「戸倉スキー場から赤谷山」 2013年 5月18日(土)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「戸倉峠」




 〜 はじめに 〜

 赤谷山は以前に戸倉峠からピストンという、ボッカとはいえお手軽なプランで訪れましたが、
今回はばんしゅう戸倉スノーパークから尾根伝いに登ってみました。
赤谷山からは踏破済みの県境尾根を戸倉峠へ向かいます。








 前日の「植松山〜大甲山縦走」に続いて今日も好天。
今朝も4時起きで朝食を摂ってテントを撤収。段々とテントでの早起きにも慣れてきた?感がある。
 早朝で交通量が殆ど無い国道29号を北上。旧戸倉トンネル前で自転車をデポしてから、
出発地となるばんしゅう戸倉スノーパークへと引き返す。








 行程概要 (山中のルートは不正確です)


 宍粟50名山のガイド本では戸倉峠からのピストンを推奨していますが、
スキー場側からの長い尾根を登ってアプローチするのがやはり歩き応えがあって良いと思います。
指導標は要所にありますが、尾根が広がるところもあって下りの場合は要注意と感じました。
県境尾根のほうが難易度は低いです。
 6:47 ばんしゅう戸倉スノーパーク(最下部)を出発

 スキーのオフシーズンということで季節違いではあるが、戸倉スキー場へ来たのは数えてみれば17年ぶりだった。
自分のスキー歴も随分長くなったと、時間の経つのを早く感じる。加えていつの間にかスキー場の名前と経営会社まで変更されている。

 兵庫100山のガイド本では作業道(オンシーズンは初級林間コースになる)を歩くことを推奨していて、
かつて自分もボーゲンで滑り降りたことがあるので道の存在は知っている。
でも今の自分が戸倉に滑りに来るとしたら、振子沢ゲレンデで最も長い時間を過ごすに違いない。
このHPをご覧いただく方々の期待に応えるためにも、そしてスキーヤーとしてもまずはここを避けては話にならないだろう。

 リフトから離れるほうが比較的斜度が緩くて登りやすそうだ。








振子沢ゲレンデ

 ゲレンデ上部までやっとの思いで辿り着く。
でも距離はあまり長くないので、滑り降りたらあっという間だろう。
 17年前の記憶ではここは自分が立ち入れなかったコブ斜面だったような気がするが、
最近はコブが出来にくくてアイスバーン気味の急斜面の状態をよく見ると聞いている。
ちょっとうねりがあって大回りするにはラインが限られそうだが、小回りの練習には良さそうだ。

 なお、この時点で既に気付いたのだが、今日は好天でも空気の透明度は昨日よりだいぶ劣るということ。
好天だから贅沢を言ってはいけないが、昨日は本当に非の打ちどころがない完璧な五月晴れだった。








 7:07 高丸ゲレンデ

 どうにか急斜面の振子沢ゲレンデを登りきると、今度は初・中級向きの高丸ゲレンデにやってくる。
ここは戸倉の中で最もよく滑っていたゲレンデなのだが、今から見ると随分こじんまりした印象を受ける。
ゲレンデ中央にあったはずの古いシングルリフトが撤去され、今ではトリプルリフトになっている。
そしてリフト乗り場付近にあったレストハウスも無くなっているのに気付いた。
なおゲレンデ右端のリフトも乗ったことがあるが現在では廃止され、支柱がそのまま残っている状態となっている。
まあ、17年も来ていなければスキー場も様子が変わるし、自分の好きな斜度も変わって当然かもしれない。

 スキー場最上部は山に向かって左上に位置するみはらしゲレンデなので、高丸トリプルリフトに沿う作業道を登っていく。
スキー場をアプローチに使う場合は、ゲレンデレイアウトを覚えておくと、コース取りに無駄がない上に面白い気がする。








スキー場最上部(みはらしゲレンデ)が見えてくる

 高丸トリプルリフトの終点はそのままスキー場の最上部であり、また左奥のみはらしゲレンデとも隣接している。
やはりスキー場は歩くには単調であり、まもなく上に登り付くということでほっとしているところだ。
しかもスキー場内は日差しを遮るものは全く無く、朝7時台で既に暑い。
日が高く登る前にスキー場を脱出することが大事と判断したことは正しかった。








 7:23 みはらしゲレンデに登り詰める

 高丸ゲレンデの南隣にあるみはらしゲレンデ。
最大斜度28度とはゲレンデ上部の滑り出しの部分だろうか。
17年前に訪れた時は一緒に行った友人がどんどん滑り始めるのに、自分はこの斜度で怖がってしまい置いていかれたところだ。
今ではこの斜度がずっと続けば面白いだろうと思うようになったが、みはらしゲレンデは下へ行くにつれて緩くなってしまう。
それでも大回りでも小回りでも、どのようにも滑れるゲレンデだろう。

 久しぶりの戸倉探訪はなかなか楽しい時間となった。

 山行の行程としては、このスキー場の部分だけで赤谷山までの標高差の半分近くまで登ってしまう。
特に最下部の振子沢ゲレンデだけで標高差150m余りあるので、間違いなく最大の難所となるだろう。
スキー場に興味が無ければ、セオリー通りに作業道を登るほうが楽だろうと思う。
作業道は振子沢ゲレンデの麓の東側からスタートしている。




 みはらしゲレンデを見晴らした後、高丸トリプルリフト降り場の日陰で小休止。
スキー場を登って乱れた息を整えると共に、行動食のパンを食べる。








 7:43 スキー場最上部(高丸トリプルリフト降り場)出発

 スキー場からの脱出口は、高丸トリプルリフト降り場の背後の斜面に付けられている。
スキー場によって造成されているが、取付きやすいようにある程度整備が行われているよう。
斜面を登りきるとようやく森の中へと入っていき、登りやすそうなところをマーキングも参考にしながら歩いていく。








880m+ピーク

 高丸トリプルリフト降り場より一登りで880m+ピークに差し掛かる。
ここには地形図で建物標記があるとおりに、通信施設がひっそりと佇んでいる。
出来ればここをみはらしゲレンデのスタート地点に出来ればもう少し滑走距離が長くなるのだが。








880m+ピーク

 通信施設が建っている平らな880m+ピークに立つと、ルートはここで大きく向きを右(西)に変える。
自分の方向感覚ではこの急激な変化に付いていけず、ここで地形図とコンパスを使って感覚を修正。

 ここからようやく待望の尾根歩きとなる。
といっても前述のとおりに標高差の半分は既に登っているので、
赤谷山まではさほどハードなルートではないようだが、この先でいきなり逆に40mほど下りとなる。








880m+ピークからの下り。行く手には赤谷山のある県境尾根の稜線が既に木々越しに見えている。








 7:55 840m+コル

 非常に明確な840m+コルに差し掛かる。
これからは基本的に登りが続くので、ここで一旦小休止を取るが、
風が吹き抜けて体感温度はかなり寒い。








良い雰囲気の尾根を登っていく

 スキー場から離れると途端に自然林の良い雰囲気となる。
はっきりした踏み跡は無いが、登りやすそうなところを上へ進んでいく。

 右からは支尾根が近づいてくるが、これは北の831m標高点を通過するものだろう。








要所には指導標が完備

 下りでこの尾根を歩く場合、前述の支尾根は誤って立ち入ってしまうのではないかと思うほど良い雰囲気。
でも尾根が分岐する箇所にはこの指導標が立っていて、ルート誤りを防いでくれるはず。








 8:04 900m+

 程々の登りを経て等高線は閉じていない、ミニピーク状の900m+に乗り上げる。
展望こそないものの、木々に囲まれてすごく落ち着いた雰囲気。

 ここで地形図を見るとこの先も等高線の間隔が広く、この尾根は急登が殆ど無いことに改めて驚かされる。

 ところで体の動きを止めると、吹き抜ける風ですぐに冷えてくる。
汗冷えしそうだったので、上着を一枚増やした。








 8:20 950m+ピーク

 快適な尾根歩きが続き、細長く等高線が閉じた950m+ピークに到着。
先ほどより若干近くなった県境尾根の稜線も見える。
引き続いてけっこう寒いので、あえて日が射し込むところで小休止を入れている。

 この先で尾根は-20m、+30mの緩やかなアップダウンがある。
と同時にクランク状に一旦南へ折れる。
登り返しの場面では南から支尾根が合流してくるようだ。








二重稜線状になったルート

 これは地形図では読み切れない光景だった。
尾根が波打ったような地形を成しており、これは下りで歩いた場合はちょっと戸惑うかもしれない。
一応、マーキングによってルートが付いているが、登りだと好きなところを上へ向かえば問題ない。








 8:30 960m+ピーク

 再び尾根が狭まって、小さく等高線が閉じた960m+ピークに到着。
ここで尾根に入って初めて展望が少しだけど開いた。

 北側には氷ノ山が見える。
前日の植松山付近からも見えたのだが、氷ノ山の南斜面に何か白いものがある。
一瞬新しい山小屋でも出来たのかと思ったけど、よく見ればあれは残雪だろう。
昨冬は雪不足でスキーヤーとしては大いに不満だったが、それでもまだ氷ノ山には雪が残っていることに驚いた。








ようやく登りが目立つようになってきた

 960m+ピークを過ぎた辺りが、スキー場と県境尾根のほぼ中間辺りのようだ。
この後は次第に登りが目立つようになってくるが、それでも喘ぐような急登は無いように見える。
しかも新緑眩しい美しい森が続くので全く退屈することなしに歩ける。








 8:40 990m+

 等高線こそ閉じていないが、周囲の木々が整理されて展望まである990m+に到着。
再び氷ノ山方面の視界が開ける。なかなか良い小休止スポットだ。

 この先で一旦登りは一段落。弓なりに南側へ曲がりながら、次の登りへと近づいていく。








北から比較的大きな支尾根が近づいてくるのが登りが始まるサイン








約50m程度の比較的まとまった登り

 久しぶりのまとまった登りとなるが、この辺りから目立ち始める笹によって標高が上がってきたことが感じられる。
おそらくルートが拓かれる前は藪漕ぎが必要だったはずだが、今ではごく普通の山道になっている。








美しいブナの木々を見ながら登っていく








 9:01 1,070m+

 一旦尾根が緩んで1,070m+に差し掛かる。
この辺りはかなりの大木になったブナが見受けられ、より一層深山の雰囲気が増す。

 木々の向こうには県境尾根がかなり近い距離で見えていて、植林皆無の美しい尾根歩きも終盤になったことを感じさせる。








比較的広い尾根を登っていく。県境尾根はすぐ上に近づいてくる。








県境尾根が近づくにつれて笹も再び濃くなってくる。








 9:24 県境尾根に乗り上げる

 振子沢ゲレンデを登り始めてから約2時間30分で県境尾根に到達。
最後は背丈を越えるほどの笹の間を抜けたが、終始ルートは明確で調子良く歩くことが出来た。

 県境尾根に乗り上げたところから赤谷山はもう近い。
もう少し県境尾根も距離を取って歩いてみたいと思うほどだ。
あっけなく赤谷山へ着いてしまう前に、一旦ここで小休止を取った。

 県境尾根の南側の笹薮にも人が抜けた形跡がある。
これまで辿ってきたルートに比べるとワイルド感が増すが、いずれはここから南も踏破してみたい。








県境尾根を赤谷山へ向けて

 県境尾根に乗り上げたところから赤谷山までは距離が100mあるかどうかというくらい近い。
幅広く刈り取られているので歩きやすい反面、両側に背の高い笹が生い茂って展望は開けない尾根だ。








 9:38 赤谷山山頂(1,216m)到着

 県境尾根を歩き始めてからあっという間に赤谷山山頂に到着。
まだ時間が早いためか、山頂には誰も居ない。
初めて登頂した昨年秋は曇天だったが、今日は素晴らしい好天。
太陽光が燦々と降り注ぐ山頂ではあるが、思ったほど暑くはなかった。

 この先、戸倉峠までは既に歩いた区間ということもあって、
赤谷山山頂で思いっきりゆったりと過ごしていきたい。








赤谷山山頂から氷ノ山遠望

 肉眼でも山頂の避難小屋や、僅かに残る雪が見えるほど氷ノ山は近い。
この好天ということもあって、氷ノ山は大いに賑わっていることだろう。
自分も近いうちに再びボッカトレで歩く予定だ。








宍粟50名山・赤谷山山名標と二等三角点








戸倉スキー場より歩いてきた縦走尾根を振り返る

 戸倉峠側からアプローチした前回とは違い、やはり実際に歩いた尾根を見ると感覚が違うし、
歩いてきた標高差を実感することが出来る。
赤谷山山頂からは戸倉スキー場は死角となっていて全く見えない。
振子沢ゲレンデの麓だけが少し見える程度。

 参考までに廃止になった新戸倉スキー場も記載してみた。
こちらも東斜面にあったスキー場なので、赤谷山からは死角になって見えない。
新戸倉は10年ほど前に1回だけ滑ったことがあるが、
ゲレンデの持つポテンシャルはばんしゅう戸倉のほうが上だと思う。








赤谷山山頂でもオカリナ。ようやく「埴生の宿」を楽譜無しでも吹けるようになった。  氷ノ山遠望。前日より少し霞がちだが、避難小屋と残雪がしっかり写っている。 




 1時間10分の滞在時間だったが、あっという間に過ぎていった。
立ち去り難い思いのする素晴らしい山頂だった。








10:48 赤谷山山頂出発

 結局最初から最後まで一人っきりで過ごすことが出来た。
時間的にはまだまだ早いけど、下山する頃には昼を過ぎるだろうしそろそろ出発する。

 赤谷山山頂から戸倉峠間は既にボッカトレで歩いたことがあるので、
もう初回ほどの緊張感は無いが、山は下りるまで油断禁物。
要所での読図はしっかりと行いたい。








10:54 1,190m+ピーク

 赤谷山の前鋭鋒というか、双耳峰とも見ることが出来そうな1,190m+ピーク。
ピークの西側はびっしりと笹薮で覆われている。
やまあそさんが鳥取県側の林道からアプローチされたのはここだったかなあと思う。

 このピークを過ぎて、西側に離れていく支尾根を見ると歩いてみたい思いに駆られたが、
後の林道歩きが長くなるのとバリエーションルートは登りで歩きたいのでまたの課題にしておきたい。








美しいブナの森が続く県境尾根








11:07 1,143mピーク

 ここで今日初めて他の登山者の方々と出会う。
戸倉峠側から登られてきた男性2人組ハイカーさんだった。
スキー場から歩いてきたことを伝えると、随分早い出発だと驚かれる。
今日の山行中にお会いしたのは、こちらのお二人のみだった。








1,143mピークでの美しい新緑

 男性2人組ハイカーさんが赤谷山へ向けて出発された後、しばらく1,143mピークにて小休止。
この周辺の新緑はとても密度が濃く感じる。
昨年秋に来た時には時期がずれたが、いずれ紅葉に合わせて訪れたいものだ。




 この先、戸倉峠へ向けては約100mほどの比較的大きな下りとなる。
ボッカで登った時はけっこうしんどかった覚えがあるが、
今日は軽装のために勢いよく下っていく。








11:29 1,010m+ピーク

 三脚みたいな木が生えている1,010m+ピークに到着。
小休止中に地形図を見ていたら、このピークから北東へ派生する尾根を下ると、
新戸倉トンネル入口付近へ下りれそうな気がする。
今日は自転車を旧トンネル入口前に置いているから、またの機会に試してみよう。








1,010m+ピークから戸倉峠付近に向けては比較的急な下りが続く。

 戸倉峠に達する前にルートは峠の東へ下り始めることを念頭に入れておく。
登山口直前が最も荒れた激下りとなるので最後まで気を抜いてはいけない。








11:47 赤谷山登山口(戸倉峠)

 自分にとってお馴染みの場所になりつつある戸倉峠付近の登山口に降り立った。
前回と違って好天で明るい雰囲気の戸倉峠だ。
静寂に包まれた登山口で小休止を取ってから、林道を下り始める。








自転車に向けて旧道の旧道?を下っていく。




12:05 旧戸倉トンネル前(自転車デポ地)到着

 約15分下って旧トンネル入口前に到着。
出発準備をしてから、残った行動食を食べて過ごす。
かつて多くの車が行き交っていた国道上でのんびりするのは、なかなか良い時間だった。








12:18 旧戸倉トンネル前より出発

 後はスキー場までのダウンヒルとなる。
旧道の区間は急カーブが続き、スピードはこまめに調節が必要で、何だかマリオカートをしているみたいな気分。
現国道に出ると意外に斜度が緩いところが多くて、所々でペダルを漕ぐ必要があった。
交通量は比較的少ないので、けっこう快適にダウンヒルを楽しめる。




12:32 ばんしゅう戸倉スノーパーク到着

 あっという間に懐かしい振子沢ゲレンデ前に戻ってきた。
実に楽しい赤谷山周回ルートだった!








 〜 終わりに 〜

  かなりの好天に恵まれて、植松山〜大甲山、ウッディーパークでのテント泊、そして赤谷山。
最後に波賀温泉とリフレッシュしまくりの休暇となりました。
週明けがちょっとしんどく感じるほどでした。

 赤谷山の周回ルートは指導標が要所で整備されていますが、
支尾根が多いので読図しながら歩くのが無難と思います。
ほぼ全方位で展望が開ける赤谷山山頂は特筆すべきものがあります。








行程断面図です




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