「植松山〜大甲山縦走」 2013年 5月17日(金) |
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国土地理院地形図 : 25000分の1 「西河内」、「千草」、「音水湖」、「安積」 〜 はじめに 〜 植松山は兵庫50名山に選定された頃から知っていましたが、 山頂までの往復だけでは少々物足りない気がしてなかなか気が向きませんでした。 しかし、植松山、荒尾山、大甲山が宍粟50名山として認定され整備されたこと、 そして近年植松山から大甲山までをつなぐ縦走路が整備されたことを知り、 加えて草原が広がる稜線歩きを楽しめるということで機会を伺っていました。 たまたま取得していた代休の日に絶好の好天となったのを機に遂に実行にこぎつけました。 この縦走の行程では登山地点と下山地点が大きく離れますが、 これは今年初めてとなる自転車の活用で概ねカバー出来ます。 なお今回もまだボッカトレではありませんが、 テン泊練習を兼ねた1泊2日の山行となっています。 登山開始前にまず下山予定地の鳥ヶ乢に立ち寄り、自転車をデポしておきます。 国道429号・岩野辺付近から山中に入る林道の終点が植松山登山口となります。 理想は国道近辺に駐車しておき、下山後は鳥ヶ乢から自転車で下るだけの行程に しておくべきでしょう。しかし今回は出来るだけ早い時間帯に稜線歩きを始めたいと いうことを最優先したため、林道終点まで車を乗り入れるという選択をしました。 自転車でダウンヒルした後に、当然車まで徒歩で登りかえさなければいけないのですが・・。 |
行程概要 (山中のルートは不正確です)![]() 植松山、荒尾山、大甲山はいずれも兵庫100名山、または宍粟50名山に認定されていることから、 各登山ルートはかなり整備されています。 但し、各ピークをつなぐ稜線上は整備も最小限の状態。 尾根が広がるところ、紛らわしい派生箇所も見受けられることから、やはり読図をしながら歩くと 心強いかと思われます。 上記の地形図には表示がありませんが、国道429号には新しいトンネルが開通しており、 鳥ヶ乢を越える従来の道路は旧道扱いとなっています。 |
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6:07 植松山登山口・林道終点出発 林道の終点は砂利の広場となっており数台は駐車可能となっている。 植松山から伸びる未踏の稜線を歩きたいという気持ちをエネルギーにして、この日は3時30分に起床。 早朝から登山を始めることに成功した。 この林道終点で既に標高は500m越え。まだ日差しは無くてけっこう冷え込んでいるが、 谷間は風も穏やかでウォーミングアップをするとすぐに体が暖まってきた。 しばらくは沢の右岸に沿って緩やかな登りとなる。 トラックはややガレて荒れた感じであり、いつも間にかルートから外れる場面も。 本流ではないが、支流の涸れ沢を横切るところもあった。 |
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右岸より左岸へ渡渉 しばらくして指導標もある渡渉箇所を通過。 宍粟50名山の指導標を見て、慎重に沢を通過していく。 渡渉後は左岸側をやや高巻き気味に歩いていく。 なお植松山の裾野の部分の殆どは植林のようで、歩き始めの雰囲気はもう一つ。 |
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6:23 尾根コース・谷コース出合 高巻き道をしばらく緩やかに登っていくと、2組の指導標が目立っている分岐に到着。 基本的に尾根歩きが好きな自分は迷わず右折する。最近雨が少ないので、谷コースでの滝見学は別の機会にしたほうがいいと判断したこともある。 植松山への正規ルートは尾根コース、谷コースの2本あって、谷コースは兵庫100名山で紹介されているが、 これから登る尾根コースは宍粟50名山で取り上げられている。どちらをとっても時期を選べば楽しめると思う。 尾根コースは植松山から南西へ派生して924m標高点を通過する尾根を登っていく。 一つ南側に並走する874mピークを抱える尾根が良い標高の目安になるだろう。 |
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急な登りが続く尾根コース 尾根コースは急斜面にジグザグに付けられていて、踏み跡ははっきりしている。 最初は山腹道の様相だが、次第に尾根が明確になってきて、 いつしか尾根上を直登するようになる。 ずっと植林の中を登るので相変わらず雰囲気はもう一つだが、 日差しを遮ってくれるので、夏でも朝方であれば比較的涼しく登れそう。 今日は一時的に寒気が入ってきているのか、登るにつれて冷たい風が吹き抜けるようになってきた。 どこかのタイミングで上着を羽織る必要がありそうなくらいの冷え込みだった。 ずっと急斜面が続く尾根だったが、ふっと傾斜が緩んで924m標高点ピーク辺りを通過。 この辺りからようやく植林だけでなく自然林も見られるようになってくる。 まだ視界は開けてこないが、標高点ピークを過ぎると急坂からは一旦解放される。 |
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7:10 924mピークを過ぎた辺りの展望地 924m標高点ピークを過ぎて間もなく、西側の視界が全開となる! これまでの登りの苦労が充分に報われたと感動するようなクリアな絶景だった。 今朝から冬の朝のような澄んだ空気に包まれ、しかも空が青かったので期待していたが、 予想を上回る空気の透明度だった。 |
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日名倉山 後山はこの時点では殆ど隠れ気味だったが、きれいな三角錐の日名倉山の眺めが見事だった。 デポしていた自転車で駆け下ったこともある、志引峠付近もよく見えている。 日名倉山を眺めて元気をもらってから尾根登りを再開。 この辺りから各所で展望を得られるようになってくる。 基本的には尾根の北側は植林、南側は斜面が切れ落ちた自然林か草原。 一応踏み跡は付いているが、気分次第で歩くところを選べる。 |
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どこまでも続く山並みを眺めながら尾根を直登 吹き付ける風が本当に寒くて、しかも強くなってきたので、 薄手のジャケットではなく、レインウェアの上着を羽織った。 5月も半ばに来ているのに、この冷え込みは想像を越えていた。 レインウェアはもちろんどんなに好天でも毎回用意しているが、この時は防寒着として本当に役に立った。 尾根の南側は本当にどこまでも山並みが続いている眺めを楽しめるが、 山名を同定出来るところは無かった。たぶん今まで全く歩いていない空白地帯であることも要因と思う。 これまで長く明確な尾根を歩いていたが、山腹が広がり始めてくる。 おそらく植松山山頂から広がる台地状の地形に乗ったと思われる。 |
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7:42 山上庭園 それまでの下草が無くて地面が見える殺風景な光景から一変。 苔と岩で覆われた日本庭園のようなところにやってきた。 雑木林もまだ若い新緑の状態で雰囲気は最高だったが、見かけた指導標が揺れるくらいの強風で大変に寒い。 一休みする気にはなれず、先を急ぐことにした。 山上庭園まで来ると傾斜は緩やかなものとなった。 そして南側から別の大きな尾根が合流してくるのに気付くのと同時に、 進行方向で森が途切れて明るくなっているのが見えてくる。どうやら植松山山頂に到着したようだ。 |
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7:53 植松山山頂(1,191m)到着 薄暗くてしかも寒かった森から飛び出すと、低い灌木が散在する広い広い植松山山頂に到着! 風は相変わらず強いが、日差しがあるだけで体感温度はまるで違ってくる。 まず目に付いたのが宍粟50名山の山名標と、植松山が霊山であることを思い起こさせる小さな祠。 聖観音菩薩影現の峰であり、このような好天の日に登頂出来たことに感謝して手を合わせる。 実際にはこの後すぐに南東側の展望地へ駆け出しているが、 レポでは先にちょっと見付けづらかった三角点を掲載しておきたい。 植松山三角点は宍粟50名山の山名標から北へ約10m。少し森側の草原を分け入る踏み跡の先にあった。 |
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植松山は南東側が広大な草原で恰好の展望地になっている。 初めての自分には本当に感動する光景が広がっていた! |
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植松山山頂から南側の景観 すぐ東にはこれから向かう荒尾山がどっしりとした姿で出迎えてくれる。 午後に下山する際に通過することになる、南の鳥ヶ乢へ下る長い尾根が印象的だ。 その南には黒尾山(未踏)、そして先日のGWに登った水剣山。水剣山はあの3つのピークのギザギザがユニーク。 黒尾山の更に奥には明神山まではっきり見えていることにまた驚く。 これら以外にもいろいろな山が見えているはずだけど、自分はまだまだ年季が入っていないので、 今後どんどん踏破していきたいと思う。 |
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植松山から荒尾山へ続く縦走尾根を眺める かなり広い展望地を少し北東へ歩いてみると、これから縦走することになる稜線を横から観察することが出来る。 ちょっと手前の草原が被り気味だが、縦走前に地形のイメージ作りを十分に行えた。 気持ちよさそうな草原が見える1,160m+ピークから1,171mピーク「ヒルガタワ」までの稜線前半が、自分にとってたぶんハイライトになりそう。 稜線後半は960m+コルを挟んでやや大きなアップダウンが控える。 これは変化に富んだ楽しい縦走になるだろう。 植松山は想像以上に素晴らしい山頂で、ガイドブックなどでは伝えきれていない魅力があると感じた。 縦走ではなく植松山だけに登る行程で来ていれば、2時間でも3時間でも滞在していきたかった。 ともあれせっかくの機会なので、出来るだけ長く滞在していきたい。 この絶景を眺めながらパンを食べるなどして、約30分の良い時間を過ごすことが出来た。 |
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8:23 植松山山頂出発 植松山山頂は立ち去り難いところだったが、未踏の稜線歩きも強く惹かれるので出発する。 広い山頂の入り口がそのまま尾根コースと谷コースの出合となっている。 この後は植松山山頂から北東へ伸びる尾根を辿るが、ちょうど進行方向が同じということで、 とりあえずしばらくの間だけ谷コースを歩くことにする。 谷コースは明確な踏み跡が付いているが、自分の意識は基本的に尾根を辿ることにある。 最初のうち尾根の直上は灌木などのブッシュに覆われていて、少し稜線から外れた山腹を歩く。 それでも徐々にブッシュが途切れがちになるところが見受けられるようになる。 植松山の一つ北のピークに差し掛かったのを見計らって稜線の上に出てみることにした。 |
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8:35 1,190m+ピーク 植松山の北隣の1,190mピークに到着。無名ピークとはいえ、背の低い笹のみに覆われて展望は抜群! 植松山山頂に負けずとも劣らないピークだった。 このピークから始まる区間の稜線が期待以上に素晴らしく、いつもより大きめの画像サイズで掲載することにします。 このまま稜線を歩きたい思いに駆られたが、やはり笹原を歩くのは意外に疲れるのですぐ横を並走するルートへ戻ることにした。 ちなみにこの踏み跡は縦走のためのルートであって、谷コースからはいつ外れたのか気付いていない。 |
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縦走尾根と並走しつつ、真っ直ぐ北東へ 基本的に自然林が目立つうえ、緩やかな下り基調ということもあって、本当に快適な極楽尾根だった。 |
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そして再び笹原の稜線に出る いつしか笹原の中に疎らに木々が生える広い尾根となった。 植松山山頂手前には和風庭園の空間があったが、今度は英国風の庭園と感じた。 これまでけっこうあちこちの山を歩いてきたけど、こういう雰囲気のところはなかなか無いように思う。 ちょうど風も段々と弱くなってきて、本当に静けさが沁みる別世界の尾根歩きとなってきた。 |
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英国風庭園の広がる植松山の北尾根 時々立ち止まっては写真を撮りたくなる尾根だった。 普通に歩くよりだいぶ時間を掛けているけど、早朝出発のおかげである程度融通が利く。 すんなりと通過してしまっては勿体ないと思うほどだった。 |
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氷ノ山遠望 この日のクリアな空気のおかげで氷ノ山もくっきりと見えた。 尾根の北側は常に全開というわけではないが、しばしば視界が広がって氷ノ山まで見通すことが出来た。 |
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広い1,140m+コルに差し掛かる 植松山から非常に緩やかな尾根を歩いてきたが、この1,140m+コルを底にして一旦登り返すことになる。 と同時に縦走尾根はこのコルで北東から東へと向きをゆっくりと変えていく。 これまで横に広がって見えていたピーク群が縦に並んできた。 それぞれのピークが本当に個性豊かであることが分かる。 この後に到達する1,160m+ピークが特に展望を期待出来そうだ。 |
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9:02 山上池 1,160m+ピーク手前の草原には山上池があるのだが、最近の少雨の影響か水不足状態で残念な光景だった。 イノシシが泥浴びするにはいいかもしれないが、今度は満水の状態で見てみたいものだ。 山上池を過ぎると1,160m+ピークへの最後の登りとなる。 周辺は草原の斜面が広がって、まるでシーズンオフのスキー場のよう。 この辺りは目立った踏み跡は無いけど、見通しが利くので全く不安なく歩くことが出来る。 |
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9:07 1,160m+ピーク到着 山上池からの短い登りを経て1,160m+ピークに到着。 ここも草原が広がる素晴らしいピークだ! 1,160m+ピークで進行方向はやや南寄りとなり、次の目的地である1,171mピーク「ヒルガタワ」へと尾根は続いていく。 一方、このピークからは北東へも明瞭な尾根が派生しているのを確認。 ここでは間違えようがないけど、尾根の派生は常に重要な情報となりうる。 次の1,171mピークは一転して森に覆われており、展望の尾根歩きは間もなく終わりとなりそうだ。 ということで予定外ではあるが、この1,160m+ピークでもザックを下してしばらく過ごしていきたい。 |
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開放感溢れる1,160m+ピークでオカリナを楽しむ この日の好天のおかげもあるかもしれないが、植松山からこの1,160m+ピークに至る尾根がすごく気に入った。 自然に手を加えることも本当に最小限であり、人工物が何も無いということがとても希少な存在のことのように思える。 少し西にはここよりも標高の高い後山や駒の尾山などをつなぐ県境尾根があるが、 あちらよりも遥かに純朴で飾りっ気のない尾根歩きを堪能出来ている気がする。 少しマイナーな感がある山域だが、いつまでもこの自然を守ってほしいものだ。 9:26 1,160m+ピーク出発 ここも本当にいつまでも居たくなるピークだけど、まだまだ先は長いので出発しよう。 |
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1,140m+コルを通過 1,160m+ピークと1,171mピークはごく近い距離のところにあって、アップダウンもごく短いもの。 1,140m+コルに降り立つ前には久しぶりに森歩きとなるが、今の時期は美しい新緑ということもあって、 展望は開けなくてもこれはこれで良いとも思う。 |
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9:33 1,171mピーク「ヒルガタワ」到着 1140m+コルから約30mほど登り返して、1,171mピーク「ヒルガタワ」に到着。 ピークは東西に細長く、その西端にごく小さく閉じた1,170m等高線と1,171m標高点がある。 ということで、今立っている辺りが1,171m標高点ピークということになる。 ところでこの「ヒルガタワ」という名称だが、従来“タワ”とは峠を指すものと思っていた。 しかしネット上で調べてみると慣用的に使われている名称のようなのでそのまま記すことにしたい。 1,171mピーク上は地形図の通りにごく僅かな起伏を持つ横に長い平らなピーク。 ピーク東端からは同程度の規模の尾根が2方向に派生していて、縦走尾根は南東へ下っていくようだ。 |
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9:36 1,171mピーク東端より大きなアップダウンが始まる ピーク東端までやってくると、方向確認するよりも先に目指す荒尾山が今までより大きく目に飛び込んできた。 それでも一応は方向確認してから下り始める。 縦走尾根はやや南寄りにカーブを描きつつ、960m+コルまで長い下りとなる。 もう前半までのような展望の尾根は無いようだが、この後どのようなアップダウンの道のりが待っているのか楽しみだ。 |
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まず50mほどの激下り 1,171mピーク東端からはまず木々に掴まりながらの激下りとなる。 踏み跡はあるような無いようなという感じだが、明確な狭い尾根だからルートから外れる心配は無い。 50mほどの激下りの後には一旦平坦になり、その後は程々の傾斜で標高差は約30m。 その先には再び尾根が2方向に枝分かれしている。 道なりに左折出来れば問題ないだろうけど、うっかりそのポイントを見落として下り過ぎてしまわないようにしたい。 |
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9:52 要注意と見ていた尾根の分岐 心配していた見落としは杞憂となった。 直進方向はアセビなどのブッシュで自然に塞がれており、明確な踏み跡は左前方の荒尾山へ向けて下っている。 また一応方向確認をしてから下っていくが、この後の縦走尾根は荒尾山へ辿り着くまでほぼ一直線に続く局面となる。 日がだいぶ高く登ってきて、風はあるものの日向では下り中にも関わらず暑くなってきた。 植松山の手前から着込んでいたレインウェアをここで脱いだ。 |
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荒尾山を望みつつ、960m+コルへ向けて下り中 尾根の分岐を見届けてからは、比較的等高線の間隔が広い下りが標高差90mほど続く。 しばしば岩を乗り越えたり、近づいてくる荒尾山を時々眺めたりと、 なかなか楽しい下りだった。 1,000m+付近で北側にごく小さな尾根が派生しているので、それだけは一応頭に入れておく。 |
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10:07 960m+コル なかなか雰囲気の良い960m+コルに到着。 1,171mピークから続く長い下りはここで終わり、後は荒尾山まで標高差150mほど登り返さなければいけない。 このタイミングで10分程度小休止をとっていくことにした。 このコルが「ヒルガタワ」であれば自然なのだけど、ということで休憩中に峠道の痕跡がないか調べてみた。 明確な峠道は分からないが、何となく人為的な地形があるような気はした。 |
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荒尾山へ向けて 960m+コルからは比較的長い登り返しが始まるが、登り始めはそれほどの急斜面ではない。 尾根の南側にはしばらく見なかった植林が現れるが、北側は従来通りの自然林が続く。 登り返しは途中からやや斜度を増していくが、その頃になると平坦になるところで合流するはずの別の尾根が南側から近づいてくるので、 激登りはそれほど長く続かないことを推し量ることが出来る。 |
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10:29 1,050m+の平坦な尾根に乗り上げる 激登りが終わる目印にしていた1,050m+の平坦な尾根に到達。 すると尾根上にはくさび岩が挟まったような巨岩が出迎えてくれる。 どういう経緯を経てこのような形になったのだろう。 くさびを打ち込まれた巨岩からは平坦な尾根が始まるが、 アセビなどのブッシュが邪魔をしていて、少し進んだところから尾根の直上へ乗った。 |
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10:36 1,079mピーク まだ平坦な尾根がしばらく続くと思っていたところ、ふっと前方が開けて明るいミニピークに到着。 自分の地形図(平成18年発行)には載っていない、新しい三角点が設置されていてびっくりする。 ちょっと味気なく感じる新しいタイプの三角点が埋まるピークではあるが、南方向以外は展望のあるなかなか良いところだ。 西にはちょうど木々の間に植松山も見える。 1,079mピークからは荒尾山がすぐ近くに見えてはいるが、好展望に誘われてここで約10分程度小休止をとった。 |
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荒尾山へ向けて最後の登り 1,079mピークまで来ればもう荒尾山までは緩やかな登りですぐだ。 植松山からはどっしりとした山容で見えていたが、山頂はさほど広くはなさそうだ。 |
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10:52 荒尾山山頂(1,108m)到着 宍粟50名山の山名標が設置されている荒尾山山頂に到着。三角点は無い。 植松山のような大展望のピークではないけど西の植松山方向が開けていて、 すごく楽しかった草原広がる稜線を振り返ることが出来る。 ここで植松山を眺めながら大休止といきたいところだけど、 縦走は更に東の大甲山まで続く行程なので、程々の小休止をもって出発したい。 ある程度撮影を済ませたところで、植松山方面から自分と同じく単独行の男性が登ってこられる。 金曜の好天に合わせて有休をとられたということで、二人して好天の日に縦走出来た楽しさを分かち合う。 この後は自分と同じ行程で歩かれるとのこと。 そろそろ出発するタイミングだったので、後に大甲山での再開を期して自分が先行することとなった。 |
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宍粟50名山 荒尾山山頂(1,108m) 11:02 荒尾山山頂出発 荒尾山から大甲山は比較的近くて、この両ピークをピストンする場合の所要時間は往復で1時間くらい。 荒尾山は山頂を西端として、北東へ細長く平らに伸びる地形を持つ。 歩き始めは平坦だがピーク北東端辺りまで来ると、急角度でルートが南東へ進路を変えるようだ。 |
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11:05 進路変更の道標となる巨岩 どの辺りから右へ下り始めるのかなと観察していたら、まるで船の舳先のような巨岩が尾根上に現れる。 そして舳先は偶然にも進行方向を指し示している。 巨岩からは南東に向けて短いながらもけっこうな急坂となる。 大甲山までの道のりは全般的には緩いといっても良いようだがここだけは例外。 なお荒尾山山頂から伸びる1,090m等高線の先には派生する尾根があと2つある。 後学のためにも一応それらの尾根の状況を確認した。どちらもそこそこ急坂となっているが、 上から見る限りでは歩こうと思えば歩けそうな尾根が続いている。 |
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見事なブナの森が広がる 急坂はさほど長くは続かずに次第に緩くなって1,020m+コルに降り立つ。 周囲にはかなり大きなブナの木々が立っていて思わず足を止めてしまう見事さ。 尾根続きに縦走してきたけど、荒尾山までとはまた違う雰囲気を感じる。 1,020m+コルを過ぎると等高線が閉じたピークを2箇所通過する。 1箇所目は直登が厳しそうなので、南側斜面をトラバースするようにルートが付いている。 |
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1,030m+ピークを通過 2箇所目のミニピークはバナナのように等高線が細長く伸びる1,030m+ピーク。 緩く左にカーブしながら次第に大甲山へと近づいていく。 南側は薄暗い植林だが北側は美しいブナ林が続いているので、 往復する区間ではあっても退屈しないと感じる。 |
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11:23 斎木下山道出合 既に大甲山山頂から北に伸びる等高線の中に入ったと思われる頃、 斎木下山道との出合に差し掛かる。ほぼ真東に向かう広い尾根で、どこでも歩いて行けそう。 ここも新緑の雑木林がとても美しく、斎木下山道も大甲山に再訪した時に利用してみよう。 この出合で今日2人目の単独男性ハイカーさんと出会う。 斉木から大甲山へ登られ、この後は荒尾山まで足を伸ばされるそう。 ということでこちらの方とも後ほど再会している。 斎木下山道出合からは、森を抜けた行く手に明るい山頂が既に見えている。 植松山から辿ってきた主稜線上の折り返し地点となる大甲山に到着だ。 |
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11:26 大甲山山頂(1,035m)到着 森を抜けると周囲を広く切り開かれて大展望が広がる大甲山山頂に到着! 植松山山頂並みの大展望であり、残る行程の目途も付いたと判断して、ここで大休止をとることにした。 山頂西側には植松山からもよく見えていた、荒尾山から鳥ヶ乢へ下る際に通過する長い尾根をより近い距離で眺められる。 荒尾山からの下山の際の所要時間は約90分という。 |
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大甲山山頂南側の景観 黒尾山、水剣山が並んで見える。 肉眼では水剣山の右奥にはアンテナが立つピークも見えたが、まさか龍野の的場山まで見通せたのだろうか。 黒尾山は宍粟50名山の中でも一目置いている存在だが今のところ未踏。 宍粟50名山はガイドブック通りの行程で歩くとだいたい短過ぎるのが多いので、自分の場合は事前に周囲のルート研究をすることが必要となる。 |
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宍粟50名山・大甲山山頂に立つ山名標と三角点 せっかくの大休止、そしてクリアな視界なので、久しぶりに望遠レンズの出番となった。 一つザックに入れておくと双眼鏡代わりにも使える。 |
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水剣山(872m) | 明神山(668m) |
大甲山山頂で過ごしている間に、荒尾山山頂で出会った単独男性ハイカーさんも到着される。 先を急がれていたので自分よりも早く大甲山山頂を出発されたが、短い時間で楽しく山談義させて頂きました。 |
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荒尾山(1,108m) | |
大甲山山頂もすこぶる居心地が良かった。いずれは斉木を拠点としてぜひ周回ルートを組んで歩いてみたい。 12:03 大甲山山頂出発 今日最後の主要ピークも本当にいつまでも大展望を眺めていたいところだったが、 この後明るいうちにテントを張らなければいけないので、行程を逆算してそろそろ出発しよう。 荒尾山山頂までは歩いてきた主稜線を引き返す。 途中で斎木下山道出合で出会った単独男性ハイカーさんと再会。 結局、今日行程中に山中で出会った方は以上のお二人だった。 |
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12:30 荒尾山山頂 急坂を登り返して荒尾山山頂まで戻ってくる。 西側に開いた窓から植松山を眺めつつ小休止。 朝から感動の連続だった主稜線の山旅だったこともあって、ちょっと名残惜しい気持ちで荒尾山山頂を出発する。 この後は荒尾山山頂から南へ派生する長い尾根に乗り換えて、自転車をデポしている鳥ヶ乢へ下っていく。 |
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12:44 1,080m+ピーク 短い吊り尾根のちょっとしたアップダウンを経て1,080m+ピークに到着。 等高線が閉じていることから思い描いていたとおりに、けっこうピークらしいピーク。 自然林の新緑越しに植松山まで見えていて雰囲気も上々だ。 ここで尾根は左へ曲がる。 |
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1,080m+ピークから南へ下っていく 西側は明るい自然林、東側は暗い植林とよくある光景だが、この先は植林が多くなりそうな気配だ。 この辺りで地形図は「音水湖」から「安積」へ。 地形図の使用枚数は2枚までならマップケースに表裏になるように入れるが、 これで「西河内」から始まって3枚目なので、マップケースを開けて入れ替える必要があった。 |
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12:55 1,020m+ 程々の傾斜の下りが続き、1,020m+付近を通過。 ここは等高線が閉じていないが、たいへん目立つ隠れたピークとなっている。 自分は踏み跡に従って西側を巻いたが、通り過ぎた後に尾根の直上を通る踏み跡もあることに気付いた。 これで展望があれば登り返すところだが・・。 |
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13:04 940m+ 鳥ヶ乢へ下る尾根は外観どおりに比較的傾斜が緩いところが多い。 地形的な特徴が少ないので読図が難しいけど、ちょっと下る方角が変わることで このへんかなと目星を付けているところだ。 行く手には真っ直ぐな杉がびっしり生えていて、まるで古代ローマの列柱回廊のよう。 この辺りは地形図では表現しきれない、微妙に波打った平らな地形が続くが、 方角は合っているから大丈夫だろう。 けっこう長い距離をごく緩い下りで通過。 930m+辺りで西へ大きく向きを変えるが、何となく踏み跡は付いている。 |
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13:12 900m+ そろそろ尾根を乗り換えるはずというところで指導標が現れる。 鳥ヶ乢へ向かう尾根は暗い植林の先に続いている。 直進方向のほうが雰囲気の良い尾根歩きが楽しめそうだが・・。 地形図を見ると普通に下山に使えそうだが、鳥ヶ乢までの林道歩きが長くなるうえに、 三角点のある細尾山を通れなくなるのでまたの機会にしたい。 尾根を乗り換えた直後はやや傾斜が増すが、次第にまた緩くなる。 この尾根は比較的膝に優しいといえるかもしれない。 膝の負担といえばトレッキングポールを使えばいいのだけど、 自分の場合は撮影の際に邪魔になるし、さすがにトレッキングポールと三脚を同時に持った状態では歩けない。 今のところは基本的にボッカトレの時のみトレッキングポールを使うことにしている。 NZより帰国後に山歩きを初めて間もない頃に購入したPAINEのトレッキングポールだが、 片方が締め付けが甘くなっていて、気付いたらポールが2〜3cm短くなっているという現状だ。 トレッキングポールもそろそろ買い替え時かもしれない。 |
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13:23 細尾山山頂(811m)到着 不意に植林が途切れて、明るい細尾山山頂に到着。 山頂とはいえ、尾根の中のちょっとした盛上りであり、また周囲の展望は皆無ということで、 三角点が無ければここがピークと認識することは非常に難しいだろうと思う。 三角点はかなり新しいもので、点の記によると平成19年に設置されたもののようだ。 これで今日の山行で5箇所目の三角点ということで、こういう三角点ラッシュの日も珍しい。 三角点の周囲は暑いので、少し下った木陰で小休止をとる。 この先は標高差50mほど下ったところと、その少し先の2箇所で尾根が左右に分岐するようだ。 ここまで来ると鳥ヶ乢までもうそんなに遠くはない。 13:33 細尾山山頂出発 |
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13:37 740m+ ここでは左側へ支尾根が分岐。 ルートはけっこう明瞭だし、間違う可能性は低い状態のように見える。 すぐ先の尾根の分岐も右に見送って、最後の比較的まとまった下りを迎える。 |
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13:44 波賀坂 等高線が広がった辺りに下り付いたところで、右手に日当たりの良さそうな林道がまず目に入った。 一瞬林道へ降り立つことも頭によぎったけど、ルートはまだ鳥ヶ乢に近いところまで続いているようだ。 続けて「大杉と石仏」と書かれた小さな案内板に気付いた。 横着して先へ行こうとしたが、よく見ると小さく10mと書かれている。 ということで溝状の窪み(これが波賀坂という古道であるとこの後に気付く)を進むと・・ すぐに石仏と大杉に行き当たった。 ここで宍粟50名山のガイドブックに書いてあったことを思い出した。 かつては斉木と岩野辺間の峠道として、鳥ヶ乢よりも近道ということで波賀坂がよく使われたという。 今では鳥ヶ乢トンネルまで通っているが、ここには由緒ある峠道の面影がよく残っている。 危ういところで通り過ぎてしまうところだった。 波賀坂の石仏さんにも抜群の好天の山行を感謝して手を合わせる。 |
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白雲山日光寺跡 波賀坂を過ぎると等高線が広がるが、辺り一帯は人為的で複雑な地形が広がっている。 削平地の一つに立っている標柱によると、白雲山日光寺という寺院がかつてここにあったという。 今では何も遺構が残っていないのが残念だが、昔は波賀坂に沿った要衝の地に構えていてさぞ栄えていたのだろうか。 周辺一帯の寺院跡を縫うように設けられているルートに従って南下。 前方にこんもり盛上ったミニピークが見えたところで西側へ下り始める。 |
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13:59 林道に出る 薄暗い寺院跡を抜けて、暑いくらいの林道へ飛び出る。 荒尾山山頂からちょうど1時間30分かけての尾根下りが終わった。 まだしばらく林道歩きが続くようだが、もう鳥ヶ乢は近いだろう。 林道を歩き始めてまもなく、右手に宍粟美化センターが見えてくる。 この後に分かることなのだが、2013年3月に施設は閉鎖されたばかりのよう。 林道は施設に沿って鳥ヶ乢へ。 |
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14:07 荒尾山登山口 林道入り口に設置された獣避け扉を開閉して荒尾山登山口に到着。 飛び出た道路は国道429号の旧道で、自転車を置いている鳥ヶ乢はすぐ南側。 稜線漫歩の楽しい山行が終わった〜!と言いたいところだが、行程の最後に30分くらいの登り返しを残しているので気が抜けない。 |
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国道429号旧道、鳥ヶ乢 鳥ヶ乢には鶏のトサカのモニュメントがあって、鳥ヶ乢の名の由来が記されている。 |
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トリガタワの由来 その昔、千種町岩野辺と波賀町斉木との境界の峠に観音様をお祀りしたお堂があり、 両町から村人が参っておりましたが、ある日、双方の村人がお互いに自分の村にこの 観音様を持ち帰りお祀りしたいといいだし、この峠で話し合ったがどちらも譲らず夕方になっても 決着がつかないので古老の提案で、明日の朝一番、鶏の声を合図に村を出て早くここに来たほうが 連れて帰ることで話し合いがつき、夕闇の中、それぞれ村に帰っていきました。 岩野辺の人々が山をおり高橋の所まで帰ったとき、急にあたりが夜明けのように明るくなり 大石の上で黄金の鶏が目前に現れ大きく羽撃き、「コケコーロー」と天に向かって鳴いたので 村人は大変不思議なことが起こったと驚き、これは、観音様が岩野辺に来たいというお告げに 違いないと、早速引き返して観音様を大切に持ち帰りお祀りしたそうです。 これが現在、岩野辺福海寺の本尊だと言われており、その頃からこの峠を「トリガタワ」と 呼ぶようになったそうです。 (原文をそのまま記す) |
14:17 鳥ヶ乢出発 デポしていた自転車に乗って一路岩野辺へダウンヒル開始。 途中で鳥ヶ乢トンネルを出たばかりの国道429号に合流するが交通量は極少。 岩野辺まで殆どペダルを漕ぐ必要がない、今年初のダウンヒルも爽快なひと時だった。 |
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14:30 自転車をデポして林道終点へ 朝イチに車で右折したところで自転車をデポする。 この角の横には車が数台駐車出来そうなスペースがあるが、 消防設備が置いてあることから登山者が駐車場として使うには適切ではないように感じた。 それはともかく、この先林道終点までは約2km、標高差約150mもの登りとなるので歩いて戻るしかない。 登り始めて間もなく道路脇で飼われている犬に思いっきり吠えられてびっくりする。 犬にとってはよっぽど臭って怪しい存在だったに違いない。 |
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車を置いている林道終点まで歩いて戻る 行く手の山の上方には朝に日名倉山を眺めた展望地が見える。 この舗装路の部分の照り返しは相当きつい。GW頃のスキー場の日差しを思い出す。 ここは特にサングラスは必須。というか終点に行き着くまでに数か所、道路脇が広くなっている ところに駐車するのがより賢明なプランニングだったかもしれない。 でも今回は少しでも早く稜線に到達したい、という希望を全てにおいて優先したので仕方がない。 もちろん、兵庫100山や宍粟50名山のガイドブックのような植松山山頂往復プラン等であれば、林道終点に駐車しても何の問題もないのだけど・・。 15:01 林道終点到着 大体予想通り30分で登り詰め、懐かしい林道終点と車に戻って周回プラン完成。 この後慎重に運転して林道を下って、デポしている自転車を回収。 国道429号で鳥ヶ乢トンネルを抜け、一宮町のスポニックパークへ。 スポニックパークはプールや野球場などがある複合運動施設のようなところで、キャンプ場の利用受付を行っている。 受付後はいよいよ初めて利用する近くにあるウッディーパークへ。 |
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ウッディーパークキャンプ場 16時頃に到着後にテントを設営し始め、そのまま夕食の準備。下山後はけっこう慌ただしかった。 今日はけっこう長丁場なプランで臨んだために、テント生活を楽しむ時間を削った形になったので仕方がない。 この日は金曜ということもあって、テントを張っていたのは自分だけだった。 テントサイトは広いし場所は選び放題だが、けっこう地面が固くてペグを打っているうちに手がしびれてきた。 ということで、1箇所だけ張綱を石に括り付けてみた。 明日も何とか早起きに成功して、2度目の赤谷山山行に向かいたい。 〜 終わりに 〜 植松山〜大甲山周辺の登山道は整備され過ぎていないということがたいへん好ましく感じます。 人工物を殆ど見かけない本来の純朴な自然の雰囲気が残されています。 もし車を複数台用意出来れば鳥ヶ乢を越える移動手段を確保出来るので、より充実した山行になるでしょう。 この山域には他にも歩いてみたいルートがあるので、近い将来に再訪すると思います。 |
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行程断面図です![]() |