「いわたばこ百花繚乱! 白石谷V」 07年8月10日(金)

国土地理院地形図:25000分の1「有馬」を参照してください。

 前回から約1ヶ月ぶりの山歩き。7月〜8月が最盛期といういわたばこの花を見るために、夏嫌いだが暑いのを我慢して出掛けることにした。
でも午前中に遡行した白石谷は涼感たっぷりで、じっとしていると汗がひくほどだった。しかし、沢を出るとやはり夏山だったが。
 最近、雨が降っていないので沢の水量は少なめで、それぞれの滝姿はおとなしめだったが、今日の主目的のいわたばこは
ほぼ満開に近いと思われる状態で迎えてくれた。



7:00 有馬温泉駅出発

 朝の散歩中か浴衣姿の人をちらほらと見かける温泉街を歩いていく。
まだ朝早いこともあって、日陰が多いがやはりどんどん汗が噴出してくる。ロープウェイ駅に着く頃にはもう汗がびっしょりだ。
天気予報では「晴れ」だったが、林道を歩いているとどんどん雲が湧いてきて、六甲最高峰付近が隠れて見えなくなった。
雷でも鳴り出すのではないかと心配になったが、幸いにも俄か雨すら降らなかった。
この雲は六甲最高峰に辿り着く頃には取れてくるが、でもそのおかげで想像以上に涼しい白石谷の登りとなった。




7:25 炭屋道出合

 林道が尽きて大谷川を渡る付近で、以前と大きく様子が変わっていた。「炭屋道」というトラックが新設されていたのだ!
約15分で魚屋道へ出るようだ。整然と丸太階段が東斜面へ登っていっている。
 六甲最高峰から有馬へ魚屋道を下る一般的なプランの他、炭屋道を経由して鼓ヶ滝公園を加えるなどのバリエーションが考えられる。
今日は白石谷を遡行して六甲最高峰から表六甲へ横断するプランなので、炭屋道を歩くのはまたの機会としたい。

 なお、沢を横切る辺りが以前は堰堤の工事現場になっていたが、今では全ての工事用重機などが撤去されて静かな状態に戻っている。
でも周囲には新設されたはずの堰堤が見当たらないが、夏草にでも隠れているのだろうか。

 湯槽谷道出合を通過すると沢に沿う区間になるが、思ったとおりに水量が少ない。
水量に恵まれていれば、白石谷に加えて七曲滝などにも立ち寄り、「有馬四十八滝巡り」にしたかったが、今日は白石谷遡行だけに留めることにする。








7:48 白石谷出合

 水量の少ない蟇滝谷を渡って、程なく白石谷出合。ここで紅葉谷道と別れを告げて、いよいよ白石谷へ入る。
以前よりも笹薮が後退して、踏み跡が広がったような気がするが気のせいだろうか。
 今日は水量が少ないので、もう少し先で渓流シューズに履き替えることにした。

 出合からすぐに渡渉、そして低い堰堤を1つ越えて沢の出合の広い川原に出る。
南から合流してくる沢を遡行すると百間滝、似位滝へ行き着くが、水量が少ないので今日は割愛する。

 なおヤブっぽいところでは、普段からクモの巣を払いながら前進するものだが、
今日は全行程の中で殆どクモの巣を見かけなかった。
いたるところで真新しい足跡も多かった。いわたばこ最盛期の今、白石谷は一躍脚光を浴びているのかもしれない。



 ここで、先年のレポにも掲載している白石谷の遡行概念図を再掲載する。 (右)
西山谷ほど堰堤は多くないが、やはり白石谷でも堰堤越えの巻き道通過が要注意ポイントになる。








7:58 白石滝

 やや水量は少ないが一応滝の態は成していた。とりあえずある程度は水が流れているのが分かって安堵する。
以前訪れた時には白石滝の直下は広く水が溜まっていたのだが、今日は易々と滝に近づくことが出来た。

 白石滝は全長70m余もある多段式の滝なので、写真に写っているのはごく一部。
白石滝の上流には堰堤があるので、滝共々巻き道で回避するのが得策だ。








白石滝の巻き道を登っていく

 白石滝の少し手前の川原から急な巻き道を登っていく。兵庫登山会の白石滝の看板が目印である。
少し直登すると滝のほうへ向けて山腹道となる。踏み跡は明瞭ではあるが、幅が狭いところもあるので足元には要注意。
山腹道になった頃には、足下に白石滝が見えている。そして踏み跡は分岐し、一方は谷に降りていくが、ここで下ると
ちょうど堰堤の端に辿り着いてしまう。堰堤上流側は潅木が生い茂ったやや広い川原で、踏み跡が分散しているためにルートを見出すのに少し苦労する。
最後まで巻き道を辿るようにすると、堰堤からやや上流の谷が狭まったところに降り立つことが出来る。








白石滝付近から始まる長い巻き道を抜けた辺り

 巻き道を忠実に辿っていくと、最終的には急坂を経て難なく沢へ降り立つことが出来た。
白石滝から大安相滝に至る白石谷の中流域に差し掛かったが、やはり以前歩いた時の印象よりもかなり水流が頼りなげに感じる。
明確な踏み跡が流れに沿って上流へ続いておりこれを辿っていく。中流域は渓流シューズを履いたほうが断然楽しめるので
そろそろ履き替えないといけないなと考えながら。



 この辺りからちらほらと、今日のテーマのいわたばこを見かけるようになる。初めてだが紛れもなくネットで見たあの小さな青い花だ。
山野草に全然明るくない自分なので、事前に意識していなければ目に入っていなかったかもしれない。
まだ奥にたくさん咲いているだろうと思い、撮影は後に回すことにして点在するいわたばこを見やりながら遡行を続ける。



 間もなく登りやすそうな小滝が現れる。無名で小さいがきれいな滝壺を抱えている。
谷には常時風が通っているが、滝壺の側にいるとより冷涼感が増して最高に気持ち良い。
この滝壺の縁で渓流シューズに履き替える。今日は登山靴のままでも遡行は可能と思えるが、
撮りたいアングルで写真を撮れるようにするためにも、水に浸かれないという制約は外すべきだと判断した。








8:40 小滝より遡行再開

 渓流シューズはやはり軽くて滑りにくくて機動力抜群だ。やはり面倒くさがらずに履き替えて良かった。
久しぶりの足裏の感触を確かめつつ滝身左側を登る。小滝の写真だけで見ると水量不足は感じられない。








 すぐに次の小滝が現れる。西山谷の二条の滝を思い出すが、こちらのほうがより垂直だ。
写真では流れの間から登るのを試みているが、結局滝身左側から巻いた。
身一つなら登れそうだと思ったが、懐にカメラを抱えているので無理は出来ない。



 二条の小滝を過ぎると谷は開けてガレっぽくなり、明るい雰囲気になる。
左に右に蛇行すると、いわたばこの撮影地と想定していた岩壁に辿り着く。
そこには期待通りの光景が待っていた。









8:53 岩壁一面いわたばこ群生!

 小さな花のためだろう、写真で見るとあまり目立たないが、無数のいわたばこが岩壁に数多く咲いていた。
ここで一旦遡行を中断して撮影タイムに入る。冷涼感を誘う涼しげな色合いの小さな花だ。
花期は7月〜8月ということで、暑がりの自分にはたいへんな時期に咲いてくれるのだが、大汗をかいて来てみて良かったと感じさせられる。
白石谷は元々好きな谷なのだが、更に違う魅力が加わったようだ。



 この時天気は曇りがちで、薄暗い谷は完全に光量不足。
いわたばこ撮影を想定して持ってきていた、明るいレンズ( EF85mm F1.8 USM ←普段はポートレート用)と交換して撮影を試みる。
普通ならばマクロレンズの出番となるところだが、元々山野草は守備範囲外なので、マクロレンズは持っていない。
本音は何本か持ってきて試行錯誤をしたかったが、山歩きのプランに沢の遡行が入ると荷物(靴)が増えるので、お気に入りの85mmだけになった。
今日はレンズを優先してオカリナも持ってきていない。

 いつも山歩きの時はEF-S17-85mm F4-5.6 IS USMで撮影しているが、暗いところでは完全に露出不足だ。
また明るい標準ズームレンズが欲しくなってしまった。



 ということで下記のいわたばこの写真は全て85mmで撮影したものである。
基本的に谷には風が吹いており、いわたばこの小さな花は風に吹かれるたびに揺れる。
3枚目以外は三脚を使用しているが、ここで撮ったかなりの写真が被写体ブレを起こしていた。
それはそれで良い雰囲気になる場合もあるが、とりあえず完全なディテールを撮りたいと思ったので、出来るだけシャッタースピードを速くして
ブレないように風が止まるのを待って撮影した。



 花の撮影など全く経験不足の自分による写真なので、ご期待に添うものが撮れたとは思いませんが、なにとぞご容赦いただきたい。













いわたばこ 1




いわたばこ 2




いわたばこ 3

 どうにかこうにか撮影することが出来て大満足。まだ上流にも撮影ポイントがあるかもしれないと思い、
撮影が一段落したので遡行を再開する。

 ところで、この「いわたばこ」という名前だが、大きな葉がたばこの葉に似ていて、そして岩に咲くことから名付けられたとか。
自分は大の嫌煙家だが、こんなきれいな「たばこ」なら大歓迎だ。
ちなみに臭いをかいでみたが無臭だった。小さな花なので実際に感じ取るのは難しいのかもしれない。

 日本はたばこ対策が先進国中最低の状態が依然続いているという国際健康機関による報告が最近あったという。
自分の感覚では不特定多数の人が行き交う駅などに喫煙スペースがあるということ自体がそもそも間違っていると思っている。
他人の吐いた煙を吸わされる理由も義理も無い。たばこ対策に対して日本は「先進国」とはお世辞にも到底言えない現状があると思う。
以前、JR西のきくぞうBOXに、喫煙スペースを廃止して「完全禁煙」をしてほしいと書いたことがあるが未だになしのつぶてだ。




9:18 岩壁前を出発

 岩壁を過ぎても谷は変わらずガレた状態で蛇行を続ける。周囲のごく小さな谷から土石が常時供給されているのだろうか。
依然として荒れた雰囲気の中を黙々と歩いていく。そして大きく谷が分かれると、左の谷にあるのが白龍滝だ。








9:29 白龍滝到着

 白龍滝手前の大きな流木を利用して、真新しい兵庫登山会の白龍滝の看板が設置されていた。
以前は朽ちた古い看板が転がっていたが、きちんと更新されているのを見て驚き、そして感心した。

 白龍滝周辺も無数のいわたばこが変わらず咲き乱れている。上記の写真にも注意して見れば手前の地面にもいっぱいいわたばこが写っている。
観暴も兼ねてもちろん小休止していくことにした。








白龍滝といわたばこ群生

 やはり写真で見ると目立たないが、緑の葉と共に無数の青い花が咲き乱れている。
滝飛沫と相まってまさに自然の息吹を肌で感じる空間だ。体の芯からリフレッシュされるような気がする。

 水量不足の白石谷だが、不思議と白龍滝の流れは相変わらず見事というほかない。
この写真で滝のすぐ側に立っているが、すぐにびしょぬれになった。
下手に人手の多い避暑地に出掛けるよりも、白龍滝の側に居るほうが断然涼しい。
でも確かにずっとここに居れば涼しいのだが、谷を脱出する過程から暑くなるのでトータルで見れば避暑にはならないのが残念だ。








正にいわたばこガーデン

 離れて撮影すると目立たないので、距離を近づけて撮影した。
8月の白石谷はこのいわたばこを愛でながら遡行することが出来る。








9:44 白龍滝出発

 充分に汗がひいたところで、白龍滝越えにかかる。
少し離れた支谷上流から巻き道が始まることと、急坂、そして細い山腹道が続くことから、
白石谷遡行の最難関と考えている。
 白龍滝のすぐ下で谷は分岐しているが、南へ突き上げるガレ状の涸れ谷を少し登って巻き道に取り付く。
巻き道はペンキやテープ類で誘導されている。取り付き付近にごく小さな滝があるのも目印になる。

 この巻き道も白石滝のものと同様に、途中で分岐があって、谷に降りる箇所を選ぶことが出来る。
より谷歩きをしたければ、手前の巻き道を下っていく。濡れたくない時は巻き道を辿り続ける。
巻き道を辿り続けるとおそらく大安相滝を見逃すことになると思われるので、出来れば沢に下りるほうがお薦めではないだろうか。
自分は前者を選択して、大安相滝を登りに掛かる。









10:00 大安相滝

 白石谷中流域最後のハイライトの大安相滝。3段に分かれており、それぞれ段状のステップが付いていて、快適に登ることが出来る。










06年夏にコンデジで撮影した大安相滝
大安相滝最上段の小滝。滝身すぐ右をよじ登る。

 写真では分かりにくいが、手掛かりが多いので簡単に登れる。昨年も同じような写真を撮ったが、不思議とこの滝は水不足を感じさせない迫力がある。
こうして並べてみると、光量の違いによるホワイトバランスの差はあるが、画像を縮小したらコンデジもデジイチもさほど違わないような気がしてちょっと複雑な気がする。




 この滝を登り終えると、再び谷は広がりを見せて分岐する。
分岐点に立つと両方の谷に堰堤が見えている。本流のほうはここより上流を遡行したことがない。
いずれ探索してみたいと思うが、今日はよく知った支流側を遡行することにする。
支流は南側に続いていて、大きな堰堤が立ちはだかっている。堰堤西側の山肌に明瞭な巻き道が登っていっており、簡単に乗り越えることが出来る。








小安相滝谷(と思われる)を遡行中

 既に消滅したとか情報が錯綜している小安相滝だが、実はまだ谷の上流でひっそりと生き永らえているのではないかという情報を得て、
今日は谷を離れる前にその真偽を確かめておこうと思った。
 巻き道で堰堤を越えて、土砂が溜まって川原状になっているところへ降り立った後、しばらく流れの細くなった谷を遡行する。
まもなく魚屋道へ向かうトラックの取り付きが見えてくるが、今日は一旦素通りしてガレ状になってくる谷を歩き続ける。
谷はくの字状に屈曲しており見通しは利かない。そのおかげで今まで気付かなかったのだが、すぐにガレに覆われつつある小滝に辿り着いた。




10:22 小安相滝か

 ガレの奥に小滝と称してもよいと思われる岩の段差を発見。写真では分からないが僅かに水流もある。
降雨後ならば滝の体裁が整っているのかもしれないが、今日は残念ながら涸れ滝というしかない状態だ。

 小滝の下流側は流木やガレで埋まっていて、荒れた印象であり実際に歩きにくい。
これが小安相滝であるという確証を得ようと、案内板を求めて滝の周辺を探し回った。
簡単に登れる涸れた小滝を登って上流側も探してみた。しかし既に流されたのか、ガレに埋まっているのか、
もしくは最初から無かったのか、今回の捜索では残念ながら「小安相滝」と書かれたものは何も見当たらなかった。

 念のために少し上流を伺ってみると、奥には堰堤が見えている。
既に上流は涸れ谷の雰囲気であり、消去法でおそらくこれが小安相滝ではないかという推論しか得ることが出来なかった。

 まるで水曜スペシャルのような消化不良感に包まれて、小安相滝探しを終了せざるを得なかった。

 地形図では六甲最高峰の西で道路に突き上げるまで谷が続いている。大安相滝上の合流地点付近の大きな堰堤と、
上流側に3つ小さな堰堤が連なって描かれているのが現在地の谷である。
上流に見えたのはこの3つ連なっている堰堤の中で最下流にあるものだろうと思う。
この3つの堰堤はそれほど大きくはなく、この上流にはもう滝は無いのではないかと想像するが、
はっきり確かめるには実際に源流部まで遡行してみるしかない。
 探索は秋冬に行いたいということで、今日はこれにて谷歩きを切り上げることにした。
ガレた谷を慎重に下って、脱出ルートの取り付きへ向かう。



 取り付き前の適当な岩に腰掛けて、渓流シューズから登山靴に履き替える。
携帯用ノーマットのおかげか、幸いにも蚊には刺されなかったが、大きな羽音を立てて時折まとわり付いてくるアブがうっとおしい。
油断すると血を吸われるので、寄ってくるたびに手で振り払う。



 なお、この小安相滝谷では不思議といわたばこを全く見かけなかった。
白石谷の中でも、いわたばこが咲いているのは中流域のみということになる。日当たりなどが影響しているのだろうか。








10:41 谷を離れて魚屋道へ

 登山靴に履き替え終わって、いよいよ魚屋道へ向けて出発する。
道中笹で足元が見えないところを通過するので、念のためにスパッツは付けたままにする。

 この取り付きは岩にペンキ、六甲山頂を示す案内板、そして細い支谷の分岐がそれぞれ目印になり、
初めてこの谷を遡行してきても目に付きやすいと思う。

 取り付きからしばらくは急坂の連続。間もなく支谷を横切って、北斜面の急坂を登っていく。
沢を離れるごとに急激に温度が上昇していくのを感じる。今まで深い森によって強烈な日差しから守られていたことをイヤでも実感する時が来た。
今登っているのは六甲最高峰から北西に派生して、大安相滝上の谷の合流地点へ降りていく尾根上である。

 トラックの両側に笹が目立ってくる頃には急坂は一段落して、等高線に沿うようにして山腹道となって魚屋道へ。








 山腹道となると前方に魚屋道を山腹に抱える尾根が見えてくる。
やはり日が当たると猛烈に暑い!やはり8月の山歩きはハードだ。
魚屋道に出るまでの笹薮突破が最後の難関だ。踏み跡は明瞭だが、笹が生い茂ってトラックを隠そうとしている。
マムシ用心のために、三脚で前方の地面を突きながら前進する。

 しばらく山腹道を歩くと、まもなくごく小さな沢を横切る。既に前方には魚屋道が見えているが、
今日はいつもと雰囲気が違う。少し前から何故か重機の音が聞こえるなと思ったら、ショベルカーが魚屋道で稼働中だった。
乾いた土で覆われていた魚屋道が、全面土をならされて地面が柔らかくなっている。魚屋道を全面的に整備しているようだ。
最終的にどのような形になるのか分からないが、舗装だけはしてほしくないところだ。



10:58 吉高神社で小休止

 パイプからは少ないが何とか水が流れていた。これを利用して顔を洗い、スパッツの土を落とすなどして小休止を取った。

 日陰を選んで休んでいたが、もう非常に暑いので、初めて魚屋道で有馬へ下る誘惑に駆られた。
しかしまだ時間が早いことと、持っている水も残量充分、朝は我慢するとしても帰路にまで神鉄に乗りたくないことなどから、今日も頑張って表六甲へ降りることを決断。

 そしてここ数日空気が澄んでいることから、暑いのは分かっていたが六甲最高峰にも立ち寄ることにした。
吉高神社前の湧き水で顔を洗ったが、一軒茶屋前から最高峰へ登りだすとすぐに汗が噴き出してくる。








11:20 六甲最高峰到着

 閑散としている六甲最高峰へ到着。自分以外には車で来ていると思われるカップル1組だけしかいなかった。
暑いのにアツアツだなあとまるでオヤジギャグを思い起こすほど、山頂の暑さでハイになってきている気がする。
この時は閑散としていたが、後で魚屋道を南へ下る道中で大勢とすれ違うので、午後になると賑わいを見せるスポットなのかもしれない。

 午前中雲に隠れていたと思われるが、この時間になるとまだ雲は多いものの、間もなくきれいに晴れ渡りそうな気配だ。

 雲が切れると途端に強烈な日差しが照りつけるので長居は無用。早々に出発することにする。
肝心の最高峰からの眺めだが雲が多くて意外にもイマイチだった。








11:38 一軒茶屋

 夏の雰囲気の一軒茶屋を撮影したら、親子と思われるハイカーの方々がちょうど出てこられた。
「氷」に誘われそうになったが、手持ちのお茶で我慢して七曲へ下ることにする。

 七曲では数人のハイカーとすれ違う。この後、十人以上の団体さんも含めて実に多くの人とすれ違った。
自分の場合は登りを涼しい白石谷でカバーしたが、この暑い時期に芦屋から登ってこられるだろうか。
風吹岩まで来たところで下ってしまいそうな気がする。

 実際、六甲山上からは当然殆ど下りになるのだが、下れば下るほど暑くなってきて、正直言ってバテてしまった。
白石谷と表六甲の温度差を計っておきたくなった。今度は温度計も持ってこようかと思うが、その前にこの暑い時期に再び山へ足が向くかどうかが問題だ。








七曲から東お多福山を見上げる

 七曲の下りもペースがあまり上がらない。でも以前にここで足をくじきそうになったことがあるので、少し抑え目のペースが良いのかもしれない。
七曲の下部からは東お多福山が見える。ここから見ると豊かな森を抱えているが、実際には開放的な草原歩きが楽しめるので好きな山の一つだ。
でも今の時期に草原を歩きたいとは思えないが。




12:15 雨ヶ峠

 時折登ってこられるハイカーの方々を見ながら、木陰のベンチを選んで小休止する。
横に座られた中高年の男性の方は、これから有馬へ歩いてひと風呂浴びて帰られるそう。
山歩きの後で汗を流すのは本当に気持ち良いと思う。我々は本当に体に良いことをしているというような話をした。
それと自分のように表六甲に下ると風呂に入れるところがないとも言われていた。確かにその通りだ。

 自分は未だに有馬の湯に浸かったことがない。というか基本的に風呂嫌いで、特に夏はシャワーしか浴びない。
(だからこそ入浴が生活習慣になっていないNZでも生活出来たのだが)
せっかく温泉に入っても、帰り道でまた汗をかいてしまうだろうからもったいないのではないかと思う自分は貧乏性なのだろうか。

 なお、いつも表六甲に下る自分は、帰路で風呂に入れない代わりに、山から出る直前に着替えてから電車に乗っている。

 双方とも息が整ったところで、お別れをして雨ヶ峠を出発した。



 雨ヶ峠への登り返しもけっこう辛かったが、ゴルフ場を過ぎて、ざれた岩場を登る辺りは暑さも加わって本当に辛く感じた。
正直言って、有馬へ下ったほうが断然楽だったと少しだけ後悔した。



 打越山への分岐を過ぎた辺りで、木陰に守られた岩が点在しているところがあって、そこでも小休止を取った。
秋冬ならなんてことはない下山ルートだと思うが、猛暑の時期には下りでもペースが上がらない。




 いつもならば思索に耽って歩くのも好きなのだが、今日は暑さのために頭も働かないようだ。
それでも最近、少しでも心軽いのは参院選が自分の希望通りの結果に終わったことだ。
アメリカのように2大政党制が根付いてくれれば、少しでも政治のレベルは上がるだろうと思う。

 最近聞く話としては、民主党に政権を担えるのかどうか、という指摘だが、個人的にこの指摘は間違っていると思う。
そもそも自民党も公明党も与党として充分に責任を果たしていないのだから、先日の参院選の結果があるし、
また今日の制度、組織疲労甚だしい日本の姿があるのでは。更に付け加えるなら、同じ政党に任せ続けてきたこと自体も問題がある。
 結局のところ、自民党に半世紀以上も政権を丸投げしてきた国民に大きな責任がある。
このように放漫な状態を続けさせてきたのだから、政治が洗練されず腐敗するのは当然の帰結と思う。
 国民はただ投票するだけではなく、政治を鍛え、そして向上させていくようにする認識を持つことが大事ではないだろうか。

 だからこそ自分は2大政党制によって、お互いに政権を交代で担当することによって競わせ、
より良い結果をもたらしたほうを選ぶ、というように政策本位で投票することが大事だと考えている。タレントの人気投票でもないし、
知名度を競うものでも、根回しに従うことでもない。如何に国をより良い方向へ向かわせることが出来るかどうか。問題はただそれだけのこと。

 最後に、一つだけはっきりと言えることは、一つの政党に政権を任せ続けることは、大きなリスクを孕んでいるということ。
都合によって選択出来るようにしておくほうがずっと良いと思う。そもそも一つしか任せられる政党がなければ、かつての全体主義国家とどう違うのか。









13:00 風吹岩

 ようやくの思いで風吹岩に到着。暑い道中でテンションが低いが、眺望はいつにもまして素晴らしかった!
暑いので素通りするつもりだったが、これは撮影しないではいられなかった。

 大阪平野の一軒一軒の建物が手に取るように見える。まさに絶景と呼ぶに相応しい。今日は暑いが風景写真日和だ。








 荒地山の岩もよく見える。今の時期に行ったら焼け火鉢に立つようなものだろうか。

 風吹岩でもちらほらとハイカーが行き来する。この暑い中、暑がりの自分が山に居ること自体、山歩きを始める前は考えられなかったことだ。

 普段は邪魔にしか思えない鉄塔だが、今は適度に日差しを和らげる役目を果たしてくれている。
イメージよりも風吹岩は暑くない印象を持った。




13:10 風吹岩出発

 好展望のおかげで足取りが軽くなった。何とか岡本まで下れそうだ。
今日もお気に入りの保久良神社へ下るルートを選択した。




13:31 保久良神社上の展望地にて小休止

 保久良神社に近づくと階段道になるが、この辺りはけっこう日がよく当たって本当に暑かった。
ようやく、ようやくの思いで展望地に辿り着く。ベンチの一つが幸いにも木陰になっていたので逃げ込むことが出来た♪
澄んだ大阪湾の眺望を見てぼーっとする。








 対岸にははっきりと関空が見える。またあそこから飛び立ちたいものだとつい考えてしまう。




13:39 展望地出発

 このままぼーっとしていると、寝てしまいそうなので出発することにした。
岡本までまだまだ下りが続くので、ここで気を抜くわけにはいかない。

 保久良神社まで下ってきて、境内横の木陰でザックに入れていた別の服に着替える。
今日はイノシシはいなかった。

 参道を降りきって街歩き。日陰を選びつつ岡本駅へ向かう。
今日は摂津本山駅まで歩く元気はなかった。




14:05 阪急岡本駅到着

 すぐにやってきた特急に乗って家路に着く。やはり冷房が最高だった!正に生き返る思いがする。




 8月はもう1回くらい沢歩きをしたいとは思っているが、とにかく水不足なので雨が降らないことには実行出来ない。
まとまった雨を期待したい。








今日の行程の断面図です。




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