「蝶ヶ岳・三股から蝶ヶ岳ヒュッテ」 2014年 9月27日(土)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「穂高岳」




 〜 はじめに 〜

 近年になって山歩きを始めた母を連れて北アルプス登山を実現させたいということが
一つの目標になっていました。
1泊2日山小屋泊を前提にいくつかの山を考えていましたが、
今夏の悪天のために延び延びとなっていました。
それでも9月下旬の週末、今度こそは間違いなく好天見込みということで決行しました。

 母にとって初の北ア登山です。色々と思案の末、自分も未踏の蝶ヶ岳に決定。
おそらく自分も含めて一生の思い出となる山行になるでしょう。

 今回、母には自分が普段日帰り装備で使用している35Lザックを貸し出しました。
元々日帰り用としてはやや大きめなので、1泊2日程度の山小屋泊には充分使えます。
自分はいつもどおりテン泊装備の75Lザックです。

 行程は蝶ヶ岳へのピストン。自分としては常念岳まで足を伸ばしたいですが、
母の安全登山のため万全を期します。

 最初に触れておきますが、山行当日9月27日11:52頃に御嶽山が噴火しました。
自分の場合は北アルプスの中から行先を選択したので、御嶽山は候補に入っていませんでした。
但し数十キロの距離で発生した大災害です。自分たちの山行にも含めた印象で胸が痛む思いです。
御嶽山についてはまた後ほど改めて書き加えたいと思います。




 前日夜出発し蝶ヶ岳への登山口となる三股を目指します。
ところが現地に着く頃から霧雨のようなあいにくの天候。
大事な山行なのにどうなることかと気が重くなりました。








 2:00頃 三股駐車場到着

 今回初めて辿り着いた三股駐車場はまだまだ駐車スペースは余裕ありそう。
この時点での天候は不安ありでしたが、予報だけは完璧だったのでなんとか回復を期待したいところ。
とりあえずは仮眠して日の出前の出発に備えることにする。








 行程概要 



 9月27日(土) 三股・林道ゲート 〜(蝶ヶ岳新道)〜 蝶ヶ岳ヒュッテ

 9月28日(日) 蝶ヶ岳ヒュッテ 〜 蝶槍 〜 蝶ヶ岳ヒュッテ 〜(蝶ヶ岳新道)〜 三股・林道ゲート
 5:10 三股駐車場出発

 雨が止むのを期待していたが、止みそうにないので仕方なくレインウェアを装備してから出発。
ヘッドライトを頼りに歩き始める。しばらくは道幅の広い緩やかな登りの未舗装林道歩きとなる。

 まさかの悪天のせいでナーバスになっていたのかもしれないが、
心配性の母には自分の熊鈴の音が小さく感じたらしくやいのやいのとクレームを付けられる。
鬱陶しくなったので相手にせずに無視して先へ進む。
なお遅れて分かったことだが、鈴の音が小さく聞こえた原因は熊鈴の付け方とザックカバーとの兼ね合いだった。
少し取り付け場所を変えるだけで解決することとなった。








 5:15 三股登山口到着

 トイレ、登山届提出所のある三股登山口(林道終点)に到着。
今回は直前になって複数の候補の中から行き先を決めたこともあり、
予め何通りか印刷していた登山届から蝶ヶ岳の分を選んで持参。ここで投函した。




 5:33 三股登山口出発

 一般車両は進入不可ではあるが、林道自体はここが終点となっている。ここから先が本格的な登山道となる。
すぐに小さな沢に掛けられた橋を渡り、前常念へ向かうルートが分岐する。
自分としてはこの急登のルートに心惹かれるものがあるが、いずれかの機会に登ることにして今回は直進する。








 蝶ヶ岳新道のルートは最初は概ね本沢沿いを、この吊り橋を渡ると次に支谷沿いを緩やかに登っていく。
この時はまだ薄暗くてしかも小雨の中を歩いていたが、日差しがあると良い雰囲気のところだろう。

ところで母はまだ熊鈴のことでぶつぶつ言っている上に、自分から見ても歩くペースが速過ぎることに気づく。
先の長い行程なので無駄にエネルギーを使わず、序盤から飛ばし過ぎないようにアドバイスする。




 しばらく支谷沿いを登るとまもなく力水を通過。この辺りからだいぶ明るくなってヘッドライトが不要となる。
ちなみに2週間前の穂高縦走に先立って、自分はヘッドライトを新調していた。
母には自分が約10年間使用してきたヘッドライトを貸出している。
六甲縦走をはじめとして、今夏の北岳まで使用していたものである。








 力水を過ぎると、やや急な登りが始まる。
小雨はまだ降り続いているが、出発直後より弱まった感じだった。








 6:19 ゴジラ(みたいな)木

 少しだけ続いた急な登りが一段落すると一目見て分かるゴジラの木に到着。
歯とか目などある程度装飾されているところもあるが、木の造形が本当に恐竜のようだ!
まずはとりあえず記念写真を撮り、ゴジラの木を見ながら5分ほど小休止をとった。

 案内板によると三股から1km。蝶ヶ岳まで5.4km。
三股から最初の1kmで1時間ほど掛かっているのを見て、母には自分のペースが少し遅すぎるのではと言われる。
でも最初は遅めのペースで歩き始めるほうが良いうえに、自分から見ても母の場合は歩くペースが元々速いし歩幅が大きい。
このままのペースで歩くと後半にバテるのではと懸念したので、ペースダウンを心掛けるようアドバイスしておく。




 ゴジラの木を過ぎると緩い登りがしばらく続く。
雨のためにやや歩きにくくはなっているが、この時点ではまだまだ母も元気そう。








 7:10 尾根に取付く前に小休止

 これまでの緩めの森歩きから一転、見るからに急な尾根に登っていくポイントに到達。三股へ2.0kぜよ!の案内板が立っているところだ。
なんで長野県内にて土佐弁なのかは分からないが、ともかく地形図を見るとまめうち平まで標高差約200mを突き上げる局面に達したようだ。

 この後ややまとまった登りが始まることを母に伝えて小休止をとっていくことにする。
周囲は濃いガスに覆われてきた。雨はごくごく小雨で推移していて、行動の支障にはならない程度で助かった。








蝶ヶ岳新道前半の急登

 地形図どおりの急登の尾根ではあるが、要所には階段がしっかりと設置されて登りやすいように配慮されている。
周囲は相変わらずガスガスではあるが、この辺りから紅葉も見られるようになり目を楽しませてくれる。

 それでもこの登りで母はやや息が上がってきて、体を冷やさない程度に途中のベンチで少しだけ腰を下ろして休憩をとっていくよう薦める。
この登りは200mくらいで落ち着くので焦らずに標高を稼ぐことと励ましておく。








 8:01 まめうち平到着  まめうち平 蝶ヶ岳まで3.9km。母にとっては初めてといってもよい試練が待っていた。

 尾根がふっと緩くなって、広々としたまめうち平に到着!
ちょうど先行のグループが出発され、入れ替わるように道標前のベンチで腰を下ろしていくことにする。

 行動食を食べながら母に今後の行程の解説を行う。
三股からここまでで標高差600m、そして蝶ヶ岳まで800mくらいの標高差を残していること。
まめうち平からしばらくは緩い区間がしばらく続くが、2,200mの等高線を過ぎる頃から始まる後半の大きな登りが踏ん張りどころと予め気持ちの準備をしておくことを伝える。

 山と高原地図、そして地形図を併せて見ながら伝えているが、自分にとっても蝶ヶ岳は初めてなのでどのような登りなのか楽しみだ。




 8:14 まめうち平出発

 自分たちが休憩中にもどんどん後続の方々が到着される。
そろそろ場所を空けるためにも出発することとしよう。








美しい森が広がる標高1,900m付近

 天気はイマイチではあったが、そのおかげで神秘的な深い森の光景に見とれてしまう。
先ほどまでの急登とは対照的にほぼ平坦地とも思える楽しい森歩きだった。
多少ぬかるみは点在しているが丸太などが敷かれているし、泥に埋まって困るほどでもなかった。
前夜からの雨量は大したことはなさそうだが、それにしても移動性高気圧が覆っているのにこの雨を降らせた雲はどうやって発生したのだろうか。








 8:52 標高2,000m地点通過

 まめうち平から30分以上歩いたところでようやく標高2,000m地点を過ぎる。
蝶ヶ岳まで3.1km。距離の上でも行程の半分が過ぎたと元気付ける。

 但し森の向こうは山肌がせり上がってきていることから、そろそろ徐々に斜度が増していくはずとも伝える。
但しこの後の標高差200mはまだ若干等高線が広い。最も大きな登りの前のウォーミングアップと捉えると良いかもしれない。








まめうち平の手前から見られた紅葉だったが、標高2,200m付近から美しさが一気に増したよう

 通り掛かる方々が皆して歓声を上げていたほど見事な色づきだった!
そしてその先にはもっともっと歓喜を呼ぶ光景が待っていた!!








 9:30 雲を抜けた!?

 ふと見上げるときれいな青空が見えていた!!
このまま蝶ヶ岳まで雲の中だったらどうしようかと正直なところ不安だったが、もう本当に良かったというか初北アの母のことを考えるとほっとしたという気持ちだった。
そして自分の撮影待ちのために少し前方で待機している母の目線を追うと・・








突如、姿を現した常念岳!

 自分自身初めての角度で見る常念岳の雄姿に感動した!
穂高側から見るピラミダルな山容も素晴らしいが、前常念へ伸びる尾根を従える山容は一段と貫録を増すように思う。
自分と同じように、というか母も横で自分以上に感動していた。これまで小雨とガスの中を歩いてきたから尚更だろう。

 なおこの展望地は蝶沢の源頭部付近にあたり、沢床を蝶ヶ岳新道が交差している。
少し登山道が広がる形となるので小休止に使えそう。周辺にはかなり傷んで読めない「○○ベンチ」を示す案内板が転がっていた。
 この先の長い登りを見越して、ここでも小休止をとった。
なお天候によっては沢の上方からの増水や落石には注意が必要かと思う。








蝶ヶ岳へ向けて果てなく続く急登

 蝶沢源頭部を過ぎるといよいよ地形図に破線道がジグザグに描かれている区間に突入する。
大きな岩や浮石が多い箇所もあって、なかなかタフな区間のように感じる。

 今回の場合は自分のことよりも、もうしんどそうな母の様子を気にしながらの登りとなった。
蝶ヶ岳まであと標高差400〜500mを稼がなければならない。
でも天候はもう問題ないようなのでそれだけが好材料だ。








10:33 第一ベンチ(2,350m)

 そろそろ小休止が必要かなと思っているところへ第一ベンチに到着。
写真では分かりにくいが、蝶沢源頭部の時と同じデザインの案内板に手書きで「第一」と書き足されていた。
ここでも体が冷えない程度に腰を下ろして小休止をとっていく。
前方を見るとこの後に登るハシゴもある。








延々と続くように感じる蝶ヶ岳新道

 やはり序盤に飛ばし過ぎ、或いはしゃべり過ぎたのか、母は見るからに段々と疲れてきているよう。
小休止を定期的に行い行動食と水分補給を促すことにより、シャリバテと高山病予防に配慮した。
樹間からは先立って見えていた常念岳ではなく、蝶槍周辺の稜線も徐々に時折は近くに見えてくるようになる。
でもしんどい母はもとより、ペースメーカー役の自分にとっても、稜線までの標高差はなかなか縮まらないように感じてしまう。







辛抱強くじりじりと標高を上げていく

 見事な紅葉の左上方に蝶ヶ岳〜大滝山の稜線の接近を感じつつも、なかなか近づいてきそうにない。
自分はそれほど疲れてはいなくても、ペースは狂いやすいし気疲れはする。しんどそうな母をリードするのは自分にとっても楽ではなかった。
普段、他の登山者にこのようなことを聞くことはないのだが、下り中の方に残りの行程時間を尋ねた。
この時には1時間くらいとお答えいただいたが、一人で登るのに比べてどれだけ長く感じる1時間だろうか。








11:45 最終ベンチ

 母はベンチに吸い寄せられるように着席した。そんな状況でも足を動かしている限りは間違いなく蝶ヶ岳は近づく。
ということで、ようやくの思いで最終ベンチに到着。脚を休ませるべくとりあえず母を座らせて5分程度小休止をとった。

 手前の木々でやや分かりづらいが、見上げると蝶ヶ岳付近と思われる稜線が見える。
もう残された標高差は大したことはなさそう。あと標高差170m、距離は0.9kmだからもう一頑張りしてと懇願というか励ます。

 この頃母はしんどいだけならともかく、頭が痛いと言っていたので自分はもしかしたら高山病になったのではないかと心配した。
それでも休み休みではあるけど、母は何とかゆっくりと歩みを進めていた。
蝶ヶ岳ヒュッテに着いたら、とりあえず薬を分けてもらって母を休ませようとか考えつつリードして歩いた。




 なお後ほど得た情報によると、自分達がこの最終ベンチを出発した頃に御嶽山が噴火した模様。
ちょうど山頂に人が集まる頃合という本当に本当に最悪のタイミングだったことを改めて痛感せざるを得ません・・。








常念岳の雄姿を励みに、初めてとなる長い登りに耐える

 6時間を越える登り、そして好天のおかげでやや暑く感じる気温。
この頃母の疲労はもうピークに達していた。でもここまで来た以上何とか頑張ってもらうしかない。

 テント泊装備の人に大勢越されたことで、自分がテントを張るスペースが無くなるのでは、と母は心配していたらしい。そのことがペースの乱れにつながったのだろうか。
でも蝶ヶ岳ヒュッテのテン場は広いからそんな心配は不要。とにかくマイペースで登れば良いと励ます。
実際、設営可能なのは30張ということだが今はテントのスペースなどは些細なこと。
それよりも母を無事に蝶ヶ岳ヒュッテに辿り着かせることが連れてきたリーダー格たる自分に課せられた使命だった。

 最終ベンチを過ぎるとやや緩い登りになってくる。
もうそろそろ大滝山への分岐に差し掛かるはずだが・・。自分にとっても本当に長く感じる登りだった。








12:23 大滝山分岐

 不意に森が途切れ、遂に大滝山分岐に差し掛かる!
大滝山へもいずれ行ってみたいが、それはいずれかの楽しみにしてまずは5分程度小休止をとる。
大滝山分岐から蝶ヶ岳山頂、及びヒュッテはもう至近距離。
森林限界を越えて本来ならばいよいよ魅せ場を迎えるところなのだが、今日の行程でいえばもう終盤になっているところがある意味残念でもある。








安堵の思いに包まれて、行程上は非常に短い森林限界上を登り詰める

 大滝山分岐から一登りでハイマツ帯に出る。右手にはほぼ同じ標高で蝶槍が見え、長かった今日の行程もいよいよ最終段階。
何とか無事に辿り着けて良かったと、色々と大変だったこともあって単独行では味わうことのない達成感を得た気分だった。








初めて雲の上を歩いていることで母は既に感動していた

 普段の山行ではありえない標高差。辛うじて見える雲の切れ間の遥か眼下に安曇野の街。北側には雄大な常念岳。
母はもう極度の疲労と頭痛で満身創痍だったはずだが、猛烈に感動していることは端から見ていても伝わってくる。

 北隣りにある常念岳をバックに記念写真を撮ったりしながら、のんびりと残り僅かの行程をこなしていく。
実は今回の蝶ヶ岳を登ることに決めた時、母には「標高差1,400m(六甲最高峰+500m)であること、そして眺めの良い山」とだけ伝えていた。
眺望についてはあえて詳しく説明することは控えていた。

 最後の登りを終えて蝶ヶ岳ヒュッテのテン場に達した時、自分ももちろんだが母にとって一生心に残ると思われる、初めてでいきなりの絶景が目に飛び込んでくることとなる。








12:48 蝶ヶ岳ヒュッテ到着

 この槍・穂高の絶景を見た途端、母はもういきなり感動のあまり涙を流していた。
蝶ヶ岳は初めての自分にとってももちろん感動の絶景には違いないが、それよりも横で泣くほど感動している母を見て連れてきた自分にとっても甲斐があったと胸をこみあげてくるものがあった。
あとで母に聞いたことだが、初めての北アルプスでこれまでの苦しい道中を経てきたこと。
そして散々自分にしんどいしんどいと文句を言ってきたこと等が走馬灯のように絶景を目にすることで頭をよぎったらしい。

 とりあえず槍・穂高をバックに記念写真を撮影。そして蝶ヶ岳ヒュッテに入って休むよう薦めるが、頭が痛いのはこの絶景を見て?治ったらしい。
自分は高山病を心配したが、どうやらただしんどかっただけのようだ。心配して損をしたがまあ何はともあれ良かったと胸をなでおろした。

 ということで方針転換。
まずはテン場に入ってテントを張る位置を決め、場所を確保することも兼ねて母には休憩していてもらう。
その間に自分が蝶ヶ岳ヒュッテに向かい、母の山小屋宿泊と自分のテント設営の受付を済ませる。

 蝶ヶ岳ヒュッテ宿泊料金:\9,500
キャンプ場利用料:\700、ついでに蝶ヶ岳のバッジも購入しておく。








蝶ヶ岳ヒュッテのテン場にて

 テン場で休憩している間にすっかり母は元気になったようで、自分がテントを設営するのを初めてなので見ていたいと言う。
さっきまで散々頭が痛いやしんどいと言っていたのがウソのようで、まあこの調子ならこの後の散策時も心配なさそうだ。

 風も殆どなく気持ちの良い陽気で、快適にテント設営を済ませる。
地面も殆ど水平なので今夜は絶対に熟睡出来るだろう。




 ザック他荷物をテントに入れると、母にも一度山小屋へ入って寝床へ不要な荷物を置いてくることを薦める。
お互いに身辺整理をしてから周辺の散策を始めることとして一旦解散した。




 今週末は天候は良いものの先々週の3連休のような激混みではなく、今夜の蝶ヶ岳ヒュッテは2人で一つのふとんを使う状態らしい。
お隣さんは同年代の女性とのこと。
山小屋泊自体も初めてである母にとって、今夜は楽しい時間を過ごせるのではないだろうか。




 まずはテン場のすぐ南、一段高い丘陵地帯(のように見える)にある蝶ヶ岳山頂を踏んでおくことにする。








14:18 蝶ヶ岳山頂(2,677m)

 なだらかで広く、南面を中心にハイマツ帯となっている蝶ヶ岳山頂に到着。残念ながら三角点は無い。
やはりいざ立ってみると、あまり山頂らしくない山頂と感じられるかもしれない。
それでも地形図を見ると2,677m標高点が描かれている立派なピークであるといえるだろう。
 ここから南西に向けて派生する尾根の名をとっての「長塀ノ頭」という異名もある。

 そして母にとって蝶ヶ岳は北アルプスで記念すべき初登頂の山となる。
ということで2人で張り切って記念写真を撮る。幸いにも山頂は空いており、思いのままに三脚を駆使して撮影することが出来た。
この時撮影した写真の一部はプリントして、この山レポ作成時には既に台所に貼られている。








蝶ヶ岳ヒュッテ 蝶ヶ岳ヒュッテより、登ってきた三股方面を見下ろす

 蝶ヶ岳山頂を踏んだ後は、蝶ヶ岳ヒュッテを挟んで北側にある瞑想の丘へ散策へ向かう。
蝶ヶ岳ヒュッテ前からは登ってきた三股方面を遥か眼下に望めるが、この日はやはり麓限定で天気が悪かったようだ。
北側には雲越しに常念岳がそびえ、今回はピストンの行程の自分を強烈に誘ってくる。
これは近いうちに常念岳を目指すしかないだろうと、この蝶ヶ岳ピストンの山行を通して心に決めることとなった。








瞑想の丘 槍・穂高連峰の大パノラマを満喫 

 瞑想の丘は蝶ヶ岳ヒュッテすぐ北側にある一段高い尾根状の一端であり、存在感のある方位板が目印。
熟読している「ヤマケイアルペンガイド/槍・穂高連峰」によるとヒュッテに隣接する人気スポットのようだ。
 この方位板を通り過ぎて尾根が広くなったところで腰を下ろして、槍・穂高連峰を眺めてゆったり過ごすことにした。

 蝶ヶ岳ヒュッテ到着時に母にとっては感涙ものの絶景だったが、この時にはやや落ち着いて眺める余裕が出来ていた。
今日明日の滞在中に槍・穂高の山名を全て覚えてもらえるよう、北側の槍を先頭に一つ一つ指で示して伝えていく。

 自分にとっても2週間前の穂高縦走の行程を真横からじっくりと振り返るという貴重な時間だった。
その時に縦走した区間を母に指し示すと、その距離感と険しさを直に目にして改めて驚いていた。
遠目には大したことはないようだが、自分にとっては大キレットよりも涸沢岳辺りがより険しかったように思う。

 もう一つ、自分にとって好きな山で笠ヶ岳があるが、当然のことながら蝶ヶ岳からは見えない。
笠ヶ岳へ登るのは母にとってはちょっとしんどいかもしれないが、今後なんとか笠ヶ岳を目にする行程は考えてみたい。




 15時を過ぎてやや寒さを感じるようになり、もう十二分に大展望を満喫したこともあってそろそろヒュッテへ戻ろうということになった。
お互いにまだ夕食には少し早いということで、ヒュッテの談話室で暖をとらせてもらいながらひと時を過ごす。

 ちなみに母にとってお楽しみのヒュッテの夕食は17:30指定、朝食は翌朝5:30以降先着順とのこと。夕日を眺めるのは難しそうだ。
ということで翌朝の貴重なご来光は余裕を持って楽しめるよう、5:00に瞑想の丘の方位板前集合とした。
ご来光を2人で見届けて、母が朝食を終えた後に蝶槍まで向かうこととする。

 しばらく行動食をつまみながら母と話をしてからテン場へ戻ることにする。
この時に調理用と翌日の飲用分の水を忘れず購入しておく。
ついでにゴジラがデザインされたスタッフバッグを購入し、今日の記念に母に後ほどプレゼントした。




 ヒュッテの暖かさに慣れた体には、外に出ると余計に寒く感じる。








蝶ヶ岳ヒュッテ・キャンプ指定地

 蝶ヶ岳山頂を含む丘陵によって風から守られるように広がっている。
殆ど水平に近い平坦地であって、なかなか快適なテン場となっている。
トイレはヒュッテに隣接する別棟のを利用。テン泊者はキャンプ利用料(¥700)に込みとなっている。

 早めに夕食を摂ってから夕日を眺めに向かうが、午後遅い時間は徳沢方面から湧き上がってくる雲が掛かってしまった。
風が正面から吹き付けてめちゃくちゃ寒かったこともあって、撮影を諦めてさっさとテントへ引き上げる。




 日没後、オレンジジュースを買うためにもう一度ヒュッテに入ると、大勢の方がテレビに釘付けになっていることに気付く。
今日正午前に御嶽山が噴火し、近くに居た登山者が巻き込まれた模様という事態をこの時に初めて知った。
しかし詳細な状況が伝わってくるのは下山後となる。
この時点では御嶽山に登っていた方々がもれなく下山することを願わずにいられなかった。

 御嶽山の噴火については時系列にて改めて触れたく思います。




 テントに戻り19:30頃就寝。翌日は起床時刻3:00とした。
明日も文句なしの快晴の見込み。明日は蝶槍までのピストン、並びに蝶ヶ岳新道の長い下りとなる。
母共々蝶ヶ岳での時間を満喫し、無事に下山するまでしっかりとガイドしたい。








 「蝶ヶ岳・蝶槍まで往復後、三股へ下山」へと続きます 



行程断面図です




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