ランタンの電池はエネループで繰り返し使用している。

通常は24-105 F4のズームレンズを常用しているが、55-200 F4.5-F5.6望遠ズームも用意。310gと望遠の割には軽量なので山行向き。
山野草には特別に関心を持たない自分にはマクロは不要で、この2本のレンズで山行中は事足りる。

 着替えは体が濡れた時のことを考えて、ザックの上のほうに急いで着替えたいものだけを分けて収納。
行動中に着るもの、テント滞在中に着るものとに大別する。毎日取り替える衣類は靴下くらい。
防寒着はフリースを使用しているが、より軽いダウンジャケットが欲しいなと思っている。でもお店で見てみるとこれがけっこう高い。

 ハブラシ、歯間ブラシやタオルなどで、パッキングの際に出来る隙間を埋める。

 テント一式(タニ 2P)は2気室の下側に収納。雨天時の素早い設営・撤収を考えて素早く取り出せるようにしている。サンダルはその隙間に。

 シュラフはドイター/アストロ2、マットはニーモ/ゾア、枕はニーモ/フィッロ。枕は着替えを詰めたスタッフバッグ等で代用出来るが、眠りの質にもこだわりたい。
2012年に放映されていた「山のぼり大好き」を参考にして、テント泊装備を揃えている。

 三脚は使用しない時には脇に差せるように、ザックに一本ベルトを後付けしている。

 携帯電話や財布、車のカギなどの貴重品は一まとめにして、小さめのジッパー袋に入れる。




 これらとは別に着替えやバスタオルなどをまとめた温泉セットを車に用意しておく。




 軽量化においてはまだまだ改善の余地がありますが、テン泊を重ねてきたことで、自分なりに装備品とパッキングのパターンが定まってきた気がします。








行程断面図です







 
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