「笠ヶ岳周回2日目・双六小屋から笠ヶ岳へ縦走」 2013年10月13日(日)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「笠ヶ岳」、「三俣蓮華岳」

山と高原地図
 : 「槍ヶ岳・穂高岳・上高地 北アルプス」




 2:30頃 起床

 起きてみると昨日と違って完全に無風で静か。テントから顔を出してみるときれいな星空だ!
予報通り移動性高気圧が張り出してきて、急速に天候が回復したようだ。今回は予報が当たって良かった♪


 笠ヶ岳への縦走前に落ち着かない心境で身支度、朝食を済ませる。
そしてまだ真っ暗なうちにテントを滞りなく撤収。昨日、苦労して設営したのがウソのよう。
周囲は一応は雪景色だけど積雪は数センチくらいだ。これではまだスキーは出来ない。(笑)
でも10月から新雪を踏むことになるなんて、やはりすごいところに来たなぁと実感した。




 5:30頃 双六小屋へ立ち寄る

 このまま笠ヶ岳へ向けて縦走開始したいが、その前にトイレを済ませるため一旦双六小屋へ向かう。








 行程概要 (山中のルートは不正確です)



 双六小屋〜笠ヶ岳間の稜線の縦走路は特に目立つ危険個所は無いが、やはり天候の変化には要注意。
稜線の途中には山小屋は無く、エスケープルートは小池新道(鏡平山荘が近い)か笠新道利用となる。


うっすらと雪化粧した双六小屋

 夜明け前だけど山小屋は既に起床モードの時間。
うっすらと積もった雪は乾いた雪質で気温は相当低いと思う。でも風がない分、昨日よりはかなり寒さはマシに感じる。

 山小屋の背後には、双六岳へ続く斜面が見える。またいつの日にか改めて北アの奥地を目指したいものだ。
そして小屋前のテラスの北面には、昨日は全く見えなかった光景が広がっていた!








鷲羽岳をはじめ、裏銀座の山々を眺める 鷲羽岳(2,924m)、右奥は真砂岳、野口五郎岳辺りか

 初めて見る白く冠雪したかっこいい山に思わず見とれてしまう!
眺める山々はどんどん行きたくなって、どこから手を付けようかと迷ってしまう。

 鷲羽岳はそれほど遠いようには見えないが、ここからだと三俣蓮華岳を回り込んで所要4時間近く掛かる。
憧れの裏銀座縦走に思いを馳せながらも、今回は逆に南下して笠を目指すことにしよう。








 5:43 双六小屋出発!

 荒天だった昨日から心の拠り所となった双六小屋。またいつか来る日までごきげんよう!

 最後に小屋前で記念写真を撮ってから、いよいよ笠への縦走を開始する。








キャンプ指定地横を通過して笠へ

 まだまだ多くのテントが幕営中のテン場を横目に、昨日北上してきたトラックを引き返していく。
標準所要1時間10分先にある弓折乗越まではピストンになるが、昨日は視界が殆ど得られなかったので歩いていて新鮮そのものだ。
現地での撮影時には気付かなかったが、出発地である双六のコルから今日の最終目的地である笠ヶ岳がもう既に見えている。
笠ヶ岳までの縦走路では昨日の小池新道のような大きな登りはもちろん無いが、決して楽な道のりではないことをこの後体感することになる。








樅沢岳西山腹を緩やかに登り返していく 強風は止んで静かな朝だった双六のコル 

 南へ向けて歩いていくと、見る間に遠ざかる双六のコル。
荒天で大変なテン泊だったが非常に良い経験になった。でも今度は双六池をのんびりと眺められる天候で幕営出来ればいいなと思う。

 トラック上には新雪が薄く乗っていて、比較的滑りにくい状態ではあるが、所々では凍結している箇所も見受けられる。
いつもよりはゆっくりと足運びして慎重に歩いた。スキーを通じて雪の上を歩くのには慣れているのも役立ったと感じる。








 6:13 槍がいきなり姿を現す

 樅沢岳西山腹から稜線上に乗り上げると、いきなり東側の視界が開けて西鎌と槍の大展望が広がる。
槍も白く雪化粧して本当に神々しい姿だった!冬はスキーヤーになるので雪山には登れない自分にはたいへん貴重な光景となった。

 北鎌の向こうから日が昇ってきそうだが、まだ日が出るまでには少し時間がありそうだ。








ますます遠ざかる双六のコル

 昨日、初めて双六のコルがちらっとガスの切れ間から見えたのがここだった。
まだ色とりどりの多くのテントがよく見えている。背後には朝日を浴びている鷲羽岳が美しい。
鷲羽岳の左横、少し奥に重なっているのはワリモ岳だろうか。

 笠へと続く縦走路は稜線上を着かず離れず、小刻みにアップダウンする。
この後一登りで稜線上に回帰し、再び東側の展望も開けてくる。








 6:26 北鎌越しに昇ってくるご来光を眺める シルエットの槍も見事だが、北鎌のギザギザぶりが険しさを強調するようで印象的! 

 しばらく立ち止まって北鎌越しのご来光を眺めていた。まさに絶景だった・・。
それとともに日を浴びると一気に暖かくなってくる。やはり日差しがあるというのはそれだけで有難いものだ。








標高差の少ない快適な稜線漫歩が続く

 やはり天候というのは山行に大いに影響する要素だということを、同じ稜線を昨日とは逆向きに歩いて大いに実感する。
この日は一転してガスも無くたいへん澄んだ空気で、右奥には目指す笠ヶ岳が彼方にではあるがくっきりと見えている。








高度感ある痩せ尾根も通過する

 大部分はゆったりした稜線が続くが、部分的にはこのような狭いところもある。
背後には昨日悪天のために登頂を断念した双六岳が見える。








 6:50 2,622mピーク付近

 弓折乗越までの稜線の中では比較的はっきりしたアップダウンを伴うミニピークを通過。
昨日は全く見えなかった大展望にすっかり気を取られて読図が疎かになってしまったが、
おそらく弓折乗越まで半分以上は進んだところではないだろうか。
 行く手はこれまでよりも更にゆったりとした稜線が見えてきている。








槍穂の展望を楽しみつつひたすら南下

 この辺りで新穂高を夜中に出発された方とすれ違う。この後は三俣蓮華岳を目指されるそう。
小池新道を一度体験した今となっては、自分もナイトハイクしても問題ないと思う。








弓折乗越が近づいてくる  雲海に浮かぶ鏡平と穂高の稜線 

 左下には鏡平、そして小池新道が稜線に向かって上がってくるのが見えてくる。
昨日展望が無かったことで新鮮だったピストン区間がまもなく終わりそうだ。

 鏡平の向こうには昨日は見えなかった穂高連峰が迫力ある展望を魅せてくれる。
朝イチは裏銀座の光景に惹かれたが、やはり来夏は穂高の稜線を歩きたい気になってくる。
でも今夏も奥穂辺りのごく一部は既に歩いているのだが・・。




 最後のミニピークを乗り越えて、急坂を下っていくとようやく弓折乗越まで戻ってくる。








 7:17 弓折乗越(2,550m+)到着

 雪化粧して昨日とは全く雰囲気が異なっている弓折乗越に到着。
どうでもいいことだけど、クラスト状に積もった雪を踏む感触は、プチプチを潰すのに似てたまらなく良かった♪

 弓折乗越に到着した頃には日が高くなってだいぶ暖かくなってきた。
ここで服の枚数を減らしたり、行動食をとったり、そして眼前の槍を眺めながら小休止をとった。

 小池新道からは続々と登山者が登ってこられ、大半は双六方面へ向かっていかれるよう。
西鎌経由で槍を目指すという方から双六小屋辺りまでの状況を尋ねられたり等、
情報交換や雑談などをして過ごした。この積雪量であれば日が当たればすぐに融けるだろうけど、
日陰は凍結してしばらく残るかもしれない。滑落しないように油断は大敵だ。








指導標が賑やかな弓折乗越

 ピストン区間は弓折乗越で終わり、ここからはいよいよ本格的に笠へ向けての縦走が始まる。
出発前に読図をして今後の展開を予習しておく。ここより以南はこれまでと違って、ちょっと大きなアップダウンが控えている区間に入る。








 7:37 弓折乗越出発

 鏡平へ下っていく小池新道を見送って、いよいよ笠へ向けて稜線上を南下開始。
弓折乗越からは標高差20m程度の緩い登りで始まる。








2,592m標高点ピーク付近を通過

 弓折乗越からすぐに広い平坦地に乗り上げる。
ここは地形図で弓折岳と表記されている広いピークの東端にあたる。
ここが最も標高が高いので既に弓折岳に到達したともいえそうだが、
ピーク西端に三角点が設置されているのでそちらを踏むことで一応区切りを付けられそうだ。

 この写真を撮る直前に3人パーティーの方々が南へ向けて歩かれていった。
今日の好天の下で笠〜双六間を縦走される方はけっこう多く、賑やかな稜線歩きとなりそうだ。








 7:49 弓折岳山頂(2,588.4m)

 前述の標高点ピークからも見えていたが、三角点のある小広いピークに到着。
縦走路からは少しだけ外れるので、ピストンで寄り道する。

 山頂からはこれから登り返すことになる大ノマ岳を筆頭に、左奥には笠の山頂付近まで見えている。








クレーターのように中央部が低くなっている弓折岳山頂

 三角点ピークは周囲よりも一段高くなっている。眼前の盛り上りは前述の標高点ピーク。
背後には槍が快晴の空の下ですごく映えて見える。

 まだまだ先は長いので、足早に弓折岳山頂を出発する。
分岐点まで引きかえして縦走再開だ。








大ノマ乗越を挟むアップダウンへ 下部は紅葉真っ盛りの秩父沢 

 弓折岳山頂から少し進むと、大きなアップダウンが見えてくる。
弓折岳の標高は2,588m。大ノマ乗越までは約140mの下りとなる。
その後の登り返しも考えると、ここは間違いなく今日最初の難関となるだろう。

 それでも下り始めは日当たりが良く足場の良い状態が続く。眼下には昨日天候を心配しながら登った秩父沢辺りの景観が素晴らしい。




 下っている途中からは、日の当たらない北西側斜面に回っていく。
こちらはけっこう激下りのうえ、雪や凍結箇所が多くて要注意の区間だった。
最大限に注意して足場を選んで降りていった。
 でも幸いにも日の当たらない区間は短くてすぐに終わった。








 8:16 大ノマ乗越(2,450m+)到着  

 雪道、凍結注意の区間を経て、ようやく大ノマ乗越に到着。
地形図上でも実際の光景でも分かりやすい典型的なコルだった。
乗越では先ほど弓折岳で先行されていた単独の男性が小休止中。

 弓折乗越を出発してからまだ殆ど疲れていないので、
立ち止まることなく引き続いて大ノマ岳への登り返しを始めることにする。








大ノマ岳に向けて

 今日最初となるまとまった登りとなるが、大ノマ岳への登り返しは比較的緩やかだった。
但しけっこう距離があるので決して楽とはいえない。
それでも振り返ると大ノマ乗越や弓折岳を眺めて、登り返しの進み具合を励みにしてじっくりと登っていった。








行く手に大ノマ岳山頂が見えてくる

 途中で2箇所ほど傾斜が緩むところがあって、小休止ポイントにちょうど良かった。
でもしっかりと読図しておかないと、登りの中休みのところがピークに見えてしまうので要注意。
自分も見誤ってしまったことで、登りが余計に長く感じてしまった。
北アを歩いていて何度か感じたことなのだけど、いつもの距離感が通用しないことがある。
やはりそれだけ山のスケールが違うということなのだろうか。
読図をしていると標高差よりも距離感を掴むことのほうが難しいと感じることが多い。








大ノマ岳山頂付近から縦走路を振り返る

 意外に長く感じた大ノマ乗越からの登りもようやく終わり、大ノマ岳山頂も目の前というところまでやってきた。
弓折岳からのアップダウンをはじめ、かなり遠くなってきた双六のコルを見てかなりの達成感を得られた。
でも山と高原地図を見ると、笠ヶ岳までの距離のまだ半分も来ていない。

 それはひとまず置いといて、とりあえず大ノマ岳山頂を踏んでおこう。
縦走路は山頂のすぐ下を通過してしまうが、山頂を目指せそうな踏跡がハイマツの中に続いている。








 9:01 大ノマ岳山頂(2,662m+)到着

 踏み跡はすぐに行止まりになるというか、ハイマツに行く手を遮られる。山名標などは一切無かった。
それでも周囲の地形から判断して、ここが2,662m標高点が描かれている大ノマ岳山頂とみてまず間違いないだろうと思われる。
山頂はハイマツが濃い密度で茂っていて、自由に動くこともままならない。躓かないように気を付けながらすぐに脱出した。

 大ノマ岳山頂を一応確認した後、弓折乗越から休んでいなかったので山頂のすぐ傍で小休止をとった。
日当たりの良いところではかなり暑く感じてきたので、ここでも衣類の枚数を調節しておく。




 9:22 大ノマ岳山頂出発

 大ノマ岳山頂から秩父平までは概ね下りで終始するようだ。








縦走路は2,640m+ピークをかすめて秩父平へ

 しばらく登りはないと思っていたら、目の前にもう一つミニピークがある。見ればちょうど先行の登山者が立っている。
改めて地形図をよく見たら大ノマ岳のすぐ南に細長く閉じた等高線がある。周囲の展望に気を取られて観察力が鈍っていたかもしれない。

 縦走路は2,640m+ピークをかすめるように秩父平へと向かうが、ピークに立ち寄る踏み跡が分岐している。
せっかくなので立ち寄っていこう。








 9:32 2,640m+ピーク

 ミニピークといえども、何となく高いところには立ちたくなってしまう。
山頂からの展望は抜群だが、ピークでなくてもどこからも展望を楽しめるので、
普段ではありえないがどうも好展望のピークの有難味が薄れてしまう気がする。








眼前に秩父平と秩父岩が立ちはだかってくる

 2,640m+ピークを踏んでから、改めて秩父平へ向けて縦走を再開。
秩父平からの比較的大きな登りの詳細を視覚的にも把握できるようになってくる。
あれを登るのは一仕事だ。今日最大の登りと思う。

 その前に、縦走路は崩壊した斜面の上辺を通るので、ここの通過には気を付けたい。

 崩壊地を通過すると、今度こそはハイマツ帯の中の緩やかな下りとなる。
途中には小休止に適した岩場もあるが、少し前の大ノマ岳で休息したのでここは先へと進む。








10:04 秩父平(2,520m+)

 下り付いた先は広いコルになっている。カール地形になっている秩父平の最下部に辿り着いたようだ。
見た目にも気持ちの良い草原が広がっているが、夏はここもお花畑になっていそうな気がする。
 なおここからも出発地である双六のコルが小さく見えている。








秩父平を登る

 2,520m+からは標高差約300mの長い登りが始まる。
それでも周囲は秩父平の大斜面、そして高くそびえる秩父岩の雄大な景観が広がってくる。
本当に日本離れした雰囲気の別天地で、ここでもまた感動してしまった。








10:25 秩父平(2,580m+)

 2,520m+辺りから一登りで傾斜が一旦緩み、顕著なカール地形の中に出てくる。
最下部よりも更に雄大な景観が広がってきて、ただただ見とれてしまう。
この背の低い草原が広がる光景は、何となくニュージーランドの山に雰囲気が似ている気がする。
かの地で初めて山歩きにハマった自分には何だか懐かしい感覚だった。

 周囲は小休止に最適な岩場が点在し、ここで5分程度一息入れていくことにする。
またこの地形のためだろうけど、稜線上では時折吹いていた冷たい風も全く当たらずとても暖かい。

 涸沢よりは規模が小さいけど、この秩父平もまた山上の別天地と呼ぶに相応しい景観だと思う。




 この先、秩父平の最上部へ向けて、斜面の傾斜は増していく。
居心地の良いところだけど、程々で休憩を切り上げて出発しよう。








秩父平最上部

 カール地形上部の急斜面はジグザグも交えた急登が続く。
ここの登りは今日の行程において最も我慢のしどころといえるところだった。
それでも高度を上げてくると、また大きく広がってくる絶景に大いに励まされる。








10:45 2,650m+付近(2,667mピークの南肩)到着

 秩父平の急登をようやく登り終えると、平らでそこそこ広いコルに乗り上げる。
まだ急登はしばらく続くが、ここは一息入れるにはちょうど良いところだ。

 振り返れば登ってきた秩父平を眼下に望め、反対側には秩父平の大斜面で隠れていた稜線西側の大展望が広がっている。








10:50 2,650m+付近(2,667mピークの南肩)出発

 秩父平の斜面は登り終えたが、まだ急登は終わっていない。
抜戸岳から続く稜線の北の肩に乗り上げるまでは、更に標高差約100mを残している。
北斜面のハイマツ帯の中の急登は雪が多く残っていて、登りとはいえ慎重に足を運んでいった。




 下から見れば長そうな急登に見えるが、それでも標高差は100mほど。
小休止を挟まずに一気に急登を登りきることが出来た。

 秩父平からの登りに1時間近く掛かったので、そろそろ小休止を入れようと落ち着けそうなところを見定めながら歩く。
でも皆考えることは同じようで、あちこちで複数の登山者が休憩中。
緩くなった尾根をもう少し先まで進んでいくと、今までよりもずっと大きく笠ヶ岳が見える好展望スポットに辿り着いた!








11:07 2,750m+付近の平坦地到着。笠ヶ岳の美しい姿に見とれてしまう!

 秩父平側から逆側に巻いた瞬間、いきなり笠ヶ岳がその姿を大きく現した!
これまでずっと手前の稜線に隠れて遠慮気味に見えていた笠ヶ岳だったが、
不意に風格ある山容を惜しげなく見せてくれて思わず感動してしまった。
 そして東側から回り込んで笠へと続く雄大な稜線。いよいよ縦走のハイライトが近づいてきたことが分かる。

 その前に急登の秩父平を登ってきたので、ここで小休止を入れておく。
笠を眺めながらの休憩は最高の時間だった。

 ここから西側には比較的明瞭な踏み分け道が降りていっている。
地形図を目で追うと、打込谷から続いていると思われる。笠のバリルートだろうか。




11:23 2,750m+付近の平坦地出発








抜戸岳へ続く稜線へ向けて

 今日の縦走で最大の難所と思われた秩父平を過ぎ、残る行程ではもうそれほど大きなアップダウンはない。
でも地味なアップダウンは絶え間なく繰り返すので、笠に辿り着くまでは楽々というわけにはいかないだろう。

 2,750m+付近からは稜線へ向けて西側山腹を登っていく。
折り重なったような岩場が続き、ここの登りは高度感抜群だ。








11:40 2,792mピーク到着

 稜線に乗り上げたところにはケルンが積まれている。
一瞬、抜戸岳に着いたのかと思ったが、それはまだだいぶ先だった。
なかなか普段の距離感が修正出来ずに困ったものだ。

 自分のアテにならない距離感をおいといて、ここは槍・穂高の展望を思う存分楽しめる素晴らしいピークだった。








抜戸岳へ向けての爽快な稜線歩き

 2,792mピークから抜戸岳へはごく緩やかなアップダウンを越えていく気持ちの良い稜線漫歩となる。
右手にちょっとずつ大きくなってくる笠ヶ岳を見ながら歩く最高の時間だった!




 抜戸岳は縦走路から少し外れたところにあり、登頂するには寄り道しなければいけない。
寄り道自体は厭わないのだが、縦走路から抜戸岳へ登る脇道がかなりの急登だった。
雪が積もって手強くなっていたこと、山頂付近は折り重なる岩、ハイマツのヤブなどで
抜戸岳は思った以上に足元が悪いところだった。
そして山頂まであと少しのところで、運悪くハイマツの枝にズボンの裾が引っかかってちょっとだけ破ってしまうアクシデントも発生。








12:14 抜戸岳山頂(2,812.8m)到着

 思わぬところで手こずったが、何とか抜戸岳山頂に到着。南北に細長い山頂は展望も高度感も抜群だった!!
登頂で一汗かいたこともあって、ここでもザックを下ろして一休みしていこう。
最高の大展望に感動しつつ、裾を破ってしまった後では遅いのだがスパッツを装着して今後の行程に備える。








貫録ある抜戸岳の三角点

 出発前に山と高原地図で今後の行程を再確認する。
縦走中の要衝と位置付けていた抜戸岳まで到達したことで、わさび平付近から登ってくる笠新道とまもなく合流する。
笠新道分岐を過ぎれば、笠ヶ岳までの標準所要時間は1時間10分だ。




12:27 抜戸岳山頂出発

 ここも本当にいつまでも居たくなる山頂だったが、名残を惜しみつつ出発する。
山頂周辺では多くの登山者が思い思いの場所で憩っている。

 縦走路へ再合流するには登ってきた西側の急坂を避けた。より斜度の緩そうなルートを南下しつつ見出そうとした。
しかしハイマツに阻まれたり、浮石の多い岩の斜面に難渋。
ルートファインディングしながら、どうにかこうにか縦走路へ降り立つことが出来た。








12:45 笠新道分岐(2,750m+)

 抜戸岳から縦走路へ再合流してからほどなく笠新道分岐に到達!
双六のコルから始めた長い縦走だったが、遂に笠新道と合流したことで終わりが見えてきた。

 感慨深い思いの他に、ふと疑問が思い浮かんだ。
笠新道分岐は稜線上にあると思い込んでいたのだが、実際は西側山腹の少し下ったところにある。
あとで地形図と山と高原地図を見ていてようやく気付いたのだが、どうやら笠新道の最上部が付け替えられたようだ。
現状は地形図の破線道よりも少し北の抜戸岳側へずれている。さすがに情報の新しい山と高原地図のほうが現状に即している。
旧道はもう少し笠ヶ岳寄りで合流していたようだが、山肌の崩壊などがあったのだろうか。

 いずれにしても、昨日朝に稜線への思いを馳せた左俣林道の笠新道登山口までの標準所要時間は下りで4時間20分。逆に登りだと6時間20分・・。
出来ればピストンは避けたうえで、いずれ笠新道を歩いてみたいものだ。








笠ヶ岳へ向けて縦走も佳境に!

 抜戸岳、そして笠新道分岐を過ぎると、遂に笠ヶ岳が稜線の正面に見えてくる!
先ほどまでよりも更に威風堂々とした姿を惜しみなく見せてくれて、本当にかっこいい山だとしみじみ思う。

周囲の景観といい、笠の懐へ飛び込んでいくシチュエーションといい、
これだけ歩いて楽しい稜線はなかなか無いのではないだろうか。

 笠新道分岐以南は登山者の往来が一気に増えたように感じる。
自分のような縦走組や笠新道を登って笠へ向かう人が多いのは時間帯から察しが付くが、意外に北へ向かう方も多い。








杓子平の大展望

 笠新道分岐からしばらく緩やかに下っていくと、稜線の東側がすぱっと切れ落ちたところに差し掛かる。
眼下には杓子平の広大な草原を一望出来る。本当に圧巻の光景だった!
縦走中に登ってきた秩父平よりも遥かに規模が大きい。言い換えればここを通過してくる笠新道の長い登りの一端を実感することが出来る。
肉眼では笠新道を歩いている登山者もはっきりと見えた。ぜひ自分も笠新道を登ってきて、杓子平の中を歩いてみたいものだ。

 もちろん杓子平だけではなく、周囲の景観も引き続いて抜群!
西穂から焼岳にかけての穂高の稜線は、自分にとってはこの時に初めて横から眺めることが出来た。
2,012年度にサンテレビで放映していた<山のぼり大好き>で、新穂高ロープウェイ利用で西穂独標まで登る行程が採り上げられていたことを思い出す。
でも自分があそこへ行くとしたら、ぜひ西穂へ登って焼岳まで縦走したいなと思う。

 そして遥か南には、<摩耶山さん歩>のてるみさんが今夏に登られた御嶽山をはじめ、中央アルプスの山々が一望出来る。
正面は南アルプス、或いは八ヶ岳辺りだろうか。

 更に更に、遥か眼下には車を停めている深山荘の駐車場まで見えた!
駐車場までの標高差は約1,700mほどあって、明日下山予定のクリヤ谷コースの大きな下りを視覚的に体感できる。

 本当に笠だけでなく、見逃せない景観が続く稜線歩きだ!








13:14 2,753mピーク付近

 杓子平側に突き出た2,753mピークは、やや西側山腹を巻いていく。
ピークを越えていく際の小さなアップダウンを越えると、更に近づいてきた笠の雄姿にまた感動する!

 縦走前半は大ノマ岳、秩父平とかなりアップダウンが目立つ区間だったが、
笠新道分岐以南は、好対照に穏やかですごく快適な稜線となった♪
先月の槍へと近づく表銀座も本当に最高だったが、この笠へと続く稜線も決して引けを取らないと思う。








快適な稜線歩きも中盤に

 笠新道分岐通過以後は標高差が殆ど無いこともあって、抜戸岳以北とは対照的に行程の進み具合が早い!
このような稜線にあっては2,737mピークへの緩やかな登りが目立って見える。
自分の場合は既に行動時間が8時間近くになってきて、かなり疲れを覚えてきていたこともあるだろう。
悪天だった昨日の反動もあるけど、嬉しいことではあるが今日の稜線歩きは撮影したくなるところが目白押し。
特に写真好きの自分には、撮影時間も考慮に入れた行程を組むことが大事だと改めて実感した。








13:39 2,737mピーク付近

 緩やかなアップダウンの2,737mピークを過ぎると、今まで隠れていた抜戸岩が笠の手前に見えてくる!
笠山頂の直下には笠ヶ岳山荘、そしてその一段下にはテン場もはっきりと見えるようになってきた。
テン場と山小屋の間はけっこう標高差が大きい。これは何度も行き来出来るところではないと分かる。
テン場ではそこそこの数のテントが設営済みだが、まだまだスペースには余裕がありそうで安心した。








13:40 抜戸岩

 2,737mピークから少し下って、地形図にも記載されている著名な抜戸岩を通過。
本当に笠の門という感じで屹立していて威厳たっぷり。抜戸岩の間からは笠の山頂がよく見えている。

 抜戸岩を含む周辺のトラックは稜線西側にあって、日当たりが悪いことから雪が多く残っていた。
西側は切れ落ちた斜面なので、滑落しないよう油断せず慎重に通過した。








笠の山頂までの最後の登りが見えてくる

 抜戸岩を通り抜けて僅かに登り返し、2,710m+ピークを踏んで回り込む。
すると遮るもののない状態で、笠までの終盤の登りの様子がよく見えるようになる。
双六のコルからの長い縦走で疲れた脚には、最後の最後で厳しい登りだと感じる。
仮に笠新道を登ってきていても、最後のあの急坂は踏ん張りどころだろうと思う。

 それはともかく、遠く槍からも目立って見えた笠だったが、近くから見ると本当に大きく堂々とした山であることが分かる。
槍に登頂した時からずっと憧れていた笠はもう目の前だ!
今日はもう十分に疲れてはいるが、テントを張った後はもちろん笠まで登りきらないといけないだろう。








笠ヶ岳

 本当に男性的な威風堂々とした山容で、日本百名山に入っているのも全く違和感がない。
素晴らしい名山だと強く思う。








14:00 播隆平、緑ノ笠を眺める

 笠までの最後の急登を目前にして、笠の直下に広がる絶景に思わず足が止まる。
池塘が点在する素晴らしい草原は播隆平。この名は笠と槍を開山したことで有名な江戸時代後期のお坊さんが由来。

 そして播隆平にはその名の通り、緑に覆われた緑ノ笠というピークもある。
地形図にも記載があって全く気にならないわけではないが、今歩いている稜線の東側は急斜面が続いていて簡単には辿り着けないように見える。




 緑ノ笠と播隆平の展望を見やりながら、いよいよ最後の急登に挑んでいく。
行く手を見上げれば、テン場は一旦死角に入ったが、笠ヶ岳山荘は建物の様子までよく見える。








テン場までもうすぐ!

 最後の急登の一つめはすぐに一旦緩むが、ここから先はテン場の辺りまで一気に突き上げるようだ。
テン場に到着しても今日の行程はまだ終わりではないが、テントを張ればとりあえず75Lザックの重荷からは解放される。
もうだいぶしんどいけど、ここまで来たら体力勝負というか勢いで登ってしまおう。








14:20 テン場直前で激励のメッセージを見る

 最後の一頑張りで急登を乗り越えると、このメッセージに励まされる。
やっとテン場の最下部に辿り着いたようだ!
ほぼ同時に辿り着いた方と心地良い連帯感が生まれ、息が上がった中でお互いの頑張りを讃え合う。








 
14:22 笠ヶ岳山荘・キャンプ指定地到着!!

 やっと辿り着いた笠のテン場。最高の縦走だったけど本当に長かった〜!!
テン場のロケーションは憧れの笠と笠ヶ岳山荘の直下。利便性はともかくとして周囲の雰囲気は最高だ!

 このうえは一刻も早く笠の山頂へ向かいたいが、とりあえずテントを設営しよう。
ゆっくりと歩きながら周囲を巡回し、ここぞというスペースにすぐに目が留まった。








槍・穂高の展望抜群の笠ヶ岳山荘・キャンプ指定地 縦走のスタート地点である双六のコルが遥か彼方に見える 

 見出したスペースは、程好く登山道から離れていて、ハイマツが防風林になってくれそうで、しかも地面がほぼ平らという好適地だった。
東側には午後の順光できれいに見える槍・穂高の稜線を見渡せる。時間が許せばいつまでも眺めていたい絶景だった。

 北方に目を向けると、なんとここからも双六のコルが彼方に見えている。
長い縦走を踏破した達成感を味わうことが出来る光景だ。

 今日は夕方近くなっても変わらず晴天が続く。これなら昨日の悪天で湿ったテントも完璧に乾くだろう。




 テントを張っている間に体力は少しは回復した。
日没まであと2時間程度あるので、迷わず笠を目指すことにする。
せっかくの素晴らしいテン場なのだが、明るいうちはテントでゆったりすることは出来ないだろうけど仕方がない。
明日も絶対に好天という保証は無いので、行けるうちに行かないといけない。
 防寒着やヘッドライト、飲食物等や撮影機材など必要な装備を整える。




15:25 笠ヶ岳山荘・キャンプ指定地出発

 テン場から笠ヶ岳山荘までの標高差は約60m。
大きな岩が積み重なった中をペンキ印を追いながら登っていく。
荷は軽装になったとはいえ、縦走疲れの足には軽い登りではない・・。








 
15:35 笠ヶ岳山荘(2,810m+)到着

 標高差60mをゆっくりと10分で登りきって笠ヶ岳山荘に到着。
東側に面した山荘の玄関前はきれいな石畳が敷かれたテラスになっていて、登山者の憩いの場になっている。

 笠山頂へ通じる最後の登りを前にして、とりあえずテン場の利用手続きとトイレのために笠ヶ岳山荘へ立ち寄っていく。
山荘の受付ではタイミング悪く宿泊申し込み待ちの列が出来ていた。仕方ないので小休止も兼ねて気長に待とう。




 テント泊:1人@500円。
水は無料。山荘前のテラスに設置されているタンクにて汲む。盛夏まではテン場近くにも水場があるようだ。

 トイレは山小屋内のものを利用出来るが、テン場からは距離と標高差があって駆け込むわけにはいかない。
笠でのテン泊には携帯用トイレが活躍するだろう。




 テン場利用手続きを済ませるついでに、笠の山頂で飲もうとオレンジジュースを仕入れる。
水は双六小屋で汲んだ分がハイドレーションにまだ残っていたので補給は後回しにした。
山荘での用事をようやく一通り終えたので、今度こそいよいよ笠へ向かうことにしよう!








 
15:54 笠ヶ岳山荘出発

 笠ヶ岳山荘で結果的に20分近く滞在してちょっと元気になった。
間近に迫った笠の山頂へはテラスの南端からトラックが始まっている。

 今度こそ今日最後となる登りは山頂に近づくにつれて急になっていく。
山頂まで残る標高差は約90m。
山頂ではもちろん大休止するだろうから、もう最後の力を振り絞ってという感じで一気に登っていった。








 
16:07 笠ヶ岳山頂北の肩に到達!!

 最後の急登をなんとか登りきって、遂に笠ヶ岳山頂に辿り着いた!!
槍からだときれいに平らに見えた笠の山頂は南北に細長くなっていて、乗り上げたところはその北端に近いところだった。
山頂を見回してみれば、南側のほうが少しばかり高くなっていて、そこそこの登山者が集まっている。

 登り詰めたところの山頂北側の一角には祠が祀られている。
江戸時代に笠ヶ岳を開山した南裔上人、そして後には槍をも開山することになるが、
それに先立って笠を再興したという播隆上人、両上人ゆかりの山であるという歴史の重みを感じることが出来る。
好天の下ここまで、無事に辿り着けたことに対して感謝の念を捧げた。








いよいよ笠の三角点へ

 祠にお参りした後は、いよいよ登山者が集まっているピークの南側へ・・。
悪化する天候の対応に追われた昨日、そして今日の長い縦走の果てに辿り着いたという達成感に包まれ、この瞬間は本当に何とも言えないものだった。








笠ヶ岳山頂(2,897.5m)  早朝、雪景色の中出発した双六のコル 

 全方位の大展望、まさしく絶景!!

 苦労して辿り着いた笠の山頂は期待以上に素晴らしかった・・。
遥か遠くに見える出発地である双六のコルを見通して、改めて今日の縦走の余韻を噛みしめる。

 山頂に到着したのは夕刻ということで、到着時を頂点として登山者が徐々に少なくなっていった。
自分より後から登頂された数人の方々と共に、誰もが時を忘れて山頂での時間をゆったりと過ごした。
 記念写真を撮って差し上げた年配のご夫婦は、この写真は年賀状に使うとたいへん喜ばれていた。
自分は年賀状は出さないけど、写真慣れしてない割には良い表情で撮れていた。
この素晴らしい山頂。そしてこの絶景に恵まれれば、本当に誰もが笑顔になってしまうだろう。

 自分の場合はもちろん山談義だけではなく、時間の許す限り笠からの絶景を眺めつつ写真撮影を楽しんだ。









 写真では分かりにくいが、今日も多くのテントが幕営中。
昨日とは違って雨や雪、そして風も和らいで楽しく過ごすことが出来るだろう。
黒部五郎や鷲羽岳辺りへのピストンの行程であれば、あそこで2日連続テン泊するプランもいいなと思う。
槍・穂高を真横から眺める 笠ヶ岳の三角点。山名標は記念写真撮影時に役立ちます。

 笠の山頂南端からは遮るものなく、槍・穂高の大パノラマを眺望することが出来る!
表銀座縦走の時にも色んな角度からあの主稜線を眺めることは出来たのだが、
真横から見たのは笠からが初めてとなった。

 また、表銀座縦走の際には影槍と笠を眺めたが、今回は槍と影笠という組み合わせになったのも感慨深い。

 地形図、山と高原地図も参照しながら同定していった。
槍から笠を眺めた時と同様、やはり見ているところは歩きたくなってくる!
まあ、次の機会は早くて来年の夏になってしまうが・・。
それにしても盟主の奥穂は今夏に登頂しているのだが、あそこに実際に立った筈なのにどうも実感が沸かない。(笑)
おそらく次に好天に恵まれれば、殆ど初めての登頂のように感動出来るだろう。








明日下山予定のクリヤ谷コースの概要を掴む まさしく今、岐阜県最高峰※に立っていることを実感出来る景観だ   ※ 県境にある穂高の稜線を除く

 地形図、山と高原地図、そしてコンパスを使ったうえで、クリヤ谷コースの山頂からの下降点、及び見える範囲内でコースを目で追う。
クリヤ谷コースは登山口のある中尾高原バス停までを結ぶ。標高差1,900m、下りでの所要時間は7時間(登りでは9時間)という本当に長大なコースだ。
笠からの下降地点にはペンキ印はあるが、クリヤ谷コースを示す指導標は一切無い。
クリヤ谷コースに立ち入ることに対して、このことだけでも充分に気が引き締まる。

 クリヤ谷コースの概要は途中からは森歩きと思っていたが、この景観を見る限りは展望のある区間も充分に長いということが分かる。
この山行を計画する際は、クリヤ谷コースと笠新道のどちらを下るかで迷った。
心情的にはクリヤ谷コースに惹かれていたが、状況によっては笠新道を下る可能性があることも登山届に書いてある。
笠から実際にクリヤ谷コース(上半分)を見下ろしたことで腹は決まった。但し後ほど笠ヶ岳山荘でコース状況を一応は確認しておきたい。




 大展望を楽しんでいる間に、だいぶ夕陽が低くなってきた。
その頃に望遠レンズを持ってきていたことをふと思い出した。せっかくだからレンズを交換して撮影しておこう。








 
双六方面遠望

 笠とほぼ同じ標高で多くの山々が重なっていて、まだ実際に歩いたことのない自分には同定がなかなか難しい。
実際に歩いた経験があれば、もう少し立体的に位置関係を掴むことが出来ると思う。

 北アの奥地の中でも黒部五郎岳は<山の休日さん>のHPで拝見して以来、優先的に歩きたい山の上位に入っている。








槍ヶ岳。槍の肩には槍ヶ岳山荘もはっきりと見える 奥穂。白出のコルには穂高岳山荘がよく見える

 今夏、過去2回の山行で登頂した山々を眺め、今年の北アルプス遠征の締めくくりに相応しい笠登頂となった。
夕陽に照らされた槍・穂高は本当に美しい。
それにしても奥穂は本当に険しい山容に見えるので、あそこに立ったのかと今更ながら達成感を得た。








17:07 笠ヶ岳山頂出発

 このまま時が止まればいいのにと思うくらいの至福の山頂滞在だった。
でも日暮れまでもうすぐなので、重い腰を上げて下降を開始しよう。
もし予定通りにクリヤ谷コースを下山することになれば、明日朝に再びここまで重装備で登ってくることになる。

 山頂で1時間ほど過ごしていたので、だいぶ脚は元気になったが、
しっかりと疲れは残っていたのでゆっくりめに下っていく。



 笠ヶ岳山荘のテラスまで戻ってきた時、西側ではちょうど日が沈む直前。
笠の山頂で感動し過ぎて日没を見送ることを忘れていたがちょうど良いタイミングだった。








 
17:18 笠ヶ岳山荘裏より夕陽を眺める

 今まで北アルプスで見てきたどの夕陽よりも美しかった。
夕日を遮る山も雲も無いというのは、ありそうで無かった機会だった。
夕日より少し南側で雲から頭を出して見える山は方角からして白山だろうか。

 最後まで本当に感動しっぱなしの一日となった。

 日が沈むのを見届けてから、笠ヶ岳山荘へと駆け込み用事を済ませる。
夕陽を眺めていた時は強い風が吹いてきて、非常に寒かったのだった。








 
笠ヶ岳山荘

 まずはテラスにあるタンクから水の補給。
皆、行動パターンは同じようで、水の補給待ちが発生していた。
それはともかく、今回の山行では幕営した2箇所とも水が無料だったのはたいへん有難い。
水の補給を終えてから暖かい山小屋の中へ駆け込む!本当に寒かった・・。








 
笠ヶ岳山荘

 いや〜、やっぱり山小屋の暖かさはいい!テントを張っているのにも関わらず外に出たくなくなってしまう♪
でも今夜は雨や雪の心配無しにテントでゆったり過ごせると思い直す。

 受付の周辺は閑散としていたが、おそらく今の時間帯は夕食や部屋に居られる方が多かったのだろうか。

 テントに戻る前に、山バッジ、ストラップ、クリアファイルなどの笠グッズを土産に買い込む。
そして表銀座縦走の時から始めたが、山小屋に設置されていれば記念に残すことにしているスタンプをもれなく押しておく。



 最後に受付で山小屋の方にクリヤ谷コースの現状を確認すると、危険性は無く全く問題なしだけど長く厳しい下りとなるとのこと。
ハードな下りというのは予め承知しているので、危険性が無いのであればクリヤ谷コースで下ります、とお伝えし明日の下山コースはこの時に最終決定!
スタッフの方にご挨拶してテン場へと戻ることにする。
受付の周囲とトイレしか入っていないけど、笠ヶ岳山荘もほっこりしてなかなか良い雰囲気の山小屋だった。
この3連休を最後に今シーズンは小屋閉めとなるのを感じられないくらい、この日の笠ヶ岳山荘は賑わっていた。

 今回の山行においては、山小屋横の小笠に立ち寄る時間は取れなかった。
またいつの日か再訪した時には立ち寄っておきたい。




 外に出ると既に真っ暗。
岩が積み重なったトラックをヘッドライトで照らしてテン場までゆっくりと下っていく。

 テントに戻ると本当に我が家に着いた感覚でほっと出来る。
昨夜は強風と雨・雪で寒い幕営だったが、今夜は昨日より体感温度が断然暖かくて過ごしやすかった。
テン泊にしては少し遅めの夕食を摂って、20時頃には就寝。
せっかく好立地のところにテントを張ったのに、一日中行動していたのでさすがにものすごく疲れていた。
シュラフにくるまるとすぐに眠くなった。爆睡は約束されていたようなものだった。




 明日3日目は早くも行程最終日。
笠山頂を乗り越えて、長大なクリヤ谷コースを下っていく。
下山までにどのような景観が待っているのか本当にワクワクする!
それとせっかく笠にもう一度立つのだから、日の出までに予め登頂しておくこととして起床時間は2時と設定した。








長大なクリヤ谷コースで下山する最終3日目に続く 

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