「水剣山」 2013年 5月 5日(日)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「山崎」


参考書籍 : 
【 宍粟50名山 〜 天空回廊 1000mの風にのって 〜 】 神戸新聞総合出版センター刊

 昨年に上記の本を購入していましたが、自分はまだ50名山の多くが未踏です。
その中でも山崎に比較的近いところにある、かっこいい山名の水剣山に惹かれました。
円形に周回ルートを取れますが、急登のアップダウンが多いタフな山行になりそうです。
GW後半の連休の中でも好天の日を狙って出掛けました。
今回も一応日帰り装備ですが、GW前半同様に1泊2日テン泊山行です。

 なお諸事情により、ボッカトレは6月から開始する予定です。




 行程概要 (山中のルートは不正確です)

 

 今回は宍粟50名山紹介ルートを辿っています。
全線にわたって必要な整備がされていますが、読図をしながら歩くとアップダウンも楽しめます。

 5:35 大谷地区・配水施設出発

 大谷地区を抜けたところの排水施設前には2台程度の駐車スペースがある。
この日に水剣山を歩いたのは多分自分だけだったと思われるが、
もしここが満車でも林道を少し進んだところが広がっていて数台は余裕で駐車可能になっている。

 いつもと違って休養十分だったので、殆ど日の出と同時に山行を開始することが出来た。
早朝の清々しい空気のおかげで、単調な林道も気持ちよく歩くことが出来る。
本格的な山道が始まる登山口まで、谷沿いを進む未舗装林道を緩やかに登っていく。








 5:45 西尾根・東尾根登山口

 次第に林道の周辺の谷の地形が開けてくると、まず手前に西尾根、次いで東尾根の登山口が現れる。
西尾根150分、東尾根180分とは山頂までの所要時間と思われる。所要時間だけを見ると普通ならば西尾根を選択するところだが、
今回は参考書通りに比較的展望が良いという東尾根から反時計回りに歩くことにする。

 林道は登山口から上方へも伸びていて、地形図には水剣山山頂直下まで破線道が描かれている。








両尾根の途中までは送電線巡視路

 林道からはやや荒れた植林の山腹という印象を受けるが、そこはさすが送電線巡視路ということでかなり整備されている。
地形図ではかなり詰まった等高線だが、実際にはけっこう歩きやすくて調子良く登れる。
山行前に2日間完全休養したことも影響したかもしれない。








 6:11 東尾根に乗った

 見込みよりもかなり早くに尾根に到達した。
レポ中では参考書に準じて東尾根と表記しているが、東側には並走する別の尾根がある。
地形図を見るとこの後に通り掛かる808mピークから派生し、ずっと南の長水山まで続く長い尾根だ。
今回の行程で歩く尾根よりもずっと大規模なもので、しばらくはこの尾根を視界に入れつつ登ることになる。








長水山の山容に惹かれる

 尾根を登っていると背後に整った美しい山容の長水山がよく見えてくる。
戦国時代には赤松氏庶家の宇野氏が拠った山城跡があり、いずれは歩いてみたい山の一つだ。
山崎近郊には長水山城以外に篠の丸城という山城もあり、
既に歴史に興味があった小学生の時に、山崎の親戚にどちらかに連れて行ってもらった記憶があるがおぼろげではっきりしない。








 6:36 東尾根送電線鉄塔(570m+)到着

 まもなく周囲が開けて、獣避けネットを通り抜けると送電線鉄塔に辿り着いた。
鉄塔越しにではあるが、長水山周辺を広く見渡せる好展望スポットだ!
山崎近辺も歩きたくなりそうな山がまだまだありそうだ。
黄砂でも飛んでいるようで遠景はさっぱりだが、せっかくだから時間を取って休憩したい。




 6:53 東尾根送電線鉄塔(570m+)出発








緩やかな東尾根登り

 次の目標は反射板があるという808mピーク。
角度的にはちょうど正面のはずだが、見えているのは尾根の途中にあるミニピークのようだ。
東尾根は多くの区間はほどほどの傾斜のようで、気持ちの良い尾根歩きが楽しめそう。








 7:00 「七本カシ」

 送電線鉄塔からさほど遠くないところにある「七本カシ」。
「四姉妹」とかは見たことがあるけど、ここまで兄弟が多いのは初めてだ。








自然林に包まれた穏やかな場面が続く東尾根

 朝日に照らされながらの気持ちの良い登りが続く。
新緑の中にツツジが各所で咲いていて目にも楽しい。
でももう少し展望が開けるところがあれば、というのが正直な感想だ。
もし北西方向に視界が開けると、水剣山が見えるはずなのだけど。








 7:31 770m+ピーク

 今日の行程では初めてとなる、等高線が閉じたミニピーク。
木々の枝越しにではあるが、北には808mピークと思われる盛上り。
そしてすぐ東には長水山へ通じる長い尾根が見えている。

 ピークを出発して小さなアップダウンを過ぎると、すぐに長い尾根と合流。
808mピークまであと少しの登りだ。この辺りは短い時間に大きく方角を変える。








 7:42 808mピーク

 それまでの自然林に包まれた尾根道からぱっと明るくなって、巨大な反射板が立つ808mピークに到着。
東側のみ好展望で明神山が見えるが、ちょうど反射板の台に被ってしまって写真では分かりにくい。

 高く登ってきた朝日に思いっきり照らされるが、一旦ザックを下して小休止をとっていこう。








 7:54 808mピーク出発 水剣山が行く手に姿を見せてくれる 

 まだ朝8時前だが日当たりが良くて暑いので出発する。
ルートの続きはピーク北端にあたる808m標高点のすぐ横から始まる。

 下り始めてすぐに水剣山が初めてその姿を見せてくれた!
距離はもう大したことはないが、地形図で見る限りでは100mほどの急な登りが控えている。
一方、808mピークからの下りも短いがなかなかの急坂。








表情豊かな吊り尾根

 808mピークと水剣山をつなぐ吊り尾根は、750m+の等高線が長く伸びる区間。
でも例にもれず小刻みにアップダウンを繰り返すうえ、歩いていて退屈しない見どころが続く。
この大マツ?は惜しくも枯れてはいるが威風堂々としている。








短いが楽しい岩稜帯も 西尾根にある766mピークが見えた 

 先ほど出発したばかりの808mピーク、そして行程後半で通り掛かる766mピークなどを見ることが出来る。
岩稜は安全な巻道がしっかりあるので、難しいところは全く無い。








水剣山本体への激登りが始まる

 大きなアップダウンの無い吊り尾根は程なく終わり、徐々に傾斜が増してくると水剣山が近づいてきたということ。
登るにつれて急になってくるので、最後の最後まで気は抜けない。
それでも距離、標高差とも長くはないので、思ったより早くに激登りは終わった。








 8:35 水剣山山頂の稜線に乗り上げる

 激登りが一段落すると、T字状の分岐に行き当たる。
水剣山は三角状に3つのピークが並ぶ珍しい山になっていて、とりあえずまずは北東ピークを踏んでおこう。








水剣山北東ピーク(880m+)

 分岐からすぐに北東ピークに到着。ピークは鬱蒼とした雑木に包まれており、落ち着いて腰を下ろせる雰囲気ではない。
3つのピークの中で一応最も標高が高いので、見方によってはここが水剣山山頂としても間違いではないようだ。
視界も北側は全開であり、黒尾山がさほど離れていないところに見えている。

 すぐに分岐まで戻って、今度は水剣山山頂へ。








 8:44 水剣山山頂(872m)到着

 3つのピークの中で、三角点があることによってだろうか、便宜上山頂として扱われている水剣山山頂に到着。
お馴染みの宍粟50名山の山名標も出迎えてくれる。

 まだ北西ピークを踏んでいないけど、せっかくの山頂なのでゆっくりしていこう。
今日はオカリナも持ってきているので、久しぶりに練習もしていける。








水剣山山頂からの景観

 初めて見る景観だが霞んでいて残念だった。
盆地状の山崎の街が辛うじて見える程度で、これはよりクリアに見える時期に再訪しなくてはいけないなぁ。
宮山の手前の左肩上がりの稜線が歩いてきた東尾根で、早朝に休憩した送電線鉄塔も見えている。








北西ピークへ

 水剣山山頂滞在中に忘れず北西ピークも踏んでおこう。
3つのピークがそれぞれ殆ど正三角形に近い形で並んでいて、北西ピークも僅かなアップダウンのすぐ向こうに見えている。








水剣山北西ピーク(870m+)

 3つのピークの中でたぶん最も地味?と思われる北西ピークに到着。
展望は殆ど無いといえるが、木々越しに西方が僅かに垣間見える。
ケルンが積まれているのは間違った尾根へ踏み込まないようにするためだろうか。

 3つのピークは10m前後の標高差で至近距離に並んでいることがよく分かった。
とりあえず三角点ピークへと戻ることにしよう。








3つのピーク探訪が楽しい水剣山




 9:15 水剣山山頂出発

 3つのピーク探訪、そしてオカリナ練習も終えて、そろそろ出発しよう。
西尾根は方向確認をしてから下っていくが、しっかり指導標も設置されている。








水剣山西尾根を下山開始

 西尾根は等高線通りの激下りで始まる。標高差は100m余り。
もし時計回りで西尾根から登ったとすれば、かなり汗を掻くところになるだろう。
 下っていく先には次の目標となる766mピークが木々越しに垣間見える。
もっと滑りやすい激下りを予想していたけど、意外にもよく踏まれている西尾根だった。








766mピークを見ながら南進

 激下りが一段落すると、尾根は右へ左へと曲がりながらの水平区間へ。
766mピークが比較的よく見えるので、行程の進み具合がよく分かる。








 9:43 明延ピーク(730m+)

 766mピークを正面に見えるミニピークに差し掛かると、そこには明延ピークの手製の山名標があった。
地形図上では等高線が閉じていない隠れたピークだが、北西の麓に目を追っていくと明延集落に行き当たる。
このピークの比較的近くまで破線道が描かれているが、今でも使われているルートなのだろうか。








700m+コル

 明延ピークから一旦20mほど下って700m+コルに降り立つ。
東側の大谷側が自然林。西側の明延側が植林になっている。
ここから約50mほどの登り返しが、今日最後の大きな登りとなる。








屏風岩

 766mピークの北の肩にあたるところに屏風岩がある。
北側から岩の上に立ってみると、まずまずの展望だが何の変哲もない尾根の一部に見えてしまう。
岩の西側に安全な巻道があるが、屏風岩の南側もどうにか降りれそうな感じだ。
南側から見ると烏帽子岩っぽくも見える。








10:05 766mピーク

 屏風岩からすぐに766mピークに到達。
殆ど展望の無いピークではあるが、西尾根はここから2方向に大きく枝分かれするという、ある意味極めて重要なスポットといえる。
辿っている50名山ルートは左手へ90度直角に折れる形で続く。しかも地形図を見ると直進するルート外となる尾根のほうが主尾根といえる規模だ。
道なりに進んでいくと思わず直進してしまう雰囲気がある。でも親切にもそれを塞ぐ形で登山口を示す指導標があるので問題はない。
というか、直進する尾根は地形図を見ていると、途中に三角点もあるし歩いてみたいなという気にさせる。








766mピークからの激下り

 今回は行程通りに大谷への周回コースを踏破しよう。
地形図で西尾根を目で追っていくと、激下りと表現出来そうなのはここが最後のようだ。








766mピークから西に枝分かれした大きな尾根が見える

 西尾根での行程も終わりが近づいてきたが、比較的西側の景観に恵まれていて退屈することはなかった。
先ほど766mピークで見送った、西側を並走する尾根の稜線がよく見えている。
ちょうど見えているのが730m+ピークで、その南は100mほどの激下りとなっている。








10:36 西尾根送電線鉄塔(580m+)

獣避けのネットを通過してまもなく西尾根の送電線鉄塔に到着。
振り返ると遠くなった水剣山山頂付近や、写真では分かりにくいが808mピークの反射板もよく見えている。
加えて西側の展望も良い。日当たりが良くてちょっと暑いけど、休憩するには良いところだった。
でもクマバチがあまりにも多く、さすがに落ち着かなかったので先へ進むことにした。
クマバチは見た目とは逆に温厚なハチで危険は少ないが、溜まり場と表現できるくらい多く飛び回っていた。








10:45 西尾根を外れるポイント到着

 送電線鉄塔から殆ど水平道となった尾根を南進していくと、ルートが再び直角に曲がる。
とはいえ、ここも南西方向へ何となくルートが続いている雰囲気で、地形図を見ると伊沢川と大谷川の合流付近に到達出来そうだ。

 なおこの辺りではルートに沿って竪堀状のような人為的な地形が見受けられる。
イノシシの滑り台にしてはあまりに長過ぎるし、興味の沸く地形だった。



 ここより西尾根・東尾根登山口まで標高差約250mの激下りとなる。
先ほど送電線鉄塔のところで休憩し損ねたこともあって、柔らかい木漏れ日の下で小休止をとっていくことにした。


10:55 小休止を終えて下山開始

 等高線からは想像も出来ないような、歩きやすいジグザグ道を延々と辿る膝にも優しい区間だった。
今回のルートの一部は送電線巡視路を利用できるということを忘れていた。









送電線巡視路を下山

 冬には雪がたくさん積もることを伺わせる大木を見かけた。次の冬はもっと雪が積もればいいなと切に思うのだが。








延々とジグザグ

 東尾根がだんだん高く、そして麓から沢の音が大きくなってくると・・








11:22 西尾根・東尾根登山口

 朝イチに通り掛かった西尾根・東尾根登山口の対岸に降り立つ。
大谷川上流にあたる清流は冷たくてすごく気持ち良かった。




11:31 大谷地区配水施設(駐車地)到着

 ほぼ6時間で出発地点に戻ってくる。朝と同じく停まっているのは自分の車のみだった。
遠出可能なGWだからこそ、意外に近郊の山は足が遠のく傾向にあるのかもしれない。








 同じく周回ルートの七種三山縦走ほど長大ではないですが、その醍醐味を凝縮したような濃い行程と感じました。
また季節を変えてぜひ再訪してみたく思います。








 下山後、山崎町の大歳(ださい)神社の千年藤を初めて見学に訪れました。
神社付近は人と車で混雑していることは予想出来たので、生谷温泉に車を停めました。神社まで徒歩約10分ほどです。








大歳神社の千年藤

 静寂に包まれていた水剣山から一転、たいへんな賑やかさでした。
花もすごいけど人出もすごいです。下山直後だったけど、花の良い匂いのほうが自分のより勝っていました。























 千年藤を堪能した後、テン泊のために再び夢やかたキャンプ場へ。








夢やかたキャンプ場

 昼間はデイキャンプでけっこう賑わっていましたが、1泊したのは自分を含めて2張のみでした。
前回より気温が高くて、比較的過ごしやすい夜になりそうです。
明日朝こそ二度寝せずに起床出来れば良いのですが。








行程断面図です




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