「河鹿コースから神元神社」 明神山 2013年 4月27日(土) |
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国土地理院地形図 : 25000分の1 「前之庄」 〜 はじめに 〜 寒かったけどなかなかまとまった雪が積もらないという、 自分にとってはハラハラし通しのスキーシーズンが終わりました。 ということで約4ヶ月半ぶりの山行となります。 今回はテン泊練習も兼ねて1泊2日で歩いていますが、 今はまだ慣らしが必要と思い日帰り装備の軽装での山行となっています。 約5ヶ月前の昨秋に初めて裏明神に足を踏み入れ、その魅力と難しさを堪能しました。 中でも河鹿コースの下りは難路を強行突破する羽目になったことで、より安全なルートを いち早く確認したいと思っていました。 ということで、前回と逆向きに登りで河鹿コースを歩いてみます。 そして神元神社コースは下りは要注意の尾根ですが、一度登りで歩いているために 自分にとっては良い読図練習というか復習になることでしょう。 |
行程概要 (山中のルートは不正確です)![]() 明神山西山麓はルート不明瞭、及び紛らわしい踏み跡が散見される箇所が多くて読図必須です。 河鹿コースは主尾根に乗り上げるまでが要注意。未確認ですが大観峰から南にもルート、及び登山口があります。 一方、西の小明神から神元神社へ通じる尾根は、多くの支尾根を派生させているために、特に下りは読図必須です。 |
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6:25 馬谷地区東端に車を停めて出発 前回と同じく馬谷地区東端の道端の空きスペースに駐車。 下山地となる神元神社付近に駐車するほうがベターでしたが、ここのほうが周囲の方のご迷惑にならないのではと判断。 まだスキーシーズンが終わって間もないので、車はスキーキャリアも付けっぱなしだしタイヤはスタッドレスのままという状態だ。 まさに二足のわらじ状態での山行シーズンのスタートとなった。 今回より7年近く履き続けたレザーの登山靴に変わって、スカルパのゴアテックス製の登山靴を新調している。 日本アルプスでのテン泊山行を想定しての選択なので、今までより足首のホールド感やソールが頑丈になっている。 今回の山行では新しい登山靴の慣らしも兼ねている。 前回の自身の山行や、その時に偶然出会った 【 かみかわ登山日和 】さんの情報を通じて、 河鹿コースの麓の部分は幾通りかのルートを選択しなければならないことが分かってきた。 【 かみかわ登山日和 】さんが歩かれているルートは、林道のより南側の駐車場に近い登山口がある模様。 ここだ!と見極めることが出来ればそちらから。確信が持てない場合は、前回に自分が目星を付けたドロドロの広場の登山口を選択することにする。 ということでまずは 【 かみかわ登山日和 】さんの登山口を見つけようと、じっくり観察しながら歩いたのだが、 ここかな・・というところは目に留まったが確信までは持てなかった。 |
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6:39 林道終点の広場。(河鹿コース登山口の一つ) 前回と逆に林道を緩やかに登っていくと、いつでもマディーな状態になっている目を付けておいた登山口に到着。 水たまりには何やら黒いものが動いてるな思ったら、オタマジャクシの大群だった。 それはともかく、この登山口は明瞭な踏み跡があってやはり踏み込みやすい。 ちなみに前回自分が下ったのはもう少し明神山寄りであり、イメージとしては尾根通しのルートだった。 殆ど道なき道を切り開く状態だったので、絶対にお薦め出来ないし自分としても二度と同じルートを取り得ることはないだろう。 |
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登山口からしばらくは非常に明瞭だったのだが、途中からややシダが生い茂るようになって、 踏み跡も不明瞭というか拡散傾向。右上には狙っていた尾根の稜線が見えるので、 あとは数メートル範囲でルートファインディングしながらの歩きとなる。 |
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7:01 山腹道から尾根へ いつしか山腹道を辿っていたが、岩肌が露出する尾根に乗り上げることが出来た。 ここは何となく見覚えがあって、高い確率で前回下った河鹿コースの支尾根であろうと感じた。 一応読図を行って確認するが、確信を持てたのはこのすぐ後。 |
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前回下った支尾根に乗ったことが判明 尾根に乗ってすぐに馬の背状の岩場に到達。もちろんここははっきりと記憶にあったので、 今自分が間違いなく前回下った尾根に居ることが分かった。 岩場からは逆行気味の朝日を浴びた明神山が出迎えてくれる。 この支尾根に無事に乗るまでが今回の核心部だったといえる。 見晴らしの良い岩場なので、ここで小休止をとっていくことにした。 靴紐を締めすぎたせいか、右足の踵がちょっと痛かったのでちょっとだけ緩めてみる。 |
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部分的にはコース取りが難しいところも 支尾根に乗って一安心というところだが、この支尾根も快適に歩けるというわけではない。 途中に現れる水平道は上を目指すものではないようなので、歩きにくいところをトラバースするために使う。 |
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登るにつれて展望が開けていく支尾根 この支尾根も安定したルートは無いので、適当に歩きやすいところを見極めながら登っていく。 途中からは岩場が多くなるので、前回自分もそうだったように麓に誘い込まれやすいというか、 今回は逆にどんどんと高度を稼ぐことが出来るようになる。 支尾根の西側には「大観峰」と呼ばれる389mピークがよく目立つ。 【 かみかわ登山日和 】さんのルートを辿ることが出来れば、あのピークに直登出来るはずなのだが、 自分のルートだとあえて立ち寄らなくてはいけないだろう。 |
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7:38 河鹿コースの主尾根に乗り上げる 前回と同じ地点、「鯰岩」にて河鹿コースの主尾根に無事に到達することが出来た。 前回とは打って変わって、美しい新緑に包まれた2つのピークを眺められる。 支尾根を登り切ったタイミングでもあるので、ここで小休止をとっていくことにした。 自分にとっては今年は少し早くスキーシーズンを終えたおかげで、 この新緑が美しい季節を歩くことが出来た。 でもコブが楽しい春スキーも滑りたいし、とはいえ新緑の山も歩きたいし困ったもんだ。 |
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7:48 明神山に背を向けて大観峰へ 行程からすると寄り道ということになるのだが、その名前と好展望であることに惹かれて大観峰へ向かう。 「鯰岩」から見ると、それなりの距離と標高差に感じるが、実際に歩いてみるとさほどではない。 部分的にはロープに頼るところもあるが、大部分は快適な極楽尾根であり、登り返しも20m程度と短い。 |
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8:01 389mピーク「大観峰」到着 20mほどだが急坂を登ると「大観峰」に到着。 明神山と西の小明神という鋭鋒の揃い踏みが印象的で、山名通りの大展望だった! 今回のルートからは少し外れるロケーションになってしまうが、わざわざ立ち寄る価値は充分にあると思う。 しかもこの清々しい新緑の光景は本当に素晴らしい。 行動食のパンを食べながら、しばらく滞在していくことにしよう。 なお大観峰から南側にも明確なルートが続いていて、読図通りに大観峰を起点にくの字にルートが曲がっている。 いずれはこのルートも下って、林道のどこに下り付くのか見てみたく思う。 8:11 389mピーク「大観峰」出発 大展望を満喫して大観峰を出発。ここから明神山山頂まで河鹿コースの主尾根を登りきる。 既に一度下りで歩いているし、主尾根に乗り上げるまでが難所だから、もうさほどの緊張感はない。 新緑を楽しみつつ、体と登山靴の慣らしのために、いつもよりはゆっくりめで登っていくことにした。 ということで明神山愛好会の山名板に書かれているように、山頂まで1時間では着いていない。 |
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静かな尾根歩きを満喫出来る河鹿コース 主尾根上は登りで歩くと特に難しいところはなく、各所で展望や岩尾根歩きを楽しめる。 |
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段々と西の小明神と肩を並べていく 河鹿コースからは西の小明神を各所で見ることが出来て、標高を測る良い目印になる。 それにしても、紅葉も素晴らしかったが、新緑の西の小明神も負けずに美しい。 |
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段々と明神山が近づいてくる この辺りからAコースを歩かれている方々の声も聞こえてくる。 2、3箇所で支尾根を派生するミニピークを通過するので、下りで歩く際はちょっと注意が必要となる。 |
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新緑が映える西の小明神 |
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明神山に近づく河鹿コース 河鹿コースの主尾根は緩急が非常にはっきりしている。 急なところもあるが全般的には歩きやすい尾根だ。 登るにつれて咲き残ったツツジも楽しむことが出来た。 暑がりの自分にはやはりこの時期の山行はとても貴重な機会だと思う。 |
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10:00 河鹿コースを踏破してAコースへ合流 いつしか尾根は山腹に同化し、最後はやや急な登りを経て河鹿コースは終わる。 前方に右下方から張られているロープが見えてきて、ちらほらと登り中の方も見受けられる合流地点に到着。 Aコースから河鹿コースへ誘導する指導標等は全く無い。 やはり麓付近の不明瞭さが河鹿コースが主要コースになっていない理由と思う。 とりあえずせっかくだから明神山山頂を踏んでおこう。 それまでと打って変わって、急坂でもよく踏まれたトラックを登って山頂へ。 |
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10:07 明神山山頂(667.9m) やや雲が多めながらも、晴れ間がのぞく山頂に到着。 GWではあってもまだ時間が早いからか、人出はさほど多くはなくゆったりと過ごすことが出来た。 今日の山行では予想通りだが、他の方と出会えたのは明神山山頂のみだった。 山頂で居合わせた方々としばらく山談義してから腰を上げて出発する。 10:25 明神山山頂出発 下山は西の小明神経由、神元神社コース。 5ヶ月前の記憶を辿りつつ山頂から下っていく。 |
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10:30 Aコースのロープを外れる 何となく見覚えのあった光景を見てロープを跨ぐ。 この取付き付近にあったマーキングは外されていたが、テープが付いていた形跡は分かった。 昨年は付いていたテープが外されたのは、安易に踏み込むことがないようにとの配慮からと思う。 |
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明神山西斜面は浮石が多いガレ場 この付近は登りでも要注意だが、下りは特に足の置場に注意したい。 新しい登山靴はソールが固くて厚いので、やはり岩場を歩くと本領を発揮するようだ。 従来よりも足元がすごく安定しているのを感じる。 ところで自分はスキーを通じて体幹を鍛えることの重要性を強く感じており、 その意味では山歩きは貴重なトレーニングの場にもなっている。 視線は足元から数メートル先のルートファインディングと、これから辿っていく西の小明神へ続く尾根が始まるところを見据える。 昨年最後の山行で紛失してしまったおかげで、コンパスも新しいものになったが、リングの部分がゴムになっているのですごく磁北線に合わせやすくなった。 おかげで読図もよりスムーズに行える。それと命綱ともいえるコンパスを絶対に落とさないように、カメラバッグにしっかり括り付けるようにした。 頻繁に確認するものだから、ポケットへ入れるより胸元にあるほうが便利だ。 やはり失敗から得ることは多いと思う。 |
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徐々に近づいてくる西の小明神 明神山、西の小明神間の尾根のアップダウンはさほどではないが、 一部に急坂もあるしコース取りが難しいと感じるところも。一度逆向きに歩いたとはいえ油断は禁物だ。 |
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11:10 「お座敷岩」到着 前回から目を付けておいたが、ここはなかなか良い小休止スポットだ。 新緑に包まれながら、陽だまりの岩場で過ごす時間が堪らなく良かった。 11:20 「お座敷岩」出発 あまりゆっくりし過ぎると、この後の登り返しがしんどくなるので程々で出発。 西の小明神への登り返しはかなり急だが、標高差は大きくないので短時間でクリアできる。 ちなみに西の小明神の南東斜面をトラバースすることが出来るようだが、 今回は一応ピークを踏んでおきたかったので直登する。 |
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11:28 西の小明神(556m) 短いがなかなかタフな登りを経て西の小明神へ辿り着く。 全開の展望は無いが、新緑越しに見る明神山もなかなか美しい。 お座敷岩で休んだところなので、取って返すように南側への激下りへ。 前回の山行では南側斜面はトラバースしているので、短いけど初めての局面だ。 雑木林の中に巧みにルートが付いていて、転げ落ちるような急坂を下っていく。 |
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11:35 長いロープ場でクリアする崖 激下りの最後には高度感のある崖があって、長いロープが垂れ下っている。 前回の山行でも下からは存在を確認していたロープ場だ。 高いところが好きな自分にはなかなか楽しいアトラクションとなった。 ロープ場よりも下りきったところにある、細い張り出しになっている山腹道をへつる箇所がちょっと緊張する。 |
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神元神社コースの主尾根に乗った 西の小明神からの激下りをクリアすると、そこは神元神社コースの尾根だ。 行程半ばにある三角点ピークに達するまでは標高差はあまりなくて、快適に歩ける尾根が続く。 とはいってもこの尾根は曲がりくねりながら、支尾根の派生を繰り返すので、下りで歩く場合には良い読図練習になるだろう。 |
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12:06 447mピーク到着 幾度かの程々のアップダウンを経て、447mピークに到着。 地形図上では南北に細長く閉じた等高線から広いピークのように見えるが実際の地形は変化に富んで険しい。 三角点はテント一張り程度のスペースしかないピーク北端にある。 大部分は険しい岩場で構成されており、基本的には東側にある巻道を利用する。 でも各所の岩場からは大展望を得られるので、ただ巻いて素通りするにはもったいないところだ。 |
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447mピーク中央部の岩場より ここから眺める明神山はかなり尖がっており、西の小明神と共に大きく全景を眺められるのが素晴らしい! 小休止には南端の岩場が最も居心地良かった。 麓の馬谷や莇野の集落がよく見えている。辿っている尾根もまだまだ先が長いようだ。 12:34 447mピーク出発 南端の岩場からのロープによるガケ下りから始まる。 岩の隙間に垂れ下ったロープを利用するのだがここは足場に乏しい。 岩場はやはり登りよりも下りで通過するほうが難しいと感じた。 岩場をクリアすると、再び5ヶ月前の記憶を辿りつつ逆向きに下っていく。 神元神社コースの尾根は三角点ピークから下のほうが複雑な地形になるので、最後まで油断は禁物だ。 朝は右足踵が痛く感じたが、紐の締め方を少し緩めたらいつの間にか痛みはなくなっていた。 気が付いたらすっかり新しい伴侶とも馴染んだようで、しっかりと地面を捉えて歩くことが出来ている。 |
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ヤブっぽい箇所を通過して360m+ピークをトラバース 以前に一度詳述しているので簡略するものの、要所だけは押さえておきたい。 写真では分かりにくいが、倒木の箇所は通りやすく枝を落としてくれている。 ここは例外的に登り方向だと分かりにくくなると感じた箇所だが、下り方向で見ると明確な切り開きとなっている。 |
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あえて主尾根を外して支尾根に乗り換える320m+付近 | 支尾根の支尾根に向けて、右へ30度緩やかにカーブ |
マーキングも散見されるが、本当に読図の醍醐味を満喫させてくれる尾根と思う。 自分の場合は登りで歩いた経験がまずあって、そのうえで読図をしてからマーキングで先読みと照らして答え合わせをするという流れ。 全くマーキング無しの場合でもしっかりと歩けるだろうかと自問自答しながら下っていく。 |
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5ヶ月前と状況が変わらない倒木帯を通過 | 山旅の終わりには緩やかに広がる裾野を通過 |
今日は例年になくけっこう気温が低くて、日陰では寒いくらいだった。 でも麓が近づくにつれて、段々と暖かくなっているのを感じる。 考えてみれば昨年の12月初めのドカ雪(昨冬最初で最後だったが)、そしてGWの寒の戻りといい、 スキーシーズンを外して寒くなっているような気がする。間が悪い気候としか言いようがない。 |
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13:32 尾根の末端、神元神社に到達 なだらかになった尾根をそのまま辿っていくと遂に神元神社が見えてきた! 周辺は再び倒木帯となっているが、少し東へ逸れると難なく作業道へと降り立つことが出来る。 神元神社の境内では八重桜?が見ごろを迎えていた。 花見をしながら小休止をとる。 13:46 神元神社出発 静かな集落の中の道を緩やかに登って東の駐車地へ。 13:55 駐車地到着 約7時間30分の行動時間をもって、本年初の山行は無事に終了。 車に戻った後は同じ明神山の東山麓にある夢やかたキャンプ場へ。 昨秋の氷ノ山以来、約半年ぶりとなるテン泊練習だ。 |
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キャンプ場はお客さんの層はオートキャンプの方のほうが多いが、テント自体の数はちらほら程度。 やはり1回目と比べると、設営もスムーズに出来たように思う。 日が落ちるとかなりの冷え込みだが、シュラフにくるまると十分に暖かい。 既に満腹になっていたことと疲れもあって20時過ぎには就寝。山ではないけど夜は早い。 明朝は一応5時起床が目標だが、テン泊練習では何故か朝に弱くてまた寝過ごしそうだ。 |
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〜 終わりに 〜 前回に宿題を残していた河鹿コース下部を部分的にクリアにすることが出来た、今年初めての山行でした。 一度逆向きに歩いていたこともあって、心にゆとりをもって新緑の裏明神を堪能出来ました。 しかし全線にわたって、よく踏まれて安定したルートではなく、 読図しながら歩いてこそ楽しめるところと思います。 次の日はあまり人が多く入っていなさそうなことでは共通する、近くの禿の行者山に向かいます。 |
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行程断面図です![]() |