「古城山から東山縦走」 2014年 5月18日(土)

国土地理院地形図
 : 25000分の1 「安積、音水湖」




 〜 はじめに 〜

 山行再開後、今年初の単独行・テン泊ということで、今日は本格的な縦走に挑みます。
宍粟五十名山を三座繋げての縦走となりますが、途中では通過要注意なたたら場もあります。
天候は文句のつけようがない五月晴れ!
天候は快適でも真剣な読図が必要な緊張感溢れる山行となりそうです。

 縦走に先立って、まずはフォレストステーション波賀を目指します。
そして下山地点である東山・尾根コース登山口に自転車をデポしておきます。
下山後も殆ど漕ぐ必要のない爽快なダウンヒルを味わえる行程です。

 自転車をデポした後で国道29号を南下して引き返し安積八幡神社へ。
鳥居を通り抜けて神社の敷地を抜けたところに広大な駐車場があります。



 登山準備を整えたところで散歩中のおじいさんに声を掛けられました。
若い頃はよく林業で山へ入られていたそうで、地元の山に登る自分を見かけて喜ばれていました。
おじいさんとご挨拶を交わしてからいよいよ出発します。









 地図を別窓で参照される場合はこちらです


 
    
 6:08 安積八幡神社北側の駐車場出発

 駐車場の北側の山塊がこれより辿る縦走尾根の南端にあたる。
西側には木材の作業所があって、木の良い香りが周囲に漂ってくる。








 6:10 岩谷山登山口

 駐車場から見てすぐ北西に岩谷山登山口がある。
獣避けゲートを開閉して簡易舗装の林道へ入っていく。

 少し登ったところには水道施設があって、そこからはダートロードとなる。
なお今回は人と出会うことはまずない山行となるので、違う音階の鈴を合計3個も付けた。

 歩き始めの林道歩きは単調だがウォーミングアップには好適と感じる。




 6:22 林道を離れるポイントに到着

 地形図で南東に張り出すヘアピンカーブの辺り。
岩谷山を示す指導標を見つけ、少しだけ立ち休憩をしていった。








 6:27 小休止を終えて登山道へ

 555mの古城山までは等高線の詰まった急坂が続くことになるので、気合を入れて登り始めた。
ところが最初のミニピークを通過するとすぐにまた林道に降り立ってしまう。

 なおこのミニピークにはクマでも捕まえようとしているのか大きなオリのワナが設置されている。
この時には幸か不幸かオリの中には何も居なかった。








 6:32 改めて林道を離れる

 先ほどの登山道はすぐに林道に出てしまったが、ようやくここから本格的な登りになるようだ。
写真ではヤブっぽく見えるけど、はっきりした踏み跡が付いている。








古城山への激登り

 まさに等高線通りの斜度が体感出来る登りだった。
周囲は殺風景な植林で面白くないし、登り始めの体にはいきなり我慢のしどころだった。
それでも宍粟五十名山の岩谷山へのメインルートということで、ロープやステップで後押ししてくれる。








 6:44 第一の削平地

 まだ登り始めてあまり経っていない頃に最初の削平地に乗り上げる。
下から見るとピークっぽく見えるけど、あまりに予想よりも早かったためにニセピークと感づいた。
それはともかく、安積城跡の城域に入ったのは間違いないようだ。








更に続く激登り

 削平地を過ぎると再び急坂が続く。
まだ脚の調子が上がっていないのか、自分撮りをしてもあまり離れられなかった。

 まもなく行く手が明るくなってくると、自然林になると共に傾斜もようやく緩む。
古城山まであと一登りだ。








 7:07 古城山山頂(555m)到着

 明らかに人の手が加わった地形を一登りすると、やっと古城山山頂に到着。
東側が開いていて、外界を垣間見ることが出来る。でも戦国時代には一宮周辺が一望出来ただろう。
 安積城跡の本丸ということになるだろうけど、物見やぐらを建てればいっぱいになりそうなくらいであまり広くはない。

 とりあえずザックを下ろして行動食を摂っておく。縦走はまだ序盤の序盤だ。








新しいタイプの三角点、「古城山」だった。
四捨五入すればゾロ目の555mだが実際にはたった3cm足りない。








 7:22 古城山山頂出発

 すっかり元気になって古城山山頂を出発。
次の目標となる岩谷山までは短い登りが数段ありそうだけど、未踏の尾根歩きにワクワクしてくる。








古城山山頂すぐ北で堀切を横切る

 古城山山頂からしばらくは楽な区間が続くなと思って歩き出したら、いきなり明瞭な堀切と出くわして感動してしまう!
写真でお伝えしきれていないのがもどかしいけど、現地でこの場に立てば一目で堀切と分かるくらい保存状態は良好。
安積城跡は自分のような山城好きにはたまらない城跡だ。
本来の山城はこのように地味な?遺構で残っているものであって、総石垣構えの竹田城跡は本当に例外中の例外の山城だ。








 7:36 590m+ピーク

 程好い登りを経て古城山の一つ北にある590m+ピークを通過。
地形図通りに随分広いピークで、安積城跡の本丸は実はここだったのではないかと思わせられるくらいだ。
ここを下りで通過する場合にルートの尾根を外さないよう、ピークには道標が設けられている。

 590m+ピークから北には木々越しにではあるが、岩谷山山頂へ続く尾根が透けて見えている。








 7:45 作業道分岐

 590m+ピークから僅かに下って560m+コルに降り立つ。
コルからは南西山腹へ作業道が下っていっている。古道っぽく見えるけど、いつ敷設された道なのだろうか。
道標によると三林へ下山出来るようなので、「宍粟五十名山」のガイドブックで下りルートとして紹介されている道に間違いないようだ。

 なおこの道は縦走尾根を横切り、東山腹へと続いているように見える。




 560m+コルからはいよいよ岩谷山へ向けてしばらく登り続ける局面に入る。
最初は傾斜も緩いし、広めの尾根ではあるが・・








尾根上に次々と現れる岩場を越えていく

 前述の560m+コルを最低コルとすると、岩谷山山頂までの標高差は約170m。
数値の上ではたいしたことはないけど、段差の大きい岩場を続けて越えるのはけっこう体力も時間も使った。








 8:10 ニセピーク(690m+か)

 だいぶ登ったなぁと思ったタイミングで見えてくるミニピーク。これは岩谷山に着いたかなと思ってしまった。
登ってみると周囲の景観は木々に覆われて展望無し。北方には続きの尾根が見える。

 地形図では山頂の一つ南に位置する等高線が広がった辺りだろう。
等高線が閉じていない隠れたピークということになる。








なおも続く登り、そして岩場

 さすがにもう岩場は当分無くてもいいと思ってしまった。
それでも気持ちの良い自然林にも励まされて一登りすると、今度こそ岩谷山山頂に到着したようだ。








岩谷山山頂も東側の一角に窓が開いている

宍粟50名山の山名標が立つ岩谷山山頂

 8:20 岩谷山山頂(732m)到着

 思ったよりも早くに登山口から約2時間10分で岩谷山山頂へ到着。
古城山山頂と同じく東側が少し景観が望めるが、基本的には自然林に囲まれて景観は得にくい。
それでも丸太ベンチが設置されているうえ、植林も周囲に無いのでなかなか居心地の良い山頂といえる。

 思わずベンチに腰を下ろして、今年初めてオカリナを楽しんでいくことにした。
最初だけは楽譜を見たがすぐに指が動きを思い出して、「埴生の宿」は空で演奏出来るようになった。












 8:42 岩谷山山頂出発

 岩谷山まででもまだ前半。まだまだ先が長いので、体が冷え過ぎないように出発する。








松ノ崎山、そして東山遠望

 岩谷山山頂を出発してすぐに今後の縦走で辿ることになる山々が初めて視界に入ってくる!
松ノ崎山はきれいな新緑が印象的だ。そしてその右奥に東山が長い稜線を広げている。
まだまだ距離があるなと率直に感じる。








岩谷山北辺は広めの尾根が続く

 岩谷山までとは一変して穏やかな行程を予感させる区間となった。
植林が倒れたのか伐採されたのかは定かではないが、東山まで眺めることが出来て開放的な景観だ。
このまま五蔵山の山域に入れればよかったのだけど・・。








 8:54 一旦林道を辿り始める (690m+)

 690m+コルへ降りてくると、林道が山を貫いてきている光景が目に飛び込んできてしまった。
宍粟の山を歩くと高確率で林道へ行き当たってしまうのは残念と言わざるをえない。
 山行の雰囲気が損なわれてしまうが、この先の地形を見て一旦は林道を辿ってみることにした。
本来縦走するはずだった尾根は写真左側に走っている。

 ちょっとだけショートカットした形になったが、最寄りの目標の700m+コルを通らなさそうと判断して適当なところで尾根に戻る。








 9:00 NHKアンテナ(710m+)

 尾根に回帰してまもなくNHKアンテナが目に飛び込んでくる。
ここは池王神社から上がってくるトラックとの分岐にもなっていて、宍粟五十名山のガイドブックでも五蔵山の項で紹介されている範囲内に入ったことになる。

 先ほど捨てた林道はまだ左下方にチラチラと見えているが、あえて目に入れないようにして山行気分を盛り上げていきたい。








 9:05 700m+コル

 NHKアンテナ分岐からほどなく700m+コルに到着。
コルは一面植林に覆われて殺風景だが、吹き抜ける風はたいへん気持ちいい。

 ここからは地形図通りに深河内へ下るトラックが分岐しているようだ。




 岩谷山山頂から緩やかな区間がしばらく続いたが、700m+コルの北側には地形図以上に急に見える斜面が立ちはだかっている。
標高差はせいぜい30〜40m程度なので我慢して越えていく。








 9:14 750m+ピーク

 短い急斜面をこなすと植林が伐採された明るい750m+ピークに着く。
北側にはなお残る植林の向こうに近くなってきた松ノ崎山がちらっと見える。
751m標高点ピークはすぐ目の前。

 ここから松ノ崎山に取付くまではまた穏やかな尾根歩きとなりそうだ。

 なお宍粟五十名山ガイドブックでは「深河内アンテナ」として表記されているアンテナだが、
残骸となって750m+ピークの地面の一角に打ち捨てられている。








次の目標である松ノ崎山を見据える

 751m標高点ピークを過ぎると、遠目にも新緑がきれいに見えていた松ノ崎山が更に近づいてきた!
伐採途中のような景観の中、緩やかに右カーブを描く尾根を進んでいく。
なお前述の林道がまだ左手にしつこく付いてきているけど、気にせずに尾根を忠実に縦走していく。








林道のおかげと思われるので微妙だけど大展望が広がってくる

 林道はどうやら松ノ崎山西斜面を貫通しているようだ。
無残に抉られた尾根を松ノ崎山へ向けて最後の登りに入る。

 西側は近くには大甲山、荒尾山、遠くは日名倉山や三室山まで見渡すことが出来る展望が広がっているが、
作業の用が無くなれば自然林を植えてくれればいいなと思う。
それはともかく、今後の行程で辿ることになる五蔵山も初めて視界に捉えることは出来た。
きれいな三角形で見えるけど、南側斜面はしっかり等高線が詰まっている。
それにしても東山はまだまだ遠い。








 9:40 松ノ崎山山頂(780m+)到着

 意外と息が上がって松ノ崎山山頂に到達すると、そこには思いがけない大展望のパノラマが待っていた!
宍粟五十名山ガイドブックには“このコースで最も展望の良い”と記載されているのだが、
自分は概要を掴むだけでいわゆる斜め読みで済ませていたのが幸いした。

 松ノ崎山は新緑がきれいな南側からの山容では想像が付かない山頂だった!
山腹を貫いている林道のおかげで先ほどから観ていた展望だけど、山頂から眺めると何故か気分が変わる気がする。
思えばこの辺りの山もだいぶ登ってきたなあと感慨深い。なお明日には大甲山を別ルートで再訪する予定だ。

 松ノ崎山の次は五蔵山が当面の目標となる。距離はもうたいしたことはないけど、間のアップダウンはちょっと気合が必要かもしれない。








松ノ崎山から東山を眺める

 岩谷山からよりはだいぶ近づいてきて、行程の進み具合を実感することが出来る。
これが縦走の醍醐味だなあと改めて思う!
それでも今回の縦走において重要なポイントと思ったのは、東山への大きな登りが行程後半に控えていること。
ちょっと六甲縦走(前半)に似たパターンで、東山への登りに辿り着くまでは意識してペースを押さえることに終始した。




 9:48 松ノ崎山山頂出発

 立ち去り難い思いを振り切って、五蔵山へ向けて下りに掛かる。








シャクナゲ谷分岐

 松ノ崎山から下り始めてすぐにシャクナゲ谷分岐を通過。
踏み跡が出来るほど歩かれていないようだけど、改めて地形図を見ると深河内に時計回りに下る尾根に乗れそうだ。








意外なほどの痩せ尾根を通過

 シャクナゲ谷分岐を過ぎると尾根が痩せてきて、馬の背状の岩場を通る。
木々のおかげで高度感はあまりないけど、やはり尾根は細いほうが楽しい。








10:03 大岩洞窟分岐(730m+コル)

 松ノ崎山、五蔵山間の最低コルに差し掛かると、「大岩洞窟」を示す道標が目に入る。
危険ですと書かれているけど、洞窟というのには反応してしまう。
それでもここから1,300mというのは、ちょっと縦走を中断して立ち寄れる距離ではないなということで今回は断念。








五蔵山への激登り

 730m+最低コル(大岩洞窟分岐)を過ぎると、いよいよ五蔵山への登りとなる。
最初はほどほどの傾斜で始まるが、山頂に近づくにつれて急になってくる。
短いけどここも我慢のしどころに間違いないだろう。








10:11 五蔵山山頂(790m)到着

 急登を越えてようやく五蔵山山頂に到着。岩谷山から1時間30分ほど掛かっているが、まずまずのペースで行程が進んでいると感じる。
五蔵山は残念ながら展望は殆ど無いが、北にはやや近くなった東山を垣間見ることが出来る。

 適当な岩に腰を下ろして、行動食を摂りながら行程と読図の確認を行う。
五蔵山は行程のほぼ中間にあたること。宍粟五十名山による手入れの行き届いた区間の北限であろうこと。
この直後は激下りで高度をかなり下げること。東山への長い登りが始まるまでは地形が複雑な箇所があること、等々。




10:28 五蔵山山頂出発

 いよいよ今日の縦走でも難易度の高い区間に入るということで気を引き締めていく。
山頂から北西へ急坂下りとなるがこれはすぐに終わる。








激下りの高度差を視認

 まもなく辿り着く770m+ピークからの激下りの高度差を実感させられる光景を垣間見る。
あれだけ下るのかと正直先が思いやられるが、数値の上では分かっていたことなので覚悟を決める。








10:38 770m+ピークより激下りへ

 樹に巻きつけてある指導標で読図の答え合わせをしてから激下り開始。
最初だけロープが付いているが、あとは木々を頼りにずるずると落ちていく感じ。
殆どガケに近い斜度で、東山から南向きに縦走してきたらおそらく最難関になるだろう。








10:51 640m+コル

 ずれ落ちた果てに640m+コルに降り立つ。
植林越しに五蔵山が透けて見えて、吐き出した高度差を改めて実感出来る。
単純計算で東山まで400m近く登り返さなければならない。

 縦走尾根は踏み跡は基本的にはあるような無いようなといったところで、読図による方向感覚と地形把握が非常に重要だ。








10:54 650m+ピーク

 僅かに登り返して650m+ピークを通過。
また少し近くなってきた東山を見上げて元気付けられる。
 でも周囲は植林ばかりで見飽きてしまうな。








10:58 629m標高点ピーク手前で一旦尾根を外す

 自分が歩いている尾根は更に東にある629m標高点ピークに伸びているけど、
辿っていく縦走尾根は北へ派生するのでここで尾根を外す。
マーキング等は控えめで、先読みを現地で答え合わせしていく読図の醍醐味を味わえる区間だ。








11:03 580m+コル

 一旦は支尾根扱いの縦走尾根を下ってくると、東側からは林道が現れる。
それに加えて周囲は赤茶けた地面が目立ち、一見すると林道造成中の現場に差し掛かったのかと思った。
しかし少し遅れてこの辺り一帯がたたら場であることに気付いた。
辺り一面無造作に掘り返した跡で地面がボコボコになっている。
今回の縦走に先だって、以前に裏明神でお会いしたことのある【かみかわ登山日和】さんで情報収集させて頂いたが、
ここが読図注意のたたら場であることにすぐに思い至った。

 見渡すとどこへ歩いていけばいいのか分からない雰囲気ではあるが、
地形図を見ると起伏の少ない尾根が東寄りに弓なりに描かれている。
これに沿うように歩きやすいところを歩いていく。








読図を入念に行いつつ北上

 周囲は無造作に掘り返されているが、このような微細な地形までは描かれていない地形図ではここは単純な尾根でしかない。
つまり元々の緩やかな尾根が続いている光景を想像しながら歩けば良い。
元々の地形が分かっていれば大きく尾根を外すことはないと思う。

 たたら場自体は標高差は少ないので歩き続けていれば、あまり時間を掛けずに通過出来る。

 まもなく620m+ピークへ向けて、地形図以上に急に見える登りが始まる。短いけど足場は柔らかい土なので脚力が必要だった。








11:24 620m+ピーク

 楽そうな踏み跡を追いすぎたことで一旦はルートを外したようだけど、どうにか修正して620m+ピークに到着。
土が柔らかかったのはルートを外したからだったのだろう。

 振り返ると遠くなってきた五蔵山がちらっと見える。








620m+ピークより北方の景観。東山が何となく見えている。

 乱れた息を整えつつここでもしっかり読図を行う。
この先、東寄りに弓なりに進みながら、緩やかに登って679mピークに至る。
その前で西側から別尾根が合流してくることも頭に入れておく。
等高線が広がっているところはたたら場を想定して油断しないよう。




 620m+ピークまででたたら場の区間は終わったようでほっと一息付ける。
ここのたたら場は、読図の応用問題的なところだったなあと振り返って思う。




11:31 西からの別尾根と合流

 尾根の分岐点では一応道標が付けられている。








11:38 679mピーク到着

 緩やかに登って南北に長い679mピークに到着。
木々の向こうには見上げるように高く、そして近くなった東山が待ち構えている。
ピーク北端にはちょうど腰を下ろしやすい立ち木がある。
この後の東山への登りに備えるためにも、ザックを下ろして行動食を摂っていくことにする。




11:49 679mピーク出発

 東山への登りの前に、まず650m+コルへの短い下りとなる。








11:53 650m+コル

 地形図では東西に破線道が横切り、情緒ある峠の風景を期待したいところだが、今日の行程で2ヶ所目のたたら場が広がっていた。
但し前述のたたら場よりは規模が小さく、また周辺の地形も複雑ではないので読図さえ行っていれば戸惑うことはないだろう。

 コルからは方角を確認したうえで、尾根が始まると思われる北方へ向かう。
周辺は幅の広い尾根ではあるが、登り方向なので歩きやすいところを辿っていけば大丈夫だろう。








12:01 地籍図根三角点を発見

 ようやく尾根の形状がはっきりしてきた頃、一宮町設置の地籍図根三角点を見つけた!
一瞬本物の三角点かと思ったけど、これはこれで宝探しのような感覚で楽しい。

 尾根は最初は北向き、徐々に北東へとカーブを描きながら緩やかに登っていく。
前述のたたら場の650m+コルから東山への標高差は350mほどあるけど、最初は緩い登りで始まる。








12:05 谷坂分岐

 思いがけず分岐に差し掛かった。
地面に置いてある走り書きの道標をよく見ると“谷坂”と書いてあるようだ。ここも分岐からは明確な踏み跡は無い。
この山域に入る登山者の数からして、この谷坂ルートを歩く人は稀なのではないだろうか。








いよいよ始まる激登り

 標高750mを過ぎる頃、遂に今日の行程でも最後の踏ん張りどころとなる急登が始まった。
山肌を少しでも歩きやすそうなところを選んでジグザグに登っていく。
時折、見かけるマーキングに元気付けられながらマイペースで高度を稼いでいく。

 なお横に見えるのは“鳥獣保護区”の標識で、東山周辺で何度か見かけることになる。








12:21 南からの別尾根と合流

 南へ派生する別尾根と合流。行動時間が6時間を越えたところに激登りをこなしてちょっとバテている。(^^;
別尾根に乗り上げたのを合図に進行方向は北へ90度転換。
尾根の傾斜も少し緩くなって、ちょっと元気付けられる。








12:31 860m+(隠れたピーク)到着

 等高線こそ閉じていないが、明確なミニピークとなっている860m+辺りでザックを下ろして5分程度小休止をとる。
このミニピークを起点に約30度東寄りに尾根は向きを変える。

 深い雑木林で展望皆無だが、進行方向の切り開きには残す標高差が少なくなった東山が垣間見える。








東山まで残り標高差約140m

 860m+を過ぎると尾根はやや広がりを見せる。
尾根上は北側は植林だが、南側は美しい自然林となっていて、最後の登りに際して大いに元気付けられる。








12:45 東山の大斜面に突入する

 なおも登っていくと尾根はその形状が無くなり、圧巻の大斜面に入った!
展望こそ無いものの、外界から隔絶された別天地のような雰囲気だ。
東山の山頂近くにこのような空間があったのかと、長い縦走の終わりに思いがけない光景を見て感慨深くなる。

 ルートはというと踏み跡は全く無いが疎らに生えた木々の間を登っていけば、時折マーキングが自然と目に入る。








徐々に斜度が増す大斜面

 最初こそ自由に歩けて楽しい空間だったが、東山山頂が近づくにつれて段々と斜度が増してきた。
地面も柔らかいので登り辛く余計に脚力を使ってしまう。でも後で分かったのだが、登っていたルートがやや北寄りにずれていたようだ。

 なおも上方に見えている稜線を目指して登っていたが、その手前でアセビの藪に遮られる。
強行突破出来そうにはなかったので、少し引き返したりしてルートファインディングを行う。
するとアセビ藪の向こうに日が当たっているのに気付き、アセビの下を這ってどうにか切り開きに飛び出すことが出来た!








13:05 アセビの回廊に飛び出す

 どうにかこうにか正規のルートに回帰出来た。
これにより、自分が少し北にずれて登っていたことが分かった。
後ろを振り返るが、辿ってきた縦走尾根は見えなかった。








広大な東山山頂の一角に乗り上げる

 アセビの回廊に飛び出てから僅かの登りで、台地上に広がる東山山頂に到達。
おおよそ方向感覚は掴めてはいたが、念のために方向確認を行ってから三角点がありそうな方へ向かう。

 疎らに生えたアセビがうっとおしいが、行く手を遮られることなくルートは続いている。








遂に東山山頂の展望台が見えた!

 長い緊張感溢れる縦走の果てにようやく辿り着いた東山山頂だ!
東山はフォレストステーション波賀を起点にすると子供連れでも楽々登れる山なので、
展望台を見ると一気に張りつめていた緊張感が緩んでいくようだ。
自分にとって東山は初登頂で、展望台からの景観にいやが上にも期待が高まる。







 
   
13:14 東山山頂(1,015m)到着

 ちょうどお昼時なので多くの人で賑わっているのではと思っていたが、予想は大きく外れて誰も居ない。
それでは今日三座目となる宍粟五十名山、東山の展望台でゆったり過ごすことにしよう。








 
  
東山山頂展望台からの景観を初めて楽しむ

 実に残念ながら歩いてきた縦走尾根は周辺の木立に遮られているようで見えなかった。
でも代わりに西方の眺めは素晴らしい。特に大甲山や荒尾山の山容が手に取るよう。
明日歩く予定の野尻からの尾根の全貌も観察出来る。








 
  
東山山頂展望台より東方の景観

 こちらは雪彦山から段ヶ峰などがもれなく見渡せる。
そういえば段ヶ峰の辺りはしばらく行っていないな。








 
  
東山山頂展望台より北方の景観

 写真では分かりにくいが、氷ノ山には僅かに残雪が見えた。
なお少し前まで展望台の周辺は植林が展望を悪くしていたようだが、今ではかなり整理されたようだ。

 一しきり展望を楽しんだ後で、展望台で行動食を摂って休憩する。なんともいえない時間だった。

 そろそろ出発しようと思ったところで、子供連れのファミリーの皆さんが到着された。
今日初めてとなる挨拶を交わして、展望台を譲って出発することにしよう。








 
   
13:45 東山山頂出発

 これまでの踏み跡が殆ど無かったルートとはがらっと変わって、手入れの行き届いた東山の山域に入る。
あとは歩きやすいトラックを辿って、自転車をデポしている登山口まできちんと降りるだけだ。
でも東山は初めてなので、一応歩き始める前に方向確認を行っておく。







 
   
13:50 東山山頂付近の分岐

 山頂展望台を出発して間もなく、宍粟五十名山ガイドブックでも記載されている分岐に差し掛かる。
自転車を置いているのは尾根コースの登山口なので、間違えないように続けて尾根を辿っていく。








 
   
東山尾根コースを下る

 長い緊張感ある縦走の余韻に浸りながら、半ば散策気分で尾根コースを緩やかに下っていく。
これまでとは対照的に本当に歩きやすい♪








 
   
14:03 928mピークが視界に入る 14:13 928mピーク

 尾根コースが大きく下りに掛かる少し手前にある928mピークが見えてくる。
間のアップダウンは30mくらいで緩やかなものだ。







 

 ベンチもあって快適に過ごせる928mピークを通過。
帰宅後に気付いたのだが、自分の持っている地形図では描かれていない三角点が新設されていた模様。
疲れからか注意力が散漫になっていて気付けなかった。またいずれ東山を再訪する時があるだろう。

 928mピークを過ぎてまもなく尾根は90度南へ向きを変える。



   
東山越しに縦走尾根が見える

 随分遠くなったけど、ようやく歩いてきた縦走尾根と山々を遠望することが出来た。
改めて今日の縦走の達成感を味わいつつ、早朝に自転車をデポした登山口へ下っていく。







 
   
14:26 東山尾根コース登山口到着

 行動時間8時間余り。濃密で充実度の高い縦走が遂に終わった!
思わずやった!と声を上げるくらいの達成感。久しぶりに本当にタフな縦走だったと思う。

 後は縦走の余韻を噛みしめつつ、そのご褒美のこれまた長いダウンヒルが待っている。








 
 
14:31 出発準備を終え、自転車にてダウンヒル開始

 車を置いている安積八幡神社まで戻る。
殆ど下り一辺倒ではあるが、フォレストステーション波賀を過ぎた辺りで少し登り返しがある。
その後、国道29号に出るまでは本当に爽快な一時。
29号に出てからはごく緩い下りで快適なサイクリングとなる。







 
15:06 安積八幡神社北側の駐車場到着

 神社裏手までは約30mくらい登らなくてはいけない。最後は自転車を押して駐車場に辿り着いた。
東山尾根コース登山口から僅か30分弱で車に戻ることが出来た。

 あとは今年初めてのテン泊で骨休めをすることにしよう。







 
   
ウッディパークキャンプ場

 昨年に続いて2回目の宿泊となる。ここは地面が固いのでペグが使えず、北ア同様に岩をアンカーにしてテントを固定させる。
明日の大甲山に備えて20時前には就寝とする。山ではないけど夜は早い。久しぶりのテントだけど、やはり居心地は最高だ。








 
 〜 終わりに 〜

 昨年の植松山から大甲山への縦走で味わったような爽快感はありませんでしたが、
読図の妙味と十二分な達成感を得ることが出来る古城山から東山の縦走でした。

 基本的には縦走尾根を辿ればよいのですが、部分的に林道やたたら場などで改変された地形に惑わされないよう念入りな読図が必要です。
マーキングはあくまで参考になる程度に留まります。
また五蔵山から東山の間のアップダウンは特にタフなので、所要時間に余裕を持って縦走にかかるべきかと考えます。








行程断面図です




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