「氷ノ山国際スキー場から氷ノ山へ」 10年 6月10日(木)


国土地理院地形図
 : 25000分の1 「氷ノ山」

参考文献
 : 昭文社 山と高原地図 【氷ノ山 鉢伏・神鍋】
 : 神戸新聞総合出版センター 【 ふるさと兵庫50+8山 】




 氷ノ山は兵庫県最高峰でありながら、自分は山行は今回が初めてです。
但し、氷ノ山国際スキー場(氷ノ山の山麓から中腹にかけて展開)には
スキーが目的で何度か訪れたことがあります。
また、ハチ高原、ハチ北高原へは数え切れないくらいスキーに行っており、
そのたびに何度となく雪を被った姿の氷ノ山を遠望し続けてきました。
 今回は、冬山ではありませんが、今まで眺めるだけだった氷ノ山の
山頂を初めて目指すことにします。本当にわくわくしています。

 氷ノ山への登山口は何箇所かありますが、
今回の行程では便利な福定親水公園を利用することとします。
 アクセスは国道9号沿道から点在している「氷ノ山国際スキー場」の案内板を
辿るだけです。但し、スキー場の駐車場は通り過ぎますが。








 行程概要 (山中のルートは不正確です)


 7:25 福定親水公園(650m+) 出発

 公園にはトイレが完備。また登山届も提出できるようになっているので、ありがたく利用させていただいた。
無難な行程ながらも念のために登山届も出した上で、準備万端にして出発。
 ここまで運転してきた舗装林道は公園敷地の東側でカーブしてスキー場へと続いている。まずはそれを辿る。
梅雨入りが遅れているおかげで今日は最高の天気。但し、朝から日差しが非常に強く、無意識のうちに日陰を選ぶほどだった。

 自分にとって氷ノ山と聞いて、まず思い浮かぶのはクマのことだった。
実際、氷ノ山国際スキー場のマスコットキャラもクマなのである。
ということで単独行の自分としては、希少動物ながらも間違って会いたくない相手。
これまで段ヶ峰や比良などで使ってきたクマ鈴に加え、今日はもう一つ鈴を付けることにした。
もう相当にネコみたいに鈴音で賑やかなことになったが、これでクマにも聞こえてくれたらいいのだけれど。
 とはいえ、万一出会った際の対処法は、目を合わしたまま、ゆっくりと後ずさりする、ということは念頭に置いている。
死んだフリが通用するのは、自分も好きでよく見ている「よしもと新喜劇」だけだから間違ってもしないこと。

 スキー場までは舗装林道を登って約30分かかった。
氷ノ山国際スキー場は約10年ぶりで、オフシーズンに来るのはもちろん初めて。
おそらくスノースポーツと無縁の方にはただの草原にしか見えないと思われるけど、
スキーヤーの自分にとっては山頂と並んで楽しみなスポットとなっていた。








 7:55 氷ノ山国際スキー場、中腹付近(770m+) 到着

 舗装林道の先に草原が広がっていた。見慣れた雪景色ではないものの、一目でスキー場の構成を思い出した。
林道はロマンスコースとパノラマコースの間を緩やかにカーブして東へ抜けている。
雪の下はこうなっていたのか〜と、ささやかな好奇心を満たした思いがする。
 
 近年はずっと神鍋高原の万場、奥神鍋に通い続けており、氷ノ山国際は疎遠になってしまったが、
ここの距離の長い幅広の中斜面はなかなか楽しい。
10年ほど前には大回りで飛ばすことにハマっていて、ロマンスコースとパノラマコースをよく滑りつないで楽しんでいたものだ。

 上達の遅い自分でも10年という時間はスキーの嗜好を変化させるのには充分な時間だった。
今ならここからは見えていない、上部のチャレンジコースにチャレンジしたいと思う。

 なお、こちらのレストハウスでは、シシ肉カレーが名物になっていて食べたことがある。文句なしに美味しかった。

 それにしてもゲレンデを見ていると、無性にスキーがしたくなってしまった。
冬の訪れまでまだ半年あるのに、悪い時期に見てしまった思いだ。
気持ちを冬から夏に切り替えて、氷ノ山初登頂を目指すことにしよう。

 最後に、氷ノ山国際スキー場の最高所はチャレンジコースのスタート地点で1050m+。
目指す山頂からは程遠い。これまでゲレンデスキーをしていた限りでは、氷ノ山山頂は遠い存在だったのだ。
ところで今日の行程の前半では時折、このスキー場が視界に入ることがある。
スキー場の標高を把握しているために、この日だけは便利な高度計を持ったような感じだった。








 8:04 氷ノ山国際スキー場、中腹付近 出発

 舗装林道はスキー場の中央部分を横切って東へ向かう。
先ほどのロマンスコースの東隣には、少し小ぶりのゲレンデがある。
10年前は単に「ファミリーコース(初級向き)」となっていたが、今ではジャンプ台が設置されたパークになっていた。
しばらく来ていない間に、氷ノ山国際もより楽しいスキー場になっていた。

 スキー場を抜けた頃、舗装林道もダートの林道に変わった。








 8:09 東尾根登山口 (790m+)

 スキー場を抜けて間もなく東尾根登山口に到着。ここからようやく氷ノ山山頂に向けて本格的な山道に入る。
山道を前にして気持ちを切り替える。登山口脇には、これから時折現れる山頂までの距離を表示した標識がある。
ここから氷ノ山山頂までは3.9kmだった。

 ここから始まる山道は氷ノ山山頂からダイレクトに派生する「東尾根」を目指す。
林道をこのまま進むと、「まど登山口」へ行くこともできる。まど登山口からは東尾根の尾根歩きをより長い距離で楽しむことが出来る。
しかし遠回りすることで、次の目的地である東尾根休憩小屋までの距離は3倍になるようだから、素直にここから登ることにした。



 




 東尾根へ向けて比較的まとまった登りとなる区間。
等高線の詰まり方から、かなりの急坂を思い描いていたが、ちょっと拍子抜けしてしまった。
トラックは完璧に整備され、またジグザグに敷設されていて、とても歩きやすかった。
東尾根に乗ってしまうと尾根自体は緩やかな部類に入るようだから、ここが最もハードな区間ということになる。
もちろんコース取りによって違ってくるが、氷ノ山はとても登りやすい山だったんだなと納得した。
標高では低いはずの比良山系のほうが、よっぽど険しいところが多いと感じる。
(先日、急坂の小川新道や御殿山コースを歩いたところだから余計にそう思う)
標高だけでは判断できないものがあるのではないかと改めて考えた。




 8:40 東尾根休憩小屋出合 (1000m+)

 東尾根登山口から約30分で東尾根に乗った。
先に歩きやすいと書いたが、この区間で200m余りの標高を稼ぐのだから、楽々かというとそうではない。

 出合からは既に間近に東尾根休憩小屋が見えている。
朝日に照らされた白亜で可愛らしい山小屋は教会を想起した。

 小屋を明けてみると中は比較的きれいで、まあまあ快適そうに思えた。久々に小屋泊まりをしたくなった。

 小屋の前で数分小休止をとった。自分の間近ではクマバチがホバリングしている。

 この小屋も含めて、氷ノ山では要所要所で詳細な地図を含めた解説版が設置されている。
見どころ、所要時間、トラックの接続等々、大いに有用な情報源となっている。
次の目的地、神大ヒュッテまでは2km、氷ノ山山頂まで3km。逆向きでは、まど登山口まで1.1kmだそうだ。








快適そのものの東尾根

 東尾根休憩小屋からは、山頂に至るまで長大な東尾根を縦走することになる。
景観が開けるところはあまりないが、この緑のトンネルはとにかく見事だ。
六甲では感じられない山の奥深さを堪能することが出来る。

 ごく部分的に急なところもあるが、基本的には緩やかで、本当に尾根歩きが快適で楽しかった。

 まもなく「氷ノ山東尾根のツツジ群生地」を通過。
でも花期は終わった後だったようで、花も何もなかった(ように見えた)。
この氷ノ山行を思いついたのも、1、2日前だし致し方ない。








 9:23 一の谷休憩所

 これまでほぼ一直線に西に向かっていた東尾根だが、この一の谷休憩所付近で大きく南へ蛇行している。
「休憩所」だから小屋があるのを思い描いていたが、実際には休憩所を示す標識があるのみだった。
とはいえ30分近く東尾根を登ってきた。ちょうど木陰もあり風も通る、ということで居心地は良く、数分小休止をとった。

 その間に地形図の観察。
 東尾根上に描かれている破線道は、この後しばらく山腹をトラバースし、一つ南の尾根に乗り換えるようだ。
地形図上では遠回りに見えるが、あえてこのように山道を敷設した経緯を考えるのも一興と思う。








 この周辺は比較的等高線が詰まっているのだが、山腹道になっているおかげで、変わらず歩きやすかった。
そんな時に目に入ったのが、この三兄弟のような木。思わず撮影したくなった。








 9:45 人面岩

 まもなく「人面岩」に到着。なかなか複雑な造形をしていて、どこが顔に見えるのかはっきり分からなかった。
岩全体で一つの顔なのか、もしくはアメリカのラッシュモア山のように顔がいくつも並んでいるのだろうか。自分の感性では後者に見えた。








 人面岩を過ぎた辺りから、植生が笹原に変わってきた。
この笹はやたら背丈が高く、結果として周囲の景観を隠してしまっているほどだ。

 トラックの周縁部では、笹が刈り込まれていることに気付いた。
しっかり整備されていることに感謝しつつ、緩やかに登っていく。
人面岩から上は、中腹にある氷ノ山国際スキー場周辺と同じくらいに等高線が広がってきていて、
それは山頂まで延々と続いているようだ。山頂から東は緩やかで、西は急峻な氷ノ山の山容を思い出した。








10:06 神大ヒュッテ到着

 笹原を抜ける幅広のトラックの行き着いた先には神大ヒュッテがあった。
ヒュッテを過ぎたところが出合になっていて、大段ヶ平から登ってくるトラックと合流していた。
 木陰の中で一休み。すぐ横には水場もあって、顔を洗ってリフレッシュ出来た。




10:22 神大ヒュッテ出発

 もうここまで来れば、憧れの氷ノ山山頂までは1km。しかも変わらず緩やかな区間が続く。
その手前にあるという湿地帯も楽しみだ。

 この頃から、上空を盛んにヘリコプターが飛び交うようになった。
この氷ノ山で何かあったのだろうか。








10:30 古千本・千本杉の湿生植物群落

 神大ヒュッテを過ぎてしばらくすると、トラックはなんとボードウォークになった。
周囲は水分を含んだ黒土で、もしボードが無ければ、泥の中の行軍になっていたことだろう。
NZで膝下くらいまで泥に浸かって歩いた記憶が思い出される。

 周囲はあきらかにそれまでとは違う植生になっていた。
点在する杉はさほど大木ではないように見えたが、なかなかどっしりした幹周りだった。




10:56 みたらしの池出合を通過

 せっかくの見どころである「みたらしの池」だが通過となってしまったのは、寄り道が難儀に思えたためだった。
「みたらしの池」を示す標識に気付いて、その右側へ伸びる踏み跡を辿ろうとしたら、
急斜面のヤブの中に消えていた。斜面の下方を覗き込んだが、池は確認できなかった。
瞬間的に止めておこうと即決したのだが、このレポを作成していると、やはり見ておくべきだったという気持ちが出てきた。
怠け心が出てはいけないなと改めて思う。でもかなりの急斜面とヤブだったが・・。

 みたらしの池へ降りることは見送ったが、その急斜面の上からは、北方に視界が広がっていた。
この時、初めてハチ高原方面を見下ろした。何ともいえない気持ちだった。
この後、山頂で全方位を見渡せる筈だから、ここでは写真を撮っていない。








まもなく山頂だ。

 みたらしの池を見送って、まもなく行く手には氷ノ山山頂が遂に間近に見えてきた!
今まで遠めに見てきた山頂がもう手の届くところにまで来たと思うと無性に感動してしまった。

 その手前には古生沼がある。
もちろんそれに気付いて池の傍へ行こうとしたのだが、池の周囲はネットで閉鎖されていた。
この時池には目ぼしい花は無く、また思い通りのアングルで撮れなかったから撮影していない。

 古生沼もそそくさと後にして、改めて山頂へ向かう。








11:08 氷ノ山山頂(1,510m) 到着

 スキーを始めて15年来、見続けてきた山頂にようやく辿り着いた。
まだ山歩きをしておらず、スキーだけをしていた時には、ここまで登ろうとすること自体思い浮かばなかった。
そういう経緯で自分の場合、氷ノ山は近くて遠い山だったのだ。

 山頂周辺のロケーションは、それこそ最高の雰囲気だ。
兵庫県最高峰であり、日本200名山の一つにもなっているが、充分納得出来る。
じっくりと時間をかけて山頂滞在を楽しみたい。
慣れ親しんだハチ高原や、ハチ北のある鉢伏山を、氷ノ山山頂から初めて見下ろすことが今日最も楽しみなことだったのだ。








  
ハチ高原スキー場・鉢伏山遠望 (山頂避難小屋のテラスより)

 まるで箱庭みたいというのが率直な感想だった。
なだらかなハチ高原が手に取るように見えている。
ハチ高原から氷ノ山を見た時よりも、何故かスキー場がより近くに見えるのだが気のせいだろうか。

 ハチ高原は緩斜面が主体のスキー場ということで、スキーを始めて間もない頃に最もよく訪れている。
中学生の時のスキー教室で訪れたのが最初。それとイヤな思い出なのだが高校の宿泊訓練で訪れたところでもある。
ハチ高原のハイキングは良しとして、ひたすら軍隊のように行進させられたのは、あれは何だったんだ。
それでありがちなことなのだが、夜に一部の生徒が騒いでいた巻き添えで、同じクラスというだけで正座させられた等・・。
今で言えば充分に体罰にあたるかもしれない。
ということで自分にとって色んなことを思い出す高原なのである。




 いずれにしてもハチ高原の草原をぜひ歩いてみたくなった。

 ハチ北スキー場は鉢伏山山頂から北斜面に展開しているので氷ノ山山頂からは見えない。
有名な「北壁」は、ハイランドビューコースのちょうど裏側にある。
 09−10シーズンはいつものことながら暖冬だった。
シーズンの締めくくりにハチ北へ訪れるのが自分のパターンなのだが、雪が早々と無くなってしまい、昨シーズンはハチ北へ行けずじまい。
 今度、鉢伏山に登ったら来季の雪乞いをしたい思いだ。




 氷ノ山山頂には立派な一等三角点がある。角が欠けているのが痛々しい。三角点は大事にしたいものだ。
今までに自分が見た一等三角点といえば真っ先に六甲最高峰が思い浮かぶが、あそこのは殆ど埋まった状態なので、
見かけ上は氷ノ山のほうが大きく見える。








氷ノ山山頂より(同じく山頂避難小屋より)

 視野を広げてみると、氷ノ山から鉢伏山へ至る尾根を見渡すことが出来る。
その向こうにはニューおじろスキー場方面の山々。ニューおじろもスキーを始めた頃にはよく行った。
今ではゴンドラが新設されているが、10年程行っていないので自分は見たことがない。

 鉢伏山へ向かう尾根の途上には、氷ノ山越に白い山小屋が小さく見えている。
今回は氷ノ山越から福定親水公園へ下山するのだが、この景観を見て心に迷いが生じた。
ハチ高原まで縦走したいと思ったのだ。でも未踏の行程ではゆっくりとした道中を楽しみたい。
今から縦走となると忙しいので、機会を改めるべきだと思い直した。いずれあの尾根はぜひ歩いてみたい。




 山頂はそこそこの広さの広場になっているが、少し南に一段下がったところにも建物があった。
貴重なトイレと、2階部分は通風の良いテラスになっている。
そこからは北面とはがらりと違った風景が広がっていた。








二ノ丸方面を眺める

 山頂から南に派生する尾根は、東尾根と似てなだらかで準平原といえる尾根だった。
国道29号の戸倉付近へ通じているようだ。自分の中で次々と歩きたいところが増えていく。

 以前にやまあそさんのHPで拝見した雪原は、ここよりもう少し南の二ノ丸付近の冬の風景。
今までゲレンデスキーしか縁の無かった自分でも、静かな雪原の上を歩いて、そして滑り降りたくなった。
但し、自分は深雪を滑るのは得意とは言い難いので、楽しめる天候と雪質の条件は限られると思う。




 山頂には平成13年まで尼工ヒュッテもあったようで、それを顕彰する碑もあった。

 
          「尼工氷ノ山ヒュッテ跡」

 昭和27年、元陸軍測候所を譲り受け、ここ氷ノ山山頂に尼工ヒュッテが開設。
 平成13年8月、救難へリポート事業協力のため閉鎖。
 この間、兵庫県立尼崎工業高等学校同窓山岳会の避難小屋として尊い命を守り続けた。
 閉鎖にあたり、この功績を記念しここに設置する。

 平成13年8月吉日


 今日初めて来た自分には山頂の変遷は分からないが、この碑の付近は今では笹原に埋もれている。

 12時前、そろそろ出発しようと思っていた時に小学生の団体が続々と山頂に到着。
それまでハイカーがちらほら程度だった山頂は一気に賑やかになった。
これから1時間程度お昼休みになるようで、先生により諸注意がされていた。
遠足で盛り上がっている子供たちと入れ替わるように山頂を出発しよう。








12:08 氷ノ山山頂出発

 山頂広場は笹原に囲まれており、降りるところを間違えることはない。
氷ノ山越方面へ下る階段道へ進む。








 山頂から西はこれまでよりは傾斜が増しているが、トラックは完璧に整備されていてとても歩きやすい。
これから向かう氷ノ山越方面に飛び込むような爽快なシチュエーションの中を下っていく。




12:20 こしき岩を通過

 途中少し険しい岩場を通過した。通過した後に気付いたのだが、これがこしき岩だった。
振り返ってみると、すれ違ったハイカーの方が岩壁を登られているところが見えている。
氷ノ山越から逆に登ってきたらすぐに気付くくらいの巨岩だ。








12:27 仙谷口 (1380m+)

 こしき岩から少し下ったところが仙谷口。鳥取県側の「わかさ氷ノ山スキー場」から登ってくる仙谷コースと合流するところだ。
わかさ氷ノ山スキー場は高校の時に友人一家に連れられて1回だけ行ったことがある。
この仙谷コースが氷ノ山山頂までの最短コースのようだ。但し、自分にとっては登山口までのアクセスが少し不便だが。

 どこにしても氷ノ山の山域の登山口は、交通不便なところが多く、しかもコース取りによってはとんでもなく離れたところへ下山することになる。
路線バスを利用するか、もしくは友人等と車を2台使うとプランニングの幅を広げられそうだ。








氷ノ山山頂を振り返る

 仙谷口を過ぎたところはミニピークになっていて、氷ノ山山頂を程近いところに見上げることが出来る。
30分近く歩いてきたけど、まだまだ山頂の避難小屋がはっきりと視認出来る。
意外にもあまり東側から見た時と山容は変わらない。




 ここより氷ノ山越に至るまで、おそらく3組くらいの遠足の子供たちとすれ違った。
先に山頂に到着していた組と同じ学校かどうかは聞いていないが、氷ノ山は子供たちで賑わう山でもあったのだ。
鈴を2つ付けて歩いていた静かな単独行から一転。歓声の中、すれ違う先生や子供たちと挨拶を交わす賑やかな山行になった。
 子供たちに自分の格好を見て、インディージョーンズみたいと言われたのが印象的だった。
重装備の自分とは対照的に、子供たちはリュック一つで非常に軽装だ。
ちなみに、自分も小学校の時に山歩きの遠足に行ったことがある。(記憶が正しければ大船山だったと思う)
中学校の時には須磨アルプスから鉢伏山を歩いている。その時には山歩きに対する興味は全くなかったが。
人生、どう転ぶか分からないものだ。








ブナ原生林に包まれた尾根歩き

 氷ノ山越えまでは緩やかに下るが、尾根はブナ原生林に広く覆われ、雰囲気も抜群だ。
比良のブナ原生林も素晴らしいが氷ノ山も感動的だ。
子供たちとすれ違ったり、ブナ原生林での森林浴と、充実して楽しい尾根歩きとなった。








13:15 氷ノ山越到着

 氷ノ山山頂から実にゆったりしたペースで尾根歩きを楽しみ、1時間以上かけてようやく氷ノ山越に到着。
東尾根でも見た、小ぶりで可愛い山小屋が建っている。氷ノ山山頂から見えていた山小屋はこれだったのだ。
かなり遠くなったが、まだ氷ノ山山頂もはっきりと見えている。

 小屋の北側は四辻の峠になっていて、まさに氷ノ山の交通の要衝になっている。
北には歩きたくてたまらないハチ高原方面への尾根道。目の前のトラックを見て再び迷ったが、やはり時間的余裕が欲しいということで振り切ることが出来た。
当初の予定通りにここから福定親水公園へと下ることにする。

 下る前に小屋の前にあるベンチで小休止をとった。




13:32 氷ノ山越出発

 ハチ高原への尾根道に少々未練を残して出発。
氷ノ山越を経由して氷ノ山山頂へ至るこのトラックは、福定親水公園にある案内板では、健脚向きのハードなルートとして紹介されている。
氷ノ山越と親水公園は標高差は590m、距離は3.2kmということで歩き応えのある区間のようだ。
そのうえ、道中には数えてみると7箇所もの見どころがあるようで、これも下山に時間をとっておきたかった理由となっている。

 氷ノ山越から縦走尾根を外れて本格的な下山にかかるが、ここも例に漏れず非常に歩きやすい。
基本的には山腹道となっているところが多そうだ。氷ノ山越からもずっと樹林の中を歩くので視界は利かない。








13:49 弘法の水

 道中2箇所ある水場のうちの一つ。最初の「一口水」は本当に小さな支谷の小さな水流。
本当に飲んで大丈夫かなというのが第一印象だった。その時の水量にもよるかもしれない。
2つめはこの「弘法の水」だが、ここもこの日の水量は少なく、かろうじて樋から一筋垂れている程度。
ご利益がありそうな名前の水だが、手持ちの飲料水は残っているし、あえて飲まなかった。








13:56 とうろう岩

 水場の次は「とうろう岩」の展望地。
案内板によると、氷ノ山北斜面に「とうろう」の形をした巨岩が見えるという。
案内板に掲載されている写真よりずっと周囲の木々が繁茂して、見通しが利かなくなっている。
巨岩のはずだが、見つけ出すまでしばらく時間がかかった。
それでも目を凝らして木々の間に「とうろう岩」を発見することが出来た。
今日用意していたレンズでは小さくしか写せず、上記の写真はトリミングしたものを掲載している。
遠望だけではなく、付近を通るトラックがあれば間近で見てみたいが・・。








14:15 木地屋跡

 トラック脇に削平地が広がっている。
「木地屋」は見慣れない一般名詞だったので、一応調べてみたらやはり木の職人さんのことを指すようだ。
まだ麓までかなりあるが、このような人里離れたところに詰めていたということになる。
ちなみに氷ノ山越を経由する、この古道は「伊勢道(三重県の伊勢かどうかは諸説あるという)」といわれ、
古来より人の行き来は盛んだった模様。自分も旅行好きだけど、やはり昔の人は偉いなあと思う。








14:34 地蔵堂

 森の中に不意に現れた小広い削平地に地蔵堂があった。
もちろん昔からこのような建物ではなかったであろうから、近代以降に今の形に整備されたものだろう。
もちろん中はきちんとお祀りされている。




 地蔵堂を過ぎるとまもなく「不動滝」が見えてくる、と期待していたのだが・・。
「展望地」に着いてもトラックより遥か眼下の谷底にあって、手前に生い茂る木々に隠されて殆ど見えない。
一応付近を探索してみたが、滝へ降りることは不可能なようだった。間近で見たかったが残念だ。








15:06 布滝付近の出合

 不動滝が遠めにちらっとしか見えなかったので、残る布滝に期待して降りてきた。
この出合から左手奥に既に布滝が見えていた。しかし沢装備が無いと接近するのは難しいようだ。
でも先述の不動滝よりはよく見えたので、そこそこ距離はあるが一応撮影することは出来た。
橋の上からでも滝のおおよその姿は捉えることが可能だ。

 落差65mのすごく立派な滝だった。もう少し近くで見てみたいものだった。




15:20 布滝出発

 上記の出合からは布滝を経由するトラックと、親水公園へ直行するトラックの二手に分かれる。
時間的余裕があるので今回は前者を通って下山することにした。
きちんと整備されてはいるものの、山腹道の幅は狭く、途中には滑りやすい岩場があったりするので、のんびり散策というにはちょっと語弊があるかもしれない。








15:29 にんじん滝

 布滝を眺める橋から引き続き左岸をしばらく進むと、思いがけずこのにんじん滝に出会うことになった。
布滝は数十メートルの距離から見るしかなかったが、このにんじん滝は小ぶりながらも至近距離で見ることが出来る。
滝姿と名前がどうつながるのかが不思議な滝だ。
写真では写っていないが、手前には小さな堰堤などの人工物が散在し、周辺の雰囲気はあまり良くない。
とはいえ、今日の行程では、最も近くで見ることの出来る滝として貴重な存在かもしれない。




 にんじん滝を最後に、後は植林の中を下っていく静かなトラックになった。
まもなく布滝周辺で別れたトラックと再び合流する。




15:37 キャンプ場

 降りたところは福定親水公園に付随するキャンプ場になっていた。
テントを張る料金は600円のようだ。キャンプ場には小川も流れており、
グループで楽しむにはなかなか良いところだと思う。








キャンプ場にある多田ケルン

 キャンプ場の中を通って、出発地の親水公園駐車場へ。
朝よりけっこう車の台数が増えていた。




15:51 福定親水公園到着

 初めての氷ノ山でしたが、無事につつがなく行程終了しました。
今日歩いたルートが最も一般的なパターンのようです。
日の短い時でもゆったりとしたペースで楽しめると思います。
 次回はハチ高原も含めて行程を考えてみようと思います。

 氷ノ山は冬だけでなく、夏でも十二分に楽しめる山でした!
でもスキーをしていることで、より楽しめる山域だと気付きました。








行程断面図です




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