「仙塩尾根縦走(5) 三伏峠小屋から鳥倉ルートを経て下山」 2017年 9月 6日(水)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「仙丈ヶ岳」、「間ノ岳」、「塩見岳」







9月6日行程分の地形図(GPSデータ)
(別ウィンドゥが開きます)




 申し訳ありませんがこの日は雨のため、山中では全く写真を撮影しておりません。
鳥倉ルートはいつか再訪時に改めて撮影したく思います。






 5:00 起床

 珍しく早発する必要のない幕営だったのでしっかり睡眠をとりたかったのだが、
夜半からの風雨に邪魔されてあまり熟睡出来なかった。

 ということで半起きの状態で5時になり、起きてみたらテントの床が濡れているというびっくりする事態に。
しかし、じっとり濡れているというところで留まっていたので、浸水とまではいえないかもしれない。

 一応、タオルで可能な限りは拭き取ったが、床に触れていたものも全て湿っている状態に。
偶然にも電気機器類やカメラ、電池などは普段から然るべき保管場所を決めているので損害は発生せずに済んだ。
それでも帰宅したら多くの持ち物を干さなければいけないのが思いやられたが…。

 出発時刻ははっきり決めていなかったが、朝食など一とおりの作業を済ませる頃には
幸いにも風雨とも小康状態になった。準備出来次第に下山に掛かることにした。

 霧雨状態だったが構わずにテントを撤収に掛かった。
外に出てみるとテントを張っている地面は薄く水溜まりが出来ていた。
平らな場所に張ったのは良いが、そこは水はけが悪かったようだ。良い経験になった。

 テント泊を始めた当初は好日山荘で購入したオールウェザーブランケットをテントの床に敷いていた。
これは生地が丈夫なうえに床全面に敷けるので居住性はすごく良い。しかし重い。
ということで軽量化のために半面分しかないうえに薄い生地のレジャーシートを敷くようになっていた。
普段は支障はないのだが、今回に限って言えば弱点を突かれた形になった。
ちょうどだいぶ傷んでいたこともあって、下山後に新しいレジャーシートを100均ショップで購入した。








 7:00 三伏峠小屋(2,580m)出発

 出発時に設営されていたテントは1張りだけになっていた。
幸いにも風は弱く小雨の状態で三伏峠小屋を出発した。

 鳥倉ルートも初めてなので、出来れば撮影しながら下りたかった。
しかし雨は降り続いていたので、ビニール袋で一眼レフを包んだうえでポーチに収納した。




 三伏峠小屋から一貫してルートは北斜面を下っていく。
鳥倉ルートは人気のある登山道なので整備はしっかりされているが、
雨で濡れているので慎重に下っていく。

 すぐに塩川ルートとの分岐に差し掛かるが、ここもアプローチがダメになっているらしく閉鎖中。
塩川ルートは深田久弥氏が登ってきたクラシックルートだが、鳥倉ルートに比べて標高差が大きいので復活しづらいのだろうか。

 丸太が組まれた桟道のような箇所が連続するようになる。
黒部湖の湖岸に組まれた桟道を思い出すが、あそこのような強烈なアップダウンはない。
但し丸太が濡れているので、かなり足運びには気を遣った。

 小刻みにアップダウンするので、なかなか標高を下げずにじれったく感じる区間が続く。
それでもゆっくりではあるが、確実に標高は下がるので焦らないように歩く。

 2箇所で尾根直上に乗り上げ、その都度ザックを下ろして休憩をとる。
普段なら休憩適地なのだろうけど、コルになっているのでそこだけ風と雨が吹き抜ける。
自分が風下に向いて立って盾になることで、開閉するザックを出来るだけ庇って休憩をとった。

 豊口山のコルを過ぎると、尾根を離れて広い谷を下るようになる。
その頃になるとどうやら雨は止んだらしい。








 行程概要  GPSデータをカシミールに取り込んでいます。




 9:30 鳥倉登山口(1,770m)到着!   

 結局、鳥倉ルートの下り中には1枚も写真を撮ることなく、三伏峠小屋から2時間30分で鳥倉登山口に降り立った!
鳥倉ルートでは雨のせいで写真を撮り損ねたが、塩見へはいずれ再訪することになるだろう。
それより北沢峠からの長い道のりの山道を歩ききったことで、安堵感と達成感だけでいっぱいだった。

 雨は止んでいたのでさっそく撮影したが、三伏峠小屋から収納しっぱなしだった一眼レフのレンズはすぐに温度差で曇ってきた。
上記の写真が霧がかっているのはそのため。撮影後のレンズは完全に真っ白になっていた。レンズが空気に馴染むまで待つしかなさそうだ。

 待望の車の待つ駐車場までは、まだ林道歩きが残っているのでここで一旦休憩をとっておく。
なお登山口前の林道は広いスペースがあるが、ここまで乗り入れ出来るのはバスとタクシーのみ。
バスの運行に合わせるか、タクシーの予約が出来ていれば、ここで山行を終えることも可能だ。




 9:40 鳥倉登山口出発

 登山口に辿り着いたことで、気を緩めてはいけない。
駐車場まで下りで40分。あと140m標高を下げることになる。

 登山口付近のみ砂利道なのだが、すぐに舗装された林道になる。
自分はテント泊装備で舗装路を下るのが苦手で、ここでも意外に脚力を消耗する。








途中から谷の向こうに駐車場らしき場所が見えてくる   

 鳥倉林道は豊口山の南山腹をぐるっと回り込んでいく。
途中で目を凝らせば駐車場のように見える場所があることに気付く。
登山口から駐車場までこれだけ距離があったのかと驚いた。
そして谷の遥か下方に大鹿村の集落が見えたことで下界までまだ遠いところに居るのだと実感した。
今更ながら塩見岳の標高の高さを思い知った。

 林道歩きの時も雨はずっと上がっていたが、上層の雲は取れそうになかった。








10:24 鳥倉林道・越路駐車場(1,630m)到着!!!   

 そして遂に懐かしい越路駐車場に4日ぶりに辿り着いた!
北沢峠から続く長く苦しい縦走だったが、達成感と充実感はそれに勝るほど大きかった。

 最終日は三伏峠小屋から合計約3時間半の下り。鳥倉登山口から45分の林道歩きだった。








駐車場から下ってきた鳥倉林道を見上げる   

 林道歩きまで予想より長く感じた。
最終日は3時間半で行程を終えたが、決して楽な道のりではなかった。
もし昨日の疲れ切った状態で三伏峠小屋からの下山を強行していたら、悪くすればケガや遭難…。
そこまでいかなくても途中でビバークする羽目になっていただろう。

 なお越路駐車場から三伏峠小屋までの標高差は950mなので、
アルプスの登山道の中では楽な部類に入るかもしれない。
しかし、三伏峠小屋から塩見岳が長いので、トータルで考えると楽に登れる山でないのは間違いないだろう。




 相当な疲労感だったので車に着いてもゆっくりと山装備を解く。
それでも長丁場を記録したカメラとGPSの扱いだけは気を抜かずに慎重に行わなければならない。








 4日前に自転車で下った鳥倉林道を慎重に運転して下りていく。

 林道を下りきったところにある、大河原バス停ではデポしていた自転車を忘れずに回収。
その後で小渋温泉・赤石荘(日帰り入浴500円)へ直行した。
日帰りで利用すると露天風呂のみになるのだが、谷あいに広がる大鹿村を望む絶景の地にある。
縦走の汗を流し、展望の良い露天風呂に入って最高のひと時だった♪♪♪

 なお定休日は木曜だが、時々不定休があるそうで事前に確認すると万全だ。




 しっかりとリフレッシュしてから、再び4時間ほどの下道運転で帰途に就いた。














 〜 終わりに 〜

 白峰三山縦走を果たした時から、ずっと歩きたかった仙塩尾根でした。
そして未踏だった仙丈ヶ岳、塩見岳もついでに踏んでしまうという、一石二鳥の長丁場の縦走でした。

 仙塩尾根は延々と人けの少ない静かな尾根歩き。果てしなく続く樹林帯と、垣間見える周囲の高山。
深山の南アルプスにどっぷりと浸れる素晴らしい稜線です!

 入下山地が大きく離れるので、縦走前後の移動手段の確保や事前準備が重要となります。
計画段階から何かと大変ですが、ぜひ周到に準備を整えたうえで縦走を実現なさってみてください。
一生モノの記憶に残る山行になることと思います。

 長丁場の山行記録を読んでいただきまして、ありがとうございました!








行程断面図です







全行程断面図です



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