「聖岳から荒川三山縦走(4) 荒川小屋〜千枚小屋」 2017年 7月21日(金) |
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国土地理院地形図 : 25000分の1 「上河内岳」、「赤石岳」 1:00 起床 3:00 荒川小屋(2,620m)出発 まだ真っ暗な中、テン場を音を立てないよう静かに出発。 前岳、中岳間で主稜線に乗り上げるまで、いきなり標高差400mの急登となる。 山と高原地図での標準所要時間は1時間35分となっているが、ここだけで2時間掛けるつもりでゆっくり登っていく。 荒川小屋からしばらくは灌木帯の中だが、まもなく急斜面を斜上する山腹道となる。 3:50 目標物としていた標柱に到着 山と高原地図では35分のところを50分で到着。 やはり予想どおりに稜線に出るまで2時間は掛かるだろう。 前岳南斜面ではシカなどの食害防止用の柵に囲まれた、広大なお花畑を通過する。 扉を開けたら確実に閉まったことを確認しておく。 |
行程概要 地理院地図(電子国土Web) 新しいウィンドゥが開きます。 |
薄明るくなってくる頃にお花畑を通過 | |
明るい時間帯に通り掛かりたかったと思う、壮観なお花畑だった! 白み始めた空にきれいに映える富士山にも元気付けられる。 お花畑周辺も相当な急斜面だが、ジグザグにどんどん高度を上げていく。 |
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シナノキンバイかミヤマキンポウゲか、どちらにしてもとにかく素晴らしい! | |
昨年のちょうど今頃、立山で見たお花畑も見事だったが、こちらも感動的な美しさだった。 |
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4:39 前岳から派生する支尾根に乗る(2,950m) | 東側には荒川三山の盟主、悪沢岳が大きく見えてくる |
前岳から南東に伸びる支尾根に乗り上げて、やや傾斜が緩んでほっとする。 支尾根上からはきれいな三角錐の悪沢岳のシルエットが印象的だ。 日の出はちょうど悪沢岳と重なるようで、ご来光に関しては期待出来ないようだ。 支尾根に一旦乗り上げたが、その後は前岳直下の斜面を北へトラバースしていくようになる。 |
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5:00 中岳、前岳間のコル(3,040m)に到達 | |
しばらくトラバースを続けていると、ようやく待望の主稜線に乗ることが出来た。 ここまででちょうど2時間で読みどおりのペース。 早く出発したことで天候の心配なく、余裕をもって行程をこなすことが出来る。 コルは中岳と前岳のちょうど中間辺りにある。 ここから前岳間だけはピストンになってしまうが、ザックをデポするほどの距離ではないのでそのまま向かう。 |
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5:08 荒川前岳山頂(3,068m)到着! | |
かなり広い前岳山頂に到着!予想外に誰も居らず、また貸切の山頂だった。 南側には朝日を浴びる赤石が神々しい。 前岳から赤石間は聖から赤石間よりは近かったが、それにしても大聖寺平を挟んでのアップダウンは相当なものだった。 これで荒川三山(前岳・中岳・悪沢岳)のうちの一峰に到達。 |
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前岳山頂から中岳、悪沢岳を見通す | |
前岳山頂は素晴らしいところだが、中岳、悪沢岳を越えていかなくてはならないのであまり長居は出来ない。 ところで稜線に乗り上げた時から吹き抜ける風はかなり冷たく、ここで一枚上着を増やすことにした。 前岳からは塩見方面へ向かうことも出来る。いつの日にかぜひ縦走したいものだ。 5:22 荒川前岳山頂出発 歩いてきた稜線を先程のコルまで戻って中岳へ向かう。 |
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5:35 荒川中岳山頂(3,083.7m)到着! | |
前岳と中岳は近いのであっという間に到着。中岳も誰も居らず貸切だった。 先程まで居た草原状の前岳山頂がすぐ目の前にある。 荒川三山といっても、前岳と中岳は実質的には一つの山体とみても差し支えないかもしれない。 中岳は大きな岩が折り重なって、いかにもアルプスの山頂らしい雰囲気。 巨岩の一つに腰かけて小休止をいれていく。 |
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荒川三山の山頂で唯一の三角点。最高峰の悪沢岳には三角点は無い | |
5:44 荒川中岳山頂出発 山と高原地図によると中岳からコルまで30分、コルから悪沢岳までは1時間で合計1時間30分の所要時間だ。 もちろん自分の場合はもっと掛かるだろう。体が冷えないうちに中岳を発って東へ向かう。 |
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5:48 中岳避難小屋(3,060m) | |
中岳山頂からすぐに中岳避難小屋に到着。 この山域の避難小屋は東海フォレストが運営しており、簡易的な山小屋といった位置付けで素泊まりのみ可能(寝具あり)。 夏季は管理人も常駐し、山小屋のようにきちんとした食事はないが、軽食は提供出来るとのこと。 但し給水設備が無いので、近隣の山小屋で組んでおく必要があるので要注意。 また東海フォレストの施設利用券を宿泊費に充当することも出来る。 ここに関していえばロケーションは申し分ないが、自分はやはりテントを張れるところを選んだ。 避難小屋の前に来ると、ちょうど管理人の方が出てこられて少しだけお話しした。 いかにも山男という感じのざっくばらんな方。昨日は所用のために椹島まで下りていたという。 管理人の方に見送られて縦走を再開する。 |
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中岳からしばらくは快適な稜線漫歩が続く | 次第に尾根が痩せてくる |
悪沢岳へのアップダウンは比較的長く続く緩やかな下りで始まる。 コルまでの標高差は120mくらいあるので、逆向きに歩くと中岳へはそれなりの登り返しとなる。 風が吹いているところはまだ寒いくらいだが、地形によって風が遮られると日当たりが良いので途端に暑くなる。 風を遮って日陰を作ってくれる巨岩の横で小休止して、中岳でうっかり忘れてた日焼け止めを塗っておく。 この辺りから両方向にちらほらと登山者が行き交うようになる。 |
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6:19 2,973m標高点ピーク | |
2,973m標高点ピークまで来ると、行く手には次第に悪沢岳が大きく高くなってくる。 この後で下りが一段落すると、痩せた岩尾根を通過するが特に難しいところではない。 いつもなら写真を撮りたいところだったが、頻繁に対向の登山者とのすれ違いがあったうえに 不安定になっている三脚を安心して設置出来る場所に乏しくて断念した。 |
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6:31 2,920mコル | |
いよいよ悪沢岳へ向けての急登が始まった。 入山初日、聖平小屋のテン場でのお隣さんに「ここがキツイ!」と言われていた登りだ。 地形図をよく見るとコルからの標高差100mくらいが特に激登り。 山と高原地図によると、危険マークと共にガレた急坂と書かれているところだ。 コルからしばらくすると、更に傾斜が増して足場の悪い激登りとなった。 ここで三点支持で登るくらいの急な岩場に差し掛かった時にヒヤリハットがあった。 ちょうど初老の単独男性登山者が下りて来られたのだが、自分のすぐ上のザレたところでスリップして一瞬緊張が走った。 幸いにもこの方はスリップしかけたものの持ちこたえられ事無きを得た。 もしこの時に上の登山者が滑落してきたら、足場が悪いところに居た自分も巻き込まれていただろう。 これは間を開けることで登山者由来の落石に備えることと似ているかもしれない。 これから登る岩場の状況をもう少し観察したり、上から下りてくる登山者の動きに敏感になっていればニアミスは事前に防げたかもしれない。 この経験は安全に難所を通過するためにも忘れないでおきたい。 この100mの急坂は聞いていたとおりに色んな意味で難所だった。 |
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7:04 3,070m付近 | 悪沢岳まであと少し |
最も急坂なところを過ぎると、傾斜は緩くなって緊張感から解放される。 傾斜は緩くなっても、もう脚は相当疲れて重くなっているので、超スローなペースは変わらない。 登山道は一旦南側にトラバースしてから、主稜線の直上に戻ってくる。 西側には前岳、中岳の眺望が見事だった。 この山域の山では珍しく、甲斐駒に似て意外に白っぽい姿だった。 この辺りは悪沢岳の西の肩にあたるようで、ここから山頂までは標高差70m余りの緩やかな登りとなる。 |
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7:22 悪沢岳山頂(3,141m)到着!! | 山並みと雲海に突き出る富士山 |
肩からは順調に登ってきて、遂に悪沢岳山頂に辿り着いた! 山頂は相当に広く、巨岩が転がる岩稜帯となっている。 悪沢岳山頂ではまさしく全方位に感動的な大展望が広がっていて、これまでの苦労が一気に吹き飛ぶようだ。 まず進行方向の富士山に自然に目が吸い寄せられる。 悪沢山頂では逆向きの登山者3人がほぼ同時に到着されたが、短めの滞在時間ですぐに出発された。 ここでも殆どの時間が貸切となった。 まだ千枚岳まで稜線歩きが続くものの、これ以降は先を急ぐ必要はない。 悪沢山頂ではしっかりと時間をとって滞在していきたい。 ここまでザックの中でただの重りになっていた、望遠レンズの出番がやってきたようだ。 |
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悪沢より赤石、その後ろには奥聖も見える | 2日目から3日目にかけて歩いてきた稜線を一気に振り返る |
聖から観た時とまた違う雰囲気だが、改めて赤石の雄大さに圧倒される。 悪沢岳は南アルプス南部で最高峰、そして今回の山行での最高地点でもある。 どこを見ても圧倒されるばかりで、まさしく絶景だった! |
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越えてきたばかりの荒川前岳、中岳 | たくさん山を越えてきたと縦走の醍醐味に浸る |
なお悪沢岳は荒川三山の括りでは(東岳)とも呼ばれ、実際に地形図では悪沢岳のほうが別名扱いの記載となっている。 しかし前岳、中岳はともかく、主峰格の悪沢をどこにでもあるような東岳という山名で呼ぶには相応しくないと感じる。 深田久弥著「日本百名山」においても、東岳ではなくて悪沢でなくてはならないと触れられており、 百名山に執着しない自分もこのことに関しては同感。よってこのレポでも悪沢で通したい。 |
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南アルプス北部の山々も勢ぞろい | 少し前に登ったばかりの甲斐駒まではっきり見える |
北側も多くの山々が見えるが、中でも塩見岳の存在感が大きい。 そして甲斐駒は遠めに見てもやはり白くて美しい。 意外にも北岳は間ノ岳と重なっていて見えないようだ。 間ノ岳の南側には西農鳥と農鳥も居並ぶ。農鳥オヤジさんはこの夏も元気でやってるかな。 |
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伊那谷の向こうには中央アルプスの山々。後ろには御嶽も | 木曽駒と宝剣岳、そして千畳敷カールも見える |
自分にとって中央アルプスはまだ全く手付かずの山域。 あそこへ登る時もまずはロープウェイに頼らずに、伝統的ルートで稜線を目指したいものだ。 御嶽は最近の報道では噴火警戒レベルがまもなく1に下げられる予定とのこと。 自分もいずれは登ってみたい。 |
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雲海の向こうに乗鞍も | 更に北アルプスまで。やはり槍が目立つ。山々にはまだけっこう残雪が見られる |
この日はかなり空気が澄んでいて、望遠レンズの威力を存分に発揮出来た。 遠くの槍を観たら、また北アルプスへも行きたくなってくる。 |
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悪沢では縦走の最後を締めるに相応しい山頂滞在となった | |
8:08 悪沢岳山頂出発 約45分の滞在時間をもって、重い腰を上げて出発することにした。 今日の核心である悪沢山頂は踏んだものの、千枚岳までの稜線もなかなか楽しそうな道のりに見えた。 |
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悪沢山頂からしばらく岩稜帯が続く | |
悪沢山頂を起点としてほぼ同程度の大きさの尾根が二方向に伸びている。 まあ全く方角は違うし、ルート上に見える丸山が目印となっていて、視界がある時はまず問題はないと感じる。 それでも初めてここを下っていく自分の場合は、山頂を出発する時にどこを歩いていくのか確認作業が必要だった。 山頂から歩き始める前に周囲の岩に塗られているマーキングを見つけていく。一旦正しいルートを辿ることが出来れば問題は無い。 岩稜帯を下っていると、ツアー登山の団体も含めて続々と登山者が登られてくる。 部分的に巨岩が積み重なったところを通るが、かなり段差が大きなところがあって下りでは要注意だった。 |
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岩稜帯から快適な稜線へ | |
しばらく足場に注意の岩稜帯が続いたが、眼前に丸山が見えてくると一転して快適な稜線となる。 丸山の向こうには千枚岳も見えてきて、聖から長く続いてきた稜線歩きも終盤に差し掛かってきたと感じる。 |
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悪沢、赤石、聖と主役の三座揃い踏みとなった | 8:43 丸山山頂(3,032m) |
丸山辺りまで下りてくると、悪沢岳を近くで振り返ることが出来る。 また赤石、聖と最後に揃って見送ってくれたのが感慨深かった。 丸山はその名のとおり丸い山頂で、ここを起点にルートは大きく南寄りに向きを変える。 指導標によるとここから千枚小屋まで90分だが、この後予想外の難所が控えていて実際の所要時間はやはり長めに掛かることになる。 |
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丸山からも快適な稜線漫歩が続く | 南側には赤石、聖がまだよく見えていたが、そろそろ雲に巻かれそうだ |
丸山を過ぎてもまだまだたおやかな稜線が続いていく。 右手に赤石、聖を見やりながら、歩きやすい登山道を緩やかに下っていくという至福の時間だった。 丸山から千枚岳へは40分。このまま千枚岳に楽々辿り着けそうと錯覚してしまったが…。 |
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千枚岳へは少しだけ登り返しがありそう | 思っていたよりもかなり難所だった |
山と高原地図をよく見ると千枚岳の西側に危険マークと、岩場の痩せ尾根という記載がある。 そのとおりかなり際どいザレた箇所もあって、注意深く慎重に通過しないと滑落の恐れがありそうだった。 実際に過去には重大事故も発生しているという。 そのうえに予想外にアップダウンもあって、千枚岳に辿り着くまでに一汗かくことになった。 この間のアップダウンの1箇所で撮影を試みたのだが、三脚の雲台の調子が悪くて断念した。 カメラを縦アングルにすると、雲台が耐えられなくなっていることがこの時に分かった。 |
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9:36 千枚岳山頂付近 | |
偽ピークまであった難所だったが、どうにか千枚岳山頂西側の肩までやってきた。 越えてきたばかりの難所の岩稜帯の向こうには、丸山から前岳まで歩いてきた峰々が居並んで見送ってくれている。 この東側で登山道は千枚小屋へ下っていくが、千枚岳山頂はそのすぐ横にある。 |
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9:42 千枚岳山頂(2,880.3m)到着 | |
丸山から予想外に時間が掛かって、ようやく千枚岳山頂に到着した。 主稜線上では最後となる名のあるピークということで、難所を越えた安堵感と共にちょっと寂しい思いもする。 悪沢周辺はまだ快晴が続いているが、やはり今日も雲が上がってくるのは早いようだ。 千枚岳まで辿り着いたことで、もう先を急ぐ必要は全くない。 難所を越えた疲れもあったので、千枚岳山頂でしっかり休憩をとっていくことにした。 なお千枚岳西側の難所はどちら向きに歩いてもしんどいし、危険さの度合いはさほど変わらないと感じる。 千枚岳から千枚小屋へは標高差300m近く、所用時間は30分となっている。 しかし今の脚の疲れ方からするともっと掛かるだろう。 出発前にしっかりストレッチをして下りに備えておく。 9:57 千枚岳山頂出発 |
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千枚岳南側は再びゆったりした尾根になる | 10:08 稜線を外れて森林限界を下回る(2,810m) |
千枚岳の南側は比較的急斜面ではあるがジグザグで歩きやすい。 眼下には明日下っていく椹島付近まで続く尾根が長大な姿で見えている。 明日は越える山もなくて、ただ下るだけと気を抜いて構えるべきではないかもしれない。 山頂から70mほど下ってきたところで、遂に稜線を離れて山腹道となっていく。 これまで長く眺望を楽しませてくれていた赤石だったが、この時既に上部は雲に巻かれていた。 |
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木陰が有難い山腹道を緩やかに下っていく | 10:17 二軒小屋下降点(2,770m) |
遂に稜線を離れて千枚小屋へ続く山腹道を下っていく。 最終日に下る尾根は見えているが、千枚小屋はなかなか見えてこない。 まもなく久しぶりの分岐点である二軒小屋下降点に差し掛かる。 二軒小屋へは椹島へ下るより距離は短いものの、全般的に急坂のようだ。 二軒小屋は椹島より更に山奥にあり、また二軒小屋に宿泊しないと送迎バスに乗車出来ない規約がある。 こちらを歩く場合には更に余裕を持った行程を組む必要がある。 木陰の多い分岐だったので、ここでも小休止を入れておく。 |
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だいぶ下りてきて千枚小屋が見えてくる | |
普段なら何の問題もないはずの区間だろうけど、疲れた脚には長く感じる下りだった。 千枚小屋が見えてきてほっとした。 千枚小屋の周辺は柵を巡らせたお花畑が広がっており、見頃を合わせると壮観な光景となるだろう。 この時もお花は咲いてはいたものの、荒川前岳付近のお花畑を見た後だったので感動が薄れてしまったかもしれない。 |
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10:50 千枚小屋(2,610m)到着 | きれいな山小屋。ここなら山小屋泊でも良いかも。 |
ようやく最後の宿泊地、千枚小屋に到着した。 小屋の手前では椹島へ続く登山道が分岐している。明日朝はここから下っていくことになる。 昨日、百間洞を出発されたご夫婦はここまで一気に来られたのだから本当にすごい方々と体感した。 お昼前という時間帯なので、小屋の周辺は静まり返っている。 千枚小屋は近年建て替えられたようでまだ新しい。 さっそくテント、ではなくて素泊まりでの宿泊受付を済ませようとしたが、 この日の小屋の都合上12時以降でないと出来ないとのことだった。 仕方ないので小屋前のテラスでのんびり待つことにした。 昼前になって雲が多くなっていたが、まだまだ日差しもあった。 待ち時間を利用して小屋の方に許可をもらったうえで、びしょ濡れのテントをテラスで干させていただいた。 速乾性のテントは日に当てればどんどん乾く。これで明日背負う荷を少し軽くできるし、帰宅後の後片付けも楽になる。 テントを乾かすだけで幸せな気分になるのは自分だけ? すっかり乾いたテントをザックに収納して、12時になってから改めて宿泊手続きを行う。 入山時に購入した東海フォレスト施設利用券を提示し、同券の額面3,000円分を差し引いた金額で会計を済ませる。 この時、受け取った領収証をもって椹島ロッジで送迎バス乗車の受付が可能になるというシステムだ。 送迎バスはあくまで東海フォレストの施設利用客の利便を図るためのもので、緑ナンバーの路線バスではないので要注意。 つまり3,000円は「乗車運賃」ではないので、テント泊が基本の方は山行計画を立てる際にはどこかで山小屋泊にするのを忘れないように気を付けたい。 |
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案内されたのは百枚小屋(素泊まり棟) | こちらも比較的新しい建物のよう |
普通に1泊2食付きの小屋泊まりならきれいな千枚小屋で寝ることになったのだが、 寝具も食糧もある自分は迷わず素泊まり(5,500円-3,000円=この日に払ったのは2,500円)を選択。 百枚小屋は千枚小屋からちょっと奥まった高台(尾根筋に近いようだ)にある。 水場やトイレは千枚小屋のそばにあるが徒歩3分といったところで遠くはない。 百枚小屋は2段ベッドのドミトリータイプで、簡素な造りではあるが建物は新しく清潔感がある。 これなら4日間の疲れを抱える自分は充分に眠れそうだ。 ちなみに百枚小屋の横には月光荘というほぼ同規模の建物があって、 こちらは外から見たところ寝具付き?のようで少しだけグレードが高いようだ。 |
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百枚小屋横には素晴らしいテラスが! | 最終日に備えて最後の点検を行っておく |
百枚小屋で一とおり荷物の整理をした後、受付の際にスタッフの方に聞いていたテラスに出てみた。 すっかり分厚い雲に覆われていたが、赤石ビューの居心地良いテラスでちょっと感激してしまう。 結局、夕方までこのテラスでのんびり過ごすことが出来た。 自分の場合は当然節約が最も大きな理由で素泊まりなのだが、結果的に百枚小屋のほうがロケーションが抜群に良かった! ラジオを聴きながら、山と高原地図(「塩見・赤石・聖」、「日本アルプス総図」の2枚を持っていた)を眺めたり、 また使っているとどうしても緩んでくる三脚の細引きを締め直したり。 早着しようがやることはいくらでもあって退屈しなかった。 |
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千枚小屋・キャンプ指定地 | |
ここではテントを張れないが、やはりテン場は観ておきたいということで。 千枚小屋から少し奥まったところ、徒歩3分くらい下ったところにあった。 下調べどおりに森の中のテン場で展望が無いのは残念だが、その分涼しく過ごせるのは間違いない。 しっかり整地もされていて、斜めになっているところが少なくてテントを張りやすいだろう。 自分の場合は展望があるところを優先したが、何を重視するかによってテントを張るところを決めれば良いと思う。 |
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夕方近くには少しだけ赤石を再び観ることが出来た | |
殆どの時間は雲に巻かれていたが、一瞬だけ雲が途切れて赤石が姿を見せてくれた。 向かいには赤石小屋がほぼ同じ高さで東尾根上に見えていた。 テラスには時々、小屋のスタッフに案内された宿泊客が来られていたが、 皆さん一様にこちらのほうが場所が良いと口を揃えて言われていた。 そのたびに、場所は良いけどここでは食糧・寝具持参の素泊まりになってしまいますよ、と付け加えておいた。 山行4日目になって普通の食事が恋しい自分にとっては山小屋の食事は充分魅力的だった。 |
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夕方遅くなって、登りで若い男性3人パーティー(テン泊装備)と同宿になったが、それでも百枚小屋は充分ゆとりあるスペースで寛げた。 3人さんは自分とは全く逆向きにこれから聖を目指されるという。特に聖〜百間洞間が大変でしたと色を付けずに正直な感想をお伝えした。 今日はテン泊ではないものの、夕食は16時過ぎに済ませ、19時前には就寝といういつものパターンで過ごした。 明日は遂に椹島へ下山する最終日の行程となる。 山と高原地図によると4時間45分の下りだが、自分の場合は疲れもあるうえに撮影も含めてきっと1時間程度は余分に掛かるだろう。 それでもご来光を眺めた後で出発しても、椹島発13時、または14時の送迎バスに余裕で間に合うはず。 更に明日朝はテントを撤収する手間が無いので起床3:30とした。 |
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「聖岳から荒川三山縦走(5) 千枚小屋〜椹島下山」へ続きます。 |
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行程断面図です |