「大倉山(たつの市最高峰)」 11年10月 2日(日) |
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国土地理院地形図 : 25000分の1 「龍野」 〜 はじめに 〜 新龍アルプスを歩いた頃から気にはなっていた、たつの市最高峰の山です。 平らで展望が無いことからあまり人気のある山ではないことは分かっていましたが、 登山道もそれに比例して色んな意味で難しいものになっていました。 それでも紆余曲折を経て無事に山頂に到達し、達成感を味わうことが出来ました。 大成池に通じる車道に自転車をデポ。その後、南東山麓の井関三神社に駐車してから 山行を開始します。井関三神社、及び登山口にも大倉山を示す案内等は一切ありません。 このコース(といえるかどうか微妙ですが)を歩く際は充分な下調べが必要と思いました。 6:36 井関三神社出発 井関三神社から集落を通り抜け北東へ続く谷を目指す。 ちなみに井関三神社の奥宮は亀池の近くにあって以前に行ったことがある。 集落から抜けようとする頃、散歩中のおばあさんと出会う。 ややマイナーな感のある山でも、地元の方は大倉山のことはよくご存知のよう。 イノシシが多いので気をつけてと言われお別れする。 |
行程概要 (山中のルートは不正確です)![]() 行程上に基本的に公設案内板等は無し。地図読み及び方向確認が必須です。 西の峠池、大倉山、大成池にかけては枝道が無数にあり。 大倉山南山腹では林道工事中。たつの市最高峰としてはあまりにおざなりな 扱いとなっているのは残念です。 |
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6:48 集落の外れの獣避けゲートを通過 民家が途切れた先で獣避けゲートを通過する。自分が通った後の戸締りの確認はしっかり行う。 ここから先はイノシシも闊歩する野生の世界となる。しばらくはこの谷奥に伸びる林道を歩いていく。 |
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7:03 実質的な登山口(迷走開始) | 途中からこれは違うかも・・と思いつつある程度登ってみる |
参考にしている【ふるさと兵庫100山】でも、“おしゃべりをしていると通り過ぎる”という記述のある登山口に到着。 小さなコンクリート製の橋が目印だ。ここで左の山へと入っていくのだが、赤テープとかすかな踏み跡によって ここからいきなり山腹に取り付いてしまった。正解は少し小川に沿って奥へと入り、関電巡視路ともなっている トラックを登っていくのだが・・。 間違って取り付いた山腹は杣道が縦横に走り、そして途中からは荒れた山腹道までが現れ、 大倉山へと続く主尾根に到達出来るのではという雰囲気があった。 しかしある程度登ったところで密生したシダ藪に行く手を遮られる。 かなり登ったのだがやむを得ず確実なところである登山口まで引き返すことにした。 いきなり序盤からつまづいた山行となってしまったが、まだ想定外の事態は先にも現れることとなる。 7:59 誤った登山口に戻ってくる ある程度登ってから食べることにしていたパンを食べて小休止する。 その間に地形図をじっくりと確認して、小川沿いを入っていくことにする。 |
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8:10 小休止の後再出発 小川といっても当日は殆ど涸れた状態だった。少しだけ奥へと入ったところで「火の用心」の標識を発見。 ここから西の尾根へと取り付くのが正解だった。帰宅後よく読めば本にも書いてある。 最近の仕事疲れからか記憶が断片的に消えていたようだ。 |
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大倉山へと続くトラック 先述の山腹とは違い、明瞭なトラックが上へと続いている。 今回の山行で難しいと思ったことの一つは、整備されておらず登山口が明快ではないこと。 最初でつまづかないためにも、現地の状況把握は非常に大事だと改めて痛感した。 |
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8:22 送電線鉄塔下通過 麓からも見えていた送電線鉄塔へとあっけなく到達。後方を見るとお馴染みの的場山も見える。 この付近の山域では的場山から北の新龍アルプスが最も楽しいと思うが、自分はもう何度も歩いているので最初の感動が薄れてしまった。 |
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8:29 最初に目指していた250m+ピークと並ぶ 送電線鉄塔を通り過ぎ、今度は誤って取り付いた山腹から到達しようとしていた250m+ピークが見えた。 遠目には分からないが、あのピーク周辺はシダ藪で覆われていることは先ほど確認した。 それにしても、一応「晴れ」の予報だったが、うっとおしい曇り空で気分も萎える。 当日は天気予報がちょっと信用出来ない予感があったので、近場の龍野を選んだのだが正解だったようだ。 まもなく地形図で標高点表記のある312mピークに近づくが、トラックはその北側山腹をトラバースする。 |
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8:42 312mピーク付近の出合 312mピークの近くを通り過ぎた頃、南方からやってきた別のトラックと合流する。 この尾根には未確認のトラックがまだあるようだ。いずれどこへ通じているのか確認したい。 出合を通り過ぎると人為的な地形が現れる。以前、亀池の近くの「水争い遺称地」で見た土手状の地形に似ている気がした。 仮にここで水を分けたとすると、現在居る尾根の両側にある谷(地形図には田んぼ表記がある)を潤す水になるようだ。 この後は地形図にも描かれている破線道のある尾根を登っていくのだが、 トラックは尾根の少し南側を通るので尾根道の様相はあまりなかった。 |
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8:56 初めて大倉山を見上げる まもなく西の峠池に到達しそうな頃、ずっと並走していた尾根の展望が開けていたので寄ってみた。 そこではこれから登る大倉山が谷の向こうによく見えていた。 平らな丘状の山容が逆に印象的でもあった。前回の七種とは対照的な穏やかな山だ。 |
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9:02 方角を確認して山腹道へ ここは今日2つめの難しいと思われたポイントだった。 すぐ近くには西の峠池があって、付近は公園のようになっている。 正解を示す案内板は無いうえにどこでも歩いていけるので、ここでこれからの進路を自分で判断するしかない。 その中で赤テープが豊富にあり、そして北の谷をトラバースしそうな右側のルートを選んだ。 方向確認をしてから歩き始める。あとから考えれば一旦池の傍まで行ってから判断するのが無難だったかもしれない。 途切れがちな赤テープに導かれるが、スムーズに谷を通って大倉山へとアプローチ出来そうだった。 ところがその先では・・ |
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9:10 工事により激変している大倉山南山腹 登っていった先では大々的に工事が行われ、自分が辿っていたトラックは問答無用に寸断されていた。 続きがあるはずの尾根を見るもちょっと確信が持てない。朝の失敗から今度は慎重にこの林道から登れそうなルートを捜すことにする。 少し西へ進んだところで上方を目指すルートを発見。これで大倉山へ行けそうだ。 |
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9:18 今日初めて案内板を確認 朝から全く見ることのなかった案内板を初めて確認。 多過ぎるのも困るが、全く無いのもちょっと寂しいものだ。 これまで殆どルートファインディングで登ってきた感覚だったので、 自分の判断が正しかったことを確認出来てほっとする。 この後しばらく沢沿いに上って、東側の山腹へと続いていく。 |
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なだらかな地形に心落ち着く 周辺の地形からもう山頂が近いことを確信しつつ歩いていく。 朝から曇りだった空も明るくなってきた。どうやら晴れやかな大倉山初登頂となりそうだ。 |
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9:33 510m+ピーク 登り着いた先は大倉山山頂より少し西だった。 だだっ広い510mの等高線が描かれているところで、周囲よりは盛り上がっているから、 これは隠れたピークといえるかもしれない。 目指す大倉山山頂はここから東へすぐ。あと10mほど登るだけだ。 |
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9:38 大倉山山頂(520m)到着 森の中の一段高いところが大倉山山頂だ。 平らな山容なので展望は知っていたとおり全く無いが、意外にもここがピークとはっきり分かる地形となっている。 朝からのトラブル続きの末に辿り着いたピークだけに、達成感と安堵感はなかなかのものだった。 それと自分にとってお馴染みのたつの市での最高峰を踏むことも出来たし、長年の宿題の一つをようやく片付けた気分だ。 木漏れ日の射す山頂はとても居心地良かった。三角点の横でオカリナを楽しんだりして過ごした。 9:58 大倉山山頂出発 前述の510m+ピークまで戻って、今度は西に隣接するもう一つの510m+ピークを目指す。 ほぼ同じ標高のピークが東西に隣り合っているので、大倉山はある意味では双耳峰とみなすことも出来るかもしれない。 |
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510m+ピーク(大倉山山頂最西端)からもう一つの510m+ピークを見る やや荒れてはいるものの、明瞭なトラックが続いている。 ちなみに間にあるコルは490m+なので、アップダウンはごく軽いものだ。 |
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10:11 510m+ピーク到着 |
510m+ピーク展望台 景観はなかなか良いが、スズメバチが周囲を飛び交っていて怖い。 |
クモの巣を払いつつ、あっという間に510m+ピークに到着。 大倉山では得られない展望を楽しむために展望台もあるが、まず目に付いたのは“サウンドスコープ”といわれるもの。 耳を当ててみるが何も聞こえない。なんじゃこりは? 展望台からは近くに大倉山、南方には瀬戸内海が少し霞んで見えている。 ここの景観はたつの市最高峰に相応しくなかなかのものだ。 当日この展望台では多くのスズメバチが飛んでいるのを目撃。 えさ探しや偵察のために単独で飛んでいるようではなく、どうやら至近距離の場所に巣があるような雰囲気だった。 ミッションの撮影だけは手早く済ませて、ハチを刺激しないようにそっと退散する。 今の時期、この展望台は訪れるに楽しいところではないかもしれない。 10:19 510m+ピーク出発 |
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大成池へ向けて下る 後で案内板から知ったことだが、大倉山を含む周辺は「たつの市菖蒲谷森林公園」として一旦は整備された山域のようだ。 そのためか多くの枝道が交錯し、なかなか難解なエリアとなっている。 中途半端に整備するとかえってややこしくなるような気がする。トラックは本数が少ないほうが明快で分かりやすい。 |
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10:33 大成池到着 エメラルドグリーンが鮮やかな大成池に到着。亀池とほぼ同じくらいの広さだろうか。 池ではルアー釣りを楽しんでいる方も見受けられる。 自分は海釣りしかしたことがないので、ルアーもやってみれば面白いだろうか。 周辺は本当に静かで、のんびり過ごしたりファミリーで散策するにも良いところだ。 傍のベンチで池を眺めて小休止をとる。 10:47 大成池出発 大成池からは砂利道、途中からは舗装路を歩いて自転車デポ地を目指す。 前述の森林公園の案内板を見たのはこの時だ。 11:02 自転車デポ地到着 舗装路の終点近くにバスが十数台駐車可能なくらいの広い駐車場がある。 ここの脇に自転車をデポしておいた。大成池からなら少し登り返して辿り着くところだ。 ここからならば麓まで下りが続くので、自転車で爽快にダウンヒル出来る目論見だ。 当日、ここでは数台のチャーターバスが駐車していた。菖蒲谷森林公園に団体さんが来られていたようだ。 |
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西の峠池 | 標高差約350m、距離4.5kmのダウンヒル (標高差+25m、2.2kmの登りも付いてくるが) |
デポ地から少しだけ下ったところに西の峠池がある。 ここから登ると大倉山は楽に辿り着けてしまうだろう。 ピークの近くまで車道が通じているという事情も、麓からの大倉山のトラックが整備されていない原因かもしれない。 六甲山系などその法則は当てはまらない山も多いのだが・・。 池からは子供達の歓声が聞こえてきて、それぞれが思い思いに休日を楽しんでいるようだ。 山行中は立ち寄らなかった西の峠池を眺めてから、麓までのダウンヒルへ出発する。 瀬戸の海へと飛び込んでいくような感覚で、それはもう最高の時間だった。 11:43 井関三神社到着 麓へ降りきった後は、井関三神社まで緩やかな登りとなるので、 全行程ダウンヒルを楽しむわけにはいかないのが今回の行程の難点の一つ。 途中では自転車を押して歩いたりして、そこそこ息を切らしてようやく駐車地の神社に到着する。 時には向かい風でしんどかった高校の時の自転車通学を思い出す。 |
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井関三神社 着替えや自転車の収納など帰宅準備をしてから、井関三神社に無事の下山を報告して参拝する。 境内は清掃が行き届いていて、地元の方々によってとても大切にされていることが伝わってくる。 清々しい思いになってから家路に着く。 〜 終わりに 〜 今回のルートはあまり一般向きではないかもしれません。 大倉山は亀山方面から山上の池巡りのついでに立ち寄るのが良いかもしれません。 ダウンヒルに使った車道からだと、あまりにあっけなく着いてしまって面白みが無いと思います。 また久々に失敗の経験をした山行ともなりました。失敗の原因は思い込み、早合点等々です。 山行は常に観察を怠らないことが大事と改めて感じました。今後に生かしていきたいと思います。 |
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行程断面図です![]() |