「比良山系横断U」 坂下〜小女郎ヶ池〜栗原 08年5月22日(木)

国土地理院地形図:25000分の1「花脊」、「比良山」、 
昭文社・山と高原地図45「比良山系・武奈ヶ岳」、 
山と渓谷社「比良山・湖西の山」をご参照ください。


 初めて比良山系、そして武奈ヶ岳へ訪れてから7ヶ月ぶりの今回の山行。どこへ行こうかと散々迷った挙句、
「摩耶山さん歩」のてるみさんのレポを見て興味をもった小女郎ヶ池をメインテーマにして南比良を横断することにした。

 比良は今回でまだ2度目。初回は武奈ヶ岳周辺の行程だったので、今回のルートも当然全て未踏である。
どんな山道や景観が出迎えてくれるのか楽しみだ。但し、晴天ではあってもやや霞んでいて、遠望だけは全く期待できなかったが。

 今回の行程でも前回同様、交通機関は往路は京都バス、復路はJR湖西線を利用する。車はガソリン代が暴騰している上、高速代も
かかり、また渋滞のリスクもあることを考えると、兵庫から比良へは公共の交通機関を利用するほうが得策かと思う。




7:45 京阪出町柳駅前出発

 京都バス 10系統朽木学校前行きに乗車。京阪のK特急を降りて、バス停に着くと既に十数人程列を成して待っていた。
殆どが比良への登山客で、山の会の貸切状態のよう。自分はかろうじて座れたが、始発停留所である出町柳駅前から
既に小さなバスの車内は立ち客が出るほどの乗車率だ。それでも積み残すほどではないので、平日はこのサイズでも充分なのだろう。








8:34 下坂下バス停下車 (371m)

 約50分ほどの乗車時間で、本日のスタート地点である下坂下バス停に到着。自分を含めて6人下車。
着いていくだけでは未踏のルートを歩く楽しみが半減するので、身支度をする時間を利用してスタートするタイミングをずらす。
ということで、ここから登山口までの所要時間は参考にならない。

 下坂下バス停からは坂下の集落へ向かう旧道を南へ進む。坂下は山間の静かな佇まいの集落だ。








9:00 坂下バス停通過

 しばらく集落を歩いていくと坂下バス停を通過。堅田から運行されている江若バスを利用すると、このバス停が利用出来るということが分かった。
登山口まで最寄のバス停ではあるが、到着時間が若干遅くなるのがネックだろうか。バス停には「小女郎ヶ池コース(サカ谷道)」の案内板が設置されていて、
(下坂下バス停には無かった)初めての人にも分かりやすい。それにしても「坂下」と名の付くバス停は付近に2つあるわけで、比良初心者の自分は
プランを立てる時にちょっと戸惑った。京都バスか江若バスのどちらを利用するかによって、下車するバス停がどちらかになるということになることだった。
多方面から集合するパーティーは待ち合わせ時に混乱しないように注意すべきかもしれない。








9:12 サカ谷道登山口出発 (390m)

 坂下バス停からすぐに川沿いへ分岐して下る小道を辿ると、奥に堰堤の見えるサカ谷道の登山口に到着。
ちょうど先行の方々が準備を終えて出発されるところだった。挨拶を交わした後すぐに出発されたが、その後全くお会いすることはなかった。
未踏のルートで多数撮影したので、自分は余程スローペースだったのだろう。

 ここで日陰を利用してウォーミングアップをしてから堰堤に向かって登り始める。堰堤は3段重ねの豪華な造りとなっている。噂どおりなかなかの急登だ。
巻き道による堰堤越えは左岸伝いにしばらく続く。








9:20 サカ谷渡渉

 堰堤をいくつか越えると目の前に突如谷を塞ぐ倒木群が!
よく見ると右岸側に難なく歩ける踏み跡が続いている。流れの幅が狭いことと、適当な足場となる岩が無いことから飛び越えて渡った。








 しばらくサカ谷の右岸を緩やかに登っていくと、小女郎ヶ池を示す公設の案内板が設置されていた。
そこから谷沿いを離れて、けっこう急な北側の山腹に取り付く。但し急なのは最初だけで、その後はジグザグに登っていくのですぐに緩やかになった。








 もう少しで尾根に乗りそうというところで、トラックは急転換して東へ向かう。
サカ谷道を下ってきた場合に、尾根を下り続けないようにとの配慮からかここにも案内板が。
以前は尾根を辿り続けるルートであったということから、下りで歩いてきたら尾根を進むのが自然と感じるかもしれない。

 なお、これ以降小女郎ヶ池コースはこの尾根に付かず離れず辿りながら、山上の小女郎ヶ池付近へ達することになる。








9:35 尾根を横切る

 このまま尾根の南側を登っていくのかと思ったら、急に進路は北へ向きを変えて尾根を横切った。
ところで尾根付近は植林地帯のうえ、倒木も散乱してあまり雰囲気は良くない。








 登り始めからずっと植林が続いていたが、尾根を横切った辺りから自然林に変わって、ぐっと雰囲気が良くなる。
考えたら新緑の時期の比良はもちろん初めてだったわけで、一気に足取りも軽くなるようだ。

 尾根を横切ってからしばらく緩やかな山腹道が続いた後、まもなく幅広の緩やかな尾根に乗ったような気がした。
これは前述の小女郎ヶ池へ達する主尾根から北へ分岐する支尾根だろうか。








 支尾根に乗った頃、トラックは北から南へ進路を変え、再び主尾根に向かっていく。
新緑を五月晴れの日差しが射し、森には下草も生えてすごく明るい雰囲気で癒される。








9:58 再び主尾根を横切る

 自然林の美しい森を歩いていたら、再び一度横切った主尾根に戻ってきた。
下方の尾根上も無理なく歩けるように見えるが、尾根を塞ぐようにテープが張られていて間違って下らないように配慮されている。
登り始めからまず618m標高点を目標にしていたが、結局後にも先にも確認出来なかったことを考えると、
北に大きく迂回している間の主尾根に位置しているのかもしれない。

 ここからは再び主尾根の南側の山腹を緩やかに登っていく。








 南斜面に移ったことで、一際森が明るくなった。登り始めから全く景観は望めないが、
サカ谷道は退屈しない良いトラックだと思う。

 但し、この後再び植林地帯に突入。もう自然林のままだろうと思って盛り上がっていたところだったので水を差された感じだ。
しかもけっこう急坂が続く。この辺りがサカ谷道の中で最も苦しいところではないだろうか。








10:29 3度目でようやく尾根道になる

 しばらくやや急な植林の中の登りが続いた後、今日初めてトラックは尾根上を辿り始めた。
緩くもなければきつくもない登りが続くが、そろそろサカ谷道も行程の半ばが過ぎ、次の局面に入りそうという期待感を抱きながら登っていく。
最初の618mピークを見ることは出来なかったが、次の目標である964mピークはこのまま尾根を外れなければ見ることが出来そうだ。








10:38 900m+ピーク横を通過

 山と高原地図「比良山系」では“小ピーク”と書かれている、900m+ピーク横を通過。当初このミニピークが964mピークではないかと思った。
この写真もそう思って撮影したのだが、この後本当の964mピークを通過した時にいわゆるニセピークだったと気付いた。
それだけなかなか形の良い登高欲をそそられるピークだった。ちなみにトラックはピークのすぐ横を通過しており、ピークへ向かう踏み跡は見られなかった。








10:48 964mピーク横を通過

 前述の900m+ピークを通過後約50m登ると、今度こそ目標にしていた964mピークの横を通過。
同じようにピークを左手に見ながら通過する。964mピークまで到達出来たことで、小女郎ヶ池まではあと130mほどの標高差になった。

 この後964mピーク、そして940m+コルを通過すると、いよいよ小女郎ヶ池周辺のなだらかな山上エリアに入っていく。








 940m+コルからは実に緩やかな登りが続き、そして殆ど平坦な区間になった。
残念ながら展望は木々の間から蓬莱山がちょろちょろと見えるくらいだが、もう小女郎ヶ池まであと僅かと実感して嬉しくなる。








11:20 草原地帯の一角に出る

 そして周囲には高い木も無くなり、なだらかな地形の続く草原となる。正面に平坦な尾根を見ながら下り始める。
もうそろそろ池が見えてくるのかなと思いながら下っていくと・・・








11:25 小女郎ヶ池到着 (1060m+)

 遂に小女郎ヶ池に到着。写真などから思い描いていたイメージよりはやや小ぶりに感じた。でも山上の池という普段あまりないシチュエーションで、
しかも後方に蓬莱山まで控えているこの景観は爽やかで本当に素晴らしい!
初めての小女郎ヶ池訪問はぜひ新緑時にと考えていたので、イメージ通りの光景に出会えて幸運だった。

 トラックは池の東岸沿いを進んでから、小女郎峠へ向かって池から離れるようだ。
正規のルート上からは外れるようだが、東岸沿いに池の北端近くまで進める模様。
色々な角度から小女郎ヶ池の光景を楽しむべく散策を開始。

 小女郎ヶ池東岸を進むトラックは所々で泥状になっており、それを避けるように泥の縁を通るように踏み跡が広がっている。
久しぶりに見る状況だったが、NZのトラックでは日常茶飯事の光景であり、これを「マディー(muddy)」と形容していた。
マディーが代名詞のトラックまであるほど。自分自身、膝まで泥に浸かって歩いたことがあった。思わぬところでNZを懐かしく思い出してしまった。








 悲しいような怖いような伝説のある池だが、泥炭層の上に湛える水はとてもきれいで非常に澄んでいる。
池の端を半周程度散策したが、草地でも踏めば水が浮いてきたりして半湿地状態になっている。

 小女郎ヶ池は南側から順光で見るほうがよりきれいだったか。そのほうが蓬莱山が後ろに見えるし。




 小女郎ヶ池 (こじょろがいけ)

 比良山系には、八雲ヶ原をはじめ多くの池や沼地がありますが、その中で最高地点にあるのが小女郎ヶ池で、
蓬莱山(標高1174m)の南西標高1060mに位置します。
 ボーリング調査によりますと、深さ1.28mを境に、これより浅いところでは泥炭層が、これより深い所では磯層となり、
この磯層と泥炭層の間に火山灰がはさまれています。 この火山灰は、今から約6300年前に噴火したものが堆積した
アカホヤ火山灰が考えられます。

 また、この池は、地元の人たちから「雨ごいの池」として崇められているほかに、有名な悲哀伝説が語りつがれています。

 昔、ふもとの南船路の里に久右衛門とお孝という夫婦がいました。ある日お孝は、池のあたりへ薪を取りに来ていると、
美しい青年(実は池の主、大蛇の化身)に会いました。以来夜になると、池に通うようになったお孝の行動に不審を持った
久右衛門が、ある夜あとをつけ、お孝が池に入るのを見て驚きました。気付いたお孝はお詫びのしるしにと左目をくりとって
夫に渡し、「赤ん坊が乳を欲しがったら、これをしゃぶらせてほしい」と言い残して池へ入ってしまいました。
孝女郎が入った池だから孝女郎池、それがいつしか小女郎ヶ池になったといわれています。





 いつも思うが昔話ってけっこう残酷な話が多いと感じる。でも最近では表現を柔らかくした状態の本を子供向けに出版していると聞いたことがある。
最近は何でもオブラートに包むような表現をする風潮があるように思うが、自分は世の中には目を背けたくなるようなこともあるが時には直視しなければならないというのを
幼い頃から伝えるべきではないかと思う。大げさに言えば昔話には人生の指針となるような訓戒が込められていることが多いのではないだろうか。
悪いことをすれば自分に返ってくるとでもいうような。








 ひとしきり散策と撮影を終えて、上記の概説の書かれている案内板の作る日陰に座って、悲哀伝説の小女郎ヶ池を眺めながら昼食を摂る。
この後は大展望の区間に突入するが、今日は遠望は期待できないだろうから、小女郎ヶ池での滞在時間を長くしたほうが良いと思った。








12:10 小女郎ヶ池出発

 昼食を済ませて、これ以降の行程を確認した後、いよいよ小女郎ヶ池を出発。ここはまた違う季節に再訪してみたい。

 小女郎ヶ池からはまずは程近い小女郎峠へ向かう。
ちょうどお昼時の小女郎ヶ池だったが、結局滞在時間中誰も来なかった。








 歩き始めてすぐに小女郎ヶ池弁財天の祠に差し掛かる。祠は比較的新しいもののように見受けられる。
すぐ近くに小女郎ヶ池があるがここからは見えない。

 祠からも緩やかな草原の中の道を東へ進む。地形図によると小女郎ヶ池と小女郎峠の標高差は十数mほどしかない。
すぐに眼前には蓬莱山とホッケ山を結ぶ尾根が見えてくる。これをこれから歩くのかと思うとわくわくする。








12:19 小女郎峠

 まもなく足下に琵琶湖が広がる小女郎峠に到着。見るからに峠らしい峠だった。比良山系の縦走路と、小女郎ヶ池と蓬莱駅を結ぶ山道が交差する。
ところでやはり予想通りというか予想以上に空気は霞んで遠望は全く利かなかった。琵琶湖の西岸は見えるが、対岸は全く見えない。
今日は晴天率が高いということで、小女郎ヶ池がメインテーマの行程には向いていると思って行き先を決めたが、ここまで遠望が利かないのは残念だった。
この時近い将来、より空気の澄んだ日に再び南比良を歩こうと思い立った。








 小女郎峠からはホッケ山、権現山へ向かって一路南へ。指呼の距離の蓬莱山も惹かれたがまたの機会にする。
前述の通りに遠望は利かないが、初めての自分には充分感動的な草原の尾根道だった。
これは絶対遠望の利く日にリトライしなければならないだろう。








12:25 1090m+ピーク

 小女郎峠から僅かの登りで、これまた周囲360度の大展望の広がる1090m+ピークに到着。
三体の地蔵が祀られているピークからは、先程まで滞在していた小女郎ヶ池が草原に埋もれるように見える。
その奥には登ってきたサカ谷道が通っている丘陵も見えている。

 北にはほど近いところに蓬莱山の山頂付近だけが見える。山頂には一目でリフト施設と分かる建物がある。
あれがびわ湖バレイか〜。やはりスキー場を見ると何故か嬉しい。








 三地蔵に背を向けると、琵琶湖の大展望が。霞んではいるけど、琵琶湖の雄大さは充分に伝わってくる。
ちょうど前方には今日の行程の終点である和邇駅周辺が見えている。まだまだ先は長い。








 もし空気が澄んでいれば、なかなか行程が進まないであろう区間であることを実感した。
まだ先は長いのとどこからでも大展望なので、1090m+ピークも数分の滞在で早々に出発。
引き続いて草原の尾根道を南へ進む。
 小女郎峠から南へ進むと多少アップダウンはあるが、全体的に見れば緩やかに下るとみて良いようだ。
次の目的地であるホッケ山へは60mほど下って30mほどの登りである。








 緩やかに下る尾根道をしばらく歩いていくと、前方には近づいてくるホッケ山とその右奥にはその次に向かう権現山も見えてきた。
山と渓谷社「比良山・湖西の山」によると、権現山も大展望の山頂ということだが、北から見る限りでは森に覆われて視界が無い山のように見える。

 ところでこの辺りは絶壁の上を歩く区間となっており、けっこうスリルがあった。

 このまま草原の尾根道がずっと続けば良いのだが、下るに従って木々に覆われるようになる。
ちょうど森林限界を行ったり来たりしているかのようだ。








 1020m+コルを過ぎて再び高度を上げていくと、元の草原の尾根道に戻る。
後方には遠くなっていく蓬莱山。どっしりした山容であることを実感すると共に、南比良の開放的な魅力にすっかり取り付かれてしまった。








12:50 ホッケ山山頂(1050m+)

 緩やかに登っていくとまもなくホッケ山山頂に到着。ここも期待通りの大展望のピークだった。
上記の書籍では「広い尾根の末端でピークらしくない。気付かずに通り過ぎてしまう」等々と書かれているが、
充分に山頂らしいし、おまけに公設の案内板もあるので、気付かないことは考えにくい。

 非常に素晴らしいピークではあるが、ここも滞在時間数分で出発。権現山を目指して南進を再開する。








 ホッケ山からはしばらくそこそこの斜度の下りが続く。右手には権現山。そして正面にはその次に向かう霊仙山(りょうぜんさん)。
兄妹に例えられるという両ピークだが、確かに男性的、女性的とも言い換えられるくらい全く雰囲気の違う山容で並び立っている。

 下りは90mほど続き、その間に西寄りに尾根は向きを変えて、権現山への約40mの登りとなる。








 ホッケ山と権現山の間もかなりの区間は落ち着いた雰囲気の森の尾根になる。
まださほどの暑さはないが、やはり木陰が気持ち良いと感じる季節になってきた。さすがに真夏にはこのルートは辛いかもしれない。








 コルから再び緩やかに登って権現山が近づいてくると、また草原の尾根道になる。
北にはホッケ山が整った山容を見せてくれる。蓬莱山もホッケ山の左奥に僅かに見えている。
楽しく爽快な草原の尾根歩きも権現山に達したことで終わろうとしている。








13:18 権現山山頂(996m)

 行く手が広がって尾根が途切れたと思ったら、そこが権現山の山頂だった。(但し最高所は少し北になるようだが)
小女郎峠から辿ってきた尾根は権現山山頂が末端となるようだ。ここで栗原方面と平へ向かうトラックがそれぞれ分岐する。

 そして東から南の約180度の大展望。澄んでいればさぞ素晴らしい眺めだろう。

 ここから霊仙山へは長い長い急降下が始まるが、その前に小女郎ヶ池から1時間以上休んでいないので、
とりあえず腰を下ろして霞んだ南比良の景観を楽しんでいこう。
ガイドブックに書かれている通りに、腰を下ろしても琵琶湖を見下ろすことが出来る。

 非常に素晴らしい尾根歩きの区間だったが、今日この区間で出会ったのは中高年の女性4人パーティーのみだった。




13:33 権現山山頂出発

 約15分の滞在時間で権現山を出発することにする。この後、栗原までの行程は目安として2時間40分を要する見込み。
ただ大体の場合、ガイドブックの記述よりは若干早くなるのだが。








霊仙山へ向けて急降下を開始

 権現山山頂からは既に霊仙山が下方に見えている。しかしその前には長大なアップダウンが控えていて気が引き締まる。
地形図で霊仙山までの道のりを確認してみると、330mも下りが続き、しかもその大方が急坂である。
トラックはしっかりと踏まれてはいるが、とにかく急坂が続く。疲れてきた足には辛いかもしれない。
 しかも展望はすぐに無くなって、大半は森に覆われた樹林の道である。ただ黙々と下っていく。








 800mを下回った頃からようやく急坂は落ち着き、普通の下りになる。
ちょうどヤマツツジがきれいに咲いていたので、撮影を兼ねて小休止した。








13:57 ズコノバン通過

 霊仙山との間のコルを「ズコノバン」と把握して、それを目標に下ってきたが、踏み跡はここにきていきなり尾根から外れて下り始めた。
そして尚も続く尾根のほうをよく見ると、尾根上に続く踏み跡と、小さく「霊仙山」と書かれた手製の案内板が。
ここがどうやらズコノバンのようである。公設の案内板は無い。
直進すると霊仙山に立ち寄らずに栗原へと下ってしまいそうなので、尾根道を進むことにする。

 それにしても、これまで比良では案内板が完備されてきたところばかりだったが、ここへ来て急にマイナーなところを歩いているのだろうか。
固有名詞の付いている分岐でも公設の案内板が何も無いのは予想外だった。








 霊仙山へ続く尾根は始めこそ植林だったが、すぐに自然林に変わった。
案内板は無くとも踏み跡はしっかりとあって歩きやすい。植林にはしっかりと手を加えられている形跡があるので、
けっこう人が入っているのかもしれない。








 ズコノバンからは60mほど緩やかに下り、そして40m緩やかに登って700m+ピークを通過。
そして10mほど下って、60mほどやや急な登りを経てようやく霊仙山へ至る。
写真は60mの登りを前にした690m+コルで撮影したもの。今日のまとまった登りはここが最後と、奮い立たせて登っていく。








14:19 霊仙山山頂付近にて

 けっこう急な登りを頑張って登っていると、不意に樹林の窓が開いて、北方の景観を眺めることが出来た。
先程まで居た権現山が見上げるほど高く、そして左下には折立山が整った山容を見せる。
折立山は平から登るとついでに立ち寄れるようだ。この景観を眺めることが出来ただけでも霊仙山を経由した甲斐があった。










3等三角点 点名:山ノ内
14:23 霊仙山山頂(750.5m)

 権現山を眺めてからまもなく霊仙山山頂に到達。畳数畳ほどのこじんまりとした山頂には今日の行程では唯一の三角点がある。
しかし、その三角点は角の一角が失われて痛々しい。物は大事にしたいものだ。

 鋭角な山容からは意外なほど景観に恵まれないのが残念だが、落ち着いた雰囲気もまた良いとも思う。
急坂を登ってきたこともあって、もちろん小休止をしていく。

 この後の行程をガイドブックで確認すると、南東方向にある電波塔へ向かって尾根道を降りていくとある。
地形図でもその電波塔は描かれていて、山頂から尾根を忠実に辿っていくことで到達出来そうだ。
但し、下山コースを示す案内板は霊仙山の山頂のどこにも無かった。しかも、同じような方向に向かいそうな2つの踏み跡がある。
 コンパスで確認すると、どちらもコース取りによっては電波塔へ向かいそうに思える。
そこで、まず少し方角を外してそうな真東へ向かう踏み跡の様子を確かめることにした。すると少しだけ東へ向かった先でヤブに消えた。

 他に見落とした踏み跡は無いことを確認して、南東方向へ降りる踏み跡を辿ることに決定。




14:35 霊仙山山頂出発

 霊仙山からの下りでも公設の案内板は一切無し。ただテープだけは時折確認出来た。
しかしあまり踏まれておらず、ここを歩く人はそう多くないようだ。
そして権現山からの下りと同じく、霊仙山からの下りも非常に急坂である。
でも柔らかい地面が続いたので、膝への負担はさほどではなかった。

 ある程度下っていくと、不意にジグザグの山道が現れたので、これを辿っていく。
しばらくはジグザグに下っていけたが、途中で西のほうへ曲がったまま尾根から外れようとする。
これは困るということで、少し戻って再び忠実に尾根を辿ることに。

 この付近はおそらく辿っている尾根は合っているとは思ってはいたが、確信を持つまではいかなかったので、
とりあえずどこか目印になるところへ出たいという気持ちが先行し、自分撮りを行う心の余裕が無かった。
でも地形図で電波塔に降り立つ手前に描かれている500m+ピーク(等高線が閉じている)を通過した時、
これは辿ってきた尾根は合っているのではないかと、ここでようやく多少安堵することが出来た。

 個人的には霊仙山はある程度山慣れた人向けとランク付けするべき山のような気がする。








14:54 霊仙山登山口到着

 小ピークを越えてほどなく電波塔のそびえる470m+地点に到着。
少々不安の入り混じった気持ちで急降下してきたが、そのタイムは20分程度。長く感じた20分だった。
しかし、逆向きにここから登るとなると相当ハードなトラックといえるかもしれない。かなりの急坂だった。
おそらく正しいルートを降りてきたと思うのだが、ガイドブックに書かれている「展望の広がる」ところは無かった。

 出てきた袂の電柱には小さく霊仙山登山口と手書きで書かれている。ここにも公設の案内板は全く無かった。
霊仙山は忘れ去られた山なのだろうか。

 どうにか電波塔へ降り立つことができ、ここからは舗装路を辿るだけということでほっとして小休止をとる。
ここから栗原までは約1時間の道のりだ。




15:03 霊仙山登山口出発

 一息入れてから栗原へ向けて下りの車道歩きを始める。








 電波塔から車道を下るが、頭上には先程まで居た霊仙山山頂が見えている。南東側から見るとそれほど鋭角には見えない。
頂上が平らな再度山に似ているような気がした。

 そしてこの車道沿いではこのピンク色の可愛い花がちょうど見頃だった。
「摩耶山さん歩」のてるみさんによると、タニウツギであると思われます。情報提供をありがとうございました。m(__)m








15:18 霊仙山口

 電波塔から下り始めてしばらくすると、三叉路に差し掛かる。地形図では車道と実線道(ズコノバン方面へ)が分岐しているが、
実際はズコノバン方面へもまだしばらく車でも入っていけそうだ。霊仙山に立ち寄らずに、ズコノバン経由で権現山へ直行する場合はここを直進で登るようだ。

 道路脇の地図で現在地を確かめて、再び栗原へ向かって下りを再開する。








 長い樹林の中の車道を下って、ようやく集落の中に出てきた。
いつの間にかすっかり曇り空になってしまったが、後方には今日歩いてきた峰々が高くそびえている。

 栗原は棚田の広がる静かで美しい集落だった。地形図で道筋を確認しつつ、緩やかに下っていく。
道中、道路脇で草むしりをしているおじいさんに挨拶をして話しかけてみた。
 ここから和邇駅まで歩くと40分くらいかかること。そしてこの道で合っていることを確認出来た。
お礼を言って再び歩き出す。








16:00 栗原バス停通過

 当初、この行程を考えた時にはバスを利用することを考え、このタイミングで下山するようにしたのだが、
和邇駅まで40分で歩けるということを聞き、それならまだ時間は早いし歩こうということにした。
前述のおじいさんによると、和邇駅までほぼ道なりに進むだけという。もちろん道筋は地形図でも確認できるし問題ないと思ったら、
地形図「比良山」では栗原から和邇の間は途切れていた。「堅田」があれば万全だったが、どうにかなるだろう。

 栗原から和邇駅まではほぼ緩い下りが続く。








16:43 和邇駅到着

 本当に道なりで40分くらいで和邇駅に到着。途中で水分補給しなければ40分で着いただろう。

 ほどなくやってきた京都行き普通に乗車。堅田で湖西線経由の新快速に乗り換え。
全て完璧に予定を消化できたことに対する達成感と心地良い疲れと、新快速の揺れに包まれて家路に着く。
明石までは1時間半ほどかかるが、座って帰れるから問題はない、というか眠たくなった。






 今日の行程では予想以上に霞んでいたことが想定外でした。
これに対するリトライを翌週に行っていますので、次の機会にレポを行います。








今日の行程の断面図です




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