「波佐利山から赤谷山周回」 2016年 5月14日(土) |
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国土地理院地形図 : 25000分の1 「岩屋堂」、「戸倉峠」 〜 はじめに 〜 波佐利山から赤谷山の間は戸倉峠から大通峠に至る県境尾根で最後まで残った 未踏区間でしたが、ヤマレコ等で情報収集して周回で縦走出来る目途が立ちました。 最近になって同じく初めて縦走出来た赤西山〜三室山間に比べると やや地形が複雑でヤブが深く、読図とルートファインディングがより重要な行程となるでしょう。 更に下りの尾根では選択の連続、また車への急降下も前回と共通する事項です。 下りで歩く山品山へ通じる尾根は登りで一度踏破していますが、過去の記憶はアテにならないといって差し支えありません。 今回も最後まで気の抜けない周回となりました。 登山の起点となる音水林道三叉路の広場までは、国道29号から入ってガタガタのダートを 慎重に徐行運転して約30分。落石が時々見受けられ、一度は石を退かせる必要までありました。 音水林道に入るのは初めてなので、事前に宍粟の親戚かのこさんを通じて情報収集しました。(^^)/ 悪路の林道を走行するリスクはゼロではないと思いますので、乗り入れはあくまで自己責任でお願いします。 ※ 宍粟50名山コースの波佐利山登山口から波佐利山、赤谷山山頂周辺のごく一部を除いて 指導標、登山道無しのバリルートです。地形図・コンパスによる読図とルートファインディングが必要となります。 一般向きの行程ではありません。 |
行程概要 ![]() |
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5:06 音水林道三叉路(800m+)出発 三叉路から林道終点までは3km、標高差220mほどを残しているが、音水林道は引き続いて緩やかな登り。 路面が荒れ気味なのは音水集落〜三叉路までと変わらずで、波佐利山ピストンの行程でもない限りは出来るだけ林道奥まで車を乗り入れないほうが無難とみた。 早朝は県境尾根周辺は雲が掛かっていて、今後縦走するところを横からは観れず。 でも今日は好天見込みなので、稜線に到達する頃には雲が取れているだろうと楽観視していた。 |
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5:52 波佐利山登山口・音水林道終点(1,020m+) 約45分の林道歩きでようやく波佐利山登山口・音水林道終点の広場に到着。 皮肉にもこの広場だけは路面状況が良いようだ。 登山口の標高は既に1,020m+。波佐利山の標高は1191mなので、残す標高差はあと170mしかない。 行く手には波佐利山へ伸びる尾根が間近に見えていて、登山ガイド「宍粟50名山」で紹介されているピストンの行程だとあまりに物足りなさ過ぎるだろう。 基本的に宍粟50名山は2、3座繋げて歩くパターンが多いが、今回もその例外ではない。 数分の小休止ですぐに出発。 登山道はまず等高線に沿うような山腹道で始まる。 自分の参照している平成18年版では林道終点までしか道は描かれていないが、 新しい版では破線道が記されているようだ。 |
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宍粟杉原生林への分岐 波佐利山の登山道に支線があることは知らなかった。 宍粟杉原生林を見てみたい気もしたが、今日は待望の未踏の県境尾根縦走を早く始めたい。 この分岐から一気に尾根に向かって高度を上げていくが、登山道が踏み固められるほど歩かれていないのでルートロスに注意と感じた。 |
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6:13 1,100m+にて尾根に乗る 宍粟杉原生林分岐から約50m登ると尾根に到達。 行く手にはもうあまり標高差の無いところに波佐利山っぽい山塊が森の向こうに透けて見える。 波佐利山までは宍粟50名山コースだし、比較的痩せた尾根が続くので快適に辿れる。 |
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1,100m+ピーク。コース上の尾根よりも大きい尾根が南側に派生している。 | 見覚えのある赤西渓谷への分岐に差し掛かる。 |
後ほど地形図を広げてみると、赤西林道ゲートから伸びてきている長い尾根であることが分かった。 やまあそさんも既に歩かれていて、この山域で新たな課題をまた一つ見つけた。 丸くて広いピークには波佐利山を示す指導標が立っているので、誤って南側の尾根へ入ることはまずないだろう。 |
緩やかな尾根を気持ち良く歩いていると、今度は見覚えのある分岐に差し掛かる。 前年に赤西山〜波佐利山を周回した際にはここから赤西渓谷上流部へと下っている。 ここにもルートミスを防ぐために指導標が立っていて、宍粟50名山コースは至れり尽くせり。 ということで、ここから波佐利山まではもうさほど遠くなく、また下りで一度は歩いている区間に入る。 |
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6:38 1,122mピーク | 波佐利山へ向けて最後の登り |
弓なりに右カーブを描く1,122mピークを通過。 この辺りは背の低い笹が生い茂っているが、踏み跡は明瞭だし快適な山行が続く。 |
1,122mピークを過ぎると、尾根は90度左へ曲がる。 そして波佐利山が近づくにつれて短いものの急坂になっていく。 南側から比較的大きな支尾根が近づいてくるとまもなく山頂へ。 一方、北側にはもう一つ大きな別尾根があって、今後縦走する県境尾根を遮っている形になるが上方はまだ雲を被ってる模様。 標高を上げるにつれて風も冷たくなってきて、じっとしていると寒いくらいだった。 |
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6:56 波佐利山山頂(1,191.7m)到着 薄く霧がかって何だか神秘的な2度目の波佐利山山頂に到着。 今後歩いていく北側の県境尾根が気になるが、霧が濃淡を繰り返しつつも日が昇るにつれて天候は回復に向かう気配だった。 ここでこの行程で最も大きな登りは終了。県境尾根自体は標高差は小さくて、地味な登り下りに終始する。 行動食のパンを食べながら、今後縦走していく県境尾根を地形図で眺めて最終確認しておく。 7:08 波佐利山山頂出発 山頂は南北に細長く伸びており、県境尾根へは北の肩から踏みこむことになる。 また波佐利山山頂自体は県境上ではなく、完全に兵庫県側にずれていることを認識しておきたい。 そして波佐利山山頂以降は宍粟50名山コースではなくバリルートへ突入する。 最大限に集中して縦走したい。 |
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波佐利山山頂の北の肩 三角点の山頂から僅かに北へ進んだところから、県境尾根は2方向に伸びている。 赤西山〜波佐利山を周回した際に、北側の県境尾根の入り口を確認してからずっと歩きたかったが遂に踏み込むことになる! 北の肩からはまず30mほどの下りとなる。県境尾根は歩き始めから痩せていて、意外に歩きやすい。 そして新旧様々なマーキングもある。序盤は快適な尾根歩きで始まるのだが、地形が複雑なところはもう少し先に控えている。 |
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名残の朝もやの中、県境尾根を北上していく | 真新しいマーキングもある |
遂に県境尾根に入るとすぐにブナなどの巨木が次々と現れてきて早くも圧倒される。 宍粟でも最奥の尾根を歩いていることも相まって、ワクワクしながら先へ進んでいく。 比較的最近も複数の方々が先行されていて、意外に踏み跡も残っている。 今のところ簡単に県境尾根を縦走出来ているが、地形が大きく変わってくる境となる1,166mピークの接近には気を配りたい。 |
快適そのものの自然林が続いていく。朝もやもかなり薄くなってきた。 |
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爽快な県境尾根。後方には次第に遠ざかる波佐利山が見え隠れする。 | 前方に1,166mピークがはっきりと見えてきた。 |
これまで宍粟のあちこちの山でブナの尾根を見てきたが、この痩せ尾根との組み合わせはたまらなく素晴らしい♪ |
気持ちの良い痩せ尾根の区間はあっという間に過ぎてしまう。 既に前方には東西に大きな支尾根を広げる1,166mピークが控えている。 |
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7:40 1,166mピーク | 1,166mピークをやや北へ曲がったところから下り始める |
標高差は殆ど変えないまま、注意ポイントと認識していた1,166mピークに到着。 ピーク周辺は笹が生い茂っていて見通しはもう一つで、踏み跡もやや不明瞭となる。 地形図をよく見ると県境尾根はこのピークを境にして、やや北にずれて伸びている。 この点を意識してルートファインディングを行うと、県境尾根の続きを見出しやすい。 |
要所にはマーキングもあるので再確認に有用だった。 ピークの周辺は笹ヤブが生い茂っているが、正確にルートを辿ると殆どヤブ漕ぎ無しで先へ進める。 1,166mピークからは約50mの下りとなる。最初はただ山腹を下っていく感じになるので、ルートの方向確認はしっかりと行う。 進行方向にはこの後目指していくことになる1,180m+ピークがどっしりした姿でよく見えていて、 未踏だった波佐利〜赤谷間の県境尾根のスケール感を確認出来る。赤谷山までの距離は意外に近く感じてきた。 1,166mピークまででほぼ4分の1を既に踏破したことになる。 |
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1,166mピークからの下りが一段落すると再び尾根の形状が明確になってくる | 比較的痩せた尾根歩きが続くが、背の低い笹が絶え間なく広がる。 |
1,166mピークを境に植生も変わってくるようで、常に足元には笹が触れるようになる。 でも背の低い笹が殆どで密度も低く、残念ながら?漕ぐまでにはならない。 前方には1,180m+ピークと、そこから派生する平らで大きな支尾根が目立つ。 でもその前に最低コルの接近を事前に認識したいので、そのコル直前の1,087m標高点を当面の目標にして歩いていく。 |
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快適な尾根歩きが続く1,087m標高点ピーク付近 | 8:15 1,087mピーク |
県境尾根は1,087mピークまで標高があまり変わらない緩やかな地形が続くが、 南側に続々とやや目立つ支尾根が派生するので比較的容易に読図が行える。 この辺りはマーキングは時折散見されるが、踏み跡は途切れ途切れといった感じ。 でも県境尾根上を辿ってさえいればまず問題はない。 |
周囲の景観がかなり見渡せる1,087mピークを通過。 前方には1,180m+ピークが近づいてきて、県境尾根上ではやや大きな登りを認識できる。 |
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8:18 1,060m+コル 地形図どおりに顕著で分かりやすい1,060m+コルに降り立つ。 一瞬だけど笹からも解放され、コルの周辺も視界良好でほっと一息付ける空間だった。 このコルは全く人の手が加わっていないように見受けられ、もちろんお地蔵さんも無くて峠らしさは感じられなかった。 但し地形図を見ると南側の谷あいには作業道?が伸びてきているようで、手付かずの自然が残る県境尾根まで上がってこないことを祈るばかり。 |
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これまで辿ってきた県境尾根を振り返りつつ、1,180m+ピークへ向けて登っていく | やや遠くなってきた波佐利山がちらっと見える |
1,060m+コルを過ぎると緩急を付けながらも登りがしばらく続く。 笹は比較的濃いところもあるが、踏み跡は何となくだがずっと続いていて歩くのに支障はない。 |
比較的大きな登りが続くので、振り返って展望が得られることを期待したが全開とまではいかなかった。 それでも尾根が屈曲する1,130m+付近では、木々の間から波佐利山を垣間見ることが出来た。 狭い山頂なのでもう少し尖って見えても良さそうだが、ゆったりした尾根を派生させているために山容は平凡に見える。 なおこの辺りでは尾根がやや広くなっており、逆向きに歩く場合は笹へ踏み込む入口が分かり辛くなっている。 でもよく見ると周囲にマーキングがあるので参考になる。 |
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地形図での印象よりも大きなカーブを描きながら1,180m+ピークへと乗り上げていく | 象のような宍粟杉の巨木 |
周囲からやや大きな支尾根を集めつつ、1,180m+ピークへの最後の登りをこなしていく。 支尾根の中でも1,180m+ピーク手前で南側に派生する尾根はかなり大きく、 地形図から見る限りでは音水林道三叉路へ降りていくことが出来るようだが・・。 また逆向きに歩く場合は、続々と支尾根が枝分かれしていく要注意箇所となるだろう。 |
1,180m+ピーク直前に目に付いた巨木で、これはまさしく象だと一見して分かった。 また周囲にはまだまだ巨木が控えており、この巨木群ともいうべき神秘的な森は1,180m+ピークを越えてもしばらく続くこととなる。 |
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8:51 1,180m+ピーク到着 | 1,180m+ピークの南の肩。巨木がルートをいざなってくれているかのよう。 |
次々現れる巨木群に圧倒されながら、南北に広い1,180m+ピークに到着。 県境尾根はこのピークの南の肩をかすめるようにして続いている。 ピーク周辺は木々が生い茂っていて、全開とまではいかないものの周辺の様子は伺える。 そしてこの時、既に予想外に至近距離で赤谷山が見えていることに驚く!山頂に登山者が居れば見えるくらいに近かった。 後に写真をチェックしていて思い出したのだが以前に赤谷山山頂から眺めた際に、南西側に木々が疎らで居心地良さそうな大きなピークが見えたので惹かれていた。 今回まさにそこに逆の方角から乗り上げたことになり、新たな達成感を後からも得た格好となった。 1,180m+ピークまで到達したことで、波佐利〜赤谷間も既に4分の3まで踏破。 未踏だった県境尾根での最後の目立つピークということで小休止をとっていく。 じっとしていると物音ひとつせず、とにかく静かなピークだった。 周囲への警戒のために時折意識して熊鈴を鳴らすことは怠れない。 9:01 1,180m+ピーク出発 再び南の肩へ戻って縦走を再開する。 ここからも巨木の間を縫うように歩いていく局面がしばらく続く。 |
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県境尾根上に続々と現れる巨木を前に縦走も停滞する | 各所で伐採されてしまった宍粟杉の最後の楽園か |
1,180m+ピークを過ぎても、2方向に尾根が枝分かれする辺りまで宍粟杉の巨木のオンパレードが続く。 赤西山の尾根でよく見られた切り株はここには皆無で、今でも手付かずの宍粟の森が見られる貴重な一帯だ。 宍粟最奥の県境尾根縦走の終盤に本当に良い見どころと巡り合えた心境だった。 |
これは一株から多くの杉が伸びている特に大きなものだった。 袂まで寄ってみると壮観さがよく分かる。 但しそこにはまだ湯気が立っていそうな新しい大きなフンがあったことを付記しておきたい。 ここは人よりも動物の気配が濃厚な一帯であることを、単独行であるがゆえにより強く印象付けられた。 |
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巨木の楽園散策を切り上げ、県境尾根の縦走を再開。 ここから観る限りでは赤谷山山頂には現在登山者は居ない模様。 進行方向は次第に赤谷山へ向けて北東へ。 尾根も段々と狭まってきて、最後の目立つコルへの下りとなる。 |
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次第に笹が深くなる県境尾根 | 9:23 1,070m+コル |
行く手には既に赤谷山付近のゆったりとした尾根が間近に横たわっている。 あの尾根は以前に山品山から縦走している尾根であり、県境尾根で残された未踏区間は僅かとなってきた。 でも最後に残されたアップダウンの登りは100m超あり、またここから先は笹も深くなってくる一帯。 最後まで気を抜くことは出来ない。 眼下の1,070m+コルまでの下りは約30mで傾斜も緩やか。 但し下りの斜面には背丈に近い笹が生い茂って踏み跡も不明瞭。 マーキングは相変わらず散見されるが、方向確認してから歩きやすそうなところを下っていく。 |
1,180m+ピークから下りに下って、1,070m+コルに降り立つ。 ここからは赤谷山付近へ向けて、県境尾根上での最後の登りが始まる。 コル周辺は比較的笹が薄くなり、地形の把握は比較的容易に行える。 まずは30mほど北東に道なりに登って、そこから進行方向は真東へと変わっていく。 その先には1,120m+ピークがあるが、そこまではそれほど急な登りではない。 |
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1,120m+ピークに乗り上げると、木々の向こうには赤谷山から伸びる尾根が間近に。 | 9:34 1,110m+コル |
やや笹が深いが南側から別尾根が上がってきているのが見えたので、1,120m+ピークに到達したことはすぐに認識できる。 眼前には踏破済みの赤谷山周辺の尾根が迫っており、この時点で既に達成感はかなりのもの。 なお笹は生い茂っているものの、何となく踏み跡もあるし古いマーキングも絶えることなく続いている。 1,120m+ピークを過ぎると僅かに下りとなって1,110m+コルへ。 |
赤谷山を前にして最後のコルに到達。 眼前の県境尾根は続いて痩せているが、今後は赤谷山から派生する形のより大きな尾根に吸収される。 痩せ尾根部分で20m、最後の山腹の登りは40mの詰まった等高線。 笹もだいぶ背が高いうえに深くなっており、いろんな意味で最後の最後が最もハードなところとなる。 |
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最後の40m弱の激登り | 稜線到達目前は短いながらも密生したヤブを突破することになる |
尾根が眼前の山腹に吸収される辺りは背丈を越える笹ヤブとなっている。 でも獣道っぽい空間が北へ逸れるように上がっており、笹ヤブをあまり漕がずに大きな尾根に迫ることが出来る。 但しルートを外すと密生したヤブとの格闘になるので、ルートファインディングは慎重に行う。 頭上は既に明るくなっており、このまま薄いところを通って稜線に到達出来れば理想だったがそれは難しそうだ。 |
もう稜線は間近ですぐ先にあると確信してから、最後はヤブを漕ぐことになった。 ここは三脚も立てようがないので、ヤブ漕ぎの臨場感を出そうと手持ちで撮影した。 たった10メートルあるか無いかの距離だったが、本当にヤブ漕ぎらしいヤブ漕ぎだった。 |
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9:50 ヤブから脱出する | やや笹が生い茂る尾根から明瞭そのものの宍粟50名山コースへ |
ヤブを漕ぎ始めると、疲れを感じる間もなくすぐに明るい稜線に飛び出した! そこは山品山から縦走してきた時に見た光景。 遂に波佐利〜赤谷間の未踏区間を踏破した瞬間で、この時の達成感は他で得難いものだった! この稜線上を歩いていてヤブの向こうに県境尾根が隠れていることは、地形図を見ていても読図するのは難しい。 とりあえず稜線には到達したが、念のために方向確認を行ってから赤谷山山頂へ向かう。 |
戸倉スキー場から上がってくる宍粟50名山コースと合流するとすぐに赤谷山山頂へ。 この時に今日唯一他の登山者である単独女性と出会う。 戸倉峠を起点にこれから波佐利までピストンされるとのこと。 まだ時間は早いし装備も万全と思えたので、ヤブへ踏み込むところだけアドバイスしてお別れした。 |
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10:03 赤谷山山頂(1,216m)到着 | 三室山へ連なる県境尾根の山々 |
遂に波佐利山からの縦走を経て赤谷山山頂へ到着。 自分にとってなじみ深い山頂ではあるが、難路を越えてきただけに達成感はこれまでとは違う。 山頂周辺の笹の背丈が高いのでやや視界が制限されるが、これまで辿ってきた県境尾根をさっそく振り返る。 |
赤谷山からだと付近の県境尾根を縦方向から観ることになるので、尾根そのものは目立って見えない。 それでも県境尾根の踏破済みのピークが重なるように居並んでいる様を見通せて壮観だった。 日の長い時期にアクセスさえ確保出来れば、大通峠から戸倉峠まで一気に縦走することも不可能ではないだろう。 |
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宍粟50名山の中でも屈指の名山と感じる赤谷山 北側には氷ノ山のゆったりとした山容が印象的。 出来れば氷ノ山から戸倉峠間も縦走したいが、こちらは積雪期限定なので雪山まで守備範囲の登山者に限られる。 順調に県境尾根の縦走も終えたし、オカリナを吹いて赤谷山山頂でリラックスして過ごしていく。 |
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下りの前に読図を行い確認しておく これから下っていく山品山へ通じる尾根は、遡ること2年前に登り方向で一度歩いている。 でも登りと下りでは全く感覚が違うし、下りの尾根を選択する緊張感をつい先日に竹呂以南で味わっている。 今回の尾根もいくつも枝分かれしているし油断はならない。 一たび間違えば軽く一時間は時間と体力をロスしてしまうのも赤西山で経験済み。 まずは登ってきた尾根を南へと引き返し、ここからだと殆ど重なっている1,162m、1,160m+ピークを目指す。 本当に要注意なのはそこから先の下りだ。 |
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やや笹は生い茂っているが、比較的気持ち良く歩ける | 10:56 1,160m+ピークより方角を見定めてヤブを下る。ここからが下りの正念場となる。 |
県境から離れていく形で山品山への大きな尾根へ道なりに乗る。 1,162mピークを越えて1,160m+ピークへ辿り着くまではほぼ一直線に進む感じで容易に辿れる。 |
平坦で広くて小さな沼地が点在する1,160m+ピークに到着すると、 方角を確認して1,094m標高点を抱える尾根を狙って下っていく。 このピークの南斜面一帯はしばらく濃いヤブに覆われて見通しが利きにくい。 途中に偶然あった倒木を踏み台にして、すぐ西に別尾根が同方向へ下っているのを見て、ほぼ確信をもって下っていく。 |
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11:10 ヤブを抜けると再び気持ちの良い尾根へ | 1,094m標高点ピークの南側で尾根は2方向へ枝分かれ。ここは南東側へ進むが、南西側にも辿りやすそうな尾根がある。 |
ヤブを突破して見覚えのある尾根へ降り立ち、下りの難所の一ヶ所目を無事に通過出来て安堵する。 この辺りは1,094m標高点ピークを過ぎるまでブナなどの巨木が林立する居心地の良い尾根が続く。 但し1,094m標高点ピークを過ぎると、続々と枝分かれしていく尾根を見定めて下っていかなければならない。 この辺りは踏み跡、マーキングともに皆無で、読図とルートファインディングだけが頼りとなる。 この先、1,028m標高点ピークを過ぎる辺りまで、尾根は地形的特徴が少なくて読図が難しい区間となる。 登りで歩いた際でも一時現在位置が分かり辛くなった経験があるところだ。 その間も数か所で尾根を選ぶ必要があり、慎重に周囲の様子を伺いながら南下していく。 |
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11:40 1,030m+ピーク | 11:53 980m+ピークに到達。ここで辿ってきた尾根を外す。 |
2年前の記憶にも残っている、クランク状に折れ曲がる南北に長い1,030m+ピークまで降りてきたところで、 狙いどおりの尾根を歩けていることを確信した。 これだけ長いピークが続くところは西側の間違い尾根には無いので良い目印になる。 この1,030m+ピークを過ぎると、尾根は同方向に2本に別れる。 ここは東側の尾根を下っていく。 |
約60mやや急な尾根を下ってきて、広い970m+コルに降り立つ。 すると眼前には東西に長い980m+ピークが横たわっているので、ここが山品山へ向かう尾根を捨てるポイントとなる。 |
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980m+ピーク西端より、行程の起点となっている林道三叉路と広場を見下ろす 980m+ピークを西へ進むと視界が開け、眼下には音水林道、三叉路と広場、そしてちらっとではあるが波佐利山まで眺めることが出来る。 ここからは「かみかわ登山日和」の山ちゃんさんご一行が山品山での山行の際に使われたルートをとり、ほぼ真西へ向けて180mも激下っていくこととなる。 ルートはあるような無いような感じだが、地形的に複雑ではないのであとはルートファインディングが頼りとなる。 その前にせっかく貴重な展望スポットなので、ここで昼食も兼ねて休憩を取っていくことにした。 12:08 980m+ピーク出発 いよいよ激下り開始。 下り始めて気付いたが、意外に踏み跡は明瞭なところもあり、またマーキングも時折見受けられた。 但し完全に踏み跡を辿れたわけではなく、やはり快適に下れるルートというわけではなかった。 自分が正確に踏み跡を追えなかった面もあるかもしれない。 左右を見ては下りやすそうなほうへトラバースしつつ下っていくというようにして、慎重に標高を下げていくことになる。 |
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激下りなので見る間に標高を下げていく。眼下には行程の終点となる広場が近づいてくる。 | 12:33 980m+ピークからの激下りをようやく終える |
何だか先週の赤西〜竹呂周回と展開が似ているなと感じながら激下っていく。 |
一応尾根筋を辿っていたはずだったが、最後は荒れた急斜面をどうにかこうにか降下。 途中からはマーキングもルートも追えなくなったが、降り立ったその先の細い沢には渡渉箇所を示すマーキングが。 この激下りでルートどりは的確だったのか良かったのかどうかは微妙だったように感じる。 |
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渡渉すると目の前には林道が走っており、その行く手には広場と車が。これにて無事に周回完了!! 12:40 音水林道三叉路横の広場に到着 所要時間約7時間30分。林道歩きを除くと半分は未踏区間であり、滅多に人に会うことのない山域での緊張感溢れる山行だった。 山行装備を解くと、音水林道を慎重に運転して引き返し、もう一つのお楽しみのキャンプへ向かう。 |
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〜 終わりに 〜 以前から歩きたかったものの、ルートどりの問題や濃いヤブの突破、そして複雑な地形などの事情から 自分にとって禁断の?宍粟周辺の県境尾根でしたが、この日をもって遂に未踏区間が無くなりました。※大通峠以西はまた別次元の激藪のようですが。 宍粟最奥の手付かずの自然に触れ達成感抜群ではありますが、県境尾根の周囲にはまだまだ未踏の尾根が数多く残されています。 毎回が地形図とコンパスをフルに活かす真剣勝負の思いで、一つ一つ踏破していきたく思います。 絶好の好天の下で、待望の県境尾根(波佐利〜赤谷間)を歩けたことに感謝の思いで締めた山行でした。 |
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行程断面図です![]() |