「東部御津山脈縦走」 11年12月11日(日)


国土地理院地形図
 : 25000分の1 「網干」


 〜 はじめに 〜

 前回、天下台山から御津山脈の西部を縦走し、ワイルド感抜群の
縦走路の魅力を堪能しました。今回は最東端から室津に至るまでの
東部御津山脈を縦走することにします。しかし、想像以上に楽しい
行程で今回も時間不足。山脈中央部を残す結果となりました。

 当初の計画で下山地となるはずだった室津に自転車をデポ。
登山口の揖保石見神社には駐車スペースが無いので、
少し北の王子神社に駐車させて頂いてから登山開始です。

 今回の行程で通過する山名は「播州野歩記」さんのレポを参照しています。




 6:57 王子神社出発

 王子神社から車道を歩いて揖保石見神社へ向かう。
揖保川西岸沿いの道は幅が狭いところがあって、
時間帯によっては交通量も比較的多いので要注意。









 行程概要 (山中のルートは不正確です)



 御津山脈縦走路は必要最小限のマーキング、道標、案内板はありますが、踏み跡薄く
ヤブっぽい箇所、枝道が多いです。地形図とコンパスによる読図は必須と思われます。
今回、自分も一箇所でルートを外しました。

 行程短縮のために室津まで自転車を回収しに歩きましたが、当初より岩見で下山と
していても両登山口間はかなり離れており、何らかの移動手段が必要と思われます。




 7:08 揖保石見神社

御津山脈最東端の麓に位置する神社で、境内に登山口がある。
少し探してすぐに北西隅に見つかった。

 登山口前にてウォーミングアップなど登山準備を整える。
冬を思わせる冷え込みで、もしかしたらこの山行が今年最後になるのではという予感だった。








 7:19 御津山脈縦走路、中島登山口出発

 道中はやや不明瞭なところが見受けられる縦走路だが、登山口だけは分かりやすくなっている。
前回下山した柏公園からはかなりの距離があり、いずれは通しで縦走してみたいという思いになる。

 御津山脈最東端は等高線の幅が広く、尾根に出てしまえば快適に縦走出来そう。
でも尾根の南斜面はそれなりに斜度があって、ロープが張られているところもある。
トラックは意外なほど整備されていて、縦走路は場所によって様相が大きく異なると感じる。




 神社からの標高差は30mほどなので、あっけなく尾根上に到達。
北西方向の尾根には縦走路が続いているが、南東にも道が伸びている。
展望に期待してちょっと立ち寄ってみる。








 7:28 御津山脈最東端の岩尾根

 御津山脈の最東端は展望抜群の岩場となっている。
播磨灘へと流れ出る揖保川の眺めが見事だ。写真では意外にも細い流れだが、東岸のように見えるのは中州であって実際にはもっと大河である。
ところで、この岩場には注連縄が施されているご神体?の岩もあって、麓の揖保石見神社と関連した聖域のように見受けられる。

 いきなり好展望が楽しめるところにやってきたが、縦走は始まったばかりなので早々に出発しよう。








御津山脈縦走尾根の始まり

 神社から尾根筋に到達した出合まで戻って縦走開始。
尾根は緩やかでも揖保川に面した東斜面は急峻な崖状になっている。
雰囲気は觜崎の屏風岩付近によく似ている。向きは逆でも北方には龍野にある寝釈迦の頭部まで見えている。
しかしこちらは人の立ち入りが多いのか、崖上には手すりが設置されている。
尾根道にはあまり相応しいものではないと思うが、安全上仕方がないのだろうか。








緩やかで快適な御津山脈縦走路最東部

 展望が得られるのは最初だけで、すぐに静かな雑木林の中の緩やかな登りとなる。
植林は全く無く雰囲気はとても良い。朝日を背にして爽快な序盤となった。

 最初の目標である権現山までは、等高線も数えやすい緩やかな登りが続く。
足の調子を整えるにも理想的な歩き始めとなる。鉢伏山へのコンクリート階段の急登で始まる六甲縦走とは対照的だ。








権現山山中に点在する古墳群

 雰囲気の良い雑木林歩きに古墳群巡りも同時に味わえる縦走路だった。
比較的小規模で保存状態にも差があるが、とにかく数が多くて次から次へと現れる。
これはその中でも比較的良好な状態で残っている古墳で、剥き出しにはなっているが石室の形状は健在だ。

 御津山脈縦走路はありのままの古代の遺構に触れられる稀有の縦走路でもあった。
自分はまだ行ったことがないが、飛鳥の石舞台古墳は公園状に整備されて入場料も取るようになったという。
それに比べるとこちらは知名度が低いだけで、同じように古代の遺構を身近に感じられる良いスポットと思う。







 8:01 権現山山頂(140.3m)到着

 撮影しきれないほどの古墳群を見ながら歩いていると、あっけなく権現山山頂に到着。
展望はあまり無いが、北方に少し窓が開いている。
三角点の周囲は広場のように切り払われて、大団体でもゆったりと寛げそうだ。

 体が冷えない程度に小休止をとる。まだ一つめのピークに到達しただけで、縦走はまだまだ先が長い。




 8:14 権現山山頂出発

 山頂からは西方に縦走路が続いている。念のために方向を確認してからスタートする。
これまで同様に雰囲気の良い雑木林の歩きが楽しめるようだ。
次の目標の塚黒山まではごく緩やかな傾斜のまま、-50m、+10m。








 権現山古墳群51号墳

 権現山の山頂に位置するこの古墳は、平成元年に発掘調査を行い、
五面の三角縁神獣鏡と特殊器台形埴輪・特殊壺形埴輪、他に銅鏃・鉄鏃・鉄剣・
鉄槍先・鉄鎌・鉄斧・ノミ状鉄器・鉄鋸・砥石・ガラス小玉・紡錘車形貝製品・木製枕・
土師器が出土し、有名になった古墳です。

 古墳時代前期の前方後方墳で規模は全長42.7m、後方部の幅28m、前方部の
幅22.8m、くびれ部の幅6.3mを測ります。
 この古墳は畿内中枢政権の地方進展のあり方を考える上で重要な古墳の一つです。

 平成11年3月

 山崎営林署 御津町教育委員会

 8:17 権現山古墳群51号墳

 権現山山頂を出発して間もなく、不意にトラック沿いに古墳に関する案内板が現れる。
どうやらこの案内板の直前に何気に通過した盛り上がったところが古墳の後方部のようだ。

 この権現山は古代は古墳が全山に展開する特別な山だったようだ。
まだまだ郷土には解明されていない歴史があるものだ。




 8:19 王子神社出合

 案内板のすぐ西で標識もある出合に差し掛かる。
車を停めている王子神社からもここまで直登出来るようだ。
この山域もバリエーションルートが多いようだ。








 8:26 塚黒山山頂(100m+)

 次の塚黒山は等高線からのイメージよりはずっと明確なピークだった。
ここから少し北寄りに向きを変えて、車道の通る峠へと下るようだ。








 8:34 60m+コル

 塚黒山から降り立ったところは明確で雰囲気の良い峠道の残る60m+コル。
でも今日では峠付近に車道が走っていて、ただ峠の雰囲気を楽しむだけでは済まないところだ。
とりあえず峠を越えて西側へ向かうも、絶壁で行き止まり。
峠道の南北にはどちらにもマーキングがあって、二者択一を迫られる場面となった。
こういう時は第六感で南を選択。峠道はすぐに不明瞭になったが、どうにか車道に出ることが出来た。








碇岩北の峠道の新道

 峠の少し南側で車道に出てきた。今回の山行を計画するまで全く存在を知らなかった車道だが、意外なほど頻繁に車が通る。
次は車道の西側にあると思われる縦走路の続きを探すがなかなか見つからない。
西側の擁壁周辺をじっくりと観察するが、よく考えたら登山口は目立つようになっているはず。
そう考えて峠を越えて少し北へ下ると、ロープが垂れ下がっている登山口を発見。
そして逆の東側の道端には塚黒山へ向かう登山口も続けて発見。
自分の感は外れたが、とりあえず峠道の現状を広く観察出来たので良しとしよう。

 車道が通った時に旧峠道の西側が掘削され、コルのすぐ西で尾根は分断された模様。
コル周辺の尾根は幅は広いが、やや北寄りのところでトラックが通じていることが分かった。




 8:42 車道の登山口より北山の奥山へ向けて出発

 峠の西側も意外なほど明瞭なトラックが続くが、これまでよりも少しヤブが目立つようになってくる。









 緩やかに登るにつれて周囲の景観が開けてくる。御津山脈最東部のピーク群が見送ってくれる。
これまでとは違って背の低い木々が多くなり、展望の尾根歩きを予感させる区間に突入する。
でも日当たりの良い分、所々ヤブっぽいトラックにもなってくる。
道が拓かれる前にここを歩くのは難儀だっただろう。

 この辺りを歩いていて気付いたが、今日は前回と違って、意外にも少し霞んでいて遠望は効かないようだ。








 9:06 北山の奥山山頂(151m)

 緩やかな登りのまま、北山の奥山に到着。三角点は無いが標高点が描かれているピークで地形的には明確だ。
ピークからは更にヤブっぽいトラックが北方に分岐している。
この山域も尾根という尾根にルートが拓かれていることが伺える。

 151m標高点ピーク自体はトラックがヤブを貫通しているのみだが、少し通り過ぎたところでなかなか素晴らしい山岳景観を得ることが出来る。








御津山脈縦走路の峰々が勢ぞろい

 里山の雰囲気抜群だった北山の奥山までとは、明らかに雰囲気が変わってくる。
このアングルだけを見ていると、やっと200mを越える山々とは思えない山岳景観だ。
そして目指している室津はまだまだ先だということも伝わってくる。
この頃から場合によっては行程を短縮する可能性があることを意識し始める。

 北山の奥山から碇岩北山までは南寄りに弓なりに伸びる吊り尾根を歩いていく。
とりあえず、眺めも日当たりも良いこの辺りで小休止をとっていくことにする。




 9:21 北山の奥山付近を出発

 展望溢れる区間は程なく終わって、110m+コルの前後は再び雑木林の中を歩く。
日なたに慣れた身にはちょっと肌寒く感じる。








 110m+コルを過ぎると再び森も途切れ、碇岩北山本体への登りとなる。
暖かい日差しに包まれて、快適にピークを目指すことが出来る。








碇岩北山付近からの景観

 先週とは違って少し霞んでいるのは残念だが、緩やかに伸びる御津山脈東部の景観を楽しめる。
東にはまだ歩いたことのない京見山まで見える。

 御津山脈縦走路は東部で大きく2本に分岐する尾根のうち北側を通っている。
地形図を見ると南側の尾根も普通に歩けるようだが、途中で採石場があるようなのが気になるところだ。








 9:42 碇岩北山山頂(201m)到着

 好展望の登りを経て碇岩北山に到着。地形図で見るよりもずっと広い。
三角点は山頂のど真ん中にあるが、ブッシュに隠れていてちょっと探す必要があった。
三角点の周囲は疎らに木々があって全方位を見渡せないが、
少し離れると別々に景観を楽しむことが出来る。

 また北山の奥山と同じように、ここも縦走路以外にも四方の尾根へルートが通じているようだ。








碇岩北山から西方を眺める

 三角点から少し離れたところの一つでは、前回歩いた天下台山周辺の山々も眺めることが出来る。
その手前には碇岩北山から派生する西尾根で到達出来そうな160m+ピークがきれいな三角錐の山容で見えている。




 9:56 碇岩北山山頂出発








碇岩北山から御津山脈中央部を見渡す

 碇岩北山の南側は御津山脈中央部の峰々が勢揃いで見えてくる。
山越しには播磨灘も覗いていて、前回に続いて縦走欲を掻き立てられる景観だ。

 碇岩北山からは前述した南側の尾根に乗り換えるという、読図のし甲斐がある珍しい局面に入る。
揖保石見神社から辿ってきた北側の尾根とはこれでお別れになる。これから南側の尾根まで順調に辿れるかどうか楽しみだ。
南側の尾根の一角にあたるのは稲富山だが、そこに至るまで120m+ピークを挟んで2つのアップダウンを乗り越えなければならない。

 手始めにまず80m+コルへ急降下を開始する。
碇岩北山の南斜面は等高線が混んだ急坂が続くが、山頂直下の岩場はジグザグに調子良く下れる。
しかし岩場が一段落すると、逆にトラックは険しさを増していった。








80m+コルへの急降下

 南斜面は相当な急斜面だったが、コルまでは本当に一直線に下っていく。
ロープの手助けも借りて、ずり落ちるように下っていく。
逆向きに登るとなかなか険しい局面だろうけど、下りでもなかなか緊張感のあるところだ。








10:12 80m+コル

 急降下を終えたところが80m+コル。地形図では碇岩と馬場を結ぶ破線道も描かれていて、昔からあった峠道のようだ。
今ではたまにハイカーが降り立つ以外は静寂に包まれているが、良好に残っている切通しからは往時の往来の様子が想像出来る。
コルの両側は切通しによる崖状となっており、ロープにも頼ってコルへと下っていく。

 碇岩北山側から降り立ったところには、手製の「煙草注意」と「山脈縦走路」の案内板があって良い目印になる。
生涯喫煙本数ゼロの自分には全く意味の無い注意書きだが、「受動喫煙に注意」と受け取ることも出来るだろう。
タバコなんか早々に一箱千円くらいにすればいいのに。

 反対の南側は目立つ目印が無いが、よく見れば登っていくよう誘うマーキングが見受けられる。
日の射さないコルは寒いので、方向確認をしてからすぐに登っていく。








120m+ピークへ向けて登り返し

 碇岩北山からの下りよりは斜度が緩いが、その代わりにシダ藪を掻き分けていく場面が続くこととなる。
北斜面なので日も当たらず、気分的にも少し陰鬱になってしまうところだ。
燦燦と日が当たっている碇岩北山とは対照的で、おかげで背景は白トビを起こしている。








10:25 「御津富士」の展望所

 80m+コルからの登り返しが一段落した頃、北側の展望が開けていることに気がついた。
そこには「御津富士」と書かれた案内板もある。そのとおりに北側には碇岩北山がきれいな山容で見送ってくれる。




10:30 120m+ピーク

 展望所の辺りからは傾斜も緩くなってきて、西寄りに向きを変えつつ120m+ピークに到着。
地形図どおりにここは無名峰で、山頂のモニュメントなどは一切無し。
テーブル状の平らな地形からピークに到達したことを感じさせるのみである。








120m+ピークから南側の景観

 ピークの南端からはこれから登ることになる稲富山が大きく見えてくる。
少し南には送電線鉄塔もあって、現在位置がピンポイントで特定出来る。
この局面と地形図の先読みからは、この先が少し要注意ポイントであることを想像するのは難しかった。

 120m+ピークからの下りも等高線は広いが、藪っぽいのは相変わらずだ。








10:34 切り開かれた巡視路に飛び出る

 送電線あるところに巡視路があるということを改めて思い出させるところだった。
この出合はT字状になっており、自分の今後の行き先からすると「岩見梅林」を示す西側を進むべきところだった。
しかし念入りに方向確認していたことが、この時に限っては裏目に出た。
稲富山へは90m+コルを経由して南東の方角へ向かうことなるが、巡視路も同じような方角へ進むように感じたのでこれを辿ることとなった。








10:39 ルートを外してしまう出合

 落ち葉が積もっている地面でもヌタ場の泥が付いていることから、明確な踏み跡と認識する巡視路が道なりに続いている。
稲富山へ向かうよう右手へ進路を変えることを期待して歩いてしまったが、考えてみれば巡視路だから次の鉄塔を目指して東へ向かうものだ。
結果的には上記の写真の場面が方向転換しなければならない出合だったのだが、それに気付くまでもうしばらく時間がかかることになる。

 この辺りは幾筋かの窪みが見られる。最初は峠道かと思ったのだが、
付近は水気が多いことから、もしかしたら川の跡ではないかとも想像出来る。




10:46 一つ東の送電線鉄塔に到達。誤りに気付いて引き返す。

 結局巡視路を辿っていると稲富山へ辿り着けないことを確認出来た。
稲富山から派生する北東の尾根上には居るが、尾根には密生したヤブが遮って直登は不可能。
仕方なく引き返しながら、見落としたはずの箇所を探していくことにする。




10:51 上記の出合に戻ってくる

 上記の出合まで戻って来た時に、西側にマーキングを発見。
ここで90度西へ方向転換することに気付いた。これは分かりにくいが、とにかく気付けて良かった。








10:54 稲富山北麓の四差路 (90m+)

 上記の分かりにくい出合から緩やかに登っていくとすぐに交差点状になっている出合に到着。
ここが以前から使用されている峠道かどうかは分からないが、西へ下ると馬場へ下山出来るようだ。
ここに立った時に思い当たったことがあって、碇岩北山方面へと逆戻りで歩いてみた。
すると、やはりすぐに巡視路に飛び出たところに戻った。
あの時に道標に従っていれば、すぐにここまで来れたことを確認した。

 今回の教訓は、あまりに巡視路が明瞭過ぎたことで、逆に視覚吸引効果をもたらしたことではないかと思う。
巡視路は頼りになる存在ではあるが、登山を目的に通されたトラックではないことを認識しておかなければならない。




 90m+コル周辺では紆余曲折があったが、これで間違いなく稲富山を目指すことが出来る。
コルからの標高差は約90mだが、等高線は比較的詰まっているところもあって、ちょっとだけ気合が必要だ。

 稲富山北斜面では階段程度の段差の石積みの遺構が見られた。
山城の土止めとしては明確過ぎるような気もするし、何の遺構か自分には分からない。








11:06 稲富山山頂(177m)到着

 程ほどの登りを経てようやく稲富山山頂に到達。
尾根を乗り換えるというちょっと複雑な場面だったが、碇岩北山から1時間と少しで乗り越えることが出来た。

 御津山脈縦走路は稲富山山頂で90度西へ向きを変えるが、山頂から東へもマーキングが見られる。
前述した自分が気になった南尾根も続けて歩くことが出来るようだ。いつの日にか試してみたいものだ。




 稲富山まで到達したところで既に11時。残り所要時間を考えると、やはり今回は岩見坂で行程を終了させることにしよう。
自分の場合は、歩行時間に加えて撮影時間まで必要になるので、今の時期は余裕を持ってプランを組む必要があることを改めて実感した。




11:13 稲富山山頂出発

 岩見坂までで行程を終了させると決めたことで、残るピークはあと2つとなった。
まずは南西にある160m+ピークを目指すことにする。
-30m、+20mのアップダウンで到達出来るようだ。

 稲富山山頂を示す177m標高点はピークの東端にある。しばらくはほぼ平坦なピーク上を歩くことになる。








11:17 戌谷砲台跡

 170mの等高線が終わろうとする頃、石が散乱したところに出てくる。
戌谷砲台跡と手製の案内板がある。砲台といえば、幕末か先の大戦のどちらかの遺構ということになるだろうけど、
ここの情報は全く無くて詳細は不明。遺構からすると幕末の可能性が高いように見えるが・・。

 ここよりマーキングは2方向に分岐する。
一方は南。もう一つは西。南だと伊津へ下山する尾根に乗ってしまうと思われるので、
西方向へと下っていく。微妙に北寄りに曲がるので、地形図と見比べると分かりやすいと思う。
この砲台跡の出合では道標は一切無かった。








11:22 140m+コル

 稲富山(177m)と160m+ピークの間は幅が広いので、コルと呼ぶには少し違和感を覚えるが便宜上そう呼ぶことにする。
140m+コルは想像もしていなかった竹やぶが広がっていた。
京都の庭園みたいと形容してみたいが、立ち枯れたり倒れている竹も多くて少々殺風景なのが残念だ。
竹やぶには明確な切り開きがあって迷う心配は全く無い。

 この竹やぶで雨が降ってきたみたいな音が聞こえてきた。
耳を澄ますとどうやら竹同士が風で当たって生じているものだと気付いたが、空模様は少し怪しくなってきた。
岩見坂までで切り上げると決めたものの、空模様も心配な山行になってきた。




 竹やぶを抜けると、トラックはそのまま山を降りて岩見梅林を目指すようだ。
しかし尾根は続けて160m+ピークへと伸びている。
ピークへ向かうには障壁となる何かがあるのかと心配になったが、行けるところまで行ってみようと尾根での縦走を継続する。








160m+ピーク北斜面を登る

 160m+ピークが近づくとマーキングすら皆無となった。
どうやら正規とされている縦走路も160m+ピークは通過しないようだ。
それでも歩き良い雑木林が続くので、方向を確認しつつ歩いていく。
160m+ピークへの約20mの登り返しは短いがけっこう急だった。




11:33 160m+ピーク到着

 急坂だが短い登りの後で160m+ピークに到達。
ここで縦走尾根は90度向きを北西へと変えるようだ。
正規ルートからは外れているようなのでピーク上にはマーキングも何も無く、ただ境界標のみが立っている。
展望も何も無いピークだが、自然林に囲まれて居心地は抜群だ。
これから下っていく方向を確認してから小休止に入る。








11:42 160m+ピーク出発

 160m+ピークからは方向確認したとおりに北西に向けて下山開始する。








160m+ピークからの激下り

 160m+ピークからの下りはかなりの急坂で、木々を掴みつつ下っていく。
それでも麓までの標高差は30m弱なので、枝葉の向こうに建物が見えている。
どういうところに降りるのか分からないが、さほど時間は掛からないだろう。
ヤブに行く手を阻まれるのではないかという心配も杞憂に終わった。








11:49 岩見梅林に降りてくる

 行く手が開けたところはどうやら梅林の中のようだった。
今は寂しい光景だが、あと2ヶ月ほどすれば観光客も訪れる賑やかな場所になるのだろう。
数年前、恐ろしいほどの暖冬の年には保久良神社付近で梅林を見たことがあるが、
基本的に自分はスキーシーズンの最盛期に山行をするのは難しい。








11:53 三叉路を西へ

 梅林の中央部と思しきところに出てくると舗装路が3方向に分かれている。
岩見梅林に来たことがない自分にとって、こういう時こそ読図のしどころだ。
この写真正面に見える緩やかな尾根が、次に目指す175mピーク(通称X山)から派生しているものに違いない。
基本的に文系の自分にとって、“X”や“Y”といった代数はあまり好ましい印象ではないが、
一応通称となっているようなので、このレポでもこの山名で記述していくことにしたい。

 このコルが100m+だから、X山 までの標高差はたいしたことはない。
但しどういうトラックなのかが問題なのだが・・。
とりあえずX山へ通じている舗装路を登っていく。








11:59 X山に向けてヤブへ踏み込んでいく

 周辺は萬景園の鐘楼や播磨灘を望むなかなかの景勝地だった。
開発途中で放置されたっぽい造成地を横目に見ながら登っていくと、
行き着いた先はこのようなヤブが待っていた。
案内等は一切無いが周辺の地形や方角から、X山を目指していることは間違いない。
ヤブの向こうを覗き込んでみると、意外にも明瞭なトラックが隠れていた。
間違いないようで安堵しつつ、緩やかな尾根を登っていく。









 X山を目指す縦走路はヤブに覆われてはいても、踏み跡は見て分かる程度には明瞭だ。
地形図どおりに緩やかな尾根ではあるが、お世辞にも快適に歩けるトラックではない。








X山付近から東方を振り返る

 あまり期待はしていなかったが、このように景観が開けるところもあった。
鞍部にある岩見梅林の向こうには、先程歩いたばかりの160m+ピークと稲富山が並んで見えている。








12:13 X山(175mピーク)到着

 元々緩やかだった尾根が殆ど平坦になったところがX山山頂だった。
山頂はトラックが通り抜けるだけで、あまり達成感を呼び起こさせるようなところではない。
ここが本当に山頂かどうか、少し進んでみて確かめたほどだった。
このレポUPは正月明けになってしまったが、クリスマス前の山行ということで緑と赤の光景を柄にもなく入れてみた。








X山山頂付近にて

 ピークは座るところも見出せないというか、座ったらトラックを塞いでしまうし展望皆無。
少し進んで下り始めたところで展望が開けたので、この光景を眺めながら昼食とオカリナを楽しむことにした。

 西には当初の予定ではこの後目指すはずだったY山が大きく見え、海際はカーブが続く七曲りが見える。
X山は岩見梅林側から見ると平凡なヤブ山でしかないが、西側に出てみるといきなりの絶景を見晴らすことが出来る山でもあった。




 



13:12 X山出発

 約1時間、X山で心ゆくまで滞在してから出発。
岩見坂の舗装路脇に目的の登山口があることは分かっているので、山頂から下る標高差は100mほど。
ただ詰まった等高線からはその道中の困難さが予想される。

 山頂付近からしばらくはまだ等高線の間隔が広く、そしてトラックも明瞭だった。
そして、ここで滞在したら良かったと思わせる岩場に到着する。








13:19 岩見港、七曲りを見下ろす

 山頂付近からよりも、より開けた展望を楽しめる岩場だった。
Y山の急斜面が正面に目立ち、七曲りを疾走する車やバイクが手に取るように見える。
岩見坂で縦走は一区切り付けるとはいっても、自転車は当初の下山予定地だった室津に置いているので、
この後で七曲りをウォーキングしなければならない。

 トラックは岩場に出たところを最後にして、その続きをすぐには見つけられなかった。
しばらく岩場の周囲を探索して、すぐ南側から続きが始まっているのを見つけた。
この岩場辺りから急斜面に加えて深いヤブという、なかなかタフな区間が始まった。








X山西斜面の御津山脈縦走路

 前回歩いた西部御津山脈よりも更にヤブは深かった。
一応踏み跡は見て分かるので、枝道の有無など周辺の状況を見ながら、
そして時折方向確認もしながら下っていく。
そんな時に縦走路を示す案内板が現れて勇気付けられる。

 事前の読図では、南へ伸びる尾根を利用するのかと予想したが、
真っ直ぐに急斜面を西へと下っていく雰囲気だ。








Y山の麓へ飛び込んでいくようなシチュエーション

 一瞬、木々が途切れたところもあって、そのような日当たりの良い場所ではこのようなシダヤブに覆われる。
三脚でシダを払って地面の様子を確認しながら下るといった感じの道程となる。




13:35 小さな古墳

 行程序盤で見られたような石室が不意に現れる。
古代の御津山脈は至るところに古墳があって、例えてみれば「飛鳥三山」のような殊の外重要な山だったのかもしれない。

 古墳の辺りから急斜面は一段落し、岩見坂からと思われる車の走行音も明確に聞こえてくる。
しかし、ヤブっぽいトラックはまだまだ続く。進路は先程までの西からいつの間にか南を向いている。








シダの次は笹ヤブ

 背丈を越えるほどの笹ヤブにトラックが覆われている。
いつまで続くのかイヤになってきたが、ふと横を向くと電柱が自分よりも高くなって近くに見える。
もう岩見坂の車道のすぐ横に居ることに気付いた。








13:44 岩見坂・X山登山口到着

 予想以上に難行軍だったX山からの下山だったが、無事に岩見坂の登山口に到着。
登山口は車道脇にあってよく目立っている。一部は舗装されているが一体何のためだろうか。

 ここで今回は山行終了となるので、スパッツやマップケースなどの一部装備を解く。

 そして、2012年に課題を残すことになった、御津山脈中央部の下調べとして
Y山への登山口を探索しておく。このX山登山口より少しだけ北に上がったところで容易く確認出来た。




13:55 X山登山口出発

 もちろん歩きは初めてだが、岩見坂と七曲りを室津へ向けてウォーキングを開始する。
大体のところには歩道があるが、一部は路側帯を歩くことになる。
交通量はかなり多くて歩いていてあまり楽しいところではない。








七曲りからX山を見上げる

 麓からは想像出来ない縦走路が走っている山だった。
でも絶景が得られる山でもあった。








14:43 室津到着

 ほぼ読みどおりに約50分で室津に到着。
友君橋の欄干にデポしておいた自転車を回収し、出発準備を整える。

 冬の西日に照らされた室津港はなかなか趣があった。




15:54 室津出発

 先程まで歩いた七曲りを今度は自転車で逆戻りしていく。
風を切ってカーブを曲がっていくのは本当に爽快だ。
七曲りの途中にある道の駅御津で小休止をとる。臨時の駐車場が埋まるほど大勢の観光客で賑わっている。
山行スタイルの自分は明らかに場違いな雰囲気だ。
 道の駅では屋台の焼き牡蠣から発する塩辛い匂いが充満していた。
自分はあまり好んで食べないが、牡蠣好きな方にはたまらないスポットではないだろうか。

 岩見を過ぎるとあとは普通の街路になる。




15:43 王子神社到着

 前回とほぼ同じ所要時間のサイクリングで、懐かしい駐車地の王子神社に戻ってくる。
今回もどうにか明るいうちに行程を終了させることが出来た。

 出発準備を終えてから、神社周辺を下調べしておく。
この神社にも登山口があって、ここから権現山へ直に登ることができる。
尾根に出たところが古墳の案内板のあるところのようだ。

 東部御津山脈も実に味わい深い山域だった。








 〜 終わりに 〜

 今回が2011年最後の山行となりました。
2回続けて御津山脈縦走路を歩きましたが、想像以上に中身の濃い行程でした。
中央部は未踏のまま残してしまいましたが、2012年の課題としてとっておきたいと思います。

 基本的に雪が無くならない限り、冬が終わるまでは山行は休止とさせて頂きます。
2011年の当サイトのレポにお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
2012年の山行再開の折には改めて宜しくお願い致します。








行程断面図です



室津から王子神社まで約10km。今回もサイクリングで戻りました。

BACK

inserted by FC2 system