「蓼科山・蓼科山登山口より竜源橋へ周回」 2017年10月 9日(月)

 行程概要  GPSデータをカシミールに取り込んでいます。         地理院地図(電子国土Web) 新しいウィンドゥが開きます。




 深田久弥著「日本百名山」によると…

 “蓼科山は俗に北八ツと称せられる連嶺の一番北の端に、一きわ抜きんでている峰で、
その余威は更に北に向って、次第に高さを落しながら広大な裾野となる。
しかしそれは赤城山のようにスムーズな美しい線ではなく、
幾らか不整形なので人々の眼はただその円頂のみにそそがれる。
この円頂はどこから望んでも端正な形を崩さず、
蓼科山が名山として讃えられたゆえんも、ここにあるのだろう”






 蓼科山は本当に富士山のような秀麗な山容で、白樺湖付近を車で通過する時に目にして気になっていました。
蓼科山を目指す登山ルートとしては、七合目登山口(最短ルート)、大河原峠、竜源橋、そして蓼科山登山口(女乃神茶屋登山口)を起点にする行程があります。
蓼科山登頂以外にも北八ツの景観も楽しみたいので、蓼科山登山口から時計回りに大河原峠、天祥寺原を経て竜源橋へと周回することにしました。
母を連れての行程としてはやや長くなりますが先日に槍へ登頂してから休養充分だし、来月に参加予定の六甲全縦の練習としても良いだろうと考えました。

 今回の周回は蓼科山を越えるまでは急登の連続、それ以降はなだらかで殆ど下り一辺倒とメリハリのある展開です。
しかし下りにおいては意外に滑りやすいところが多くて余分に脚力を消耗させられました。
結果としては距離以上に歩き応えを感じた山行となりました。




 前夜、夜遅くに長野市を出発。2時間弱で蓼科山登山口付近の駐車場に到着。
体育の日の3連休最終日ではありましたが、駐車場に停まっていたのは自分の車を含めて5、6台程度でした。
しかも昨日から登られていて、無人の車が殆どのようでした。
駐車場にはきれいなトイレ(しかも照明付き!?)があって便利です。やはり車中泊にはトイレは重要な設備です。
ここで約4時間程度仮眠をとっておきます。予想外に槍の時よりも暖かく、あまり寒さを感じない車中泊でした。
母もよく眠れたようです。








 4:30 起床

 出発前に用意していた朝食のパンを摂っておく。




 5:30 駐車場を出発

 薄ら明るくなってくる頃にヘッドライトを付けて出発する。








 5:33 蓼科山登山口・バス停(1,720m)  最初だけはごく緩い 

 駐車場から少しだけ下ったところに蓼科山登山口がある。そばにはバス停もあって便利だ。
森はまだ薄暗くてヘッドライトが必要だった。母は極端にクマを怖がるので、盛大に鈴とラジオで賑やかにして山へ入っていく。
いつも受信出来るとは限らないが、ここでは幸いにも電波状況は良好だった。

 森は木々が疎らになって笹原になっているところもある。
登山口からしばらくの間はごく緩い登りが続くが、足元は初めからドロドロでけっこう歩きにくい。
今回もスパッツを用意していて大正解だった。この山行の2日前も雨で、今年は天候不順に悩まされ続けている。








最初の急登が始まるようだ   6:11 1,870m 

 緩いところはまもなく終わり、最初の急登が始まる。
昨夜から気温が高いので、この辺りで早くも暑くなってきて上着を減らした。
周囲は霧がかっていて湿気もあったかもしれない。
なお今日の天候は朝のうちは曇りだが、日中は晴れてくる見込みだった。




 最初の急登の標高差は100m余りでそれほど長くない。
1,870m付近からは再び緩い登りがしばらく続く。








2つめの急登が始まるようだ  木々の紅葉も始まっていた 

 苔の生えた岩がゴロゴロしている辺りから再び急登になる。
この光景は播州の明神山山頂の西側斜面と雰囲気が似ているような気がする。
蓼科山が火山であることを思い起こさせてくれる光景だが、明神山も元々は火山だったのだろうか。

 2つめの急登の標高差は約200m。
ちょうど流れていたラジオ体操を聞きながらじっくりと登り詰めていく。








 
 7:05 三角点「蓼科麦草」(2,113m)  キョロキョロ見回さないと気付きにくい三角点かもしれない 

 200mの急登を終えると三角点「蓼科麦草」がある。
登山道から少しだけ北側に逸れるところに設置されている。

 ちょうど後から登ってこられた単独男性の方が、自分たちにつられて三角点横を通過されたがすぐに戻ってきた。
先にルートは無かったようで、違和感を覚えられてよかった。
仮に自分が蓼科山が初めてではなく、この先のルートの展開を知っていたら呼び止めたところだったのだが…。




 元のルートに戻って登りを再開すると、4人パーティーの方々が急登を終えようとされていたところと出くわした。
混雑とまではいかないが、蓼科山登山口から登る登山者は一定数は居られるよう。








三角点を過ぎてまもなく目にした指導標。ここの標高は正しく表記されている。   

 繰り返すが三角点へはわざわざ登山道を外れて立ち寄る形になる。
登山道自体は明瞭そのもので続いている。

 三角点「蓼科麦草」からしばらくはまた緩い登りとなる。
蓼科山登山口からのルートは緩いか急登かの両極端な行程だった。








遂に山頂へ続く長い急登が始まった。   

 今日3つめの急登は最も長くて標高差は400m余り。
等高線の詰まり具合を観て、ある程度覚悟を決めて気長にじっくり登っていく。
序盤からの立て続けの急登に母はやや疲れ気味だったので、ゆっくりめにペース配分するようにアドバイスする。

 後方にはこれまで歩いてきた樹林帯の緩やかな尾根がよく見えてきて霧がやや薄らいできたようだ。
この急登さえ終えれば山頂が待っているが、予報どおりに好天の下で辿り着ければ良いのだが。

 この辺りからちらほらと下りの登山者とすれ違うようになってくる。
少しだけ会話を交わすと、昨日から蓼科山頂ヒュッテで良いお時間を過ごされたようだ。








ただただ一直線に上へと続いていく急登  急登は変わらずだが確実に高度は上げてきている 

 見上げれば一直線に急登が続いてるのが見える。
最初は先が見えないが少しずつ空が広がってきているのが分かる。
 急斜面に設けられた登山道ではあるが、小刻みにジグザグになるよう整備されていて歩きやすい。

 槍の時と違って日帰り装備では自分のペースも無意識にやはり早くなっていたようで、
今日は母のほうから逆にもう少しゆっくり登ってほしいと頼まれる。

 母の様子をしばしば確認しながら登っていくが、後方に広がってきた初めて見る絶景に目を奪われる!
今までに見たことのないアングルで周囲のアルプスが並んでいて、北八ツの一角に居ることを改めて実感する。








 8:30 2,470m   

 森の木々をいつしか見下ろすようになると、岩が折り重なる急登となった。
山頂まではまだしばらく掛かるようだが、周囲の光景はもはや山頂からの眺めといってもよいくらい!
今回は日帰りのために行先選びから外した南八ツの山々が勢ぞろいで見えている。

 広いガレ場ではペンキやポールでルートを辿っていく。
蓼科山頂へは南東端にある山頂ヒュッテまで遠回りしていくが、山頂までの近道を示すマーキングを見つけて思わず吸い寄せられる。
しかし自分だけならともかく母を連れているのでバリルートは避けるべきと判断。
山と高原地図どおりの既定のルートを辿っていく。








ここの指導標の標高は2,450mとなっているが、後ほどGPSデータと画像データを照合すると2,490mが正しいようだ。   

 蓼科山南西側から南東側へ登っていく。
ルートは明瞭ではあるが大きな岩が折り重なる上を通るので、濡れている時や下りでは要注意かもしれない。








蓼科山山頂の南側をトラバース   

 いつしかルートは平坦となって、ガレ場をトラバースするようになる。
この辺りになると山頂で憩う方々がすぐ上に見えてくる。
蓼科山登山口からのルートはなかなか険しい急坂続きで登り甲斐があった!
母はこのような岩が折り重なるところは初めてだったようで、こんなところへ連れてきてと久しぶりに愚痴を言われたが顔は笑っていた。
高所恐怖症は相変わらずで下のほうは見ないようにしているようだが、母なりに楽しんでくれていて良かった。








 8:51 蓼科山頂ヒュッテ(2,510m)手前で山頂へ   

 前方には遂に蓼科山頂ヒュッテが見えてきた!
ヒュッテの少し手前で実質上の分岐になっており、ここを境に行き交う登山者が急に増えた。
逆方向の七合目登山口からの登山者のほうが圧倒的に多かった。

 ヒュッテ手前からは急角度で折り返すようにして、いよいよ山頂へと向かう!








 
 8:55 蓼科山山頂(2,530.7m)到着!   

 折り重なった巨岩帯を進んでいくと、右手には今までに見たことのない光景が広がってきて思わず感嘆の声を上げる!!
正に異世界というような本当にすごい山頂だった。母も自分の横で同様に驚きつつも感動している。
元々は火山だったというような山は今までにいくつか登ってきたが、蓼科山山頂は本当に他に類を見ないところかもしれない。

 見渡す限り巨岩で覆われた火口原と、一段盛り上がった外縁部の一角が山頂となっていて三角点も設置されている。
周囲の方々と入れ替わりつつ、山名標と三角点で母と記念写真を撮影した。

 登り始めこそ霧に包まれていたが、絶好の登山日和の下で蓼科山山頂に登頂出来て何よりだった。
母も先日の槍に次いで素晴らしい山と喜んでいた。








貫禄ある一等三角点「蓼科山」  








 9:04 三角点を後に方位盤へ   

 山頂にあった案内板に従って火口原を横切り、西端にある方位盤へ向かう。
母は待ちきれずに既に火口原の中央部まで進んでいる。








蓼科神社奥社   

 火口原の中央には蓼科神社奥社が鎮座している。
奥社というからには麓に大きな神社があるかもということで調べてみると、北佐久郡立科町に蓼科神社の里宮があるようだ。
祠に向かって一応登山の無事を祈ってから方位盤へ。

 ここで自分が目を離した隙に母は少し先で岩の間に嵌って転倒していた。
幸いにもケガはなかったが、岩の上を歩くようにと注意しておく。








 9:09 蓼科山山頂西端の方位盤   

 こちらでも周囲の方々と入れ替わりつつ撮影。
かなりの強風が吹いていて三脚の設置は気を遣ったが何とか撮影出来た。

 方位盤で撮影を終えてから、風を避けられそうな岩陰を見つけて休憩タイムに入る。








蓼科山山頂西端より北アルプス方面を見通す  白樺湖周辺がまるで箱庭のよう

 パンなどを食べつつ山頂でのひと時を過ごした。
ここで母は気付いていなかったので、北西側に見えている槍を眺めるように促した。
母も自分が指し示すとすぐに気付いた。
 母は先日の槍登頂後に、初めて遠目に槍を眺めて改めて感激したよう。
自分としても、もっとあちこちの山から槍を観てもらいたいと願う。




 蓼科山西側山麓にある白樺湖を初めて見下ろした。
南アルプス方面へのアクセス路としてだいたい白樺湖畔を通るのだが、蓼科山頂から見るとこじんまりとしている。
それにしても白樺湖の周辺はスキー場が集まっているのが壮観だった。
スキーはここまで滑りに来ることはないだろうけど、やはり広い斜面を見ると脚がうずいてくるような気がする。




 9:30 出発

 本当に立ち去り難い絶景ではあったが、そろそろ腰を上げることにしよう。
再び火口原を横切って蓼科山頂ヒュッテのほうへ向かう。








再び火口原の光景を楽しみながら三角点へ  三角点まで戻ってくると八ヶ岳連峰の絶景が再び見えてくる 

 母は今度は岩の上を慎重に歩いて戻っていく。
母と共に訪れた蓼科山山頂のひと時は自分としても思い出深いものとなりそうだ。

 山頂三角点の周辺は先程よりも多くの登山者で賑わっていた。
蓼科山山頂は本当に色んな意味で素晴らしくて、人を惹きつける魅力のある山だということが実感出来た。








 9:45 蓼科山頂ヒュッテ(2,510m)到着   

 蓼科山山頂を出発する前に蓼科山頂ヒュッテへと立ち寄っていく。
目的はもちろん蓼科山の山バッジで、母はさっそく数種類あるバッジを品定め中。
結局2人共同じデザインのバッジを選んだ。
山バッジは色彩豊かなものも増えているが、自分も母も色使いの少ない落ち着いたデザインが好みだ。




 9:58 蓼科山頂ヒュッテ出発

 本当に山頂に建っている山小屋なので、ここで宿泊すればさぞ気持ち良く過ごせるだろう。
ヒュッテからは北斜面を巻いていくように緩やかに下り始める。








行く手には森に覆われた広い稜線が見えてくる   

 蓼科山頂の北東側を下り始めると、これから辿っていくことになる広い稜線が姿を現す。

 そして東側、佐久平の向こうには浅間山。今日は煙が出てなくてご機嫌のようだが、噴火警戒レベルはずっと2のまま。
いつになったら前掛山まで登れるのやら。
今日の山行の候補の一つに自分が少し前に歩いた浅間外輪山周回もあったが、
母も黒斑山までは歩いたことがあるし(展望無しだったが)今回は外した。








いよいよ激下りが始まる   

 母には事前に注意を促したが、蓼科山頂から蓼科山荘までは激下りとなる。
母は少し苦手っぽい大きな巨岩帯の下りで、しかも下からは絶えることなく登山者が登ってくる。
蓼科山荘に下り着くまではたっぷり時間を掛けるつもりで慎重に足を運んでいく。








標高差約150mの激下り  登りの登山者との間合いを図りつつ下っていく 

 部分的にはクサリ場まであるが、母も順調に下っていく。
それにしても蓼科山はどこから登っても急坂は避けられないことがよく分かる。








10:40 蓼科山荘(2,350m)到着  ここから蓼科山を見ると甲山を思い出した 

 急坂を下り終えたところが蓼科山荘で、大勢の登山者で賑わっている。
とりあえず先へ進む前にここで一息入れていくことにする。

 蓼科山への最短ルートとなる七合目登山口からだと、この蓼科山荘までのコースタイムは1時間30分。
山頂までだと約2時間で登れる行程となる。急坂は避けられないが、蓼科山登山口と比べると楽に登れる。

 蓼科山荘が建っているコルは将軍平と呼ばれ、振り返るとお椀を伏せたような蓼科山が存在感抜群だった。
山荘前のテントでは蓼科山関連の色んなお土産が売られていた。欲しいものはあったけどちょっと自分には高いかも。

 それにしても山頂に居た時にはきれいな青空だったのだが、早くも空は白っぽくなってきていた。








11:01 蓼科山荘出発  

 ここから天祥寺原へ下ると今回の行程を短縮することは可能ではあるが、
せっかくの機会なので大河原峠を経て周回していくことにする。








遠ざかっていく蓼科山を振り返る   

 蓼科山荘を出発するとすぐに一旦森が途切れ、再び蓼科山を眺めることが出来る。
母も登頂したばかりの蓼科山の光景を楽しんでいた。

 ところで蓼科山荘を離れると途端に人けが少なくなった。蓼科山荘から蓼科山の間が最も混雑するようだ。
自分は基本的に静かなほうが良いが、母にとってはまたクマが気になってくるようで…。








11:14 赤谷の分岐(2,360m)を通過   

 蓼科山から見えていたように、大河原峠までずっと広い稜線が続いている。
蓼科山荘からは僅かに標高を上げるが、もう殆ど平坦な道のりといって差し支えないだろう。

 赤谷の分岐からは右手の大河原峠方面へ向かう。








縞枯れ現象とみられる光景が広がる  湿地帯は木道が敷かれている 

 赤谷の分岐を過ぎると周囲が明るくなってくる。
北八ツを象徴する典型的な光景といえる縞枯れ現象だろうか。
母には縞枯れ現象について簡単に説明したが、木々の年代更新のためなど諸説あるらしい。








11:24 2,380mピーク(佐久市最高地点)   

 等高線は広く閉じているので、普通に歩いていると何気に通り過ぎてしまいそうなところだった。
地形図にも山と高原地図にも何も記載されていないピークだが、佐久市最高地点というのは初めて知った。




 2,380mピークを過ぎると大河原峠まで標高差約300mの下りとなる。
この下りが予想外に曲者で、それほど急なところはないのだがとにかく滑りやすい。
母も一度尻もちを着いてしまっていた。
夏からずっと雨が多いので、特に滑りやすくなっているのではないだろうか。
登る山を選ぶ時はこの辺りまで気を配らなくてはいけないかもしれない。








12:14 大河原峠(2,080m)到着   

 予想外に足運びに気を遣った下りがようやく終わると大河原峠に到着!
ここも車で上がってくることが出来るので、登山口としても使えそうだ。
峠の周辺では登山者に加えて普段着で来ている観光客も多い。

 駐車場には山中では希少な立派なトイレもある。
南側には双子山が誘っているが、八ヶ岳連峰の縦走はいずれかの楽しみにとっておき今日はここから下りに掛かる。








大河原峠(2,080m)   

 滑りやすい下りで疲れ気味だったのと、ちょうど昼時ということもあって長めの休憩をとっておく。
母には事前に伝えてあることだが、この後も一貫して下りが続くとはいえ、歩行距離でいえば大河原峠でまだ全行程の半分なのだ。








12:33 大河原峠出発   

 20分弱の休憩で元気になったところで大河原峠を出発。
天祥寺原を経て竜源橋へと長い下りが始まる。

 幸いにも先程までのような滑りやすいところはなく、緩やかで歩きやすい道のりだった。
周囲は笹原と森に囲まれてとても良い雰囲気。母も気分爽快に歩いている。








天祥寺原へと下っていくルートは爽快な笹原が続く   

 遠回りにはなるが大河原峠経由にした甲斐があった!
見渡す限りの笹原、南側には新たに北横岳も見えてくる。
自分も母も初めてにして、北八ツの魅力にすっかりハマってしまった。








13:13 天祥寺原分岐(1,970m)  竜源橋へは水溜まりを避けて直進していく 

 気持ち良く笹原の中を下ってくると、天祥寺原の分岐に差し掛かる。
指導標には天祥寺平とも表記されているが、どちらも通用するのだろうか。

 今日はこのまま竜源橋へと直進するが、ここから南東側にある双子池にはテン場があるようだ。
いずれテントを張る機会があるだろう。








一貫して滝ノ湯川に沿って下っていく  天祥寺原の向こうに蓼科山が見えてきた! 

 分岐を過ぎると殆ど傾斜が無くなり、平らな登山道が続いていく。
左手には滝ノ湯川が見え隠れするが、この辺りはまだ水量は少ない。

 大賑わいの蓼科山周辺に比べると静かではあるが時折登山者とすれ違う。
蓼科山荘から蓼科山間だけはピストンになってしまうが、大河原峠を起点に反時計回りで周回する行程もなかなか良さそうだ。




 平らな登山道を歩いていると、蓼科山が久しぶりに見えてくるようになる。
今日の時計回りの行程だとこのあと南東側山麓を巻いていくので、登頂を済ませた蓼科山の姿を存分に眺めて歩くことが出来る。
やや長い行程で母も疲れてきていたが、登ってきた蓼科山を見上げて嬉しそう。








天祥寺原越しに見上げる蓼科山は優美な姿だ   

 蓼科山は古来より女乃神山とされていたのが分かる気がする。




 天祥寺原の草原と森が更に広がってくると、まもなく将軍平からのルートと合流する。








13:35 将軍平への分岐(1,950m)到着   

 大河原峠から約1時間で辿り着いた。
ちょうどキリが良いところなので小休止をとっていく。

 仮に蓼科山荘のある将軍平からまっすぐここまで下ってくると、今日の行程を1時間ほど短縮出来る。
自分も母も疲れてはきていたが、大河原峠からの下りが良かったので遠回りして正解だったと思う。

 大河原峠からだいぶ歩いた感があったが、残る竜源橋までのコースタイムは1時間30分ほど。
ここからも急坂は少ないようだが、竜源橋まで約300m下らなければならないことを予め母に伝えておく。

 なお後ほどの確認で分かったことだが、実際の分岐の場所は地形図よりも大河原峠寄りにあったようだ。




13:42 出発








蓼科山が一層近づいてくる   

 将軍平への分岐を過ぎると、蓼科山がより一層壮大に見えるようになってくる。
おそらくこの後は蓼科山が見えなくなるはずなので、2人して心ゆくまで眺めておいた。




 分岐を過ぎるとほぼ人けは無くなり、静かなところが苦手な母は先を急ごうとする。
竜源橋までの所要時間を考えると、2、3回は小休止をとるべきだったのだが…。







苔に覆われた森に圧倒される  14:18 久しぶりの指導標。竜源橋までまだしばらく掛かる 

 谷あいに入ってきた辺りで、母を呼び止めて小休止をとる。
もののけ姫を連想させる苔に覆われた森に魅入っていたのだが、母のほうはクマが気になってしかたがない様子。
歩いている間は鈴を散々やかましく鳴らしている。(ラジオはこの辺りでは電波が悪いのか受信しなくなっていた。)
一度人の気配を察したら元来臆病なクマは好んで寄ってこないと説明するのだが…。




 しばらくして谷あいから徐々に離れ、広い尾根を下っていく頃には車の音が聞こえてくるようになる。
撮影間隔はいつもより開いてしまったが、クマへの不安と疲れもあって先を急ぎたい母の意を汲む。
 しかし車の音は聞こえるのだが、竜源橋まではなかなか長かった。

 そしてだいぶ下りてきた頃に指導標の無い分岐があった。
一方は踏み跡明瞭だが細い道。もう一方は林道のような広い道。
自分の方向感覚で林道のほうへ進んだ。








14:55 竜源橋(1,640m)  車までの標高差は約80mの登りだが、ビーナスラインの光景は良かった。途中には展望台もある。 

 直前に堰堤下を通って何とか竜源橋に辿り着いた!
大河原峠から下りで約2時間30分。母の行動時間は9時間30分となった。

 母にはここで山行を終えて休んでもらい、自分だけで車の回収に向かう。








やっと周回完了だ!  15:14 蓼科山登山口付近の駐車場(1,720m)到着! 

 竜源橋から蓼科山登山口までは登りで約15分だった。
蓼科山登山口、そして向かい側の八子ヶ峰登山口では、数人の登山者がバスを待っていた。
八ヶ岳はバスを使うことで、いろいろな行程を組むことが出来そうだ。




 登山開始から9時間45分掛かってようやくマイカーの待つ駐車場に到着した!
さっそく竜源橋へと車を走らせて待っていた母を拾う。








蓼科女の神展望台(1,680m)   

 竜源橋で母を車に乗せた後、先程歩いた時に通り掛かった展望台へ寄っていく。
八ヶ岳の稜線は雲に隠れていたが、森に覆われた広い裾野が見事だった。




 再び元の駐車場へ戻ってきてから、登山装備を解いたりして用事を済ませる。
母はよく歩いたなあと繰り返し話していた。でも満足げだった。

 帰路に白樺湖畔から蓼科山を見上げたが、すっかり山頂は雲に覆われていた。
それでも母は蓼科山の優美な山容を十分に楽しんでくれたよう。




 夕方は車が多いこともあって、行きよりはやや時間を掛けて帰途に就いた。
母は槍に次いで、蓼科山の余韻を心ゆくまで楽しんでいた。








 〜 終わりに 〜

 迷いに迷って選んだ蓼科山でしたが、本当に素晴らしい山行となりました。
蓼科山周辺こそ急坂となりますが、全般的には穏やかな行程だったと思います。
今回の行程も北八ツ、及び八ヶ岳全体の括りではほんの小さな一歩でしかありません。
今後折あるごとに八ヶ岳へどんどん通っていきたいです。








行程断面図です




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